山崎貴の気になる監督とは……『寄生獣 完結編』

寄生獣 完結編』をレンタルDVDで鑑賞。

DEATH NOTE』にはじまり、近年、漫画原作の映画は前・後編で二部作になることが多いが、そのなかでもわりと失速せずに前編のいきおいのまま、突っ走ってる部類で、むりやりふたつに分けてる感じがなく、もっといえば二本合わせて4時間弱なのにムダがない。おもしろさがドンドン加速していき、そこそこスケールも大きくなり、残虐な描写もパワーアップしていく。といっても『るろうに剣心』とか観てないんだけども。

特に前作以上に冴えているのが脚本家、古沢良太の悪意である。

リーガル・ハイ』あたりからにじみ出てきた古沢良太の人間に対する不信感と憎悪が「寄生獣」というフィルターを通して爆発しており、今作ではそれを人間以外の生命体から語らせるという荒技に出た。かなりオブラートに包んでいるものの、要約したら「人間とはどうしようもなく愚かで、一人残らず死んでもよいクズのようなもの」ということを真っ正面から訴えており、ある意味で危険な凶悪作ともいえる。山崎貴もそれに引っ張られる形となり、PG-12という縛りの中でやれることはやったのではないかと。

アクションシーンはお見事で、クライマックスはハラハラしっぱなし。橋本愛の濡れ場もかなりリアルでなまなましく、別にヌードじゃなくとも艶っぽさは出そうと思えば出せるということで、演出の重要さに改めて気づかされる。

原作がそうであったようだが、『スピード』みたいな二段構えのクライマックス(古くは『駅馬車』からだが)は蛇足だと思った。放射能の扱いに関しては批判も多いだろうし、いらない気もしたが、まぁ『探偵はBARにいる2』でもやってたので、やりたかったことなのだろう。

そういえば、山崎貴が「加藤浩次の本気対談!コージ魂!!」にゲストとして呼ばれた際「気になる監督はいるか?」という質問に対し、即答で名前を挙げたのが樋口真嗣だった。同じVFXあがりでカテゴリーとしては一緒と語り、「樋口さんが攻撃されてるとおいふざけんなよと思うわけですよ。樋口さんにしか撮れない映画撮ってんだよって。樋口さんの映画が当たるとすごい嬉しいし、当たりすぎるとムカつくし、複雑な感覚ですよね」と言っていた。

すごくわかりやすいというか、正直な人だなと思ったのだが、そんなふたりが奇しくも同時期に同じ人気漫画原作でしかも前後編の二部作という、似たような作品で真っ向勝負することになったというのはおもしろい。売り上げこそ若干低かったものの、作品のおもしろさだけでいえばぼくは『寄生獣』に軍配があがるなと思った。山崎貴はどのような気持ちで『進撃の巨人』を観たのだろうか。是非とも感想が聞いてみたいものである。

と、あまり書くこともないので、こういうことでお茶を濁してみた。