いまなんだか「鉄道ファン」HPの「鉄道ニュース」が興味深い

katamachi2008-03-25

 毎月21日は鉄道雑誌の発売日である。それには遅れたけど、昨日、「鉄道ピクトリアル 2008年 05月号 [雑誌]」と「鉄道ジャーナル 2008年 05月号 [雑誌]」を購入してきた。「ジャーナル」の500系特集は興味深く拝見したけど、なんで再録ページもあるんだろ。最近、中身が薄くなったような気がする。2年前の5月号と比べると、目次欄にある「編集スタッフ」が6人から4人に減っている。編集長交代、「旅と鉄道」月刊化の影響もあるのだろうか。まあ、それは今日の本題ではない。
 さて、かつて、鉄道マニアにとって、鉄道趣味誌を買う最大の楽しみは、各誌に載せられている鉄道関係のニュース欄だった。「ファン」だと「POST」欄、「ジャーナル」だと「RAILWAY TOPICS」、「ピクトリアル」だと「鉄道の話題」欄、「レールマガジン」だと「ニューススクランブル」、「ダイヤ情報」だと……買ったことがないので分からないが後ろの方にニュースなページがあったと思う。

むかし鉄道趣味誌を買うと、真っ先にニュース欄を見たものでした

 僕は「RP」と「RJ」の二誌しか買っていないが、他の雑誌でも、そうしたニュース欄だけは、毎月、ある程度は立ち読みすることにしていた。ここが一番充実していたのは「交通趣味」だった。地方新聞の記事をそのままコピーして掲載という、今から思うと著作権的にきわどい方法を使っていたのだけど、それはそれで重宝していた。
 もちろん特集記事が自分に興味があるのかどうかというのも雑誌を選択する基準にはなったが、買ってきて紙袋を開いたとき、いの一番にチェックするのはやっぱりニュース欄。
 ほんの10年ほど前まで、僕らがタイムリーな鉄道情報を手に入れる手段としては、口コミと新聞をのぞけば、鉄道雑誌ぐらいしかなかったからだ。
 僕はこれまで一度も鉄道趣味誌に記事を投稿したことはない。なので投稿者としての視点はよく分からないが、読者として見ている限り、一番洗練されていたのはRJ誌の「RAILWAY TOPICS」だったと思う。特に1991年のリニューアル以降、格段に良くなった。一方、「ファン」誌の「POST」欄は情報量が多いにもかかわらず、写真の出来、記事のセレクト、文章の善し悪し、情報の貴重さ……とかを踏まえると、正直、微妙な感じがした。
 それが90年代後半になつて、パソコン通信、そしてネットの普及で様相が変わり出す。鉄道各社が自分のホームページでプレスリリース文をアップしてくれるようになると、電話回線とパソコンを繋げている全ての鉄道マニアが最新の情報をただで入手することができるようになった。
 そうなると、雑誌を出している会社としてもツラくなってくる。鉄道趣味誌のニュース欄を見ても、すでに各社のホームページやYahoo!ニュース、あるいは掲示板やブログなどで閲覧済の情報ばかり。そうした即時性のある媒体との差別化を図るのが難しくなった。RJ誌はニュース欄を自社取材にしたことで情報量が少なくなった。RP誌は相も変わらず同じ名前のベテラン投稿者が優先されている。これではネットの即時性に対抗しづらい。

あらゆる情報が満載の「鉄道ファン」誌HPの「鉄道ニュース」は今どき貴重です

 で、いま興味を持っているのが「鉄道ファン」誌ホームページの「鉄道ニュース」というページ。
http://railf.jp/news/
 同誌の「POST」欄と連動した企画で、ここでアップされた写真のうち、一部は本誌にも掲載される可能性があるという。

鉄道ファン 2008年 05月号 [雑誌]

鉄道ファン 2008年 05月号 [雑誌]

 このHPのサイト。ただ、読者*1から投稿のあった、鉄道マニアが喜びそうな鉄道車両のデジタル画像がひたすら続いているだけなのだけど、非常に興味深く閲覧させてもらっている。昨年秋からスタートし(http://railf.jp/news/999/)、いまではかなりのコンテンツに仕上がっている。「はてなアンテナ」に入れて、できるだけ毎日閲覧するようにしている。
 僕は、鉄道旅行派で鉄道写真を撮らない人だったし、今でもさほど車両や撮影に興味はない。ただ、

  • とにかくJR、大手私鉄、ローカルを問わず、国内全ての鉄道に関する情報が網羅されている
  • 更新の頻度も週に4〜5回と多くて、情報がタイムリ
  • 全てのフォームが統一されていて、かつ余計な飾りも少なく、貼付されている文章も長くて100字程度

というバランスの良さがいい。
 国鉄分割民営化の前あたりから鉄道マニアの趣向が細分化されてきて、今ではジャンルが広く深く拡散してしまい、なかなか自分の守備範囲外のモノに目を向ける余裕がなくなってきた。鉄系のホームページも、ブログも、それぞれ対象を絞り込んでいる。書く方としては、専門化した方がいろんな意味でラクである。閲覧する方としても、内容が狭く洗練されている方が見やすい。当然と言えば当然の話。で、それは鉄道趣味に限った話ではない。
 そんな中、「ファン」誌の「鉄道ニュース」というページは、特定分野に偏らず、あらゆる情報を閲覧でき、そしてシンプルだというのが有り難い。(車両に関しては)オールジャンルOK......というスタンスは貴重である。やっぱり鉄道趣味の本流は、彼ら車両派&写真派なのだから。
 そのお陰で、本来、自分の興味がない会社や車両の話も目に飛び込んでくる。ついつい視野が狭くなりがちな自分の関心を広げるきっかけになるやもしれない。
 と、なんだか「ファン」誌の提灯を持っているようだけど、実は同誌を買わなくなって二十数年が経っている。非車両派だし、撮影を積極的にするつもりはないし、となると今後も定期的に買うことはないと思う。交友社さんのお役に立てなくて申し訳ない。
 ただ、デジカメを持つような若い層を取り込もうというRF誌の方向性は一つの見識である。こうした形で鉄道写真や記事の投稿を促していく……というのは鉄道趣味誌の目指すべき在り方だと僕は思う。彼ら投稿者は、すぐには「ファン」の定期購読者にはならないかもしれないが、長い目で見ると、同誌のサポーターとして支持してくれるに違いない。やっぱり、自分の写真が載るかもしれない雑誌にはついつい手が伸びるんじゃないだろうか。で、十数年後、僕ら読者を楽しませてくれるライターやカメラマンとして育ってくれる可能性もある。そんな彼らの鍛錬の場として、このホームページが活かされていくことを願うばかりである。
 と、今日の話はここまで。あれ、この皆さんの見ている日記。いつも文章は長いし、タイムリー性に欠けた話ばかりだし、ジャンルはバラバラだし、画像は下手くそな駅撮り写真ばかりだし、上で語っていることと違うじゃないの……と書いていて自分でも思ったりしたのですが、それはまた別の話。

*1:買ったこともない人もいるのだろうが