ナンダロウアヤシゲな日々

◎この日記は、ライター・編集者の南陀楼綾繁が書いています。
◎新刊『町を歩いて本のなかへ』(原書房)発売中です。
◎著書『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)、『谷根千ちいさなお店散歩』(WAVE出版)、『小説検定』(新潮文庫)、『ほんほん本の旅あるき』(産業編集センター)、『路上派遊書日記』(右文書院)、『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『老舗の流儀 戦後六十年あの本の新聞広告』(とうこう・あい監修、幻冬舎メディアコンサルティング)、編著『チェコのマッチラベル』(ピエ・ブックス)、共著『ミニコミ魂』(晶文社)。
◎ご感想・ご連絡は南陀楼綾繁 まで。
◎「不忍ブックストリートの一箱古本市」は毎年春に開催します。
詳細は不忍ブックストリート公式ホームページもしくは、しのばずくん便りをご覧ください。
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2004-12-29 明日から帰省します

朝から雪が降っている。のっぴきならない事情で、約束をひとつと、忘年会のお誘いをキャンセルさせてもらう。すみませんでした。午後から夜中までずっと作業。これが終らないと、明日、実家に帰れない。


室蘭市の小田島洋さんから手紙。『ナンダロウアヤシゲな日々』の読者カードを送ってくださった方。礒部鎮雄が主催していた「江戸町名俚俗研究会」の会員だった時期があり、名簿をお持ちということなので、お願いしてコピーを送っていただいたのだ(昭和35年9月現在)。当時の時代小説作家が多く会員になっていると、小田島さんが書いておられたが、たしかに、平岩弓枝松本清張池波正太郎らの名前が見える。ほかに、守田勘弥、三遊亭円生宮尾しげを、坂本篤(有光書房)、見坊豪紀、三遊亭金馬、桂三木助、南博、綿谷雪、田岡典夫など、落語家文化史家、評論家の名前が見える。驚いたのは、(米子)金関丈夫とあったこと。人類学者で、ぼくも何冊か読んでいるヒトだが、この時期、米子に住んでいたのだろうか。


名簿には、小田島さんの名前もたしかにある。お手紙によると、この時期大学四年生だったという(早熟だなあ)。安保闘争の時期で、毎日デモ行進していたという。また、室蘭在住ということでひょっとして……と思っていたが、室蘭工業大学図書館の「生き字引」と呼ばれ、いまは室蘭市図書館の館長である山下敏明さんとも知り合い(小田島さん曰く「山下さんの追っかけ」)だとか。妙なところで、つながるもんだよなあ。


また、〈上々堂〉の長谷川さんからメールで、blogをはじめたとのこと(http://shanshando.exblog.jp/)。こないだ行ったとき、どこのにしようかと悩んでいたが、結局「エキサイト」にしたようだ。「blogはじめても、書評のメルマガ日記はヤメないでね」とお願いしておいた。「古書モクローin上々堂」は1、2日動きがなかったらしいが、昨日マッチラベルが売れたらしい(でも、明らかに知り合い)。


まだまだ書きたいことは残っているが、今年の日記更新はこれで終わりにします。実家に行っているあいだは、なるべくネットメールも見ずに、資料を読んだり原稿を書いたりしたいなあ、と。でも、いつもナンにもしないまま、あっという間に終るんだよなあ。では、みなさん、よいお年を。来年も「ナンダロウアヤシゲな日々」をヨロシクです。


【今日の郵便物】

★古書目録 丸善名古屋、文泉堂書店

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2004-12-28 終わんねえよ

風呂に入り、11時ごろ出かける。湯島から切り通し坂を上って本郷へ。先に昼飯食っておくかと、「ラーメン」ののぼりのある店に入った。扉を開けた瞬間、後悔。店員は揃いの和風服(着物でも半被でもないからこう書くしかない)で、カウンター席、入口には食券販売機だ。無難そうなラーメン(650円もする!)にするが、まさに無難そのものの味。どうしてこんなにカネとセンスを浪費して、場末の中華料理屋のごくフツーのラーメンに勝てないのだろうか。おまけに、接客について新人にねちねちイヤミを垂れていて、イヤな気分が店中に横溢。まあ、好きにやってください。


本郷駅前の〈大学書店〉で出たばかりの文庫を2冊見つけた。買うときに、店のご夫婦に挨拶。毎日ムックで取材させてもらったお礼を云う。名曲喫茶〈麦〉の地下に行くと、編集部の竹中くんが来ていた。樋口覚さんと待ち合わせて、次号の原稿の打ち合わせ。二年ぶりにお会いしたが、いやー、パワフルな話しぶりだった。御茶ノ水で乗り換えて、市ヶ谷へ。


仕事場に着いて、メール電話。3時ごろに、同じ部屋にいる大日本印刷の方々に呼ばれ、「仕事納め」の乾杯。そうか、ホトンドの会社は今日で終るのか。コッチはなにひとつ終わんねぇよ。ビール飲みながら、仕事を続ける。打ち合わせが終わると、けっこう酔っ払っている。去年も同じだった気がする。とはいえ、明日も仕事場には来なければ。


6時に出て、千駄木へ。〈千尋〉に行くと、旬公、旬公の友達のYちゃん、Yちゃんと結婚するコトになっているSさんがいた。お二人は福島から旅行でやってきた。今度住む家が3DKで3万5000円という安さなのにビックリ。ほかに行政のこと、地方のことなど、あれこれ。この店では初めての鍋である「鰯のつみれ鍋」を頼んだが、味が染みていてウマイ。われわれはおにぎり、お二人はお茶漬けでシメる。今年は〈千尋〉と〈大栄〉に行き倒した一年だったなあ。日暮里駅まで送り、そこから歩いて帰ってくる。


いろいろ、やんなきゃなあと思いつつ、《ダウンタウンガキの使いやあらへんで》のスペシャルを見てしまう。通常の放送を見なくなって、もう5年ぐらい経つが、今回(笑いをこらえる一泊二日の旅)はけっこう面白く、最後まで見た。


【今日の郵便物】

★古書目録 愛書会

★法螺さんより 幻堂百年祭の写真が入ったCD。ヘンなアングルが多くて笑える。

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2004-12-27 図ったようなタイミングの悪さ

朝刊を見て、驚いた。日本時間の昨夜10時頃、スマトラ沖でM8.9の大地震があり、周辺の数カ国で津波が発生、8000人以上が死亡したという(その後、1万人を超したという報道もあった)。夕べは飲み会のあと、寝てしまったので、ゼンゼン知らなかった。それと詩人石垣りんさんが亡くなったという記事も。84歳。数年前に、「げんげ忌」でのお話を聞いた。11時過ぎに仕事場へ。連絡や年賀状書き。

昼飯に外に出たついでに郵便局に行くが、年末とあって混雑している。郵便と振込の番号札を引いて待つ。郵便は9人待ち、振込は4人待ちだったから、振込が終わったあとで郵便が呼ばれるなと思って待っていたら、振込はなかなか次に進まず、郵便はどんどん進んでいく。で、もしかしてと恐れていたとおり、振込と郵便でほとんど同時に番号が呼ばれるハメに。こういう、まるで図ったようなタイミングの悪さが、ぼくの身上である。とん汁定食を食べたあと、〈麗文堂書店〉を覗いて戻る。

ネットで検索していたら、フリー百科事典ウィキペディアWikipedia)」に「南陀楼綾繁」という項目があって、ビックリ(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E9%99%80%E6%A5%BC%E7%B6%BE%E7%B9%81)。最近話題になっている、誰でも記述/編集できるウェブ上の百科事典だ。コレを書いてくれたヒト(一人だと仮定して)は、ぼくの書いたものをよく読んでくれているらしく、判りやすい解説なのだが、固有名詞にいくつも間違いがある。「季刊・本とコンピュータ」の編集長はいま、ぼくじゃないし、『宮武外骨全集』は『雑誌集成 宮武外骨・此中にあり』だ。「東京古書通信」は「日本古書通信」のことだろう。南陀楼綾繁は「俳人」ではなく「狂歌師」だし、内澤旬子は「異文化建築テーマにするライター」ではなく、「イラストルポライター」だ。だいたい、蒐集家じゃないしなあ……と、いろいろ突っ込みたくなってしまう。間違いは見つけたヒトが修正する、という方針らしいが、これ全部訂正するのはメンドくさいなー。しばらく、ほっておいて様子を見るか。


それにしても、はてなにしてもそうだけど、キーワード辞典なりキーワードリンクなりをつくっていくときに、どうしても書き手の身の回りの興味からつくっていくので、基本的な事項が抜け落ちているコトが多い。ぼくのことなんかより先に事典に載せておくべき項目は、もっと山ほどあるだろう。あと、事典の記述は客観性を装っていてもそこにどうしても、編者や版元の主観が混じり込むもので、それがその本の個性になっていた。しかし、「ウィキペディア」では主体不明の「個性」が、一文のなかにいくつも混じり合っているようで、読んでいてちょっと気持ち悪い(「古書店」の項なんて、読んでいてイライラする。なんだ「主人の審美眼」って)。だから、ぼくは「ウィキペディア」を調査の手がかりにすることはあっても、そこから引用する気は、いまのところまったくない。

著者との打ち合わせのあと、神保町に出て、〈岩波ブックセンター〉でK社のKさんと会い、近くの喫茶店で打ち合わせ。うーん、前よりは一歩前進か。千代田線北千住へ。〈ブックオフ〉で堀切直人さん、右文書院のAさん、セドローくんと待ち合わせ。〈大はし〉を覗くが、予想通り満員。堀切さんが、宿場通りの奥まで案内してくれる。昔の商店や蔵が残っている。今度は昼間に歩いてみよう。昔からやっていそうな中華料理屋で、いろいろ話し、そのあと、(大はしはやっぱり入れなかったので)駅近くの〈酒の永見〉に入る。堀切さん、ぼくの『図書新聞』書評は3回読んだと喜ばせておいて、セドローくんの「店番日記」は5回読んだとおっしゃる。うーん、憎いお方。


10時半にお開きになり、帰ってくる。11時半からテレビで、しりとり竜王戦を観る。放送時間が早めだったり、松本人志ゲストだったりで、いつもと違うなァと思ったら、今回は全国放送なのだった。納得。『ビッグコミックONE』で勝川克志「同人誌の日々」を読む。おお、ぼくも取材したことがある、伝説同人誌『跋折羅』のハナシじゃないか。当事者の絵でつづる貴重な記録だ。旬公は例によって原稿を届けに出ているが、なんか疲れたので、先に寝ることにする。


【今日の郵便物】

★古書目録 LINE(古書籍BOX)、山猫屋&書肆ひぐらし

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2004-12-26 「不忍ブックストリートMAP」(仮称)をつくります

午前中はメールやらナニやら。12時過ぎに出て、京浜東北線東神奈川へ。反町の古書会館での古書展。以前は二階も会場になっていたが、最近は一階だけなのが寂しい。二日目でヒトが少なかったので、ゆっくり見て回り、河盛好蔵作家の友情』(新潮選書)200円、色川孝子『宿六・色川武大』(文藝春秋)200円、常盤新平アメリカン ジャズ エイジ』(集英社文庫)150円。どれも岡崎さん用語で云う「ええとこ」だ。安く買えて嬉しい。


東神奈川まで戻り、桜木町へ。以前だったら、東横線反町駅まで歩いて、終点の桜木町へ、というのがコースだったが、みなとみらい線の開通により、桜木町が消えてしまった。地下道を通って野毛に出て、いつもの〈三陽〉でラーメンでもと思ったら、競馬開催日のため混んでいて入れそうもない。しばらく、その辺りをウロウロ。小さな古本屋で、今西英造『演歌に生きた男たち』(文一総合出版)800円を見つける。「カフェー流行歌盛衰史」という節があり、役に立ちそうなので買っておく(しかし、いま日記を書きながらたしかめたら、数年前に中公文庫に入っていて、出たときに新刊で買っていたのであった……)。〈キムラ〉という洋食屋が良さそうな雰囲気なので入ってみるが、そこそこ高級っぽい店だった。ハンバーグライス(お上品な盛りかただこと)で1200円。ハンバーグソースがたっぷりかかっていてウマイけど、柔らかすぎて食べゴタエが少なかった。


久しぶりにジャズ喫茶〈ちぐさ〉に入る。コーヒーを飲みながら、小林信彦『面白い小説を見つけるために』(光文社知恵の森文庫)を読む。再刊はありがたいが、もとの題名(『小説世界ロビンソン』)のほうがヨカッタと思う。『波』連載中も元版も読んでいるが、読み直して新たな発見がいくつも。前回も刺激されながら実行に移せなかった、バルザックを読むことを来年はやってみよう。壁にジャケットが展示されているレコードから、ハワード・ラムゼイ・ライトハウスオールスターズ[ライトハウス・アット・ラグナ]をリクエストする。一曲目から、パーカッションがバリバリに響くラテンジャズが炸裂。西海岸ジャズは、節操なく楽しさ重視でイイなあ。あとで調べたら、CDも出ていた。今日は聴けなかったけど、B面最後の「カサ・デ・ルス」は、以前ウエストコースト・ジャズのコンピレーションで聴いて、とても気に入っていた曲である。


久しぶりに1時間ぐらいジャズに浸り、3時過ぎに出る。京浜東北線でウチに帰ると、5時前。〈古書ほうろう〉にスムース文庫の納品に行き、預けていたCDを一部引き取る。文庫本を数冊買う。「ブックオフ」への危機感からだろう、ここのところしばらくのほうろうの棚には、いい本がドンドン追加されている。とくに、いままでは正直あまり買えなかった均一棚がよくなっている。ナニが理由にせよ、客としては店が活気づくことは歓迎したい。


8時前に旬公と〈大栄〉へ。しばらく待つうち、ほうろうの神原さんが登場。そのあと、ほうろうの山崎さんと、小森さん夫妻、プレほうろうのオリジナル・メンバー(って、ビートルズ第5の男みたいでカッコイイ)であるオオジさん、往来堂の笈入さん、ほうろうの宮地さんとミカコさん、オヨヨ書林のオヨちゃんが来る。オヨちゃんの彼女は誰かなどをネタに楽しく飲み、サンゲタンなどを食べるうちに、谷根千工房のサトコちゃんが登場し、総勢12人が揃った。カムジャタンを食べ、残り汁にご飯を入れた雑炊を食べたら、一同満腹。


で、改めて、来年根津千駄木西日暮里、つまり不忍通り沿いの新刊書店古書店を中心とした「不忍ブックストリート」の地図をつくることを提案。みんな賛同してくれ、いきなり、ナニを盛り込むか、何部ぐらいつくるか、どこに配布するかなどの具体的なハナシになる。そこで、ぼくと旬公が以前から考えていたもうひとつの企画である、「一箱店主」による古本市のハナシをぶつけてみると、みんなオモシロがってくれる。では、いっそ、地図を配布し終わった辺りに、その古本市をやろうということになる。参加各店の店先に、5〜10箱ぐらいを置いて販売し、お客さんは不忍通りを散歩しながら、それぞれの店でやっている古本市を覗く、という寸法だ。全店で買ってくれたお客さんには特典も。コレだと、不忍ブックストリートを知らしめるという目的と、イベントへの集客が両立しうる。来年ゴールデン・ウィーク開催をめざして、これからみんなで動くことになった。クリアしなければならない問題はあるけど、知恵を出し合い、分担しあえば、実現できるだろう。やるからには、成功させたいものだ。


いろいろ盛り上がって、12時過ぎまで。ウチに帰っても、旬公はちょっとコーフン気味で、こうすればいい、ああしたらというアイデアを出してくる。久々に夜の企画会議をしてしまった。わが家では、この「不忍ブックストリート」をはじめとして、来年もカネにならないけど楽しい、あるいは、楽しいけどカネにつながらない企画が目白押しです。トホホ。まずは年賀状代わりに「モクローくん通信」を出さないと……。

2004-12-25 ようやくスタート、「古書モクローin上々堂」

昨日の日記が長くなったので書かなかったが、帰りの電車で、篠原章『日本ロック雑誌クロニクル』(太田出版)を読み終えた。『ミュージック・ライフ』『ニューミュージック・マガジン』『フォークリポート』『ロッキング・オン』『宝島』『ロックマガジン』の6誌を取り上げ、うち4誌の編集者にはインタビューをしている。これらの雑誌歴史についてはごく少ない知識しか持っていなかったので、期待して読んだのだが、全体に図式的なまとめに終っている。


内容よりも問題なのは、「注」のことだ。この本には各章50以上の注(一冊では300以上)がついているが、その大半はヒドイものだ。おそらく編集者が作成したのではないかと思うが、なんのために注をつくるのか、どれぐらいの知識を持った読者に向ける注なのかが、ゼンゼン考えられていない。ぼくは大ざっぱに云って注には、1・固有名詞や出来事の解説、2・資料や発言などの出典明記、3.本文を補足する説明、という三つの機能があると思う。この本では、1がメチャメチャなのだ。人物の生年が入っていたりなかったり、没年があったりなかったり、同じ人物の注が各章に出てきて記述がちょっとずつ違っていたり(おそらく雑誌掲載時の注をそのまま引っ張ってきたのだろう)する。


解説になっていない注も多い。YMOを「元祖テクノポップバンド」としておいて、次のクラフトワークには「YMOに大きな影響を与えた元祖テクノポップバンド」とある。どっちが元祖なんだ。バンドについての解説はかなりひどく、「カリスマ的人気」「変態バンド」と片付けられているバンドが多いのに、トーキングヘッズは20行も費やされている(本文で大きく扱われているわけではないのに)。なんだ、このアンバランスさは。解説自体がよく判らない注もある。たとえば、植草甚一は「アメリカのリトル・マガジン文化の第一人者」ってあるが、なんだそれ。津野海太郎は「ミニコミ誌『水牛通信』などの編集のかたわら黒テント、六月劇場などを拠点に演劇評論活動を手がける。現在、『季刊・本とコンピューター』総合編集長、晶文社顧問」とあるが、この短い解説に5つぐらいの事実誤認や、意味不明の語句がある。おそらく、事典や書誌などの基本的な資料に当たらず、おそらくはインターネットで調べたことを適当につぎはぎしたからこうなったのだろう。ぼくは『クイックジャパン』の創刊準備号以来、太田出版雑誌や単行本の、クドいまでに情報を詰め込んだ注がけっこう好きだった。ときには本文よりも。だけど、それはあくまで注としての本来の機能(上で書いた1と2)が果たされた上でのことだ。今後、音楽雑誌などにこの本の書評が出るだろうが、この注(と本文・表・注の誤植の多さ)を指摘しない書評はマユツバである。


口直しに、『本』1月号の井上章一「関西性欲研究会と『性の用語集』」を読み、笑う。講談社現代新書から出る『性の用語集』の編者を、版元の意向で、本来の名前である「性欲研究会」ではなく、「関西性欲研究会」とされてしまったことに関して、「関西」のニュアンスがエロとつなげられしまいがちだと書く。たしかに、性に関して関西は開放的、という幻想(ぼくの、ではなく、世間的な)はずっとあるよなあ。井上氏はいずれ、関西エロの「語彙史研究」に望むというので、期待しよう。この文章のオチも皮肉が利いている。


ココまでは昨夜の話。今朝起きて、上の日記を書いていたら、某紙から電話。ヒドイ話もあったもんだよ。げんなりして電話を切ったあと、旬公と散歩に。よみせ通りのアップルパイの店で、焼きリンゴとガトーショコラを買い、ウチでコーヒーを入れて食べる。昼飯に焼きそばを食べたあと、旬公に三鷹〈上々堂〉ではじめる「古書モクロー」の看板をつくってもらう。時間がないと云いながら、えらく凝ったものをつくってくれた。それを持って出発。


〈上々堂〉に着いたのはジャスト3時。長谷川さんに挨拶。店内で「世界の砂糖展」をやっている西村博子さんが、店の手伝いを。上々堂にはすでに、イン・ショップとして、岡崎武志さんの「岡崎堂書店」と、浅生ハルミンさんの「ハルミン古書センター」の二つが入っている。その激戦区に新規参入するのだし、先輩お二方のように三鷹までこまめに補充に来れそうもない。そこでない知恵をしぼって、「大型の本や画集を中心に置く」(冊数が少なくて済む)ことと、「本以外の紙モノ、CDなどを置く」こと(差別化を図る)の2点だった。しかし、準備に時間が掛かってしまい、9月にはハナシがあったのに、もう年末になってしまった。


上から旬公制作の看板を掛け、とりあえず2棚ぶんを並べてみる。大型の画集ムックを面出しにして、どうやらカタチをつける。でも、一冊売れたらスグにスカスカになっちゃうな。大量買いしてあったマッチラベルは、100枚ごとに束になっていたので、そのまま値付けする。パラパラめくってみて、ナカに気に入った絵柄があれば買ってほしい。意外だったのは、戦前のデザイン図案。正月クリスマス、歳末大売出しなどのを図案化したもので、一枚ずつのシートになっている。30枚近くあるので、まとめて値付けしようかと、長谷川さんと西村さんに見せたら、「これがカワイイ!」と大騒ぎ。ぜったい一枚ずつ売るほうがイイというご意見を尊重し、売り方はお任せする。というわけで、本日から「古書モクローin上々堂」がスタートしました。期間限定でなく、モノと気力と忍耐(店とお客さんの)が続く限りは、継続する所存ですので、どうぞヨロシク。

*古書上々堂 

〒181-0013 三鷹市下連雀4-17-5  正午〜11時頃

TEL 0422-46-2393


そのあと、中央線山手線渋谷へ。ハチ公前のあたりはヒトの多さにまともに前に進めない。ちょっと早いので、〈旭屋書店〉や道玄坂上の書店を覗いてから、ラブホテル街のド真ん中にある〈2's Yoshihashi〉へ。店の前で、『ぐるり』の五十嵐洋之さんと待ち合わせ。リハーサルで開場少し遅れて、中に入る。バーだと聞いていたが、小さめのライブハウスといってもいいぐらい広い店。今日はココで「中川五郎/オフノート ブレゼンツ イミグラントノクリスマス・パーティ」を聴くのだ。4000円で飲み放題食べ放題料理はとても美味しかった)というお得なシステム

 

7時過ぎに、渡辺勝のイミグランド(今日は小編成)からスタート。その後、小暮はな、水晶(ウクレレ)、薄花葉っぱ、mui(三絃)という順序で、一組5曲程度を演奏する。薄花葉っぱは、夏に〈アケタの店〉で見たときよりも、パワーアップしていたなあ。初めて聴く曲も2曲あった。ボーカルの下村よう子はパフォーマンスがうまくなっていたし、坂巻さよ(香川京子似。あくまでぼくの主観では)のピアノもいい。もっと曲をたくさん聴きたいので、休憩時に下村さんに「東京でもっとライブをやってくれ」とお願いした。


そのあと、よしだよしこのギターと歌。相当なベテランらしい、しっかりした歌い方で、しみじみ聴いた。途中で演奏した、「マウンテンダルシマー」という膝に置いて弾く弦楽器が気に入った。そして、かしぶち哲郎渡辺勝をバックに、ムーンライダーズやソロの名曲を歌う。最後にやった、薄花葉っぱの二人をコーラスに従えての、「Frou Frou」にはシビレた。来年ライダーズの新作も出すそうだ。そして、トリは中川五郎。いつも元気な55歳。ライブでよくやる、ルー・リードの「ビッグスカイ」が今日も良かった。全部終ったら11時過ぎ。4時間で30曲ぐらい聴いたのではないか。今年最後にして、最高のライブだった。モルダウ・ディスクから出た、かしぶち哲郎の[つくり話]を買って、外に出る。


ライブのあいだ、五十嵐さんと、来年はじめることになった『ぐるり』の連載をどうするか、話す。なんとなくのイメージをやり取りしているうちに、どうやら書けそうな気がしてきた。帰りの山手線で、『WiLL』第2号を読む。創刊号と同じく、セドローくんと日垣隆の文章以外は読むところナシ。竹村健一インタビューもヒドい。アメリカには「ブログ」というものがあると、とくとくと話しておられる。日本にもありますよ。ウチに帰ったら、12時過ぎ。今日は一日も日記も長かった。


【今日の郵便物】

★古書目録 リヴィン春日井愛知)、書砦(梁山泊

★『エルマガジン』2月号 特集はキモノ。「京阪神 本棚通信」というページが新設。〈ちょうちょぼっこ〉の郷田さんが、大阪・新町の〈Bor-is〉を紹介。フランスの蚤の市で仕入れてるんだとか。

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2004-12-24 クリスマスイブに資料探し

朝寒いので、起きるのがつらくなった。世間的にはクリスマスイブらしいが、関係ないねと、今朝も神保町へ行く、男一匹、37歳児。10時過ぎに古書会館に着いたら、駐車場からバックして出てきた車がぼくを轢きそうになる。なんだ、コイツはと思ったら、運転席から「おはようございます」と挨拶。なんだ、〈三楽書房〉のアキヒロくんじゃないか。会館前で掃除している女性に向かって挨拶したらしく、ぼくが「おはよう」と云ったらビックリしてた。会場入り口で、濱野奈美子さんが受付をしている。「塩山さんの宴会、遠くから覗いてみたかったですぅ〜」。そういう声、やたら多いんだよねえ。というワケで、来年は「実況中継 嫌われ者の記」を開催する予定。

古書展は大混雑。じっくり見る気力なく、ざっと流す。〈豊川堂書店〉の棚で、樋口麗陽『皮肉滑稽風刺諧謔 抱腹絶倒辞典』(大明堂書店大正9)2500円を見つける。「デモクラシー」「新劇」「カッフェー」「女学生」「非常線」など、当時の風俗、流行について皮肉な珍解釈をほどこした、いわば大正版『悪魔の辞典』。ま、御本家ほどにはキレはよくないようですが。うーん、と悩んだ末、買っておく。いつか役に立つ日が来るだろう(と思いたい)。著者の樋口麗陽は、明治末から歴史文学政治、経済、社交術などあらゆる分野の本を書きまくっている。この本の広告にも『日米戦争未来記』という未来戦記が載っている。加藤美侖もそうだが、こういった「ブックメーカー」については、人物辞典にも記載がなかったりして、調べるのはなかなか大変だ。だから、国会図書館データベースウェブで利用できるようになって、著者名や版元から検索できるようになったコトは本当にありがたい。


そのあと、〈田村書店〉の均一を覗いたら、後ろから肩を触られる。後ろの客が押し込んできたかと思って振り向いたら、またしてもアキヒロくん。彼とは妙に縁があるのか、早稲田を歩いていたときも、別の場所で二回出会ったことがある。神出鬼没なのか、向うの行く先にこっちが回っているだけなのか? 〈書肆アクセス〉でサイン本を書き、開店前の〈キッチン南海〉に並ぶ。カウンターに座る客が全員順々に「カツカレー」と注文するのがおかしい。もちろん、ぼくも久しぶりにあのコールタールのようなカレーを食べた。そのあと、〈ブックパワーRB〉で『ハッピーエンド通信』を2冊、〈@ワンダー〉で『小学一年生』『小学四年生』を4冊買う。いずれも「本コ」次号の資料なり。


12時に仕事場に着き、連絡や資料整理。青弓社サイトの「ある日の編集者」(http://www.seikyusha.co.jp/aruhi/index.html)で、交通新聞社高野麻結子さんの文章が掲載されている。タイトルは「いい筒になりたい」、本文もマユ語の連発だが、云いたいことはよく判る。たしかに、著者の個性を生かしながら自分の色もちょっとだけ加えるという点で、編集者って筒(フィルター)みたいなものだ。次号で決まってない部分を会議。たっぷり3時間。終って決まったばかりの企画を、著者にメールで打診したら、すぐ「書きたい」という返事があった。この瞬間、編集者でヨカッタといつも思うのだ。そうだよねえ、マユタン。


中央線高円寺まで行き、南口を5、6分歩いたところにある〈勝文堂書店〉へ。小学館の社史が出てたハズだと、「日本古本屋」で検索すると、今年出た『小学館の80年 1922-2002 DVDROM版付』が5000円で見つかった。店からもスグ返事が来た。たまたま今夜、高円寺に用事があったので、店で受け取ることにする。取材の資料がこんなに早く手に入るなんて、インターネットのおかげである。もっとも、ここまでタイミングがいいコトはめったにないが。店でその社史を見ると、かなり詳しいものなので、購入する。その斜め前の飲み屋っぽい食堂で、肉豆腐定食を食べる。おばあさんが一人でやっている。豆腐に味が染みていて、ウマかった。


北口まで出て、〈JIROKICHI〉へ。前に一度来たような気がしていたが、入ってみて、初めてだと判る。なんどもココでのライブスケジュール、調べたことがあったんだけど。7時15分に入ったけど、どうにか座れた。一人でライブハウスに来ると、はじまるまでの1時間ほどが手持ち無沙汰でしょうがない。なので、遅れてきたのだが、ライブがはじまったのは8時前だった。


小川美潮ライブを見たのは、「リハビラル」というユニット名でやったときが最後なので、もう10年以上前になる。板倉文(g)、大川俊司 (ag、b)、勝俣伸吾(pf)、そして、来られなくなったドラムのれいちに替わって、イギリス帰りだという若いドラマーが参加。小川美潮の独特の声は健在だった。チャクラ(「YOU NEED ME」のロックバージョンがよかった)やソロアルバムに入っている曲もやったけど、大半が初めて聴く曲だった。やたらと曲間のチューニングや調整が長く、もたついた構成ではあったが、ほぼ満足。アンコールでやった、歌詞も演奏も即興のセッションが良かった。来年春には小川美潮のソロ三枚と、板倉文のキリンタイムが再発されるらしい。ちょうどいい時期に戻ってきたのかも。しかし、いまの若いヒトには小川美潮キリンタイムもピンと来ないだろうなあ。もう十数年やっているサンクステレビCMで「すぐ、そこ、サンクス」という声が小川美潮だと云えば、少し判るヒトもいるか。ちなみに、小川美潮公認サイトhttp://www.mishio.com/)は、過去から現在にいたる情報が詳しいので、重宝してます。


10時半に終って、出口でチャクラの[南洋でヨイショ](ボーナス曲入り)を買ってサイン色紙をもらい、電車に乗って帰ってくる。のはー、疲れた。ウチでは旬公が、花道家の中川幸夫を撮ったNHKドキュメンタリーを観ている。90歳近くでアルツハイマーの傾向がある中川が、花を生けることは「破壊することだ」と云いきっていた。すごい。


【今日の郵便物】

★〈街の草〉と林哲夫さんより 『間島一雄書店 間島保夫追悼文集』がそれぞれ届く。前者は購入したもので、後者は好意で送ってくれたもの。古本屋さんに読んでほしいから、1冊は誰かに上げよう。じっくり読みたい文集だ。

★古書目録 みはる書房、一栄堂、共同古書目録(京塚やほか)、高円寺

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2004-12-23 ナニもしなかった日

飲みすぎで、起きたのは10時ごろ。昨日の日記をアップしたら、もう11時になる。旬公は疲れきって、動きそうにない。ヤバい。このまま過していたら、たちまち一日が過ぎてしまう。ともかく出かけるコトにした。


出掛けにポストを覗くと、『図書新聞』1月1日号が届いていた。ぼくが書いた堀切直人『本との出会い、人との遭遇』(右文書院)の書評が載っていて、ビックリ。なぜかと云えば、二週間ほど前に原稿を送ったのだが、受け取ったという連絡もなく、ゲラも送られて来ず、いきなり掲載されてしまったからだ。幸い、間違いなどなかったからヨカッタのだけど、書評紙の世界ではコレが普通なんだろうか。ガッカリした。


新宿に出て、南口の〈タワーレコード〉へ。神保町辺りでは見つけられなかった、朝日美穂のニューアルバムホリテロリズム]を見つける。なんと5年ぶりのフルアルバムだという。機械仕掛けみたいなジャケットがイイね。あと、チャクラ熱が再燃して、ボーナストラックの入っている再発盤[チャクラ][小川美潮]を買う。同じタイトルCDを二度買いするなんて初めてだ。最初のほうは「古書モクロー」で売ろう。そのあと、〈ディスクユニオン〉を覗く。こないだ来たとき、買おうかどうか迷った、パンゴ[ワルツ]がまだあったので買っておく。篠田昌巳、向島ゆり子らのユニット。オフノートの別レーベル(?)から1995年リリースされている。あと、安井かずみ[ZUZU]も買った。


まだ時間があるので、歌舞伎町をブラブラ。メッタにこの辺りに来ないので、どこを歩いているのか判らなくなる。純喫茶の〈スカラ座〉のあのいい感じの洋館は、店がつぶれたあとどうなったんだろう? 歩いてみたけど、見つからなかった。韓国映画オールド・ボーイ》のチケットを買い、近くの台湾料理屋で腸詰と汁ビーフンを食べる。上映時間よりかなり早く、〈シネマスクエアとうきゅう〉に行くと、入口の前にはもう30人ぐらい並んでいて、あとからどんどんヒトがやってくる。公開されてから1カ月以上経つはずだが、人気があるんだなあ。この館は、学生時代、地味な映画を観るのにときどき来ていたが、ここ10年ぐらいご無沙汰だった。椅子は座りやすくてイイのだが、ぼくが座った右側の出口の上に非常灯が点いていて、それが上映時も暗くならないので、目がチラチラして困った。


さて、《オールド・ボーイ》だが、かなりオモシロかった。映画では、主人公の男が原作のマンガほど意思を持った存在ではなく、自分を監視する存在に脅かされ、感情的に抵抗する。このハナシのポイントとなる「なぜ監禁したか」も、原作の抽象的過ぎる理由を捨てて、もっと判りやすい理由に変えていた。そのせいで、ラストが陰惨なカンジになったのは否めないが。奇怪なイメージ電車のナカの巨大な蟻とか)の見せ方や、音楽の使い方もよかった。


新宿駅から山手線で帰る。ウチで、さっき買った『ロック画報』をパラパラ。「歌手野坂昭如」が特集で、巻頭のいわば総論が国書刊行会樽本周馬くん。また荻原魚雷さんも「焼け跡闇市派の逃避行」という文章を書いている。他にも、岸野雄一による桜井順インタビュー松沢呉一安田謙一と、ベストメンバーですわ。「ダニアースの唄」など野坂の音源の入ったCDも付いて、これはお買い得。久々の新作『死刑長寿』(文藝春秋)も出たようだから、いっしょに読むか。


昨日の「嫌われ者飲み会」の参加者が、そのことを続々日記に載せている。まず、セドローくん(http://www.w-furuhon.net/wswblog/cat_60miseban.html)は、塩の字のことを「いない人間の悪口をいう人はいるが、いる人にどんどんぶち込む人はなかなかいない」と。エンテツさん(http://enmeshi.way-nifty.com/meshi/)は、塩の字の事務所に泊まった顛末を書いている。っていうか、アレからまだ飲んだんですか……。旬公(http://d.hatena.ne.jp/halohalo7676/)は、山崎邦紀さんとエンテツさんに「屠畜のあれこれをレクチャーしてしまった」と。あとは、アクセスの畠中さん(女エンテツ)が書いて、塩の字御大が書いたら、ほぼ全員が書いたことに。こんなアホらしい宴会のことを記録するために使われるなんて、インターネットを構想した人々は考えもしなかっただろう。


メールを書いたりしているうちに、9時になった。旬公の仕事が一段落したので、道灌山通りの〈三大門〉へ。4、5年前はよく来ていたのだが、韓国料理の〈大栄〉に通うようになってからあまり来ていない。でも、タマには日本式の焼肉もいい。カルビ、タン塩、石焼ビビンバ。〈ブックオフ〉まで散歩して、帰ってくる。CDを聴きつつ、藤村正太『コンピューター殺人事件』(講談社文庫)を読むが、眠気が催して何度かうたた寝。そうこうしているうちに12時過ぎた。あー、今日はホントに生産的なことはナニもしなかった日だったなあ。


【今日の郵便物】

★「彷書月刊」1月号 特集「はじまりの本」 

岡崎さんと山本さんの「均一VS赤貧」対談が冒頭に。山本さん、いつの間にか、「赤貧」が肩書きに。いいのか? 堀切直人、林哲夫ほかが寄稿。

★古書目録 下町展、青猫書房

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2004-12-22 「愛すべき嫌われ者」との一夜

午前中から仕事場で、連絡その他。雑用ばっかりだが、これらをひとつずつ完了させていくと、なんか働いたような気分になる。2時半に出て、有楽町線に乗って永田町で乗り換えて、そのまま東急田園都市線直通で終点の中央林間まで。車内で、『日本ロック雑誌クロニクル』を読む。インタビューは貴重だが、そこに乗っかってる著者の論があんまり目新しくない。あと、誰がつくったかしらないが、注がヒドイ。同じ固有名詞の注が二箇所に出てくるし、注の内容も作成者が知っていることを書いただけ、というものが多い。「クイックジャパン」以来のお家芸なのか、太田出版の本は注つきのものが多いが、あってありがたい注とつけるだけムダの注の差は歴然としている。


本を読みながら眠ってしまったらしく、目が覚めたら電車が発車するトコロだった。よかった、まだ終点じゃないなと思ったら、中央林間から折り返しなのであった。あわてて次の駅で降りて、反対側のホームに移動し、10分遅れで到着。『進学レーダー』のIさんと待ち合わせて、某校の取材。終って、田園都市線に乗る。またしても眠ってしまい、起きたら半蔵門だった。やたらと眠いのはナゼだろう?


神保町に着いたのは7時20分前。〈書肆アクセス〉で幻堂百年祭のパンフを10冊納品し、すぐに〈なにわ〉に向う。今日は、『嫌われ者の記』(一水社)の著者、塩山芳明さんを囲む飲み会なのだ。ぼくの周りには塩山氏の罵言あふれる文章を愛読するヤツが多く、会ってみたいという声もあるが、みんな二人だけで会う根性はないらしいので、代わりにぼくが会う機会をつくった次第。あと、塩山さん(以下「塩の字」)が「誰も忘年会誘ってくれない」とぼやいていた、という噂も聞いたので。〈なにわ〉にはすでに塩の字とエンテツさんが来ている。塩の字は、この店の場所がわからず、前日に下見に来たそうだ。遠足前夜にコーフンして寝付けない小学生のようで、「嫌われ者」のくせに愛いやつである。


7時過ぎからダラダラと参加者が集まる。エンテツ本の担当者で塩の字とも縁が深いフリー編集者堀内恭さん、塩の字の友達でホモピンク映画脚本家の山崎邦紀さん、荻原魚雷さん、セドローくん、アクセス畠中さん、だいぶ遅れて旬公というメンツ。塩の字は相変わらず方々に毒を撒き散らしている。ぼくもいろいろ云われる。この日記は、今月16日の「なんだか騒ぐぞ、疳の虫」(http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20041216)だけが素晴らしく、あとは全部ツマランそうだ(と云いつつ毎日読んでるらしい)。他のメンバーにもいろいろ罵言を呈していたが、このヒト、自信がないときはなんか断言したあと、ちょっと目が泳ぐんだよな。それがオモシロイ。11時前まで飲んで、食べて、さて勘定をとなったら、塩の字、いや塩山御大が全部払ってくれた。いいヒトです。それを見た、山崎さんがポツリ。「誘ってもらって嬉しいんだよな、あいつも」。


御茶ノ水方面に歩き、途中、未来社の小柳さんと合流。駅の近くの〈和民〉に入る。さっきまでさんざん『未来』の悪口云ってた塩の字だが、小柳さんとは目を合わそうとせず、ぼくやセドローくんのほうを向いてなんか云っている。この小心者! 終電がなくなったエンテツさんは、塩の字の事務所にいっしょに泊まるコトに。1時ごろ、山崎さんと3人で去っていった。そのあと、残ったメンバーでナニも頼まずに1時間ぐらい雑談。魚雷さんがフェミニズム団体につるし上げられたハナシが傑作。荻原魚雷自筆年譜がゼヒ読みたい。お開きになり、タクシーで帰ってくる。ああ、眠い。

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2004-12-21 砂上の楼閣、崩れ落ちる

朝刊で、元『中央公論』編集長の笹原金次郎氏の死去を知る。84歳。中公退社後に政治家になったヒトだ。新聞記事には笹原がいつ編集長だったかが書かれてないので、ネットで検索するも、引っかかってくるのは訃報記事ばかりで、どれも判で押したように同じコトしか書かれていない。中公の社史『中央公論社の八十年』(1965年)を引っ張り出して、確認しようとするがこの本には索引がないので、探しにくい(しかも40年前で時間が止まってるし)。


それでも、パラパラめくって、以下のような記述を発見。まず、昭和29年の『中央公論』について。

一方、創作欄には一回百枚、四回完結という新形式の連載をはじめた。第一回は三島由紀夫の「沈める滝」であり、この連載形式の発案者は笹原金次郎であった。笹原は、嶋中鵬二といっしょに、『文芸特集』と編集していて、そのころ数のすくなかった文芸記者の一人であった。(341ページ)

この『文芸特集』というのは、昭和24年から『中央公論』の臨時増刊として出されたもの。年譜によると、昭和28年じゅうでこの『文芸特集』は終っているようだ。この増刊の作家スタッフが、中公本誌に吸収されたと思われる。しかし、ぼくが笹原の名前を覚えたのは、この時期よりももっと後、昭和36年2月の「風流夢譚事件」のあたりだ。右翼団体からの抗議に対応したのが、嶋中社長と笹原次長であり、事件当時の編集長だった竹森清に代わって、笹原が編集長を引き継いだ。社史には「笹原は混乱から発生した各方面からの批判をまともにあびながら、慎重に編集をおしすすめていった」とあるが、この辺りの事情を、粕谷一希が回想録『中央公論社と私』(文藝春秋)でもっとエグく描き出していたように記憶する(手元に見つからないが)。


10時にウチを出て、市ヶ谷の〈文教堂書店〉で、篠原章『日本ロック雑誌クロニクル』(太田出版)を見つけて買う。『ミュージックマガジン』、『フォークリポート』、『ロッキングオン』、『宝島』(ある時期の)などの音楽雑誌の関係者に聞き書きし、それぞれの歴史をたどっている。こないだ、大阪のチンこと前田和彦くんのウチで見た『ロックマガジン』も登場している。『クイックジャパン』連載時には読まなかったような気がするので、じっくり読んでみよう。


仕事場に行き、依頼や資料づくりなど。国際ブックフェアへの出品を20数社に呼びかける依頼状を、加賀谷さんと手分けして発送する。版元ごとに文面が違うし、送る部署も調べなければならない。加賀谷さんがテキパキ進めてくれたので助かったが、こういうのをやるのはいちばん苦手だ。7時ごろ出て、ウチに帰ると、父親から電話。今日新しい家の棟上をやったそうだ。道路拡張に引っかかって、少しはなれたところに家を建てることになったのだが、もっと先のハナシかと思ったら、どんどん進んでいる。父親はコレが自分の手で新築する最後の家になるだろうから、張り切っている。年末に帰省したときには、もう屋根の瓦が乗っている予定だとか。


テレビを見ながら、いま企画にあがっている著者の執筆誌を探す。手近なトコロに積んであったはずなのに、見つからない。枕元にA5判雑誌を積み上げた山があり、そこにあるかと、山を移動させているうちに、空いた空間に向って、その隣の山(書類やら手紙やらがゴッチャに詰まれている)が崩れてくる。一方、右側の山(B5判雑誌が積まれている)はナゼか逆方向に崩れていく。一瞬のうちに土砂崩れ。「砂上の楼閣」とはこのコトか(違いますね)。


【今日の郵便物】

さっぽろ萌黄書店より 宇井純『公害自主講座15年』亜紀書房、2100円

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2004-12-20 極私的2004年ベスト12のテーマは「貧しさ」

朝起きるとなんだか寒い。ま、これが普通の冬なんだけど。午前中は仕事場で、以来のメールや書類整理。年明けに対談、座談会、取材がある。数人が参加するものは、日取りを調整するだけでタイヘンだ。調整→連絡→調整の繰り返し。オマケにこの年末の飲み会の連絡までいつの間にかやっている。そういう役回りなんだからしょうがないね。


1時半に出て、神保町へ。〈Folio〉で海野弘さんと待ち合わせ。編集部の竹中も後から来て、対談の相談。意外な組み合わせで、面白くなりそう。海野さん、今日も絶好調で3時間喋りっぱなし。静かに話しているのに、決してハナシが途切れず、ずーっと続いていく。一編集者に対してコレだけいろんなハナシをしてくれる著者も珍しい(堀切直人さんもそうだが)。


5時前に古書会館に行って、新宿展を覗く。あまり時間がなかったので、一回りしてナニも買わずに出る。イチローくんに、1月の浅草松屋目録をもらう。仕事場に戻ると、《銭形金太郎》の制作会社となのるヒトからメール。一瞬、冗談かと思ったが、ホントらしい。この日記を読んだということで、「つきましては、南陀楼様ご関係者で生活は苦しいけれどもめげずに活動されている方がいらしたら紹介していただけないでしょうか」だって。この日記に貧乏感が溢れていると感じられたのか、それとも、貧乏な友人に恵まれていると思われたのか(じっさいのトコロは検索エンジンで《銭形金太郎》でヒットしたサイトに片っ端から依頼メールを送りつけていると思われる)。さっそくウチに帰って旬公と、誰を推薦したら出演につながりそうかを話し合う。しかし、コレという「逸材」は思い当たらず。わざわざ出たいというヒトもいなそうだし(あっ、一人だけゼッタイ出たがるヒトを思いついたぞ。たぶんあのヒトなら……)。夕飯は昨日の豚汁の残り。一休みしてから、旬公と田端新町の〈ブックマーケット〉まで散歩する。


ところで、2000〜2003年まで、毎年年末に出る『ことし読む本いち押しガイド』(メタローグ)に、その年のベスト12を書いてきた。ジャンルはなく、ぼくが勝手テーマを設定してよかったので、自分なりのくくりを考えて、「買うだけでシアワセ気分が漂う12冊」「繰り返し見る本・繰り返し読む本12冊」「「このヒトたちを見よ!」の本12冊」「過去を身近に引き寄せる12冊」と書いてきた。今年、依頼があったらナニをテーマにしようか、ついでにどこかに『ナンダロウアヤシゲな日々』を紛れ込ませてやろうと画策していた。ところが、今年はこの本自体が出ないらしい。メタローグとしては確実に一定部数が売れる部類の本のはずなのに、フシギだ。そういうワケで、せっかく途中まで考えたので、ココで今年のベスト12を発表します。


テーマは「貧しさのなかで夢見る12冊」。べつに《銭形金太郎》に影響されたわけじゃありません。この貧しさは、経済的なものでも、精神的なものでも、歴史的なものでもあります。多少コジツケでも、このテーマに入らない本は外しました。また、順序はほぼ刊行月順です。

河内紀ラジオ学校筑摩書房、1600円

橋爪紳也監修『飛田百番 遊郭の残照』創元社、2000円

大島幹雄『虚業成れり 「呼び屋」神彰の生涯』岩波書店、2800円

山本善行関西赤貧古本道』新潮新書、700円

末井昭『絶対毎日スエイ日記アートン、2500円

遠藤哲夫『汁かけめし快食學』ちくま文庫、780円

★堀切直人『浅草』栞文庫、1425円

いわき市草野心平記念文学館『真尾倍弘・悦子展 たった二人の工場から』図録 1000円

★安食文雄『三田村鳶魚時代 在野学の群像図書館体験』鳥影社、1600円

伊藤理佐『ハチの子リサちゃん』双葉社、619円

★きらたかし『赤灯えれじい』第1、2巻、講談社、各514円

町山智浩『USAカニバケツ 超大国の三面記事的真実太田出版、1480円


コメントは略。知人が出した本が3点(河内山本遠藤)入ってますが、いずれも情実とは無縁です。また『レモンクラブ』その他で書評したのは、5点です。もちろん、他にもベストに入れたい本はあるし、まだ読んでない本でいいものもあるでしょうが、とりあえずこの12冊を2004年ベストとしておきます。

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2004-12-19 チャクラつながりの日曜日

朝、なんだかえらく早く目が覚めてしまったので、三鷹の〈上々堂〉でやるコトになっていたのに、こちらの都合で延び延びになっていた、「古書モクロー」で販売する本の値札を書く。〈古書ほうろう〉のときと違って、三鷹にはしょっちゅう行けないので、少し高めの、ビジュアルで大判の本を中心に選ぶ。ダンボールひと箱分つくって、宅急便で発送。コレで年明けにはスタートできるかな?(ほうろうの方は、もう少し待ってね) BGMチャクラの[さてこそ]。細野晴臣プロデュースのこのアルバムは、何年かに一度、聴きかえす。未発表曲やライブ音源が含まれたチャクラボックスセットを、どこか出さないかな。オレは絶対買うけど。ボーカル小川美潮は最近、いろんなユニットライブをやっているので、来年は見に行きたい。


ついでに、今日が締め切りの「早稲田古本村通信」の原稿を書く。今回は居酒屋のハナシ。原稿を送ると、セドローくんは受け取りのメールにかならず感想を何か一言書いてくれる。これが嬉しい。原稿送っても受け取ったという返事さえしない雑誌があるのに、編集者じゃないセドローくんのほうが編集者らしいのはフシギだ。昼飯はベーコンとほうれん草パスタ。食べながら、日曜日の日課になった《噂の東京マガジン》を観る。下北沢再開発計画が、とんでもなく大掛かりでアホらしいものだと知る。


神戸大阪で買った本が詰まった段ボール箱ふたつを開け、忘れないうちに、どこでナニを買ったかリストにしておく。コレをもとに、関西に行ったときの日記を少しずつ完成させようと思っている。4時前に桂牧さんから電話。もうすぐほうろうに着くというので、旬公と一緒に会いに行く。ほうろうで、幻堂百年祭の記念パンフ『幻史』を5部置いてもらう。川崎ゆきお、森元暢之、竜巻竜次、中村よお、安田謙一村上知彦南陀楼綾繁ほか参加者のメッセージイラスト写真入り。幻堂100年の年表も入って、300円は安い。幻堂中野さんからは20部しか預かってこなかったので、早い者勝ちです。今週中に〈書肆アクセス〉にも持ち込む予定。


牧さんと〈ヴァルガー〉に行って、コーヒーを飲みながら、楽器のハナシなどをする。牧さんがチャクラドラマーだった横澤龍太郎のことを云いだして、その偶然にビックリ。横澤さんは実家の植木屋さんを継いでいるそうだ。この店のテーブルの上には、電球がブラさがっていて、立ち上がるとブツかりそうになる。それを避けた牧さんが、ミルクの坪に手を引っ掛けて落としてしまった。店の女性に「すいません」と謝り、「いいですよ」と云ってもらうが、笑ってない目が怖かった。これから早稲田方面に歩くという牧さん、ウチに帰る旬公と別れ、〈ブックオフ〉へ。二階堂正宏の『極楽町一丁目界隈』(朝日ソノラマ)を見つけて買う。このヒトのマンガ、以前からオモシロイと思っていたが、今月になって単行本を集めて読んでいる。嫁VS姑(舅)の対決が、つねに読者の意表をつく新しいパターンとして提出されるのがスゴイ。


ウチに戻り、メールなど書く。晩飯は豚汁。ご飯が少なかったので、旬公の友人がくれた稲庭うどんを半分ずつ食べる。映画テレビの《フェイス・オフ》。最初観たときは、斬新な発想だと感心したが、二回目となると飽きる。終って、『レモンクラブ』の書評を書く。今回は住友達也『あわわのあはは 徳島タウン誌風雲録』(西日本出版社)を。BGMチャクラの[チャクラ]と[南洋でヨイショ]。聞き終わったところに、メール。こないだネットラジオで流れていた、チャクラカバーが誰のものかワカランと書いたが、ある親切な方が教えてくれた。「あれは小川美潮さんの未発表音源です。屋敷豪太プロデュースで数年前にレコーディングされたものだそう。現在、レコミュニだけでダウンロード販売されています」とのこと。本人だったのかー。ぼくの耳は当てにならない。「レコミュニ」というサイトに行ってみたが、なんか「招待制」みたいで入れない。なので、ココで追求終り。今日は朝から夜まで、偶然にも、チャクラつながりの日曜日だった。

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2004-12-18 五反田、銀座、渋谷

朝9時に起きて、五反田へ。このところ雑用が多くて、古書展にあまり行けなかったし、ウチに届く古書目録も目を通していなかった。そうなると、やっぱりフラストレーションが起きる。古書展会場のあのなんともエグイ匂いを嗅ぎたくなるのだ。会場に着くと、二日目とあってヒトは少なめ。荻原魚雷さんに声掛けられる。1階では3、4冊買い、2階で、海野弘『千のチャイナタウン』(リブロポート)800円を見つける。あと、注文していた、安藤はる子『朝顔の苗 夕顔の苗 父安藤鶴夫の想い出』(論創社)1800円が当たっていた。もう一冊、『浅草染太郎の世界』(かのう書房)2000円も当たっていたが、困ったことに、じつはこないだ大阪の第三ビルで、1000円で見つけて買ってあったのだ。注文がダブって外れてくれないかな、といつもと逆のコトを思うが、そういうときに限って当たるんですな。


いつもの〈フレッシュネス・バーガー〉に行き、会場で買った『Rewind 1969-2004 東京古書組合南部支部設立35周年記念写真帖』(1000円)をパラパラ。以前の会館の写真や市の様子、南部支部の古本屋さんの写真など、見ていて飽きない。いまは無き〈山王書房〉や建て替える前の〈江口書店〉の店舗がこんな感じだったのか、とか、20年前のなないろさんはイマよりもずいぶんフツーに見える、とか。そのうち、魚雷さんが入ってきて、雑談。「書評のメルマガ」でやってもらっている「全著快読 古山高麗雄を読む」が来年の5月に完結するので、一冊にまとめて出版しようかと話す。自費制作の小冊子になるが、オモシロイ本になるのでは。しかし、もちろん商業出版で出せればそのほうがイイので、出したいという出版社があればぜひお申し出ください。


また山手線に乗り、新橋で降りる。銀座展覧会を一気に見てまわろうという計画。まず、gggで開催中の「もうひとりの山名文夫」展。上は雑誌原画、下は日本工房や戦後仕事で構成されていた。『NIPPON』のためのタイポグラフィーやデザインと、日宣美のポスターがよかった。そのあと、ときどき行く〈とん銀〉でミックスフライ定食(ヒレ、エビ、カキ)1200円を食べ、紙百科ギャラリーでの「装幀研究者の個展 臼田捷治の魅せられたブックデザイン」へ。紙を販売しているフロアの奥のわずかなスペースでの展示なので、一人の装丁家につき一点、合計で50点程度しか展示されてないが、装丁家の個性が強く出た一冊を選んでいるので、見ていて楽しい。ぼくが気に入ったのは、真鍋博による山川方夫『日々の死』(平凡出版)と、中村とうようの自装本(タイトル失念)だった。来年1月にはトークショーもあり、朴訥で知られるあの「ウッスー」〈愛称です〉のトークがどんなものか、タイヘン興味があるので、ゼヒ行ってみよう。


そのあと、〈ハウス オブ シセイドウ〉での「山名文夫の世界 曲線のモダンガール」展に行こうとして、ハタを気づく。そういえば、資生堂ってドコにあるのか知らないぞ。銀座通りを適当に歩いていても見つからなかったので、gggに戻ってチラシをもらい、ようやく七丁目の並木通り沿いにあることを知る。展示は一階と二階。資生堂広告イラストは一度、三島資生堂企業資料館で見ているので新味はないが、油絵や晩年の私家版を見たのは初めて。500円でパンフを買うが、ペラペラですぐどこかに行ってしまいそうだ。二階には化粧品銀座に関する本を並べた図書コーナーがあり、その場で閲覧できる。また、コンピュータでは資料館所蔵の本が検索でき、「閲覧不可」になってない本は、この図書コーナーに取り寄せて、閲覧できるという。一週間ぐらい待たなければならないけど、けっこう貴重なタイトルもヒットしたので、いつか使うかもしれない。


新橋まで戻り、銀座線渋谷へ。やっぱりヒトが多い。〈ブックファースト〉で『映画秘宝』の新しいのや、「本コ」編集長の仲俣暁生の新刊『極西文学論』(晶文社〉などを買う。そのあと、東急文化村の裏のほうにある〈闘牛百科書店〉へ。例の中目黒発ヘンな名前系の古本屋渋谷にはこの手の古本屋がないので、ときどき覗こう。文化村の地下のアート書店も見て、時間がつぶれたので、向いの〈シネ・ラ・セット〉へ。50人ぐらいのスペースで、前のほうには応接セットみたいな席がある。かえって落ち着かないのでは? 客は10人以下だった。


ココで《OLDK(オーエルディーケー)》という映画を観る。愛とエロステーマにした「ラブコレクション」シリーズの1本。監督の原正弘さんが「書評のメルマガ」の読者で、それでぼくに招待券を送ってくれたのだ。すぎむらしんいちマンガ「OLDK築25歳」(短編集『ALL NUDE』に収録)を映画化したもので、主人公のOLの左右の部屋と上で巻き起こる騒音がエスカレートし、ついにカタストロフに至るまでを描く。原作はすっかり忘れていたが、コレってすぐむら版の筒井康隆「上下左右」だったんだな。映画はすぎむらマンガテンションの高さをうまく映像化していたと思う。音の使い方もうまい。ぼくもアパートマンションで、隣や下の騒音に悩まされた経験があるので、この音を聴いていて昔を思い出した。ただ、残念だったのは、これがDVデジタルビデオ)作品だったこと。このシリーズ自体、全部DV撮影らしいし、予算上しかたないのかもしれないが、映像があまりにもフラットなカンジで、物語に入っていきにくかった(最後のほうではかなり慣れたが)。この館の予告編は、フィルムからDVに変換して掛けているのか(?)、ヒドイ画像だった。あれだったら、予告編なんて見せないほうがいい。


終って、渋谷駅から山手線で帰る。マンションの入口で旬公と一緒になった。いったん帰って、自転車で出かけ、生協で買い物。晩飯は旬公の豚肉丼(ミツバとノリを混ぜる)。DVDチャールズ・ブロンソン主演《必殺マグナム》(1986)を。サイコっぽい殺し屋に追われるブロンソン。最後はきっちりカタをつける。原題は「MURPHY'S LAW」。主人公の名前がマーフィーで、いわゆる「マーフィーの法則」とは違う、「このオレさまの法則」を振りかざすコトに由来。マーフィーの法則って、アメリカではこの頃から流行ってたんだな。それにしても《必殺マグナム》というマヌケな邦題は最高である。


遅くなった「書評のメルマガ」をまとめる。大阪のチンこと前田和彦くんの「東京チン紀行」は最終回。今回はなんか過剰に私小説している。ぼくもそうだったからよく判るが、22歳というあたりは、自分が体験したことに必要以上の意味づけや思い入れを持ちたがるものだ。だから、まあしょうがないでしょう。そのあと、この日記を書いているが、今日はやたら長くなってしまった。こないだ、古くなった椅子(蝶番がコワレていて、毎日直しながら座っていた)を捨てて、小さな椅子に変えたのだが、長時間座っていると尻が痛くてたまらない。もう少しゆったりした椅子にしないと、仕事にならないなあ。

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2004-12-17 年の瀬に税務署へ

早起きして、領収書の残りを足す。合計は出たものの、書類の書き方がちんぷんかんぷん。関連しそうな書類を持って、自転車荒川税務署へ。そもそもこの年の瀬に、ナンでこんなコトやってるかと云えば、2年前(ココ、傍点ね)の確定申告を怠っていたために、健康保険証は使えなくなるわ、住民税に追徴金が掛かるわのキビシイ事態になってしまったからだ。確定申告してないと、収入全部をもとに保険料と住民税が算出されるため、ムチャクチャ高額になってしまう。で、払えなくて……という悪循環。確定申告の時期に提出をしさえすれば、こんな思いするコトないのだが、夏休み宿題から30年経っても同じことを繰り返している。


税務署に行って、窓口の女性に書類の書き方を教わる。しかし、以前だとつきっきりで計算方法を教えてくれたのに、昨今の税務署は人手不足なのか、この女性がペラペラっと説明しては、すぐ奥の席に戻ってしまう。かなり省略した説明なので、何度も呼び返して、教えてもらう。1時間ぐらい掛かって、ようやく書類を完成し、提出する。還付金が入るようなのでひと安心。


だが、今日の用事はまだ終らない。提出した確定申告の控えを持って、区役所に回らないといけないのだ。まだ時間が掛かりそうなので、区役所近くの〈三岩〉で、銀だら煮定食を食べる。ここの魚はうまいなあ。区役所の税務課に行き、控えを見せて説明する。来年1月に住民税の額が判るとのこと。けっこう悠長なのだ。健康保険の係りにも行き、いちおう事情を説明した。すべて終ったのは1時過ぎ。だけど、今日終ったのは平成15年度のものでしかなくて、16年度も近いうちになんとかせにゃならん。それが終ったら、もう次の申告の時期がやってくるのであった。……なんか、原稿の締め切りに似てるなあ。


ちょっと休み、仕事場に行く。本のリストをつくったり、メールを書いたり、その他もろもろ。7時に千駄木の〈千尋〉で旬公と会う。寒いのでぬる燗の酒を飲み、牡蠣ブロッコリー炒め(超美味!)とプチ海鮮丼を食べる。ビデオ屋に寄ってウチに帰り、ビデオで《裸足のピクニック》(1993)を観る。矢口史晴のデビュー作。主人公の女の子が、続けざまに不幸のラッシュに襲われるというのは、次作の《秘密花園》(1999)と似ているけど、本作のほうがダークな笑いに満ちている。最初のあたりなんか、とてもコメディには見えない。あがた森魚が車とぶつかったり、泉谷しげるがケツを刺されたりするのも、なんだかオモシロイ。明日は久しぶりに映画でも見に行くかなァ。


【今日の郵便物】

★古書目録 宇都宮東武

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2004-12-16 なんだか騒ぐぞ、疳の虫

昨夜は3時過ぎまで、2年前の領収書をひたすら電卓で足していた。次々に現れる「書籍代」という領収書。この年の書籍代の合計は、自分でもビックリする額になった。これはなんとも……。少し遅めに起きて、京浜東北線で北浦和へ。東口の古本屋〈野出書店〉を覗き、尾崎一雄『懶い春』(六興出版社昭和26)の函なし(?)を200円で見つける。これの並装本は持っているが、買っておく。西口からバスに乗って、埼玉大学へ。途中、「手打ち風ラーメン」という看板を見つけ、一瞬目を疑う。「手打ち風」って、どこまで手打ちなんだよ……。《虎ノ門》のしりとり名人戦で「マヌケなキャッチフレーズ」として出てきそうな感じだ。埼玉大の「共生社会研究センター」で資料を閲覧する。3時間ほど掛けて、いくつかチェック。パソコンを持ってきたので、作業がはかどる。


5時前にバスで、埼京線の南与野へ。バス停から駅までえらく歩かされる。風が強いので、木の葉が舞っていた。十条で降りる。〈ブックオフ〉とそのすぐ隣の古本屋を覗き、〈斎藤酒場〉へ。数年前から一度は行ってみたいと思っていたが、十条で降りる機会がなくて。店内は低いカウンターがつながっていて、みんな入れ込みで座っている。混んでくると、反対側にも客を座らせる。ビールと煮込み、ポテトサラダを頼む。つまみは200円が多い。隣のおじさんは初めてらしく、その隣のおじさん二人に「この店は気に入った」と話している。『東京人』を見てきたらしい。で、その向こうに常連らしい、髭生やした男(40ちょい過ぎか)が座った。


この男、フツーに酒やつまみ頼めばいいのに、店のオバサンになんかぐずぐず云ってるから妙だなあと思っていたら、さっきの『東京人』おやじに話しかけてきた。そこから、「庶民的な店はスバラシイ」とか「関東の人間は人情がある」とか、歯の浮くようなハナシがはじまった。こういうコトは、人生の年輪を経た地元のじいさんが云うからなんとなく説得力あるんであって、ナニを読んだか知らないが、物事の上っ面だけを舐めたような台詞を、初対面の相手に向ってトクトクと話すのには恐れ入った。しかもコイツ、おやじに向って酒の徳利を突きつけて、一杯献上ときたもんだ。おやじに「自分のペースで飲むから」と断られていたが。なんだか、すごくムカムカしてきて、読んでいた本を閉じて、勘定して外に出る。ぼくも、情報を得てココにやって来たわけだから、〈斎藤酒場〉の雰囲気に浸りたいという気持は否定しないが、それは一人で静かにやってほしい。


うーん、これじゃ収まらない。メシでも喰うかと、さっき目をつけておいた〈三忠食堂〉へ。入口にも店内の壁にも、思いっきりデカイ文字で書かれたメニューの紙が貼られていた。ウーロンハイでチーズ揚げを食べ、さて定食でも、と思っているところに、入ってきた男。店員に「牡蠣フライ定食とメンチ・コロッケ定食とどっちがオススメ?」なんて訊いている。てめー、自分で自分の食いたいモンぐらい決めろよ、とソイツのほうを見たら、なんとさっきの居酒屋ポエム野郎だった。さすがにこの店では、隣に客もいないから、話しかけてはいなかったが。目を合わせないようにして、豚汁(300円で豚肉たっぷり、ウマイ)、半ライス、しらすおろし(100円)を食べて、出る。イヤな再会だったなあ。しかし、十条の街は気に入った。また来よう。


埼京線池袋へ。〈リブロ〉で今日のトークのチケットを受け取る。新刊売り場で、草森紳一『荷風永代橋』(青土社)が並んでいた。800ページ以上ある、弁当箱みたいな本。装丁は井上洋介。すぐには取り掛かれないと思うが、やっぱり買ってしまった。7時前に8階のセミナールームへ。「編集者が語る人文書の現在」というトーク。退屈の極み。酒飲んでたせいもあって、前半は眠ってしまった。司会役の未来社の西谷氏が、あまり喋らないと云いつつ、どこに行くのかわからない長いハナシをしてから、出席の編集者にやっと振るので、やりとりもナニもあったもんじゃない。話題の順序も時間配分もヘタ。「もっと一般客が来ているかと思った」と云っていたが、客席が出版関係者ばかりだからこんなハナシで許されるので、一般客に伝わるようなトークになっているとはお世辞にも云えず。もっとも、出席した編集者のハナシは実体験だけにそれぞれ参考にはなる。東大出版会の羽鳥氏が、各社のPR誌で共通のテーマを決めて横断的な企画をやってみたい、と云っていたが、これはぜひ実現してほしい。


終ると同時にエレベーターで下りて、JRに乗り込む。ドアのあたりに立っていたら、ガムでも噛んでいるのかクチャクチャ口を鳴らしている男がいて、妙に気に障る。西日暮里に着いて、やっとこの音から逃れられると降りたら、そいつも降りて、後ろでまたクチャ音がしていたのにイラつく。なんか今日は疳の虫が騒いでるみたいだ。


ウチに帰ると、旬公が新潟から戻っていた。ボランティアの状況を聞く。少し眠ったあと、領収書の合計を続ける。あー、こういうの、ホントに苦手だ。一日中イラついていたのは、この作業がなかなか終らないからかもしれない。


【今日の郵便物】

★古書目録 荻文庫、天導書房、たくま書房

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2004-12-15 ロレツが回らない

旬公は今朝6時に出て、新潟に取材に行った。帰りは明日の午後だという。その前に、ぼくが5日間ウチを空けていたから、この一週間のうち、二人で一緒にいたのはたった8時間だけという計算になる。すれ違い生活だなあ。ぼくは9時に起きて、「本のメルマガ」の原稿を書き、11時過ぎに仕事場へ。金、月、火と仕事場に出なかったので、処理すべきことが重なっている。「赤旗」が届いていたので、ぼくについての記事を見る。です・ます調で「モクローくん通信」のことを紹介されると、なんだかバカにされているような気も……。写真はウチで撮ったもので、掲載禁止寸前の顔。こんなのカラーで載せて大丈夫か、日本共産党。あと、大橋歩さんの『アルネ』で、ナンと村上春樹の自宅訪問記が、かなりのページを使って掲載されている。これまで絶対に公開してこなかったはずの、書斎や生活空間の写真が満載で、これ、村上ファンにとっては大事件じゃないの?(よく知らないけど)


12時半に出て、新宿の〈ジュンク堂書店〉の8階にあるカフェへ。ここで、永江朗さん、臼田捷治さん、そして「本コ」の津野さん、加賀谷さんと待ち合わせ。ある目的で、ブックデザインが優れた本や発想の優れた本をセレクトするコトになり、その会議なのだ。さすがに強力なメンツなので、打ち合わせでだいたいのタイトルが固まり、そのあと、本棚を回りながら、実際に本を見る。やっぱり手にとって見ながら話すのは、楽しいし、説得力がある。


ちなみに、今日から、銀座の「紙百科ギャラリー」(http://www.ospcl.co.jp/kami100/)で、「装幀研究者の個展 臼田捷治の魅せられたブックデザイン」という展覧会がはじまる。臼田さんが「作家詩人文化人編集者美術家デザイナーのそれぞれが生んだ魅力的な作品」をセレクトしたもので、戦前から現在までのブックデザインの本流を押えた上で、これまで装丁の視点から取り上げられてこなかった本も展示している、らしい。これはぜひ行かないと。永江、臼田の両氏と別れ、〈中村屋レストランへ。初めてココのインドカレーを食べる(お歳暮で詰め合わせをもらったことはあるが)。うまいけど、チキンの骨がゴツイので往生した。


仕事場に戻り、打ち合わせや電話。なんか疲れているらしく、喋っていることにロレツが回ってないのが、自分で感じられる。こりゃ、まずいと、今日行ければ行こうと思っていた、毎日ムックの打ち上げに出ずに家に帰る。帰るなり、布団に転げこんで、しばらく眠る。起きたらスグに取り掛からねばならない作業がある。これがめんどくさいんだよなあ。ネットを見ると、「まぼろしチャンネル」の「帝都逍遙蕩尽日録」(http://www.maboroshi-ch.com/cha/nandarou.htm)が更新されていた。つい2ヶ月前なのだが、いま振り返ると我が事ながら笑ってしまうほどに、高校文化祭での古本市に熱中している。


【留守中の郵便物】

★古書目録 逍遥(古書現世)、松屋銀座、山田書店、大丸梅田店、月曜倶楽部、ぐろりや会

★「日本古書通信」

ほかにもあるけど、略。

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2004-12-14 三月とガケ

朝8時半に起きて、お母さんに挨拶して、9時に前田家をあとにする。この今里というところ、古い街らしく、歩いてみるとオモシロそうだ。ローソンで買った本を詰めたゆうパックを出し、身軽になる。北浜駅で前田君と別れる。土曜日からずっと会っていたので、なごりおしい。京阪電車に乗って、三条へ。


寺町通りの〈三月書房〉の前まで来ると、昨夜「書店員ナイト」で会ったばかりの〈砂の書〉の寺井さんが自転車で乗って通りがかった。京都も狭い。朝飯食ってないので、立ち食いうどんでもと思って探したが、この辺りにはそういった庶民的な店はなかった。11時近くになったので、三月書房に行き、シャッターを開けてもらい、中に入る。宍戸立夫さん、さっそく最近の新入荷を何冊か挙げてくる。3冊買った。斜め前の〈デコイ〉で打ち合わせ。そのあと、三月書房の隣の中華料理屋で牛筋の煮込み定食というのを食べる。


そのあと、白川通りの〈ガケ書房〉へ。噂の「善行堂」を見る。いろんな人に聞かされていたせいか、思ったほど(?)高くない。川崎長太郎の『伊豆の街道』(講談社)が1000円、『ブラケット』10号(すでに林さんにもらった号かもしれないが)が600円と、リーズナブル。裏側の棚には、他に3人ほどが持ち込んでいる古本コーナーがあった。新刊も、マンガの並べ方がうまいので、すでに眼にしているタイトルでも手にとって見たくなる。面出しになっていた一冊を買った。あと、ゼルダCD[ゴールデン・ベスト〜タイムタイムスパイラル](なんというタイトルだ)をレジに出すと、店長山下さんが「こないだ、精華大学で小嶋さちほさんがライブをしたんです」と云う。来年は、この店で友部正人ライブをするそうだ。店を出るとき、バス停まで送ってくれながら、セレクトショップじゃなくて、何でも置く本屋さんがやりたい、と云っていた。そうか、ガケ書房の本質は、なんでも置いてしまう「男気」であり、どんなものが来ても受け容れてやるという「度量の広さ」なんだな。なんか納得。


バス京都駅へ。〈蓬莱551〉の豚まんを買って、新幹線に乗る。途中、1時間ぐらい寝て、5時過ぎに東京駅へ。ウチに帰ったのは6時前。ポストには郵便物がどかどか。産経新聞コラム「みんな本が好きだった」、日曜日の書評欄に掲載された(http://www.sankei.co.jp/news/041212/boo011.htm)。星新一の『気まぐれロポット』について。あと「赤旗」に「モクローくん通信」について喋った記事が載ったらしいが、未見。パソコンには返事を書かなければならないメールが溜まっている。


7時ごろ、旬公が帰ってきて、久闊を叙す(具体的には、「何日もウチを空けやがって」とケリを入れられた)。「松本楼」のレトルトカレーで晩飯。洗濯や片づけをして、〈古書ほうろう〉を覗きに行く。やっぱり、いつもの本屋に行かないと落ち着かない。ネットを見ると、「幻堂百年祭」について、きじまさん、にとべさんなどの感想が載っているし、セドローくんの日記には昨日中尾さんからぼくと前田君の行動の報告があったとある。また、幻堂掲示板http://bbs.infoseek.co.jp/Board01?user=maborosido)も盛り上がっている。


それにしても、今回も神戸だけにしておけばイイのに、大阪京都まで回ってしまった。関西に行くと、いつも以上に行動的になってしまうのは、ナンでだろう? ともあれ、明日からはまた、東京の日常生活に戻る。

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2004-12-13 大阪チン紀行(古本屋篇)

*とりあえず、行動だけ、メモします。

東京に戻ってから、ちゃんと書ければ書きますが。

朝9時半に起き、前田くんのお母さんがつくってくれたサンドイッチを食べて出発。

大阪駅前の第三ビル地下の古本屋へ。〈もっきりや〉など4、5軒。けっこういい本があった。

第一ビルの上の〈高尾書林〉。カウンターの爺さん二人の喋りが漫才みたいで、笑いをこらえるのに必死。ここに再現したいが、関西弁が使えないので断念。

また第三ビルに戻り、中尾務さんと会う。前田くんお勧めにして、坪内祐三『まぼろしの大阪』にも登場する〈ネスパ〉へ。牛肉のコロペットというのを食べる。微妙な味だ。三人でやりたいこと、いろいろ話す。

中尾さんと別れて、天王寺から阪和線へ。大阪人でもあまり行かないらしい(あとで会った人みんなに云われた)長居という駅へ。そこの〈福永懐徳堂〉へ。外の壁面の均一の量に驚愕。文庫も単行本も漫画雑誌も凄い量ある。中もかなり多い。2冊買って目録をもらう。

そのあと、南田辺。いつも目録を送ってもらっている〈黒崎書店〉。二階建てのきちんと整理された店。駅の反対側に出ると、恐ろしく寂れていい味を出している商店街が。その真ん中に、これもいい感じの木造の〈友宏書店〉があったが残念ながら休み。この近くに〈街〉とか〈マンボ〉とかの喫茶店があり、入ってみたくなる。もう一軒、神社の近くに古本屋があるが、入り口まで本の山で入れそうもない。店の前にテーブル出して本を整理しているおばさんに聞いてみるが、やっぱり無理。しかし、マンガ文庫の端本ばかりで、どうやって商売してるのか、不思議

天王寺に戻り、地下鉄を乗り継いで、北浜の〈アトリエ箱庭〉へ。幸田さんとお話しする。なんかゆっくり話していたくなる女性だ。客の古本屋おやじたちが熱を上げてるという噂もうなずける。〈上々堂〉の長谷川さんにちょっと似てるかな。コーヒーを入れてもらった。

それから、扇町駅で降り、〈矢野書房〉と〈天牛書店〉へ。2冊買う。前田くんが方向を間違えて、天神橋筋一丁目というやや寂れた通りに出る。ここで〈尼ミンミン〉というあのチェーン店のミンミンと同じ字を書く(でも独立してると、店主は云っていた)餃子の店(カウンターのみ)に入る。ここ、安くてうまい。ギョーザ、野菜炒め、ラーメン焼き飯

駅の方に戻るときに、「古本」の看板を発見。即入ってみる。靴を脱いで上がる。運動系や詩集が多いかな。〈空閑文庫〉といって、前は別のところで営業し、一年前にこちらに移ったそうだ。2冊買う。

梅田から肥後橋まで歩き、〈calo〉へ。エレベーターを降りると、目の前に飲んでいる人が。「書店員ナイト」といって、書店員出版社の人など、まあ出版関係の人が集まる、会費制のパーティだ。こういう集まりで、知らない人に挨拶したり名刺交換したりするのは苦手なので、なるべく知り合いと話す。ちょうちょぼっこ(―郷田さん)、扉野・近代夫婦、「エルマガ」の稲盛さん、川口さんなど。石川さんにぼくの本にサインを頼まれたが、酔っ払ってるのでまたひどい字になってしまった。あとで、初めて会った某版元の編集者(口が悪い)に、「もっとバランスを考えて書け」といわれたが、ほっとけ。

11時過ぎに前田くん宅に帰り、一緒にテレビ観る。パソコンを借りて、この4日間のことをメモだけしておこうかと書き始めると、やっぱり時間がかかってしまった。

明日は朝から京都に行き、打ち合わせだ。もう寝よう。

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2004-12-12 百年祭の終結とふちがみとふなとの衝撃

*とりあえず、行動だけ、メモします。

東京に戻ってから、ちゃんと書ければ書きますが。


今日もまた、〈アートランダム〉へ。

11時に行くと、川崎ゆきおさんがもういらしていた。身内ばっかりを前にして、病気のハナシ、漫画のハナシ。漫画を長いことやっていると、描く線がどんどん単純になり、「絵が言葉に近づいていく」と。病気のために、電車や車に乗れず、一時間半かけて伊丹から自転車でいらっしゃったとのこと。そして、また同じ時間をかけて、伊丹に帰っていかれた。

エンテツさんと二人で抜け出し、三宮へ。食堂をめざすが、日曜でどこも休み。センター街古本屋を覗き、元町駅前の〈丸玉食堂〉に入る。メニューないので、入り口のガラスケースで頼むものを決めて入る。ビール、腸詰、豚足、焼きそば、タン炒め、焼き飯で、一人2000円。異様に安く、うまい。

〈海文堂書店〉に行き、田中さんにエンテツさんを紹介。ちくま文庫にサインしてた。その後、〈ちんき堂〉にも。

3時前に〈アートランダム〉に戻る。外は大雨になっていた。2時からの旭堂南湖さんは見逃した(挨拶も出来ず)。

安田謙一×ガンジー石原×中村よおのトーク。全員、この六甲駅周辺に縁があるとかで、そのハナシからレコード喫茶店の話へ。どーでもいい話をこれだけ面白く聞かせられるのは、やはり才能だよなあ。前日のトークや川崎さんの話と、微妙に重なっている部分があるところが、3日参加した者にとっては面白い。終わってから安田さん、イレメさんとちょっとだけ話す。前田くんは遅刻して参上。

エンテツさんは名古屋の友だちに会うために、一足先に出かけた。

寄せ場科学ライブ。よおさんがゲスト。初めて聴くが、かなりいい。終わってから、近所から苦情が来た旨を聞かされる。

みんなに挨拶して、前田くんと一緒に、阪急梅田へ。コインロッカーに荷物を放り込み、さて飲みに行くかと、お初天神をうろうろ。チェーン店か創作料理くさい店構えが多く、どこも入りがたい。やっと、以前うらたじゅんさんに連れて行ってもらった〈松屋〉を見つけ、奥のテーブルに座る。ビール焼き鳥など食べてうちに、カウンターの向こうに座っている男がどうも知った顔に見えてきた。煙をすかしてよく見ると、なんとエンテツさんではないか! すぐにコッチのテーブルに呼び寄せる。

名古屋の友だちと連絡つかず、しょうがないから大阪駅前の高級ホテルを予約して、飲みに出たという。で、やっぱりいい店がないとさんざんウロついて、やっとこの店に落ち着いたのだという。何たる偶然。すっかり盛り上がる。で、一緒にライブハウスに行くことに。

梅田の〈ハードレイン〉で、ふちがみとふなとのワンマンライブ。他のバンドと一緒に出たのは見たことがあるし、船戸さんのベースは今年さんざん聴いているが、ふたりだけというのは初めて。遅れて入ったので、会場は満員。1セット目は立って聞く。アップテンポの曲からスローな曲から、ふたりの息は合っている。2セット目の頭にやった、バートン・クレーンの「胸を張って歩け」という曲の、やけくそな明るさ。「世界中がみんなマイナスだ」という明るい諦念がいい。その次にやった、山の上からの町の風景をうたった歌は、CDでは聴いていたが、生だともっと沁みる。なんだか涙が出てきた。ほかにも、オリジナル・カバー取り混ぜて、かなりの曲数をやり、3回のアンコールに応えて1曲ずつやってくれた。ふちがみとふなとの二人にしても、会心のライブだったのではないだろうか。

なんか別れがたそうなエンテツさんに付き合って、〈村さ来〉に入ったら、そこはレトロっぽいインテリアの店で、戦前だか戦後だか時期のはっきりしないポスターやチラシ(サッポロ→ヨッポロなど、固有名詞をいじっている)が貼ってある。そこで1時間飲む。さすがに一日飲み続けなので、酒が回ってきて、気分が悪い。

エンテツさんと別れて、今里の前田くんの自宅へ。お母さんが出迎えてくれる。なんと70年を超えるという一軒家。その2階に泊めてもらう。風呂に入れてもらい、布団を引いたら、もうすぐ眠ってしまった。

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2004-12-11 イベントにつき、終日酔っ払い

*とりあえず、行動だけ、メモします。

東京に戻ってから、ちゃんと書ければ書きますが。

朝、石井さんのウチを出て、JRの住吉へ。

三宮で、エンテツ、石井と別れる。

元町の駅前の立ち食いで、「キザミうどん」を食べる。

元町からのバスで、平野へ。

〈イマヨシ書店〉→〈やまだ書店

やまだの移動式の書棚に感動。

バスで湊川公園西口。新開地へ。

〈金プラ〉でハイシライス

〈新開地書店〉で一冊拾い物。そのまん前の大衆食堂

(マルイチ?)で日本酒と豚汁。こっちでは「とんじる」ではなくて「ぶたじる」だ。

〈八喜為〉でチューハイとお造りのセット(500円)、砂づり(230円)。

三カ所で食べて飲んで、3000円以下。新開地はエライなあ。

新開地の駅地下の古本の出店を覗き、電車に乗る。もう会場に戻る時間だが、つい春日野道で下りてしまい、〈勉強書店〉へ。

3時ジャストに、〈アートランダム〉到着。

エンテツ×MSHIBATA×石井章のトーク。東西大衆食対決。

森元暢之さんの紙芝居落語

ジレッスルさんの朗読ギター

そして、村上知彦×南陀楼綾繁×太朗吉野のトーク。「ぷがじゃ」の編集時代に特化した話になったけど、聞いておきたいことがたっぷり聞けて、満足。お客さんは20人ぐらい、反応もまあまあだったのでは。にとべさん、きじまさん、前田くんなどが来てくれる。

中村よおさんのライブのあと、昨日と同じ〈平衛六〉で打ち上げ。30人近く居たのではないか。ここでも村上さんとだいぶハナシができた。

二日続きで飲んでるので、さすがに疲れた。11時過ぎにお開きになって、六甲道から住吉で降り、石井さんオススメラーメン屋でラーメンを食べてから、タクシーで石井宅へ。

風呂に入らせてもらう気力もなく、眠ってしまった。

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2004-12-10 神戸の夜は幻なり

朝7時に起きて、「図書新聞」の原稿を書く。10時過ぎに書き終える。谷中で製本ワークショップをやる旬公と外で別れて、〈古書ほうろう〉へ。昨日のほうろうの日記で、ぼくの日記を見て、スムース文庫を求めて店に来た人がいたとあった。今回の2点にはぼくは関わってないので、届いたのは各3部だけ。改めて何冊か注文してから、ほうろうに持ち込もうと思っていたのだが、そうせかされたんじゃしょうがない。とりあえず2部ずつ持っていく。今日なら買えますよ(売り切れ御免)。


ウチに帰って、おにぎりを喰う。持っていく荷物をまとめる。なんとか1時過ぎの新幹線に乗らないと。というワケで、「幻堂百年祭」に出席のため、神戸に行ってきます。ぼくの出演は、明日の夕方。村上知彦さん、太郎吉野さんとのトークです。よかったらお出でください。また、今日の夕方と、明日、明後日はなるべく会場にいるようにします。なお、今回はパソコンを持っていかないので、数日間、日記更新できないと思います。メールはどっかで見ていますが。では。

*以下は、13日大阪にて更新。とりあえず、行動だけ、メモします。

東京に戻ってから、ちゃんと書ければ書きますが。

1時過ぎののぞみ号で、新大阪へ。車中読書村上知彦情報誌世界のなりたち』(思想の科学社)の再読。やっぱ、名著だわ。4時に新大阪着。乗り換えて、六甲道で降りる。数年前に行った、〈文庫六甲〉を覗く。そのあと北側の〈宇仁菅書店〉に行ったら、本の量と質に圧倒された。村島帰之の『わが新開地』を3000円で見つけて興奮(あとで調べたら、柏書房の著作集第2巻に入っていたが、原本が手に入ったのはやはりうれしい)。

そんなこんなで、ちょっと遅れて、「幻堂百年祭」の会場である〈アートランダム〉へ。なかのさん制作の映画をやっていた。客は、中村よお、川辺夫妻、森元暢之、MSHIBATA、ジレッスル、東京から来たエンテツと、身内ばっかり。トークやライブをやるというからもっと広いところを想像していたが、1階は8畳ぐらいの空間だ。2階には幻堂関係のあほらしく、力の入った展示が。

そのあと、竜巻竜次の「マンガ講座」という名のうだうだトーク。でも面白かった。このイベントのパンフにサインしてもらう。

最後は今泉さんの映画1970年代の8ミリ映画がよかった。

終わって、阪急六甲の方へ。途中〈せかい書房〉という古本と駄菓子とガチャガチャの店があり、よおさんにここはいいと教えられて入ってみると、マンガ本がすごい。壁に張り付いてたちまち十数冊拾い出す。値段はなく、レジで店主に聞くしくみ。けっこう安かった。

〈平衛六〉という飲み屋で打ち上げ。安くて、おでんをはじめとするつまみがうまかった。

今日はエンテツさんと二人で石井章さんのお宅に泊めてもらうことに。阪急で隣の御影へ。そこから「日本ビバリーヒルズ」そのものの高級住宅街を通り抜け、川を渡って、山を登り、ようやく石井さんのマンションへたどりつく。本が多かったので、へとへと。

改装中でいろいろ作業の跡があったが、風呂はもう完成していて、テレビ付きの入浴を楽しませていただいた。せっかく気分がリラックスしたのに、そのあと、石井さん秘蔵の流出映像を見せられる。このオヤジ、やっぱり変態ですわ。で、エンテツともども疲れきって、すぐ眠ってしまう。


【今日の郵便物】

★古書目録 高崎スズラン古書市

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2004-12-09 畏れるべき(?)ヨメ

今週は旬公が毎朝、品川に取材に行っているので、必然的に早起きになる。今朝は松坂屋で「『銀座百点』創刊600号記念展」を見るため、銀座に出かける。この展覧会のことは、昨日のフジタさんの日記http://d.hatena.ne.jp/foujita/)で知った。「1955年の第1号を復刻したものと1996年の500号記念号を2冊セットにしたものを、募金していただいた方に」くれるとあったので。それにしても、フジタさんは「戸板康二道」を極めるとともに、じつによく街を歩いている。ネットだけで情報収集しているblogとは違い、フジタさんの日記には足で拾った話題が記されていて、いつも参考にさせてもらっている。


有楽町駅に着いたのは9時10分前。交通会館前の〈三省堂書店〉はまだ開いてない。歩いて〈教文館〉の前まで行くと、開店2分前。ちょっと待って、開いたらスグ中に入る。『本の雑誌』1月号を探すが、まだ並んでいない。次に新橋方向に歩き、〈福家書店〉に行くが、ココにも『本の雑誌』はない。まだ取次から届いてないのだろう。松坂屋展覧会見ようと思って前まで行くと、ナンと10時半開店だった。銀座デパートはどこも10時開店だと思い込んでいた。時間余っちゃったなー。しょうがないので、隣の銀座コアの〈ブックファースト〉を覗く。やっぱりココにも『本の雑誌』はなし。秋本治『両さんと歩く下町』(集英社新書)と竹山昭子『ラジオ時代』(世界思想社)を買う。

10時25分になったので下に降り、松坂屋の前で開店を待つ。開いてスグ7階の催し場へ。展示はパネルが中心だけど、『銀座百点』に載った池波正太郎(あの〔〕や〈〉が原稿通りだと確認できた)や三島由紀夫の生原稿、連載をまとめた本(色川武大『なつかしい芸人たち』も同誌の連載だったのか)なども展示されていた。佐野繁次郎から秋山庄太郎/濱谷浩の写真を経て、風間完、脇田和(この人がいちばん長い)、そして現在の小杉小二郎に受け継がれる表紙を600点並べているのもイイ。見終わって受付で、「復刻版はどこでもらえますか?」と聞くと、昨日で無くなったという答えだった。残念、せっかく来たのになあ。まだ発行元に在庫があるのなら、有料で販売してほしいものだ。

丸ノ内線大手町まで行き、半蔵門線に乗り換え、神保町。〈書肆アクセス〉でやっと『本の雑誌』を手にする。ココは地方小のセンターから直接搬入されるので、他店より一日は早く入るのだ。『本の雑誌』がいつも買ってるけど、発売日なんか気にしてない(というか、『噂の真相』と一緒の日に買っていたので、ウワシンが廃刊してからどうでもよくなった)。それなのに、今日はどうしてかと云えば、昨夜アクセスの畠中さんが旬公に、「2004年ベスト特集の読者が選ぶベストに『ナンダロウアヤシゲな日々』が入ってますよ」とメールで教えてくれたからだ。そのページを見ると、たしかに「読者が選んだベスト1」の冒頭にあった。水戸市伊藤聡一さん、ありがとう。しかし、「書物原理主義者たちの教祖」はいくらナンでも云い過ぎでしょう。だいたい原理主義意味がちょっと違うと思うぞ。「奥さんがあの内澤旬子なのですから畏れるのみ」とありますが、「あの」で読者に判るんだろうか、心配。それにしても、旬公を妻に持ったコトで「畏れられる」とは思わなかった。

電車の中で、原寮〔上のかんむりはナシ〕『愚か者死すべし』を読み終える。うーん。話そのものよりも、探偵ストイックな態度を取って、それを別の登場人物が賞賛したりする、というシーンが頻繁に出ているのがなんだかイヤだ。以前の長篇にはさほど厭らしさを感じなかったけど、今回はなぜかやたらと気になった。同じハードボイルドでも東直己にはそういう厭らしさはあまり感じない。ハードボイルドのナルシズムを茶化すところから始めているからだろうか。仕事場に行き、資料のコピーを取ったり、手紙を書いたりする。


6時過ぎに出て、西日暮里コンビニカラーコピー。〈はやしや〉でビール一本飲んで、ウチに帰り、小沢信男さんのお宅に自転車で行き、お借りした資料を返却。またコンビニでコピーを取って、投函し、ウチに帰る。晩飯は、里芋とひき肉とレンコンの煮物。ワリとうまくできた。旬公が観てるので、一緒に《黒革の手帖》の最終回を観てしまった。新聞雑誌を縛って、ゴミ捨て場に出す。すっかり寒くなったなあ。明日は午後から神戸に行く。


【今日の郵便物】

東京書房

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2004-12-08 ごくフツーのメンチカツサンド

朝、ベランダで声や音がする。上の大家さん宅でガスが出なくなったとかで、工事をやっているのだ。おかげですっかり目が覚める。自転車荒川税務署まで行き、書類を見せたら、「コレは区役所の通知です」と云われ、そっちに回る。窓口のヒトに相談。緊急の対応が必要。帰りに、オリンピック選手の北島実家の肉屋である〈きたじま〉の前を通ると、今日は水曜日なのでメンチカツサンドを売っている。ひとつ買ってみる(500円)。ウチに帰って食べるが、たしかにウマイけど、ま、ごくフツーの味。500円はちょっと高いかな。書評の本に目を通し、12時過ぎに出かける。

神保町で、今日は古書展やっていると手帳に書いてあるので、行ってみたがやってない。記入間違いだったみたい。〈三茶書房〉の前を通ると、シャッターが閉まっていて、「忌中」の貼り紙が。セドローくんの日記にあったように、店主の岩森亀一さんが亡くなったのだ。岡崎武志さんによる岩森さんへのインタビュー(「ARE」第10号、のちにちくま文庫古本極楽ガイド』に収録)に、〈山王書房〉の関口良雄さん(1978年死去)、〈江口書店〉の江口了介さん(2001年死去)と三人で、お茶だけで半日かけて古本勉強会をやったというハナシがあるが、この三羽烏とも鬼籍に入ったわけである。古本屋のひとつの時代に幕が降りたような気がする。


書肆アクセス〉に寄ると、早くもスムース文庫2冊が入っている。今日か明日、ウチにも届くはずなので、中身は見ずにおく(と書いていたら、メール便でさっき届いた)。住友達也『あわわのあはは 徳島タウン誌風雲録』(西日本出版社)と『週刊読書人』を買う。まだ少し時間がある。いつもだったら、古本屋などを流すのだが、都営地下鉄線に乗って新宿三丁目へ。〈ジュンク堂書店〉に行こうというワケ。

新宿三丁目で降りて、靖国通りを歩く。明治通りの方を何気なく見ると、〈ヴァージンメガストア〉が消えて〈IN THE ROOM〉になっている。ふだん通らないからゼンゼン気づかなかった。閉店したのか、それともまたどこかに移転したのか?(あとで検索してみたら、今年はじめにすでに閉店していた) 〈ディスクユニオン〉のインディーズ館へ。ここに入ると、いつも1970年代ロックフォークが掛かっていて、時間が止まったみたいで落ち着く。ジャケットがかっこいい安田南[Some Feeling]、レイクサイド[ソング]、ウリチパン郡[せん]を買う。ウリチパン郡はオオルタイチとウタモ(って誰?)のユニット。最近はナニがミュージシャン名でユニット名か、あるいは、ナニがアルバムタイトルなのかが、さっぱり判らなくなった。雑誌などであらかじめ情報を得る気力がなくなったというコトもある。いまでは知人から教えてもらって買うか、レコード屋でジャケ買いするだけだ。

ジュンク堂に行き、7階で『文學界新年号(小谷野敦コラムの連載が始まった)と、二階堂正宏『裏極楽町一丁目 行かないで』(朝日ソノラマ)、8階で確定申告の本と、町山智浩『USAカニバケツ 超大国の三面記事的真実』(太田出版)を買い、仕事場へ。夕方、次号の担当決めの会議。そのあと、手紙メールを書いたり、資料を整理したり。書評を1本書かなければならないが、まだ取りかかれず。


7時前に出て、根津へ。〈往来堂書店〉で雑誌を何冊か買う。旬公が来て、根津駅近くのロシア料理店〈海燕〉に入る。鰊の酢漬け、鳥のクリームソース添え、ロシアギョーザ入りのスープ、ピロシキ。どれもウマイ。高いかなと思ったら、意外と安かった。谷中仕事場に行く旬公と別れて、ウチに帰る。洗濯したり、原稿を書いたりする。こないだ、セドローくんたちに本を買取りしてもらって、棚の上のほうにちょっとだけスペースができたので、そこに積んである本を詰める。ジャンルを決めて入れようと思っても、片っ端から積み上げるのが精一杯だった。いつになったら、書き下ろし用の資料だけ並べた棚が持てるのだろうか(一生ムリかも)。


金曜日からの関西行きに備えて、『エルマガジン』1月号を流し読み。他の情報誌と違って、どの記事もそれなりに読んでしまう。今月はイイ男特集で、「古本市に集まるちょっといい顔」というページが笑える。欧米人の学生が『ひまわり』を探していたり、大学教授が「古本七つ道具」(探書ノートや紐、傘など)を所持していたり。ココに山本善行さんが写っていれば最高だったんだけど。他にも、緑魔子[アーリー・イヤーズ]のレビューちんき堂戸川昌士さん(新刊『古本珍奇レター』が東京キララ社というトコロから出るとか)が書いていたり、〈calo〉の石川あき子さんがフランクフルト・ブックフェアの報告を書いていたりする。幻堂イベントもちゃんと告知されている。エライぞ、エルマガ!


【今日の郵便物】

林哲夫さんより スムース文庫5 大庭柯公『復刻 ふるほんやたいへいき』、6 築添正生編『1914年 ヒコーキ野郎のフランス便り――バロン滋野と滞欧画家たちの絵葉書より』各500円 前者は索引つき、後者は挟み込みの付録つき。

★古書目録 細田書店

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2004-12-07 寒くて眠い日

ここ数日、急激に寒くなった。朝方、布団が冷えて目が覚める。ウチのマンションの床は冬でも暖かいほうなので、こんなのは珍しい。午前中、高田馬場へ。BIGBOX古書市を覗き、数冊買う。そのあと、〈芳林堂書店〉へ。原寮〔上のかんむりはナシ〕の久々の長篇『愚か者死すべし』(早川書房)が出ていた。スグ読もう。それと、諸星大二郎の初の小説集『キョウコのキョウは恐怖の恐』(講談社)を見つけて驚く。マンガ家小説って、当たり外れが極端だけど、大丈夫かな。まあ買ってみる。あと、『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)が素晴らしかった高野秀行の『怪しいシンドバッド』(集英社文庫)。黒田硫黄カバーイラストだけでも買いです。


そのあと、〈キノコノクニヤ書店〉でも覗くかと思ったら、まだ開いていない。その近くのビルの中に、〈秋田っ子〉という秋田料理の店があり、もう昼飯を出しているので入ってみる。客はゼンゼンいず、ひげ面のおやじ一人。しょっつる鍋の定食を頼む。壁には洋楽ジャズドーナツ盤がずらりと並べられている。聴きたいのを取り出して渡せば、店で掛けてくれるそうだ。おやじはしきりに味を確かめていて、けっこう待たされる。出てきたしょっつる鍋はウマかった。あと、おしんこも。今度は夜に飲みに行ってみよう。


仕事場に行き、次号の編集会議。企画のうち何本かはGOサインが出る。そういえば、まだ書いてなかったけど、『季刊・本とコンピュータ』14号は無事、見本ができて、10日は書店に並ぶハズ。特集は「日本人読書習慣 消えたのか? 変わったのか?」。読書離れがどうこうという議論とは、かなり位相の違うところに問題を設定しているので、興味深い内容になっていると、編集者としては思います。呼び物は10代から90代(青山光二さん!)までの読書体験を訊くアンケート山下敦弘さんや大槻ケンヂさんなど、「本コ」的には異色な人選です。個人的に書いてもらっていちばんヨカッタと思うのは、堀切直人さんの「町を読む、書中を歩く」。これは大作『浅草』(栞文庫)のサブテキストとして読んでほしい。明日あたり、サイトhttp://www.honco.jp/)に目次が載る予定。


夕方から原稿一本書く。ウチに帰り、旬公と不忍通りのイタリア料理屋へ。狭い店だけど、きどってなくてイイ。ワインを飲み、ベーコンのペペロンチーニと、子羊の香草焼きを食べる。パンもうまかった。近くの〈エヌマート〉が閉店してしまったので、不忍通りの〈サミット〉でコーヒーを買う。〈古書ほうろう〉に寄って帰宅。『愚か者死すべし』を読みながら眠ってしまい、起きたら12時過ぎていた。


【今日の郵便物】

佐藤藝古堂、新宿

2004-12-06 ネットラジオで原稿を

朝、少し寝坊。数日ぶりに神保町に行き、〈三省堂書店〉を覗く。みなもと太郎少女マンガを特集した『comic新現実』第2号と、坪内祐三文庫本福袋』(文藝春秋)を買う。〈田村書店〉の均一台の前で右側から見ようとしていたら、あとからやってきた男が、「ヒョッ」とか「ウッ」とか小声を挙げながら、すごい勢いで左側に積んであった本を抜く。掘り出し物だったみたい。もし自分が欲しい本だったらイヤなので、よく見なかったけど、横尾忠則の装丁本っぽかった。まさか柴田錬三郎『うろつき夜太』の初版じゃないだろうな? だとしたら、見逃し残念。左側から見ればよかった。


〈岩波ブックセンター〉で『論座』の新しい号を買い、『図書』をもらって、さくら通りの〈げんぱち〉でハヤシライスを食べ、仕事場へ。次号の企画を考える。産経新聞生田誠さんが来て、コラムに載せる写真を撮影。もっとも1時間ぐらいいて、その九割はずっと絵葉書のハナシをされてましたが(笑)。夕方から、ずっと引きずってきた原稿にようやくエンジンが掛かりはじめる。この期を逃すまじと、一気に取り組む。BGMネットラジオ高橋健太郎がDJの「「MEMORY RADIO LAB」(http://www.live365.com/stations/313720)という番組朝日美穂がゲストの回。朝日美穂は[ホリテロリズム]というアルバムがもうすぐ出るらしい(本人のサイト情報あり。http://www.ceres.dti.ne.jp/~donidoni/asahi/)。このアルバムからの曲も掛かっていたが、なかなかイイ。一度ライブを見てみたいものだ。この番組ではほかにチャクラカバーも掛かっていたんだけど、誰が歌っているのかは判らなかった(ご存知の方は教えて下さい)。このラジオ番組は3時間で一回転して、また元に戻るらしいが、それを2回聞いたあたりでようやく原稿がまとまる。まだチェックの過程があるが、いちおう安心。長かったー。でもスグに次がやってくるのだ。


帰りの電車で、『みずす』1月号を読む。植田実の「知られざる本郷・求道学舎 『集合住宅物語』番外篇」は、前を通るたびに「なんだろう?」とかねがね不思議に思っていた建物の内部と、その再生の過程を紹介していて、興味深い。この記事は田端ヒロアキくんに教えてあげなきゃ。彼は、「萬」というミニコミをやっていたとき、この建物から名を借りて「ゆとり文化研究所・愚童学舎」を名乗っていたのだ。この号では、山本義隆「ランダウをめぐって 個人的な回想」もよかった。科学者政治に対してとるべき態度を、はっきりと述べている。科学史については何の知識もなかったが、コレを読んで、今月出る『物理学者ランダウ』(みすず書房)を読みたくなり、さらに、あまりの分厚さに断念していた山本義隆の『磁力と重力の発見』全3巻(みすず書房)にチャレンジしてみたくなった。


ウチに帰ると、旬公が仕事しながら、歌舞伎町ホストの実態を追った番組を見ていた。飲みまくり喋りまくる彼らの仕事ぶりはスゴイ。昨日読んだ安野モヨコの『働きマン』といい、バリバリ働くヒトを見ると圧倒される。彼らの半分ぐらいでいいから、勤勉に働きたいものである。……と書きつつ、すでに眠気を覚えているのであるが。


【今日の郵便物】

★古書目録 萩書房、中野書店

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2004-12-05 なにごともなき日曜日

寝坊。今週末に旬公が久々に「製本ワークショップ」をやるので、参加者用に買った折りたたみ椅子を、タクシー谷中の部屋まで運ぶ。タクシーから椅子を出していると、大家のおばあさんが出てきた。挨拶すると不審そうな顔をするので、「カワカミです」と云うもどうも通じた気配がない。前に何度も話しているのにどうしたんだろうと思いながら、荷物を運び終わると、またおばあさんが寄ってきて、「カワカミさんの旦那さん? とてもお若く見えるので判らなかったわ」とのたまう。以前はオーバー着ていたから印象が違ったんだって。「お若い」と云われたのは久しぶりだ。


タクシーでウチに戻る旬公と別れて、根津へ。自然食品の店でシャンプーを買おうと思ったら休み。〈往来堂書店〉に寄り、マンガを数冊買ってウチまで歩いて帰る。安野モヨコ『働きマン』第1巻(講談社)を読む。久しぶりに調子いいんじゃないかな。部下のどうしようもない男が、一向に反省しないままであるあたりがリアルだ。そのあと、ちょっと寝たり、仕事したりして夜に。夕飯は、鳥取で買ってきた、さばのへしこ、砂丘らっきょう、鯛ちくわと、秋田の旬公の友達が送ってくれたじゅんさい、里芋の味噌汁、そして鎌倉実家からもらった焼豚と、お土産と貰い物で豪華かつ健康的な食卓となる。


夜、仕事しながら、留守中のメールへの返事を書く。赤田祐一さんからのメールに爆笑。古本を買ったところ、ページの間に「根津大手町 28歳 河上進」と書かれた定期券が挟まっていたというのだ。まだ根津の一軒家に下宿して、内神田のゆまに書房に通っている時期のコトだ。それがナンの本だったかは、秘密です。それにしても、書き込みや線引きをしてなくて本当にヨカッタよ。


【今日の郵便物】

★古書目録 五反田展、サッポロ書店

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2004-12-04 帰ってきたのはイイけれど

朝7時に起きて、すぐ荷物をまとめ、チェックアウトしてホテルを出る。今日は鳥取は雨が降るという予報だったが、まだ雨は降っていない。駅前の角っこに立ち食いそばの店があった。そこで、うどんを食べるが、かなりウマイ。一切れだけ入っているちくわもウマイ。昨日も行った「駅前市場」で、東京に持って帰る食料を買い込む。まず、サバの「へしこ」(味噌漬けしたもの)。コレは旬公の大好物なので。それと「砂丘らっきょう」。そして、ちくわ各種(とうふちくわ、鯛ちくわ、いわしちくわ、あごちくわ)。コレだけ買っても2000円以内だった。


バス乗り場に急ぎ、窓口で空港行きの乗り場を聞くも、「一便に合わせたバスはもう出ましたよ」との答え。飛行機一便に対してバスも一台しか出ないのだという。ひどいなあ。仕方なくタクシーに乗ると、15分ほどで着いてしまい、空港でヒマをもてあますハメに。9時に離陸、少しは揺れたが無事羽田に着陸。モノレールのチケット売り場で、「モノレール山手線どの駅でも下車」で500円という乗り継ぎ切符を売っていたので買う。こんなの前からあったかなあ? ただし、モノレール用とJR用の2枚に分かれているので、両方投入すると自動改札機が止まる。ぼくの回りにも、2枚投入してしまうヒトが続出。浜松町での乗り継ぎがうまく行き、11時半にはウチに着いた。


荷物を解いてから、少しヨコになる。さすがに疲れたなあ。昼飯はきしめんととうふちくわ1本。今日の夕方には、旬公の家族が西日暮里の〈大栄〉で食事するコトになっている。ぼくは仕事もあるので、パスさせてもらう。そろそろパソコン持って図書館に行こうかと思ったところに、鎌倉の両親と義兄がやってきた。旬公は外出から戻ってこないし、部屋は散らかり放題。仕方なく、前の〈ルノアール〉でお待ちいただくことに。ナニやっとんじゃ。


駒込図書館に行くと、閲覧席は満員でパソコンを打つのがちょっとはばかられる。資料を読んで、5時まで過す。そのあと、ちょっと田端でも行こうかなと思ったら、いきなり大雨。ずぶぬれになりながら、ウチに帰る。一人で夕飯つくって食べる。10時過ぎに旬公と一緒に、〈古書ほうろう〉→〈ブックオフ〉と散歩。またいつもの日常、そして、進まない仕事が頭から離れない生活に戻った。


【留守中の郵便物】

★古書目録 中央堂書店、のえ書房、みはる書房&鳩書房、伊藤書房

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2004-12-03 ちくわと〈ほんだらけ〉とカフェの鳥取

朝8時に起きて、ホテルの前にある「駅前市場」に行く。平屋建てで、なかに14、15店の魚屋や肉屋、乾物屋などが入っている。まだ開いてない店もあるが、ほとんどは営業中。おばさんがちくわを並べている店に行き、「何時からやっているの?」と訊くと、「ウチは6時には開いている」と云う。ちくわは日持ちがしないから、明日また来ることにしようと、とうふちくわを1本、焼きとうふちくわを1本買う。100円と150円だったかな。そのあと朝飯を食える店を探すが、それらしきものは見当たらず、コンビニおにぎりを買って、ホテルに戻って「焼き」と一緒に食べる。このちくわ、じつにいい味でたちまち一本食べてしまった。


10時にNさんが迎えに来て、図書館へ。二階の大会議室に入ると、マシンがセッティングされていた。前方の大プロジェクター投影して見せる。チラホラとヒトが入っているが、ほとんどが女性。鳥取県では県内のすべての公立学校司書教諭、高校公立学校司書が正規職員として配置されており、学校図書館に関しては先進県と云える。そのため、今回も参加者の半分は学校図書館司書だった。こちとら、図書館の専門家でもなんでもないが、「進学レーダー」で私学図書館の取材をしている経験と、図書館以外の「本」の世界については多少持ちネタがあるので、それらを中心に話す。午前中1時間半、食事を挟んで、午後2時間半(途中一回休憩)話す。熱心に聴いてくれたと思うが、質問ありませんかと云ってもホトンド反応なく、それでいて終ってから個別に質問しに来る人がいた(これは鳥取人の性格だというんだけど、ホントか?)。まァ無事終ってよかったです。


また奈良さんが迎えに来てくれて、鳥取砂丘へ。子どものとき来ているハズだが、記憶にない。夕日が水平線の向こうに落ちようとしている時間で、われわれがすり鉢状の砂浜を下りて、また向こうに登っていくうちに陽はすっかり落ちてしまった。断崖になっている砂山の上から海を見て、また戻ってくる。奈良さんはこれから仕事なので、あとで会うことにして、ホテルまで送ってもらう。今日は昨日より安いシティプラザに泊まる。チェックインして、〈定有堂書店〉を覗き、昨日の中山さんが刊行した、松原岩五郎『復刻 社会百方面』(編集工房炬火舎)と、中島さんがオモシロイと云っていた、西本正『香港への道 中川信夫からブルース・リーへ』(筑摩書房)を買う。後者の聞き手は山田宏一山根貞男。そこからブラブラと駅方面に歩く。昨日、梶川先生が「モンゴル人のコックがいる」と云っていた〈上海茶楼〉という中華料理屋に入り、青島ビールと四川風鳥の唐揚げ、チャーハンを食べる。ワリとうまい。


これから、昨日村上さんに教えてもらった、〈ほんだらけ〉という新古書店に行こうと思うのだが、駅の反対側でバスもメッタに通らないらしくどうしようかと思案していたら、奈良さんから携帯電話。昨日ライブをした田口くんが車で送ってくれるというので、駅前で待って乗せてもらう。車の中で話しているうちに、彼が「Charider」というミニコミを創刊したメンバーだったことを知る。数年前の「本の学校シンポジウムの、ぼくが司会した分科会で、ミニコミのつくり方について質問したと云うので、思いだした。なんだ、そうだったのか。


20分ほど行った正蓮寺というトコロに、〈ほんだらけ〉はあった。外見はまるっきりブックオフだが、中に入ると本棚がギリギリまで高くつくってあり、本がギッシリつまっている。端から見ていくと、古本屋でそこそこいい値段がついている本がつぎつぎに見つかった。たとえば、山口瞳の男性自身シリーズの単行本が一冊100円、亀和田武『寄り道の多い散歩』(光文社)400円、川瀬一馬『随筆蝸牛』(中公文庫)200円という具合。奥に新書のコーナーがあり、そこでは河原淳『くたばれファッション きみ自身のおしゃれ』(双葉新書)、「週刊本」の野々村文宏+中森明夫田口賢司『卒業』朝日出版社)、『ニセ学生のすすめ』(大陸書房ムーブックス)がいずれも100円で見つかった。この3冊は個人的には掘り出し物だ。新書コーナーの周辺は改装中で段ボール箱が積まれていて、この棚もぼくが本を抜いた直後に立ち入り禁止になってしまった。ラッキーでした。あと、旬公に頼まれていた、羅川真理茂『ニューヨークニューヨーク』第3巻(白泉社)も発見。15冊ほど買い、紙袋に入れてもらう。


車に乗ってホテルまで送ってもらい、そこで田口くんと別れる。一度荷物を置いてから、また出かける。10時まで時間をつぶせる居酒屋を探そうと、街を歩く。しかし、メイン通りにある飲み屋はいかにも「創作料理屋」風で、ちょっと外れた通りは街灯すらなく真っ暗。昨日眼をつけておいた「太平通り」の〈太平食堂〉も閉まっていた。駅近くの飲み屋街を30分ぐらいウロウロしたが、仕事帰りのサラリーマン向けのスナックか割烹、あるいはチェーンの居酒屋ばかりで、一人で入れるような店はない。うーん、困った。結局、雑居ビルの中にある〈てんまり〉という店に入る。「鳥取地酒と魚」とあるので、酒を二杯冷やで飲み、石がれいの刺身とあごちくわを食べる。うまい。


そうこうするウチに10時近くになったので、待ち合わせの〈ソース〉というカフェへ。しかし、金曜の夜なので女性で満員。定有堂で奈良さんと田口くんと待ち合わせ、倉庫街にある〈パーク〉というカフェに行く。この店も倉庫を改造したようなつくり。髭を生やしたマスターに飲み物を注文して、二階に上がる。3、4人座れる席が、ちょっと離して4つほどある。椅子もテーブルも照明もイヤミでないほどにシャレている。ぼくが注文した「プーアール・ミルクティー」もえらく美味い。数年前にできて、人気の店らしいが、たしかにとうなずける。あれこれ話すうちに、12時前になった。お開きにしてホテルに送ってもらう。ベッドで文庫本を少し読み、すぐ眠ってしまった。

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2004-12-02 鳥取逃避行(ワリと気楽そうですが……)

昨夜は12時前まで、鳥取での話のレジメをつくる。経験上、長大なレジメを配布しても意味ないコトが判っているので、要点を記したレジメと、話す内容をまとめたメモ(けっこう長くなって、草稿に近くなった)の両方をつくらなければならず、時間が掛かった。ウチに帰り、朝早起きして、産経新聞コラムを書く。そのあと2時間ほど、遅れに遅れている原稿をやるが、とても終わりそうにない。Fさんに「申し訳ない」とメールして、荷物を持ってウチに出る。パソコンも持たず、鳥取に逃避行だ。


浜松町で帰りの飛行機を訊ねると、明日の最終便は満席とのこと。一泊で戻ってくるつもりだったが、難しいか。チェックインを済ませ、いつも寄る〈ブックス談〉を覗いてから、モノレールに乗る。乗ってから、昨日(12月1日)から羽田空港に「第二ターミナル」というのができたのを知る。そういえば、テレビで宣伝していた。今日乗るのはANAなので、その新しいターミナルを使うのだ。荷物検査のところから搭乗ゲートまでやたらと歩くのだが、その代わりゲートから飛行機に直接乗り込めるのはアリガタイ。いつも短い距離をバスに乗せられるのが、なんか好きじゃなかったので。


3時前に離陸、4時過ぎに鳥取空港着。夏に来たときと違い、今回はゼンゼン揺れなかった。鳥取県図書館のNさんが迎えに来てくださる。図書館に行き、資料の本を置かせてもらい、簡単な打ち合わせ。〈定有堂書店〉の奈良敏行さんが迎えにきてくれて、駅前のワシントンホテルまで車に乗せてもらう。チェックインしたあと、歩いて3分のトコロにある〈ブックオフ〉に向う。中型の店舗。ゆっくり見たかったけど、何度も携帯電話が入り、落ち着けなかった。そのあと、前回も行った、〈トスク〉というスーパーの中にある古本屋へ。相変わらず、文庫の100円コーナーにオモシロイのがある。陳舜臣が十数冊あって全部100円だ(持ってるので買わなかったけど)。文庫を5冊ほど買う。


そこから歩いて定有堂に向かうのだが、前回と違う道から行こうとして、迷ってしまった。同じように暗くて、人気のない道なので、自分がどちらに歩いているのか判らなくなってくる。10分ほどさまよって、川の端に出た。ココからはすぐ判る。定有堂に行くと、奈良さんに、鳥取で「編集工房炬火舎」をおやりになっている中山昇治さんを紹介される。中山さんは、鳥取の淀江の出身であるジャーナリスト・松原岩五郎の本を復刊している奇特な方である。「こないだ来たときにココで、『征塵余録』を買いましたよ」とお話しする。


及川さんや伊丹さんに案内されて、定有堂の二階に上がると、テーブルにパンが並べられている。そのうち、どんどんヒトがやってきて、10人近くになる。奈良さんには一緒に飲みましょうと云っただけなのになあと、面食らってたら、前回も司会役だった梶川先生が口火を切り、近況などを話させられる(このときの様子は、奈良さんのblogにあり。http://teiyu.tea-nifty.com/teiyu/)。そのあと雑談になる。前にSFのハナシをした中島さんが、実家にあった古い雑誌を持ってきていた。で、持っていても仕方ないからと、1983年日本SF大会「DAICON3」のプログラムブックをいただく。のちにガイナックスをつくる武田康廣岡田斗司夫らが全面的にプロデュースした伝説大会。このパンフも150ページあり、プログラムや参加作家コメントのほか、それ以前のSF大会歴史が概観されていたり、オマケとして例のオープニングアニメ原画が掲載されていたりと、オモシロそう。中島さんには他にも、大伴昌司追悼記事の載った『SFマガジン』や、石上三登志編集の『映画宝庫』SF映画特集号(映画リストでは、中島さんが観た映画が鉛筆でマルされていて泣かせる)。こんな貴重なものをいただいてしまって、申し訳ない。いつか有効利用させていただきます。


8時半頃、音楽が始まる。中学の先生田口くんがギター、松本くんがパーカッションでオリジナルや小沢健二カバーなどを歌った。松本くんが叩いているのは、木でできたゴミ箱のようなもので、イミグラントのライブで松村孝之がコレを叩いてるのを見たことがあった。興味があるので見せてもらうと、片側が丸くくりぬかれていて、ナカにはピアノ線が数本貼り付けられている。これが振動してオモシロイ音になるということ。なんとコレ、自作だという(つくりかたを書いたサイトを見て、とのこと)。こうなるとブラバン出身者の血が騒ぎ、ちょっと叩かせてもらう。初めてなので、表面を叩くときの角度が難しいが、叩き方によって高音と低音が自由に出せるのがイイ。欲しくなっちゃったなあ。


10時過ぎたが、残ったメンバーで、近くの店に行く。外に出ると、身が切られるように寒い。〈JAPANS〉とかいう創作料理風の店で、まあけっこうウマイ。なんとなく鳥取料理の話になり、「とうふちくわを食べたい」とぼくが云うと、駅前市場で朝から売っていると教えてくれた。あと、噂どおり、鳥取雑煮はぜんざいだとか、大衆食堂はどこそこにあるとか、地元のヒトならではのハナシが聞けた。12時前に解散。梶川先生ホテルまで送ってもらい、1時過ぎに眠る。明日も早いぞ。

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2004-12-01 罵倒される側に回る

アタマの中がぐちゃぐちゃでナニもやる気が起きない。『嫌われ者の記』での塩山氏の漫画家への罵言が我が事として身にこたえる。前に読んだときは、完全に塩山さんサイド(催促する側)だったのだが……。また、この日記がはじまった1988年には、塩山さんが35歳という若さだったコトに気づき、驚く。昨日、いしかわじゅんの『鉄槌!』を読んでこの事件の起きた1989年にいしかわが39歳だったコトにも驚いたが。べつに現在の年齢から逆算してみればスグ判ることなのだが、37歳の自分の幼さに比べるとやっぱりねえ。それにしても、『嫌われ者の記』に収録されたのは、1996年前半までで、その後約8年間の日記が未刊行のママというのはあまりにももったいない。優に一冊以上の分量だ。どこかの物好きな版元が動かないかと思ってきたが、そろそろ積極的に持ち込むべきなのではと思う。


夕方まで自宅にいるが、まったくナニひとつ、動きがない。諦めて、(電車に乗る気力もなく)タクシー仕事場へ。いつもうるさいぐらい、通る道を聞かれるのにうんざりしていて、今日は珍しくナニも聞かなかったので、大丈夫だろうと任せていたら、予想だにしない道(トーゼン遠回りで料金も掛かる)を行かれてしまい、途中で降りて歩くハメに。面倒くさくても、やはりハッキリ道を伝えるべきなのだろう。


仕事にかかる前に、二日分の日記を付ける。ようやくやる気が見えてきた。明日、明後日は鳥取に行くため、東京にいません。帰ってからも待ったナシのことが多く、この日記更新できないかもしれません。あらかじめお断りしておきます。では。

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