Hatena::ブログ(Diary)

karimikarimi このページをアンテナに追加 RSSフィード

上遠野浩平先生の「私と悪魔の100の問答」オススメ!

2010-12-29

[]マリア様がみてる「ステップ」 今野緒雪先生が書く巧妙な“ステップ”



やばいやばいやばい。マリみて新刊「ステップ」面白すぎた。やばいやばいやばい。これはやばい。これはやばい。面白すぎる。やばいやばいやばいマジやばい。これはやばい。


Twitter / 046


マリア様がみてるハローグッバイ」において第一部(または祐巳祥子編)が終わったマリア様がみてる。「リトルホラーズ」「私の巣」に続く久々の単行本「ステップ」の感想を書きたいと思います、が本作を読む予定の方は、この記事を読んではいけません。なんで読んではいけないのかの理由を言ったら、中身を言ったも同然になるので、理由も言えません。タイトルとこの私の注意が限界です。お願いですから、これより先は、一読後にお進み下さい。



さ〜て、皆さんは、何処でお気づきになられましたか? 私は恥ずかしながら、143ページまで気がつきませんでしたよ。ここまでヒントが散りばめられていたというのに! そう、この物語は正に、“ステップ”で出来ているんですよね。これは当然、作中に何度も言及されているように、主人公二人(佳月と律)の心の“ステップ”というのが第一意なんだけれど、それ以外にも、読者の私達が、“あのこと”に気がつく為のステップでもあるんですよ!


さて、本記事では、“あのこと”に気がつく為のステップに焦点を当てて、これから徒然と書いていきたいと思います。


表紙


マリア様がみてる 36 ステップ (コバルト文庫)

マリア様がみてる 36 ステップ (コバルト文庫)


まず、この表紙。みなさん、書店で「あ、由乃ちゃんだ」って思いませんでしたか? 私は思いました。でも、中身を読んでみると、p11(実質の2ページ目)には、番外編の主人公が二人が三つ編みであり、表紙の彼女が由乃ちゃんで無いことが分かります。まずこれが巧妙。“あのこと”に気がつき、いつの段階で、ここで感じた「あ、由乃ちゃんだ」に思考を戻すことが出来るのか。それがこの物語の、アハ体験的物語でしたね。


ステップ1 漠然としたヒントのばら撒き


・三つ編み

・男性を交えた恋物語

剣道をやっている兄(p53)


まだ、ここでは決定的に疑いの目は向けられないと思います。つーか、ここで気がついたらむしろエスパーです。ただし、“バウンドケーキ”のくだりを覚えていたら話は別です。


「直方体のケーキで、中に干しぶどうとかそういう乾燥した果物みたいな物が入っている、クリームとかの飾りが付いていない――バウンドケーキ?」


今野緒雪マリア様がみてる「ステップ」:ステップ1p52

「バウンドケーキっていうのか、あれ」

パウンドケーキ


今野緒雪マリア様がみてるウァレンティーヌスの贈り物(前編)」:黄薔薇交錯p232


私は、“あのこと”に気がついてから、思い出しました。なんたる鈍感! ここは、ステップ1の決定的な気づきポイントです。



ステップ2 時系列の提示


谷中さん(p70)

・小寓寺の息子(p73)


谷中さんのくだりで、これが数十年前であることが判明します。これが大きなヒント。また、小寓寺の息子、つまり志摩子さんの父親が生きていることからも、昔のことだということが分かります。



ステップ3 ミスリード


・律の佳月への思い

・お祖母ちゃんから貰った土地(p125)(これ、この前に一箇所佳月パートであったよね)


このステップは、ガチ百合物語というミスリードです。このミスリードにひっかかってしまうと、とたんに“あのこと”の感度が鈍くなります。私は鈍くなりました。「うは、ガチ百合の物語やりだした」ってな感じで。くそぅ! 完全に手玉だぜ!



ステップ4 過去からみた未来の景色


九州修学旅行

・律が思い描いた未来


 私の夫と子供。佳月さんの夫と子供。二つの家族が、当たり前のように一緒の空間に存在する穏やかな未来――。


今野緒雪マリア様がみてる「ステップ」:ステップ4p52


「律が思い描いた未来」が決定的なヒント。私はここで、「あ、あーーーーー!!」ってな具合で、色んな点と点が線で結ばれていって、1人でテンションあがりまくってました。



ステップ5 ヒント丸出し


・佳月の徳への思い

・律の甲太への思い

・支倉徳(p179)


ここまで来ると全開にばらしてきます。ガチ百合物語ではないことや、支倉の性まで出してきます。



ステップ6 エピローグ


・二人で住む家

・道場


ステップ5まででほとんどの人が気がついているため、ひたすらニヤニヤするような要素を入れてきます。



あとがき ネタばらし


丁寧でおやさしい今野緒雪先生は、あとがきで答え合わせ的にネタをばらしてくれます。ただし、ここでも、直接的に「○○は○○の○だ!」と言わないのが好感が持てる姿勢だと感じました。気がつかせるというスタンスで初志一貫しているのですから。



むすび


マリア様がみているの、こういうトリックめいた構成大好き! 令ちゃんのお見合いの時とか。それに、今回は、「単体でも美味しいが、シリーズを把握している人はすっごく美味しい」という上遠野浩平先生作品みたいな味の付け方! 主人公二人の視点で進むって言うのもあわせて、めっちゃ好みだった! すっげぇ面白かったよ!



おまけ


f:id:karimikarimi:20101229154509j:image


おお! マリみて(つーかコバルト)なのにカバー裏に絵が入ってる!



おまけ2(追記)

最初のヒントが、プロローグにありますよ。六ページの後ろから三行目です。


ナナ公さん:コメント欄


いつもの序文にも伏線が!


もともと日常ミステリ的な趣向を入れてくることが多いシリーズで、解決しなかったネタが何巻か後でサラッとオチてたりするサジ加減は好きなんだけど、森博嗣今はもうない』ばりの大トリックが来るとは思ってなかった。


今野緒雪『マリア様がみてる ステップ』(コバルト文庫) - ドキドキ上海日記




<関連記事>

マリア様がみてる「私の巣」の感想 マリみてで描かれる家族の物語

マリア様がみてる「リトルホラーズ」の感想 奈々ちゃんかわいい

大好きな作品が終わった時の空虚感の話 マリア様がみてるハローグッバイを読んで