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上遠野浩平先生の「私と悪魔の100の問答」オススメ!

2009-08-25

[]美少女文庫えすかれ「ツンマゾ!」がものすごく面白い 秀逸なドM美少女


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ほ、ほら、ちょっと、まだ戻るを押さないで。うん、分かるよ。「ツンデレ」的なものを、SM的な官能小説にしてを適当に遊んだ作品なんだろう〜な〜って思う気持ち、良く分かるよ。これは、そういうところもあるけれど、それだけじゃなくて、本当に面白いんです。そういう遊びな部分だけじゃなくて、ちゃんと面白いんですよ。私を信じて、ちょっと話を聞いてくださいな。


と、いうことで、今回は美少女文庫えすかれ創刊第2弾として発刊された葉原鉄先生の「ツンマゾ!―ツンなお嬢様は、実はM」の紹介です。このジュブナイルポルノ小説は、エロ描写の秀逸さは当然のこと、それとさらに物語構造が非常に面白い作品となっていました。この作品がどのように面白いのか、という話をしていきたいと思います。



構造の面白さ


詳しいあらすじは省きますが、この小説のベースは、純情な主人公と、ドM少女のヒロインとのやりとりがキモとなっています。


物語の冒頭、ヒロインは主人公に、学校でオナニーしていることがばれてしまったと勘違いします。ドM思考のヒロインは、このネタで主人公に脅されて、性的なはけ口にされてしまうと考えます。そのことを主人公に言うと、純愛思考の主人公は、見なかったことにするといいます。しかし、それに対してドMのヒロインは……。


「私がマゾで変態であることを知った以上、恋だの青春だの青臭いことは言わせないんだから。あなたの平凡な人生は今日で終了! おめでとうございます! 今日からアナタはドSの変態ご主人さまよ!」

「い、いやいやいや、俺は純愛派なんだ!」


ツンマゾ! p31〜p32


かくして、「純愛したい純情少年」と「調教されたいドM少女」のすれ違い劇が始まります。この、お互いの意識のすれ違い具合が素晴らしいんですよ! ヒロインは、調教されたいがために、主人公に対して「自分を調教するように」調教を始めるという、不思議な二重構造が始まります。これが見事なのです。


「まったく困ったもんだわ。先生も少しぐらい気遣ってくれてもいいんじゃない。なんで私が、よりによってご主人さまと一緒なのよ」

「お願い、外でご主人さまって言わないで下さい……」


ツンマゾ! p67


このように、基本的には軽快なギャグ調をもって、大好きで片思いの女の子に自分を調教しろと迫られるが、そんなことをしたくない主人公に対して、ヒロインが己の身体を持ってして調教していく様は圧巻です。



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また、物語のラストの展開において、この「純愛したい主人公」と「ドMなヒロイン」のすれ違いの解消の仕方が秀逸なのです。どのように秀逸なのかは、言ってしまうとネタバレになるので、是非読んで欲しいです。



ヒロインがものすごく魅力的


ヒロインである鷲尾真子のキャラクタ付けが、ジュブナイルポルノでしか出来ないような、非常に特徴的で魅力的な造形になっています。例えば、主人公宅に、ダンボールに入れられ、体中を縛られた状態でヒロインが送りつけられてきたとき、心配しながら必死で縄をといている主人公に対して、ヒロインは次のようなセリフをはきます。


「せっかくお膳立てしてやったんだから、気にせず拉致監禁しなさいよ!」

〜中略〜

「……長旅ご苦労さま」

「まあね、肩とか凝っちゃったわ。マッサージしてちょうだい、鞭でビシビシと」


ツンマゾ! p155


この変態ヒロインっぷりは素晴らしいです。また、この変態ヒロインの可笑しさを強調するために置かれたといっても過言では無い、純情主人公の突っ込みもまた素晴らしい。これが、普通の調教物のような強気な主人公では、ヒロインのこの可愛らしさを表現する事は無理である。例えば、次のような主人公が風邪を引いたヒロインのお見舞いに行く場面でも、二人のやりとりとそれにともなうヒロインのかわいらしさが非常によくでている。


 家のなかからバタバタと音がして、勢いよく玄関のドアが開かれた。冷たい風の吹き荒れる屋外へと、彼女が姿を現す。

 やけに布地の少ない、紐寸前の白のビキニだけをまとって。

「びらっしゃい! ごじゅじんだば!」

「服を着ろぉおおおおおお!」

 怒鳴りながら玄関に押し入り、世間様に知られる前にドアを閉めた。


ツンマゾ! p116



デフォルメされたマゾヒストという造形



私の知る限りのライトノベルにおいてギャグ調にデフォルメされたマゾヒストが出てくる秀作として松野秋鳴先生の「えむえむっ!」があります。えむえむっ!では、主人公の男をドMにすることによって、ヒロイン達の嗜虐性を楽しむという構造になっています。それに対して、ツンマゾ!では、ヒロインのマゾヒストっぷりを直球で楽しむという構造です。


このマゾヒストっぷりを直球で楽しむというのは、ポルノだからこそ出来るという側面があると思います。「えむえむっ!」において、美少女に暴力を振るわれた主人公が、急に射精をしだしたら、ライトノベル的にアウトだし、ヒロインも読者もドン引きですよ。それをコミカルに描写できる土壌で、行ったということに「ツンデレ!」の価値があると、私は考えています。



美少女文庫えすかれ」について


美少女文庫(びしょうじょぶんこ)は、フランス書院が発売しているジュブナイルポルノ文庫本レーベルである。


2009年3月創刊の姉妹レーベル。「えすかれ」は「エスカレート」の意味。メインレーベル美少女文庫が伝統的に培われて来た編集方針を遵守しているのに対し、本レーベルでは「敢えて条件や編集制限を設けない」ことを売りにしている。


美少女文庫 - Wikipedia


M「うるせぃ! (グラスをおかみにぶつける外道M)

 俺は、本当はなぁ、萌えエロよりももっと激しいエロを作りたいんだ!

 それを、営業どもがライトノベルに寄せたほうが売れるって言うから!

 今じゃライノベまでどんどんエロくなってんじゃねえか!」

一転、さめざめと泣きだすM。

「うう頼む。誰か俺に、もっと強い酒を、いや、エスカレートしたエロを、

 限界を超えた官能小説を読ませてくれぇ」


?「ふ、そんなに激しいエロが読みたいのかい! だったら俺たちがいるじゃないか!」

(店の扉がガラッと開いて)


M「お、お前らは……」


上原りょう&山口陽「俺たちが、お前の読みたい、エスカレート世界を読ませてやるぜ」


 とそんな感じで、今春3月、美少女文庫は敢えて条件や編集制限を設けない、新レーベルを立ちあげます。

 その名も『美少女文庫えすかれ』シリーズ。

 えすかれは、S彼でもなければ、エスカレーターの略でもありません。

 美少女文庫エスカレート、略して「えすかれ」です。


えすかれ、創刊! | 美少女文庫〜妹、アイドル、巫女がいっぱい…萌え系ライトノベルズ。電子書籍&連載小説が満載〜

あなたの「えすかれ」教えて下さい | 美少女文庫〜妹、アイドル、巫女がいっぱい…萌え系ライトノベルズ。電子書籍&連載小説が満載〜


正直自分の目を疑いましたけどもコレ事実です。まるで二次元ドリーム文庫のハーレムもの作品を見てるよう・・・ハッ!これはもしかしてエロラノベ市場的に革命がおきるかもしれない・・・二次ドリもピンヒロインに挑んで見たりとイロイロやってますし2009年のエロラノベシーンは非常に面白いことになるかもしれないとギルちんわくわくしております。


美少女文庫3月新刊試験販売始まる。「美少女文庫えすかれ」創刊 - 萌特化書店員


萌特化書店員さんが「美少女文庫えすかれ」創刊時にエロラノベ市場的に革命を予感したように、私もこの「美少女文庫えすかれ」創刊第2弾の「ツンマゾ!」を読んで、それを予感しました。



むすび


今回は、葉原鉄先生の「ツンマゾ!―ツンなお嬢様は、実はM」の話をさせていただきました。官能小説の紹介は初めてですが、当ブログの趣旨として、エロ物だろうが非エロだろうが、私が面白いと思ったものを紹介するっていうスタンスなので許してください。あ、あとちなみに、エロ描写について全く言及していませんが、これは当然エロ物なのだから、そこは大前提として素晴らしいですよ。非常にエロかったです。(いや、まぁ葉原鉄先生だしね)




おまけ


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なんか、本のカバーが、カードダスのキラカードみたいにキラキラしています。これはなんのつもりなのでしょうかね。



<関連リンク>

「ツンマゾ! ツンなお嬢様は,実はM」は素晴らしいエロラノベである - 鍵っ子ブログ

エロ描写の巧みさの解説。


「ツンマゾ! ツンなお嬢様は,実はM」は素晴らしいラブコメである - WebLab.ota

ラブコメとしての巧みさの解説。


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のりのり 2009/09/01 11:07 いつも楽しく拝見させていただいてます。
今回記事に取り上げられた美少女文庫レーベルのツンマゾ!の表紙がキラキラホログラム仕様になってるのは、多分同じフランス書院のBLレーベル・プランタン文庫や他会社BLレーベルなどでホログラム表紙を採用してるところが結構ありますので、その影響があるのかもしれません。
BLレーベルはある程度土壌も完成しており、1ヶ月の刊行冊数もかなりな数が出ていますし、もしかしたらえすかれ文庫もゆくゆくはそういうポジションを狙っての野心的な取り組みなのかなと思いました。
あと単純に、BLレーベル用で仕入れた表紙の紙なので流用しやすかったってのも考えられますけど…。

最近は百合ジャンルのラノベも刊行されていたのを見かけましたし、ラノベ系にも色々動きがあるようなのでそのうち美少女レーベルもBL系と同じくらいの土壌が育てば色々読めておもしろいのになぁと思いました。

karimikarimikarimikarimi 2009/09/01 23:07 >>のりさん
>>多分同じフランス書院のBLレーベル・プランタン文庫や他会社BLレーベルなどでホログラム表紙を採用してるところが結構ありますので、その影響があるのかもしれません。
なるほど。これは知りませんでした。
とても参考になるコメントありがとうございます。

>>最近は百合ジャンルのラノベも刊行されていたのを見かけましたし、ラノベ系にも色々動きがあるようなのでそのうち美少女レーベルもBL系と同じくらいの土壌が育てば色々読めておもしろいのになぁと思いました。
うわ、これも知りませんでした。
なるほど〜。

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