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ウルトラマンネオス6話「ザム星人の復讐」

(東京MXテレビ・毎週日曜18:30の円谷劇場にて『ウルトラマンネオス』放映「全話評」連動連載!)
『ウルトラマンネオス』#1「ネオス誕生」
『ウルトラマンネオス』#2「謎のダークマター」 〜ザム星人・初登場!
『ウルトラマンネオス』#5「見えない絆」 〜満留浩昌監督の傑作・『ネオス』ブレイク!
『ウルトラマンネオス』1995年版 〜Wヒーローならテーマへの多角的アプローチが可! 防衛隊も巨大ロボを持て!
『ウルトラマンネオス』全話評 〜全記事見出し一覧

#6「ザム星人の復讐」

(復讐ロボット)ザムリベンジャー登場
(表記のほか脳魂宇宙人ザム星人も登場)

(脚本・武上純希 監督&特撮監督・満留浩昌)
(視聴率:関東・未放映 中部・未放映 関西2.4%)


(文・内山和正)
(02年7月執筆・11月改稿)
 防衛組織HEART(ハート)の科学分析担当・アユミ隊員も日本代表として出席する、暗黒物質ダークマターを研究する世界中の科学者たちが集合する会議が、日本の郊外の高級ホテルで開催される。
 この会議に参加するためアメリカからオオトモ博士(白島靖代)も成田空港に帰国した。


 それを遠方から双眼鏡で監視するサングラスで黒スーツ姿の白人男性。


 オオトモを主人公カグラ隊員とナナ隊員が出迎えて、防衛組織HEART(ハート)の特殊車両で警護も兼ねて開催場所の会議場へ移動するが、彼女を狙って謎の白い円盤が……



 第2話「謎のダークマター」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120311/p1)でレギュラー入りした、内閣情報局からHEARTへの連絡役をつとめるフジワラ秘書官(村上聡美)。
 これまではHEARTを批判するイヤミな憎まれ役として登場してきた彼女だが、このエピソードを経(へ)て協力的になる。


 それとともにラストへと至るザム星人三部作――話数的には1話・本話・11〜12話である最終回前後編の四部作だが――の中間点でもあり、二重の意味で重要な回である。



 共に文武両道のエリートで、フジワラ秘書官の旧友にしてライバルでもあるオオトモ・ナツミは、自分の夢である世界最高の研究機関に留学できる選抜生となることをかなえるために、10年前の学生時代の弓道での勝負で汚い手段でフジワラを蹴落としていた。
 彼女のその際の悔恨を前半の目玉にしている。


 10年後、高級ホテル内の和風の弓道室で再戦するふたり。
 このシーンは10年前の記憶とオーバーラップさせながらの緊迫感ある空気がみなぎる演出といい、フジワラを演じる村上聡美と、80年代の少女漫画の映画化で名作の誉れも高い『櫻の園(さくらのその)』(1990)などでも知られるゲストの美人女優・白島靖代のふたりの張りつめた演技といい、見事な名シーンとなっている。


 その後の展開にはある種の意外性があるが――ネタバレになるので詳細にはふれないが……。といってもすでにマニア誌などでバラされてもいたが――、それを成立させるための説明付けができているのが感心する。
 フジワラとオオトモの人間関係・どんでん返し・戦い……と短いなかでうまくまとめたとも思う。


 10年前の憎きことも今では良い思い出で、人生は変わってしまったが今の自分の境遇に不満はないのだとヒューマンなところを見せて、フジワラ秘書官の人物像を描きこみ好感度をアップさせてもいる。



 HEARTが警護する高級ホテル自体が、すでに先行して人間に化けていたザム星人たちによって占拠されていたという描写、それを見破るウルトラセブン21(ツーワン)という描写も面白い。


 ザム星人たちは第2話ラストでのザム星人の指導者の死を、地球人のせいだとして復讐しようとする。


 ホテルの近場の湖からザム星人の白い円盤が浮上! スローモーションで重厚感を出しつつもミニチュア特撮の宿命で水飛沫(しぶき)が大きいので巨大感が十分とはいえないが、このへんは懐かしいアナログ特撮の醍醐味が味わえる。


・彼らの繰り出した円盤が変形して出現する巨大な白いロボット・ザムリベンジャーとウルトラマンネオスの巨大な者同士の戦い
・ザム星人の地球人態とウルトラセブン21(ツーワン)の人間サイズでの戦い(およびその後のサスペンス)


 この両者のバトルの同時並行が、特撮・アクション面での見どころでもある。


 ザムリベンジャーは往年の東映巨大特撮『ジャイアントロボ』(1967)や東宝の『ゴジラ対メカゴジラ』(1974)のメカゴジラ、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1992・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120220/p1)の6人目の戦士ドラゴンレンジャー・ブライの守護獣ドラゴンシーザー同様、ロボットヒーローやロボット怪獣の伝統にのっとって、両手の指にフィンガーミサイルが内部から次々に装填されてそれを発射する一連のシーケンスも格好いい。


 残酷であるからとの自主規制で近年ではすっかり見られなくなってしまったヒーローの切断技。
 だが、今回と前回5話「見えない絆(きずな)」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120325/p1)でのウルトラマンネオスは、往年の初代ウルトラマン(1966)や帰ってきたウルトラマン(1971)、ウルトラマン80(エイティ)(1980・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)も放った必殺の切断技・八つ裂き光輪(ウルトラスラッシュ)をついに放つ!
 前話では怪獣の背中の甲羅にはじかれてしまい、本話でもバリアにはじかれてしまうのは残念ではあるが。


 セブン21の裏方での活躍も効を奏し、機能不全に陥(おちい)ったザムリベンジャーを、ネオスは力技(ちからわざ)のパンチやエルボの連打でバリアを砕き、渾身の拳の一撃でトドメを挿すのも熱いバトル演出だ。
 光線技による爆発四散ではなく、片膝をついて敵が機能を停止するのもパターン破りの味わいがある。


 しかし、戦闘のみでなく、「復讐するは我(註:神様のこと)にあり(=神が代わりに復讐をするから人間は相手に報復をするな)」などと新約聖書の一節を引いて無益な争いをやめさせようとし、復讐を遂げた(と思いこんだ)ザム星人の自決に心を痛めるやさしい戦士セブン21の、地球人だけでなくザム星人をも大切に思っている心――自身も宇宙人なのだし、セブン21から見れば地球人もザム星人もともに宇宙人として等価に見えるであろうから、不思議ではないのだが――が改めて強調されていることが興味深い。


 ヒーローが一応の敵である宇宙人側の味方もするインパクトは2話のほうがあるだろうが、全体的に描き込みが浅い2話だけでなく、今回の6話で同じテーマが繰り返されたことによって際立って見えるのだ。


 なおカグラは、地球人に復讐しようとするザム星人に対して、地球人のせいにするのではなく、自分(ネオス)のせいにしてくれと頼む。
 ここでのカグラは地球人・カグラ個人の意識としてしゃべっているのだろうか? それともカグラに憑依しているネオス個人の意識としてしゃべっているのだろうか? 両者の意識は一時的にではあっても渾然一体となってしまっていたのであろうか?


(『ウルトラマンネオス』後半評につつく)


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2003年準備号』(02年8月11日発行)〜『仮面特攻隊2003年号』(02年12月29日発行)所収『ウルトラマンネオス』前半合評2より抜粋)


[関連記事]

ウルトラマンネオス』#3「海からのSOS」

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ウルトラマンネオス』#4「赤い巨人! セブン21(ツーワン)」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120318/p1

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  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120325/p1

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