2009-10-31
■[小説]1998年の「ブギーポップは笑わない」。2009年も「ブギーポップは笑わない」のか?
- 作者: 上遠野浩平,緒方剛志
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 1999/06
- メディア: 文庫
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この小説は、やはり、98年という世紀末に発表されたので、あそこまで過熱気味にフィーバーしたのだろうと。
〜中略〜
周囲からは普通に羨ましがられて、そんなに浮かないだろうと思う。
なので、浪漫の騎士の会話文は、それほど切実なものにはならないかも知れない。
(この10年で日本は驚くほど不況になり、
また、携帯の浸透で友人関係が常に緊張を強いられるモノになってしまった、
入学から卒業まで、友人と仲良く過ごして、家庭の事情で中退せず卒業する事自体がファンタジーになりつつある…。)
ブギーポップ好きで有名(?)な泡部屋(仮のid:matubahukiさんのブログの上の記述を見ていたら、なんか色々思い浮かんだので、一人ブレインストリーミング形式でつらつらと色々書いていきます。まとまりが無いので注意です。
上遠野浩平先生(ブギーポップ)との時代、歴史との関連性の話なんて、もうやらされつくされた感があるかもしれませんが、私がやりたくなったのでやります。何を言いたいのかよくわからない記事ですが、それもそのはずで、この記事自体が“私が何を言いたいのか私の中から見つける”って趣旨の記事ですので。
あ、ちなみに私は上遠野浩平マニアを自称するほどの上遠野浩平先生スキーで、ブギーポップは笑わないは、毎年四回以上は読み直すほど大好きです。
超簡易 上遠野浩平と時代背景
1975年ソノラマ文庫
1978年上遠野浩平10歳
1983年上遠野浩平15歳
1986年ドラクエ→ファンタジーブームへ
同年 バブル開始
同年 上遠野浩平18歳(たぶん大学入学)
1988年角川スニーカー文庫と富士見ファンタジア文庫が成立
同年 上遠野浩平20歳
1989年冷戦終了
1991年バブル崩壊
同年 ソビエト崩壊
同年 あかほりさとる
1993年電撃文庫創刊
1995年エヴァンゲリオン放送開始
1998年ブギーポップは笑わない発売
学生闘争は経験していない。
物心ついたときには、思想は死んでいる(三島と赤軍あたりのこと)。
大学生の時に、バブル。
就職直後バブル崩壊→バブルの恩恵は受けていない。(親は知らないが)
幼年期、青年期を知るためには、特撮とSFを中心に掘り下げる方がよさそう。
1998年のブギーポップを読んでいる層の年齢層の話。
1998年に13歳なら1985年生まれ
1998年に16歳なら1982年生まれ
1998年に20歳なら1978年生まれ
2009年で、上遠野浩平さんがデビューして11年たつ。
今年で42歳になるのかな。
全作品に共通する登場人物の性格付けとして、国内メディア作品の青少年キャラクターには多い「若さ故の無鉄砲さ」や「若さの象徴としての、実態のない体制への理由無き反骨心や反逆心」(上遠野自身曰く「身の程知らず」な人間)を書く事がないのも特徴で、多くの登場人物は体制の仕組みの中に取り込まれている事を皆理解しながら、そのまま諦観しているか、それでも大切な何かを持っているかを描いている。
1998年という時代 自殺からみる
1998年の世相
- 今年の漢字「毒」・・・和歌山毒物カレー事件の余波で毒物混入事件が多発。インターネットで毒物を注文して自殺する事件などがあった事から。
- この年から賃金削減、正社員減少等により、一億総中流時代が次第に過去のものとなる。
- 日本の自殺者数が前年より8000人以上増加して3万人を超える。中でも、50代の自殺が急増している。
終戦後、高度成長が本格化するまで日本の自殺率は25人と世界一となった。社会保障が整備される以前であることから高齢者の自殺率が高かったことと戦後の価値観の大きな転換の中で若者の自殺率が急増したことが原因である(図録2760参照)。1958年の自殺率25.7人は過去最高の値である。その後の高度経済成長の中で、1959年国民健康保険法施行、1961年国民皆年金などの社会保障制度の充実や1960年所得倍増計画に代表される経済成長目標の国民的普及により、自殺率は、15人前後への低下した。国民全体で明るい夢を抱いていた時代だったといえよう。
その後、1973年のオイルショック前後から自殺率は上昇に転じた。余り注目されなかったが、1983年の景気後退は自殺率の急増(前年の17.5人から21.0人へ)を招いた(図録4400、図録2740-1参照)。現在から振り返るとこれは1998年の自殺率急増の先駆だったといえる。自殺率が高い時期がしばらく続いたが、1990年前後のバブル景気の中で、自殺率は再度低下した。
1997年秋の三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券と立て続けの大型金融破綻事件がきっかけとなり、98年の5月にかけて失業者が急増し、自殺率も、 97年から98年にかけて18.8人から25.4人へと急増した。このときは自殺者数も前年の2万3千人台から、一気に、3万1千人台へと急増したこともあって、社会的に大きく注目を浴びた(図録2740参照)。
この間の社会不安が非常に大きく高まったことは、自殺者がそれまでの失業者数との平行関係を大きく凌駕して、それまでの月2,000人レベルから98年春に月3,000〜3,500人レベルへと急拡大したことにあらわれている。
1998年、自殺者が三万人を超えてから、現在まで三万人を下回ることは無い。(参考資料:警察庁発表 自殺者数の統計参照)
自殺者の増加→社会の閉塞感(または社会の成熟)、は安直すぎるが、一つの指標にはなりえるかもしれない。
(社会不安が広がったのは事実っぽいが)
ブギーポップは笑わないの発売は1998年2月。丁度このころ。
世は世紀末ブーム。
「ブギーポップは笑わない」と閉塞間
「でも、あの子の気持ちもなんとなくわかるわよ。逃げたかったんでしょ、結局」
「逃げるって、何からだよ」
〜中略〜
「竹田君にはわかんないわよね」
「どうして」
「受験しないんだもの。このプレッシャーがわかるはずもないわ」
上遠野浩平「ブギーポップは笑わない」p59
前の席のやヤツは内職している。授業はもう、形だけみたいなものでみんな受験の方が学校よりもずっと大切みたいだった。先生の方もなんかそんな感じで、どこか投げやりで自分が話すばかりで誰にもあてたり、質問を求めたりしない。
いったい僕らは、なんのためにここにいるのだろう。
〜中略〜
僕は授業の話を聞くでもなく、ノートにも取らず、文句を言う割には受験するみんなよりはるかに不真面目な態度で、意味も無くかりかりと腹を立て続けてた。
上遠野浩平「ブギーポップは笑わない」p60,61
ここらへんの浪漫の騎士の閉塞感がたまらない。
鬱屈した人間との共感度がはんぱない。
10年たった今ではどうなんだろうか。
「へえ、君は受験しないのかい」
上遠野浩平「ブギーポップは笑わない」p52
今のブギーポップからは考えられないような会話。
「へえ、君は受験しないのかい」
世相的にも、今と昔で確かにだいぶ意味合いが変わる気がする。
上遠野浩平チルドレン
確かに「今」のライトノベル興隆の源流は、直接的には上遠野浩平に求めるべきだというのが、正直な実感である。
〜中略〜
それと同じようにライトノベルの「歴史」も「上遠野浩平」を経ることによって大きな質的変化を遂げついには「西尾維新」に至ったのである。ライトノベルの「歴史構築」の試みにおいて、こうした「歴史の転換点」を大森氏は意識していたのであろうか? 「西尾維新からメフィスト賞がわからなくなった」と公言する氏のことであるから、少々怪しいのではないかと、私は思うのだけど…*3
以上、ライトノベルの「維新」は「西尾」にではなく、実は、「上遠野」にあったのだ!、と落ちたところで、この項お終い。お粗末。
ライトノベル作家である西尾維新や奈須きのこが「上遠野浩平の作品に影響された」と語っているほか、佐藤友哉も影響を受けた事が明かされている
また、愛洲かりみさんがあとがきの中で「上遠野さんのあとがきが好き」と、
書かれていて好印象。
冒頭のすさまじいまでの上遠野浩平の匂いのする台詞はブラフだった。すでに上遠野浩平はこのようにメタで消費されるしかないのか、と一瞬遠くを見てしまったが、そこまで普遍的になっていると考えればそれはそれですごいことのような気もする。セカイ系=上遠野浩平で記号化できると考えればその存在感の大きさは確かにある、ような気がする。妄言です。
今をときめく西尾維新先生や奈須きのこ先生などの本を読むと上遠野浩平の影響が垣間見れる。
2009年10月にデビューした新人作家の本にさえ、影響が見られる。
ここ十年というかむしろ昨今のほうが、上遠野浩平に影響を与えられた世代、が出てきているのかな。
上遠野浩平が作った潮流上の人ではなく、上遠野浩平の小説で人生を変えられた人、という意味で、上遠野浩平に血肉レベルで影響を与えられた人たちが。
2009年の今
でも98年の社会不安が広がった時みたいな感じが、
今もまだあるっていう感じもするなぁ。
しかし、今も98年も、
歴史的に見て激烈かといわれたら、
う〜ん、どうなんでしょう、よくわかんね、って感じもします。
私の感覚では、そんなことよりも、停滞感がヤバイ。
それこそ、1998年からといわず、私が物心ついてからの、暗雲とした停滞感。
上遠野浩平さんの著書の随所で感じ取れるような、
なんかどうしようもないような感覚。
むすび
うん、見事にまとまりがありませんね。でも、なんとなく自分が言いたい事が分かってきた気がします。な、なんとなくなので、よくわかんないっちゃわかんないんですけれどね。(それって、やっぱりよく分からないってことじゃねーか)(まぁいいじゃん)
BGM:Led Zeppelin - Custard Pie
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