時空メールで字を間違えた!十日前、江戸にいる杉浦日向子(ひなこ)さんに送ったメール、宛先は175@edo.jp。変換ミスで「恋人」が「変人」となっていました!そこから始まる奇想天外の物語、今日はシリーズの第一回です。
江戸からの届きもの
大江戸時空メールは満月の日にしか届かない。それでもったいなくて、つい、いたづら書きみたいなメールを出してしまった。
「日向子さん、江戸の暮らしはいかかがですか。電気がなくても大丈夫やっておられますか。こちらは相変わらずの世の中です。問題ない日はありません。・・・ところで日向子さんはそちらで恋人とかできました?エヘッ。きっともててるだろうな〜。あ〜オイラもその時代の『変人』がほしいな〜・・」
やってしまった!「恋人」を「変人」と書いてしまったのだ。もう送信してしまった。。。。
ところが、メールの返信の代わりに「時空急便」でほんとの「変人」が送られてきた!! それもなんと・・・、むさくるしい「男」が・・・。
この日から、私とこの男「貧・望太郎(びん・ぼうたろう)」との奇妙な人生道中がはじまることとなった。
まさかこの男が、私の人生を、いや現代社会を変えていくなんて・・・このときは思いもしなかった。
望太郎 現代人となる
望太郎は年齢不詳、今の時代なら50歳くらいだろうか。汚いはおりはかまにひげぼうぼう、刀は差してたが、実は竹光だった。そういえばこいつ、映画の「さや侍」に似ていやがる。いや間寛平にも似ているな?
『ま〜いいや。俺もこのごろこの時代にあきれることが多くて、毎朝毎夕いやなやつばっかり増えていく。それとくらべりゃ、こいつまだかわいいよ』
憎めないやつで退屈しのぎにもってこいと考え、とりあえず、我が家の近くのボロ一軒屋を借りて住ませることにした。驚くのはその適応力で、今の時代の電気製品の使い方もあっというまに覚えてしまった。電子レンジのお燗が一番のお気に入りだ。
でも、人にいぶかしがられないようにするのがまず一番、私がもう二十五年も通っている床屋に連れて行った。
この床屋の主人はなかなかの賢人で、あっというまに事情を察してくれた。何もいわずに私が思っていたような髪形にしてくれた。最後に「ノボさん、何かおもしろくなりそうだね」と、ニヤッと笑って釣りを返してよこした。
望太郎 必死に勉強する
こんなおっさんなのに、覚えるのが早いこと速いこと!一ヶ月もしないうちにパソコンを一本指打法でもう打っている!検索に「江戸」とか「吉原」とか入れて調べている。というより望郷の念かもしれないな〜。
私は、零細会社の一応経営者なので、あれこれ理由をつけて会社を抜け出して来られる。最近は、最低半日は彼と一緒にいる計算だ。一緒にいて彼の質問を受けていると思わずハッとさせられることばかりでとても新鮮だ。
たとえばTPPのことだ。彼はこう言う。
「ノボさん、これは幕末の黒船来航と状況が似ているな。ただひとつ正反対があるようだ。幕末は西欧が日本より文明が進んでいたが、今はそれが逆のようじゃ。いや生活レベルという点においてだがな。こりゃ大変なこっちゃ・・・」
この後私は「日本の行く末」について望太郎としばし話しをした。江戸から変わらぬせんべいと茶を彼と一緒に飲みながら。TPP、幕末の志士たちならどう考え、どう行動するだろうか?などを。
このへんは次回以降にまとめていくつもりだ。それと、彼と一緒になにかユニークな共同事業をしたいな、と私の腹の虫が騒ぎ始めてもいる。彼は彼で、現代の世の中に出て、もう、あれこれチャチャ入れたくてムズムズしているよう。乞うご期待!
※ときどきこのシリーズがひょっこり顔を出します。貧・望太郎と一緒に「独創」を開拓していきたいと思っておりますのでご支援宜しくお願いします。