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too sweet to eat このページをアンテナに追加 RSSフィード

Wednesday, September 05, 2007 豊年虫 このエントリーを含むブックマーク

田舎では本屋よりも図書館のほうが家から近かったせいか、どうも「本は借りて読むもの」との意識の方が強い。上京してからは住宅事情もあり、大学図書館や区の図書館をよく利用した。だから本を買うときはもっぱら文庫である。文庫は後腐れがなくて良い。風呂で読んだり、旅の途中で読み終ったものを置いて来たり、誰かに貸しっぱなしで忘れてしまってもそれはそれで良い。

夫はまったく逆である。

そもそも本に対する目的も違っていて経済書や啓発書、論文など如何にもハードでかさばるものを大事に本棚に陳列している。わたしにとって読書といったら小説雑誌。鮮度のいいエンターテインメント性を好んでいるので。

しかし久々にハードカバー書籍を買った。

志賀直哉全集の6巻、岩波書店発行の。もちろん絶版ものなのでネット古本屋で購入した。

10月に義父母が長野へ来る。おもてなしは戸倉上山田温泉、笹屋ホテルである。ひなびた温泉街ではあるが、このホテルの中には、フランク・ロイド・ライトの直弟子で、帝国ホテルや自由学園を設計した建築家が手がけた「豊年虫」という離れがある。

18年間地元で過ごし、またトウの笹屋ホテルに何回か泊まったことがあるのに、子供には如何にも昭和風、和洋折衷時代遅れの温泉宿のような新館で十分だと思われていたのか、そんな場所があるとは全く知らなかった。そういう意味で楽しみな機会である。

さてその「豊年虫」という名前の由来が、滞在中に執筆された志賀直哉短編から来たものであり、是非一度読んでみたいと思ったところ、ブンコボンでは採算が取れない地味なエッセイであるようで、ほんの好奇心がたいそう苦労して立派な装丁の本を手にする理由になったのだった。ほとんど新品で、地味ながらも「きちんとせいよ」と脅かされているような佇まいについつい丁寧にページを手繰るはめになってしまった。こうゆう風に活字を大事にしながら本を読むのも悪くない。

まあ、立派な書斎を持てるようになってからにしたいけれども。

志賀直哉全集 〈第6巻〉 沓掛にて 豊年虫

志賀直哉全集 〈第6巻〉 沓掛にて 豊年虫

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