とれいん工房の汽車旅12ヵ月 Twitter

鉄道関係の時事ネタを紹介するブログです。趣味の外縁部に転がっている、生活には役に立たない情報を中心に語ります。廃線、未成線、LRT、鉄道史、遊覧鉄道、鉄道マニア、鉄道本書評、海外の鉄道、マンガ、アニメ...etc。 「鉄道未成線を歩くvol.8 東京の新線構想2030」など同人誌を書泉グランデで販売中。

2008-09-20

katamachi2008-09-20

[]廃止された鉄道と生き残る鉄道鉄道車両を巡る争奪戦

 この9月に入って、廃止された第三セクター鉄道の所有車両についての争奪戦が激しく展開されている。

 ターゲットとなっているのは、今年春に廃止された三木鉄道車両

三木市第三セクター三木鉄道」は1日、競売するディーゼル車2両の入札結果を公表した。02年度に導入した車両第三セクター樽見鉄道」(岐阜県本巣市)が最低公示価格(3300万円)以上で落札した。99年度の車両は最低公示価格(2200万円)を下回り、不調に終わった。

三木鉄道:車両競売、岐阜・樽見鉄道へ1車両 /兵庫毎日新聞9月2日

三木鉄道<車両売ります>

 ○樽見鉄道落札。他に北条鉄道ひたちなか鉄道が参加。

 ×北条鉄道ひたちなか鉄道が参加したものの落札できず

 △保存? 売却対象? 未決定

と、いうことに現状はなっている。樽見鉄道落札した車両を12月20日までに自社へ運ぶようで、富士重工LE−Car?のハイモ230-310形を置き換えることになるんだろうか。

f:id:katamachi:20080920073657j:image


20年経つと陳腐化が目立つ軽快気動車の後始末

 今後、90年代半ば以降に製造された車両の争奪戦が各社で始まってくるのかもしれない。その背景には、

という2点がある。

 昔の国鉄型気動車だと、車体だけは軽く30年、40年は持つのだけど、80年代に造られた車両コスト削減を目指したゆえに"安物"の車両となってしまい、車体や部品が陳腐化するのが早すぎた。「腐食した鉄道車両のボディーを見る - とれいん工房の汽車旅12ヵ月」でも書いたが、車体に赤サビが浮いていて、ちょっと目の当てられないような感じになっている。

 かくして、わずか20年目にして早くも時期車両探しに奔走せねばならなくなった。この旧三木鉄道車両に関しては、昨年段階で、北条鉄道北近畿タンゴ鉄道信楽高原鉄道茨城交通(ひたちなか鉄道)・樽見鉄道水島臨海鉄道の6社が視察に訪れていたという。わずか2両では置き換えの数としては足りなかったり、勾配に対応できなかったりして撤退したところもあって、最終的に参加したのは上の三社。でも、安い方の車両には公示価格を上回る値段が付かなかった。それぞれの懐事情の厳しさが垣間見られる。

 ちなみに、他社も欲しがらないような80年代の軽快気動車は旧鹿島鉄道のKR-500形のように解体されたり、静態保存されたりするのがほとんど。でも、その一部がミャンマーに売却されているのは有名な話だ。伊勢鉄道名鉄三河線甘木鉄道、旧ちほく高原鉄道車両NGO等の手で海の向こうへと運ばれていった。

 ただ、三木鉄道のように90年代半ば以降の車両だと、国内でも欲しがる鉄道がある。


ひたちなか鉄道<車両買います>

中古車両 本年度購入を断念入札結果など理由 ひたちなか海浜鉄道茨城新聞2008/09/18

 老朽化の激しいキハ20系5両を代替

 △「車両の処分方針を決める検討委員会メンバー二人が岩手・宮城内陸地震で被災・死亡したため、方針決定が先送りになった」*1

 ×入札不調

北条鉄道<車両買います>

 半ば休車状態にあるフラワ1985形の代わりに予備車が欲しい→三木鉄道の入札に失敗


高千穂鉄道<車両売ります>

高千穂鉄道:車両7両は解体へ トロッコは有償譲渡先探し−−取締役会毎日新聞2008年09月09日

高千穂鉄道/沿線自治体、跡地活用を模索朝日新聞2008年09月18日

  • 所有車両7両(一般車)

 ×うち5両は被災後3年間屋外に放置されていて修理に600万円/台→廃止

 △残る2両は未方針

 ※日之影町は、2両を譲り受け、日之影温泉駅跡で簡易宿泊施設やカフェ改装したい。ただ旧高千穂駅の車庫から現地への輸送費が1300万円。

 ※高千穂町は、2両を譲り受け、旧高千穂駅を「鉄道記念公園」とし、列車の展示や車庫の見学などを想定。鉄道資料館も検討

 ※高千穂あまてらす鉄道も、2両の譲渡を申し出ている。列車公園内の乗り物"遊具"として走らせる構想を示しているが計画書を提出せず先行き不透明*2

 ○有償譲渡を前提にJR九州協議ダメなら入札

f:id:katamachi:20050828130109j:image


くりはら田園鉄道<車両売ります>

 △今後は不明。

 ひたちなか鉄道が検討していたと言うことは売却の予定もあったと言うことだろう

 ただ、地元で静態保存(動態も?)の話もあると思われ、それゆえに検討委員会が使い道を検討していたのだろう。

f:id:katamachi:20080920072257j:image

島原鉄道<車両売ります>

 ○平成筑豊鉄道門司港レトロ観光線

 これは目出度く商談が成立したケース。田野浦公共臨港鉄道での特定目的鉄道でのイベント列車用に使われる予定

f:id:katamachi:20080920074045j:image


 なかなかそれぞれの思惑を合致させるのは難しそう。

 ならば新車を買っていきたいところだが、各社とも厳しい経営を迫られている。錦川鉄道はここ数年で20年前の車両を新車に置き換える旨を発表しているが、その代わり、運転本数を減らすことで、車両の数も削減させている。いすみ鉄道長良川鉄道もまだLE-carをそれなりに抱えているし、それよりワンランク上のLE-DCシリーズを入れている信楽高原鉄道なども次の検討を始めているのだろう。

 こうしたやりとりを見ていると、ローカル鉄道活性化が叫ばれて法制化が進められている中、各社とも厳しい対応が迫られているんだなあという気がするけど、それはまた別の話。

*1鉄道博物館の岸さんたちのことですね

*2:「計画を作ると、がんじがらめになり、動けなくなる」と説明。コンサート開催が「高千穂線復活の第一歩になる」と訴えている……との朝日新聞でのコメントを見ている限り、鉄道車両の取扱の大変さを舐めているような気もする。人から集めた浄財をコンサートに使うというのもどうよ

つきのわぐまつきのわぐま 2008/09/20 16:36 地方の3セク鉄道はこれからもっと大変になるでしょうね。高齢化や人口減少は乗客の減少のみならず、3セク鉄道を支えている沿線自治体の税収減少をも招きますので、車両や設備の更新費用をだんだん賄えなくなってくると思います。鉄道以外の生活インフラも老朽化していますし、各自治体も頭が痛いところでしょう。

と思ったら、都市部の鉄道も大変なことになっているようで・・・。

赤字102億円 神戸電鉄粟生線
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001413351.shtml
「乗客数はピーク時の半分まで減少」

都市部の鉄道も四苦八苦なんでしょうか?
この記事に関して、もりくちさんの御意見を是非お伺いしたいところです。

katamachikatamachi 2008/09/23 00:02 神戸電鉄粟生線の記事はなかなか衝撃的でしたよね。
「このままでは鉄道の社会的役割を十分に果たせなくなる」ってコメントは大都市圏近郊の鉄道とは思えないです。

あと、神戸電鉄。数年前に、国土交通省の分類で「準大手民鉄」から「中小民鉄」に変更されたそうです(「数字で見る鉄道」)。政府は地方中小私鉄を対象にしている鉄道軌道近代化設備整備費補助金を出している、近畿運輸局も「神戸市北西部、三木市、小野市域を中心とした地域の公共交通活性化プログラム」http://www.kkt.mlit.go.jp/kansai/program/3kp_19nendo.htmを組んだりしている。


と、いろいろ政策は打ち出されていますが、15年間で利用者数が半減というのは、この間、阪神大震災があったり、阪神高速の開通が相次いだのを考えても、ちょっと極端すぎる。なかなか一言で語るのは難しいです。

つきのわぐまつきのわぐま 2008/09/23 09:56 有り難うございます。
もりくちさんでも分析は難しいですか・・・。

複合的な要因で衰退してるんでしょうけど、当事者がそれらをきちんと分析しないと、いくら補助金を注ぎ込んでも無駄に終わる可能性がありますね。「国鉄→3セク→廃止」という経緯を辿ったローカル線のように・・・。

似たような路線は他にもありそうで、今後も「大手→準大手」「準大手→中小」という動きが出て来るのかも知れません。

三セクスレ民三セクスレ民 2008/09/23 13:59 神戸電鉄の危機は五年前に鉄道ジャーナルが取り上げていました。
今まで神鉄の高度成長を支えた要素が全て逆になって襲い掛かってきた印象を受けます。
ただ、都心回帰・団塊世代の定年・道路整備などで公共交通機関の利用者が減った構造不況とばかりは言えません。
どうも、地域交通網再編が神鉄からバスに短距離旅客を誘導してしまったようなのです。

「三木 乗客数」で検索して出てくるpdfによりますと、
平成13年、志染〜緑が丘間の路線バス(神姫ゾーンバス)、恵比須〜三ノ宮線(三木方面で住宅街を抜けるルート、神姫バス)が設定されました。
これにより神鉄志染駅ほかの利用客数が著しく減少したことが伺えます。
神姫バスの利用客は横ばいですが、神姫ゾーンバスは新規路線分で20万人増えています。
「長距離旅客は平成13年の時点で既にバスに移転済みだった」「短距離旅客は神鉄からバスに移転した」と言えます。
バス路線1本で年間20万人以上、利用者の2%を神鉄は一気に失いました。
他にもちょこちょこと蚕食されていることは想像に難くありません。

あの辺は割とよく鉄道絡みで揉めますが、鉄道を生かすために行政が何かするという当事者意識や危機感に欠ける印象を受けますね。
なまじ放っといても鉄道が走り回ってくれる大都市が近いせいか、利用しなければなくなるという概念がないように思えます。

勝負所は来春でしょう。阪急阪神HDに神鉄粟生線を見捨てる気がないのなら、神戸高速鉄道の処分に伴って運賃を下げると同時に何らかの目玉施策を打ち出してシェア奪回しようとするでしょうから。

つきのわぐまつきのわぐま 2008/09/23 21:11 データを調べてみました。

<平成12年→平成16年の乗客数変化率>

■神戸電鉄
総数 22%減
 うち普通 19%減
 うち定期 24%減
大村駅 12%減
三木駅 23%減
三木上の丸駅 14%減
恵比寿駅 15%減
志染駅 30%減
広野ゴルフ場駅 26%減
緑が丘駅 17%減

■神姫バス
定期 10%減
貸切 21%減

■神姫ゾーンバス
定期 7%減
貸切 183%増

※三木市統計書(平成17年版)より

エクセルでグラフ化してみましたが、神姫ゾーンバス定期が横ばい、同貸切が増加しているほかは全て減少傾向にあります。(期間:平成12年→平成16年)
やはり、少子化による通学者減、団塊世代の退職や地方不景気による通勤者減、都心回帰、道路整備の進展といった構造的な要因が大きいと思われます。

katamachikatamachi 2008/09/23 22:47 三セクスレ民様。
ジャーナル誌の記事は何月号か見当たりませんでしたが、90年代に飛躍的に輸送量が伸びた福知山線と比べると、神戸電鉄線は沿線人口増に見合っただけの乗客数を獲得できていませんね。粟生線と神戸市内との流動を見ると、恵比須〜三ノ宮の直行バスの影響もあるでしょうし、利便性の高い神戸市地下鉄駅前までパーク&ライドで移動する流れも相当あると聞いています。期待の大きかった公園都市線がぜんぜん使えないのと同じような状況でしょうか。この週末、ウッディタウンに住む家族連れとお話ししたとき、「神鉄がダメだからからいつも新三田までバスか車で行くんですよ」と話したところです。運賃値下げ……するのでしょうか。神戸高速の株式絡みのニュースでそんな記事って出ていたのでしょうか?


つきのわぐまさん、わざわざ三木市統計書からありがとうございました。
4年間で2割減というのは、ちょっと異常な減り方ですね。近畿運輸局も、2003年度に「兵庫県内の準大手民鉄の輸送量が関西大手民鉄の二倍近い値で減少し続けており、近い将来、事業継続の困難性が沿線住民の生活に多大な影響を与える恐れがある」、2007年度に「神戸電鉄粟生線の地容赦(ママ)もピーク時の半分となっている」との判断でいたようで、阪急系のアーバン・エースというコンサル会社が総合プログラムを策定しているようですが、まだ形になったものは何もないようです。

三セクスレ民三セクスレ民 2008/09/24 19:01 確かに神戸市はパーク&ライド先進都市で(新神戸トンネルや北神急行もそのために掘られたもの)、西神ではP&R利用者の1/4が市外在住者だとか。
その辺の利用者はいまさら転移しようがなく構造要因による自然減、短距離旅客はそれに加えてバスへの転移で激減しているのでは、という仮説だったのですが、安楽椅子探偵ではここまででした。

神戸高速の値下げに付いてはこちらに
ttp://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/0001109461.shtml
東西線のみの値下げとは思えません。
神鉄を扱ったRJは2003年11月号のようです。
ttp://www.rjnet.jp/journal/0311.html
この記事の時点で神鉄ハイキング開催による乗客獲得という積極策を打ち出していました。
が最新の決算報告でも増収策はハイキングで、5年間新しい機軸を見出せていないことになりましょうか。

つきのわぐまつきのわぐま 2008/09/24 23:35 鉄道もバスもジリ貧、少子高齢化で車も含めた移動需要そのものが減っていく。となると、まずは経費削減や運賃値上げで延命を図ろうとするでしょうが、それが行き詰まるのは全国の3セク地方鉄道が証明済み。経営体が耐え切れなくなった時点で路線切り離しの動きが出て来る可能性が・・・。伊賀鉄道、養老鉄道、和歌山電鐵のように。その後も更に衰退が進んでいくと、秋田内陸のように沿線自治体を巻き込んでの存廃論議が本格化。そこで自治体(住民)が財政負担にNO!という決断を下せば廃線に・・・。

こんな時代にプログラムを策定するコンサル会社も大変でしょうね。高度成長期なら脳天気にバラ色のプランを描いていれば良かったんでしょうが・・・。

katamachikatamachi 2008/09/24 23:56 三セクスレ民様。つきのわぐま様。

いろいろと情報、ありがとうございます。僕も安楽椅子探偵なのは同じなんで、実際に三木市役所や神戸電鉄を訪れていろんな話を引き出してみると興味深いんだとは思うのですが、近畿運輸局も含めて、減り方が激しい理由を分析し切れていないのでしょうか。幹線道路の整備やパーク&ライド(さらに神鉄の運賃の高さ、不便さ、遅さ……)という従来からの流れがここ十年でさらに深化したがゆえの減少としか語りようがないのでしょうね。ハイキングで劇的な乗客増に繋がるとは思えないですし……

三木鉄道の話が片付いたんで、そろそろ本腰を入れて対策を考えるタイミングなんでしょうが、はたしていいアイデアが出てくるのか。茨城交通みたいに役所が出資して第三セクター化……という処理もできないほど会社規模が大きいというのもまた難しいところです(さすが、元”準大手”)。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証