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上遠野浩平先生の「私と悪魔の100の問答」オススメ!

2009-06-03

[]咲-Saki-第09話 素晴らしき場面転換の演出の解説


アニメ『咲-saki-』第9話における場を支配するオーラの演出が秀逸すぎる(まごプログレッシブ:Part2)

福路美穂子の開眼から見るイメージBGの効果 - subculic


第09話のタイトル「開眼」よろしく、開眼と亜空間殺法に対する背景の演出の話は、上の方々が既にやってくださったので、私は違うことを話そうと思います。今回の話では、場面転換が非常に丁寧で私の心を打ってくれたので、その話をしたいと思います。第09話では、アニメの時間軸と空間移動に非常に気を使いつつも、演出を忘れない、素晴らしい場面転換をしていました。



対局開始時 流れるような空間の説明:典型の定義


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対局開始前の説明


まず、各学校のキャラクタが控え室に入ると、典型的な場面転換というものがどういう風に行われるか、ということを実際の場面転換で表現します。具体的には、上の絵のようになります。まず対局室を写します。そして、場面を変える前に、時間軸的に連続である映像が流れるモニタを写します。これで、時間の連続性が保障されます。そして、それを写すテレビと見ているキャラクタ達を写します。これで、これ以降、このキャラクタ達が見ているのは、対局であるということを示します。ここで映像的に説明した事を、簡単に表すとしたの図のようなことです。



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典型的場面転換の要約


つまり、モニタというものが、場面を転換するためのインタフェースであるということです。これは、アニメでは、漫画と時間及び空間の流れが違うために、なさねばならぬことです。また、この場面において、モニタに写るやりとりではなく、カメラ自体が移動するやりとりですと、短時間に空間的に移動しすぎなため、ここでは全く不必要なスピード感が出てしまい、本当にスピード感を出したい場面の足かせになってしまいます。



自然な時間と空間の流れ


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綺麗な空間移動


顔アップ(対局場)→それが写るモニタを見ての会話(控え室)→会話をしているとモニタで配牌準備(控え室)→対局開始(対局所)。このように、モニタというインターフェースを利用して、時間と空間の説明をうまく行う描写多数あります。双方向的にモニタ描写をするだけでなく、対局場→控え室、または、控え室→対局場、の片方向だけモニタを使う場面など頻繁に見受けることができます。



今回で注目の演出:場面転換で行う違和感の増強


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たまらない違和感を発する空間移動


今回の話で、私が感動したのが上の場面です。上の場面では、基本的には典型的な空間移動。すなわち、対局場→(モニタ)→控え室、という場面転換を行っています。サンソーを引いた場面にはモニタの枠があり、その後、控え室の咲たちの様子が映し出されます。



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典型的な転換


ここのポイントは、二つ。一つは対局場の場面が、段々とモニタの画像に変化していくということです。もう一つは、カメラ位置が不自然ということ。この二つの相乗効果により、違和感を強くだしています。この違和感とは、そのまま、龍門渕の純が行った事の異常性とその結果のサンソーを強く印象付けます。二つのポイントについて、下でもう少し詳しく解説します。


一つ目のポイントは、非常にゆっくりと、画面が変化していくことです。画面の変化は、モニタの画質への変化と、カメラが微妙に遠くに引くことです。これで、この描写は対局場を写したものか、それを写したモニタを写したものなのか。この二つの視点(私達とアニメ上のモニタ)の間には連続性は存在しないので、この間変化は意味不明です。にも関わらず、ゆっくりと確実に、画面の様相が変化していきます。この意味がわからないということで視聴者への混乱を誘います。


二つ目のポイントは、カメラ位置の不自然性です。まず、サンソーアップ(下の二枚)は非常に不自然です。モニタに映し出されている映像は、対局場に置いてあるカメラで写しているはずにも関わらず、あのサンソーアップはどう見ても福路の視点です。あの映像は、明らかに、私達の為に設けられた(視聴者のための)映像であって、あちらの世界のモニタに写る画像ではありません。そして、この不自然も、視聴者への混乱を招きます。


この二つの視聴者を惑わす、不安定感により、龍門渕の純が行った事の異常性を示しているのです。(ちなみに、他にも、音楽とかでもあおってます)



二重の空間の流れ


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対局場を見る人をモニタで見てる控え室


今回は空間の移動が非常に頻繁に行われるので、上の典型を利用して、視聴者を飽きさせない、かつ、自然に見えるように、沢山のパターンの場面転換を駆使しています。上で示した例がその一つです。この場面では、モニタによる場面移動を二重にしています。対局場→(モニタ)→観戦場→(モニタ)→控え室、です。



対局室移動後 初の控え室:場所の説明


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典型的場面転換の応用 その1


典型的な場面転換を示した後に、それを使って新しい場面転換を伝えます。上の絵は、映像の流れ的に1〜6に流れています。ここで、1→3→4ですと、最初に示した典型となります。そこに2を挟む事で、自然に、キャラクタがいる場所の説明を行う事ができます。この「キャラクタのいる場所」は、想像できる範囲なので、必ずしも必要であるとはいいませんが(現に主人公組みはされない)、ハッキリとしたほうが丁寧であるといえます。


そして56では、直前ですでに、流れを説明しているので、モニタの場面を端折って場所の説明を行っています。これは、1〜4までの続きの描写であるので、しつこくならないようにの配慮であると思われます。(それと、これ以降、場所の説明もインターフェイスとなったともいえます)



音声を利用した場面転換


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声を利用した空間移動


この場面では、まず、上の応用であるように、場所の説明→その場所でのやりとり、が行われます。その後、白石稔のセリフで龍門渕の純の説明がなされます。そして、その説明の間に純の映像が写され、その後すぐに対局場の場面が移ります。


ここでは、放送室(音声:放送室、絵:放送室)→放送室(音声:放送室、絵:対局室)→対局室(音声:対局室、絵:対局室)、と段々と情報量を変化させることにより、自然な場面転換をおこなっています。



まとめ


今回、場面転換の演出について、色々書かせていただきました。特に、「場面転換で行う違和感の増強」では、震えるほどかっこいいと思います。また、今回は他にも場面転換で面白いところが沢山あるのですが、解説しようと思ってキャプチャをしていたら、キャプチャ画像が50枚を超えたので、これはいけないと思い、とりあえず、説明しやすいところだけピックアップしてみました。


あと、咲は、原作が漫画という媒体なので、時間と空間の移動の表現がアニメとえらい違います。つーか、アニメでは、その溝を埋めるために、頑張っている感じがします。なので、そこを中心に語っても、面白いなぁと思いましたが、今回は記事が長くなりすぎたので、それも割愛させていただきます。



まとめ


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こういうの非常に典型的だけれど、頻繁に使用するのではなくては、ここぞという時一回だけ使うっていうのも、私は好きです。



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