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上遠野浩平先生の「私と悪魔の100の問答」オススメ!

2010-01-05

[]マリア様がみてる「私の巣」の感想 マリみてで描かれる家族の物語


マリア様がみてる 35 私の巣(マイネスト) (コバルト文庫)

マリア様がみてる 35 私の巣(マイネスト) (コバルト文庫)


マリア様がみてるハローグッバイ」において第一部(または祐巳祥子編)(私が勝手に呼んでいる)が終わったマリア様がみてる。短編集以外の初の単行本である「私の巣」の感想を書きたいと思います。「私の巣」は「リトルホラーズ」同様第一部とは明らかに違うアプローチの書かれ方をしていました。以下、ネタバレがあるので収納します。




明確な差異

  1. テーマが姉妹ではなく家族
  2. 完全一人称文体


マリア様がみてる 私の巣」では上であげたような差異を感じました。いや、それにしても「私の巣」はすげー面白かった。今までのマリみてとちょっと違ったけれど、私はすごい好きだった。今野さんはつくづく構成うめ〜なぁって感心しました。第二章の「お引越し」とか構成マニア的にはたまりません。以下、今までとの差異について言及しつつ、適当に感想を言っていきます。


家族の物語


「私の巣」のテーマは「家族」です。マリア様がみてるで「家族」というのは、動機であったり背景であったり環境であったりしたことは沢山ありましたが、ここまで明確に主題としたことは無いんじゃないでしょうか。


「きっと、薔薇の館のクリスマスに呼ばれたんでしょうね」

私は、銀杏並木を歩きながら環さまに話をした。

「うらやましい?」

「全然」

自由参加のミサはパスした。それより二人は、早く家に帰りたかったから。


今野緒雪:「マリア様がみてる 私の巣」P147


上記のように、【家のイベント>>学校のイベント】という態度を明らかにとるキャラクタはマリア様がみてるの中では非常に珍しいと思います。姉妹という関係も、学校のルールの姉妹(スール)ではなくて、家族としての姉妹を扱います。(正確に姉妹ではありませんが、関係性としてという意味です)


現代日本の小学生〜高校生の生活の9割は「学校」と「家族」にあると言ってもいいでしょう。

まあ最近は塾とかってのもあるけど、それも大きな括りとしては学校みたいなものとしましょう。

つまり10代の子が主人公のストーリーでは、必然的にこの二つが重要なテーマとなります。


舞-乙HiMEとSoltyRei 〜学校と家族〜 - まっつねのアニメとか作画とか


今まで(第一部)のマリア様がみてるでは圧倒的に「学校」に軸足を置いていた作品でした。「家族」は「学校」を描くためのバックグラウンドとして存在しているため、密接な関係はありましたが、プライオリティは「学校」にありました。それに対して、「私の巣」では「家族」のバックグラウンドとして「学校」(リリアン女学園)があるのです。



主人公気質百の完全一人称主観文


百ちゃんが、主人公すぎます。赤薔薇のつぼみ以前の祐巳ちゃんというか、志摩子さんに落とされる前の乃梨子ちゃんというか、マリア様がみてるの典型的なみんなに好かれる庶民派主人公像です。その中でも、やはり地の文の一人称が「私」であるところが私は気になりました。「名前」に「さん」付けというルールは巧みに継承しつつ、地の文の一人称を「名前の呼び捨て」ではなく「私」という普通の呼称にしたのはなぜなのでしょうね。単純に短編のときにそういう風に書いており、単行本にするさいに、直さなかっただけかもしれませんけれど。(第一部でも当然地の文で「私」を使うときもありましたが、基本は「名前の呼び捨て」です)


つーか、百ちゃん、すげーかわいくね? 私はすごい好きです。つーか今野さんの描く庶民派主人公はなんでこういちいちかわいいんでしょうかね? 環さまもかわいらしいし。私の個人的な希望としては、このまま百ちゃん主人公のシリーズが出来て欲しいな、って思うぐらいこの二人が好きです。



新しいマリア様がみてるの形を模索しているのか? と勘ぐる


今野緒雪先生は、マリア様がみてるにおいて様々なチャレンジをしているのは見ていて分かりますが、「リトルホラーズ」及び「私の巣」では、そのチャレンジの中でも明らかに突飛なことをやっているように思います。これは、せっかくそういうのが出来る機会だから行っているのか、はたまた次のマリア様がみてる(私の言うところの第二部)に向けて色々探っているのか、ただただやりたいからやっているだけなのか、私には分かりません。(「リトルホラーズ」と「私の巣」は第一部と第二部の間の作品だと私は考えています)



むすび


「私の巣」は面白かった。上でも書きましたが、私的にはこれがシリーズ化してくれても一向にかまわないぐらい好きでした。っていうか、マリア様がみてるはこれからどういう風な形で続いていくんですかね。私は「永遠と続く山百合会のサーガ小説」をイメージしていたんですが、どうやら単純にそうはいかないかもしれないな〜、と「私の巣」を読んで思いました。




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