とれいん工房の汽車旅12ヵ月 Twitter

鉄道関係の時事ネタを紹介するブログです。趣味の外縁部に転がっている、生活には役に立たない情報を中心に語ります。廃線、未成線、LRT、鉄道旅行、鉄道史、駅、遊覧鉄道、鉄道マニア、鉄道本書評、海外の鉄道、奥祖谷観光周遊モノレール、宮脇俊三、種村直樹、今里筋線、阪急新大阪線、三江線、西武線、マンガ、アニメ、読書...etc。 「鉄道未成線を歩く」など同人誌3点をただいま書店販売・通販中。http://d.hatena.ne.jp/katamachi/20121228/p1参照。

2011-02-27

katamachi2011-02-27

[]今週2月28日発売の「東洋経済」と「エコノミスト」で鉄道特集をやるらしい。

 ダイヤ改正を前にした今週、週刊の経済雑誌東洋経済」と「エコノミスト」で鉄道特集をやるらしい。発売日は共に2月28月曜日

 2009年に「東洋経済」でやった鉄道特集がそれなりに売れたらしく、同誌は半年に一度くらい特集を組むようになった。「エコノミスト」でも昨年1月、鉄道特集をやっている。「ダイヤモンド」でもあったらしい。

 この春は、九州新幹線東北新幹線はやぶさ」の登場、高速鉄道車両海外輸出……と経済面で出てくるような話題が重なったということで、両誌とも鉄道特集を組んだのだろう。

 でも、時事ネタでもないのに同じ特集が同じ日にかち合うというのは……さすがに偶然とはいえ、珍しいことです。


鉄道好きも仕事をしているのだから鉄道経済記事の需要もあるはず

 考えてみると、90年代からエアラインの特集は経済誌でたびたび扱われているのを見ていたし、鉄道関係の特集も80年代に見た記憶もある。でも、年に2度、3度と頻繁になったのは一昨年ぐらいからだろう。

週刊 東洋経済 2009年 7/4号 [雑誌]

週刊 東洋経済 2009年 7/4号 [雑誌]

週刊 東洋経済 2010年 4/3号 [雑誌]

週刊 東洋経済 2010年 4/3号 [雑誌]

週刊 東洋経済 増刊 鉄道完全解明 2010年 7/9号 [雑誌]

週刊 東洋経済 増刊 鉄道完全解明 2010年 7/9号 [雑誌]

週刊 ダイヤモンド 臨時増刊 THIS IS JR 2010年 2/22号 [雑誌]

週刊 ダイヤモンド 臨時増刊 THIS IS JR 2010年 2/22号 [雑誌]

 内容的には、日本経済新聞など一般紙で報道される記事をいくつかまとめてみました、という記事が中心である

 取材先の鉄道会社メーカーから話を聞いてきただけという記事もある。鉄道好きが書いた記事ではないんで、現状報告なんかは眉唾なものも多いが、マニア向け雑誌じゃないんでそこをツッこんではいけない。

 むしろ、新聞では散発的に報告される経済記事を雑誌の特集としてひとまとめに読んでみることで資料的価値が加わる。そこが評価されているのだろう。

 鉄道に関する経済記事というのはそれなりに需要があったと思う。

 特に、ここ数年、

経済記事でまとめやすい事象が相次いでいる。

 一般紙の経済面でも特に鉄道車両海外輸出、新規プロジェクトの発表はかなり細かく報道されるようになった。車両メーカー株価も注目銘柄になっている。そこにビジネスの可能性があると見ている人も当然いる。

 あと、忘れがちなんだけど、鉄道会社、そして鉄道関連会社社員たちの存在。現役やOBも含めれば百万人を越える人たちが市中に存在する。彼らもまたビジネスマンの1人なわけで、鉄道特集だと、ついつい手を出す人もそれなりにいると期待できる。業務で使う本と言うより、気軽な読み物として。彼らもまた読者層として想定されているのだろう。

 また、そうした鉄道経済的側面から捉えた情報というのは、鉄道好きにとっても大いに興味がある話題だ。鉄道マニアからと言って、別に鉄道趣味的側面だけで鉄道を見つめているのではない。

 ここ30年ほどの間、国鉄の大赤字と分割民営化による解体、そしてJRとしての再生(と限界)というエポックが次々と起きてきた。そうした鉄道を取り巻く情勢をつぶさに目の当たりにしてきたからこそ、"鉄道"を取り巻く経済的側面を読解するマニアは飛躍的に増えた。都市鉄道や高速鉄道LRTローカル線……様々な時事的話題をどう料理すればいいのか。彼らに語らせると、正直、そこらの新聞記者より面白い視点は出てくる*1。やはり彼らの一部も鉄道特集の経済記事を読み物として欲している層でもあるのだ。

 と、まあ、鉄道特集を組むと、

が購買層として想定できるから、通常の号より部数が増えるのかもしれない。旅雑誌90年代半ばぐらいか鉄道旅行特集をやたらとやるようになったのと同じ事情があるのだろう。


東洋経済 鉄道最前線」vs「エコノミスト 日本鉄道力」

 さて、では2月28日発売の両誌の鉄道特集はどんなものか。

 今週の「東洋経済2011年3月5日特大号「鉄道最前線」の記事は以下の通り。

http://www.toyokeizai.net/shop/magazine/toyo/

週刊 東洋経済 2011年 3/5号 [雑誌]

週刊 東洋経済 2011年 3/5号 [雑誌]


 一方、「エコノミスト」3月8日特大号「日本鉄道力」はこんな感じ。

http://mainichi.jp/enta/book/economist/

エコノミスト 2011年 3/8号 [雑誌]

エコノミスト 2011年 3/8号 [雑誌]


 えーと。正直、内容はほとんど同じだ。これを同じ日に発売するというのはどうなのかな。どっちがよく売れるのだろうか。

 目次を読む限り、「東洋経済」の方が興味深い気がする。「第3回 住みたい「駅力」 3大都市圏 全642駅 ランキング&格付け」ってのは以前も読んだけど、特集に興味がない人にも関心を持ってもらえそうな内容だ。「エコノミスト」の方は目次のラインナップを見ている限り、想定の範囲内なんだよね。もちろん新たな知見を得るのに有用な記事もあるかもしれない。

 ちなみに、僕が関係者なら1週間前の2月21日発刊にスケジュールをあわせます。この日は、鉄道趣味雑誌の一斉発売日。すなわち、「鉄道好きが一番本屋に行く日」なんですね。時刻表の改正号3月号は24日。本屋でいっしょに並べてもらえる可能性があるタイミングでもあるのに。と、これは余談。


社会的側面から鉄道を扱った趣味誌とライター

 こうした鉄道社会的に取り扱った記事というと、

を僕たちは思いだす。

 「ジャーナル」は80年代当初から"社会派"的側面を全面に打ち出してきた。川島1986年刊の「東京圏通勤電車事情大研究」以降、都市鉄道や高速鉄道を分析した本をたくさん書いてきた。

 ただ、両者ともここ10年ほどは精彩を欠く。

 「鉄道ジャーナル」の販売元は去年、鉄道ジャーナル社から成美堂出版に変わっている。「旅と鉄道」の休刊以前からちょっと大変そうと言うのは誌面からもうかがえた。最近の"ブーム"に乗り切れなかった感が漂う。書き手の新陳代謝を図らなかったがゆえに雑誌そのものが活力を失った....と以前指摘したことはある。

鉄道ジャーナル 2011年 04月号 [雑誌]

鉄道ジャーナル 2011年 04月号 [雑誌]

 川島の本も中身のキレを失った。二十数年前、彼の言葉は良い意味でも悪い意味でもインパクトはあったが、さすがに同主旨、同内容の本を30冊も40冊も刊行していると賞味期限も切れてしまう。"利用者至上主義"という視点、偽悪的な物言いシンパアンチもみんな飽きてしまったのだ。今でも鉄道系の本の書き手としては引っ張りだこのようだが、出すのはトリビア本とか監修者として名前貸しばかり。

2011年版 鉄道事情トピックス

2011年版 鉄道事情トピックス

 整備新幹線都市鉄道ローカル線問題に関して「ジャーナル」も川島も何度も文書にしている。それを30年間読んできた僕としてはお馴染みの内容であり、今さら特に新鮮さはない。

 それは書き手も同様なんだろう。かつ常連の読者相手に何度も書いていると、本来説明しないといけない説明もついつい省略しがちになってしまい、マニア以外には読めなくなってしまう。

 かつては本屋経済書の棚に入ることもあった川島の本。処女作東京圏通勤電車事情研究」は十万部を越えたらしいが、「鉄道事情研究」以降、中身が細かくなるにつれてマニア以外には読めなくなった。「ジャーナル」の社会派系記事もそれなりの水準は維持されているが、それ以上でもそれ以外でもない。公称13万部ということだがなんとなく大変っぽいというのは想像できる。そして両者とも高速鉄道の輸出など海外鉄道系のネタは不得手にしている。本来の読者に興味を持ってもらいにくいので記事にもしづらい。


経済誌の鉄道特集の内容がどうしても似通ってしまう理由

 その点、経済誌の鉄道特集の方が読みやすいのだろう。一般紙の経済記事をベースにしているのだから当たり前と言えば当たり前。鉄道車両の細かいスペックとか、蘊蓄話とかトリビアネタとか、そうしたのはどーでもいいんです。ブラジルアメリカの高速鉄道の受注競争とか新聞にも載っているような話の方が興味深いじゃないですか。マニアでもそういう層はそれなりにいる。

 奇しくも同じ日に発売される両特集の目次を読んでいる限り、編者が違えども、内容は大差ないなあ……というのが正直な印象だ。以前の特集とネタも被っているんじゃないの、とも感じた。両誌ともベースが一般紙の経済記事にあるからこそ、切り口も似通ってしまう。「鉄道を記事にする」という歴史的蓄積に欠けている。ゆえに内容の「軽さ」が見え隠れしてしまう。論文でもマニア向け本ではなく、あくまでも読み物なんだから。そこらを指摘するのも野暮なのかもしれないけど。

 時事ネタ以外ではなかなか新味のある記事はないだろうけど、さてはて次回はどうするのだろうか。とりあえず明日は両誌を買いに行きます。面白い記事があるといいな。

 

 さて。なぜ、両誌の読者でもない僕が鉄道特集が組まれることを知ったのかというと、毎日新聞エコノミスト」の編集部からメールで連絡が来たのです。鉄道に関連した人気サイトブログを紹介する中で、この『とれいん工房汽車旅12カ月』http://d.hatena.ne.jp/katamachi/も取り上げる、と。

 確かに、「エコノミスト」の予告には、

というのが目次にあります。7、8年前ならともあれ、今なら検索エンジンで……いや、なんでもないです。公開しているURLなんだから勝手にすればいいのに、律儀に連絡してくれるのは新聞社からなのかな。で、承諾しますよ、とのメールを返すと、「忌憚のないコメントブログで」とのお言葉をいただいたので、本文をまったく読まずにコメントを書いてみました。すみません。両誌の中身はぜひ本屋で確認してください。

 連絡が来たのは23日夜。その段階で28日発売の雑誌の本文の編集をされていたんですよね。内容からして埋め草のページなんだとは思うのだけど、〆切がギリギリなのはさすが週刊誌……と、両誌の特集よりスケジュールの過酷さにやたらと感心してしまったのですが、それはまた別の話。

*1:残念ながその多くはかなり偏った視点ではあるのだが

lm700jlm700j 2011/02/28 08:14 川島は視聴率男になってるみたいで、当分は関西の鉄道ネタをテレビでやるだけで喰って行けそうですね
お笑いナタリー - 明日の「ビーバップ!ハイヒール」で関西鉄道の謎を解明
http://natalie.mu/owarai/news/45364

katamachikatamachi 2011/02/28 08:25 チャンネルを回していたら(死語)、ちょうどやっていたので一部見ていました。スタッフが集めてきたトリビアな鉄道素材に対するコメンテーターみたいな役割でしたね。前回も視聴率がよかったと事前の番宣でいっていたような記憶があります。

つきのわぐまつきのわぐま 2011/03/06 20:24 鉄道ジャーナル社→成美堂出版というのは初耳で驚きました。
読者層の高齢化に伴って、趣味的観点のものよりもビジネス的観点のもののほうがウケが良くなっているんでしょうかね?
あと、本屋に足を運ぶ層と鉄道マニアは微妙に似ているような気がします。(モロに文化系)

鉄道書好き鉄道書好き 2011/09/21 13:53 日本の鉄道力は、中古本で100円だったので買いました。原氏や梅原氏は、こういう媒体によく出ますが、梅原氏はまだ鉄道ライターなので良いとしても、原氏の説得力のない、鉄道会社に取材したわけでもない、妄想理想にはうんざりでした。第一人者かのように勘違いされ、マスコミに派手に出る人ほど、今日では内容のない、本当の鉄道好きからは無視されている人だと、いい加減マスコミも気付いて欲しいですね。まあ、気付いていても依頼する・・・という不思議な世界だと思います。

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