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上遠野浩平先生の「私と悪魔の100の問答」オススメ!

2009-06-30

[]けいおん!第13話 秀逸な寂しさの演出の解説 山田尚子の本気を見た


けいおん!第13話が異常に面白い。見てる最中ゾクゾクきた。けいおん!は、吉田玲子さんの「何かやってやろう」っていう意識がぷんぷんするのが非常に好きでしたが、最後の最後に来て山田尚子さんが本気を出してきました。


私は第13話が番外編と聞いたとき、ただのなんてことの無いほのぼのとした話が来るばかり思っていました。が、そんなことは全くありませんでした。第13話は、文字通りの“番外”編。話の内容的にも、アニメーションの作りも、それまでの話とは、はっきりと一線をかく話でした。


特に“寂しさの演出”が秀逸すぎましたので、それについて書いていきたいと思います。特に、これまでの話と全く違うBGMの使い方と、四者四様の寂しさの表現。それと、唯の主人公らしさについて話したいと思います。


異常に少ないBGM


第13話はBGMが異常に少ない。特に前半部分では、それが顕著です。これは、不安を煽るための演出の一環なのですが、この演出の秀逸なところが、それまでの12話分の積み重ねがあるということです。真下監督やARIA佐藤監督のような、初めからそういう物では無く、今までは軽快なBGMが鳴っていたのに、それが鳴らないということで、非常に心に違和感を与えます。そのため、今までだったら、明らかにBGMを挿入するような場面で、第13話ではBGMが入りません。


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今までだったらBGMが入りそうな場面の例 コミカルな場面


アバンタイトルやオープニングを抜かすと、始めにBGMが鳴り出すのは、開始五分すぎの律の「ヒゲ」の場面です。ここまでBGMが鳴らないのは、これまでのけいおん!から考えると異常なことです。


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開始五分過ぎの律の「ヒゲ」


また、この場面では、「ヒゲ」をする律と唯のやりとりをバックに、画面には澪が映ります。それも割りと眺めに。コレは“澪が律から何らかの違和感を感じた”ことを表すのは当然のこと、それと同時に“我々視聴者にも、律に何か違和感がある”ということを教える描写になっています。(今回は、このような描写が、ビックリするぐらいつまっています)


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「ヒゲ」のやりとりをバックに、澪


そして、部室から出ると、BGMが消失します。次にBGMが鳴り出すのは、梓の過去の回想シーンですが、これは“今回想だよ”という記号的なBGMなので、話が明るくならず、むしろ現状の異常さを浮き彫りにして不安を盛り上げます。


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場面転換後にBGM消失


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次にBGMが鳴り出す9分頃の過去回想


次にBGMが鳴り出すのは12分あたりの梓があずさ二号を膝に乗せる場面です。このように、とにかくBGMがならないのです。


唯以外の異常な寂しさ


唯以外のキャラクタは、それぞれ別の“不安”という物を表します。


思春期の心の不安
孤独の不安
新しい環境の不安
未知の物への不安


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Aパート:一人で輪から外れる 紬


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Aパート:暗い部屋 寂しい構図 梓


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Aパート:一人旅 暗い 澪


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Aパート:暗い部屋 律


Aパートでは、これから“不安な事が起きそう”な画面がそこかしこに出てきます。(Aパートつーか、アバンタイトルからですが)上のように、唯以外のキャラクタには、何やら薄ら寂しい影がひたすら付きまといます。そして、Bパートでは、それが確信に変わります。


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Bパート:一人旅 曇り空 暗い 澪


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Bパート:人がいない町並み 枯れ木 律


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Bパート:失敗 謝罪 紬


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Bパート:猫ゲロ 顔を写さない構図 梓


律と鏡と男性


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鏡の中の“お洒落をする少女”の律


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硝子に映る自分を見る律


律パートでは、“鏡”が非常に象徴的に使われます。お洒落をする少女らしい律と、いつものボーイッシュな律。大人と少女。その二面性と心の揺らぎが、鏡によって非常に強調されます。(鏡は、二面性の象徴)また、弟とその友達という、けいおん!には珍しい男性キャラクタが出てくることも、その“少女の思春期の心の揺らぎ”をさらに強く強調します。また、律が硝子の向こうの自分を覗いた瞬間流れるGMが素晴らしい!


唯の登場! いつもどおりのけいおん!


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不安の絶頂で鳴る携帯


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唯からの連絡


不安の絶頂の中、唯から素っ頓狂な連絡が入ります。ここから、物語が一気に明るくなります。明るくなる、というのは内容もさることながら、アニメーションの作り自体もそれにあわせて明るくなります。


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物理的に明るい画面

(梓さん、今まで電気消してたの?)


明るくなるというか、むしろ、それまでの12話と同様なものになるのです。画面のつくりは、明るく。BGMも今までのように、軽快に流れてきます。唯は、“キャラクタ達の不安を取り除いた”のと同時に“見ている視聴者の不安”も取り除いたのです。なんて主人公なんでしょう!


むすび


いやぁ、第13話はすげー面白かった。BGMや画面作りに、すごいこだわっているし、それが良い風に発揮しています。これを“番外編”にしたあたりも、良いセンスだと思います。いやぁ、第11話から、キッチリまとめてくるあたり、さすがとしかいいようがありません。最初と最後の二話ずつ(第01,02,12,13話)は特別面白いアニメでした。山田尚子監督、あんたすげーよ。


おまけ


けいおん! 第13話(番外編)「冬の日!」が面白い - 海ノ藻屑


アバンタイトルの演出の話は、海ノ藻屑さんが分かりやすく書いて下さっているので、こちらを参照してください。



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sksk 2009/07/02 04:14 13話でBGMの使用が控えられているのは不安や寂しさの演出の他にも、けいおん!という音楽をテーマにした作品から音楽を取り払うことでそこに残るものを描き出す意図もあったかと思います
「音楽をする女の子」を描いてきた作品から音楽を取り払い&「仲良し女の子グループ」から集団性を取り上げ個人活動にクローズアップさせることで、音楽補正も集団補正もかからない素の女の子が描かれていたのではないかと

最終回が音楽補正と集団補正を存分にかけまくったステージに立つアイドル(偶像)としての女の子を描いたとしたのなら、番外編はステージから降りた後のプライベートの女の子を描いていると思うんですよね
そう考えるとこの最終回→番外編という流れは本当に素晴らしいですし、最終回でも番外編でもまったく変化がない唯は本物の天然&大物だと思います

しかし本当に13話は異常なくらい面白かったですね。この話を観ることができただけでもけいおんを観た甲斐はあったと言ってもいいくらい素晴らしい回でした

karimikarimikarimikarimi 2009/07/04 11:04 >>skさん
>>けいおん!という音楽をテーマにした作品から音楽を取り払うことでそこに残るものを描き出す意図
そうですね! そうなんですよ。
それは、高い確率であると思います。

>>「音楽をする女の子」を描いてきた作品から音楽を取り払い&「仲良し女の子グループ」から集団性を取り上げ
これを、最終話後の番外編として13話でやるのが素晴らしですよね。

>>番外編はステージから降りた後のプライベートの女の子を描いている
なるほど。
その発想はありませんでしたが、確かに。

>>本当に13話は異常なくらい面白かったですね。
ええ、すげー面白かったですね〜。本当に。

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