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はてなポイント3万を使い切るまで死なない日記

2012-03-11 老人を牧畜する国 このエントリーを含むブックマーク

昔、ひとづてにある経営者がこう評したという話を聞いた。老人ホームや介護ビジネスは仕組みとしては牧畜業だ、と。


誤解を避けるために断っておくが、これは老人を馬鹿にしているわけでも、老人ホームの経営はこう考えろというビジネス指南でもなく、ただ、ビジネスの構造が牧畜業とまったく同じであるという指摘である。


牧畜業とは一定期間、家畜を飼育したコストを、最終的に市場で売却した価格を引いた金額が利益になるという構造である。そして市場価格はそのときの相場であって、だいたい一定であるとみなせるから、どれだけ利益がでるかは、飼育するコストをいかに抑えるかで決まることになる。


老人ホームや介護の場合も顧客満足度をいくらあげようがもらえる報酬が変わるわけではないのでいかに低コストで世話を出来るかで利益がきまる。牧畜業との違いは、飼育期間が決まってないことだ。だから、出来るだけ長生きしてもらうほうがいいというのが僅かな救いだ。


僕の母は10年前に介護2級の資格を取った。ボランティアで施設にいったときの話は何度も聞いた。施設に入ると痴呆が進むというのはあたりまえだと思ったという。入所すると全員がおしめをつけさせらそうだ。自分で用を足せる人間も例外なくだ。そして、全員、同じ時間におしめを変える。時間外に濡らしたから変えて欲しいというナースセンターへのコールでの訴えに、介護士は、ちょっと濡れたぐらいでおしめを変えたら介護保険の無駄遣いですと説教をしていた。そんな場所では正常な人間もプライドを守るためにはぼけるしかない。そうして人間の尊厳を破壊して痴呆で介護しやすい老人がつくられているのだ。


ボランティアの初日に、母親を新入りだと思って近づいてきた車いすの老婆がいたそうだ。お願いだから、あなたにいっさい迷惑をかけないから、わたしを公衆電話のところまで連れて行ってください、そう頼んできた。いったい、その施設でなにがおこっているのか?しかも、母親がいった施設は他よりはずいぶんと”まし”なところだと聞かされたそうだ。


昔、介護保険が導入された当時に、なんかでもらったベンチャー志望のひとを読むような雑誌の巻頭特集が、ある介護ベンチャーのインタビュー記事だった。8ページにもわたるそのロングインタビューでは、いかに介護ビジネスが将来性があって巨大な市場であり儲かるかの熱弁で埋められていて、介護という仕事の社会的意義のような話は1行もなかったことに戦慄したことを覚えている。もちろん介護の社会的意義なんていっていてもどうせ綺麗事だと鼻で笑っただろうが、そういう綺麗事すらまったくなかったのだ。そのとき、たとえ偽善であってもやっぱり建前としての正論はあるだけましだと、ちょっと価値観が変わった。それぐらいショックを受けた記事だった。


ぼくはベンチャーの仕事に関わっているが、起業家というものに親近感をもたないのはそのあたりの理由だ。そもそも起業家ってなんなんだ。一攫千金を狙って事業を起こすひと、という意味であれば、どんな仕事をやるかは儲かりさえすればなんでもいいのだろう。


介護の問題についてのネットの議論とかを見ると、結構、施設にいれてプロに任すしかないって結論になることが多くて悲しくなる。プロって何のプロなのか?これはメンヘラ、鬱病とかの議論でも同じだ。素人は手を出すべきじゃない、プロに任すべきだ、とかいってむしろ関わろうとするひとを非難したりする。いずれの場合もプロが問題を解決できるとは思えない。ただの責任転嫁、嫌なものはみたくない、それだけじゃないか、と思う。


こういう問題は”ふつうのひと”にとっては、結局は”ケガレ”なのだろう。そして自分の価値観を守るため、ケガレに近づく人間までも非難する。日本はそういう国だ。

nbangnbang 2012/03/12 01:26 根底にあるのは核家族化と所帯じみることが負けみたいな雰囲気ななんじゃないでしょうか。
老人の世話を見るということはそうならざるを得ないわけですから。
この間亡くなった山口美江の話をみるといろいろ考えさせられます。

gingin1234gingin1234 2012/03/12 01:51 取り敢えず記事を読んで分かったことは、貴方が「特に科学的根拠もなく、身近な人間や雑誌のインタビューを見るだけでそれが全てと思い込み、起業家全てを金儲け至上主義者と何の疑いもなく信じこみ、日本全体がそういう社会だと決めつけて、自分だけは違うのだと無邪気に語る」選民思想の持ち主のだということですね。

hihi01hihi01 2012/03/12 09:42 おはようございます、

社会全体としても、福祉事業が持続可能な形にしていくことがとても大切なのでではないでしょうか?いつか行く道とはいえ、団塊の世代の下の世話をして終わったら、日本の社会も終わっていたというのではしゃれにならないと思います。十数兆円ものお金を福祉に注ぎ込まなければ行けない現在の国家体制がほんとうによいのでしょうか?

http://d.hatena.ne.jp/hihi01/20120211/1328963573

kaiwajushinkaiwajushin 2012/03/12 22:13 施設に関係の深いところで働いているものです。
まったく逆になっている部分がありますね。病院であれば、長生きすることが収入に繋がりますが、施設では早く亡くなるほど収入に繋がります。新しい人が入るたび入所料が入ってくるのが一つ。そして、年齢を重ねるほど生活能力が低くなり、マンパワー(コスト)が増大することです。

15万ほどの月額から、生活費部屋代を引いて、その上で1日何時間ほどのマンパワーが買えるのか?尊厳を保つってすげぇ金かかるんですよね。悲しいことですが。

dmwl9dmwl9 2012/03/13 00:31 でも社会的意義を確立できない組織が衰退、崩壊するのが世の常ですよね?
綺麗事ではないですよ。そこがこれからの時代の組織意義の根幹になる部分ではないですか?
特にネットが張り巡らされた今の社会じゃ、多少はごまかせてもいずれ必ずどこかでボロが出る。
尖閣諸島のYouTube投稿映像、中東諸国の民主化、今は誰でも密告者、発起人になれる時代ですからね。