フジファブの『若者のすべて』とミスチルの『HANABI』について

先日『SUMMER NUDE』についてチラっと書いたが、このドラマのなかでフジファブリックの代表曲のひとつである「若者のすべて」が使われている。

視聴率は順調に右肩下がりらしいが、こういうトレンディなものを時代が求めてないということが数字として表れたようだ。ぶっちゃけ、つまらなくてもなんとなくで見ている視聴者ばかりだと思っていたが、さすがにそこまでバカではないようだ。

それでもぼくはこのドラマを楽しく拝見している。第二話についてはこの前に延々書いたが、第三話もすごかった。三年間DVDを延滞し続けるというのもなかなかだが、今回のハイライトはなんといっても黙って消えてしまった長澤まさみを待ち続ける山Pである。ダイジェストでさーっと演出されていたが、少なくとも一年間はヒマを見つけて長澤まさみがでかでかと写っている看板の前にいつづけるのだ!夏はまだいいが、冬もだぞ!暖をとるのも兼ねているのだろうが、カップラーメンを食べながら、その看板を見つめ続けるというシーンにはさすがに度肝抜かれた。熱燗でいいじゃん!しかも戸田恵里香も彼に付き合い延々その看板を見続けてるのである!!いいやつだな!

――――と、話がかなりそれたが、前回の第二話の終盤。山Pと長澤まさみが『若者のすべて』の歌詞の解釈をめぐって口論になるシーンがある。あからさまな『レザボア』引用だが、そこまで白熱して見れるものではなく、すごくほほえましい感じで撮られていた。

んで、このシーンをきっかけに改めて『若者のすべて』を聞いてみたら、妙なことに気づいた。この曲ってミスチルの『HANABI』に似てないだろうか?

もちろん単純に「花火」というキーワードが一緒というのもあるが、最初にこの二曲が似てるなと思ったのはサビにいく前の展開。アレンジから何からほぼ一緒でそのまま「けしてつかまえーることのでーきないー」と歌い出せるくらいだ。

ここが似てるなと思ってから両者を聞き比べたら、あら不思議。この二つ以外にもいくつか共通点が。

まず曲に入ってからのリズムパターン、これが一緒である。この手の楽曲でJENが叩くようなドラミングではない。

そして曲の展開。『HANABI』はBメロがBメロらしくないというか、これ単品でもサビとして通用するくらいキャッチーで盛り上がる。最初に聴いたときここがサビかと思ったくらいだ。

若者のすべて』もBメロがとても印象的でサビとしてもいけるくらいのクオリティを誇っている。なんでそんなことがいえるのかというと、この『若者のすべて』のBメロはキンモクセイの『メロディ』という曲のサビと酷似しているからだ。そのあとにガツンとしたサビがくるという凝った展開なのだが、ミスチルはサザンみたいにBメロはこれぞBメロみたいなメロディをもってくるという印象があるので『HANABI』は珍しいケースといえる。

さらにウィキペディアで楽曲を調べたところ、なんとこの二曲は変ニ長調で書かれていることもわかった。恐らく半音チューニングで作曲されたものなのだろうが、見事にコード進行はB♭からはじまっている。そして『HANABI』も――――想像通り、半音チューニングでB♭からはじまっていた。ピアノで作られた曲であれば話は別だが、ミスチルの曲で半音チューニングというのはほとんどないのでこれも珍しい。

しかもミスチルのフロントマンである桜井はBankBandで『若者のすべて』をカバーしてるということもあり、楽曲を知らないわけがない。『HANABI』という曲がもし『若者のすべて』にインスパイアされてできた楽曲だとしたら、それはすごく興味深い事実である。一見似てない曲が細かい部分でつながり、それがまったく別の曲に生まれ変わるということはよくあることで、実は『CANDY』がスキマスイッチの『奏』と譜割が一緒であるように、この『HANABI』と『若者のすべて』もそういった元ネタうんぬんとは違う関係性を持った楽曲なのかもしれない。

ちなみにこれはどうでもいい話だが、奇しくも『HANABI』は山Pが出ていたドラマの主題歌でもある*1。そこまで狙ってわざとあのシーンを……いや、それはないな。

SINGLES 2004-2009

SINGLES 2004-2009

*1:コメントによるとそのドラマにはなんと戸田も!