“ヒップホップの寓話”『TOKYO TRIBE』

TOKYO TRIBE』をレンタルDVDで鑑賞。

ウォルター・ヒルが日本で撮った“ヒップホップの寓話”って感じであり、その元々『ストリート・オブ・ファイヤー』が持っていた薄っぺらい部分やダサさも含めておおいに楽しんだ。

バトル・ラップ・ミュージカルと銘打って公開されたが、ホントに丸々二時間のあいだ、ラップと格闘アクションしかなく、かなり潔い映画。元々は原作から台本を起こすのに悩んでいたところ、セリフを全部ラップにしたらいいんじゃないか?というアイデアが浮かんだそうだが、これは実写映画化という部分においては大正解だったのではないだろうか。そもそも漫画のファンは何をどうしたって納得しないわけだし。

園子温監督作品にしては画面のルックがゴージャスであり(良い意味でも悪い意味でも)、架空の“トーキョー”を表現するためのセットのクオリティは高く、それをメインにカメラを長めにぶん回したのは大正解。もちろんそれだけじゃなく、役者へのまなざしと使い方はさすがで、身体がキレまくりの清野菜名のアクション。『キル・ビル』と勘違いされてキレるしょこたん。このためだけに登場するミニスカ佐々木心音。乳わしづかまれるだけの叶美香。フレッシュなYOUNG DAISの存在感。『時計じかけのオレンジ』みたいな部屋で暴れ回る窪塚洋介。驚異的な肉体で日本人離れした立ち振る舞いを見せる鈴木亮平。カメラ目線でラップし続ける染谷将太と、全体的に海背川腹感が漂う。しっかりと調理することにより、彼らがわちゃわちゃしてるだけで最後まで観れるようになっているのも特徴(あと市川由依も含め女性陣のおっぱいの出し方は異常、ヌードもふくめて)。

その役者のぶつかり合いと、終始、似たようなことを言い続けるラップがメインのため、ぶっちゃけストーリーはあってないようなものであり、見終わったあとも釈然としないというか、あまり理解できてないが(なんか、カラーギャングがケンカしてるくらいの)、クライマックスに訪れる『DEAD OR ALIVE』的な強引な終わらせ方に、なぜかここいちばんで地震がくるなど、三池崇史が撮ったらどんなことになっていただろうと興味が沸く。

YOUNG DAISと鈴木亮平の確執の理由が死ぬほどくだらないなど、そのあっかんべー感も含めて園子温の娯楽部分をむき出しにした作品。元々おふざけしかない映画なので文句をいうのも野暮かなと。『地獄でなぜ悪い』を想像して、大爆音で観るべし。

TOKYO TRIBE/トーキョー・トライブ [Blu-ray]

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