ナンダロウアヤシゲな日々

◎この日記は、ライター・編集者の南陀楼綾繁が書いています。
◎新刊『町を歩いて本のなかへ』(原書房)発売中です。
◎著書『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)、『谷根千ちいさなお店散歩』(WAVE出版)、『小説検定』(新潮文庫)、『ほんほん本の旅あるき』(産業編集センター)、『路上派遊書日記』(右文書院)、『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『老舗の流儀 戦後六十年あの本の新聞広告』(とうこう・あい監修、幻冬舎メディアコンサルティング)、編著『チェコのマッチラベル』(ピエ・ブックス)、共著『ミニコミ魂』(晶文社)。
◎ご感想・ご連絡は南陀楼綾繁 まで。
◎「不忍ブックストリートの一箱古本市」は毎年春に開催します。
詳細は不忍ブックストリート公式ホームページもしくは、しのばずくん便りをご覧ください。
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2005-05-30 モクローくん、シャツを買う

仕事場で資料の整理。雑誌から取ったコピーとか、フリーペーパーの類とかを、どうまとめておくかで悩む。いままでは、段ボール箱にほおりこんでいたのだが、今後は保存スペースも限られるし、死蔵するぐらいなら捨てるほうがいい。でも、これまでいろんな整理術を試したが、ズボラで飽きっぽい性格でも続けられる整理術ってナイんだよな、けっきょく。


4時過ぎに出て、市ヶ谷の〈文教堂書店〉で『Hotwax』第2号を。特集は梶芽衣子とモッブス、そして深作欣二新宿へ。西口小田急ハルクの地下にある喫茶店で、時間つぶし。『ユリイカ』のムーンライダーズ特集を半分ぐらい読み終わる。地上に出て、旬公と待ち合わせ。東口に出る。旬公は〈世界堂〉で用事があるので、ぼくは近くの〈あおい書店〉へ。探していた本は見つからず、代わりにブレット・ミラノビニールジャンキーズ レコードコレクターという奇妙な人生』(河出書房新社)を買う。


また落ち合って、新宿三丁目駅そばにある湖南料理の〈雪園〉へ。昼のランチ(安くてうまい)はときどき来るのだが、夜は初めて。メニューを見ると値段は高め。前菜とネギラーメン、魚卵炒飯を食べる。「魚卵ってなんの魚ですか?」とウェイトレスに訊くと、「とびっこです」と答える。つまり、トビウオの卵なのだった。歯ざわりがイイ。


そのあと、とっとと帰りたかったが、旬公に連れられて〈ジーンズメイト〉へ。よれよれのシャツばっかり着ているから、古いのを捨てて、新しいのを買えと云うのだ。こういうトコロに来ると、とたんに口数が少なくなるワタシ。サイズだけ合わせたら、あとは旬公が選ぶのに任せて、4枚買う。服を買うのって、買い物をしたというカタルシスがまったくないよなあ(世間の大方のヒトは、古本について同じコトを感じるのだろうか)。


ウチに帰ると、『ぐるり』の新しい号が届いている。特集は沢田としき。この雑誌の表紙を描いているヒトだ。ぼくの「ふたたびの音」は、「よしだよしこ――そして唄だけが残る」。よしださんのライブに行ったことを書きつつ、この日に亡くなった高田渡にも触れた。次のページでは、「高田渡さんのあしあと」として吉祥寺でよく訪れた店を紹介している。はからずも、高田渡を追悼する小特集となった。芦辺拓『三百年の謎匣』(早川書房)を読む。目下、この作家にハマってます。明日は朝から原稿を書かなきゃならないので、早めに布団を敷いてヨコになるが、眠れなくなってまた本を読む。3時ごろ眠る。

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2005-05-29 不思議な知り合い

昨日、本の整理をしたために、腰が痛い。久しぶりに昼飯にパスタをつくる。《噂の東京マガジン》を観てから、旬公と谷中アパートへ。芦辺拓十三番目の陪審員』(角川書店)を読みながら、荷物の到着を待つ。4時前になっても届かないので、伝票の書き間違いかとアセったが、配送が遅れていただけだった。段ボール箱を数箱、部屋に安置。今度はウチの本を整理して、スペースをつくり、そこにこの箱を運び込むコトになっている。順送りというか、玉突きというか、箱根細工というか、一カ所動かすためには、他の数カ所も動かさねばならないのであった。


上野高校前の喫茶店〈さえら〉でコーヒープリン。一度ウチに帰り、〈古書ほうろう〉へ。武井武雄の本を探しにきたという小沢信男さんにバッタリ。Y新聞のSさんと待ち合わせ、〈千尋〉へ。Sさんはウチから100メートルというご近所にお住まいで、この店にも何度か来ているという。彼からは一箱古本市の当日に取材を受けたが、今日はその流れで古本をめぐる動きについて、少し喋る。どういう感じの記事になるかは、まだ判らない。むしろ雑談してる時間の方が長かった。Sさんは今度結婚して、引っ越すそうだが。その相手を聞いて驚いた。ぼくも読んでいたミニコミを発行していたヒトで、いまはライターとしてカフェ骨董についての本を出している。「いやー、よく知ってますよ。そのミニコミについてご本人とメールやりとりしたことあるもん。ちょっと前に某社の懐かしモノ系の雑誌の編集もされてたでしょう。一号で潰れたけど」と云うと、今度は向うがビックリしていた。こないだ会ったばかりのヒトの結婚相手が、注目してきた書き手だったというのは、なんだかフシギな感じだ。


疲れたのか、ウチに帰ってしばらくすると眠くなってくる。ここのところ、古書展にも映画にもあまり行ってない。アクティブじゃないなあ。

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2005-05-28 本を動かすだけの人生

*間違えて27日の日記を28日にアップしてしまいました。訂正します。


半日かけて、本の整理。谷中アパート実家に、宅急便で送る。こないだ、実家の本を整理したときにも思ったのだが、こうやって送料をかけて本を移動しても、読まずに処分されてしまうのだったら、ホントは送る前に売ってしまう方がイイ。それはよく判ってるのだけど……。


昨日(27日)から大阪の〈ちょうちょぼっこ〉(http://www.nk.rim.or.jp/~apricot/chochobocko.html)で、「ボブ−−booklet of booklets」というイベントが開催されている(6月19日まで)。タコシェのオリジナルグッズやミニコミの販売、Cafe Django(高円寺)の珈琲、ラベル のイラスト根本敬が手掛けた日本酒電気菩薩」がメニューに加わる他、「ミニ古本市」や「電気菩薩ナイト」も開催する。4月にちょうちょぼっこのメンバーに取材したときは、まだナニをやるか、はっきり決まってなかった。他人事ながら「大丈夫なのか?」と心配したが、これだけ盛りだくさんな内容になった。さすが。イベントに合わせて発行される小冊子には、ぼくも書いています。まだ現物は見ていませんが。

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2005-05-27 やむにやまれぬムーンライダーズ

マンハッタン・ラブストーリー》で書き落としていたこと。それは、小泉今日子の同僚・伊堀を演じる尾美としのりがとてもヨカッタことだ。尾美といえば、大林宣彦映画でのナルシストっぽい少年というイメージがあったが、ここでは生活感あふれる中年オヤジを演じている。こういう歳の重ねかたもあるのだな、と思う。ちなみに、この日記で自分の好きなことを書いてあるとかならずメールで反応してくる前田大阪のチン”和彦からは、この機会に同じクドカン脚本の《タイガー アンド ドラゴン》を観るように勧められた。


こないだ扉野さんとも、「タイガー アンド ドラゴン」及び長瀬智也の話になりました(笑) 僕は一話につき三回観てます!! クドカン作品は、テレビへの愛がビシバシ伝わるところが、何よりも良いところだと思います。


いやべつに、三回も観なくてイイですが……。それにしても、ナニに対してもいつも熱いヤツである。しかし、扉野さんも観てるとは。


午前中はウチで本の整理。段ボール箱3つを実家に送る。こないだ実家の本を大量に処分してすっきりしたのに、またしても送ってしまった。それから仕事場に行き、今度はこっちの本や書類の整理。しばらくはこんな日が続く。福岡金沢書店から、「本とコンピュータ」の終刊に合わせて、バックナンバーフェアをやりたいと連絡いただく。ありがたい。6月10日に最終号が出るので、その前後に、いろんな店でバックナンバーを置いてほしいと思う。首都圏だったら、編集長・スタッフがなんらかのカタチで出張ることも可能です。ご連絡は、編集室・河上までどうぞ。


5時に出て、渋谷へ。パルコの下の〈リブロ〉で、『コミックワイドショー』第2号を買う。特集は「探偵ナイトスクープ」。デザイナータナカちゃんと待ち合わせて、〈SHIBUYA-AX〉へ。体育館のような建物。ロビーに入ると、物販コーナーで『ユリイカ』を売っていた。へえーと思っていたら、いつもの帽子をかぶった郡編集長が出てきて、挨拶してくれる。あとのステージでも、鈴木慶一が「『ユリイカ』で特集されました」と云っていた。


一階は椅子席と立見席。今回は早くチケットを取ったので、椅子席の前から7列目、ど真ん中である。ホールでのコンサートでは、周りのヒトが最初から立ち上がり、それに付き合うかどうしようかと迷うのが、あほらしくメンドくさいのだが、ライダーズファンはクールというか歳がいってるヒトが多いセイか、あまり立ち上がるヒトもおらず、座ったままゆっくりと観られた。冒頭の「Frou Frou」から「Who’s gonna die first?」「30」と名曲が続く(以下、曲順・曲名はうろ覚え)。そのあと、ニューアルバムからの曲をやり、間に昔の曲(鈴木博文の歌う「ボクハナク」にはグッときた)を挟み、最後はインストで地味に終るという構成だった。そしてアンコールの「今すぐ君をぶっとばせ」と「BEATITUDE」で、また盛り上がった。


以前にムーンライダーズライブを見たのは10年近く前だから、久々にたっぷり楽しんだ。一方で、あまり没入せずにステージの出来事を冷静に眺めている自分もいた。やっぱり昔の曲と新曲では客の反応に温度差がはっきり出るとか、いままで気づかなかったがライダーズのコンサートマスター(仕切る役)は白井良明だったのかとか、かしぶち哲郎の急病でカーネーション矢部浩志がドラムを代わったが、タイトでかっこいいドラムではあるがかしぶちのような色気には欠けるなとか、鈴木慶一の喋りはつまらんとか、いろいろ考えてしまった。コレは、ぼくがいつからか、ライダーズ本体よりは、鈴木博文かしぶち哲郎などのソロ活動に興味が行ってしまったせいなのだろうか。ともあれ、50歳を過ぎてここまでの力を出せるバンドは稀有であり、そのライブを眼にすることができるのも稀有な体験だった。また数年後に見にいきたい。同行のタナカちゃんが大満足だったというので、よかった。


9時半に終わったので、早めにウチに着いた。簡単にメシをつくって食べる。今日、渋谷の〈HMV〉でようやく見つけた、JBの[ルリパキダンス]を聴く。LOVE JOYbikkeふちがみとふなとの渕上純子のデュオ。二人が歌い、ギターピアノを弾く。ぞれぞれがつくった曲もいいが、デビッド・ボウイ原マスミカバーのほうに、このデュオの良さを感じた。


一箱古本市の専従スタッフとして活躍してくれた加福さんが、オンライン古書店古本文句堂〉(http://www.monkudo.net/)をオープンしたと知らせてくれる。最初の特集は安野光雅の本。もうひとつ、対談・インタビュー本のコーナーもある。これからの展開が楽しみ。オンラインではあるが、千駄木豆腐カフェへの出店も合わせて、「不忍ブックストリート」に新しい店が生まれたわけである。

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2005-05-26 ペーパーバックとマンハッタン

朝、出がけにポストを見ると、本の雑誌社から宅急便が。開けると、「清原なつの忘れ物BOX」全2巻だった。著者ご本人からの献本。一昨日、一足先にアクセスで買ったところだが、それはそれとして、嬉しい。清原本を担当している本の雑誌のAさんにも感謝。前にも書きましたが、もっとイロイロ出してくださいな。


もう一冊届いていたのは、『ユリイカ』6月号。特集はムーンライダーズ。ニューアルバム[P.W Babies Paperback]の発売に合わせて組まれたもの。明日は数年ぶりに彼らのライブを見に行くので、準備運動としてはちょうどいい。鈴木慶一インタビューやニューアルバム録音日記など。電車のナカで、鈴木博文の「詩から詞へ」というエッセイを読み、ざわっとした気持ちになる。「制御の出来ていない引用を読むことほど無意味なことはない」という断言に震え、楽譜の歌詞を縦書きから横書きにした理由を読んでホーッと感心する。コレに匹敵する、ミュージシャンの文章としていま思い浮かぶのは、ジャズピアニスト渋谷毅のものぐらいだろうか。この特集のアンケート「この曲が好き、または嫌い」では、ぼくも回答を寄せた。好きな曲は「霧の10屐廖鈴木博文の曲である。


仕事場に行き、書類を整理したり、メールを書いたり。途中まで書いてあった、一昨日の日記を書き上げてアップ。一週間も間が空いてしまった。ウチに帰り、庭のゴミを整理。そのあと自転車で、荒川区台東区文京区図書館を回り、ミステリばかり十数冊借りてくる。なんか、身体が気楽に読める本を求めているようだ。〈ときわ食堂〉でチューハイを飲む。


夜、ビデオで《マンハッタン・ラブストーリー》を観る。2003年TBSで放映された、宮藤官九郎脚本TVドラマ。旬公がビデオ屋で借りてきたのを、途中から一緒に観て、けっこう面白くなり、自分でも最初から見始めた。3日かかって、全11話を見終わった。すべてが細やかに計算されていて、役者もその細やかな世界の登場人物となることを楽しんでいる感じ。演出もいい。TVドラマはホトンド観ないけど、これはかなりオモシロかったです。

2005-05-25 来年も「一箱古本市」をやります

午前中、飯田橋病院へ。判ってはいたが、病院というトコロはとにかく時間がかかる。終ったのは、1時過ぎ。ぼくはたんなる付き添いだけど、やっぱり疲れたな。神楽坂で昼飯食って、ウチに帰ってくる。


6時半、「一箱古本市」の反省会。昨日に続いて、今日も〈ジョナサン〉だ。各自の感想を聞いたり、参加者から寄せられた意見を検討したりする。改善すべき点は多々あるが、おおむね成功だったという認識は共有している。実行委員会のスタッフ全員一致で、来年も「一箱古本市」を開催するコトに決定。時期は今回と同じく、ゴールデン・ウィークのあたり。その時期に向けてのタイムスケジュールをこれから組むコトになった。ほかに、「不忍ブックストリートMAP」の配布方針や、サイトの運営について話し合っていると、12時回ってしまった。みんなはこれから飲みに行くようだが、ぼくは先にウチに帰る。

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2005-05-24 お久しぶりです神保町

午前中、神保町へ。ここのところ、家と仕事場、病院の往復で、神保町に立ち寄る余裕がなかった。ひょっとして二週間ぶり? ぼくにしては非常に珍しい事態だと云ってもいい。でも、久しぶりの神保町は相変わらずだったので、ホッとした。目についた変化としては、〈書泉グランデ〉の奥に〈ラドリオ〉の仮店舗ができていた。ココは以前、〈リオ〉という喫茶店があった場所だ。飯塚利昭さんという方の「神保町 昼食ニュース」(http://www.ne.jp/asahi/iizuka/toshiaki/lunch_s0.html)によれば、〈リオ〉は「かつてT字型のフロアで北側と西側に入り口があった「ラドリオ」を分割した店である」という。知らなかった。経営者が同じだったということなのだろうか? 〈リオ〉は昨年12月に閉店していたそうで、そのあとが改装中の〈ラドリオ〉の仮店舗となったというコトか。


三省堂書店〉で、ばるぼら教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』(翔泳社)、〈書肆アクセス〉で、「清原なつの忘れものBOX」の1『サボテンとイグアナ王子』、2『二十歳のバースディ・プレート』(本の雑誌社)を買う。「BOX」とあるが、フツーの単行本2冊なんだよなあ。それと『トスキナア』創刊号も。畠中さんに、フィルムセンターチケット豊田四郎特集)をいただく。なないろさんにも遭遇。〈すずらん堂〉で、『ウラBUBKA』7月号を買う。この号で休刊するらしい。特集によって買っていたが、文字が多く、隅々まで濃い内容だった。やっぱりこういう詰め込み方は、いまはウケないのかもしれない。〈成光〉で半チャンラーメンを食べ、仕事場へ。


自分で書いた記事の青焼きを戻す。「そして、本だけが残る−―三人の「出版者」との対話」というタイトルで、金沢で復刻版出版と古書店を営む金沢文圃閣の田川浩之さん、名張市立図書館で「江戸川乱歩リファレンスブック」3冊の刊行を独力で実現させ、『子不語の夢 江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』(皓星社)の仕掛人でもある中相作さん(http://www.e-net.or.jp/user/stako/)、そして、大阪で「建築・美術・日常」を三本柱に、スピード感にあふれる本づくりを行なっている編集出版組織体 アセテート(http://www.acetate-ed.net/)の中谷礼仁さんという3人への取材をベースに、「出版」についてのぼくの考えをまとめたモノだ。三者三様の出版活動をぼくなりの見方でつなげてしまったコトを、当の3人がどう感じられるのかは判らない。でも、ぼくとしては、「本とコンピュータ」の編集者河上進としてやってきたことと、南陀楼綾繁としてやってきたことを、ようやく最後の最後に結びつけることができたように思う。その点で、執筆者は河上になっているが、これは南陀楼としての仕事でもある。


ちなみに、アセテートは9月に、建築家鈴木了二氏が行なった「金刀比羅宮プロジェクト」のエスキースノートを一冊にまとめ、『JUL.2001 - JUN.2004 Ryoji SUZUKI Architect』(仮)として刊行する予定だ(http://www.acetate-ed.net/bookdata/007/007.html)。「建築を志す者におくる、最も近い迂回の書」というコピーもいい。中谷さんのつくるキャッチフレーズは、いつも扇動的で色気がある。また、25日に知ったのだが、『子不語の夢』は日本推理作家協会賞にノミネートされており、残念ながら落選したそうだ。中さんは「私にはまだ『江戸川乱歩著書目録』でゲスナー賞を受賞するという望みが残されております」と書いているが、中さんの仕事は、たしかに優れた書誌や出版関係書を表彰するゲスナー賞にふさわしい(ついでに云えば、前回「本の本」部門で銀賞を受賞したのは、松田哲夫著・内澤旬子イラスト『印刷に恋して』晶文社、でした。連載時の担当はワタシメです)。


コレで季刊の最終号もほぼ終わり、編集室の解散にともなう話し合いをする。ココから離れる日が近づいている。目先の仕事に追われて、なかなか動けなかったのだが、いよいよ今後の食い扶持を確保するために走らねば。仕事場の本も片づけなきゃならないし、ユウウツ。そんな気分を反映してか、夕方から土砂降りだ。傘を持ってなかったので、雨に濡れつつ走って坂を降りて、スーパーで105円の傘を買う。そしてタクシー春日まで。


BOOKMANの会の会場である〈寿和苑〉の前まで来たら、メンバー数人が立ち尽くしている。管理人が不在で、門も閉まっているという。いつもキチンと対応してくれているのに、こんな雨の日に限ってねえ……。どこか喫茶店でやることにして、茗荷谷方面に歩くも、どこも不適当で、けっきょく駅の上にある〈ジョナサン〉に落ち着く。わりと少人数なのでかえって助かった。今日の幹事は柳瀬徹くん。将棋好きな彼の趣味を反映して、某大手出版社の山岸さんをお迎えして、おハナシを聞く。将棋を取り上げるジャーナリズムライターが、「盤上」(将棋という競技そのもの)の魅力を論じることをせず、棋士パーソナリティゴシップを書くことでごまかしてきた、と山岸さんは怒る。たしかに、新聞将棋欄の「観戦記」はいかにいい加減であるか、資料として配られたコピーを見てよく判った。この会のメンバーでは、将棋を知っているのは柳瀬くんの他に魚雷さんぐらい。でも、山岸さんの話を、各自が別のジャンルテーマに置き換えて、興味深く聴いたようだった。今回からメンバーが持ち回りで幹事をつとめ、自分の企画で進めるという形式に変えたのだが、この調子なら大丈夫、と思った。


いつもの〈さくら水産〉に席を移して、二次会。旬公の写真とモクローくんのイラストが載った『薔薇族』復刊第二号をセドローくんに見せたり、知り合いの編集者堀内恭さんがやっている「入谷コピー文庫」(限定15部発行)のマイナー女優インタビュー濱田研吾くんに見せたり。この二週間ほどいろいろあって、あまりヒトと会わなかったので、くだらないハナシに飢えていたようだ。ウチに帰ったのは12時半。


そういうワケで、お久しぶりですが、日記を再開します。休み中に、ぼくのことに触れてくださった方に感謝します。とくに、「Web読書手帖」(http://yotsuya.exblog.jp/1948764)でいろいろ心配してくれた四谷書房さんや、「この店で買った本」リンク集http://taikutujin.exblog.jp/1956385)をつくってくれた退屈男さんに、ありがとう。まだ落ち着かない日々が続いているので、いままでみたいに毎日は更新できないかもしれません。でも、読んでくれるヒトがいるうちは、なんとかやっていけると思います。

crpiwvbcrpiwvb 2008/12/04 08:27 omdAzo <a href="http://kucyntcrbrar.com/">kucyntcrbrar</a>, [url=http://kfyyylpybbec.com/]kfyyylpybbec[/url], [link=http://xgknockhnwfm.com/]xgknockhnwfm[/link], http://oigysgneuqbk.com/

2005-05-16 しばらく休みます

数日前から家人が入院して、バタバタしていました。「本コ」やその他の仕事も遅れ気味です。落ち着いて日記を書くモードではないので、しばらく更新を休みます。友人、知人の皆さん、家人は大丈夫です。しばらくは連絡が付きにくいかもしれませんが、気にしないでください。本人はメールを見ていますが、返事は遅れるかもしれません(あと「日記に書いてあった」なんて云わないでね。あとで怒られるから)。


高田馬場BIG BOX早稲田大学青空市も行きたかったが、ムリだなァ。ついでに云えば、セドローくんに今週末に誘われていたセドリツアーも行けないっす。ごめん。


昨夜の「本のメルマガ」と、この日記で、「この店で買った本」についての感想を募集したところ、すぐ数人からメールをいただきました。また、晩鮭亭さんの日記http://d.hatena.ne.jp/vanjacketei/)では、この連載でぼくが意図したコトを完璧に見抜いてくれていて、嬉しかった。皆さん、ありがとうございます。


しばらく休む、と書きながら、シレッと明日には更新するかもしれません。でも、とりあえず、しばらくご無沙汰します。では。

2005-05-15 「この店で買った本」の感想を募集します

朝は洗濯したり、風呂に入ったり。旬公と自転車で出て、東京新聞の販売所を探す。田端生協の近くで見つけたが、呼んでも誰も出てこない。お昼寝タイムらしい。電話して店に出てきてもらい、金曜の朝刊を数部買う。不忍通りイタリア料理屋に行き、新聞を見ると、おお、たしかに載っている。最終面の半分ぐらいを占めている。文章だけでなく、カラー写真が5点も。〈古書ほうろう〉前の写真には、矢部登さん、助教授彼女野口英司さん、ほうろうのミカコさんが映っている。牛イチロー先生らしきヒトはなぜか顔を隠している。指名手配中か? なんだかすっかりゴキゲンの南陀楼と旬公の写真も載ってました。取材・文は吉岡逸夫さん。準備段階からハナシを聞きに来てくれ、当日も最後まで付き合ってくれた。感謝です。ボロネーズのスパゲティを食べる。ワインも飲んで、ちょっとイイ気分。


そのあと仕事場へ行き、6時ごろまでいろいろ。今日は〈古本酒場コクテイル〉で、ふちがみとふなとライブがある。絶対行きたかったが、いまの状況では動けそうにない。今月は、オフノート関係のライブなど、見逃したものが多くて残念。27日のムーンライダーズは這ってでも行くぞ(ちなみにチケットが一枚余っています。南陀楼と一緒に行ってもイイという方はお申し出ください。女性はちょっと割引します。岡崎さんと違って、女性ファンがほとんどいないので、サービスします)。帰りの電車で、「日本古書通信」を読む。神戸のG荘の目録に、以下のような不思議な一文が。


お客様方にお願い。私坂◎万止むを得ぬ事情で職場を離れる事になるかも判りません。(略)其内容は今は申上げられません、若しも実現の際はマスメディアが発表あるかも、決して悪事ではありませんのでご安心ください。感謝

ホトンドの読者にはナニがなにやら、だろうが、一時期この店の目録を送ってもらったぼくには判る。その目録では、店主は世界平和についての秘策を持っていると訴え、その手紙翻訳してブッシュに送ってくれるヒトを探していたのだ。きっと、翻訳者が見つかって、世界の大舞台に打って出るコトにしたのだろう。ホワイトハウスあたりで演説する店主の姿を「マスメディア」が発表するのを待とう! それにしても、「決して悪事ではありません」というのが泣かせるネ。


千駄木で降りて、久しぶりにブックオフを覗く。そのあと、すずらん通りで晩飯でもと思ったが、どこも満員。この辺りのヒトは、平日はあまり外食しない代わりに、日曜日家族や友人で食事するコトが多いようだ。なので、日曜日の夜に一人で入れる店が案外見つからない。不忍通りの〈稲毛屋〉に行くが、ここも満員。カウンターに座るが、おばあさんから孫(中学生男の子小学生女の子)まで家族総動員での修羅場がぜんぶコッチに伝わってくるので落ち着かない。家族で店をやるのはタイヘンだが、でもいい雰囲気ではあった。


ウチに帰り、NHKの『シルクロード』、9時から新しいのを、11時から前のを続けて観る。

今日は天山南路。新版もヨカッタが、クチャの仏教遺跡に描かれた楽器(それが日本に伝わり正倉院に蔵されている)といま(といっても25年前だが)の人たちの生活に溶け込んでいる音楽との関わりを追った旧版に軍配を上げたい。


12時過ぎに「本のメルマガ」第213号が配信。ぼくの「全点報告 この店で買った本」は今回で60回。まる5年もやったコトになる。じつはこの連載、次回で終了することになっている。その理由を挙げた部分を引用する。


(1)書店の変化を観察して、それに自分なりのコメントを付け加えるという行為に疲れてきた。似たようなことを書くことになってしまうので、書店について書くのなら、別のアプローチを考えたい。

(2)書物関係のブログでは、自分が買った本について報告するのがごくフツーのことになりつつある。もっと熱心なヒトのブログに任せたい。

(3)自分の日記「ナンダロウアヤシゲな日々」で先に書いてしまうことが多く、ネタがかぶるのが気になる。

(4)7月からビンボーになる。もちろんどんな生活でも本は買い続けるだろうが、新刊書の購入冊数はたぶん減るだろうし、こういう連載しているとネタになりそうだという理由でつい買ってしまうので……。

 直接的には、最後の理由が大きいかな。以前も書いたけど、(仕事でも私事でも)本の世界に関わる限り、可能な限り本を買い続けるコトはやめないだろう。でも、収入に合わせて、これまでだったらスグに新刊で買っていた本を古本屋で買うこともあるだろうし、図書館で読むこともあるだろう。そうすると、「月に50冊以上本を買っている変わり者の記録」というこの連載のウリが消えてしまう。

 また、(2)に挙げたように、毎月多くの本を買っているヒトがそのことをブログで書いているし、アフィリエートの導入、他のブログとの連携などによって、本のススメかたも様変わりしつつあるようだ。だから、「もうそろそろイイかな……」と思ったのだ。


というワケです。あとはもう、退屈男さんや四谷書房さん、晩鮭亭さんたち、書物ブログの皆さんにお任せしまーす。ま、リストをつけるのはもはや習慣になっていて、今後も買った本についてはこの日記で書いていくだろうから、そんなに大枠は変わりないのですが。


メルマガでも告知しましたが、この「全点報告 この店で買った本」を読んでくださった方にお願いです。この連載についてのご意見・ご感想をお聞かせください。「こいつは本を買いすぎだと思ってた」とか、「オレのほうがもっと書店を回ってる」とか、なんでも結構です。いただいたメールは、最終回を書くための参考にさせていただきます(匿名で一部引用することもあります)。じつはこの連載やっていて、「読んでますよ」と云ってくださる方は多かったのですが、どう読まれているかがイマイチ判らなかったのです。だから、最後にぜひ知りたいという気がするのです。締め切りはとくに設けませんが、次回の発行日(6月15日)より前に、kawakami@honco.net まで送ってくださるとウレシイです。どうぞヨロシク。

2005-05-14 飯能で鈴木地蔵さんの出版を祝う

昨日の日記で書き忘れていたこと。谷中アパートに行く途中、〈間間間〉(さんけんま)というオープンスペースとして使われている一軒家の前に、「古本長期アルバイト募集」という貼り紙があった。なぜ長期アルバイトの前に「古本」を付けるのか、ヘンな言語センスだなあと思ったら、ネット専門の〈古書ことば〉の山崎さんが出した広告なのであった。彼とはセドローくんたちとの飲み会で出会ったのだが、そのときは、「古本仕事は三時間ぐらいで片付けて、あとはコラージュ(見せてもらったがバクハツしていた)をつくったり、ギターを弾いたりしています」とステキな生活をエンジョイしていた。その彼がバイトを雇うとは、よっぽど儲かっているのか、それともコラージュ制作が忙しいのか。ちなみに「18歳以上の女性希望」というコトでした。誰かバイトに行ってみない? きっとイイ体験ができるだろうから、それを書いて『彷書月刊』の「古本小説大賞」に募集すればきっと入選しますよ。密偵おまささんとか、どう?


昨夜はぐっすり寝た。今日は9時過ぎに出て仕事場へ。2時間しかいられないので、テキパキと仕事を片付ける。12時半に市ヶ谷から有楽町線に乗る。そこから直通で飯能へ向う。空いた電車のナカで、多川精一『焼跡のグラフィズム 「FRONT」から「週刊サンニュース」へ』(平凡社新書)を読了。一気に読めた。所沢から先、どんどん風景が変わってのどかになってくる。「仏子」(ぶし)「元加治」(もとかじ)など、駅名さえも今出来のものではなく歴史をカンジさせる。終点の飯能で降り、駅に直結している飯能プリンスホテルへ。今日はココで、鈴木地蔵さんの『市井作家列伝』(右文書院)の出版を祝う会があるのだ。この本の投げ込みの「栞」に短い文章を寄せたので、呼んでいただいたのである。


エレベーターで会場まで上がると、すでに受付がはじまっていた。堀切直人さんと奥さん、右文書院の青柳さんも来ていた。著者の鈴木地蔵さんに挨拶。短髪でクールな感じだが、笑うと眼がやさしい。『市井作家列伝』の現物は今日はじめて手にしたが、落ち着いた造本(ぼくの隣に座った古舘明廣氏の手になる)。紙の手触りもイイ。会場は立食ではなくテーブルへの着席で、いいタイミング料理が出てくる。立食のパーティだと、喋るのも食べるのも忙しくなるから、こっちの方がイイ。司会の中村さん(ペンネームは秋口巌生)をはじめ、今日の会は鈴木さんが主宰する同人誌『文游』の仲間が準備したもので、ホテルを使っているわりには全体に手づくりで堅苦しくない、いい会だった。堀切さんのスピーチを皮切りに、ほとんど全員が一言ずつ話した(ナカには旺文社文庫小山清木山捷平を出した編集者の方も)。飯能在住の変わったヒトたちが大集合という風情で、オモシロかった。ぼくもナンだか判らないことを早口で喋った。


ホントはこの会だけで失礼するハズだったが、誘われるままに、近くのカフェ〈夢月〉で行なわれた二次会にも出席。もと創樹社社長の玉井五一さん、中谷孝雄や古木鐵太郎とも交流があったという作家田中順三さんらと話す。鈴木地蔵さんは、場違いの若造を気遣ってくださったのか、やたらぼくに古本ネタをふってくださった。しかし、5年間で1万冊買った時期があるという地蔵さんには、とても敵わない。早めに出るツモリだったのが、気がついたら7時になっていた。あわてて今日西日暮里で打ち合わせするはずだったラデクに電話して、会えないことを伝える。


8時にお開きとなり、三次会に向かう皆さんと別れて、西武線に乗る。地蔵さんの親戚だという教育評論家斎藤次郎さんが途中まで、堀切さんの奥さんが西日暮里まで一緒だった。ウチに帰り、旬公が買ってきてた『のだめカンタービレ』第12巻を、にゃふにゃふと弛緩しつつ寝転んで読む。ままならぬコトの多い世の中だけど、楽しいヒトたちとオモシロイ本がある間は、とりあえず満足して生きていける。

2005-05-13 東京新聞に載りました

朝、谷中アパートに行き、契約更改などの書類を書いて大家さんに提出。仕事場に行き、ゲラのやりとり。ぼく担当の著者の原稿はすべて到着(あとは自分の原稿だけ……)。仕事場にいられる時間が短いので、しゃかりきになって複数の記事を同時進行。


その最中、不忍ブックストリートメーリングリストに、「東京新聞に載りました」という知らせが入る。忘れていた。今日の朝刊の「TOKYO発」という欄で載るコトになっていたのだ。サイトにも載っている(http://www.tokyo-np.co.jp/00/thatu/20050513/mng_____thatu___000.shtml)。いまから買いに行くヒマはないなと思ってるうちに、夕刊の時間になってしまった。なのでまだ見ていない(あとでヒトに聞いたら、ぼくと旬公の写真も載っているとか)。


5時過ぎに出て、歩いてスグの納戸町のバス停バスを待つ。事前に調べておいたにもかかわらず、全然バスが来ない。やっときたので乗り込むが、飯田橋方面に行くはずが、牛込柳町の方に曲がっていく。あれー? 慌ててバスを降り、タクシーに乗って病院へ。旬公と会い、あれこれあって、7時頃に解放される。そのあとタクシー千駄木まで行き、久しぶりの〈千尋〉で鰆の焼いたのなどを食べる。満腹になると疲れがドッと出て、ウチに帰ってすぐ布団を敷いて眠る。

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2005-05-12 短い文に触れて

今日も地道に仕事場で過ごす。作業と作業との合い間に、エアスポットのような時間が生れる。そのときには本を読むよりは、雑誌パラパラ拾い読みするほうがイイ。ちょうど編集工房ノアから『海鳴り』第17号が届いた。忘れた頃に出る小雑誌だ。山田稔少年の港」、杉山平一「三好達治の詩と人柄」など。社主の涸沢純平さんの「たわごと少々」の末尾にこうある。


今、平凡社にいた石塚純一という人が書いた『金尾文淵堂をめぐる人びと』を読んでいる。この大阪で生れた出版社について、かねがねもっと知りたいと思っていた。良く調べられた本で、とくに徳富蘆花とのかかわりが面白かった。自分の気に入った本を創ろうとする「自分出版」に対する、金尾種次郎の著者、装幀画家への打ち込み方に、敬服する。

ノア三十年、残りの年月を、目覚めて、と思うが、右のようなことでなにやらわからなくなっている。


編集工房ノアが創立されてから30年を迎えたのだ。今後の新刊としては、山田稔『八十二歳のガールフレンド』、大谷晃一『大阪学余聞』、港野喜代子詩集(ノアの最初の本は、この詩人の本だった)、山田稔編の天野忠エッセイ集などが予告されている。涸沢さんの「自分出版」はまだまだ続きそうだ。なお、上の文中の「右のようなこと」の内容は、じっさいの文章にあたってみて下さい。『海鳴り』はたぶん〈書肆アクセス〉で無料配布されるハズです(いつ入るかは知りませんが)。


ウチに帰ってから、『ぐるり』の連載を書いて送る。今回は金沢で聴いたよしだよしこさんのこと。そのあと、毎日新聞の夕刊を見たら、「マンガの居場所」というコラムで、夏目房之介JR福知山線事故で、マンガ家の雑賀陽平が亡くなったコトに触れていた。


COMに原始人もので入選し、『あっぷる・こあ』という同人誌、『漫金超』というマイナーマンガ誌などに作品を発表していた。(略)

そんな、すっとぼけた味のマンガを乾いた線で描いた。彼のマンガには当時の青年のシニシズムが知的な「笑い」に結晶していた。センスがよく、人間への愛のあるツッコミ距離感があって、僕は好きだった。


たしかに『漫金超』にこのヒトのマンガが載っていたという記憶があった。慌てて、雑誌を積んである山の下から、『漫金超』を引っ張り出した(ホントはどこかに、ヒトからいただいた同人誌『あっぷる・こあ』もあるハズなのだが、見つからなかった)。やっぱりというか、山が崩れ、タイヘン悲惨なことになった。せっかく雑誌を出しても、机の上に広げるスペースはなく、膝の上で開くしかない。ついでだから、各号で雑賀氏が描いたマンガを紹介しておこうか。


創刊号(1980年春) 「3193より2316――時には難解なテーマと共に――」

2号(1980年夏)  「ナダ」

3号(1981年春)  「ここほれワンワン」

4号(1981年秋)  「トラブルをさけるな」

5号(1983年夏)  「パリから手紙を出しています」


「ナダ」はいしいひさいちの「地底人」シリーズを思わせるSFナンセンス。「ここほれワンワン」は時代劇寓話。「トラブルをさけるな」は説話風。最後の「パリから手紙を出しています」は、パリでの過しかたを描いたエッセイマンガで、これは夏目氏が「のちの画廊経営者に」と書いているのに一致する。夏目氏は、雑賀氏のことを「こんな奴がいちゃかなわねぇな」と思っており、「週刊朝日」での「デキゴトロジー」以降の夏目氏の仕事も、「もし雑賀が参加していたら立場は逆になっていたかもしれない」(じっさいには本業が忙しくてできなかった)と書く。また、いしかわじゅんも「秘密の本棚」(http://www.comicpark.net/ishikawa050509.asp)で、「ナイフのような怖さのある描線だった」と回想している。いまは描いていないとはいえ、何人かの記憶には確実にとどまる仕事をしたマンガ家が、この世から消えてしまったのだ。


こういった短い文に触れているウチに、12時を回ってしまった。やらなきゃならないコトは、まだたくさんあるんだけど。

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2005-05-11 佐野繁次郎の「シワ」

午前中、東京駅の〈東京ステーションギャラリー〉に行く。4月から開催されていた「佐野繁次郎展」だが、取材旅行に出たり「一箱古本市」の準備があったりで、なかなか行けなかった。残り5日というところでようやく間に合った。展示とともに気になっていたのが図録で、ひょっとして売り切れたんじゃないかと心配だったが、こっちも売店にまだ積んであったので、安心して展示を観るコトができた。


今回の展示は、油彩画、コラージュデッサン、装丁、商業デザインなどを網羅した大々的なもの。以前、鎌倉神奈川県立近代美術館で学芸員の橋秀文さんにお会いしたとき、佐野仕事の全体像をみわたす展覧会がやりたいとおっしゃっていた。その橋さんも協力されている。ぼくは抽象画が苦手なのだが、佐野繁次郎の絵は、抽象的でありながら具体的なイメージを喚起させてくれるので好きだ。グロテスクでもありユーモラスでもある。また、カンバスに布や針金を貼り込む手法(「パピエ・コレ」というらしい)を通して、佐野の手や息づかいが伝わってくる。絵のヨコに、佐野エッセイインタビューからの引用があるが、「とにかく僕はシワが好きだ。……その方が何か紙と人間の関係が出ているでしょう」というコトバが印象に残った。


ポスターにも使われている「画家の肖像(死んだ画家)」は、神奈川県立近代美術館の館蔵展で一度見ているが、この作品がパリ時代の友人の画家金山康喜の死を受けて描かれたものというのは、はじめて知った。会場には、同じモチーフと思われる「ある画家」も展示されていた。また、横光利一の『旅愁』『刺羽集』の装丁は、佐野の油彩画「画室」(または「アトリエ」)シリーズで飾られているが、これは渡欧から同じ時期に帰国した二人の合作ともいえるそうだ(図録の小池智子「佐野繁次郎横光利一の交友」参照)。なお、佐野の装丁本は65点ほど出品されていたが、図録の参考文献には219点が挙っている。いつか、その全貌が見たいと思う。今回出品された中で、ぼくが持っているのは、横光利一『機械』(創元社、1935)、同『刺羽集』(生活社)、同『鶏園』(創元社)、同『花花』(山根書店)、『新日本文学全集』(改造社)数巻、丹羽文雄『理想の良人』(風雪社)、渡辺紳一郎巴里博物誌』(東峰出版)、ピエール・ダニノス『見るもの食うもの愛するもの』(新潮社)、船山馨『蘆火野』(朝日新聞社)というところ。展示を見ていちばん気に入ったのは、松本清張小説帝銀事件』(文藝春秋新社)。このヨレヨレの書き文字がイイのです。


図録(2000円)と絵葉書(通信に使おうと思って15枚も)を買い、スグ近くの「OAZO」に入っている〈丸善〉丸ノ内本店へ。オアゾだのウオモだの、最近のネーミングは日本人がフツーに発音できる範囲を超えてるな。ココの丸善は二度目だが、どうも好きになれない。ブラブラ回って本を眺めることがしずらいし、かといって目的の本が探しやすいワケでもない。どっちつかずなのだ。探そうと思っていた本は何冊かあるのだが、断念して、佐藤嘉尚『「面白半分」快人列伝』(平凡社新書)だけを買う。そのあと、仕事場へ。ゲラ直しに原稿の催促。そろそろタイヘンになってきた。


7時過ぎに出て、市ヶ谷の〈文教堂書店〉へ。こないだエッセイを書いた『本の雑誌』6月号が並んでいたので、手に取る。「台北古本博士に会った日」というタイトルで、戸川安宣さんと津野海太郎さんの連載にはさまれて掲載されていた。同誌には、名前が出たことはあるが、原稿を書いたのは初めて。「台北のモクローくん」こと傳月庵(フ・ユエアン)さんとぼくのツーショット写真が載っているので、ぜひ見てください。店内で、今柊二さんと筑摩書房のMさんと待ち合わせ、近くの中華料理屋へ。今さんはちくま文庫で『定食ニッポン』を出したばかり。二人である企画をやろうというハナシになる。実現したら楽しい本になりそう。


11時過ぎまであれこれ話し、ウチに帰ったら12時前。旬公と〈サミット〉に行き、コーヒーなどを買ってくる。今日は何歩歩いたかな? と万歩計を見たら、日付けが変わってしまっていた。昨日は8000歩と少なかった。


【お願い】

先日「不忍ブックストリート」のサイトhttp://yanesen.org/groups/sbs/blog/0502/view)で、一箱古本市へのご感想・ご意見を募集しましたが、まだ10通ぐらいしか集まっていません。一言で結構ですから、参加した感想を送っていただければ。ご自分のサイトブログですでに書いたコトでも結構です。なるべく多くの方の声を、公式サイトに載せたいと思います。

感想の宛先は、

horo@yanesen.net

まで。

締め切りは5月10日でしたが、しばらく延ばします。

どうぞよろしくお願いします。

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2005-05-10 直球の新雑誌と完結した叢書

朝、旬公に付き合って、有楽町の〈ビックカメラ〉へ。携帯用のケーブルを買ったあと、上階のカフェパソコンに接続しようとするが、ドライバインストールするためのCD-ROMドライブACアダプタが必要だと判明。ダメじゃん。パソコン本体から電源が供給されるとばっかり思っていた。しょうがないので夜にやるコトに。


仕事場に行って、原稿の整理。3本のゲラをつくる。確認や連絡に追われる。合い間に、「デウスエクスマキな食卓」(http://blog.livedoor.jp/kekkojin/)を見ていたら、「HIS」が再結成するというニュースhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050509-00000018-spn-ent)が紹介されている。忌野清志郎細野晴臣坂本冬美1991年に結成したユニットだが、CDを聴いてあまりの予定調和脱力したものだ。「伝説ユニット」ですか。世の中には復活しないほうがいいモノもあるのでは。しかし、あれからもう14年とは、1990年代は遠くなりにけり。あと、「一箱古本市」で取材された記事のゲラを戻したり、短いアンケートを書いたりしていると、7時になった。


帰りに市ヶ谷の〈文教堂書店〉で、『NONFIX ナックルズ』(ミリオン出版)の創刊号を買う。表紙には「世の中の理不尽に喧嘩を売る雑誌」とある。『実話ナックルズ』から派生した雑誌で、編集長(久田将義氏)も同じだが、この判型と内容からは、久田氏が以前編集していた『ダークサイドジャパン』を思い出す。グラビアも連載エッセイコラムもなく、雑誌にしては長めのノンフィクション記事が15本以上並んでいる。直球である。まだ、特集「石原都知事・恐怖の歌舞伎町浄化作戦」のうち、松沢呉一東京都、条例の嵐の犠牲者たち」しか読んでいない(知らないコトばかりで驚いた)が、久々に読みごたえのある雑誌が出てきた、という気がする。久田氏はたぶんぼくと同世代のハズだが、次にナニをやるかがいつも気になる一人だ。


ウチに帰り、晩飯(鶏肉とゴボウの煮物)をつくって、食べる。そのあと、旬公のパソコンを設定。OS携帯ケーブルとニフティ携帯本体の設定をぜんぶ確認しなければならず、すっかりイヤになる。1時間ほどあれこれやってるうちに、なんとか通信できるようになってヨカッタ。


そういえば、日曜日日記で書いた、「東京スムース友の会」での忘れ物(ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの帽子)、アレはEDIの藤城さんのものだと判明。じつは当日、藤城さんがそういう帽子をかぶっていたようなうっすらとした記憶があり、セドローくんに「藤城さんのものじゃないの?」と尋ねたのだが、言下に「違うでしょう、藤城さんがブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブかぶっていたらオモシロイけど」と否定されたのだった。その旨を藤城さんに伝えたら、「おかしいなぁセドローくん、古書現世目録ラテンアメリカのアイテムはしばしば買ってるんですけど。若い頃に南米スペインを旅行して以来、スペイン語圏には関心が高いのです」ですと。この答えもなんだかオカシイ。「若い頃」って、藤城さんっていくつだ? 一時期、EDIの丁稚だった柳瀬くんからは、藤城さんが某ミュージシャンの追っかけだという情報も聞いている。『ドラゴンボール』を愛読するハチローくん(松本八郎さん)、ラテン好きな藤城さん。明治大正昭和の忘れられた作家たちを集成する「EDI叢書」を何年もかかって完結させた方々が、じつはそんな愉快な面々だとは、昨日UBCで講演された荒川洋治さんもさすがにご存知あるまい。ともあれ、完結おめでとうございます。

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2005-05-09 蝦蟇に会わずにマユタンに会った

眠い。仕事場へ行き、進行状況の確認。今日届くはずの原稿が2本未着。西江雅之さんの原稿ファクスで送られてくる。電話すると、フロッピーで渡したいというコトなので、慌てて用事を片付け、中央線三鷹へ。南口の再開発、ますますヒドいことになっている。以前の道がなくなって、これまで存在しなかった別の道ができているんだもん。ナニやってるのか。長崎ちゃんぽん(味はイマイチ)を食べて、西江さんのご自宅へ。以前、「本コ」の旬公の連載「センセイの書斎」の取材のために、一度伺ったコトがある、通称「蝦蟇屋敷」だ。門を入って玄関までのあいだの草むらに蝦蟇が何匹かいると、以前、西江さんに聞いたコトがある。出会いたくないので、小走りにナカへ。入口に蝦蟇の置物がお出迎え、部屋の中にはカエルのくんせいみたいなモノがぶらさがっている。カエル嫌いにはおそろしく危険な場所なのだ。フロッピーを受け取り、数日前まで台湾に行っていたというお話を聞く。ある新興宗教の行事がメチャクチャおもしろそうだ。


そこから10分ほど歩き、〈上々堂〉へ。店番のタマさんより、先月の売上を受け取る。しばらく来ないうちに、だいぶ棚のカンジが変わった。「古書モクロー」は在庫をまとめて送っただけで、自分では並べてないが、岡崎さんやハルミンさんの本とうまく混ぜておいてくれている。ストックを見て、少しだけ並べ替える。CDもありますので、よろしければどうぞ。三鷹駅までテクテク歩いて戻る。今日は数日ぶりに万歩計をつけたが、三鷹だけでもずいぶん歩数を稼いだぞ。


新宿に出て、〈タワーレコード〉。先日から、JB(渕上純子+bikkeデュオ)[ルリパキダンス]というアルバムを探しているのだが、ドコにも置いてない。ここでも見つからず。もう発売してるハズなのになあ。ホントは今週末、15日に〈古本酒場コクテイル〉で行なわれる、ふちがみとふなとライブに行けば帰るのだろうが、ちょっと行けそうにない。しょうがないから、ネットで買うかなあ。そのあと、ルミネ2の〈ブックファースト〉へ。全面的にリニューアルしていた。ぼくは書店リニューアルは大胆にやるほうが好きなので、リニューアル自体は支持するが、全体的に女性を意識しているというか、女性客にしか目を向けてない印象を受けた。同チェーンとしては、銀座コア店に雰囲気が近いか。そんなコトを考えながら、仕事の本を探していたら、高野マユタンに声をかけられる。デザイナーの原条さんがご一緒だった。マユたんはぼくにナニか相談したいらしいが、なんかコーフンしているし、相変わらず「あのあのあの」とマユ語で喋るので、よく判らなかった。またメールしてもらうことに(でも、メールもマユ文体なんだよなあ……)。


ウチに帰り、少し仕事をしたあと、旬公と〈花歩〉へ。「一箱古本市」の大家さんだ。当日は休みの日なのに、店を開けてくれた。お客さんが多かったとおっしゃるのでホッとする。旬公と仕事の打ち合わせをして、久しぶりに〈古書ほうろう〉へ。そのあと、自転車田端のほうを回って、帰ってくる。今日は1万2000歩。


金沢でお会いした〈あうん堂〉(http://www.aun-do.info/)の本多さんより、『そらあるき』というミニコミの創刊号が送られてきた。金沢市内のギャラリーカフェ骨董屋、バーなどのオーナーが共同でつくるミニコミグリーンとスミの二色刷り。「金沢そらあるきマップ」も入っている。本文は、各店のオーナーのエッセイ。皆さん達者なのだけど、金沢の店になじみのない読者からすると、創刊号に関しては、それぞれの店の来歴やオーナーのプロフィールを知りたかった気もする。巻頭エッセイは〈ユトレヒト〉の江口宏志さん。10年前に金沢で暮らしていたコトがあるそうだ。へえ。


もうひとつ、雑誌について。昨日コンビニで買った『YOUNG YOU』6月号に、近頃お気に入りの勝田文と、ずっとお気に入りの清原なつのの読みきりが載っていた。しかし、前者はページが長いワリにはいまいちすっきりしない展開であり、後者(「良く晴れた微風の日」)は久しぶりの長い(といっても16ページだが)マンガのためか、絵とセリフでなく、ナレーションのようなネームで話を進めていた。とはいえ、清原なつのの新作が読めるなんてウレシイ。そういえば今月、本の雑誌社から、「清原なつの忘れ物BOX」というのが出る(http://www.webdokusho.com/kanko/index.html#comingsoon)。『サボテン姫とイグアナ王子 清原なつの忘れ物BOX1』『二十歳のバースディ・プレート 清原なつの忘れ物BOX2』の二冊で、ぜんぶこれまでの単行本に未収録の作品らしい。昨年の『千利休』といい、本の雑誌社清原なつのの熱狂的ファンで実力のある編集者がいるらしい。いいぞ、いいぞ、新作も再刊もドンドン出してくれ! 清原さんの本ならぜんぶ買いますから。バラバラにしか単行本に収録されてない、「清原さんのおけいこ日記」(うろ覚え)なんて、一冊にまとまらないですかねえ。

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2005-05-08 東京スムース友の会、盛況のうちに終了

12時頃ウチを出て、東京古書会館の「アンダーグランド・ブック・カフェ」へ。2階でやっている「1920−30年代の装丁」展を覗き、地下の古書展へ。もう5回目(早いなあ)なので、客の入りが安定してしてきたのではないか。林哲夫さん、〈タコシェ〉の中山さん、〈リコシェ〉の阿部さん、帰山健一さん、林武二郎さん(「sumus」愛読者)などとお話しする。帰山さんから、着物女性を紹介される。「書皮友好協会のみさきたまゑさんです」。おお、これがみさきさんか。手紙メールで7、8年やり取りしていたのだが、お会いするのは今日がはじめて。もっとも向こうは、旬公のイラストとコミさんの帽子を見て、一発でワカッタそうである。みさきさんは、このあとの友の会にも出席してくれた。お茶の水の〈ディスクユニオン〉に寄り、明治大学の前まで来ると扉野良人さんに会う。コレから古書会館へ行くという。明治大学の前を通ったら、掲示板に「尾佐竹猛展」のポスターが。大学会館のロビーでやっているらしいが、今日は閉館で残念。今度見に来よう。


1時半に「東京スムース友の会」会場の、南欧料理〈Ole Ole(オーレ・オーレ)〉へ。幹事役の荻原魚雷さんが先に来ていた。まだランチの客が残っているので、先に打ち合わせ。20分前になったので、そろそろ準備するかと思ったら、〈聖智文庫〉の有馬さんが荷物を持っていらっしゃり、いろいろ説明され、その隙に、セドロー、ハルミン、牛イチロートリオが入ってきた。その直後、会費を徴収する体勢をつくる間もなく、ドッと人々が入ってくる。こういうときにウマくさばければイイのだけど、段取りを忘れてしまって困る。あと、久しぶりに会うヒトの顔を忘れてしまったり(ごめんなさい)。出席者は全部で38人。同人は林さん、岡崎さん、山本さん、扉野さん、魚雷さん。松本さんと生田さんは残念ながら欠席。


2時10分ぐらいにはほぼ全員集まり、林さんの乾杯でスタート。前半の司会はぼく、後半の司会は「人生初司会」だという魚雷さん。まず、「スムースのつくりかた」。こないだ林さんが『CABIN』に書いたエッセイを軸に、同人おのおのがスムースとの関わりを語った。歓談に移って、料理を取りに行ったり、ワインを飲んだり。ぼくの隣に座った井上さんという女性は、大学四年生で本関係の仕事めざして就職活動中だそうだ。「いつもこんなにたくさん集まるんですか?」と訊かれたが、いつももナニも東京でこんな会やるのは初めてだと云ったら、驚いていた。古書会館で出番がある林さんが先に退場。出席者に自己紹介してもらう。マイクが1本しかないので、前まで来てもらった。みんな、いろんなしかたで「sumus」に接しているんだなというコトが判り、オモシロかった。ココまでで3時半。時間が押してきたので、すぐ次に移る。


今日のメインイベントとも云える「岡崎 vs 山本 古本十番勝負」。〈均一〉対〈赤貧〉のプライドを賭けた対決だ。前回は僅差で岡崎さんが勝った。山本さんは「アウェイでリベンジだ」といきまいている。今回は上限を500円に設定し、岡崎さんのセコンドを牛イチロー(立石書店の岡島くん)、山本さんのセコンドをセドローくんがつとめる。山本さんに「やりますよ」と声をかけたのだが、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と検討している。ドコから来るのか、その情熱は。方法は簡単で、スケッチブックに自分が買った本を一冊ずつ書き、順番に出し合い、「どっちがスゴイか」を競い合うというもの。判定はお客さんの挙手で、もと日本野鳥の会所属というキャリアを生かして(ウソ)、魚雷さんが計算する。さて、その結果は……(以下、二人から預かったスケッチブックを書き写します)。


★第一回戦

先行・岡崎は、高田渡詩集『個人的な理由』200円。後攻・山本は、荒川洋治チューリップ時代』てらむら刊。500円。11歳からの未刊詩篇高田渡への追悼と、明日UBCで講演する荒川さんの対決。結果は11人対15人で、山本さんの勝利。挙手した人数を足したら出席者より少ないので、もと日本野鳥の会魚雷さんに「数合ってます? まあイイか、テキトーで」と云ったら、山本さんから「テキトーはアカンよ」と怒られる。でも、人数多くて数え切れなかったです。

★第二回戦

先行・山本は、小林信彦東京ロビンソン・クルーソー』。なんと200円。対して後攻・岡崎は、白石かずこ『恋に日曜日はないの』。フォアレディース・シリーズ四谷シモン宛サイン入り。これも200円。結果は岡崎圧勝。『東京ロビンソン・クルーソー』は、ヘタすると200円の100倍近くの値段が付いている。これで負けるところが、この勝負がいかにレベルが高いかの証拠だ。

★第三回戦

先行・岡崎は、タモリ高平哲郎・赤塚不二雄『空飛ぶかくし芸』。100円。後攻・山本は、真鍋博愛媛の昔語り』朝日出版社昭和35。堀内誠一装幀。500円。『空飛ぶかくし芸』は、住宅新報社というヘンな版元から出た本で、筒井康隆山下洋輔奥成達ら全冷中の『空飛ぶ冷し中華』も出している。奥成達原理主義者のぼくとしては、当然前者に挙手したが、賛同者はほかにわずか2人。真鍋博の珍しい本に人気が集中した。山本勝利。

★第四回戦

先行・山本は、多木浩二中平卓馬『まずたしからしさのせかいをすてろ』田畑書店、1979。500円。後攻・岡崎は、真鍋博『線の画集三条「ブ」にて300円。先の山本への「真鍋返し」に加え、山本の本拠地である「三条ブックオフ」で見つけたことのインパクトが強く、ほぼ全員が岡崎に挙手。岡崎勝利。ここまでで2対2。

★第五回戦

先行・岡崎は、宮尾しげを・絵の講談社絵本一休さん昭和28。200円。後攻・山本は、ミシェルフーコー『言葉と物』100円。あの厚い本を、しかも函入りでどうやって100円で……。さわやかに「読んでません!」と云いきる山本。しかし、結果は16人対13人で、岡崎勝利。

★第六回戦

先行・山本は、開高健日本人の遊び場』昭和38。初版・サイン入り。100円。後攻・岡崎は、『中上健次短篇小説河出書房新社。定価9800円、ネット価格8000円を105円。山本はサイン入りを強調(すかさず、岡崎から「でも、カバー欠やろ」とツッコミが入る。なぜ知ってる?)。山本セコンドのセドローは「角田さんもファンですよ!」と檄を飛ばす。対して、岡崎はあんな厚い本を105円でと強調するが、山本に「それをUBCの会場で◎◎円で売っとるよ」とバラされる。結果は21人対7人で山本勝利。

★第七回戦

先行・岡崎は、フランソワーズ・サガン一年ののち』新潮社昭和33。105円。後攻・山本は、小林秀雄私小説論』作品社昭和11。300円。岡崎は、映画ジョゼと虎と魚たち』で池脇千鶴がこの本を読んでいる、というネタで押しまくるも、池脇千鶴を知らない客が多かったせいか、11人対16人で小林秀雄に負けた。山本勝利で、4対3。

★第八回戦

先行・山本は、坂口安吾『爐辺夜話集』スタイル社、昭和16。200円。後攻・岡崎は、藤子不二雄『マリナちゃん』500円。岡崎は「『まんが道』で、二人が全社の原稿を落とす話しがあったやろ、あれで仕事を干された二人が再起して最初に出した本がこれや。単行本未収録の作品も入っている!」というネタで、宇野千代スタイル社から出た本を圧倒。マリナちゃん17人、チヨちゃん(安吾)11人で、岡崎勝利。

★第九回戦

先行・岡崎は、永田耕衣句集『殺祖』昭和56。500部限定、署名入り。ネットで識語入りなら1万1000円のところ、300円。後攻・山本は、松崎天民『旅行気分』金龍堂、大正15。200円。前者もすごいが、大正末の天民の本が200円とは……。4人対20人で、山本勝利。

★第十回戦(最終戦)

先行・山本は、大下宇陀児魔法街』世界社、昭和22。山名文夫装幀。100円。後攻・岡崎は、内田百問(門がまえに月)『王様の背中』。谷中安規装幀。ほるぷ復刻。200円。山本の本を見るや、岡崎は「これは負けた……」とつぶやく。それほど、この本は強力だった。22人対3人で、山本勝利。


という熱い戦いの結果、6対4で山本善行さんの勝利。その瞬間、山本さんはセコンドのセドローくんに抱きついていた。ホントに嬉しそう。みんな、珍しいものを見た、という風情で、一種異様な感動を味わっているようだ(二十歳そこそこの若いコたちに、山本さんがどう見えたのか、とても知りたい)。そのあと、オークション。聖智文庫さんが『ARE』と『sumus』のバックナンバーなどを出してくださり、盛り上がる。岡崎、扉野、魚雷、南陀楼も少しずつ出す。ココまでで4時25分。駆け足のような時間だった。最後に山本さんにシメてもらい、会を終える。幹事役だったので、出席された皆さんとホトンド話せなかったのは残念。岡山からいらっしゃった志村知彦さんに、いま岡山県美術館で開催中の「燐票大展覧会 マッチラベルシンセカイ」の図録を頂戴した。ありがとうございます。


終ってから、山本、扉野、魚雷、セドローイチロー、ハルミン、〈ぶらじる〉の竹内さんで〈シャノアール〉でうだうだ話。「古本十番勝負」だけを独立したイベントにして、各地を興行して回る計画(妄想?)など。いや、マジで行けるかもしれん。「ウチの街でやってほしい」という方がいらっしゃったら、企画してください。京都東京ではやったから、次は名古屋で戦うか。みんなはUBCの角田光代さんと岡崎さんの対談に行くが、ぼくは失礼してウチに帰る。角田さんにお会いしたいけど、仕事が終ってないのだ。


昼間に買った、電気グルーヴスチャダラパー[twilight]を聴く。ジャケットから名曲[虹]のようにメロディアスな曲を連想したが、そうではなかった。しかし、これはこれでイイ。原稿をいじったり、メールしていると旬公が帰ってくる。ビデオ屋で《インファナル・アフェア無間序曲》を借りてきて観る。1作目の時期よりも遡り、トニー・レオンアンディ・ラウを若い役者が演じるというので、あまり期待してなかったけど、オモシロイ! 警部役のアンソニー・ウォンとサム役のエリック・ツァンの二大オヤジが最高だった。観終わったら2時。楽しかったけど、疲れた。


最後に出席された方にご連絡。お店に帽子の忘れ物がありました。「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のキャップで、入口から右手奥のテーブルに落ちていたそうです。南陀楼が預かっていますので、お心当たりのある方は、メールでご連絡ください。……今日の日記は長いなあ。「十番勝負」の経過を書くだけで、1時間掛かってしまった。

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2005-05-07 ロードショーは上野に限る

朝、ポストに角田光代さんからのお手紙が届いていた。歩きながら読む。『古本道場』の関係者全員に出しているのだろうか。ホントにすごい方である。「モクローくん通信」読者のKさんよりハガキ。一箱古本市が終ってから「モク通」が届いたことへのお叱り。サイト雑誌での告知に追われて、「モク通」がいちばん最後になってしまった。『日本古書通信』や『彷書月刊』を読まず、インターネットもやらないヒトにとっては、「モク通」が唯一の情報源なのだ。頑張らねば。


11時に仕事場へ。ヒトがいないと、仕事がはかどるか、まったくできずにサボってしまうかどっちかだが、今日はまあまあ。原稿を一本書き、著者の原稿を読んでゲラにする。5時半に仕事場を出て、上野へ。駅にアトレができてから、なんか人の流れが変わったなあと思う。先に映画を観る場所を確かめておこうと、〈上野東急2〉を探すが、駅から近いところではなく、不忍池に近いほうにあった。入れ替え制でなく、入口でチケットを買いそのまま入る昔ながらの映画館。まだ前の回の上映中なので人影はなく、受付ではあんちゃんが眠っていた。それを起こして、2枚買っておく。駅方面に戻り、「上野古書のまち」で時間つぶし。『大阪路線バスの旅』(トラベルジャーナル)を見つける。東京でこういう本があるのは知ってたが、大阪バージョンもあったのか。かんべむさし川崎ゆきお、峯正澄、朝倉喬司堀晃と執筆者がディープ極まりない。もちろん買う。500円。


旬公から電話が入り、落ち合って上野公園へ。久しぶりにナカに入ったのだが、どんどんキレイで平板になっていく駅前と比べて、ココはやっぱり濃い空気を放っている。座っているヒトを眺めるだけでも、寝込んでいるホームレスビールを飲むおやじ、国籍不明のハデな服装の女性などとバラエティ豊か。しかも、植え込みにゾウやクジャクやプレーリードッグのハリボテ(?)みたいなのが立っていて、夕方になるとそれが光るのだが、その光りかたがなんだかショボイのである。ナニがやりたいんだろう、一体。


そこから階段を下りると、真正面が〈上野東急2〉だ。ロビーでは3、4人待っている。入れ替え制じゃないから、映画のエンディングからもう入っているヒトがいるのだろうと、終ってからナカに入ると、まったく誰もいない。300席ぐらいあるが、まったくのガラガラである。ぼくたちの観た回の客は15人切っていたんじゃないか。さっきまで読んでいた小林信彦の『東京散歩昭和幻想』(光文社知恵の森文庫)で、「ゴールデン・ウィーク」というコトバは映画産業が全盛だった時代、連休中の配収がスゴイことから付いたとあった。いまでは、世間はゴールデン・ウィークなのに、この映画館は取り残されている。しかし、この映画館、最近のスカした「シアター」とは違って、実質本位の造りなので、スクリーンが大きくて見やすい。こういう映画館は好きだ。コレからロードショーは上野で観よう。もっとも、上映中に左右の「非常口」の灯が暗くならないのは、イマドキありえないが(他では自然に光量が落ちるようになっている)。


映画は《インファナル・アフェア終極無間》。おもしろかったけど、これ、前作を観てないヒトにはさっぱりワカランだろう(ぼくも気靴観てないので、ちょっと判らないトコロがあった)。ようするに、すべてが前2作のつじつま合わせなのだ。細かい謎を全部解決しようと、いろんなエピソードを出してくる。ホントにここまで考えて、最初からつくってあったの? と聞きたくなる。前に座った老夫婦は、エンディングで「難しい……」と呟いていた。


終ってから、〈黒船亭〉へ。上野界隈では高級な洋食店と云われており、お値段もなかなか高級。ステーキ丼セットというのを頼むと、オードブルの盛り合わせとステーキ丼半サイズが出てきた。けっこう腹いっぱいになった。下を見下ろすと、中央通りの真ん中で地下鉄の工事をやっているのが見える。この数年、ずーっと工事中だ。湯島まで歩き、千代田線でウチに帰る。髪が伸びていたので、旬公に散髪してもらうと、すっきりした。明日は東京古書会館の「アンダーグランド・ブック・カフェ」に寄ってから、「東京スムース友の会」だ。けっきょく出席者は37人になった。ドタキャンがあったにしては、まあまあの人数である。

2005-05-06 たまには書かないコトもある

仕事場で原稿が入ってきたり、督促をしたり。明後日に迫った、「東京スムース友の会」でドタキャンが発生し、調整に追われる。個人的にも大変なことがあった。こういう日に日記を書くのは、(大槻ケンヂ日記ではないけれど)精神衛生上よろしくないので、パスします。

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2005-05-05 ぼくも岡崎賞をいただく

kawasusu2005-05-05

昨日、岡崎武志さんから、右のイラストとともに「一箱古本市」についてのお手紙をいただいた。終わりの部分を、ちょっとだけ引用させていただくと、「エプロン姿のナンダロウくんも、やけにカッコよかった。いやほんと。いろいろ日記をみる限り、忙しい時期に並行してがんばりぬいたこと、形には残らねど、賞賛に値する立派な行動でした」とあって、最後に「ぼくから岡崎武志賞をナンダロウアヤシゲ氏に贈ります」と結ばれていた。嬉しい、ほんとに嬉しいおホメのコトバだった。岡崎武志賞、ありがたく頂戴します。明日からガンバロウという気になりました。


さて、今日は三連休の最後とあって、谷中周辺はすごい人出。ぼくが出会うのが高齢の方ばかりのためか、一箱古本市の日以外に「不忍ブックストリートMAP」を持って歩いているヒトを見かけない。旬公は女性が手にしているのを何度か見たそうだけど。1時に出て、仕事場へ。届いていた原稿を読み、著者と相談する。あとはインタビュー原稿をまとめたり、短い原稿を書いたり。


仕事場に、柾木恭介『猫ばやしが聞こえる』(DWELL/績文堂)が届いている。柾木さんは詩誌『列島』の同人で、新日本文学会に属した詩人評論家2004年10月に82歳で亡くなった。70歳を過ぎてから、インターネットで個人通信を発信していたが、そこから数十編をまとめたのが本書である。小沢信男さんの友人でもあり、「本とコンピュータ2003年春号に掲載の、小沢さんが柾木さんに聞くかたちの記事「老いてこそパソコン」も収録されている。


8時前にウチに帰り、『オーケンののほほん日記 ソリッド』(ぴあ)を読了。うーん、ますますドロドロになっていく。こういう状態のときは、日記など書かないほうが精神衛生上にはいいのではあるまいか。中島らも『さかだち日記』(講談社)とテイストがよく似ていた。その後、テレビジャッキー・チェンの《アクシデンタル・スパイ》を観たら、主人公の行動があまりにバカっぽくて、途中で疲れてしまった。ご都合主義にさえなっていないシナリオだった。


そうだ、忘れていた。8日(日)2時から開催の「東京スムース友の会」ですが、あとわずか数席分の余裕があります。書物雑誌sumus」にご興味があり、林さん、岡崎さん、山本さんら同人に会ってみたい方なら、誰でも歓迎します。女性も10人近くいらっしゃいますので、お気軽にどうぞ。最終締め切りは、土曜日の午前中です。申し込みは南陀楼までメールにて。

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2005-05-04 ミニ自転車で浅草まで

朝10時に起きて、フロに入ったり、洗濯をしたり。なんとなく日記本が読みたくなったので、棚の日記本コーナーから大槻ケンヂオーケンののほほん日記』(ぴあ)を取り出す。きっとオモシロイだろうと思いながら、読まずに放置しておいたが、図書館で借りた、中島らも鮫肌文殊のトーク集『イッツ・オンリー・ア・トークショー』(メディアファクトリー。冒頭のガンジー石原さんが最高!)での喋りがヨカッタので読みたくなった。いやあ、ステキにうじうじしてますなあ。こういう日記本は、この先どうなるのかが気になって、なかなか途中でヤメられない。けっきょく出たのは12時。


昨日よみせ通りの自転車屋でライトとカゴをつけてもらい、グレードアップした折りたたみ自転車で出かける。車輪が小さいので遠くまで行くのはツライが、ゆっくり走っているウチに、浅草台東区立中央図書館に到着。2階のパソコンが使えるビジネスルームに入り、そこで遅れに遅れた書評を書こうとする。その前に、『ひそひそくすくす大爆笑 It’s Only a Talkshow2』を読みはじめたら止まらず、最後まで読んでしまった。いま、こういう「語り」に飢えているのかも。このビジネスルーム、郷土資料室のカウンターの真横にあるのだが、入口のガラス戸が開け放してあるので、そこでのハナシが丸聞こえである。自分が持ってきたノートコピーを取ろうとしたオヤジ(そりゃダメだろう)が、怒って「館長を呼べ」と云うのを別室に連れて行くという事件も、最初から最後まで耳で追っていた。3時ごろからようやく書きはじめ、4時半にはなんとか終った。そのあと、ちょっと本を読んで、図書館を出る。


また自転車に乗って、もと来た道をゆっくり帰る。天気はイイけど、けっこう風がきつい。半袖はまだ早かったか。〈中ざと〉が開いていたので、ちょっと寄って、『中島らもの誰に言うでもない、さようなら It’s only a talkshow』を読みながら、チューハイを飲む。この店のカウンターはすぐ常連で埋まる。その会話に参加することなく、聞くともナシに聞いているのはなかなかイイ。ウチに帰り、あとはいろいろ。連休気分にはあまりなれないなあ。

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2005-05-03 仕事を求めてます

今日は一日アレコレ考えて過ごす。これまでココではあまり触れてこなかったが、大日本印刷発行の雑誌『季刊・本とコンピュータ』は6月10日発行の第二期・第16号をもって終刊する。その後、「本とコンピュータプロジェクトを続けることは(いまのところ)ない。ぼくも含めて編集室の編集スタッフは全員、このプロジェクトのために契約で働いている。机は与えられ、基本的に毎日仕事場に行くが、フリーランスだから他の仕事をするのは構わない。ギャラは年俸制(それを月割りで振り込んでもらっていた)で社会保険もそこに含まれる。ぼくは1997年の創刊時からのスタッフだから、丸8年間、ココからギャラをもらっていた。これはとても大きなコトだった。なにしろ、毎月の生活がおおよそ保障されているのだから。だから、それ以外の時間をつかって、南陀楼綾繁としての活動を続けるコトができたのだ。しかし、今後はそうは行かない。定期的な収入がなくなり、あちこちの雑誌原稿を書いたり、単行本を編集したりすることで、毎月の生活を回していかねばならない。ライターとしての書きおろしや、編集者としての仕事はいくつか決まっている(動いている)のだが、とてもそれだけで生活できないことは目に見えている。


そこで、この場を使って、お願いをします。編集者河上進あるいは、ライター南陀楼綾繁仕事をください。ジャンルは問いません(ただ、スポーツものだけはどーにも使い物にならないと思いますが……)。編集は単行本でも雑誌でもあるいはムックでも、一通りはこなせると思います。他の仕事との調整ですが、週に1、2回出勤するカタチでもできます(じっさいに動けるのは7月以降です)。ライターとしては、書きおろしに関しては今年はちょっと手一杯ですが、雑誌の連載や単発記事ならいつでもやらせていただきます。怠け者で原稿も遅いぼくですが、編集したり書いたりしたものや、「モクローくん通信」「不忍ブックストリート」などをご覧になって、「こいつ、しばらく生かしておいてやろうか」と思ってくださる方はどうぞよろしくお願いします。「ナニも云わずにこれを取っとけ」と100万円くれるのでもイイんですが(また甘いコトを……)。ご連絡は kawakami@honco.net まで。なお、こちらからも数社・数人に向けてお願いを差し上げるツモリです。

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2005-05-02 うまく書けなかったこと

仕事場に行って、原稿の整理や督促など。7時ごろ出て、ウチへ。「一箱古本市」に参加した店主や、お客さんの感想が各所でアップされている。この日記にもトラックバックをもらったりして、いくつか把握しているが、それでも「退屈男と本と街」の「一箱古本市まとめリンク集」(http://taikutujin.exblog.jp/1896826/)には敵わない。そこで、自分が気づいたサイトは、こちらのコメント欄に書き込むコトにした。不忍ブックストリート公式サイトからもリンクを貼る予定。退屈男さん、お任せしてしまって恐縮です。


それから、昨日(5月1日)の日記の最後の部分を削除しました。その前の文章とうまく論旨がつながってなかったことと、内澤旬子日記で批判しているように、「ノーギャラ」を強調しすぎたことへの反省からです。今後、一箱古本市を継続させていくためには、それ自体で収入を得ることはないにしても、運営に関わる費用をなるべく「持ち出し」にせず、浮いたお金はプールする体制をつくるコトが必要になるでしょう。また、ぼくが「ノーギャラ」の編集者として関わる、と書いたのは、あくまでも一箱古本市についてです。プロの編集者なのですから、仕事に関してきちんとギャラをいただくのは当たり前のことです。そうやって生活を確保してこそ、私事ができるのですから。その辺をはしょって、あまりにノーテンキなことを書いてしまった(そして、それが多くの出版関係者に読まれる)のは軽率でした。今夜の日記では、編集者ライターとしての仕事について、書くつもりです。

2005-05-01 雑誌を眺めて思ったこと

目が覚めたら12時だった。いやー、久しぶりにぐっすり眠ったなあ。やらなければの仕事は多いが、今日だけは休ませてもらおう。旬公と自転車で出かける。不忍通りイタリア料理屋は休みだったので、田端レストランで車海老フライカレーを食べる。1400円。昨日の売上金額トップだった旬公にご馳走していただく。ウチに帰り、ゴロッとヨコになる。この数日、「一箱古本市」の準備で気が休まるヒマがなく(つねにメールを書いたり、手作業していた気がする)、届いた雑誌を見るコトもできなかった。それで手当たり次第に雑誌を眺める。


それにしても、ウチにはヘンな雑誌が多い。いま座っている周囲にある雑誌を挙げてみると、『薔薇続』復刊号、『トーン』創刊号(旬公が「インド・デリー食肉紀行」というイラストルポを書いている)、『少年文芸』創刊号(新風舎の妙な文芸誌。ココにも旬公が新風社直営の書店イラストルポを)、『BUBKA』5月号(モーニング娘矢口真里脱退をめぐる事務所の姿勢を徹底糾弾する特集に、モーヲタの「漢」を感じる)、『サンパン』第10号(曽根博義「楢崎勤の徳」から読もう。セドローくんの「店番日記」、毎回いろんな構成・文体を試しているな)、『雲遊天下』39号(特集は「サケと散歩自転車と」。『立ち飲みジャーナル』なんてミニコミがあったとは。友部正人補聴器老眼鏡」最終回ゲストは発行人の村元武さん。熟読したい)、『映画秘宝』5月号(買ってからページをめくってない)、今日届いたのが『一寸』、あとは『うえの』『青春読書』『ちくま』『週刊新潮』など。なんかこう、バラバラなカンジである。


今日はナニも書かずに過ごすツモリだったが、ネットを見ると一箱古本市の店主やお客さんがいろいろと感想を書いてくださっている。ぼくも忘れないウチに書いておくかと、昨日の日記を書きはじめたら2時間近くかかった。それをアップして、古書ほうろうへ。外は雨が降っている。昨日も途中からこんな雨が降ってきていたらと思うと、ゾッとする。スポット別の売上記入シートをコンビニコピーする。帰って、仁木悦子『探偵三影潤全集2 青の巻』(出版芸術社)を読んでいると、旬公から電話。「今日、晩御飯どうするの?」と訊くから、「カレーでもつくろうと思って」と答えると、「はぁっ?」と云われる。それで気づいた。今日の昼、カレー食べたんだっけ!! 食べたことをすっかり忘れて、カレーに対する欲求(伊藤理佐流に云えば「カレー心」)だけが身体に残っていたのだろうか。とにかくスープに切り替えて、つくりはじめる。


テレビ映画《フラッド》(1998、米)を観る。ハリウッド的なパニックムービーかと思ったら、洪水のなかの町という極限状況でヒトはどう行動するかというサスペンスを描いたもので、ワリとおもしろく観られた。夜になって、「一箱古本市」の感想、さらに増える。いずれまとめて紹介したいが、岡崎武志さんの日記http://d.hatena.ne.jp/okatake/)で以下のように書いてくださったことがとくに嬉しかった。


今回のイベントは気分よく、初の試みとしては大成功だったと思う。それは、ナンダロウさんはじめ、今回かかわったスタッフの周到な準備とチームワークにあったと思う。邪悪なものが少しでも交じれば、地域連携のことも含め、トラブル発生は必至だったろうが、参加者としてのぼくの目から見る限り、完璧だったと思う。


岡崎さんからはそのあと電話でもホメてもらった。好きでやったコトとはいえ、けっして平坦ではなかったこの数ヶ月間のアレコレが報われたようで、ほんのちょっと涙が出た。そのあと、岡崎さんの日記に出た某出版社の対応について話をする。古本についての愛情も知識もなく、ただ売れそうだから女子にウケそうだからという理由で出版を急ぎ、さらに出た本をきちんと売っていく努力もせずに品切れにし、あまつさえやっぱり売れそうだから再版にする、ただし原稿料はありませんだと。しかも、この本には岡崎さんの推薦した書き手が何人もいるのだ。それを一方的な通告でハナシが済むと思ってる(きっとホントにそう思っているのだろう)トコロがすごい。その後、ワークショップの準備から帰ってきた旬公からも、別の出版社による同じようなハナシを聞く。


そこで唐突に思い出したのが、さっき『BUBKA』で読んだ矢口真里脱退についての特集だ。メインのルポもなかなか読みゴタエあったが、ビバ彦宇多丸、ワルの座談会で、宇多丸が「事務所が駒として扱いすぎなんだよね。生きた人間が作ってるってもんだってことを分かってないとしか思えないよ」と云い、ワルが「事務所から見たらタレントは駒かもしれないけど、その駒を上手に使いたかったら気持ちを理解してあげないと。感情のない駒じゃないんだから」と受けている。ライターイラストレーターを「駒」とするのは不穏当かもしれないが、じっさい、いまの出版社(とくに雑誌)の編集者には取替えのきく「駒」に「発注」してるつもりのヒトが多いだろう。彼らにとってはライターイラストレーターが抗議するなんてもっての外、なのである(岡崎さんほど著書をたくさん持っているライターにしてそうなのだ)。どうして、こうなんだろう? ぼくは編集ほどオモシロイ仕事はないし、編集者ほど役得の多い職業はないとつねづね思っているのだが、同じ編集者でも「駒」とか「発注」とかの意識しかないヒトにとっては、仕事はあくまで「こなす」ものであり、人付き合いなんて面倒くさいのかもしれない(忙しいだろうし、激務であろうコトには同情しますが)。


「不忍ブックストリートMAP」や「一箱古本市」について、ぼくが果たした役割をひとつだけこっそり自慢させていただくと、それは、地図についても古本市についても「編集者」として関わったコトである(サイトなどではライター編集者と併称しているが)。つまり、企画をどう進めるか、スタッフをどう組み合わせるか、店主をどう配置するか、などなどを、編集者としての考え方で提案していったのだ。古本市なんてやったコトはないが、人と人を組み合わせてカタチにすることは、本や雑誌をつくることとそんなに大きく変わらないのではないかと思ったからだ。そして、ぼくが思いつかなかったコト、忘れていたコトは、スタッフの各自が古本屋、新刊書店デザイナーイラストレーター、地域雑誌というそれぞれの立場から補足してくれた。岡崎さんや旬公をへこませた編集者は、きっとぼくよりも力があって社会的地位も高いだろう。でも、古本市でもいい、フリーマーケットでもいい、あるいは音楽鑑賞会でもいい、そういうイベントをあなたは「編集」することができますか? とぼくは問いたい。あなたは、ぼくが「昨日は乱歩の前の店主の組み合わせはジャンルがバラけてうまくいったなあ」とか、「ルシェルシュの店の雰囲気と店主の出した本はマッチしていたなあ」とか反芻してるコトをバカバカしいと思うかもしれない。でも、ぼくにとってみれば、それこそが「編集」の楽しさであり、難しさなのだ。

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