川崎裕一 / マネタイズおじさん

元起業家でスタートアップのコーチやってます。スマートニュース株式会社執行役員。

マダックスのすごさ

http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20040727

コンスタントに19年間も勝ち続けるっていうのがすごすぎる。。。299勝を19年間で達成しているってことは、300と20としてみると一年間で15勝。。。すごすぎる。とんでもない。

Chicago Cubs Stats

1986年にChicago Cubsでキャリアをはじめたときは2勝4敗防御率5.52だったマダックス。87年も6勝14敗5.61。これが88年に18勝8敗。なぜだ?

Circle Change --MLB PLAYERS-- Greg MADDUX

梅田さんに聞いてみたところ、これはMLBの考え方によるものらしい。優勝が見えなくなったチームでは有望な新人を負けても負けても使い続けることが、チームのエースを見つけ出し、低い年俸で雇い続けるための秘訣だと。

球団は、若手が負け続けても使い続ける

  • 球団としては、今年の優勝が見えなくなった時点で若手育成を考える。
  • 低年俸のエースを育てるためには実践が一番。負けることで彼は何かを掴む。
  • 前提は球団のコスト意識の徹底。良いエースを育てて、その移籍金でまた良い選手をトレードでとるなり、ドラフト指名できる。(#「マネーボール」に書かれていること。)

選手としては、次のような感じになる。

  • メジャーだと25歳以下だとおそろしく若い。高卒で一軍なんてのはほとんどありえない。メジャーデビューが24-25歳で超エリート。27-28歳も珍しくありません。
  • だからそれまでじっくりと下で力をつけてローテーションがあいたときに入ってメジャーデビューという感じ。
  • たまたまものすごく素質のある選手が弱いチームにいると、10敗以上させながら育てるということが起きて、そういう場合にぐんと伸びる選手が多いです。

ということで、マダックスの場合は3番目のケースで何かを掴み、大きく飛躍したということになるんでしょう。

梅田さんは300勝投手はマダックスが最後になるとよんでいる。これは、「昔は先発も3-4人。大事なところでは同点でエース投入は当たり前だったから、勝ち星が多いんだよね」ということ。確かに、MLBはいわずとも日本においても先発、中継ぎ、抑えと高度に機能分化した投手戦が行われているわけだし。だから、250勝が今の限度なんではないかという説が出てくるわけだ。

そこで最後に、これからの300勝投手の条件を伺った。

  • ケガをしない、そのために絶対的に節制し続けるストイシズム、勝つことに執着すること、そういうメンタルな部分のほうが大切
  • 負けていてもほんのわずかの可能性に賭けて集中を欠かさずに投げ続ける、というようなことが、年に2勝ずつの差になって、生涯勝ち星に30-40勝、差が出てくる

私が最近読んでいる本に羽生善治さんが書いた「定跡からビジョンへ」があるのですが、この中にも似た一節があります。

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マダックスの300勝というのは、色々と人生の示唆に富む事象を多く含んでいると改めて認識しました。

自分は凡庸な人間であり、それがゆえに小さなことを非常に大事にしてきました。それは人の出会いであったり、尊敬であったり、仕事のやり方であったり、そういう日々の小さいことです。両親も日々の小さな努力みたいなものを評価する人間であるというのも大きな点かもしれません。

野球でいうなら、5年連続20勝というよりも1年10勝で10年100勝というのが性に合ってます。人生はストイックに、勝ちにこだわって、でもコツコツと生きたいものです。