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はてなポイント3万を使い切るまで死なない日記

2011-06-18 ぼくが堀江さんを応援する理由(前編) このエントリーを含むブックマーク

ぼくは堀江氏とは実はそれほど親しくない。食事の回数でいえば三回ほどだ。まあ、しかし、ぼくの場合は人見知りなのでたとえば名の通ったITベンチャーの経営者でも名刺交換ですら10人もしていない。だから、三回も会食した堀江氏はぼくから見ると、相当に付き合っているほうだ。


最初に堀江さんに会ったのは着ボイスの収録現場だった。堀江さんにいろいろ台詞を喋ってもらって携帯用の着信音にしようという企画だ。当時、近鉄の買収をぶちあげたりした堀江さんはまさに時代の寵児にまつりあげられていた。


こちらが用意した台詞のリストには、「女は金で買える」とか、「必殺、100分割」とか「ぼくホリエモン」とかの言葉が並んでいた。


現場で問題がおこった。ディレクターがこんなリストを堀江さんに見せて喋ってくださいなんて、とても言えないと泣きついてきたのだ。


まあ、言いにくいよね、とは内心おもいつつ、僕はディレクターを叱りつけた。着ボイスの企画で一番大事なのはこの喋ってもらう台詞のリストをつくることだ。おもしろ半分にアイデアを出しても実際に企画を成立させるためには事務所だったり本人に納得してもらう必要がある。これが意外に大変なので多くの着メロサイトの着ボイスコーナーは「電話だよ」とかいうどうでもいい個性のない同じ台詞をいろんなひとにいわせているのばかりだった。


ぼくらは当時ひとりについて一週間ぐらいかけて相手の過去の作品などを調べて、ファンがいってほしい言葉、本人がこだわっている言葉を探し出し、これなら喋ってもらえそうだという台詞を並べたリストをつくることにしていた。だから、僕らのサイトの着ボイスは非常に評判がよかったし、アーティスト本人ももういちどやりたいといってくれることが多かった。


堀江さん用の着ボイスのリストを本人に説明できないということは、ようするに堀江さんの考えをきちんとシミュレーションせずに自分が野次馬的に面白いと思う台詞を並べたということだ。だから、本人を目の前にすると慌てて言葉に詰まる。


台詞のリストを読み始めた堀江さんの表情は、案の定、急激に険しくなっていた。明らかに怒っている。


ディレクターはパニックになっていて、ぼくが代わりに堀江さんに説明することになった。ぼくは平然とこのリストは堀江さんの著書にある言葉や、過去の有名な行動にちなんだものです、といった。


いくつかのやりとりのあと、堀江さんはいった。「ほとんどはマスコミが勝手に報道しているだけでぼくはこんなことはいっていないんですよ」いくつかは堀江さんの本の中にあった言葉ですが、と指摘すると。「そういう意味でいったんじゃないんです」と重ねて否定した。


結局、かなりの台詞にNGが出されたのだが、「ぼくホリエモン」は喋ってくれた。サービスしてくれたのだろう。意外といいひとだ、と思った。


当時、ぼくの堀江さんへの先入観は相当に悪かった。技術力もないくせにITをネタにマネーゲームをしている連中というのがビットバレーからヒルズ族につながるIT業界主流派のひとたちへの印象であり、堀江さんはその代表格に見えた。


その頃、IT業界やマスコミ業界のひとで堀江さんと親友だというひとに出くわすことも多かった。彼らの特徴は堀江さんのことを「堀江くん」とくんづけで呼ぶことだ。そうして堀江さんとの仲良さをアピールすることが一種のステイタスになっているようにみえた。そういうときは堀江さんに少し同情した。


実際の堀江さんは、世間で思われているイメージや、ぼくが思っていたのと違うかもしれない。着ボイスの収録のあと、ぼくは堀江さんに会食を申し込んだ。


実際に1対1で話してみると、あたりまえだが堀江さんへの印象はだいぶ変わった。


いったん悪く思っていた人間をあらためて評価するというのは、まあ、一種の敗北なので、そういうときは、なぜそのひとを評価することにしたのかを他人に説明できるように自分の中できちんと整理するくせがある。なので、そのときになにを考えたかはいまでも覚えている。ぼくは以下の理由で堀江さんを評価することにした。


・ 話してみて、たしかに頭の回転がとても早いひとである。

・ 明らかに技術に詳しく、過去にかなりの量のプログラムコードも書いていた。

・ 持っている情報が質と量と共に、ぼくよりも上だった。


ぼくは日本のITベンチャーの経営者とは技術はまったくわかってなくて、たんに米国で流行っているサービスのパクリをつくるためにエンジニアを雇い、それをネタにしてお金を集めるのが得意なひとたちというイメージだったので、堀江さんが技術も全然わかっているし、エンジニアである自負も持っていることにびっくりした。そう考えるとスーツを着てないことにも好感を覚えた。ぼくは日本のベンチャー経営者がシリコンバレーと違ってスーツを着ているひとばっかりであることを、実態を持たない偽物だから外見に頼ってしまうんだと思っていたからだ。


そして衝撃を受けたのが、堀江さんに集まっている情報の多さだった。これが世の中を動かす人間になるということかと思った。これだけレベルの違う情報を持っていたら、くだす判断のレベルも当然に違ってくるだろう。


というわけで、ぼくは堀江さんへの見方を改めて、一目おくことにした。ただし、この段階では、性格は悪そうだなと思っていたことを付け加えておく。


(つづく)