とれいん工房の汽車旅12ヵ月 Twitter

鉄道関係の時事ネタを紹介するブログです。趣味の外縁部に転がっている、生活には役に立たない情報を中心に語ります。廃線、未成線、LRT、鉄道史、遊覧鉄道、鉄道マニア、鉄道本書評、海外の鉄道、マンガ、アニメ...etc。 「鉄道未成線を歩くvol.8 東京の新線構想2030」など同人誌を書泉グランデで販売中。

2007-06-21

katamachi2007-06-21

[]国鉄分割民営化の時の鉄道マニアを想う

 旧国鉄→JRと引き継がれてきた労使問題に絡むあれこれは、鉄道マニアにとって、アンタッチャブル存在であり続けた。

 国鉄の経営危機、そして分割民営化問題が世情を賑わし始めたのは80年代になってからのことである。70年代には国鉄の各労働組合に対するシンパシー国民の中にも少なからずあったと思われるが、スト権ストや順法闘争、あるいは背後にある団体の存在マイナスに働き、次第に彼らへの反発の声が高まってくる。"たるみ国鉄追求キャンペーン"なんかの影響もあっただろう。日本国有鉄道総裁だった高木文雄1983年に、続く仁杉巌も1985年に相次いでその座を追われたことで潮目は変わってしまった。

国鉄分割民営化問題に関心を示した一部のマニアたち

 20年経った今からすれば「分割民営化は正しかったんだ」なんてコメントもできるだろう。あるいは20兆円を超える長期債務が現在においても返済できていない点、切り捨てられたヒトやモノに対する配慮のなさを指して失敗だったとも指弾できよう。でも、あの当時、政府人間も国鉄幹部も各組合国民も、その先行きがどうなるのか誰もイメージできていなかった。なにか成り行き任せで物事が全て決まっていったような気もする。

 こうした国鉄を取り巻く激動の流れに対して、鉄道趣味人たちは黙殺を続ける。労組側の立場から国鉄分割民営化反対の論陣を張った書籍はたくさん出たがそのほとんどは"そっちの方面のヒト"によるものだった。種村直樹が「鉄道ジャーナル」のレイルウェイレビュー国労大会に参加したことを書いたのと、松尾定行労組ベッタリの本を出したのが目立ったぐらいで、同誌を含めた趣味誌はその課題や問題点について何も言及していない。そりゃあそうだろう。取材対象の気分を害するようなことを書けるはずもない。

 正直、こちらとしては前近代的な遺物の象徴とも言えた国鉄のローカル線に乗って旅を楽しんだり、古めかしい車両を撮りに行くことが目的であっただけで、なにか高邁な理念や期待を抱いて国鉄を利用していたわけではない。当事者でもないのにややこしい事情に首を突っこむのはヤボだ。

 当時のここらの気分については、

「発想が、私などの鉄道ファン鉄道利用者とは次元を異にするのである。納税者(国民)と受益者(国鉄利用者)とのちがいと言える」

汽車との散歩

汽車との散歩

と言い切ってくれた、宮脇俊三鉄道ファンの言い分」(「汽車との散歩」所載)が参考になる。

 一方で、ごくわずか、たぶん消費税と同じ5%ぐらいだと思うけど、国鉄問題に積極的関心を示すマニアもいた。「国民の足、そして労働者の権利を守るためにも国鉄を分割民営化してはならない!」というのがその大まかな主張。国鉄の各労組大会に参加したり、反対派の本を読んだり、ついには某極左系の団体にも手を出したりして、彼らなりの"独自の戦い"を展開していった。先ほど、種村の友の会の機関誌をパラパラ見ていたら、「分割民営化阻止」の署名を求める会員からの投書があったり、民営化に難色を示す種村についていけないと退会する会員がいたりして、ご本尊が苦言を呈している記事を見つけた。かく言う私も、中学生の時、塾の帰りに中之島公園へ立ち寄って集会を見物し、あの伝説の"国労ラーメン"を山ほど買ってきたりもした*1

 どこまで真剣にそうしたことを考えていたのか、個別の事情は知らない。当時、宮脇や種村の影響でローカル線ブームが若い層で流行っていた。また「ジャーナル」誌の"社会派路線"に刺激されて鉄道経営なんかに関心を持つ連中も少なくなかった。「自分たちの愛するローカル線(あるいは旧型車両)が淘汰されていくのはイヤだ」→「その根源は国鉄解体論にあり。なんとしても現在組織を維持せねばならない」......なんて構図が一部のマニアの中に渦巻いていたのだろうと思う。なんとなく、最近の"ネット右翼"と呼ばれる人たちの思考回路と似通っているような気がしないわけでもないのだけど、それはまた別の話。

 1987年4月にJRが発足して、バブル景気もあって好業績を記録し始めると、誰もが旧国鉄系労組のことを忘れてしまう。代わりに彼らが辿り着いたのが、通勤電車とかその類についての"鉄道評論"の世界。そう。現在川島マニア(アンチも含む)の起源はここにあったわけだ。そして、マニアたちは、「鉄道会社経営判断して行う施策に対し、必要以上に反対してみせるのは無意味だ」ということを学習した。この手の話には極力触れないでおこう......というオトナの態度を見せるようになった。だから、原武史が「鉄道ひとつばなし 2 (講談社現代新書)」p.245で「JR四社のなおざりな姿勢こそが、厳しく問われなければならない。」、「連帯して抗議の表明をするべきである。」なんてオバカなコメントしているのを見ても、苦笑いしかできないのである。

短いコメント

 前段が長すぎた。

 本日西岡研介の「マングローブ テロリストに乗っ取られたJR東日本真実」(講談社)を読了

マングローブ―テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実

マングローブ―テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実

 「週刊現代」で行われていた連載は断片的に読んでいたけど、2006年6月から半年にわたって続いていたため忘れているエピソードも多かった。それが一冊にまとまったためようやく全体像が理解できました。興味深かったです。内容的には過去に様々なメディアで報じられていたことの延長線上であり、目新しいものはない。それは、p.344の「ときわクラブ」という大手紙鉄道担当記者クラブに在籍するベテラン記者の言うとおりです。少々時代がかった古めかしいネタだったからか、筆者の意気込みの割には話題を呼ばなかったような気もします。キーワードで検索してみても、関係者以外で本連載についてコメントしているブログやHP、掲示板は意外に少ない。でも、関係する諸問題が多面的かつ丁寧に調べられてあるし、問題があるとされる関係者に対する突撃取材も一応、試みられている。なにより超メジャー出版社の週刊誌での連載というのが強みである。

 この西岡という著者、どこかで聞いた名前だと思っていたら、もと「噂の真相」の名物記者だった方なんですね。「則定衛東京高検検事長の女性スキャンダル」とか「森喜朗首相買春検挙報道」とかを担当した方だったと。だからなのか情報ソース公安関係者筋からのものが多いんですよね。あるいは、パージされて当該労組から離れた対立グループ人間とか。「対向電車からのパッシング」とか衝撃的な話もありますが、内部からの告発がJRの現役最高幹部"A氏"だけというのがちょいと寂しい。せめて国鉄時代のしがらみからは自由な"はず"の現場の若手の声なんかを拾っていくと、深みの出るエピソードが出てきたかもしれない。そこらがこの本の物足りないところですね。いろいろ取材が難しかったというのは本文を読んでいると十二分に理解できますが…… 彼のスタンスには賛否あろうと思いますが、とりあえず"買い"だと思います。さっきJR東日本のHPを見たら、6月22日金曜日、すなわち明日、東京ホテルニューオータニ定時株主総会が行われるとか。もしかしたら注目の一日になるのかもしれません。

 この本に絡んでの動きを下にまとめておきます。検索エンジン一つで対立するグループ意見等価値になってしまう。その是非を判断するのは観客次第。ネットの威力って凄いもんです。

講談社のHPの紹介記事

テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実労組関係者による記事のまとめ

JR連合政策News 69号「JRへの革マル派浸透と安全問題で講演受ける」

JR東日本はテロリストに乗っ取られたのか 反権力闘争の総会屋の顔

「週刊現代」の中吊り広告 JR東日本が拒否

JR東労組を良くする会

佐藤委員長の詫び状を撤回しその困難を乗り越える闘いへ

全日本鉄道労働組合総連合会・東日本旅客鉄道労働組合「「週刊現代」提訴にあたって」

えん罪JR浦和電車区事件を支援する会鈴木宗男とのコンビで話題となった外務省佐藤優の激励コメントあり。ジャーナリスト・西岡研介氏講演を聞いても参照。

JR総連「えん罪JR浦和電車区事件」

警察庁よ、守秘義務違反の 南 隆(公安一課長)をこのまま放っといていいのか

*1関西人にはあまり馴染みのなかった、とんこつ味。我が家人間の舌には全くあわず、買ってきた私が全責任を持って食べねばならなかった。その影響で、とんこつラーメンは大の苦手です。今でも、こくろうラーメンとして販売しているようですが、僕が20数年前に食べたのとは別物か……

だるま弁当だるま弁当 2007/06/25 19:18 国鉄分割民営化当時の社会に生きた者より。
たしかに、あの時代は「多様な文化」なんてなかった。革新政党が上のものの言うことは絶対という主義であることに気づいたこともあります。
趣味人同士も労働組合の糾弾、あるいは政府の糾弾。でも鉄道に勤める人間は「労働者である」ことは事実です。
友の会もめちゃくちゃでした。労働者のため戦うとか、利潤追求は当然とか。イデオロギーのぶつかり合いで何も生まれない状況です。
私は中立的にしようと思っていました。でもそのとき左翼系の会員が本を作りました。一応買いましたが、国労員で首になった人に「効果があったと思うよ」という手紙を出しています。人権よりイデオロギーが組織というものと確信しました。
私は思いますが「○○系」とか「▲▲マニア」という人はみんなネット右翼と同レベルと考えています。自分の主義が絶対、対立軸を罵倒して倒すことのみ考える。左側も右側も同じです。
尼崎のとき川島派とアンチ川島が対立しました。しかし川島が眉唾物であることがマスコミには気づいていないということも広まる結果になりました。
今、鉄道のことを考えると胸に団子がつかえたような気分になります。決して嫌いなものではない、しかし鉄道の存在意義はイデオロギーではない・・・。
私は「当事者が一番物事を知っている」と考えています。外野(マスコミ、評論家、政治家、学者、趣味人etc・・・は本当のことを体験せずに紙に書いた理論プラスイデオロギーで動いていると考えます。しかもリテラシーのない人は「知識人だから」と信じ込みます。あるある大辞典などの雑学番組と同じですね。捏造があってもお人よしは疑わないのです。
最後に、分割民営化をするなら5年くらいかけて各方面からさまざまな知識を集め、ぬかりのないプランをたてなければならない細かく厳しい問題と思っています。尼崎が教訓とすべきものはいろいろあります。労使関係、軌道の構造、車両、マスコミと評論家の信用度・・・イデオロギーや罵倒で解決するものではないでしょう。

katamachikatamachi 2007/06/26 00:07 コメントありがとうございます。鉄道マニアが国鉄問題について言及するのは正直難しい。いろんな感情をそこにこめてしまうからです。ですので、必要以上に長い前振りを付けてみたんです。

自分の中学生の時を思い出します。

新聞で読んでいる限り、国鉄改革の在り方が違うなあと思い、反対派・賛成派、様々な本を読んで、自分の頭の中で理論武装しようと試みました。自分の好きな国鉄が解体されようとする、それに対し、ある意味で、自分のアイデンティティーが揺るがれそうになったと感じたわけです。幸か不幸か、周囲には鉄道マニアは一人もおらず、ネットなんてのもなかったので、その恥ずかしいポエムのような妄想を披露する場はどこにもありませんでしたが。そうした混乱した頭を整理してくれたのが、上で述べた宮脇の本だったわけです。そして、高校で会った多様な考えを持つ仲間だったわけです。

14歳だった当時を思い返すと以下のような結論に達しました。

国鉄を、利用者の足を守らなけりゃ……と意気込んでいました。でも、それって鉄道マニアとして自分の好きな鉄道を守ろうとしただけに過ぎない。自分の好きな「国鉄」、言い換えると国鉄が好きな「自分」を守っているだけでしかなかった。そんな自己愛って、どこかカッコワルイ。あの頃の俺って、鉄道を論じることで自己満足していたんだ……と。

私が、当時の組合好き鉄道マニアが、ネット右翼と「思考回路と似通っているような気がしないわけでもない」と書いたのは、あのときの自分を思い出したからです。もしかしたら、ご指摘されている尼崎の話も、そうしたのと関係があるのかなと思ったりもしました。「国鉄」というキーワードを、「国家」とか「安全」とか「JR」とかと置き換えればいいだけですから。

急行宝塚行急行宝塚行 2008/03/09 21:23 僕はトンコツラーメンに醤油を入れて無理矢理トンコツ醤油にしています。これが結構おいしい。

・・・高校の食堂でのお話です。
決して街中のラーメン屋ではしてません。(汗)

急行宝塚行急行宝塚行 2008/03/09 21:42  本題を言うと、僕はまず職員の意識改革が先だと思います。なんでもかんでも民営化するのには、反対です。
 国鉄はとんでもなく労組が強かった。とはいえ、それを潰して政敵社会党のパワーが弱まるなら、分割民営化でも何でもしてよかったのでしょうか?
 僕は今高1です。こんな奴が国鉄を語るなんて若いすぎるのとちゃうか、と思います。とはいえ、なんでもかんでも民営化するのはおかしくないか? とも思っています。
 民営化後、赤字路線の切捨てが続出しました。国鉄時代に造りすぎたのが一番の問題ですが、会社によって赤字路線への対応が違うことも問題だと思います。
 今大阪では、大阪市営地下鉄の民営化問題が焦点になっていますが、市営交通は民営化すべきではないと僕は思っています。理由は大阪市民のために地下鉄やバスがあるのと、赤字覚悟でインフラ整備を行えるのは市の他にないからです。 同じことは国鉄にも言えるのではないのでしょうか?

katamachikatamachi 2008/03/10 10:53 コメントありがとうございます。

>僕は今高1です。こんな奴が国鉄を語るなんて若いすぎるのとちゃうか

高校一年生ですか……私だと20年以上前のことです。

国鉄の件でも、大阪市営地下鉄の件でも、なかなか簡単に民営化賛成、反対とは言いにくいところがあります。国有鉄道や市営鉄道であるが故に、政治の鉄道経営に対する介入を防げなかったという側面は否めません。赤字覚悟でインフラ整備を行うというのも悪くはないのですが、体力以上のことをやってしまうと、様々な問題が将来に積み残されてしまう。一方、市民や国民の福祉についても目を向かなければならない。

もし機会があったら、納税者の立場で、通勤者の立場で、中央官庁の立場で、鉄道事業者の立場で、財務担当者の立場で……etc、いろんな視点から、いろんなスタンスから鉄道を見つめ直すという作業をしてみるのもいいかもしれません。

鉄子の部屋鉄子の部屋 2011/12/23 18:30 国労ラーメン懐かしいwww
私が食べたのは「国労がんこもんラーメン」という商品名?でした。
醤油味で、動労千葉経由だったので、関東風バージョンが存在したのかもしれません。
スープはごく普通でしたが、麺にコシが無くヘナヘナだったのが、いただけませんでした。
「闘うラーメン」なら、極太でコシの強い麺であるべきだ、というのが食後の感想でした。
以上、私と「国労ラーメン」の思い出でした。終わり。

鉄子の部屋鉄子の部屋 2011/12/23 18:35 その他、動労千葉の物販で、キューブチーズやアーモンドおかきなど、お菓子がいろいろ売られていましたね。
「酒のつまみ系お菓子」が多かった印象ですwww
お菓子系はかなり美味しかったです。
しかしあの手の支援物販、どれだけ売れたんですかね??

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