イスラエルVCの現状 2007_3

2007 年も半年が経過した、早いものだ。そんなことはさておき、ここ半年のイスラエルではVC の投資動向に変化 が見え始めているようだ。


"Figures in the first half of the year indicate that 2007 may set a five-year record with high tech investments reaching $1.7 billion"  Zeev Holtzman, chairman of IVC Research and of Giza Venture Capital といっているが、この真意はこうだろう。


2007 年度は、半年経過時点で既にイスラエルの VC と海外投資家からの投資総額は、 8 億 4300 万ドルである。( Fund は別 ) ちなみに、2000 年のインターネットバブル以降は、凡そ年間 10 - 15 億ドルと推移している。2006 年度は、16 億ドル弱から比べれば、それほど驚く数字ではない。ただ、今年の投資はここ数年と違い特色がある。


 2007 年度は、シード段階への投資が盛んでなのである。2007 年の第二四半期は、シード段階、いわゆるスタートアップ企業に対する投資額は 5100 万ドル、ここ半年で 7600 万ドルにもなる。2004 年からの四半期で一番高い数値である。ちなみに、2004 年以降のシード段階への年間投資額は、2004 年は 7500 万ドル、2005年は 7700 万ドル、2006 年は 1 億ドル程である。


 当たり前のことであり、また、単純に比べることはできないが、同額の投資額でも、成長段階への投資とシード段階への投資では明らかに意味と価値が違う。


 シード段階の全体の投資額に対する割合を見ると、2005年は 7 %、2006年は 8 %であるが、2007年は、12 %でありやはり高い。シード段階の投資の分野ごとの比率を見ると、通信が 44 %と相変わらず高く、インターネットが 22 %と多くを占めている。


なかでも牽引しているのは、ここ数年さほど目立たなかったインターネット分野が、既に 1000 万ドル超え。大型の投資としては、フローティング広告などのリッチメディア広告の管理技術を持つ EyeBlaster へは 300 万ドル投資されている。


“The trend of growing interest in seed stage investments that began last year is continuing,” said Efrat Zakai, director of research at IVC.


また、生命科学分野はイスラエルの主要分野に隠れて、ここ数年好調である。全体の投資額をみるとイスラエルの十八番である、通信、ソフトウェア、半導体分野への投資は相変わらず関心が高い。ただ、2000 年以降から、生命科学分野が第四の投資先と注目されはじめ、投資比率、投資額とも顕著な伸びを年々示し、2006 年末時点で、投資比率、投資額ともに、通信、ソフトウェアを並べるまでに成長してきている。投資額も、1999 年の 1 億3500 万ドルから、2006 年には、3 億 7000 万ドルまで伸びてきている。


イスラエル生命科学分野には、 TEVA や、カプセル型内視鏡で有名な Given ImagingSyneron などが牽引をしたのは、事実だろう。GizaPitangoEvergreen などの大手 VC がこの分野の新興企業に注目したのも牽引した理由のひとつだろう。


また、額こそ少ないものの、環境分野への関心も高い。時代や市場の扇動に惑わされず、投資するか否かをしっかりと見極めているのだろうか。これから半年の流れを見ないと正直わからない部分がある。また、本ブログの目的のひとつであり、投資の基本でもある、実際にどういう会社のどういう技術へ関心が高く、投資しているかも注視していこう。


( IVC Year Book 2007 )
( 2007年 7 月 17 日 )

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