Hatena::ブログ(Diary)

松森果林UD劇場〜聞こえない世界に移住して〜

2018-06-25 埋もれていた苦しみの向こう側

子どもがほしいか、私たちに聞いてほしかった」

手話通訳がいれば拒否できたのに」

聴覚障害ゆえに十分な説明を受けられず、不妊手術を強いられた人が70人という数字に絶句。

(全日本ろうあ連盟の調査による)


子を産み、育てるという喜びや未来を奪う。

本人の意思とは関係なしに。

1996年まで続いた優生保護法に基づく強制不妊手術。

その事実の重さには、たとえる言葉も見つかりません。


2015年の今日、こんな記事を投稿していました。

<2015-06-25 子を産むに値する人とそうでない人という区別 >

http://d.hatena.ne.jp/karinmatasumori/20150625


当時は内閣府障害者政策委員会委員として

この課題について広く知ってもらいたいと

DPI女性障害者ネットワークの皆さんから様々なことを学んだ時期。

障害者支援団体が繰り返し、国に謝罪と補償、実態調査を求めてきたこと。

国連女子差別撤廃委員会までもが日本政府に勧告を出していたこと。

長年にわたる地道な活動、そして訴訟



埋もれていた苦しみが少しずつ語られ始めています。

まだまだ氷山の一角かもしれません。

それでも。

被害者本人の声ほど、人の心を動かし、共感を生むものはないと思います。

ひとつひとつの声に耳をかたむけ、言葉にならない思いをくみ取り

対話を重ね、救済に繋げていくことはできるはずです。

まずは知ることから。


以下はそんな語りの一例です。

不妊手術の悔しさ、手記や映像に残すろう者たち(朝日デジタル2018/03/16)

https://www.asahi.com/articles/ASL3H7F0GL3HUBQU029.html

手話通訳いれば拒否できた」 聴覚障害者への強制不妊(朝日デジタル2018/06/09)

https://www.asahi.com/articles/ASL6953Q5L69PTFC002.html

「悔しい」手話で訴え 聴覚障害者6人会見(毎日新聞2018/06/09)

https://mainichi.jp/articles/20180610/k00/00m/040/070000c

2017-12-27 羽田空港の「手話フォン」

手話で通話できる公衆電話ボックス「手話フォン」を試してみました。


12月3日、国内ではじめて羽田空港国内線第1、2旅客ターミナル出発ロビーに設置されたものです。

公衆電話より一回り大きめで、使い方はいたってシンプル。

相手先の電話番号を押すと、画面に映るオペレーターが手話で電話をつないでくれるので

ほぼリアルタイムで電話ができるのです。

公衆の電話リレーサービスですね。

利用料は無料で、時間は午前8時〜午後9時まで。

一緒に仕事をしている空港関係者に、羽田空港から電話をする私。

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空港という場所ですから

爆弾低気圧で全便欠航のため宿泊先をキャンセルしなくてはならない」といったときなど、活用できそうです。


この「電話リレーサービス」は私は日常生活で利用しています。

スマホやパソコンで、チャットLINE手話で電話をつなぐサービスで

日本財団が2013年から開始し、現在契約している聴覚障害者は5000人以上だそうです。

今では日常生活のほとんどがスマホひとつで事足りるのですが

美容院や病院、レストランなどの予約はもちろん

キャンセルなど急ぎの時、子ども保育園や学校への連絡など

電話が必要なこともあります。


実は電話って、日本で唯一聴覚障害者がアクセスできないインフラなのです。

日本で聴覚障害者が電話ができないのは常識のように思われ

職場でも電話が必要のない仕事や部署へという「配慮」がされることもあります。

「電話お願い手帳」などというものもありました。

電話に関しては「お願いします」「ありがとう」の繰り返しで

自立には程遠いと感じていました。

しかし、電話リレーサービスの委員会に関わり

海外では20か国以上で公的なサービスとして利用され

24時間無料で提供されている国も多いと知って驚いたものです。


今回設置された「手話フォン」が従来の「電話リレーサービス」と違うところは何かというと

「公衆」であることに加え、手段が「手話」に限られていることもあげられるでしょう。

電話リレーサービスは、手話の他、即時性のあるチャットLINEでの対応も選べるのですが

手話フォンは、現時点では手話対応のみです。


実は、聴覚障害者の中には手話ができない人も多くいます。

手話は分かるけれど、リアルタイムの会話では難しいという人もいます。

同じ聴覚障害者でも

文字での対応を望む難聴者が多くいるニーズにどう対応していくのか、今後が楽しみです。


公共性の高い場所では、設置するだけでなく

当事者が実際に利用し、使いやすいかどうかを検証し

有効性と必要性を示していく必要があります。

利用する人がいなければ、なくなる可能性もあります。

また、当事者とひとことで言っても、

ろう者もいれば難聴者もおり、

その中でも子ども高齢者車いすユーザー、外国人など多種多様な聞こえない・聞こえにくい人がいるわけです。

できる限り多くの当事者が検証する場と

そこで出された課題を改善につなげていくスパイラルアップを繰り返すことが重要です。


2020年オリンピックパラリンピックに向けて

手話が分かる人も分からない人も、外国から来たろう者難聴者も

あらゆる人が「気軽に電話にアクセスできる」そんな日本が楽しみ!

今年は仕事で月に何度も羽田空港に行っているので行くたびにチェックです。

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hirohiro 2017/12/27 23:12 ハンデがあっても住みやすい社会でありますように。

石井靖乃石井靖乃 2017/12/29 10:10 電話のバリアフリー化に向けてこれからも頑張ります。どうぞ、よろしくお願いします!

2017-11-07 東京国際映画祭ろうの俳優が出演する「スヴェタ」

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東京国際映画祭で、ろうの男女俳優が演じる「スヴェタ」を観てきました。

上映後にロシアの監督と夫婦役を演じたラウラ・コロリョヴァさん、ロマン・リスツォフさんのトークショーに、手話通訳がつくとのこと、これはいかねば!と。


会場のあらゆるところに、筆談や手話で対応できるスタッフがおりました。

案内の貼り紙も分かりやすく、隅々まで配慮を感じます。

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映画は全編を通して手話での会話なので、英語字幕と日本語字幕付き。

おそらく手話で激しく夫婦喧嘩している様子も

ほとんど音声はなかったのでは。

生きるために手段を選ばないスヴェタ、そこまでしちゃうの?!

と戦慄を覚えつつも、最後に孤児に対して


「生きるために強くなりなさい。

 何があっても絶対諦めないこと。」


と強く諭す一言には涙。

観客に共感を求めず淡々と進む世界観、みんなで感想を語り合いたくなる作品でした。

さて、くだんの手話通訳付きトークショーについて。


上映後、主催者側が「手話通訳が見やすい席へどうぞ!」と

パネルを掲げて案内してくれたので

前の席に移動することができました。



すぐ目の前に美美男美女のお二人と、監督、司会者、そして中央に手話通訳の森本行雄さん。

日本語、ロシア語、英語、日本の手話とリレー通訳。

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日本の聴覚障害者たちは手話通訳を見るのですが、

ろう俳優二人に対しては、

監督が時々筆談で伝えるのみ。

「伝わらない」ことに敏感な私たちは、

その場にいた数名が機転を利かせて

「日本の手話を読み取って国際手話で通訳」をするという状況に。


そこで、質疑応答のときに

映画が素晴らしかったという感想に加えて、

「今の状況」についての要望を尋ねてみました。


まず監督からは

「事務局側はぎりぎりまで出来る限りの対応をしてくれた」という感謝の言葉。


次に主役のおふたりからは

「国際映画祭だから国際手話があると良かった」という率直な一言がありました。


更にそれを受けた司会であり映画祭ディレクターの矢田部さんは

「今回は初めての試みであり、日本の手話通訳をつけることができたが

 国際手話も必要だったと思う。今後の課題とし次につなげたい。」


と真摯に応えてくださったことにとても感銘を受けました。

「次につなげる」これが大事です。

初めから完璧にできたら理想的ですが

仕事とは多様な人々の関係性の中で進められるものです。


そもそも、今回のきっかけは

手話通訳士森本行雄さんの知人でヨコハマフットボール映画祭の福島成人さんから

ろう者が出演する作品が上映され、トークショーもあるので

手話通訳をつけたいがどうすれば良いか?」という相談があったこと。

このことを知った聴覚障害当事者からも「情報保障をつけてほしい」と要望があったことです。


福島さんの「気付きの感性」も素晴らしいですし

要望を出した当事者の働きかけも素晴らしい。


そこから国際映画祭事務局と廣川麻子さんが理事長をつとめる「TA-net」と

何度となく打ち合わせの場を持ったプロセスを聞きました。

準備期間が短い中で、他にも沢山の作品の対応もある中

矢田部さんをはじめとする事務局の皆さんの真摯な対応を思うと頭が下がります。

それは、映画祭会場の至る所で文字情報や手話での対応に満ちていたことからも

良く伝わってきました。


やってみて初めてわかること、

それを次につなげて

より良いものにしていくスパイラルアップ。

前向きで建設的な終わり方は、来年への楽しみを大きくしてくれます。

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2017-10-15 デスパの会in作並温泉with J

いつものように、東京駅ワインショップに集合。

3本購入。

「これは新幹線で飲む泡、これは部屋用、これは朝用」

朝からこんな会話の「デスパの会」。

毎年恒例、大学からの女友達三人酒と温泉三昧旅行です。

新幹線、シャンパンなので栓が飛ばないように万難を排しての開栓。

栓が勢いよく飛んで前方に座る乗客の弁当にホールインワン!

などと妄想爆笑し乾杯にたどり着くまでが長い私たち。

モエの夏季限定ラベルにハムやチーズを並べて豪華列車並み。

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グランクラスに負けてなるものか!と勢い余って私の手が滑る。

三人掛けの真ん中に座るK嬢の股間にシャンパン直撃。ゴメン!

おかげで仙台につくまで、シャンパンの香りに包まれ優雅な時間でした。


今回の行き先は宮城県作並温泉。

昨年、「デスパin蔵王」で道案内をしてくれたレーサー ジョー・マツザキから作並温泉がおススメだと聞いていた。

「泊まるならどこがいい?」

「広瀬川源流露天風呂の一の坊かな」

彼が言うなら確かだと、他は全く見ずに即予約。


話を戻して仙台駅到着。

もちろん、プランなんて何もないので案内所に直行。

宿までの送迎バスが来るまでの二時間を

「牛たん発祥の店、味太助で食べて、いろは横丁散策など楽しいですよ!」

とプランをもらう。


シャンパンからのビールと牛たんで乾杯。

ほろ酔い気分でいろは横丁を堪能。

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笹かまぼこの顔ハメ看板にハマって時間を忘れそうに。

(プライバシー保護のため写真は割愛)

充分仙台を満喫しこのまま帰ってしまいそうな満足感。

何とか宿への送迎バスに乗り込み、直後私とN嬢はスコンと眠りに堕ちた。

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まだ旅の序盤なのにはしゃぎ過ぎ。


一の坊の温泉は広瀬川と一続きになっているような絶景。

川には魚が静かに泳いでいるし、

すこーし紅葉してきた緑もいい。

自然の中でぬっくりしながら、夕飯までの約三時間を露天で過ごしていたのではないか。

手話で話す指先がシワシワだ。


温泉から戻る途中「温泉卓球の間」が。

恐る恐る開けてみると大広間に卓球台がふたつ。

「いいね〜卓球やろう!」とラケットを手に取る。


「しゃもじかよ!」

「スリッパかよ!」


そう、並んでいるのはラケットのほかに大小しゃもじとスリッパ。

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ここ一の坊だよね?

リゾート温泉だよね?

一秒後にはそんな疑問は消え去り、

スリッパやしゃもじを片手に浴衣の腕をまくって白熱の試合を展開させているデスパ達。

やっていることは卓球なのに、スリッパやしゃもじに変えるだけでこんなに可笑しいなんて!

(プライバシー保護のため写真は割愛…)

こんなテンションのまま、ロビーでホテルスタッフによる「スズメ踊り」鑑賞。

スズメ踊りっていうから、可愛らしい踊りかと思ったら

躍動感あふれるかなりハードな踊り!

お客さん参加型で私たちも前に引っ張り出され

両手にうちわ持ってレクチャーが始まった。

「わたしたち聞こえないんですけど…」そんなスズメの叫びは届くはずもなく。

見よう見まねで踊るものの、その姿はまさにその辺にいるスズメのようで。


スズメ踊りのおかげかぐっすり眠り、起床後温泉、朝食後にスパークリングで乾杯。

食べる→飲む→温泉→寝る→起きる→温泉→食べる→飲むという堕落のデスパコース。

ここにあるのは解放感だけだ。

「あと30分もあるしね!」とゲラゲラ笑う堕落のデスパに一通のメールが。

「間もなく到着!」とレーサーマツザキ。

「ええ!あと30分しかないじゃん!」と一気に堕落の底からの覚醒。

そう、2日目は昨年同様レーサーマツザキがガイドをして下さるのです。


颯爽と現れたレーサーマツザキ、

新車でのお迎えでした。

今年もお世話になります!

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さっきまで呑んでいたのに早速イタリアンランチ。

お言葉に甘えて、ビールとワインで乾杯。またか!


昨年以上にスムーズにまるでワープしているかのように移動する車の便利な最新機能が超面白い。

VRのように映像が浮かび上がったり、

ブルブル振動で教えてくれたり暗くても手話が見えるようにライティングも完璧。

どんなときでもUDチェックをしてしまう。

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聴覚障害者のための車では?」って思うくらいの機能。

「いやレーサーマツザキのための車でしょ!」

「これはボンドカーだな!!飛ぶかもよ!!」

と勝手に盛り上がる。


ボンドカーの乗り心地がよほど良かったのか、K嬢もN嬢もあっけなく後部座席で爆睡。

着いたところは秋保大滝。

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初秋の爽やかな風の中、ボンドいやレーサーマツザキが猿のように軽やかに岩を昇り降りし、

滝つぼの近くで写真を撮っているのを眺めていた。

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すると同じ場所に行こうとした若い男性が、

途中の岩場で滑落。

写真撮影をするレーサーマツザキのすぐ後ろで3メートルくらいずるずる滑り落ちていくのを目撃。

幸い無事だったものの、滝つぼの近くだから叫んでも誰も気付かないシュールな光景。

水の近くではホント気を付けないと。

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マイナスイオンをたっぷり浴びた我々は、再びボンドカーにてドライブ。

酒ではなくて美味しい珈琲が飲みたいというと、広瀬川を眺めるテラスのあるカフェにボンドカーはひとっとび!

沈む夕日を眺めながら、

そうかこの広瀬川、今朝まで浸かりまくっていた山の中の作並温泉から流れ流れて繋がっているんだな。

もしかしたら私たちの流した汗も垢もこちらに流れ着いているのかもしれない‥‥

と思わぬ所での繋がりに哀愁たっぷりの仙台の夕暮れ。

こうして幕を閉じた「デスパin作並温泉with J」。

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いつも奔放なデスパに付き合ってくださるレーサー ジョー・マツザキに感謝。

そんな彼は宮城教育大学の先生。

様々な障害のある子どもへの支援教育の研究と実践を長年積み重ねてこられた教育、

心理分野の大学教員では唯一のろう者であり

デスパとは真逆の世界にいることを本人の名誉のために記しておく。

(でも世界はひとつ)

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そんな世界のマツザキを指一本で持ち上げるN嬢。


2016年デスパin蔵王温泉の記事はコチラ。

http://d.hatena.ne.jp/karinmatasumori/20160811

http://d.hatena.ne.jp/karinmatasumori/20160816

2017-08-02 ダイアログ・イン・サイレンス開催!

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「ダイアログ・イン・サイレンス」

言葉の壁を超えて人はもっと自由になる。

音を遮断し、声を出さず、手話も使わず

90分間様々な体験をするツアーです。

できるの??

できるのです。

想像を超えた静かな衝撃でした。


発案者のハイネッケ博士と、オーナさん、

研修講師にイスラエルろう者のタリとゴラン、

彼らの通訳者ダナを迎え

最低6カ国の多言語と異文化がまざりあう濃密な10日間の研修を終えました。

ヘブライ語、英語、日本語、イスラエルの手話、国際手話、日本手話

ボディランゲージ、あらゆる言語が飛び交う現場、そこにはバリアなどなくて。


7月31日、5年間の準備を経た

「ダイアログ・イン・サイレンス」記者会見がひらかれ

オープニングパーティーを開催。


言語に頼らないエキスパートである、

聴覚障害のアテンド達も紹介されました。

このメンバーでできて本当に良かったとしみじみと思っては涙涙。

10日間ほぼ不在の私を支えてくれた家族をはじめ、

すべてのひとへの「ありがとう」の気持ちで溢れまくっていた一日でした。

ここまで導いてくれた志村真介さんと季世恵さんが、時々仙人のように見えるのです。

人との出逢いって、本当に素敵。


静けさの中の対話

ダイアログ・イン・サイレンス

http://dialogue-in-silence.jp/

チケットは満席ですが、当日券が少しあるとのこと。

沢山の方の体験をお待ちしております。

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