ナンダロウアヤシゲな日々

◎この日記は、ライター・編集者の南陀楼綾繁が書いています。
◎新刊『町を歩いて本のなかへ』(原書房)発売中です。
◎著書『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)、『谷根千ちいさなお店散歩』(WAVE出版)、『小説検定』(新潮文庫)、『ほんほん本の旅あるき』(産業編集センター)、『路上派遊書日記』(右文書院)、『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『老舗の流儀 戦後六十年あの本の新聞広告』(とうこう・あい監修、幻冬舎メディアコンサルティング)、編著『チェコのマッチラベル』(ピエ・ブックス)、共著『ミニコミ魂』(晶文社)。
◎ご感想・ご連絡は南陀楼綾繁 まで。
◎「不忍ブックストリートの一箱古本市」は毎年春に開催します。
詳細は不忍ブックストリート公式ホームページもしくは、しのばずくん便りをご覧ください。
2004 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2005 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2006 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2007 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2008 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2009 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2010 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2011 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2012 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 |
2015 | 11 |
2017 | 06 | 07 | 08 | 09 | 11 |
2018 | 02 |
2426973

2005-12-31 甥と姪に付き合わされる大晦日

7時半起き。午前中、『紙つぶて 自作自注最終版』を読み終える。943ページもあったので、3日かかった。この本の眼目は、『完本・紙つぶて』の455篇に、「それぞれ一篇ごとに唱和して、新稿を同じ篇数だけ書き加えた」ところにある。それも旧稿の後日談ではなく、第一の紙つぶてからの連想を「付かず離れずの呼吸」で書いている。旧稿部分は4、5度読んでいるが、今回も感じるところが多く、新稿では新知見が得られるという具合。昭和60年代から約20年かけて書きついでいった根気はすごい。この企画を立てた編集の萬玉邦夫氏は、本の完成を待たずして亡くなった。しかし、どうなのかなあ、これ。初めのうちは、ひとつのコラムテーマを引き継いで別のコラムを産む名人芸というふうに読んでいったのだが、次第にどうつながっているのかよく判らないものが増えてくる。一度書いたハナシ(たとえば、『定本花袋全集』から文芸時評がカットされていること)が、何箇所にも出てきたりして、正直、読み通すのがつらい面もあった。


昨日に引き続き、書庫の整理を少々。昼飯のあと、相馬健作『文壇太平記』(萬生閣、大正15)を読む。まえがきには「著者はこれを匿名で発表する」とある。国会図書館でも本書以外にヒットせず、相馬健作は仮の名前のようである。さて内容だが、作家が世に出るまでとか、女流作家の履歴とかを収録したもので、「私が」という一人称が出てくるので著者かと思ったら、末尾にその作家の名前が出ているという妙な本。じゃあ聞き書き、探訪記をまとめたものかと思えば、そうでもない。なんなんだ、これは。文章に魅力があるわけでなく、かといって細部に文壇史的な興味を感じるかといえばそれもない。つまらない本であった。附録として「文士住所録」が載っているが、川端康成横光利一が見当たらない。すでにデビューしているはずなのだが、まだ一人前と認められてなかったのか、それともこのリストがずさんなのか。


2時ごろ、旬公と外に散歩に出る。いつも行く医大前の〈味巣亭〉という喫茶店ジャズライブもやる)に入ろうとしたら、なんだかコジャレた内装に変わっていた。よく見ると、別の名前のケーキ喫茶になっていた。〈味巣亭〉は隣にビルを建てて、移転していた。今日は休みだったので、新しい喫茶店に入る。若いイケメンパティシエがオーナーという感じの店で、店内は満席に近い。地元の女子大生4人のアケスケな話(医大生をつかまえるハナシなど)をBGMに、大村彦次郎時代小説盛衰史』(筑摩書房)を読む。


7時前、岡山から弟の一家が到着。2階にも甥と姪が駆け上がってきて、賑やかになる。晩飯のあとは、姪がつくった紙芝居を見せられる。また、小4の甥は「いま、アガサ・クリスティーを読んでる」そうで、ポプラ社の『オリエント急行殺人事件』を見せてくれる。「おっちゃん、リンドバーグの息子が誘拐された事件は知ってる?」と云うので、「そんなのドコで知った?」と聞いたら、『オリエント〜』にこの事件が仮名で出てくるそうで、リンドバーグの名前は解説で知ったのだという(ちなみに昨日の日記タイトルが、リンドバーグのセリフのもじりなのは、まったくのグーゼン)。云うコトがいちいちマニアックな奴なのである。自分はこれぐらいの歳に解説まで読んでたかなあ? と疑問に思う。


12時になり、2006年を迎えた。今年もよろしくお願いします。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051231

2005-12-30 翼よ、あれが本屋の灯だ

8時起き。朝飯のあと、読書。千代田図書館で借りた、武野藤介『文壇餘白』(健文社、昭和10)を読み進む。前半の文壇ゴシップ集、じつにオモシロイ。1篇が、『紙つぶて 自作自注最終版』と同じく適度に短いので、代わりばんこに読める。いくつかメモしておく。


▼近頃、旺んに匿名の覆面子が出没して、斬捨御免の筆剣を揮つてゐる。「新潮」誌上の不砂司陽、これは最近流行のフアツシヨと読ませるつもりらしいが、これが最近、不覚にも。馬脚を露はした。不砂司陽先生原稿締切日を過ぎて狼狽したものか、「新潮」に送るべき原稿を「近代生活」へ送つたのである。返却を申込んだ時は既に手遅れで、「近代生活」では、同人達、その原稿を真ん中にして、「ナント、あれは岡田三郎だつたのか!」と、ひと騒動持ちあがつてゐたのである。(p28)

▼近頃、銀座あたりの麻雀倶楽部で、「しめ、しめ」といふ言葉流行してゐるが、これは「占めた!」と云ふ言葉略語で、新造語としても決して上品とは云ひ難い。流行の新造語と云へば、久米正雄の「微苦笑」以来、これはたいてい文士が考へ出すことになつてゐる。ところでこの「しめ、しめ」にも、誰かその震源地があるに違ひないと思つたら、それが探偵小説家の甲賀三郎だつた。(p55)

▼氷川烈だの横手丑之助だのと、いろんなペンネームで、盛んに文壇を掻き廻はしてゐる杉山平助。トウがたつてきたと云ふのか、近頃トンと面白くなくなつたといふ評判。そこで最近またひとつペンネームを作つた。「七右衛門」と云ふのである。ちよいと茲で素ツ破抜いてをく。(p94)

▼浅原六朗の一例もある。これも日本大学の講師だが、長篇小説に就いて一席弁じたあと、「扨て、諸君が若しも、新聞連載の長篇小説を書くとしたら、どんな題をつけるか、現代に最もふさはしいものを選ばなくちやならん」と云ふやうなことを云つて、学生達にその回答を書かせた。現在、浅原が「読売」に連載してゐる「愛の十字街」は、この回答の中から選んだものである。づるいなあ!(p99)

▼新進評論家の十返一、過日、吉行アグリの美容院の記事を某誌に書き、それ相当な原稿料をとつた。その後で、アグリを訪ねて行つて広告料をせしめたと云ふから末恐ろしい。のみならず、その足で銀座裏のカツフエで、どぐろを捲いてゐた夫君の吉行エイスケを掴まへて、「君の細君を宣伝してあげといたから」と恩にきせて、こゝでもカクテルの何杯かをおごらせたと云ふのである。とかく、世渡りは押しの一手と感心してゐた者もあつたが、近頃文壇人気質とも云へようものだ。(p119)


ほかにも、大宅荘一、井伏鱒二、城夏子、山崎今朝彌ほかのゴシップが多数。どのコラムも簡潔で痛快。武野藤介の文章がもっと読みたいと思う。昼飯のあと、書庫の整理。家の建て替えにともない、前の場所からクレーンで移動させた。90度向きを変えたので、陽射しが入りやすい。背表紙のヤケが少し心配なので、対策を講じなければ(さほど貴重な本があるワケではないのだが)。段ボール箱を20箱ほど開け、本を棚に詰めていく。3時過ぎまでで一区切り。


5時半に家を出て、駅に向かって歩きはじめる。実家に帰ると車に乗せてもらうか、近所で自転車を借りるかで、長い距離を歩くことが少ない。今日は市の北にある〈今井書店〉で打ち合わせがあるので、歩いていってみるコトにした。駅までは15分。これは楽勝。駅前商店街、といっても15年前からシャッター通りと化した中町を抜け、扇町に出る。高校生の頃に通った〈カメタ書店〉と〈武田書店〉は健在。とはいえ、客が入っている気配はナシ。そもそもこの通り自体にめっきりヒトが少なくなった。その先の古本屋出雲書房〉は閉まっていた。


さて、これから北に向かって道沿いにひたすら歩く。この辺りは道路拡張のための工事が続いている。15分ほど歩くと、川跡に出る。高校生のときの感覚では、相当外れの場所に思われた。道は狭くなり、歩道もないので、車にはねられないかとヒヤヒヤ。前方に黄色い看板が見えてきてホッとした。〈ブックオフ〉だ。昨夜も来た店にいそいそと入り、見落とした本はないかと回る。単行本の100円コーナーに、虫明亜呂無シャガールの馬』(講談社)を見つけたのが収穫。


店を出て今度は西に向かって3分ほど歩き、〈今井書店〉に到着。店長の林さんと、松江店の武田さんが迎えてくれる。昨日はゆっくり見られなかったので、改めて店内を一回り。一言で云えば、出雲では最大の複合型大書店TSUTAYAタリーズコーヒーと文具店が併設され、本も多い。それだけでは、2日続けて来る価値はないが、スペースは狭いながらも文芸書コーナーが頑張っているし、雑誌も充実している。『考える人』(津野海太郎「時代の空気 ロゲルギストと花森安治」が読みたくて)と『男の隠れ家』(特集「愉悦の読書空間」。米子の〈今井ブックセンター〉も登場)なんて雑誌東京ならドコでも買えるけど、出雲書店平積みされているのは珍しい。


見終わって、3人で近くの〈暖暖〉という飲み屋へ。生ビールのジョッキが倒れて、ぼくのズダ袋にかかるというアクシデントがあるも、大事には至らず。鍋を食べながら、来年2月頃、今井書店でぼくが選書して行なうコトになったフェアについて話す。ともかく基本線だけは出しておいて、あとは臨機応変でやるコトに。DVDCDも同じレジを通すため、本と一緒に並べることもできますよ、と云われる。おおそうか、じゃああの本とあの映画を組み合わせるか……などとさっそく妄想に花が咲く。10時頃、家まで車で送っていただく。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051230

2005-12-29 新築の実家にゲラ届く一年の暮れ

8時起き。荷物をまとめたり、住民税や奨学金の振込みに行ったりとバタバタして、部屋の掃除がなにヒトツできぬまま出かける。浜松町駅でチェックインし、モノレール羽田空港へ。荷物検査は長蛇の列。搭乗口にたどりつくも、飛行機への連絡バスが遅れる。疲れたし腹減ったしで、二人とも食欲大魔神になって、機内に入るなりさっき買った弁当を食べる。離陸するなり眠り込み、着陸直前に目を覚ます。2時半に出雲空港に到着。快晴。


出雲市駅行きのバスに乗る。相変わらず殺風景ロードサイドを見ていた旬公が、「春に行ったテキサス州田舎町そっくり」とのたまう。駅まで父親に迎えに来てもらい、実家へ。3月に帰ったときはまだ荷物を運び入れてなかったので、実質的には初めて。すべてが新しくなり、電化されている。暮らしやすくなっているが、一方で、昔の家の五右衛門風呂(釜で下から沸かす)が懐かしくもある。この家がホントに自分の実家に思えるまで、まだ何年かかかるだろう。


2階に荷物を置いて休憩。旬公がリクエストした通り、掘りごたつが設置されており、そこに入って本を読むのはなかなかイイ。しかし問題は寝転んだときで、ぼくの短い足が掘りごたつの下に着かず、宙に浮いてしまうのだ。適正な収まり場所を求めて、しばらくこたつの中をうろうろ。あと100ページのトコロまで来ていた、堀切直人浅草 戦後篇』(右文書院)を読了。新しい知見を多く得られ、思うこともたくさんある本だが、いずれ感想を書くことにしよう。なにしろ、年末年始に読んでおこうと持ち帰った本が7、8冊あり、いずれも厚いのだ。一方では、まだ残っている雑誌原稿や書きおろしのまとめ、実家まで送られてきたゲラ数種のチェックと仕事目白押しで、さらに書庫の整理まで予定に入っているのだ。あと、年賀状も。ゆっくりしてもいられない。


晩飯は、サバの煮付け、竹の子とコンニャクの煮物などで、妙に旨く感じられる。そのあと、旬公が買いたい雑誌があるからと、母親の車で出雲の北側にある〈今井書店出雲店まで。明日ココで打ち合わせがあるので、今日はざっと見ただけだが、これだけのレベルの本屋が地元にできたコトに感慨を感じた。自分の高校生の頃にこんな店があったら、東京に行きたいという気が起きなかったかもしれない。広島で出ている『がんぼ』(南々社)とう雑誌で、「名編集者花森安治が愛した日本の原風景 松江を歩く」という特集を組んでいるので買う。花森はハナシのマクラに使われているっぽいが、旧制松江高校時代の写真(ヨコに丸い顔だ!)が載っているなど、それなりに貴重。


その近くにある〈ブックオフ出雲店にも寄ってもらう。9号線沿いにある渡橋店にはよく行くが、ココは初めて。単行本の棚で、いきなり『尾崎一雄対話集』(永田書房)800円が目につく。そして、森銑三の本が5冊もある。これ全部100円コーナーにあったら、瞬時に買うのにと思いつつ、『瓢箪から駒 近世人物百話』(彌生書房)850円を買う。ウチに帰り、谷沢永一『紙つぶて 自作自注最終版』(文藝春秋)を読みはじめる。途中、風呂に入ったりして、1時すぎまで読みふける。久しぶりに読書に没頭できた一日だった。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051229

2005-12-28 極私的2005年ベスト12のテーマは「底辺」

出勤日。年内は今日が最終日。行きの電車の中で、1月11日(水)からの「松屋浅草古本まつり」の目録を見る。ここんところ、カネもヒマもなかったので、意識して古書目録から遠ざかっていた。久しぶりに見ると、やっぱり欲しい本がある。仕事場に着いてから、久しぶりに注文のファクスを書く。しかしこの目録はえらく誤植が多いなあ。山手樹一郎が「山本樹一郎」、宮武外骨が「宮本外骨」になっている。校正のときに気づきそうなもんだけど。


ひとつ用事をすませたあと、千代田図書館へ。ある本を探そうと検索していたら、閉架でおもしろそうな本を発見。この館は戦前の本も大半は館外貸し出ししてくれるのがイイ。利用者カードをつくり、相馬健作『文壇太平記』(萬生閣、大正15)と武野藤介『文壇餘白』(健文社、昭和10)を借り出す。二冊とも年末年始に読もう。後者作家に関するゴシップが大半を占めていて、パラパラめくっただけでも次のような記述が見つかる。


▼永らく奈良に住む志賀直哉校正なぞのことは萬事、早稲田出の新進作家尾崎一雄やらせてゐる。「小説」の同人だ。甚だ貧しい。辞書を買ふ金も持たない。そこで、校正の際、不審の字にぶツつかると、バツトの空殻にそれを書き、いちいち、町の古本屋へ出かけて行く。貴族作家志賀直哉、愛弟子のこの苦心を、知るや否や?

神保町に出て、〈岩波ブックセンター〉で『en-taxi』の新しい号、〈すずらん堂〉で安彦麻理絵再婚一直線!』(祥伝社)を買い、久しぶりに〈キッチン南海〉でカツカレーを食べる。このどす黒い味が年に一度ぐらい食べたくなる。同じテーブルの前の席に、大学生らしいカップルが座り、ぬるーい会話を交わしている。南海には似合わない連中だよなあと思っていたら、店の姉ちゃんが「カツカレーはどちらですか」とか「呼ぶまでお待ちください」などと言葉遣いこそ丁寧だが客に指図している様子を見て、女のほうがポツリと「誰に向かって話してるのかわからないね……」と一言。小娘、よく云った。


書肆アクセス〉に行き、年末のご挨拶。今年はいつも以上にこの店によく来たなあ。棚に、伊多波英夫『安成貞雄を祖先とす ドキュメント・安成家の兄妹』(無明舎出版)という本を見つける。無明舎から今年夏にこんな本が出ていたとは、知らなかったよ。目次を見ると、中央線文士の名前が多く出てくる。470ページもある本だが、コレは読んでおかねばならぬ。仕事場に戻り、年の瀬年賀状書き。個人としての年賀状は出せないかもしれない。今日は夕方から、会社忘年会がある。松坂屋古本市、昨日の結果がメールで届く。4500円。さすがに売れなくなってきたか。今日の最終日の売り上げがどうなるか。


さて、去年に続いて、2005年に読んだ本のベストを書いておきます。ただし、いま思い出せる範囲で書き出したので、当然入れるべきものが抜けているかもしれません。今年のテーマは「底辺」です。去年は「貧しさ」でした。あまり変わってねえか。少なくとも、今年の漢字のように「愛」ではナイことだけはたしか。以下、だいたい刊行月順に並べました。


『子不語の夢 江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』(皓星社

鈴木地蔵市井作家列伝』(右文書院

吾妻ひでお失踪日記』(イーストプレス

浅生ハルミン『私は猫ストーカー』(洋泉社

いしいひさいち大阪100円生活 バイトくん通信』(講談社

青木正美『古書肆・弘文荘訪問記 反町茂雄晩年』(日本古書通信社)

礫川全次サンカ三角寛 消えた漂泊民をめぐる謎』(平凡社新書

山川直人コーヒーもう一杯』第1巻(エンターブレイン

平岡正明昭和ジャズ喫茶伝説』(平凡社

『日日の麺麭・風貌 小山清作品集』(講談社文芸文庫

江口寿史の正直日記』(河出書房新社

堀切直人浅草 戦後篇』(右文書院


次点

安野モヨコ監督不行届』(祥伝社

小沼丹風光る丘』(未知谷

大西巨人『縮図・インコ道理教』(太田出版

畸人研究学会『しみったれ家族 平成新貧乏の正体』(ミリオン出版

高橋徹月の輪書林それから』(晶文社


明日から実家帰省します。向こうはダイヤルアップ接続なので、日記更新しないかもしれません。メールは見ていますので、連絡は取れます。では皆さん、よいお年を。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051228

2005-12-27 キビしいねえ、田村は

朝8時半起き。正月に読む本やゲラなどを詰めた段ボール箱を、コンビニから実家に発送する。「天気が悪いのでいつ着くか判りません」と云われる。寒波の影響で、今年の山陰は雪が多いらしい。明後日、無事飛行機が着陸できるのかが心配だ。


仕事場に行き、来年企画についてあれこれ。今朝の読売新聞の生活欄に『ブックカフェものがたり』の紹介が載った。これで、いま書店に並んでいる分が全部売れてくれると、増刷を配本するのにいいタイミングなのだけど。2時前に神保町へ。〈田村書店〉の店頭で、『坂西志保さん』(国際文化会館、1977)を手に取ると、表紙のイラスト花森安治だった。カバーは欠なのか、もともとなかったのかは判らない。400円だったので当然買おうとするが、あいにく300円しか小銭がなく1万円出したら、予想通り「釣りがない」とつっぱねられる。預かってもらって崩しに行こうとしたら、古書通信社の樽見さんが。すがるようにして100円を借りる。田村の厳しさを痛感する。


そのあと、『新文化』のI編集長と打ち合わせ。昨日に続いて〈ぶらじる〉。こういう場所では大きな声で出版業界のハナシはできないのだが、熱中してつい声が高くなる。まずいまずい。来年、あるテーマでルポを書かせてもらうことに。仕事場に戻り、7時までいろいろやってから出る。


〈ふらいぱん〉で堀切直人浅草 戦後篇』の刊行そして四部作完結を祝う飲み会堀切さんのほか、右文書院青柳さん、最初の一冊の版元・栞文庫の社主にして四部作の装幀者である古舘さんというメンツ。あとで、もと『芸術生活』の編集者の仲川さんが加わり、ワイワイと。この数日熱中して読み、残り3分の1まで来た戦後篇の感想を、著者に直接伝えられたのはヨカッタ。二次会は遠慮してウチに帰る。


そうだ。今日は松坂屋古本市に顔を出せなかった。昨日の売上をメールで教えてもらったら、2万5850円だった。マッチラベルの貼込帖(2万円)が見当たらなかったが、やはりあれが売れたらしい。これで売上は10万円に到達。予想以上の売上でウレシイ。もっとも、先の貼込帖などは2万円で買ったヤツをそのまま2万円で売り、◎パーセントマージンを引かれるわけだから、とても「儲かった」とは云えないのだが。でも、参加費を除いてちょっとでも小遣いに回せるのはよかったです。明日はいよいよ最終日です。時間のあるヒトは、少しはいいモノが残ってるかもしれないので、覗いてみてください。


【追伸】今月、日記をサボった日のメモが出てきたので、3日分だけ更新しました。暇なヒトは探してみてください。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051227

2005-12-26 浅川マキにしびれた夜

9時起き。出勤日ではないが、11時ごろに会社に顔を出す。『ブックカフェものがたり』増刷分の最終チェック。1時半に出て、〈ぶらじる〉でK社のKさんと会う。某新書企画の打ち合わせ。なんども目次案を練り直していたが、来年にはいよいよ着手する。〈書泉グランデ〉の地下で、入荷したばかりの戸川昌士『やられた! 猟盤日記』(東京キララ社)を見つける。版元が変わりながらも4巻目が出たのはスゴイ。ほかに、『文藝別冊 大瀧詠一』(河出書房新社)、有間しのぶ『レッツ・ゲット・ハップ』(竹書房)、水木しげるマンガ 水木しげる伝』上巻・戦前編(講談社漫画文庫)を買う。


半蔵門線大手町乗り換え、銀座に出る。銀行に寄ったあと、松坂屋古本市へ。今日もヒトが少ないなあ〜。しかし、ウチのブースでは昨日よりはちょっと売れている気がする。担当者不在で売上が判らず、あとでメールしてもらったが、昨日は19,910円だった。大物が売れたのだろうか。持ち直したので、ウレシイ。電話料金を払い忘れて携帯が不通になっていたので、auショップに行って料金を払う。ついでに、自動引き落としの手続きをようやくする。有楽町線市ヶ谷へ。〈ルノワール〉で、増刷データの受け渡し。来年1月13日頃、増刷が出来上がってくる予定。


新宿に出て、〈ジュンク堂書店〉を覗く。『ブックカフェものがたり』は新刊コーナーの表(目立つところ)と、書店書評関係の二カ所に面出しされていた。しかもちょっと減っているカンジだ。あと、よるひるプロが発行した『たべるトンちゃん』の隣に一冊だけ棚差しにしてあった。判ってらっしゃるぅ〜。一方、〈紀伊國屋書店〉は文芸書コーナーには姿が見えず、データで検索すると、6階の飲食本コーナーにあった。カフェ本と一緒に置いてあり、これはこれでアリガタイ(でも、書店関係の棚にも1冊でイイから置いてほしい……)。


新宿三丁目の〈世界堂〉で旬公と待ち合わせ、三丁目交差点博多ラーメン(旬公のお気に入り)でチャーシューメンを食べる。そこから歩いてスグの〈ピットイン〉で、浅川マキライブを見る。紀伊國屋の裏にあった時期には何度も行ったが、ココに移転してからはなんとなく敷居が高くなり、今日が初めて。ビルの地下にあり、開場までは通路に出してある椅子に座って待つ。ナカに入ると、ステージに向かって椅子が並べられ、どの席にも飲み物を置ける小さなテーブルが設置されている。客の多いライブハウスに行くと、飲み物をずっと手で持っていなければならず疲れるのだが、これは助かる。店内も落ち着いた雰囲気で、30代にはちょうどイイ感じ。


しばらくして電気が暗くなると、浅川マキが一人で出てきて、つぶやくように歌いはじめる。途中から、ドラムのセシル・モンローが8ビートを叩き、それをバックに唄う。さらに渋谷毅が出てきてシンセを弾く。前半はロック調のセッション。休憩後は、渋谷さんとのデュオではじめ、あとでドラムが入る。こちらは4ビートジャズ調。「センチメンタル・ジャーニー」「聖ジェームス病院」などのスタンダード日本語で歌う。渋谷さんもセシル・モンローも長くやっているメンバーなので、浅川マキが息を吸っただけで、タイミングをつかんでいる。最後の数曲では、三人が渾然一体となって盛り上がり、しびれた。今日から5日間、ココで連続ライブをやるのだが、明日はまた違った感じになるのだろう。全日聴きたくなってきた。最後の曲が終わるとスッと引っ込み、激しい拍手でのアンコールの要求にも「今日はおしまい」と出てこない。じつにきっぱりしている。「いいものを見たねえ」と云いながら、新宿線小川町に出てウチに帰る。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051226

2005-12-25 ご対面の際のお願い

朝9時起き。昨日の日記が消えてしまったので、思い出しながらメモ的に書いておく。そのあと『映画秘宝』を読む。ついに来年1月に公開が決まった《ホテル・ルワンダ》についての6ページにわたる記事がすごくいい。不肖・宮嶋インタビューも、現時の状況を見たものならではの、感傷に流れないクール意見で参考になる。また、日本公開を呼びかけた運動の経緯も、ネットを使って動きを起こす際のメリットとデメリットがよく判る。男子中学生ノリに見せかけているが、いま『映画秘宝』ぐらい、ちゃんとジャーナリズムしている雑誌は少ないんじゃないの? 一方で、杉作J太郎監督映画についてもけっこう長くページを割いており、そのバランス感覚が笑える。そのあと、松坂屋搬入するものの値段付け。


1時半に出て、品川へ。インターシティフリーマーケットへ。今日のミニミニ古本市は、〈うさぎ書林〉〈古本ねこ〉〈RYODAN BOOKS〉〈古書わらべ〉の4店。毎回参加店が変わり、4店の組み合わせが楽しめる。うさぎ書林の芳賀さんのプロデューサーとしての腕だろう。古書わらべ1970年前後の『少年マガジン』が十冊ほどあった。大伴昌司が巻頭図解をやっていた時期だ。各1000円と安い。全部欲しいところだがガマンして、1970年1月1日号を買う。「1枚の絵は1万字にまさる」という名キャプションで知られる「劇画入門」の掲載号だ。このほかにも古いマンガが多く、ジャンプコミックス諸星大二郎などあったが、ちばあきお『半ちゃん』(集英社)を。500円は安いよ。RYODAN BOOKSでは、『日本幻景 バートンホームズ写真集』(読売新聞社、1974)を1800円からおまけしてもらう。バートン明治から昭和初期にかけて日本で撮影した写真をまとめた大判写真集で、永井龍男虫明亜呂無加太こうじらが寄稿している。デザインが斬新だと思ったら、やっぱり横尾忠則だった。うさぎ書林では、青島幸男『ざまァみやがれ! デッカイ気分になる本』(青春出版社、1966)800円。紫藤甲子男(しとうきねお)による写真コラージュ青島踊り子になったりヌードになったり)が随所に挟まれている。いずれも安くて、申し訳ないようだ。古本ねこには「岡崎武志堂」も一箱出品。海ねこさんに「南陀楼さんもどうですか?」と誘われ、二つ返事で引き受ける。海ねこさんの旦那さんは、ぼくと音楽趣味が合うという。今度一緒に渋谷毅ライブに行きましょう。


帰ろうとしたら、和服を着た女性に挨拶される。一瞬判らずに適当に話していたが、連れの男性を見て〈古本T〉のお二人だと気づく。先月ココで会ったばかりなのに……。何度も書いている通り、ぼくはヒトの顔の認知能力が決定的に低いらしく、すぐに顔と名前が一致するヒトのほうが少ない。子どものときからずっとそうで、近所のおばさんや親戚の顔を忘れて、よく親に怒られていた。一度覚えたとしてもシチュエーションが変わるとすぐに判らなくなる。タレントの顔ですら、ちょっと髪型を変えたり、別のCMで見たりすると判別できなくなる。うさぎ書林さんや海ねこさんもRYODAN BOOKSさんも、古本市の会場で会うから判るので、ほかで会ったらたぶんワカラナイだろう。だから、先日のコクテイルでも、書店員ナイトでも、松坂屋古本市でも、なんとなく見覚えがあるヒトと会うときにはいつもドキドキしている。ホントに申し訳ないし、失礼だと思いますが、南陀楼に声を掛けていただくときは、お名前を云ってくださると助かります。幸い、名前を覚えるのは人並み以上ではありますので。もし一瞬判らない表情をしたとしても、この男をアワレと思し召して、辛抱強くお付き合いくださいますように。この機会に伏してお願いします。ちなみに、旬公はいまでも右と左の区別が付きません。なんという夫婦だ。


品川から新橋に出て松坂屋へ。搬入口で名前を記入してリボンをもらって上がる。だいぶ慣れてきたか。エレベーターを降りたら、日月堂佐藤さんとバッタリ。疲れた顔してた。休憩室に座って、ちょっと話す。デパート側の設定した売上はクリアできたようで、まずはよかった。会場に入り、ぼくのコーナーに行くと、ん? あまり昨日と変わってないぞ。帳場に行きスリップをもらうと、昨日の売上は8650円。3日目で落ち込んだか。気を取り直して、商品を補充。戦後ラベルのスクラップブックや、CDを20枚ほど追加しました。大井由紀子さんが来てくれたので挨拶して、会場を出る。このあと〈ラピュタ阿佐ヶ谷〉でミステリ映画を2本観るツモリだったが、疲れたのでウチに帰る。先月から今月にかけて、ラピュタにはよく通ったなあ。楽しみにしていた、芦川いづみの《結婚泥棒》を見逃したのがザンネンだけど。来年も1月から文芸映画の特集があり、行かねばならぬ。


ウチでちょっとごろ寝して、眼が覚めると、テレビで「M-1グランプリ」をやっていた。5回目だが、見るのは初めて。岡崎さんがテレビで共演した麒麟が、笑い飯ブラックマヨネーズとともに上位3組に入った。そのあと同じ局でやった映画ザ・コア》(2003・米)を観る。まあまあ面白し。しかし、もうそろそろハッカーをあんなにステロタイプな描き方をするのはヤメたらどうかね。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051225

2005-12-24 消えてしまったので、メモ書きです

一時間以上かけて、久しぶりに長い日記を書いたのだが、途中でエラーが起こり、保存されないままに全部消えてしまった。いつもだったら、自動バックアップ機能で修復されるのだが、今日はそれもできず。さすがに書き直す気力が起きないので、寝ます。

しかたないので、昨夜書いたことの項目だけあげておきます。

★午前中、『酒とつまみ』の原稿を書く。

★『彷書月刊』届く。特集はリトルマガジン。〈りぶる・りべろ〉の川口秀彦さんが、先日閉店した四谷文鳥書店の思い出を書いているのが、おもしろい。PR紙として「本の新聞」を挙げているが、ぼくの手元には1980年の『かると』創刊号がある。両者の関係はいかに? また、アルバイトに牧神社編集者でのちに北宋社を興す渡辺誠がいたという。この二社の関係にも興味を持っている。……てなことを延々と5000字ぐらい書いたんだけど。

★『彷書月刊編集後記で、町田高原書店〉の高原社長(後記には「高原担」とあるが、コッチが正しいのでは?)の訃報が。2000年冬に取材に行き、お話を伺った。福々しい写真に、南陀楼と同じくカワウソっぽいカンジを受けたと旬公のコメントあり。高原出身の古書店・出版関係者は多く、高原氏の精神みたいなものは彼らに受け継がれていくのかもしれない。合掌。

★午後、経堂へ。〈大河堂書店〉で『ノーサイド』のベストセラー特集、大竹新助『写真文学散歩 本の中にある風景』(現代教養文庫)を買う。後者には、漱石三四郎』の舞台として団子坂が出てくるが、1957年写真といまの風景との違いに愕然とする。

★〈ロバロバカフェ〉で、〈a2g+(books)〉のツジモトさんの取材。ロバロバでは1月7日(土)から、〈a2g+(books)〉を含め8店が参加する古本市が行なわれる。それにあわせて販売される小冊子に、ぼくも文章を書いている。その刷り出しを見せてもらったが、なかなかイイ出来だった。

日比谷から銀座まで歩き、松坂屋古書市へ。初日と二日目の集計とスリップをもらう。二日目の売上は、2万4140円。まあまあか。売れたもののタイトルは会期終了にまとめて公表します。クリスマスイブの夕方とあって、会場はかなりヒトが多かった。初日の説明のときに「R指定のものは出せません」といわれていたのが、コロッと忘れて、昨日、にっかつロマンポルノ《暴行切り裂きジャック》のビデオを出してしまった。今日見たらちゃんと下のストックに移動させられていた。さすがのチェックだ。

有楽町ガード下焼き鳥屋でチューハイを飲んでから、プランタンクリスマスケーキを買う。その前に西武デパートで、四谷書房さんにバッタリ会った。夜はテレビで《ローマの休日》なぞ観てしまう。吹き替えでみると、ずいぶんバカっぽい映画に感じられる。

楽天フリマで買った、荒居直人『ゴーゴー福生 アメリカのフェンスのある東京の街から』(クレイン)が届く。2002年に出たのだが、すぐ品切れになり、ネットでも図書館でも見つからなかった。ネットで全文を公開しているが、仕事ネタにしたいので本として持っておきたかった。3000円は高いけど、しかたない。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051224

2005-12-23 紙モノの在庫と岡崎さんの30冊

朝7時過ぎに眼が覚める。朝飯の前に、「早稲田古本村通信」の原稿を書く。映画のハナシのつづき。そのあと、午後4時ごろまで、ときどき休憩を挟みながら、松坂屋古本市の値付けをする。本、CDのほか、貼込帖、マッチラベルのシート、出版カタログ、明治時代業界紙など。この辺の紙モノは、10年ほど前に『美濃』という交換入札誌(誌上オークション雑誌)で毎月のように買い集めていたときのもの。ネットオークションと違い、「マッチラベル 明治 動物 50枚」などのようにわずか一行の情報から内容を推定し、最低値にどれだけ上乗せするかを考えなければならない。結果としてずいぶん失敗もしたが、いまではそれなりの価値のあるものも。久しぶりに段ボール箱から引っ張り出し、こんなの買ってたっけ? と呆れ、こんなのよく買ってるよなあと感心する。


5時に旬公と一緒に出て、松坂屋へ。会場にはお客さんの姿がちらほら。とはいえ、ぼくたちのブースの前には、次々にヒトが来ては去っていくので、なかなか本の補充ができない。お客さんのヨコで、下から荷物を引っ張り出したり、本を入れ替えたりするのは、それなりの年季が要るのだなと思う。


昨日の売上を教えてもらおうと、ポラン書房さんに聞くが、担当の人が休憩中で明日になる。あとでウチに帰るとメールが届いており、ぼくたちの初日の売上は32080円だったそうだ。このうち◎%は松坂屋に引かれるので、こちらの手に入るのは2万◎千円ほど。コレが、シロートの出品物の一日の売上としてイイか悪いのか、まるで見当がつかぬ。明日は売上のスリップを受け取ることになっているので、それを見れば、売れ方の傾向が少しはつかめるかも。


有楽町で旬公と別れ、東京駅から中央線高円寺。〈古本酒場コクテイル〉で「岡崎武志の今年買った古本ベスト30」を見る。椅子をとっぱらい、15人ほどが立ち飲みしている。晩鮭亭さん、〈ぶらじる〉の竹内さん、『ifeel』の大井さんほか、知り合いの顔多し。岡崎さんのトークは、持ってきた本を30位から1位まで見せて、そのおもしろさを話していくもの。30冊のリストはいずれ発表されるだろう(ぜひお願いします、オカザキさん)が、芸能もの、エロっぽいもの、貸本マンガ戦前新聞コラムなど範囲の広さは無類だ。ある本とその次の本が、微妙テーマが似ているなど、どこかでつながっていくのが、構成の妙だろう。ほとんどの本は客に回され、手にとって見られるのもイイ。1000円で買ったという『血と薔薇』創刊号の編集人に、矢牧一宏の名前が。偶然だが、今日届いた〈青猫書房〉の目録で、この人の遺稿・追悼集『脱毛の秋』(社会評論社、1983)が載っていた。興味を持っている人し、種村・渋沢・松山俊太郎、堀内誠一ほかが寄稿となれば欲しいのはヤマヤマなれど、8500円という値段と、先着順のこの目録では夕方になって電話かけてもムダだろうと思ってあきらめていたのだった。それにしても、『脱毛の秋』というタイトルにはどう反応してイイやら、わからん。


このあと、ブックオフで抜いてきた文庫の「フリ」があって終了。1時間半ほどで、ちょうどいい長さだった。〈高円寺文庫センター〉で、『映画秘宝』、『Hot Wax』第4号と、『ワンダーJAPAN』(三才ブックス)という雑誌の創刊号を買う。「日本の《異空間》探検マガジン」というキャッチフレーズで、特集は廃墟、気になる巨大建築不思議神社仏閣。特筆すべきは大胆なレイアウトで、どの写真もかなり大きく使われている。アートディレクションはセキネシンイチ制作室。『江口寿史の正直日記』のデザイナーだ。文字が少ないのが物足りないが、これからどう転ぶか、ちょっと注目。


文庫センターを出るとき大井さんに声を掛けられ、高円寺駅のホームで晩鮭亭さんに声をかける。さらに、電車が止まり降りてきた金子さんにバッタリ会い、乗り込もうとした電車から森“書誌鳥”洋介が降りてきた。まるで一箱古本市メンバーがいっせいに高円寺に移動したみたいだな。ウチに帰ったのは10時すぎ。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051223

2005-12-22 「初日派」以外がターゲット?

kawasusu2005-12-22

朝8時半起き。眠い目をこすり、トランクを引きずって、JR有楽町へ。松坂屋搬入口に着いたのは10時ちょっと前。昨夜値付けした本や端布を並べる。EDIの藤城さんが、本を立てかける台を買ってきてくれたので、使わせてもらう。看板も貼って、なんとかブースらしくなったかな?


10時15分にミーティング、25分には「開店前ですが客を入れます」という通達が。とたんに、ドーッと人が入り込んでくる。ぼくのところにも、おじさんがやってきて、台に立てかけておいたチェコ絵本(蜂が出てくる)を手にとってパラパラ見るなり、それを抱え込んで去っていった。お買い上げ、ありがとうございます。10分ほど見ていたが、短時間に多くの人がかき回すので、すぐレイアウトが崩れていく。ぼくのところだけでなく、隣や北尾トロさんのところでも、グジャグジャになっていた。こちらは少しでも手に取りやすいように、目につきやすいようにとレイアウトしているのだが、「初日派」のディープなお客さんにとっては、そういう陳列が物理的にジャマっけなのかもしれない。古本市に行くと、上にも下にも本がギッシリ詰め込まれていて、見ているうちに疲れるし薄い本はまぎれてしまうしで、「あそこまで多くなくてもいいのになあ」といつも思うのだが、あれは、数冊抜かれてもスカスカにさせないための、プロの古本屋としての常識なのかもしれない。何事もやってみると判るコトがあるなあ。


しばらくヨコに立っていたが、客のジャマになりそうなので、外に出る。仕事場に行き、『ブックカフェものがたり』の増刷のときに直す部分のチェック。末尾のリストに、2、3ヶ所、間違いがあった。データ入稿後に、直した部分をブログで公開するコトにしよう。


2時過ぎに出て、お茶の水〈丸善〉へ。『進学レーダー』の書評の本探し。数冊と、『東京人』増刊の「杉並を楽しむ本」などを買う。「杉並を楽しむ本」は、青柳いづみこ×角田光代×川本三郎が杉並の町や文学を語る座談会を掲載。阿佐ヶ谷文士村についても触れられている。また、「阿佐ヶ谷ジャズストリート」を中心とした杉並と音楽のかかわりを取材した金丸裕子のルポは読み応えあった。それにしても、谷根千でもこの増刊ぐらいの質と量で一冊つくるのは可能なのに、そういうハナシは聞こえてこない。やっぱり新宿中央線は別格なのか。そのあと、日能研お茶の水校で打ち合わせ。来年関西学校図書館の取材に行くのである。


丸の内線に乗って銀座へ。ふたたび松坂屋古本市会場。なんだか人が少ないような気がするが、こんなものだろうか? ウチのブースは、本もCDもある程度減っている感じだが、売れていったものがナニかを思い出すことはできない。明日、スリップを見せてもらうことにしよう。ぼくも会場を一回りする。今回の古本市は、まずスペース自体がほかのデパートに比べて狭く、隣が服売り場になっている。「だからワリと一般のお客さんが流れてくるので、単価の安いものが売れやすい」というのが、日月堂佐藤さんの印象だというが、たしかに、各書店の品揃えも、そういう場所を意識したかのように、クロっぽい本が少ない。その分、古本好きにはちょっと物足りないことになるのだが……。しかし、ぼくたち賛助会員(ぼくみたいなシロートを含む)にとってはそれがかえって存在価値を示せることになるかもしれない、という気もする。ぼくが買ったのも、プロの古本屋からは、相倉久人・奥成達ほか編『山下洋輔世界』(エイプリル出版)800円、『矢作俊彦世界』(別冊・野性時代)315円の2冊だけだったが、賛助会員のシマからは、新刊の長新太カット』(トムズボックス)1200円、『写楽祭』1961年5月号と1962年6月号を各1000円と、冊数的にも金額的も多かった。


写楽祭』は北尾トロさんのところで見つけた富士フィルムの小型雑誌だが、トロさん曰く「『洋酒天国』の次はこれがくるんじゃないの?」とのこと。たしかに、表紙のコラージュ写真がすごくいいし、目次や本文のレイアウトもセンスがある。淀川長治が「8ミリコント」というのを書いてたり、血液型本で有名な能見正比古の「フォトよろず相談室」があったりと、大人の読み物雑誌というカンジだ。1962年6月号には、中原弓彦「早斬り早撃ち腕比べ」という四ページのコラムが載っている。映画における西部劇の早撃ちと時代劇抜刀の早さについて書いたもの。黒澤明椿三十郎》の対決シーンと、宍戸錠キャプションで「穴戸錠」と誤植)の早撃ちの分解写真も載っている。このコラムは、小林信彦の単行本に収録されているのだろうか?


5時すぎにでて、銀座コアの〈ブックファースト〉へ。書評の本と唐沢なをき漫画家残酷物語』(小学館)を買う。『ブックカフェものがたり』は読書のコーナーに1冊だけ棚差しされ、ほかには見当たらず。配本が少ないのだろうが、この店には、女性と生活、コーヒーカフェなど、平積みしてもらえればそこそこ動きそうなのにと思えるコーナーがけっこうあった。配本と配置に関する、版元と書店との希望度のズレをどうやって埋めればイイのだろうか。


ウチに帰り、パッケージ屋で紙モノを入れる透明袋を買う。ついでに〈古書ほうろう〉で「不忍ブックストリートMAP」を受け取る。松坂屋用である。そのとき神原さんがナニも云わなかったので知らなかったのだが、前日にほうろうの入っているマンション火事騒ぎがあったと後で知る(http://www.yanesen.net/diary/horo/)。大事なかったらしいのでヨカッタです。


自転車田端駅南口に行き、『暮しの手帖編集部のMさんとHさんと待ち合わせ。めちゃくちゃ寒い。歩いて3分のトコロにある洋食屋〈がらんす〉へ。女性が一人でやっている店で、一度に5人ぐらいしか入れないが、誰を連れて行っても満足してもらえる、ウチの近所での「鉄板」の店のひとつ。あとで旬公も来て、マッシュルームやイカのピルピルビーフシチューハンバーグシチューを食べ、ボトルでワインを飲みながら、4人でいろいろ話す。MさんもHさんも、話し上手聞き上手なので楽しい。次号で、チェコ関係の記事のコーディネーターとしてラデク・ランツが登場するらしい。ぼくが紹介したわけではなく、会社カメラマンと偶然に知り合ったのだという。二人からクリスマスプレゼントなのかお歳暮なのか、花森安治イラスト刺繍した暮しの手帖オリジナルのキッチンクロスをいただいた。〈グリーンショップ〉(暮しの手帖社の通販部門)のサイトでも注文できる(http://shop.greenshop.co.jp/)。


11時前にお開きになり、あまりの寒さに気絶しそうになりながら、自転車で帰る。すぐに布団を敷いて温まる。今日買った島本和彦『新・吼えろペン』第3巻(小学館)を読み、そのつまらなさに唖然とする。いつも新刊が出るのを心待ちにしているマンガなのに、新シリーズに入ってから、すっかりハナシがユルくなった。自分のマンガ映画化の話題を引っ張ることは構わないけど、肝心のマンガがぜんぜん面白くなくなっている。絵柄もずいぶん落ち着いちゃったし。これには困った。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051222

2005-12-21 古本市搬入のちふちがみとふなと

kawasusu2005-12-21

結局3時間ちょいしか眠れずに、フラフラ旅行用のでかいトランクをガラガラと引きずって、仕事場へ。2時半まで仕事して、早上がり。トランクを持ってタクシーに乗り、銀座松坂屋前へ。10分前集合と云ってたにもかかわらず、旬公がまた遅刻。間違えて東京駅で降りたそうだ。裏に回り、外来窓口から7階の古本市会場へ上がる。「銀座ブックバザール」のリーダーであるポラン書房さん、賛助会員(「おみせやさん」というダサい名前が付いている)のまとめ役の北尾トロさんに挨拶。われわれのシマは、北尾トロ、リコシェ、トムズボックスなど。右隣がリコシェさんで、左隣が交通資料の交文館さんだ。向かい側はEDI。


ワゴンが与えられると聞いていたのだが、こんなに大きいとは知らず(寸法だけではシロートはなかなかイメージしにくい)、並べてみるとスカスカな感じ。初日に少し売れたら、かなりみっともないコトになるなあ。急いで補充分を用意しよう。日月堂さんと少し話してから、あとは明日にして松本八郎さんと外に出る。3人で喫茶店に行き、雑談


で、「松坂屋古本フェスタ 銀座ブックバザール」は、明日22日(木)〜28日(水)まで、銀座松坂屋7階催事場で行なわれます。開店は10時半、閉店は7時半(木・金・土は8時)です。詳細はサイトhttp://www.bookbazar.jp/)をご覧下さい。ぼくと旬公は「南陀楼綾繁内澤旬子」名義で出店しています。取り扱うのは、古本(比較的最近の和書、チェコなどの洋書)、紙モノ(マッチラベル、パンフレット、貼込帖)、新刊(『ナンダロウアヤシゲな日々』サイン本と『旅先でも本』)、復刻マッチ、端布、CDなどなどです。まさに「売れるモノなら何でも売ります」という姿勢ですので、毎日商品を入れ替えていくツモリですので、たくさんお買い上げ賜りますよう。南陀楼はだいたい一日に一度は補充などのため、会場に行きます。ただし、お客様にはこちらからお声はかけませんので、ご質問などおありでしたら、メガネをかけて「田中小実昌っぽい帽子」をかぶった丸い体型の男(看板イラストに酷似)までお気軽にどうぞ。


ハチローくん、旬公と別れて、日比谷まで歩き、三田線経由で門前仲町の〈門仲天井ホール〉へ。「ふちがみとふなとカルテット」のライブビルの一番上(8階)にあるので、「天井ホール」なのかな。入ってみると、ライブハウスのようにドリンクを出さず、純粋音楽を鑑賞するホールだった。そういう会場にあわせてか、最初に渕上さんが出てきて、「今日は休憩ナシでやります」と宣言。今日みたいに一人で来ているときは、2セット制で休憩時間にヒマを持て余すより、1セットでやってくれるほうがアリガタイ。そういえば、昨日、今日は渋谷毅さんのエッセンシャル・エリントンのCD発売記念ライブがあるのだが、同じ日に2つのライブには行けない。残念。


7時過ぎに開始。渕上純子(ボーカル)、船戸博史〈ベース〉、千野秀一(ピアノ)、大熊ワタル(クラリネット、バリトンサックス)。このメンバーで[博学と無学]というアルバムがあり、ぼくが最初にふちがみとふなとを聴いたのもコレでなのだが、なんか室内楽っぽい感じがしてあまり好きになれなかった。しかし、ライブを聴いて、このカルテットはスゴイと思う。渕上さんの即興に即時にノレる瞬発力、ユーモアと演技力、そして4人の調和が頂点に達したときの迫力……。うまく表現できないけどとてもイイ。とくに、千野秀一はトボけた動作(いつもは船戸さんをイジる渕上さんが、今日は千野さんをイジっていた)なのだが、インプロビゼーションから冗談音楽っぽい演奏まで、いろいろできるヒトだ。ちなみに、千野さんのことは、坂田明の「Wha-ha-ha」などいろんなセッションでおなじみなのだが、本人を見るのは初めてかもしれない。ふちがみとふなとでぼくのいちばん好きな曲「坂をのぼる」と最近好きな曲「ヘブン」を、千野さんのピアノをフィーチャーしてやってくれて、幸せな気分になる。宣言どおり2時間たっぷりやって、9時に終わる。聴きながら、ふちがみとふなとさんに〈古書ほうろう〉でもやってもらえないかなあ、古本屋の店内で「古本屋のうた」が聴けたら最高だなあ、などと勝手に思う。いつか実現したい(って、もちろんほうろうさんがOKならのハナシっすよ)。


大江戸線上野御徒町JR御徒町。ウチに帰り、晩飯を食べたあと、松坂屋の補充分の値付けをする。本は30冊、紙モノを10点ぐらいやったら、3時になってしまった。そうだ、今日は『散歩の達人』が届いていたのだった。「本屋さんを遊ぶ!」という特集で、内容は「とり、本屋さんにゆく」(http://d.hatena.ne.jp/tori810/)でスデに紹介されている。不忍ブックストリートでは、ほうろう、オヨヨ往来堂ミルクホール武藤書店が登場。南陀楼と旬公は、なぜか富士見坂で笑っている写真が載ってます。特集以外では、オフノートの神谷さんのインタビューも掲載。


寝不足ついでに、忘れないうちに。古本市に出そうかと、買ったまま積ん読だった、橋爪紳也飛行機と想像力』(青土社)を取り出し、値段をいくらにしようかとパラパラめくったら、「森永製菓」という文字が目に入った。えっと思い、慌ててそのページを読むと、森永飛行機セール池田文痴菴が関わったことに触れられている。しかも、参考文献としてぼくが『sumus』に書いた文章を挙げてくれていた。買ってから2年近くになるのに、ゼンゼン気づかなかったよー。やっぱり本は買ったら、読む前に一通りめくってみるべきだな(なかなか実行できないけど)。橋爪さん、ありがとうございます。グーゼンだが、このあいだ〈calo〉の石川さんに云われて『ブックカフェものがたり』を橋爪さんに献本したら、すぐに丁寧なお葉書をいただいている。こういうのも、ひとつの縁なのかも。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051221

2005-12-20 会議&会議、そして値段付け

朝8時半起き。出勤前に小沢信男さん宅に寄り、栞に寄稿していただいた『ぼくの早稲田時代』を渡す。仕事場に行くと、『ブックカフェものがたり』の在庫が完全になくなってしまい、注文が受けられない状態に。まあ、在庫がない=全部売れたではなく、これから返品が戻ってくるのだが、それにしても在庫ナシで1月を回していくのは無理だ。よって、増刷するコトに決まる。こんな短期間で動きがあったのは、ぼくの編集歴でもはじめてだ。まあ、いかに売れない本ばかりつくってきたか、というコトになるのだが……。昼に神保町の新刊書店を何ヶ所か覗き、『ブックカフェものがたり』の様子を見る。〈書泉グランデ〉にはレジ前に置いてあり、ちょうどそれを手に取っている男性がいた。「買ってくれ〜」と念を送るが、戻されてしまってガッカリ。


書肆アクセス〉に寄ったら、セドローくんにバッタリ。今日まで古書会館で新宿展だというので、会場に戻るセドローくんについて行く。今回はけっこうイイ本が出ていたらしく、三日目でもその名残りがあった。時間がなくてゆっくり見られず、恩田陸『ユージニア』(角川書店)700円、『西江雅之自選紀行集』(JTB)525円、の2冊を買って、仕事場に戻る。そうだ、〈書泉ブックマート〉で東直己の新刊『ライトグッドバイ』(早川書房)も買った。ススキノ探偵シリーズの最新作。読むのが楽しみ。


3時過ぎから企画会議。すでに決定している企画について、何月に出せそうかを確認していく。ぼくが次に手がける本は4月を予定していたが、諸般の事情で繰り上げて3月に出すことに。間に合うのか。会議のあと、増刷の手配などしていると7時になった。いったんウチに帰り、先に旬公が値付けしていた松坂屋用の古本を一箱分、コンビニから発送する。定休日の〈古書ほうろう〉を借りて、来年の「不忍ブックストリートMAP」および「一箱古本市」についての会議。出席者は9人。とにかく、検討すべき項目が多すぎて、とてもすべてを決められなかったが、だいたいのスケジュールと方向性は見えてきたようだ。今回から、「谷根千ねっと」のウェブマスターである守本善徳さんウェブ関係を担当してもらうことになり、百人力を得た思い。あとが詰まっているので、強引に11時前にハナシを打ち切り、先に帰らせてもらう。


ウチに帰り、松坂屋古本市に出す本の値付け。ナニも考えずに60、70冊分の値札を書き、貼り付ける。そのあと、中古CDも60枚分の値札を書いた。一区切りついたのは3時半。あー疲れた。明日は搬入があるのだった。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051220

2005-12-19 やあ、お久しぶり

kawasusu2005-12-19

一週間あいだが開いてしまいました。先週は、麹町〈A/Z Books&Cafe〉にて『ブックカフェものがたり』刊行記念の「書店員ナイト」があり85人が集まってくれたり(12月12日)、葉山奥成達さんにインタビューに行き、鎌倉のバー〈TONOYAMA〉に連れて行ってもらったり(15日)、風邪で一日寝込んだり(16日)、東中野の〈ポレポレ〉で坂田明ジム・オルークライブを見たり(17日)といろいろありましたが、日記を書くに至らず。昨日はひたすら原稿を書いてました。


この間に読んだ、いちばんオモシロイ本、それは『江口寿史の正直日記』(河出書房新社)だ。ぼくは江口のファンであるにもかかわらず、『コミックCUE』が終わった辺りから、その動向をほとんど知らずにいた。だから、自分のサイト日記を書いていたコトも知らず、今回の本に収められた1999年2002年までの日記を読んで、ああ、こんな仕事をしていたんだと知った。それと同時に、いつまで経っても相変わらず、「描けない」「仕事やる気がない」を繰り返している「BIG E」に感心する。昔『ストップ!ひばりくん』で「白いワニが来た」とかやってた頃には、「マンガ家なのにマンガ描けないってどういうこと?」などと疑問に思っていたが、ぼくも書けない、怠け者ライターの一人となった20年後のいま、日記の記述がいちいち身にしみる。それにしてもずいぶんと「正直」な日記だよなあ。マンガ原作者K・M氏と組んだ仕事が最後まで続いたのか本では判らず、気になって気になってサイトにまでアクセスしてしまった(2003年日記はアップされていなかった)。まあ、結局落としたんだろうなあ。描きおろしのマンガ金沢日記」は、山上たつひこの復活作「中春こまわり君」のアシスタントに行ったハナシだが、コレもかなり緊迫した内容だった。

江口寿史の正直日記

江口寿史の正直日記


さて、今日は朝9時起き。この一週間、手を付けては書けずに手放していた原稿を、一気に片付ける。もっとうまく書きたかったが、60点ぐらい。もう一本書いて、どうやらヤマは越えたか。7時に西日暮里で、右文書院青柳さんと待ち合わせ。〈大栄〉に入って、できたばかりの川崎彰彦『ぼくの早稲田時代』(2700円)の見本を受け取る。ハードカバーでずっしりと重い。挟み込みの栞も24ページという、常識ハズレのページ数だ。この連載を本にしたいと、川崎さんの周囲の人たちに頼まれてから3年近く、青柳さんと出会ったおかげでようやく世に出すことができた。青柳さんと装幀の林哲夫さんに感謝したい。さて、見本はできたけど、書店への配本はホントの年末になりそう。〈書肆アクセス〉など一部の店には年内に並ぶけど、ほかは年明けになるかもしれません。見かけたら、ぜひ手にとってご覧下さい。旬公も合流して、9時過ぎまで話す。


ウチに帰ってから、松坂屋銀座バザール」に出す古本の値札を、旬公につくってもらう。明後日搬入だというのに、これから値段付けだ。果たして何冊持っていけるだろうか。どきどき。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051219

2005-12-14 知らなかったぞ、神保町〈ソラリ〉

出勤日。昼休みに神保町へ。〈高岡書店〉で、宮原照夫『実録! 少年マガジン編集者奮闘記』(講談社)を買う。なんとA5判で540ページもある。厚いなあ。〈ディスクユニオン〉では、東口トルエンズ(山本久士&戸川純)の[東口DVD]を。〈岩波ブックセンター〉で、藤田綾子大阪鶴橋物語 ごった煮商店街戦後史』(現代書館)。


八木書店古書部の隣のビルに、〈ソラリ〉という古本屋看板を発見。3階に上がる。ビルの一室だが、本棚を使わずに木箱の上に置いているので、ゆったりとした感じ。店主に訊くと、半年前からやってるそうだが、開けてない日も多いとか。美術サブカル関係の珍しい本が多い。値札の裏に、「書物とは想像力を入れる容器です」などと文句が入っていた。


『復刻「少年マガジンカラー大図解 ヴィジュアル魔術師大伴昌司世界』(講談社)1万円、『別冊まんがNO.1 赤塚不二夫大年鑑』(日本社)1500円、石井輝男福間健二石井輝男映画魂』(ワイズ出版サイン入りで3600円。この本は持っているハズだけど、読み返そうと思ったらゼンゼン見つからずに困っていた。それと、『えすとりあ』1981年創刊号(つげ義春特集)1500円。つげのインタビュー藤原マキ「私の絵日記」、田村治芳「ゲンセンカン感染源」など。また、音楽CDもなかなかいいセンス。沖山秀子[サマータイム]を買う。あの《神々の深き欲望》の女優は、1980年代ジャズポーカリストになっていたのだ。渋谷毅ほかがバッキングしている。ほかにも、ネオダダに関わった音楽家・刀根康尚の『現代芸術位相』(田畑書店)など欲しい本があったが、今日はこの程度で。気に入ったのでまた来よう。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051214

2005-12-11 「古本ジェットストリーム」オンエアしました

8時起き。今日の〈古本酒場コクテイル〉でのトークのためのメモを書く。そのため、話のネタにするための本を探したり、選んだCDでかける曲を決めたり。お客さんにどれだけ伝わるかは判らないが、こういう素材を用意している時間はけっこう楽しい。11時すぎに出て、高円寺へ。コクテイルに荷物を置いて、高円寺の古書会館へ。久しぶりだなあ。『私の読書遍歴』(かのう書房)300円、間宮達男『君も編集者にならないか』(山手書房)200円、ルイス・ブッシュ『ハバカリ先生』(文藝春秋新社)350円、など。『私の読書遍歴』は『週刊読書人』に連載されたもので、星新一小林信彦らが執筆。『ハバカリ先生』の装幀は、柳原良平。近くの店で、牛ステーキ定食を食べて、コクテイルに戻る。


すでに、今日のお相手のオヨヨ書林山崎有邦くんと、音の係りをやってくれる『ぐるり』の五十嵐さんが来ていた。さっそくマイクチェック。そして、こないだ思いついた、トーク中に携帯でブックカフェ電話して生中継するために、携帯や店の電話とマイクをくっつけてみる。店の電話ならマイクで音が拾えることが判ったが、じゃあ、今度はぼくと向こうがどう会話するかが問題になってくる。しょうがないので、開始までに各店に電話してコメントをもらうという原始的な方法に切り替える。〈火星の庭〉の前野さん、〈あうん堂〉の本多さん、〈ちょうこぼっこ〉の真治さん、突然電話したのに答えてくれて、ありがとうございます。


2時になるとボツボツお客さんが入ってくる。知り合いの顔もチラホラ。全部で15人ぐらいか。10分すぎに開始。図書館で借りてきたCDで、「ジェットストリーム」のオープニングを流す。ナレーションは城達也。ただ、この音源にはなぜか「ジェットストリーム」というセリフが入ってなくて、残念。そのあとで、「オヨちゃんとモクローくんの古本ジェットストリーム」と二人で声を合わせ、その瞬間、立花ハジメの「Replicant J.B.」([Mr.TECHIE&Miss.KIPPLE]より)を流す。ココの構成だけはつくっておいたが、あとは、その場のノリで話をつなげていく。話題は、ラジオについて、コクテイルのこと、持ってきた古本の紹介、オヨヨ書林の今後など。オヨちゃんは、打たれづよいというか、その場でけっこう意地悪なツッコミを入れても、ちゃんと返してくれるので、とてもやりやすい。合間に、それぞれが持ってきた曲をかけたが、音の傾向が違うのでオモシロかった。休憩を挟んで、2時間ほどやった。終わると4時半。お客さんが楽しんでくれたかどうかはワカラナイが、少なくともぼくはとても楽しかった。コクテイルがまた場所を貸してくれるそうなので、来年もやろうと、オヨちゃんと話す。


ホッとして、コクテイルの古本市に出ている本を眺める。大伴昌司『OH!SF映画 先駆的SF特撮映像論』(朝日ソノラマ)を見つけて、オッと思う。大伴のこんな本が1985年に出てたなんて知らなかった。特撮映画についての文章のほか、海野十三円谷英二万博についての文章も入っている。これはきわめて貴重な本だ。3200円だが、決して高くない。この本を出している店の屋号は忘れた(ローマ字の店名)が、このヒトの出品物は安くてイイものが多く、金曜日にも買っている。今日はこのあと中川五郎さんライブがあるのだが、疲れたので失礼して帰る。


ウチに帰り、一休みしてから〈古書ほうろう〉での近藤十四郎さんの店内ライブに行こうと思っていたが、ヨコになったらすぐに眠ってしまい、起きたのは8時半だった。晩飯を食べながら、日曜洋画劇場を見て、原稿は明日早起きして書くことにして、寝てしまう。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051211

2005-12-09 古書会館へ

出勤日。一仕事してから、古書会館へ。久しぶり。今日は「書窓会」。真船豊『孤独の徒歩』(新制社)500円、海野弘『遊びつづけるピーターパン』(駸々堂出版)1000円、福井昌雄『一燈園と西田天香の生活』(燈影舎)300円、新延修三『朝日新聞作家たち 新聞小 説誕生秘密』(波書房)200円、高橋義孝イエスとノーの間』(新潮社)200円、『映画芸術1980年4-6合併号(特集『ツィゴイネルワイゼン』)500円、『カイエ1979年8月号(特集『キース・ジャレット』)400円、『パンドラの匣』1978年3・4月号(牧神社)500円、を買う。『カイエ』は筒井康隆山下洋輔・相倉久人の鼎談が読みたくて。


夕方に出て、恵比寿で打ち合わせ。そのあと〈コクテイル〉へ。山口正介さんが山口瞳を語るトーク。聞き手は荻原魚雷さん。マイクを使わずに魚雷さんの声が後ろまで聴こえるワケがない(笑)

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051209

2005-12-08 強盗はいりません

朝8時半起き。旬公と近くの病院に、インフルエンザ予防接種を受けに行く。しかしドアが閉まっている。休診日でもないし、もう診察時間なのに。ベルを鳴らしても反応ないので、帰ろうとしたら、奥からおばあさんが出てくる。「開けるのを忘れてた」とのこと。そして、このおばあさん(推定年齢80歳)がこの病院の院長さんなのだった。「私は60年やってるから、注射打つのうまいですよ」とのこと。たしかに、本棚の『最新療法ハンドブック』は1983年版で止まっており、ほかの本も、古本屋で云う「クロっぽい本」と化している。注射してるときに、電話がかかってくる。「え? 三鷹で強盗!?」。何のコトかと思えば、強盗して腹部を怪我した犯人がやってくるかもしれないから、気をつけろという、荒川警察からの連絡だったのだ。老院長は「ウチは関係ないです、いりません!」とキッパリ答えてたが、いかにも世を忍ぶ人物が訪れそうな病院ではあった。


ウチに帰り、いつも通り遅れに遅れた原稿を書く。12時に終わり、カレーうどんをつくって食べる。そのあと、テレビ東京映画(なんかマヌケなSF映画だった)をBGVに、海野弘エッセイ集のゲラ(後半)を見る。目次案の段階では、各雑誌コピーで読んでいたが、こうして統一した状態で読み直すと、本のイメージが湧いてくる。ゲラとは不思議なものである。


5時半に出て、バス三ノ輪へ。久しぶりに〈遠太〉に入り、チューハイとポテサラ、アジのなめろう。30分で出て、近くの古本屋を覗く。小林信彦『おかしな男 渥美清』(新潮文庫)150円、そして、同じく小林信彦責任編集の『テレビ黄金時代』(キネマ旬報別冊)が500円であった。こないだ文春文庫に入ったのと、タイトルは同じだが、内容はまったく別。こちらはクレージーキャッツを軸に据えたテレビ史なのだった。ちょっと得した気分。


日比谷線入谷に出て、台東区中央図書館へ。いま見ているゲラで、引用文をチェックする必要があり、何冊か借り出す。ココで〈古書ほうろう〉の宮地健太郎さんと待ち合わせ、〈なってるハウス〉へ向かう。今日は渋谷毅DAYSの二日目。しかし、客は昨日よりも少なく5人。今日は潮先郁男(ギター)、鈴木道子(ボーカル)と。ギターの奏法はかなり古めかしいもので、最初なんかモッタリしているなと思ったが、聴いているうちに心地よくなる。ボーカルは歌い上げ系で、ささやき(ウィスパー系)が好きなぼくにはちょっと苦手。全体に、銀座六本木ジャズクラブにいるような雰囲気になった。ソロが終わるごとに拍手するとか、ああいう感じ。たまには悪くない。渋谷さんはお酒が入っているのかゴキゲンで、コードを間違えたり、珍しくステージ雑談していた。


自転車で帰る宮地さんと別れ、鶯谷から電車に乗って帰ると11時すぎ。それから、メルマガの準備や、何人かにメール書いているうちに2時前になってしまった。そうだ、〈bk1〉から本が届いていた。宮崎三枝子『白く染まれ ホワイトという場所と人々』(IBC)、川村年勝『あのころ』(北星堂)。2冊とも奥成達さん関係。インタビュー前に読んでおかなくちゃ。あと昨日、京都の〈三月書房〉の宍戸立夫さんから、「倉庫の奥から出てきた」というミニコミが送られてきた。『zinta』1971年創刊号と、『眼光戦線』第13号。後者はなんだかよく判らない。前者の特集は「少年考」。書き手がスゴイ。稲垣足穂高橋睦郎片山健草森紳一今野雄二加藤登紀子鈴木則文中川五郎野坂昭如田辺聖子矢崎泰久の座談、高平哲郎矢吹申彦、関谷荘一、村松友視清水哲男、林川健太郎、田吹日出碩。このナカでぼくが知らない名前はたった3人。なのに造りはいかにもミニコミ(ちゃんと活字で組んではいるが)というのがオモシロイ。どういう経緯で生まれた雑誌か、詳しいことを知りたくなった。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051208

2005-12-07 函入りの本を2冊買う

朝9時起き。寒くなってきたので、布団から出るのがつい遅くなる。神保町に出て、〈ぶらじる〉の前で右文書院の青柳さんに会う。ぶらじるはまだ開いてなかったので、〈フォリオ〉に入りモーニングセットを頼む。川崎彰彦『ぼくの早稲田時代』のカバーの色校と、表紙・扉の青焼きを見せてもらう。いい感じ。本文は明日下版とのこと。見本ができるのは20日前後か? 年末で取次が込んでいるので、書店に並ぶのはひょっとして年明けかも。まあ、〈書肆アクセス〉には年内に並ぶだろうが。


打ち合わせのあと、そのアクセスにちょっと寄る。「東京者」フェアの期間は終わったハズだが、まだ本が並んでいる。アクセス女の子神保町ポラロイドで撮った写真が、終了間近にできたというので、それを貼っていた。始まる前に撮影された、われわれ3人の写真も貼ってあった。この「東京者」フェアは、ベースになった書目を選んだのこそ3人だが、フェアの期間に入ってからもアクセスのヒトたちが選んだ東京本が加わっていて、いつ見てもオモシロイ。今日も『MOLE UNIT』10号の「特集 大西みつぐ」を見つけた。東京のあちこちを撮った写真集。どこを撮ったかのクレジットはないが、根津の〈あんぱちや〉近辺の写真もあった。ほかに、『幻燈』第6号(特集「うらたじゅんのリアリティ」)を買う。〈書泉ブックマート〉で『エルマガジン』の新しいのを買う。「本棚通信」に「エエジャナイカ」(http://d.hatena.ne.jp/akaheru/)の北村さんが、〈口笛文庫〉のコトを書いていた。


そのあと、〈三省堂書店〉に行ったら、谷沢永一『紙つぶて 自作自注最終版』(文藝春秋)があった。933ページ+索引50ページ! 国語辞書のような厚さだ。トンネル函に入っているが、これは並製の本体を保護するだけの目的のようで、ダンボール製ですぐに壊れそう。しかも、本の厚みで膨らんでしまい、容易に本体が取り出せない。レジで「研修中」の札を下げたお兄ちゃんも、スリップを抜き出すために悪戦苦闘していた。定価は5000円+税。一部の予告で3000円台になっていた(『トーハン週報』でもそうなっていた)が、それではとても引き合わなかっただろう。今日はもう一冊、鹿島茂『甦る 昭和脇役名画館』(講談社)も買う。コレも函入りだ。めっきり見かけなくなった函入りの本を、新刊で2冊も買えるとはウレシイ。ぼく自身は編集者として、復刻版以外に函入りの単行本を手がけた経験がないが、来年は一冊、函入りの本をつくってみたいものだと考えている。あと『東京人』1月号も買う。創刊20周年記念号だ。


仕事場に行き、今日も『ブックカフェものがたり』の発送作業。昼過ぎに、印刷会社から告知用のフライヤーが到着。表4色+裏1色、5000枚で1万2000円という安さ。けっこうイイ感じに仕上がっている。ポストカード大なので、ブックカフェ書店に置いてもジャマにならないハズ。会社のIさんに手伝ってもらい、7時までに120冊ほど発送。いやあ、疲れました。ブログhttp://kawasusu.exblog.jp/)も、最近は毎日更新していますので、見てやってください。


急いで竹橋に行き、東西線茅場町で乗換え、入谷へ。中華料理屋で晩飯を済ませてから、〈なってるハウス〉へ。同行するはずだった『ぐるり』の五十嵐さんは、急用で来れなかったので一人だ。今日、明日は渋谷毅DAYSということで、二日通しの予約をしてある。こんな日でも満員にならずに客は10人ほど、というのが、逆にこの店らしい。今日は渋谷毅ピアノ)、望月英明(ベース)、外山明(ドラム)に、ゲストの古澤良治郎がパーカッションで参加。外山さんの叩き方は変則的だし、古澤さんも床に座って鍋を叩いたりしてるので、うまくかみ合うかなと思ったら、前半はちょっとミスマッチな場面もあったが、後半になると変則と変則が合わさって、不思議リズムがうみ出された。二人の掛け合いもヨカッタ。外山さんをライブで見るときは、「今日はどんなヘンな叩き方するのかな?」と観察するのが楽しみなのだが、今日は(1)片手に2本ずつスティックを持って叩く、(2)スティックをスネアにはさんで指ではじく、(3)シンバルを叩きながら回す、(4)スティックの先でシンバルの溝をなぞる、などのプレイを見せてくれた。古澤さんも仙人みたいで、次はドラムが見たいと思った。4人でやる合間にはさまれる渋谷さんのソロは、いつものように、いつも以上に最高だった。


この店では今年から『なってるハウス通信』というコピーフリーペーパーを出しているんのだが、新しい号の「今月のピックアップアーティスト」は渋谷さんだ。ココで紹介されているエピソードが面白いので、勝手にいくつか転載する。


・はじめて「なってるハウス」に不破さん(南陀楼注・「渋さ知らズ」の不破大輔)とのデュオで出演したときにあきらかに渋谷さんが曲の進行を間違えていたのに、ピアノの音の説得力があまりにもあったため不破さんが間違えたように聞こえた。

・「なってるハウス」出演しはじめて間もないころ、ライブ前に客席で寝てしまっていたので起してもよいものか迷った。お客さんも起こすのが忍びなさそうでほとんど志ん生の域である。近頃は馴れたので起こせるようになった。

・やはり出演して間もないころ、ライブ終了後よく頭をかかえて「もっとピアノがうまくなりたいなあ」と言っていた。


その渋谷さんは、自身のブログhttp://blog.carco.jp/)で、「なってるハウス浅草にあります。合羽橋。場所は決していいとはいえませんが、どういうわけかぼくはここが好きで毎月やっています。ピットイン、アケタの店、グッドマン、につづいて「なってるハウス」もホームグランドになりつつあります」と書いている。その場所で、毎月のように渋谷毅を聴いているぼくは幸せ者だと思う。


渋谷毅の話題ついでに、こないだアマゾンで買った、大友良英プロデュースでさがゆきが中村八大の曲を歌う2枚組[see you in a dream]にも触れておく。このアルバムは、大友アイデアとさがゆきのダイナミックな歌、そして近藤達郎や山本精一らのメンバーもいいのだが、なんといっても、渋谷毅ピアノが素晴らしい。それと、力作のブックレットには、渋谷毅×湯浅学の長い対談が載っていて、テレビ界における渋谷さんの仕事が本人の口から語られている。


ウチに帰ったら、「松坂屋古本フェスタ 銀座ブックバザール」の目録が届いていた。南陀楼&内澤の広告も載ってます。目録希望の方は、info@bookbazar.jp までお申し込みください。


ああ、また長くなってしまった。最後に、恒例の〈海月書林 冬の古本市〉の告知を。

12月9日(金)〜13日(火)、荻窪ひなぎくにて、毎年恒例の海月書林古本市を開催いたします。お誘いあわせのうえ、ぜひお越しください。

日程:12月9日(金)〜13日(火)

時間:平日 14:00〜22:30////土日 正午〜22:30(最終日のみ21:00まで)

場所:荻窪ひなぎく 杉並区上荻1−10−3−2階(地図

電話:03−5397−2223

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051207

2005-12-06 ボケる程度に働いてます

8時半起き。出勤日。日暮里まで歩き、立ち食いで天玉うどんを食べたあと、日暮里図書館リクエストCDを受け取る。日曜日のコクテイルでのトークで使う素材である(DJっぽい?)。山手線神田に出て、歩いて仕事場へ。今日、『ブックカフェものがたり』の見本が届くので、スグに各方面に発送できるよう、住所録ソフトインストールして名簿を整理する。


2時ごろ、昼飯を食べに出たついでに、銀行へ。昨日、家賃を振り込んだのだが、払い込んだ瞬間、つい数日前にも振り込んだような気がしたのだ。通帳の記帳もしばらくやってなかったので、窓口で記帳してもらう。そしたら、なんとまあ。11月30日にすでに振り込んでいるのに、その3日後にまた振り込んでるのだ。こんな失敗は初めてだ。ボケてるなあ。


見本はなかなか届かず。右文書院の青柳さんから、「川崎さんの『ぼくの早稲田時代』のカバーの色校が出ましたよ」と連絡があり、すぐに見に行きたいのだが、動きがとれず(明日にしてもらった)。送り状をつくったり、宛名書きをして待っていると、7時過ぎにようやく到着。束見本にカバーの色校を巻いて、毎日持ち歩いているので、出来上がりのいメージが刷り込まれているが、こうして現物ができてくると、また新鮮。カバーとオビにはニス引きしてもらったが、その匂いがまだかすかにした。350部届いたので、今日は著者関係だけに送り、明日はブックカフェメディアに向けて発送することにした。


ウチに帰り、鰆のオリーブオイル焼き、ニラの味噌汁で晩飯。そのあと、P社の海野弘エッセイ集のゲラ(前半)を、原稿と引き合わせる。珍しく一生懸命働いている夫を不憫に思ったか、ヨメがこんな写真を撮ってくれた。

http://d.hatena.ne.jp/halohalo7676/20051206

背中にしょってるのは、旬公がアメリカで買ってきたプレーリードッグぬいぐるみです。


今日は、近代ナリコさんから、新刊の『本と女の子 おもいでの1960−70年代』(河出書房新社らんぷの本)をいただいた。サンリオ新書館フォア・レディース・シリーズなどを紹介したビジュアルな本。だけど、関係者インタビューや対談など、かなり深く掘り下げた内容になっているようだ。読んでからまた紹介します。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051206

2005-12-05 ミステリ映画にはクルマがよく似合う

うーむ、また3日ほど間があいてしまった。日記を書くコトに飽きたわけではなく、けっこう書いておきたいことは多いのだけど。1日書かずにいると、その1日分が気になって、当日の日記が書けなくなってしまったりする。日記に振り回されないようにしてきたツモリだが、どこかでそうなってしまっているのかも。


8時半起き。午前中は『進学レーダー』の図書館記事の原稿を書く。12時すぎに書き上げる。昼飯は、旬公のつくったパスタ(シーフードミックスとイカの塩辛乗せ)。1時半に出て、阿佐ヶ谷へ。〈阿佐谷南口駅前のふるほんや〉(これが店名)で、小関智弘『大森界隈職人往来』(朝日文庫)200円、川端要壽『昭和文学胎動 同人誌「日暦」初期ノート』(福武書店)800円、板橋区美術館『やさし恋と労働歌の街 東京の肖像1920’s』展図録800円を買う。〈ラピュタ阿佐ヶ谷〉で、福田純監督《情無用の罠》(1961)を観る。飛鳥高の『死を運ぶトラック』が原作陰謀に巻き込まれる元ヤクザトラック運転手を佐藤允が、いかにも佐藤允らしく演じる。それを見守る刑事役の中谷一郎もイイ。殺し屋田中邦衛。広瀬健次郎の音楽は軽快なジャズ。この前観た《死の十字路》といい、ミステリ映画には車が付き物だ。この種の映画でぼくがもう一度見たいのは、中平康監督《殺したのは誰だ》(1957)。あの作品で鬼気迫る表情で車を運転する西村晃を、ぜひもう一度。


終わって、南口に新しくできた古本屋〈風船舎〉へ。11月23日に通りがかったときには、まだ開いてなかった店。あの日の日記にはナゼか〈風船虫〉と書いてますが、メモの字が汚くて読み間違えたらしい……。昨日の岡崎武志さんの日記を見て、「コレは行かねば」と駆けつけたのだった。内装も自分たちでやったのだろうか。棚の一つ一つへの手の掛け方に感心する。手前は空間をゆったり、奥は適度に入り組んでいるという配置もイイ。買った本は、外の均一で、中平邦彦『棋士・その世界』(講談社文庫)100円、店内で、『ノーサイド1994年12月号(特集「黄金の読書」)300円、海野弘流行神話』(光文社文庫)250円、赤塚不二夫『いま来たこの道帰りゃんせ』(東京新聞出版局)800円、福島正実編『日本SF世界』(角川書店)600円、『ノラ』1977年7月創刊号、8月号、9月号、10月号が500円〜1000円。久しぶりに1店の合計で5000円以上使った。


日本SF世界』は福島の死の翌年に出ているが、巻末に本書に収録された作歌による「福島正実氏と私」という追悼文集が付いている。その書き手を挙げると、安部公房荒巻義雄生島治郎石川喬司石原藤夫、久野四郎(サッポロビール宣伝部)、高斎正、河野典生、小松左京田中光二筒井康隆都筑道夫豊田有恒半村良平井和正星新一眉村卓光瀬龍矢野徹山田好夫。そして、息子の加藤喬による「作家と息子」という文章が付いている。これは好資料だ。『ノラ』は「首都圏の新しい女性誌」をうたう、小型の雑誌。何冊か持っているが、揃えてみたい雑誌だ。〈風船舎〉には他にも欲しい本がかなりあったが、いま全部買ってしまうのは惜しい、という気がしてやめておく。もっとも、ぼくがいたときにも3、4人の客さんがいたので、次来たときに目をつけた本が残っているかは判らないがそれでもイイ。


ブックオフ〉を覗くがナニも買わず、中央線に乗ってウチへ。電車の中で『棋士・その世界』を読み出し、そのオモシロさにしびれる。生協で買い物して帰る。晩飯は、鶏肉とキャベツの炒め物に、昼に残ったイカの塩辛の汁をかけたものをつくってみた。意外にうまい。


〈ポラン書房〉さんから、「松坂屋古本フェスタ 銀座ブックバザール」(http://www.bookbazar.jp/index.htm)のチラシが送られてきた。12月22日(木)〜28日(水)、銀座松坂屋・7階催事場にて。プロの古本屋さんのほか、賛助会員の「古本応援隊」による「おみせやさん」を特設。といっても、なんのことやらでしょうが、要するに、オンラインの古本屋や個人が古本などを売ることのできるブースが置かれるのである。EDI北尾トロSUMUS月の輪書林(売るのは自著)、トムズボックス日本古書通信社、ポポタム、リコシェほかが参加。南陀楼&内澤も古本を出します。まだ、なんも準備してませんが。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051205

2005-12-02 恐怖のノスタルジー

午後、銀座の〈風月堂〉で枝川公一さんと待ち合わせ。企画の相談。終わったあと、閉まる直前の〈三洲屋〉でミックスフライ定食。神田駅で降りて、〈ブックファースト〉へ。このチェーンでは、渋谷店の次に気に入っている店。といっても滅多に寄らないのだけど。田中啓文『落下する緑 永見緋太郎の事件簿』(東京創元社)と奥成達・ながたはるみ『なつかしの昭和30年代図鑑』(いそっぷ社)を買う。前者はジャズマンを探偵役にしたミステリ


後者には「伊豆 昭和30年代村」会員権の募集チラシが挟み込まれていた。2008年オープン予定。一口100万円。「死ぬまで生きがいのもてる介護の村」「フリーター対策として働きがいのある村」「自然環境を取り戻す昭和30年代の村」「住人が来客して、もてなす癒しの村」などとある。ウィークリーマンションの「ツカサ」の社長みずからの企画らしい。サイトhttp://www.222.co.jp/s30vil/)には、このような文句が。

例えば、お年寄りには日がな1日縁側に座ってもらい、来園した子供達のために竹とんぼを作ってもらう。子どもたちにはベーゴマゴム段とびで遊んでもらう。公園には紙芝居のおじさんがいて、子ども達が集まっている。道路にはチンチン電車が走っている。まずは、この村に住む人を「雇う」。お年寄り定年退職をした人、身よりのない人、親から見捨てられてしまった子どもたちなどを「住人」という社員の形で雇うのだ。彼らには村に住人役として住んでもらうわけだから、当然、家賃はタダである。その代わり、「住人」たちには昭和30年代当時のままの姿、暮らし方をしてもらう。昭和30年代の日本を再現したような村を、ひとつの自治体として作り上げる。

これが私が考える「昭和30年代村計画」である。この時代は、まさに私の少年時代。そのせいか、「夕焼けの詩」を読むと懐かしさがこみ上げてきて、胸がいっぱいになる。そこで思いついた。我々の世代にとって、一番のテーマパークは、あの時代の日常生活を再現したものではないか。

キ、キモチわるい。まるで、藤子不二雄Aが描くような、グロテスクノスタルジー世界じゃないか。しかし、コレを見て「自分も住みたい」と思うヒトがけっこういそうな気がするので、もっとゲンナリする。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20051202

2005-12-01 コクテイルで古本市やります

まずはコクテイルでの古本市への参加の募集です。


昨日お知らせしたコクテイルでの「立ち飲みと、古本夕焼け市」では、12月10日(土)、11日(日)の2日間、「立ち飲み古本即売会」を行います。時間は12:00〜18:00です。以下の参加要項をお読みの上、コクテイル書房・狩野俊までお申し込みください(cocktailbook@hotmail.co.jp)。

今年の「一箱古本市」で売る楽しさを知った方、オンライン古書店を運営しているがタマにはお客さんとじかに接してみたいという方は、ぜひご参加ください。あと一週間しか時間がない(告知が遅れてすいません)ため、パーッといきおいでご応募ください!


1・最低持ち込み冊数は30冊。上限は応相談ですが100冊程度。

2・酒場のカウンターの上なので汚れる可能性あり。

3・自分の店と値段を表示した栞状の値札を作成して挟み込むこと。紛れるのを心配な方は本の後ろに軽くのりで貼ること。

4・本の搬入時間は当日の九時から11時、決められた場所に自分で並べて下さい。

5・本の搬出は11日の18時〜19時。もしくは12日の昼12時〜17時まで。

6・本に付き物の万引き等の不祥事がある可能性あり。心配な人は自分の本の前に居て下さい。ただし飲み屋なので飲み続けること。

7・参加費は無料。ただし、飲んでいってくれたら、嬉しいです。

8・売上金の精算は搬出時です。


で、日記。8時半起き。9時過ぎに出て、阿佐ヶ谷へ。〈ラピュタ阿佐ヶ谷〉のモーニングショー蔵原惟繕監督《硝子のジョニー 野獣のように見えて》(1962)。この映画での芦川いづみはスゴイと聞いていたので、ぜひ観ておきたかった。モノクロの画面を食い入るように観た。ウワサに違わぬ傑作。信じていた者に裏切られ、衰弱していく芦川の姿に涙。宍戸錠が意外に情けなく、女衒のアイ・ジョージが儲け役だった。昼飯を近くの定食屋で済ませ、またラピュタに戻って、井上梅次監督《死の十字路》(1956)を観る。縁もゆかりもない二人の死が交錯する冒頭30分がもっともオモシロく、あとはダラダラになる。ココにも芦川いづみがチョイ役で出演。


ウチに帰り、ちょっとごろ寝してから、自転車谷中コミュニティセンターへ。「戦後六十年めのメッセージ 女たちと戦争」という講座の第三回目、森まゆみさんの「六十年目にやっと聞けた わが町の空襲」という講演を聞く。『谷根千』で空襲特集を実現するまでに長い道のりがあったこと、「谷根千戦争で焼けなかった町」とよく云われるが、けっしてそうではないことなど。後者は、ぼくもヒトを案内するときに、つい云ってしまうセリフだが、焼けなかった部分が多いのはたしかとはいえ、爆撃で100人以上亡くなっているし、その爪あとも残っているという事実を忘れるわけにはいけない。話が終わった後で、出席者の70代の人たち数人が体験を生々しく語り、一同聞き入る。そのあと、森さん、山崎範子さんと〈千尋〉に行き、酒を飲みながら、ある企画について話す。うまく進むといいなあ。


本日から、アマゾンアソシエイトプログラムに参加しました。まだよくしくみが判ってないのですが、「コレはぜひ買ってほしい!」と思うものだけに、ときどきリンクを貼りますので、よろしく。