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超・電王トリロジー EPISODE YELLOW お宝DEエンド・パイレーツ

仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE RED ゼロのスタートウィンクル
仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE BLUE 派遣イマジンはNEWトラル
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『仮面ライダー』シリーズ映画評 ~全記事見出し一覧
『仮面ライダー』シリーズ評 〜全記事見出し一覧


 映画『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』(12年)公開記念! ついでに、同映画の主役が実質、『仮面ライダーディケイド』(09年)の2号ライダー・仮面ライダーディエンドだったこと(?)にカコつけて……。
 同じく仮面ライダーディエンドが主役だった、一昨年の映画『仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE YELLOW お宝DE(デ)エンド・パイレーツ』(10年)評をUP!


 って、もう7月で、『スーパーヒーロー大戦』が4月下旬公開だから2ヶ月以上、遅いよ! ……まぁ2年前の映画評をUPしてるあたりで、速報性が命のネット上での時間感覚では大むかしなのですが(汗)。


 ちなみに、弊ブログ担当者は『スーパーヒーロー大戦』肯定派(笑)。まぁ見せ場の羅列ばっかだけど、そして決してドラマ至上主義者ではない当方だけれども、一応はドラマもあったとは思うゾ。


・ライダー&ライダー敵軍団側に、俺さまキャラの仮面ライダーディケイド(09年)こと門矢士(かどや・つかさ)
・戦隊&戦隊敵チーム側にも、俺さまキャラの海賊戦隊ゴーカイジャー(11年)のゴーカイレッドことキャプテン・マーベラス


 このワル者と化した両者が攻防戦をやっていて。ただ両者は大将としてデンと構えているだけで、本心は隠しているから、特に彼らに内面ドラマが発生するわけではなく(批判ではないよ)。
 その代わりにドラマを担うのは、両者の戦いを止めさせようとするディケイドの2号ライダー・ディエンド&ゴーカイブルー! 彼らの戸惑いと、説得すべきか戦うべきか倒すべきかの葛藤、ディエンド&ゴーカイブルー両者の立場のビミョーな違いと対立と和解。という構図がしっかとあったと思うのだが……。
 実はディケイドこと士のことがスキでスキでたまらないディエンドこと怪盗もとい海東の、ラストでの愛憎あい半ばする暴走行為は半分以上、笑ってしまうけど(もちろんラストは、大きなお友だち、もといお姐さまに向けて狙った、ここで半笑いしてくださいという作劇なのは重々承知しています・笑)。
 ……というようなことも、映画のパンフを読むと、監督や出演者自身が分析的に語っていたりして。ナマヌルい感想ブロガーや同人屋のトークなんぞよりも、よっぽど作品のエッセンスや縮図をうまく言語化していて、批評・感想トークもやりにくい世の中だ。


 『スーパーヒーロー大戦』否定派はどのへんがイヤなのでしょうか? やっぱり設定面での整合性でしょうか?
 最終回で変身アイテム・オーメダルが破損したハズなのに、そんな設定など無視して、あるいは説明抜きで仮面ライダーオーズ(10年)に変身できちゃうあたりとか。そもそも『ゴーカイジャー』最終回で、34大戦隊の大いなる力を元の持ち主に返してたのに、平気で過去戦隊に多段変身しているゴーカイレッドとか(笑)。そのへんか? そのへんに価値判断の基準線を引いていない当方にとってはオッケーな作品なのだけど……。
 (まぁでも往年の映画『ウルトラマン物語(ストーリー)』(84年)で、ウルトラマンタロウ(73年)よりも前にウルトラマンレオ(74年)やウルトラマンエイティ(80年)が地球に来てたらしいという描写には、番外編映画とはいえ少々引っかかるものがかつてあったから、ヒトのことはとやかく云えないか?・笑)


仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE YELLOW お宝DEエンド・パイレーツ』

(2010年06月19日封切)
(脚本・米村正二 脚本監修・小林靖子 監督・柴崎貴行 アクション監督・村上潤 特撮監督・佛田洋

速報! これが『仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THE MOVIE 超・電王トリロジー』だ! 三作連続クライマックスレビュー

(文・森川由浩)
(一昨年2010年06月執筆)


 映画『超・電王トリロジー』シリーズの文字通り“トリ”を務めるのは、『仮面ライダーディケイド』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090308/p1)の副主役ライダー・仮面ライダーディエンドを主役に配した異色作だ。本来、『仮面ライダー電王』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080217/p1)のキャラクターではない彼を主人公に、一体どのような『電王』世界が展開するのか?


 知っての通り、『仮面ライダーディケイド』と『仮面ライダー電王』のジョイントエピソードが既に存在する。『ディケイド』での「電王の世界」前後編に相当する第14話「超・電王ビギニング」第15話「超モモタロス、参上!」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090503/p1)と、このTV放映と連動して公開された映画『劇場版 超・仮面ライダー電王&ディケイド NEO(ネオ)ジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100524/p1)である。その流れからしても、『ディケイド』のキャラクターを軸にした『電王』が存在しても不思議ではない。


 イマジン怪人の暗躍を感じたモモタロス・ウラタロス・キンタロスリュウタロスの四人は、その行方を追うが、そこに現れたのは仮面ライダーディエンドこと海東大樹(かいとう・だいき)。だが彼の瞳と髪の一部は赤く、何やら魔物にでも憑依(ひょうい)されているような表情だ。そう、彼はスパイダーイマジンにボディジャックされていたのだ。


 遅れて少年の姿をした野上良太郎(のがみ・りょうたろう)が現れるが、そのとき海東の身体から抜け出したスパイダーイマジンが実体化、「2008年11月22日」の過去の時間へ飛んだ。良太郎は仮面ライダー電王に変身して時の列車デンライナーで追いかけてスパイダーイマジンを倒す!
 が、必殺技を放つときにライダーパスを捨ててしまったことを思い出す。良太郎たちが探し出すが、時既に遅く、パスは海東の手に渡り、彼はデンライナーを乗っ取る。


 その海東はある時間でデンライナーを降車し、愛銃のディエンドライバーで何者かを狙撃する。驚くべきことにそのターゲットは2008年11月22日の海東大樹、つまり自分自身であったのだ!


 そこに現れた時間警察の刑事・黒崎レイジ。彼は人工イマジン・イブと契約したことにより、仮面ライダーG電王に変身する。
 イブの機械による敏速な判断とレイジの優れた運動神経によるコンビネーションは、ディエンドよりも強力・強大で、海東とモモタロスたちは彼により逮捕される。


 突如現れた時間警察の存在とは何か? 海東がむかしの自分を狙撃した目的は? そして仮面ライダーG電王こと黒崎レイジの正体と彼の衝撃の過去とは何なのか……?


 『仮面ライダーディケイド』で“お宝ハンター”と称して、各ライダーワールドを引っ掻き回していった男・海東大樹こと仮面ライダーディエンド。独特の口調とお宝のためなら我が身の苦難もいとわないこだわりの美学を持つ男。彼が何ゆえに2008年11月22日に固執し、その時間に飛んだのか?


 海東が目指したお宝が、伯爵の血を引く黒崎家に伝わる黄金色に輝く宝飾拳銃で、それを盗んだときが前述の時間でもあった。そのときに自分のヘマで銃を破損してしまったことに、悔恨の念とお宝トレジャーとしてのプライドが許さないものがあったため、過去の世界に飛んでお宝を守るためにかつての自分自身の行為を妨害し、銃の損傷を防ごうとこだわったのである。


 そして、その現場で海東の姿を目撃した子どもが幼年時代の黒崎レイジであった。同じ過去の時間に現れた時間警察の黒崎レイジと海東は実は因縁の再会でもあったのだ。


 この黄金の銃。カラーリングコンセプトは往年のスパイアクション映画『007 黄金銃を持つ男』(イギリス 74年)からのフィードバックかと思われる。
 が、その銃を収納していた宝箱に、何通かの手紙が入っていたことが、今回のドラマの見せ場にリンクしてくる。


 手紙は水島さゆりという女性がレイジに宛てたものだった。しかもさゆりはレイジの生みの親で、のちにレイジの父と離婚、別居している境遇が明かされる。その母子関係が、レイジの人格形成にも大きく影響し、人間不信に陥(おちい)らせたことも語られるが、やがてそれが物語を思わぬ方向に進行させる布石(ふせき)になる。


 また本作でのイマジン・イブの正体が人工イマジンであるという素性も本作の特色のひとつだろう。遂に人類はイマジンを自らの手で作り出すまでに至ったのだ。その人工イマジンを生んだのは時間警察。時の運行を管理するための組織である。


 ここでイブは、常に感情を廃して現実だけを判断の材料とする機械的な存在として登場する。その機械の絶対性をレイジも信頼しきっている。それゆえレイジがイブと組んで変身する仮面ライダーG電王は限りなく強い。


 これらの特徴から、特撮作品における機械化社会への警鐘テーマのスタンダードとして存在し、今尚高い知名度を誇る『ウルトラセブン』(67年)第43話「第四惑星の悪夢」を連想する特撮マニアは多いだろう。『セブン』放映当時から既に40年以上のときが流れ、今や携帯電話やインターネットで機械化社会の恩恵を常にリアルタイムで享受し、その利便さを当然に思っている現代人の我々ではあるが。


 そして、人工イマジンという存在には、機械化社会への警鐘だけでなく、『帰ってきたウルトラマン』(71年)第34話「許されざる命」や怪獣映画『ゴジラVSビオランテ』(89年)や映画『仮面ライダーZO(ゼットオー)』(93年)でお馴染みの、人間にとって禁断の聖域である「生命の創造」に介入することの是非を問うモチーフを重ね見ることもできる。
 改造人間というモチーフでスタートした『仮面ライダー』シリーズも、ついにこうした機械と人工生命によるハイブリッド生命体ライダーの登場を迎えることになったのだ。


 平成仮面ライダーが、改造人間といった旧来のシリーズで絶対条件であった要素を一旦捨て、肉体の改造手術とは違う理由でヒーローの能力を授かる形式になってから11年。


 ここに公式サイトでも記載された


 “『EPISODE YELLOW』は「仮面ライダーシリーズ」としての『電王』のこれからを描いております。”


 の文言がシンクロしてくる。


 “これから”とは、旧来のフォーマットにとらわれず、斬新なアイデアを満載して、“旧来の仮面ライダーらしさ”にもこだわらず、平成シリーズの自由奔放で縦横無尽なライダーワールドを更に拡大する設定の新ライダーであるがゆえに、意表を突いたアイデアも次々に導入し、作品を活性化させるという意思表示もあるのだと思いたい。


 東映白倉伸一郎プロデューサーは、『EPISODE YELLOW』パンフレットでこうコメントした。


 「「“平成ライダー”には、成功の法則が存在しない」ということ」
 「4作目の『仮面ライダー555(ファイズ)』ぐらいまでは、なんとなく成功の法則のようなものはあったのかもしれないんですが、時が過ぎるにつれて、それが通用しなくなってきたんですね。」


 00年代前半をピークに人気面では下降線をたどる印象もあった平成ライダー。リアルでオシャレでもあるがライダーたちの内部抗争劇も描いて時に殺伐とした印象も与えていた平成ライダーは、『仮面ライダー電王』では陽気でコミカルな作風に刷新。
 『仮面ライダーディケイド』では歴代の平成ライダーのみならず昭和ライダーまで登場させて視聴率も盛り返し、その勢いで2人の主人公が合体変身する推理ものの趣向も取り入れた『仮面ライダーW(ダブル)』(09年)1話(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100809/p1)ではひさびさに視聴率10%超えも果たした。
 法則に縛られず、自由奔放に別分野のジャンルの趣向も取り込み、新種の媒体でも活躍するライダーの誕生を今後も期待したい。



 また、本作における水島さゆりと黒崎レイジの母子関係には、非情にシビアな宿命を感じた。
 人工イマジン・イブという機械が持つ非情さを描くのと並行して、離婚により親権の関係からか息子に会えないという、子供にとっても非情なことになってしまった母親である水島さゆりの人生が対比されていく。
 実は父親が隠していただけで、母親から大量の手紙が実家に届いていたことが明かされるシーンは、本作のドラマ面でのクライマックスのひとつだ。


 常に息子のことを母が気にかけていた過去を描いて、人間の持つ温情を作品の根底に置き、親子の情愛を描くことにより、レイジを非情にしてしまった原因である生みの母親の存在こそが、結果的に彼に人間性を取り戻させていく……といったコンセプトで物語を進行させていくことが本作の特色でもあった。


 男女の愛、親と孫の愛、次は母と子の愛。しかも最後の愛は、訳あって離別させられた状況から来る母と子の愛であった。『超・電王トリロジー』三部作は、それぞれの作品が愛を大々的に描くことに至ったわけである。


 人工イマジン・イブとの契約でより非人間的で非情な性格になっていたレイジだが、母からの手紙で母の自分への愛情を痛感、人間性を取り戻した。


 だがイブはそんなレイジから飛び出し、単体で仮面ライダーG電王に変身する。人間の感情を廃し、機械の性能と判断で攻撃するG電王。人間により生み出され、人間と契約したが裏切られたイブは、遂に人類への復讐に挑むのであった。


 レイジは銀色のジュラルミンケースの中から、何やらベルトのバックル風の器具を取り出し海東に手渡す。それは仮面ライダーディケイドも所有していた、最終強化形態コンプリートフォームへの変身アイテムであるケータッチだ。


 なぜ時間警察がケータッチを持っていたかは不明だが、人工イマジンが仮面ライダーディケイドのコンプリートフォームを研究し、強敵に対処する術として仮面ライダーG電王のために準備していたと推測する。イブと分離しライダーには変身できないレイジは、海東に全てを託した。


 液晶ディスプレイのアイコンにタッチ、コンプリートフォームに変身する仮面ライダーディエンド。彼のボディ表面に装着されたあまたのカードには、他の仮面ライダーの勇姿が描かれている。ここに登場したライダーは全て劇場版平成仮面ライダーシリーズに登場したゲストライダーたちだ。


・『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4(プロジェクト ジーフォー)』(01年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011104/p1)より、仮面ライダーG4(ジーフォー)。
・『劇場版 仮面ライダー龍騎(りゅうき) EPISODE FINAL(エピソード ファイナル)』(02年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021104/p1)より、仮面ライダー龍牙(リュウガ)。
・『劇場版 仮面ライダー555ファイズ) パラダイス ロスト』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031104/p1http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031105/p1)より、仮面ライダーオーガ。
・『劇場版 仮面ライダー剣ブレイド) [MISSING ACE](ミッシング エース)』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041107/p1)より、仮面ライダーグレイブ。
・『劇場版 仮面ライダー響鬼(ヒビキ) 7人の戦鬼たち』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060314/p1)より、仮面ライダー歌舞鬼(かぶき)。
・『劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE(ゴッド スピード ラブ)』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060820/p1)より、仮面ライダーコーカサス
・『劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20081004/p1)より、仮面ライダーアーク。


 彼らを実体化させて、仮面ライダーディエンド本人も加えて総勢9名のライダー軍団が出現!


 9人のライダーによる必殺攻撃ファイナルアタックライドで、人の心を持たぬ人工生命体ライダーは敗れた。


 “歩くライダー図鑑”などと『ディケイド』中盤のサブタイトルにまでなったこのコンプリートフォーム。


 しかも


 「ゲキジョウバン!」


 とお誂(あつら)えのケータッチよりのコール電子音まで付く入れ込みよう。


 売りは劇場版平成仮面ライダーに登場したゲストライダーたちの一斉召喚。
 だが、なぜか『劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080215/p1)に登場した仮面ライダー牙王(ガオウ)と『劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン』(08年)に登場した仮面ライダー幽汽(ゆうき)がいないのは気になる。
 その類のことに詳しいマニアならばご存じの通り、幽汽は牙王のコスチュームの改造であるために、牙王は当然登場できない。ならば幽汽が登場してもよさそうだが、幽汽も現在はコスチュームが現存しないのだろうか?


 2008年の世界での戦いが終わり、その時間世界で人工イマジンの支配から解き放たれたレイジが、手紙の住所を頼りに立ち寄る街中のお花屋さん。パートらしき中年の女性店員が応対する。


 名札を見て驚愕(きょうがく)するレイジ。水島さゆり。レイジを産んだ母親だ。
 店内のテーブル上に置かれた写真。そこには自分の子ども時代の姿がある。母親の自分への情愛を目の当たりにし、驚天動地に陥る。


 母と息子の、思わぬ再会であった。誰にその花を贈るのかを聞くサユリ。


 「おふくろです」と語るレイジ。


 それに反応し、訳あって息子と別れて暮らしている境遇を語りだすサユリ。息子に恨まれているのではとつい口にした。


 「そんなことないですよ」と返すレイジ。決して社交辞令ではなく、これは本心からの言葉だ。ほんの少し前の自分はそうではなかったが、今の自分は母を恨んではいない。


 その成人レイジに2008年当時の少年レイジがオーバーラップ。通りすがりの客でしかないのに、どこか他人ではない雰囲気を感じつつ、年齢は違うけどこの客がまるで息子ではないか? と思いながら、レイジを送り出すさゆり。


 2008年の少年レイジが今後歩んでいくであろう宿命は後戻りできないものではあっても、成人のレイジと母の間には何かしらの雪解けを感じさせ、観る者に安堵感を与える。



 三作目で母と子のドラマを描いてみせ、大いなる感動を観客に与えたこの映画。
 母と子のドラマといえば、世代人としてはここで言及したい作品がある。こじつけを承知で書くが、本作でも活躍する東映の中曽根千治プロデューサーの代表作『スケバン刑事(デカ)』TVシリーズだ。


 一作目の『スケバン刑事』(85年)では、宿命に引き裂かれた母子の再会。束の間の幸せも許されず宿敵・海槌麗美(みづち れみ 演・高橋ひとみ)との最後の対決へと再び戦火に身を投じ、その後の行方は生死不明。知る者は誰もいない存在となった初代麻宮サキ(演・斉藤由貴)。


 続く二作目『スケバン刑事II』(85年)では、幼い娘に止むなく鉄仮面を被(かぶ)せ、その悲しい宿命に負けず強く正しく生きるように育てるが、その後無理が祟って病死した二代目麻宮サキ・五代陽子(*5)の母、五代道子(演・泉晶子)の存在。


 本作のさゆり・レイジ母子はここまで熾烈(しれつ)で過酷な境遇ではないが、普通に親子生活をしているのが当たり前のように思えるこの世の中、『スケバン刑事』で描かれた悲運に引き裂かれる母子、謝罪の念に駆られながら子を思う親の情愛に彩(いろど)られたドラマを、この『超・電王トリロジー』シリーズのラスト『EPISODE YELLOW』ではシチュエーションに持ってきたのだった。


 結局この人工イマジンが支配する時間警察は、廃止に至った。人間が作りしものは、最終的に人間には敵(かな)わなかったのだ。


 戦い終わりひと時の休息。ナオミの淹(い)れるコーヒーを飲むデンライナーの仲間たち。
 だが良太郎のマグカップがいつの間にか紛失、代用品の湯飲み茶碗に変わっていた。


 その一方、元の自分の住む世界に戻り、『仮面ライダーディケイド』でおなじみ光(ひかり)写真館の前にたたずむ海東。
 彼の手には良太郎のマグカップが。デンライナーの中から盗んできたようだ。まさか良太郎のデンライナーでの愛用品こそが海東にとっての本当の“お宝”だったのか? だとすると、海東がそのカップを狙った目的は何? 単なるイタズラか?


 小さな疑問を観る側に抱かせながら、映画は幕となる。



 ものはついでに母子の愛情の要素について言及したこともあり、本作終了直後に流された8月公開の映画『仮面ライダーW(ダブル) FOREVER AtoZ(フォーエバー エートゥーゼット)/運命のガイアメモリ』(10年)の予告編の話題に入らせて頂く。


 その予告にて仮面ライダーWにふたりで変身するうちのひとり・フィリップが、TVシリーズでもナゾの存在とされてきた自分の母親の存在を物語る慟哭(どうこく)のあとにゲストヒロイン、マリア・S・クランベリー(演・杉本彩)の姿が映し出されたのがなにやら意味ありげであった。マリアはフィリップの実の母親なのか?


 母と子の情愛を存分に見せたあと、即座にこの予告が流れたのはショッキングであった。これも次回作に客を引っ張る上での連携プレイなのだろうか?


 また一作目である『EPISODE RED』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110403/p1)では堂々のヒロインであった野上良太郎の姉・愛理(あいり)は、三作目である本作と二作目『EPISODE BLUE』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110516/p1)では脇役に甘んじていたが、確かに1シーンのみとはいえ、印象的且(か)つ重要な役どころを担(にな)っている。


 この映画はトリロジーシリーズの最終作ということから、これまでのシリーズで明かされなかったナゾに対する回答も示されたが、それも各シーンで彼女を通じて描かれている。


 愛理が営む喫茶店ミルクディッパーの店内に飾られている絵が、映画『俺、誕生!』のラストシーンで画面に現れた、生まれたばかりの良太郎を囲む両親と姉の絵であることに気付いたファンもいたかと思われる。
 この絵、子供時代の良太郎がなくしてしまった家族写真の代わりに愛理が描いたものか? と個人的には思っていた。だが、実は良太郎(『俺、誕生!』で活躍した良太郎の子供時代の小太郎?)が描いたものであったのだ(写真をなくしたことの償(つぐな)いとして描いたのか? 詳細は語られないが)。


 愛理は突然子供時代の姿に変わった弟のことを配慮し、食事療法といわんばかりに特製のひじきサラダも差し出す。


 今後の『超・電王』シリーズを続ける上での物語の設定整理的な描写も見られるのが本作の特徴だろう。


 海東に利用され、あえなく電王に倒された敵怪人スパイダーイマジンにも注目してみよう。このキャラクターは映画『俺、誕生!』とのリンクもあったTVシリーズ『電王』第25話、第26話に登場した怪人の再登場である。あのスタイリングにノスタルジーを強く感じたファンも多いと思われる。


 赤と黒を基調とした蜘蛛(くも)の巣状のカラーリングと触覚の形状。これは明らかに、『仮面ライダー』第一作(71年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140407/p1)第1話「怪奇蜘蛛男」に登場したショッカー怪人・蜘蛛男(くもおとこ)へのオマージュの強さが打ち出すビジュアルに起因するものだ。一作目の第1話に登場したこともあり、蜘蛛はライダー怪人の中でも多く、そして第1話・トップバッターを飾ることも多いモチーフの動物でもある。


 歴代仮面ライダーシリーズで蜘蛛型の怪人・怪物が第1話に登場したケースを取り上げると、


 『仮面ライダー』(71年) 蜘蛛男
 『仮面ライダーアマゾン』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090809/p1) クモ獣人
 『仮面ライダーBLACK(ブラック)』(87年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090802/p1) クモ怪人
 『仮面ライダークウガ』(00年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001107/p1) ズ・グムン・バ
 『仮面ライダー龍騎』(02年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021102/p1) ディスパイダー


 以上五作もあり、またトップバッターを飾らなかったとはいえ、蜘蛛の怪人はシリーズ中多く、仮面ライダーシリーズを代表する怪人コンセプトの動物であると痛感する。


 だが本作ではメインキャラクターの位置づけではなく、海東を2008年11月22日の時間に運ぶために利用された存在である。またこの映画では、ゲスト怪人イマジンがどちらかといえば人工イマジン・イブ=仮面ライダーG電王であることの物語比重の主従関係も手伝って、冒頭に登場してすぐにやられてしまう怪人は予算面の関係で流用にて済ませたのだと推測する。


 『超・電王トリロジー』シリーズはこの三作目で終了したが、この作品のみ脚本が米村正二で、脚本監修が小林靖子の体制で製作されているのが目印となる。その米村は、第7回大伴昌司シナリオ賞を受賞、脚本家となった人物である。


 アニメ作品を中心に活躍。東映特撮では白倉伸一郎プロデューサーが担当した深夜特撮『Sh15uya(シブヤフィフティーン)』(05年)が初参加。
 以後『仮面ライダー響鬼(ヒビキ)』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070106/p1)中盤での高寺成紀(たかてら しげのり)から白倉伸一郎へのプロデューサー交代後に平成仮面ライダーシリーズに参入。『仮面ライダーカブト』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070211/p1)〜『仮面ライダーディケイド』(09年)まで連続して登板。そして特番だけのオリジナル企画『仮面ライダーG』(09年)も担当した。


 『仮面ライダーディケイド』では、第13話で降板した會川昇(あいかわ・しょう)に代わり、シリーズ中期から後期にかけて事実上のメインライターとして活躍。劇場版も並行して手掛けるが、マニア間ではあまり芳(かんば)しい評価はされてこなかった。
 映画『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091213/p1)においてオールスタームービーに相応(ふさわ)しいキャラクターの使い方ができなかったこともある。特に『ディケイド』最終回(第31話)「世界の破壊者」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090829/p)で視聴者が最も期待していた物語の結末を明確に見せなかった終わり方には、多くの批判が集中、イコール米村のせいといった風潮が強くなり、彼自身の評価を更に落とす結果にもなってしまった。もちろん『ディケイド』のストーリー展開は実際には白倉プロデューサーの意向が非常に強いのであろうが。


 だが今回の『EPISODE YELOW』は『電王』らしさにあふれ、そして“泣き”のドラマで観客を感動させる作品に仕上がり、これまでの不評を吹き飛ばすだけの評価を得ていることに注目したい。これには小林の監修の目が行き届いているからといった声も聞かれそうではあるが。


 現在は平成ライダーの後座枠の女児向けTVアニメ『ハートキャッチプリキュア!』(10年)でも健筆を奮って良作をものしていることは見逃せない。今後の更なる活躍に期待したい。(後日付記:『スマイルプリキュア!』(12年)ではメインライターに昇格)


 監督は柴崎貴行。このシリーズでは若手に属する78年生まれのまだ30代前半の監督である。『仮面ライダークウガ』(00年)で助監督として参加、以後平成仮面ライダーシリーズを支える大きな担い手に成長、『仮面ライダーカブト』(06年)で監督に昇進。正に平成ライダーで育った監督の代表格である。


 だが監督デビューをする前に、児童向けテレビ誌「てれびくん」(小学館刊)の読者全員プレゼントDVDでメガホンを執っていることに注目したい。『仮面ライダー剣』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041101)から『仮面ライダーディケイド』(09年)に至るまで同誌DVDの演出を手掛け、『電王』のキャラをフィーチャーした『イマジンアニメ』(07年〜)に加え、『ネット版 仮面ライダー裏キバ 魔界城の女王』(08年)に始まる夏の劇場版ライダーのネット公開のスピンオフムービーまでと、幅広い展開を見せる平成ライダーワールドのTV、映画以外の他メディア作品の演出で腕を磨いてきた監督でもあるのだ。


 一時期『仮面ライダーキバ』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080225/p1)では助監督に戻ったが、『仮面ライダーディケイド』(09年)で監督に復帰、第18〜19話の「響鬼の世界」前後編(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090531/p1)でのドラマ性と斬新な映像を両立した演出でマニア間に高い評価を受け、本作で銀幕デビューを飾り、現在に至る。


 そしてこの『超・電王トリロジー』三部作の共通OP(オープニング)映像が柴崎の演出によるものだ。新鋭の銀幕デビュー、今後の躍進を楽しみにしたい。



 この三部作は、先に言及したように長期休暇時期から外れ、尚且つ祝日のない時期で、おまけに梅雨入りの時期も重なり、雨天で外出を控えることもある上、興行界ではあまり高収益を期待できない時期にも関らず、前売り券の売上はまた新記録を更新。前年度の『超・電王&ディケイド』(公開日合わせ)対比202.4%の数字をはじき出した。(出典・「文化通信速報」2010年4月30日付)


 映画興行成績のランクも、『告白』(東宝 10年)に首位は譲ったものの、『セックス・アンド・ザ・シティ2』(アメリカ 10年)『アリス・イン・ワンダーランド』(アメリカ 10年)などの話題作を尻目に第2位にランクイン、大躍進の成果を見せた。
 シリーズ三作の累計興行収入は、どうやら10億の大台に達したようで、これから公開延長などの可能性もあるため、最終的な累計は更に上昇するのではと予測する。(後日付記:最終的な興行収入は13億1千万円) 興行形態の新規開拓は大成功といったところであろう。


 東映鈴木武幸(すずき・たけゆき)プロデューサーも前述の「文化通信ジャーナル」2010年4月号にてコメントしていたが、興行形式の特殊性を活かして、現在公開中の作品と並行して、三部作の前の作品もシネコンのメリットで多くの劇場で並行して上映され、前作・前々作を公開期間中に鑑賞できなかった客層があとから鑑賞することや、またまとめて両方観ることのできるラインナップを形成しているケースも多々見られ、マルチ鑑賞が可能な興行は好評を博していることも押さえておきたい。


 また本作には8月公開の『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』の予告編も付いており、当然この新作も劇場窓口で前売り券を発売している。現在上映中の『超・電王トリロジー』を観たついでに、『仮面ライダーW』の前売り券を買う客層も多く、時期的に不利と思われるような状況でも、夏休み興行に繋ぐタイミングとして今後の展開拡大が期待できる成果を見せている。


 既成概念にとらわれず、新規の形式に挑戦し、その成果を数字で具体的に示したことが、今後の映画の新規興行へのステップになることは間違いない。それが特撮映画・仮面ライダーシリーズであったことも大きいだろう。今や単なる“子ども番組”のレベルでは語ることのできない域にまで成長しているビジネスコンテンツであることが、この『超・電王トリロジー』で立証された。来年の元祖『仮面ライダー』誕生40周年イヤーも今から期待大である。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2010年初夏号』(10年07月発行)『仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー』評より分載抜粋)


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