第22回障害者政策委員会

第22回障害者政策委員会が6月29日(月)13:30〜17:30開催されました。
四時間という長丁場で議論するのは、第三次障害者基本計画の
「7.安心・安全」
「8.差別の解消及び権利擁護の推進」
「9.行政サービス等における配慮」
「10.国際協力」
「11.推進体制」という五つの分野でした。


今回私が出した意見や質問は下記の通りです。
●「7.安心・安全」
7(1)1 防災基本計画等に基づき、
「障害者等支援が必要な人を交えた防災訓練の実施等」を促進し、
避難支援等の体制の整備に努めているとあります。
内閣府をふくめた各省庁は、同様な防災訓練等をどの程度行っているのか?
年間何回実施しているのか、一緒に参加する障害者等は何人いて、どのような種類の障害者か、
どのような方法で行っているのか、それらを公開することは国民にとっても参考となるはずです。
特に内閣府の4号館と、8号館は昨年2014年にできて二年目の運用となりますが、
障害者政策委員会が開催され、多くの障害者が訪れる場でもあり、
今このタイミングで災害が発生する可能性もゼロではありません。


7(1)5避難所について、障害女性の視点からも考えていく必要があります。
障害者基本計画の「横断的視点」があり、かつ、障害者基本法26条(防災および防犯)にも
「障害者の性別」について記載されていますが
障害者基本計画の「安心、安全」では記載されていません。
たとえば「避難所等における着替えやトイレ等障害のある女性に対する配慮」など
障害者女性の視点からモニタリングする必要があります。


7(2)2東日本大震災からの復興について
震災五年目になりますが、被災した障害者の実態把握はされていますか?
たとえば、被災した障害者について、地域別や性別による犠牲者数や、
被害の軽減に効果があった好事例や、震災から現在に至る障害者の生活状況、
仮設住宅や、県外避難などで生活する障害者についても、
その実態を改めて把握、検証し、公表していただきたい。

※「災害時要援護者の避難支援に関する検討会報告書」平成25年3月
内閣府が独自で行った検討会、障害者全体の実態がわかる数値データはない
http://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/youengosya/h24_kentoukai/index.html
⇒上記三つについては、出席されていた内閣府担当者によると
把握していない、東日本大震災で被災した障害者の実態調査もしていないとの回答でした。


7(3)2手話ができる警察官の交番等への配置とあるが、
実際には全国で何人くらい、どの地域にいるのか?
手話のレベルはどれくらいなのか?年間推移のデータはあるか?
警察庁の回答では、H27年4月時点で、16県、89人、40か所の交番にいるとのこと。
手話のレベルは資格保有者から講習を修了したものまで様々とのこと。



●「8.差別の解消及び権利擁護の推進」
8(2)-1
虐待防止法の最新の報告書では、虐待被害者のうち、
62.9%が女性であるという報告が出されており、女性の被害者が多いことが単純統計にある。
また、「障害者虐待防止法」には、虐待を発見した者は、市町村への「通報義務」があります。
しかし、医療機関・学校・保育所における虐待は、通報義務の対象とされていません。
障害がある女性の「複合差別実態調査」でも、医療機関、学校での虐待や暴力が
報告されているので、障害者権利条約第16条に対応できるよう、ジェンダー視点からの分析
女性に重点を置いた施策立案、支援を法令に記述する改正が必要。

厚生労働省からは、通報義務の対象外となっている
医療機関・学校・保育所からの虐待報告は0.2%程度との回答。(内部告発が難しいのかも)
この件については他の委員からも同様の指摘がありました。


●「9.行政サービス等における配慮」
9(4)1「国家資格に関する配慮等」は、
現在の「実施状況」のまとめられかたは、具体的な配慮内容とその実施数などの記載がない。
1、障害や必要な配慮を申告した受験者の人数と、障害別の内訳、
実際に試験でおこなった合理的配慮の内容、その件数、
そして免許交付数など、具体的に集計してきていますか?
数も見えるように集計していくことが、経過と課題を明らかにすることになります。
2、現在では、2001年まで欠格条項で門前払いされていた障害のある人が、
薬剤師、医師などの免許の交付を受けて就業している例があります。
それは国連にも報告できる進展といえますが、免許交付した障害者の人数や内訳を把握していますか?
⇒担当者把握しておらず、後日回答


●「11.推進体制」
障害者政策委員28名の中で障害のある女性は私を含め2名。
障害者権利条約の第34条には、委員会の構成について、
男女が衡平に代表されること並びに障害のある専門家の参加を考慮する、とある。
これを見ても、障害女性が足りていないことは明らかであり、
今後、検討していただきたい。
また、私はこれまで行われてきた全てのワーキングセッションに出席してきましたが、
横断的にモニタリングをするため、次回の政策委員会に、
「障害のある女性の課題」について専門的に取り組んできた方を
参考人として呼ぶことを提案したい。

※『2020年30%目標』(第三次男女共同参画計画・2010年12月閣議決定
社会のあらゆる分野において2020年までに、指導的地位に女性が占める割合を
少なくとも30%程度とする目標が立てられた
→障害のある構成員のうち30%は女性が占める必要がある。


●最後に、どの分野に対応するのか分からず追加で発言。
障害者権利条約23条、25条には、
「女性が安心して子を産み、育てることができる環境」について書かれている。
しかし障害者基本計画には対応する記述がありません。
権利条約に対応できる具体計画が必要です。

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以上が私が発言できたことですが
知的障害者等の同意なく不妊手術をすることが1996年まで合法とされていた
背景を考えても、こうした法律って、
いろんな部分で女性視点が抜け落ちているんですね。
これまでどちらかというと男性目線で進められてきた審議や議論に、
生活感のある女性が入ることで、少しでも視点を広げていきたいと思います。


母親って、家族の健康を第一に考え、命をはぐくむ存在です。
国政や法律に関わる政治家や偉いオジサンたちだって、
みーんな「お母さん」から生まれてきてるのにね。