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弁護士 加藤 泰 の 脳内 ブログ

2016-05-08

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## 文書の成立の真正 ##

民事裁判において立証の柱となるのはやはり文書です。

文書というと何か公式のもののような気がしますが,コピー用紙に手書きで書いたメモ,このようなものも文書です。紙に記載されたもの全般が文書であるというくらいの認識でいれば十分です。

文書を証拠として提出する場合,その成立が真正であること,すなわち,作成者の意思に基づいて文書が作成されたことを証明しなければなりません(民訴法228条1項)。

私文書の場合,本人または代理人の署名または押印があれば真正に成立したものと推定されます(民訴法228条4項)。

いわゆる二段の推定です。なお,ここでの押印は実印には限られません。

たとえばAさんの押印がある場合。

一段目。

その押印がAさんの印鑑によるものであれば,その押印はAさんの意思に基づいて押されたものと推定する。

二段目。

Aさんの意思に基づいて押された押印があるのであれば,その文書はAさんの意思に基づいて作成されたと推定する。

あくまで推定なのでその推定がおかしいこと,

例えば

東京に出稼ぎ中の人東京で作った契約書であるはずなのに沖縄の実家で保管中の印鑑がおされている

(つまり本人以外の誰かが勝手に印鑑を使ったはず),

をいえば推定は覆りますがなかなか簡単な話ではありません。

印鑑,特に実印は厳重に管理して,真っ白い紙にポンッと押してしまうことなどないようにしてください。

悪用されると上記推定規定などが強力に働くため裁判になると負けかねません。

(2014.7.6)

## 強制執行停止 ##

金銭請求の判決には仮執行宣言がつくことが多いです。

執行OKということはどういうことでしょうか。

敗訴者側の控訴によって判決が未だ確定していなくても預貯金の差し押さえなど強制執行に着手できるということです。

これは権利者に早期に権利を実現させるという目的に資する制度です。しかし一方で控訴審を戦う前に大事な財産を差し押さえられてしまってはたまったものではありません。もしメインバンクの預金を差し押さえられて大事な支払いが遅れたり,資金を引き出せなくなったら商売をしている方には致命傷になりかねません。

控訴審で結論が逆転することだって十分ありうるのに強制執行されるのを甘受しなければならないのでしょうか。

そんなときは控訴と同時ないし近い時期に強制執行停止の申立てをします。

一審判決の認容額を前提としたそれなりの金額を担保として供託させられる負担はありますが,控訴審判決が変わる可能性がある程度見込めるときには強制執行停止決定を出してもらえます。

仮に強制執行が開始されてもこの強制執行停止決定の正本を執行機関に提出すれば強制執行は停止されます。

強制執行を停止するという裁判所の出した決定を,強制執行をしている裁判所に提出する,裁判所が出したものを裁判所に提出する,という手間暇をかけなければならないのは少し変な感じがしますがそれぞれが別の裁判所で進行することもあるため必要な手続です。

裁判所各部署間での情報共有のシステムが整備されていけばひょっとして将来的にこの問題は解消するかもしれません。しかしそもそも繊細な情報を扱うので単純に共有できない問題もあるんでしょうね。

(2014.6.19)

2016-04-15

# 民法770条 ##

# 相談の際にお見せすることが多い条文のうちの一つです。

離婚には協議離婚,調停離婚,(審判離婚:使用する場面が限られ件数少ない),裁判離婚があります。基本的には双方の合意が必要で裁判離婚だけが合意が不要です。片方が婚姻継続の意思があっても離婚させることができます。逆に言うとこの条文の条件を満たさないと話し合いでしか離婚できません。

 1号から4号までの事情はその存在が認められても裁判所は一切の事情から離婚させないという判断もできます。

1回の浮気で必ず即離婚となるわけではないということですね。

結局のところ5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」にあてはまるか,婚姻関係が破たんしているかがポイントになることが多いです。3組に1組離婚する時代となったことも影響しているのか,最近はゆるやかに認められるようになってきていると思います。

立法化には至りませんでしたが別居期間が3年程度を離婚事由にしようという動きもありました。法律的に夫婦という形に縛り付ける意味があるのかを裁判所は慎重に検討することになります。

なお,離婚の原因を作った側,有責配偶者といいますが,有責配偶者からの離婚請求は認められない場合があります。

浮気されたうえに離婚させられたら「踏んだり蹴ったり」ですからね。このことを言った俗にいう踏んだり蹴ったり判決という最高裁判決があります。

裁判上の離婚)

第七百七十条  夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一  配偶者に不貞な行為があったとき。

二  配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三  配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四  配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五  その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

2  裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

(2014.6.23)