残念だったこと

次号の企画をツメるため、自宅で仕事。旬公はまだダウン中。体温がどんどん高くなるので、心配だ。寒がるのでクーラーはつけられず、かといって、暑いのにも耐えられず、付けたり消したり。


『東京人』10月号の神保町特集について。ぼくはこの号で、「古書目録の読み方、楽しみ方」という神保町で目録を出している古書店のルポを書いている。自分の企画でもあり、やりたいようにやらせてもらったが、掲載誌を見てビックリ。タイトル下に使われている「モクローくん」のイラスト、線が崩れて、まるで落書きだ。


たしかに、編集のYさんから「タイトル回りにモクローくんのイラストを使いたい」といわれ、「モク通のバックナンバーから適当に使って下さい」と答えた。その後、ゲラがファクスで来たときに、このイラストが入っていたが、あまりに下手なので内澤と「デザインの人が描いたんだろう」などと笑っていた。そのとき確認すべきだったが、本文にアタマが行っていたため、忘れてしまった。時間がなかったこともあり、そのまま校了した。


掲載誌を見て、Yさんに問い合わせると、「早稲田古書店街の地図」のイラストから取ったとのこと。たしかに、ここには内澤の描いたイラストがある。しかし、サイズが全然違う。捨てカットとしてはまあ良くても、大きく使うのに耐えられるモノではない。他になかったかと訊くと、「(目録を読んでいる)絵柄を優先した」という。これには呆れた。


責任は、原稿を遅らせた上に、ゲラでイラストのことを見過ごしてしまったぼくにもある。Yさんはただ気づかなかっただけだ(じっさい、ぼくが電話してもなんで怒っているか判ってなかったし)。彼女は経験はまだ浅いけど、何か提案したときの食いつきが良く、一緒に仕事していて気持ちいい。だから、彼女を責めるつもりはない。だけど、他の編集者やデザイナーはコレを見て「おかしい」と感じなかったのだろうか。とくにデザイナーはこのイラストをこの大きさで紙面に載せて大丈夫かを判断するのが仕事だろう。それが信じがたい。


Yさんはおそらく「モク通」のバックナンバーを全部は持ってないのだろう。通しで見れば、ほかにもっとマシな絵柄(古書目録を読むポーズ)が見つかるはずだ。見つからないにしても、新たに描いてほしいといえば、内澤はすぐに描いたはずだ。そんなに面倒くさいものじゃないんだから。自分が描いたものとはいえ、不本意な使われ方をしてしまったことに、内澤はかなりショックを受けている。編集者も、ライターとしてのぼくも、イラストレーターとしての内澤旬子にほとんど相談せずに進めてしまったことを申し訳なく思う。雑誌が出てしまっている以上、どうしようもないことだが、一言しておく。なお、昨日問題が「二つ」と書いたけど、もうひとつは省く。


さて、そうこうしてるウチに5時になる。久しぶりに神保町へ。〈書泉グランデ〉の辺りで、古書通信社の八木福次郎さんと樽見博さんにバッタリお会いする。10月のトークショーこのことで、福次郎さん、ずいぶん張り切っておられた。グランデの1階と地下で、マンガ本など数冊。〈書肆アクセス〉で『大阪人』10月号の大阪本特集を買う。噂通り、読みゴタエありそうだ。〈徳萬殿〉で揚げ餃子と焼きそばを食べ、竹橋の毎日新聞社へ。某ムックの写真選び。Nさんに「残っているのは南陀楼さんの部分だけですよ」と脅かされる。しかも、2本もあるのです。


9時頃、ウチに帰ると、旬公の熱がまた上がっていた。こちらまで熱が移りそうだ。早く治ってほしい。