蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

メリル・ストリープの3本をみる

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.960、961、963

 

 

ノーラ・エフロン監督の「ジュリー&ージュリア」をみて

 

 米国人のための仏蘭西料理本を書いたジュリアと、そのレシピを一年で自習して顛末をブログに書いたジュリーの物語を交互に描く自伝的映画ずら。

 

 ジュリアを演じるメリル・ストリープの演技が大いに笑える。この二人は手紙を交換しただけで結局会うこともなかったようだが、ジュリアは、彼女が苦労して創造したレシピを利用しておのれを売り込もうとする現代人のジュリーのやり口を快く思ったはずがない。

 

 

フィリダ・ロイド監督の「マンマ・ミーア」をみて

 

風光明媚なギリシアの孤島で繰り広げられる結婚コメディで熟女3人が絶叫するABBAの「ダンシングクイーン」が凄まじい。

 

 ミュージカル映画は嫌いだが、この映画はそれほどでもなかったのはメリル・ストリープが自ら唄っているからかしら。

 

 

フィリダ・ロイド監督の「マーガレット・サッチャー」をみて

 

 新自由主義の権化の生涯をメリル・ストリープが巧みに演じる。

 

 男からの差別に耐え、駄目男どもを見返し、頂上に立ったはずの鉄の女が、その男どもを莫迦にした瞬間に権力から滑り落ちたという風に脚本は描いているが、さてその実態はどうだったんだろう。

 

 それにしてもあれほど不人気だったサッチャーが、フォークランド戦争に勝利するや英国民の圧倒的支持を獲得する姿をみていると、思わず肌に粟が生じるのを覚えるずら。

 

 

  正月の眠りを醒ます核実験たった一発で夜も眠れず 蝶人