四角いパレット

katataka's blog

急変時の対応

久しぶりに気管内挿管しました.
太さは?と聞かれて,迷うことなく8mmを選択.
残念ながら声門は直視できませんでしたが,喉頭蓋に沿わせて抵抗なくチューブが進みました.
バッグを押すと,ぶるぶるっと口から音が.
食道内だったか?と思いましたが,なんだ,カフにエア入れてないじゃん.
エアを入れてもらい再度バッグを押すと,チューブ内はちゃんと曇り,両肺野で呼吸音が確認できました.
よかった.
急変時の対応における達成感は,
胸郭がつぶれない程度でかつ有効な胸骨圧迫をしている時よりも,
アドレナリンで自己心拍を無理くり再開させた時よりも,
やっぱり気管内挿管の時だなあと再認識しました.

この2、3年は,救わないといけない急変というのに巡り合う機会が幸いにもなく,
心肺停止しても,ご家族が到着されるまで温和的なCPR,とかいうことしかしていなかったので,
今回は久しぶりに,全力を尽くさせていただきました.
スタッフの人も,多少至らないところはありましたが
(波形確認を2回くらいしてアドレナリンもすでに1投し終わったあたりで,実はモニター心電図がついていなかったといわれました...
もっと早く言ってよ!とはいえフラットラインプロトコールをしていない私も悪いのですが.
いずれにしても,モニターをつけて確認したところ本当にasystoleだったので結果的には治療に差し支えありませんでした)
ちゃんと胸骨圧迫をしてくれていて,マスク換気もしていてくれて,
アドレナリンも,指示が出て初めて取り出してはいましたが,すぐに静注してくれて,
一般病棟としてはとても優秀で,あまりストレスなく対応することができました.
集中治療室へ移送後は,
挿管準備もばっちりでしたし(スタイレットが少し短かったけど),
記録係も投薬とパルスチェックの指示を出していたし(院内急変で記録係が指示なくついたのは初めての経験かも)
血ガスの結果を見たら,こちらから言わずともメイロンが出てきましたし.
さすが急性期病院.
日ごろから救急(特に二次〜三次)の対応をしている病院だと,おのずとスタッフ全体のレベルも維持されるんですね.
こういう院内急変での対応力に,病院の救急の実力が表れ出てくるなあと,当たり前のことですが,感じました.

私が呼ばれてから,他の医師の到着まで,50分くらいの時間でしたが,
スタッフの皆さんのおかげで適切に対応し,ご本人へのベストをつくすことができたのではと思っています.
もっと早く,というときりがありませんが,一般病棟での早朝の急変という状況を考慮すると,十分だったのではと思います.