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ノボ村長の開拓日誌

2012-04-25

愉快な町のエネルギー

 「愉快な町」シリーズの7回目。今日は町のユニークなインフラ「ユカイ・エネルギーシステム」についてのお話をします。「ユカイ」と名が付くシステムには、単なる動力源とは異なる意味が込められています。それはこれからの世界にとっても大事なコンセプトになるでしょう。

 初めての方はこちらからお読みください。
 愉快な町の「地域コンビニ」
 愉快な町の「住宅街」
 愉快な町のショップハウス
 愉快な町のヘルプハウス
 愉快な町 その2
 愉快な町 その1

<「ユカイ」なコンセプト>

 エネルギーがなぜ愉快?

 それは「つくる喜び」があるからです。それもできるだけクリーンなエネルギーを一人ひとりが無理なく。

 すべてのエネルギーを自分たちでつくろう、なんていうんじゃないんです。

 できるだけ多くのエネルギーを「地産地消」しようというんです。

 老若男女問わず、そのエネルギーつくりをどうやったら楽しめるだろうか?と考える。その工夫が「愉快」につながるんです。

 だから「ユカイ・エネルギーシステム」とは、単なる「動力源」ではありません。

 無生物ながら「町の愉快な仲間」とみなされる「ヒューマン・エナジーシステム」なのです。

<人工里山の「井戸」と「沢」>

 愉快な町はドーナッツのような町。

 町の真ん中にある(人工的に造った)「里山」こそ、「ユカイ・エネルギーシステム」の基地です。

 標高30メートルくらいの山です。

 そこにはまず井戸が10本くらい掘られています。

 ポンプは木の上に取り付けた太陽光パネルで動かしています。夜はバッテリーから。

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 実はこの里山、造成段階から特殊な設計がしてありまして、頂上直下の内部には、巨大な「貯水槽」があるのです。

 そこに井戸の水は集まります。さらに雨水の多くもこの貯水槽に集まるようになっています。

 水は、この貯水槽から数経路ある「人工の沢」を通って外周の畑に流れていきます。

 沢に到るまでには途中数カ所の段差があり、その段差には小水力発電機が設置されているのです。

 また、地下水が枯渇しないように、沢の水は最終的に里山付近の地層に戻し入れるようになっています。 
 
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鶴岡市内で実用化に向けた小型の水力発電装置の開発が進んでいる。鶴岡工業高専の丹省一名誉教授(66)と本橋元教授(52)が00年に開発に着手し、地元企業を巻き込んで改良を重ねてきた「鶴岡方式」と呼ばれる水車だ。09年1月に下水道の排水路に取り付けて発電実験を行い、1年前から羽黒山大鳥居そばの農業用水路で実証試験を続けている。

 水車は直径1.2メートルで、出力は民家5、6軒分の電力に相当する3キロワット。「落差工」と呼ばれる用水路の段差部分につるすように据え付ける。2メートル程度の落差でも効率よく回るように工夫された。さらに水車の大敵の「ゴミ詰まり」がおきにくいよう設計されているのが大きな特長で、「ゴミで運転に支障をきたしたことは一度もない」と丹さん。

 この電気は、総合管理センター「地域コンビニ」のバッテリールームに充電されていきます。

 そのバッテリーは着脱式であり、町の交通手段「ソフトカー」の電源としても使われます。

<各家庭は発電所>

 各家庭も発電所です。

 屋根はいうまでもなく「太陽光パネル」。

 全量「地域コンビニ」が買い取りです。
 
 電力会社に送ったりしません。
 
 お金だけでなく、商品やサービスとも交換できます。

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 ユニークなのは、「下水」の利用と「ゴミ」の利用です。

 家庭の下水は、町の中に数カ所設置された合併浄化槽に流れます。

 ここで浄化された水は、段差を利用した「小水力発電」に利用されます。最終的には前述の「沢」に流れていきます。

 さらに「沢」も、わざと段差をつけた土地を通過させ、そこでも水車を廻し「小水力発電」を行います。

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 家庭「ゴミ」はバイオマス発電につかいます。

 愉快な町では各家庭ごとに「バイオユニット」があって、そこで個別にゴミからアルコールをつくります。

 それを「地域コンビニ」で買ってくれるわけです。

 ですから各家庭では、「ゴミ」が「財産」でもあります。生産には皆一生懸命になります。

 「地域コンビニ」ではそのアルコールを精製し、自家発電機の燃料として使います。余分な電力はバッテリーセンターに送ります。

<汗を電気に変える>

 ダイエットに励む女性、小遣いの欲しい生徒たち、どこの町でもいっぱいいますよね。

 愉快な町の共用ゾーン「みんなの場所」の各施設には、エアロバイクが多数そろっています。

 そうです。ここで自転車をこいで電気に変えることもしているのです。
 
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 「金のない奴ぁ、俺んとこに来い。俺もないけど、バイクがあるさ!」

 エアロバイクはすべてバッテリーに充電され、走行距離に応じて「地域コンビニ」で使えるコインと交換できます。

<太陽熱で湯を沸かす>

 太陽光パネルより太陽熱温水器のほうが、簡単で高効率。

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 昔と比べ、今は貯湯タンクの断熱が抜群で、かなりの高温を長時間維持できるようになっています。

 でもお湯が要らないときはどうするの?

 そこが愉快な町の工夫です。

 発電というしくみはとても単純で、どんな装置もただ磁石のついた風車を廻すだけ。

 このお湯は、自分の家でも使えます。 しかし、日中不要なときや余った分もあります。

 それらは、町のインフラでもある「双方向断熱水道管」を通って「地域コンビニ」バッテリーセンターのタンクに環流します。

 そこでは、そのお湯をもう少しボイラーで熱し、蒸気を作って発電するのです。

 あるいは、そのままタンクに貯めておき、「みんなの場所」の共用施設の暖房とか風呂とかに使います。

 季節や日照で変化があるので、すべてのエネルギー生成装置は、組み合わせや多様な選択ができるように考えてあるのが特徴です。

<太陽熱で風力発電する>

 地域コンビニの駐車場には、非常監視塔を兼ねた「ソーラー・チムニー」という煙突があります。

 この煙突施設は、太陽熱で空気を暖め、その上昇気流で風車を廻して発電します。
 
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 とても珍しい施設なので、毎日いろんな地域から、いや世界のあちこちから視察に来ます。

 愉快な町の周辺の小学校や中学校では、理科の時間に「マイクロ・ソーラー・チムニー」を作ります。それを家でも利用します。

 子どもの頃から、「電気はあてがわれるものではなく、自らつくりだすもの」という教育をしているのです。

 子らの教育で大事なのは「自然への感性」「生物としての野性」「思いやり」ですからね。

<省電力シティーをめざす>

 愉快な町というのは、なぜ「愉快」なのでしょう。

 それは一人ひとりが「自分頭」と「自分の身体」を使う暮らしで、「生き物」としての「野性」を日々実感できるから。

 もうひとつ、気のあった人たちとのコミュニケーションを通して、「人間らしさ」を実感できるから。

 この町に住む人々が厭なこと、それは「家畜化した人生」です。

 一極集中の電気や水道というパイプにつながれ、人様の奴隷になり、日々自己欺瞞を重ねる日々。その代わりに電気や暖房や食料やらが与えられるという社会。

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 そんな社会に住むよりも、いや住まざるを得ないとしても、少しでも自立した人生を送りたい。そう思う人が住人なんです。

 そのために、あまり既存のエネルギーに頼らずにすむ省エネ生活を工夫します。

 家庭の照明の半分は、ろうそくや薪ストーブのゆらゆらした明かりに代わり、畑の肥料はバイオトイレのわが分身も利用したり。

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 そんなコンセプトと具体的な工夫がこの町をとてもユニークにしているんです。

 ですから観光客もいっぱいきます。民宿をしている家も多く、けっこう収益が上がります。

 みんなの場所にある「つどいホール」なんか、この町にあこがれる人々の主催や参加によるさまざまな「ワークショップ」でいつも予約がいっぱいです。