ナンダロウアヤシゲな日々

◎この日記は、ライター・編集者の南陀楼綾繁が書いています。
◎新刊『町を歩いて本のなかへ』(原書房)発売中です。
◎著書『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)、『谷根千ちいさなお店散歩』(WAVE出版)、『小説検定』(新潮文庫)、『ほんほん本の旅あるき』(産業編集センター)、『路上派遊書日記』(右文書院)、『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『老舗の流儀 戦後六十年あの本の新聞広告』(とうこう・あい監修、幻冬舎メディアコンサルティング)、編著『チェコのマッチラベル』(ピエ・ブックス)、共著『ミニコミ魂』(晶文社)。
◎ご感想・ご連絡は南陀楼綾繁 まで。
◎「不忍ブックストリートの一箱古本市」は毎年春に開催します。
詳細は不忍ブックストリート公式ホームページもしくは、しのばずくん便りをご覧ください。
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2006-09-30 根岸線で古本市へ

kawasusu2006-09-30

8時半起き。さっさと準備してとっとと出る。東京駅東海道線横浜根岸線に。港南台に着いたのは10時半頃。ちょっと迷って、山手学院に到着。今日明日は学園祭だ。入り口から食べ物屋台がやたらと並ぶ。衛生がどうとかで屋台を出させない学校も多いナカ、こんなに盛んなのはいまどき珍しいのでは? 古本市は11時からというので、おにぎりを買って休憩所で食べる。


11時に、少し離れたところにある図書館へ。もう客が群がっている。本を詰めたケースを床にじか置きしているので、ちょっと見にくい。単行本100円、文庫マンガ50円。開成に比べると、本の数が少なく、ほとんどが最近のモノだ。それでも、武藤康史編『林芙美子随筆集』(岩波文庫)、巌谷國士ヨーロッパ不思議な町』(ちくま文庫)、スティーブ・ジョーンズ、友成純一訳『鍵穴から覗いたロンドン』『恐怖の都・ロンドン』(ちくま文庫)など、50円なら掘り出し物の文庫が7冊買えた。松本零士の戦場まんがシリーズ『衝撃降下90度』(小学館)も50円とは安い。ほかはナンにも見ずに、学校から出る。前に取材のときに行った、大通りの〈こうなん〉で「こうなんソバ」を食べる。山菜を載せたあんかけ風のラーメン。けっこうウマイ。


根岸線東神奈川へ。久しぶりの反町古書会館。ほぼ2年ぶりじゃないのか? ココの2階も使った規模での古書展が好きだったのだが、その頃から1階のみになり、目録も発行しなくなったので、足が遠のいたのだ。それでも、公園の端から「古書市」ののぼりが立っているのを見ると、心が躍る。入り口の前で、古本屋さんが数人休憩していたが、その一人が肩に大きなネコを乗せていた。なんで? 会場を一回りするが、うーん、残念ながらボウズであった。京浜東北線で帰る。途中、眠ってしまい、快速なのを忘れて、田端まで行ってしまう。田端から坂をぶらぶらと下ってウチに帰る。『路上派遊書日記』を献本した奥成達さん、藤本和也さんからハガキ。藤本さんはイラストも描いてくれた(図版参照)。10/8(日)14:00〜〈よるのひるね〉で行なわれる「アックスフリマvol.3」に参加して、イラストを売るそうだ。それと、書き忘れていたが、一昨日、編集工房ノアの涸沢純平さんからもハガキをいただいている。


筑摩書房から手紙が来たので、なんだろうと思ったら、「〈狐〉山村修さんを送る会」の案内だった。日時を見ると、ナンと明日だ。明日は朝から夜までいろいろあってムリだなあ。残念。ご遺族宛に献本したので、筑摩に連絡してくださったのだろう。陰ながら、ご冥福を祈らせていただこう。


古書ほうろう〉で、「秋も一箱古本市」のポスターを受け取ろうとしたら、ナカムラ&イシイが今出たところだという。〈まある〉の前で会い、十数枚受け取る。旬公と〈結構人ミルクホール〉に行き、コーヒーを飲む。棚にあった千原ジュニア『題と解』(太田出版)という、インターネット投稿ネタの本を見ていたら、微妙なおかしさに顔がゆるむ。静かさがウリの店なので、笑い声も立てられないし、一瞬苦しかった。晩飯は、塩ジャケを焼いたのと、タケノコの味噌汁、シラス。


東京新聞の土曜朝刊に連載されていた、冨田均「坂道を歩こう」が150回で終了。3ヶ月ほどまでに同紙を購読し始めてから、愛読していた。最後は冨田氏が「喪山」と呼ぶ上野台地の北端、赤羽の稲付城跡の坂を歩く。ヨコにこの連載をまとめた『東京坂道散歩』(東京新聞出版局)の広告が。コレは買わねば。気になるのは、「120の坂を紹介」とあることで、連載の全部じゃないのだろうか? 冨田均が読みたくなり、『住所と日付のある東京風景』(新宿書房)を取り出す。


今日も朝から持ち歩いていた、小谷野敦谷崎潤一郎伝 堂々たる人生』(中央公論新社)を読了。「たまたま作家であった一人の興味深い人物である谷崎を描きたかった」(まえがき)という意図は、充分に成功していると思う。最初の妻・千代の妹であるせい子(数えで16歳)に谷崎が惚れ、彼が脚本を書いた映画《アマチュア倶楽部》に主演させた(芸名は葉山三千子)とか、谷崎のところに編集者として催促に来た作家古木鐡太郎が、千代の末妹のすゑと知り合い結婚したとか、『蓼喰ふ蟲』の連載担当者が、カフェーなどの社会現象について書いた村嶋帰之だったというような、谷崎をめぐる人間模様がじつにオモシロイ。精二以外の妹弟や、二番目の妻・丁未子のことなどは、本書ではじめて知った。もちろん、「ゴシップ風でもいいではないか」というように、谷崎本人の嗜好・性癖にも特有のねちっこさで迫っており、覗き見的な興味も充分満たされる(性的な面については、かなり大胆な推測も)。エッセイだとちょっと色気に欠ける文章(「しかし」が続けて二回も出てくるような)も、一月一月、一年一年と谷崎の生涯をたどっていく本書の構成には、むしろマッチしていて、ぐいぐいと読ませる。多くの文献を参照しているが、その何冊かを読んでみたくなった。


路上派遊書日記』、アマゾンbk1データが載りました。まだ入荷していないようで、どちらも24時間発送にはなっていませんが。書店への配本は10月2日(月)なので、並ぶのはその日以降になります。〈東京堂書店〉と〈書肆アクセス〉には、2日の午前中には確実に並びます。両店ともサイン本をご用意してあります。いちばん早く買えるのは、明日の早稲田青空古本祭と、18時から〈古本酒場コクテイル〉で行なわれる「オヨちゃんとモクローくんの古本ジェットストリーム」にて、であります。どうぞよろしくお願いします。明日に備えて、今日は早寝しよっと。


東京坂道散歩―坂道上れば昭和がみえた

東京坂道散歩―坂道上れば昭和がみえた


谷崎潤一郎伝―堂々たる人生

谷崎潤一郎伝―堂々たる人生


路上派遊書日記

路上派遊書日記

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2006-09-29 〈宝亭〉の消えた五反田西口

8時半起き。さっさと準備して、とっとと出る。久しぶりに朝イチで国会図書館へ。今日は『サンパン』の聞き書きの資料チェック。3時間ほどかけて、『問題小説』を創刊号からざっと見る。小沢さん犯罪ルポはおおかた、単行本にまとまっているが、こうして初出誌を眺めてはじめて判るコトも多い。国会所蔵の同誌1971年10月号は、表紙がたしかに10月号なのに中身は1970年8月号という不思議。表紙に「束見本」とマジック書きされているのもよくワカラン。


12時半に出て、半蔵門線神保町へ。右文書院に行き、『路上派遊書日記』の直販分にサインを入れる。100冊終えるのに2時間かかった。また半蔵門線で、今度は渋谷へ。〈ロゴスギャラリー〉で「印刷解体 vol.3」を見る。これまでの総まとめ的な展示だった。日月堂佐藤さんと立ち話。〈リブロ〉で『en-taxi』の新しい号と、小田扉団地ともお』第8巻(小学館)を買う。


山手線五反田へ。久しぶり、じつに一年近くぶりの五反田古書展だ。とくに理由はなかったのだが、なんとなく足が遠のいていた。初日だがもう夕方なので、ヒトは少なめ。どっかで見たヒトがいると思ったら、さっき別れたばかりの青柳さんじゃないですか。1階で、日本エディタスクール編『本と人と 保存版』(日本エディタースクール出版部)500円を。雑誌『EDITOR』(のち『月刊エディター・本と批評』)の巻頭随筆欄をまとめたもの。274人が並ぶ目次は壮観。編集者をはじめ出版関係者が多く登場しており、役に立ちそう。2階に上がるも、とくにナニも見つからず。


せっかく来たのだからと、西口に出てみる。以前よく行った〈宝亭〉というラーメン屋が、数年前に再開発のために閉店していた。その後どうなったかと思っていたのだ。行ってみると、新しい建物が建っていたが、飲み屋が並ぶ小路はちゃんとあった。しかし、〈宝亭〉は見当たらず。ちょっと離れたトコロに移ったのかと、周りを歩いてみるが、やっぱりナイ。あとで検索したら、なんと、板橋区常盤台に移って〈五反田宝亭〉として営業しているようだ。板橋は遠い……。


ウチに帰ると7時前。今日は一日出かけていたので、あれこれ雑用が溜まっている。『ぐるり』最新号が届く。『酒とつまみ』大竹聡さんがホッピーマラソンのことを書いている。南陀楼の連載は、ロンサム・ストリングス。『路上派遊書日記』や「秋も一箱古本市」の情報も掲載。〈月の輪書林〉から、『白岩瞳・高橋靖往復書簡集』を送っていただく。七月に亡くなった高橋さんのお母さんが、結婚前にお父さんと交わした書簡をまとめた小冊子。月の輪さんからは、さっそく『路上派遊書日記』の誤植の指摘あり。高橋さんの「高」が「はしご高」になってないことと、「李奉昌」が「李泰昌」となっていること。しまったー。旬公の『センセイの書斎』ではこの二つを校正で直したのだが、今回は気づかずにスルーしてしまった。すいません。増刷がかかれば直します。


晩飯はひき肉と卵のそぼろ炒め。旬公に散髪してもらい、明後日の「古本ジェットストリーム」で掛ける曲を選んでいたら、1時になった。小谷野敦谷崎潤一郎伝 堂々たる人生』(中央公論新社)がオモシロくて、一日で半分近く読んだ。

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2006-09-28 路上のトム・ウェイツ

昨夜眠れなかったので、今朝は寝坊。9時半に起きる。同人誌『黄色い潜水艦』のエッセイを書く。昔付き合っていたヒト(男です)を思い出して書いた。一段落したので、郵便局に振込みに行く途中、バス停のベンチに座り込んでいる中年の男がいた。ぶつぶつと云っているが、まるでトム・ウェイツみたいなダミ声で、耳に残る。郵便局から帰ってきたら、まだいた。なんだか、風貌もヒッピーっぽくて、ますます路上トム・ウェイツだ。


西村義孝氏より『ユリイカ』10月号をいただく。特集は「吉田健一 「常識」のダンディズム」。編集部から「吉田健一古書について書け」と云われたのだが、ぼくでは手に負えない、最適のヒトがいますから、と西村さんを紹介したのだった。期待通り、「古書から見る吉田健一受容の変遷」という古書データ入りの文章を寄稿している。〈上々堂〉から、先日取り置いてもらった、『感恩集 木山捷平追悼録』(永田書房)と諏訪優『田端日記』(思潮社)が届く。前者は限定300部とあってやや高めだが、ほかよりは安いし、ご子息のインタビューをするのだからと思い、エイヤっと買った。述べ94人の追悼文(一人で複数本あり)と木山宛の書簡、遺族の挨拶などがぎっしり詰まっている。


昼飯は焼きそばテレ東映画ジャスティス》(2001・米)を。ブルース・ウィリスほかが出演の、アメリカ兵の捕虜収容所舞台としたもの。まあまあ、か。「神戸古本力」アンケート回答を書いて送る。そのあと、大西信行浪花節繁昌記』(小学館)を読了。著者は正岡容の弟子。『彷書月刊』の正岡容特集も引っ張り出してくる。


谷中コミュニティーセンターの図書室に寄り、〈往来堂書店〉で『ユリイカ』臨時増刊号(特集・稲垣足穂)と『小説トリッパー』を買う。〈NOMAD〉に入り、足穂特集の扉野良人「蝙蝠飛ぶ柳の下にタルホとハルオは出逢ったのか」を読む。以前、「書評のメルマガ」でも登場した神楽坂・横寺町の〈飯塚酒場〉で出会ったかもしれない、足穂と梅崎春生のこと。扉野さんの肩書きが「『knothole』編集人」となっているが、こんな雑誌(なのか?)、初耳だ。すごく気になる。『彷書月刊』での「CABIN党」といい、扉野さんの肩書きは増殖中である。


うさぎ書林〉の芳賀さんと、オヨちゃんがやってくる。今度の「古本屋になるための1日講座」で、それぞれが何を話すかの相談。不忍通りの釜飯屋に入り、いろいろ話す。10年後、20年後までを見据えたうさぎさんと、どっこも見据えてない(けど、なんとかなってる)オヨちゃんとの対比がうまく出れば、成功だろう。

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2006-09-27 雨の日、図書館で

朝8時半起き。雨が降ったりやんだり。久しぶりに江口寿史サイトhttp://www.kotobuki-studio.com/)を見たら、2月で止まっていた日記が、何事もなかったように8月に再開していた。さすが先ちゃんは、さぼりっぷりに年季が入っている。堀切直人さんから電話。昨日、青柳さんから手渡してもらった『路上派遊書日記』を一晩で読んでしまったとのことで、感想を伝えてくれる。巻末の対談に関して「カツカレーはねえ、ワタシも好きなんですよ。よく揚がったカツのときは特にねえ」と。……そうっすか。食べ物ネタはもっと多くてもヨカッタとのこと。ほかに、構成面で厳しい意見もいただいた。堀切さんには栞文も書いてもらったので、2度読み込んでもらったワケだ。ありがたい。


雨の切れ目が見つからず、歩いて本郷図書館へ。台東区中央図書館まで借りに行かねばと思っていた『外村繁全集』が開架されており、嬉しい。ついでに、梅崎春生全集パラパラ読む。開架で主要な個人全集が揃っている図書館では、いろんな作家の文章を拾い読みしている。ウチに帰り、テレ東映画(《テロリストゲーム2》とかいうの)を観ながらゲラを読んだり、手紙を書いたり。雨がやんだので、5時すぎに自転車で出かけて、今度は荒川図書館へ。すっかり時間をくって、あわててウチに帰る。


旬公と家を出ると、途中で小沢信男さんと三重子さんに出会う。一緒に田端の〈がらんす〉へ。サラダオードブルハンバーグシチュー。相変わらずどれも旨くて、それにしては安い。小沢さんから谷中上野のハナシをいろいろ聞く。目下、『サンパン』の聞き書きのまとめに手こずっているが、そろそろ完成させないと。


早めに布団に入るも、なんとなく眠れず。何冊か本を読む。樹下太郎散歩する霊柩車」を収録した、長谷部史親・縄田一男編『日本ミステリーの一世紀』中巻(廣済堂)で、都筑道夫「小梅富士」を読んでいたら、富士講について以下のように触れていた。


この模擬登山の信仰は、昭和ひとけたのころまでつづいて、作者(わたくし)も幼時、白の行衣に提灯をさげた母親に手をひかれて、「さんげさんげ六根しょうじょう」と、となえながら、早稲田の水稲荷のお富士さまにのぼった記憶がある。小さな家ほどの築山に、つづら折の道がついていて、それを一列につながってのぼっていく人びとの提灯が、離れて見ると、仕掛花火富士山みたいだった。


先日、「早稲田古本村通信」で、水稲荷高田富士について書いたところなので、興味深い。都筑が登ったのは、現在のものではなく、移転前の水稲荷にあった高田富士である。都筑の自伝『推理作家の出来るまで』上・下(フリースタイル)に、この件が書いてないかとめくってみたが見つからず。その代わり、早稲田についての記述が多くあったので、こんどきちんと読み返してみよう。

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2006-09-26 「モクローくん通信」復活の日

朝8時起き。1年半ぶりに「モクローくん通信」をつくる。22号。テキストはすでに書いてあったのだが、パソコン+切り貼りの「半DTP」なので時間がかかるのだ。旬公をおだてたりなだめたりしてカットを描いてもらい、12時半になんとか完成。本日発送分の献本には挟み込み、定期購読してくださっている方には今週中にぼちぼち送ることに。ずっとサボっていてすみません。


昨日に続き、1時に右文書院へ。雨が激しく降っている。献本に挟み込む手紙、チラシなどをコピーし、25冊ほどサイン本をつくる。4時前までいたが、青柳さんは例によって無口だし、電話が鳴ることもほとんどないので、すごく静かでサクサク作業が進んだ。〈書肆アクセス〉に「モク通」を持っていき、神保町交差点の角にある解放出版社へ。Tさんに『路上派遊書日記』を渡す。今度出す旬公の本のデザインの参考にしたいとか。たまたま印刷所のヒトが来ており、印刷上の制約などについて聞く。出るときに部屋のドアに、旬公がへたり込んでいる写真が貼ってあるのに気づく。こないだ夜中まで入稿作業をしたときの記念だという。


そのときに、Tさんに白山通りの〈北京亭〉に連れて行ってもらったと旬公が云ったのを思い出し、久しぶりに行ってみる。やたらとおばさん、おじさんの店員の多い店。ビールの小瓶を飲みつつギョーザを食べていたら、近所の店のヒトが、「そこの〈エリカ〉が閉店した」と話していたので、思わず「いつですか?」と尋ねる。マスターが亡くなったので、最近閉めたのだという。映画珈琲時光》にもこの店とマスター(本人だよね?)が登場する。この映画については『路上派遊書日記』で触れている(文句をつけている)ので、〈エリカ〉閉店は注に入れたかったトコロだ。今年中に、そういう個所がどんどん増えてきそうだなあ。


水道橋から西日暮里へ。しばらく前に道灌山通りの立ち食いそば屋がツブレたと書いたが、同じ場所で立ち飲み屋開店準備中。同じ経営者だろうか。この通りでは、回転が速く単価が安い商売は向かないと思うのだが……。ぼくとしては50メートル以内に立ち飲み屋ができたことが嬉しい。〈古書ほうろう〉に寄り、「モク通」を手渡す。晩飯は、鶏肉とほうれん草炒め。


こないだの植草一秀痴漢事件に関して、セドローくんが、植草は「すぐに長谷川純子さんの元へ行くがいい。『週刊現代』にて好評連載中の異色体験ノンフィクション痴漢電車に乗って』ならまだいけるでしょう」と書いていた(http://d.hatena.ne.jp/sedoro/20060915)が、今週の同誌を見ると、長谷川純子のほうから植草の「犯行現場」をご訪問! 「彼を突き動かしていたのは、私も取材を通して体験した誰もが陥る可能性のある痴漢の魔だったのだ」。いいのか、こんな結論で……。一方、『エルマガジン』の「京都市左京区」特集では、表紙に小西真奈美と並んで山本善行さんが登場。今回の特集は、いつものエルマガ以上に微に入り細にわたっており、オモシロイ。こないだ扉野さんに連れて行ってもらった〈おいしい〉という食堂も出てくる。今度京都に行くときには、この号が必携だな(そのときに出てくれば)。とりあえず、この夏に下鴨神社古本市に行ったヒトは全員買うように。


10月1日(日)の「古本ジェットストリーム」は、10人ほどから予約いただいているようです。いらっしゃる予定の方は、いちおう予約してくださると助かります(http://koenji-cocktail.com/)。この日のテーマは「日記本」で、オヨちゃんとぼく、ゲスト塩山芳明さんが好きな日記本を持ち寄ることになっています。南陀楼が1998年に発行した日記ガイドミニコミ日記日和』(塩山さんへのインタビューも収録。このとき会ったのがきっかけで『レモンクラブ』に連載するようになった)も販売します。在庫がほとんどないので、5冊だけ持って行きます。

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2006-09-25 見本ができたよ

kawasusu2006-09-25

朝8時半起き。もろもろの雑用。アマゾンで注文した、細野晴臣DVD東京シャイネス]が届く。昨年の「ハイドパーク・ミュージックフェスティバル」でのライブを収録したボーナスディスク付き(初回特別版のみ)。コレで問題のライブを観ることができて、沼辺信一さんに怒られずに済む?(「ナマで見ないとダメ」と云われそうだが)。


彷書月刊』10月号も届く。特集は「いっぷく ゴールデンバット発売百年」。ココに書いている扉野良人さんや荻原魚雷さんから「タバコの特集をやる」ことは聞いていたが、ここまでゴールデンバット中心だとは思わなかった。ゴールデンバットに関しては、ぼくも、本多功『バットの手工』(日本玩具協会、昭和7)という、バット空箱を廃物利用しての工作指南書を持っていて、以前『sumus』でも短いコラムを書いている(実用本特集)。この本についてはまだ書きたいコトも多いので、特集で書かせてもらえばよかったと後悔する。原稿書いて『彷書月刊』に投稿しようかしら。第一回「古本文学大賞」(古本小説大賞改め)の第一次選考通過作品に、西村義孝「それでも探す吉田健一本と佐野繁次郎装幀本」(「繁治郎」と誤植)が入っている。西村氏は今月出る『ユリイカ』の吉田健一特集にも寄稿しているハズだ。同じ通過作品に、「吉田健一絶版文庫を集めるの記」があるところが、なんとなくこの賞らしい。伝言広告では、「秋も一箱古本市」の広告あり。古書組合主催の「古本屋になるには一日講座」の広告は、オヨちゃんの相手が北尾トロさんになっている。代打だというのが丸わかりで恥ずかしいなあ。


12時にお茶の水の右文書院へ。『路上派遊書日記』の見本を受け取る。並製だが450ページあるので、ずっしりと重い。ついに出来たかと感無量。装幀や注を含め、「ブログ編集した本」らしくない本にしたいという意図が実現されたと思う。関係者の皆さんに感謝感謝スリップにもnakabanさんのイラストを使わせてもらったので、購入前に見てください(最近スリップを抜かない書店もあるが)。とりあえず10冊受け取る。これ以上の冊数は持ち運びできない。青柳さんと〈三省堂書店〉地下の〈放心亭〉でランチ。そのあと、小川町の〈世界観ギャラリー〉で「金工・久保田一 ペーパーナイフ展」を見る。『虚無思想史研究』の発行人にして、金工の久保田さんが半年かけてつくった新作ペーパーナイフが20点ほど並ぶ。技術的なコトはよく判らないが、どれも装飾過多でなく落ち着いていい感じ。1本買ってみたいけど、机のヨコにペーパーナイフ用の皿を置くスペースがなく諦める。やっぱり優雅な趣味ですよ。久保田さんと少し話したあと、〈丸善〉へ。『進学レーダー』のIさんと待ち合わせ、図書館用品メーカー〈キハラ〉の取材。とてもオモシロく、個人的興味も満たせる取材だった。会社のヒトに、可動式の本棚がいくらで設置できるかを真剣に尋ねて、笑われる。


時間が余ったので、一度ウチに帰り、数冊にサインしハンコ(旬公がつくってくれたモクローくん消しゴムはんと、「南陀楼綾繁」の印)を押して、自転車で出る。〈カフェNOMAD〉〈オヨヨ書林〉〈往来堂書店〉〈谷根千工房〉〈古書ほうろう〉に本を配って回る。2005年は「不忍ブックストリート」開始の年であり、彼らの名前はしょっちゅう日記に出てくる。一緒に動いた仲間に最初にこの本を手渡したかったのだ。


5時半、また神保町へ。退屈男さんに会ったので、『路上派遊書日記』を一冊手渡す。今日、ちょうどセドローくんの『早稲田古本屋街』を買ったところだと云う。読み比べてみてくださいな。そのあと、〈ぶらじる〉で毎日ムックの座談会の収録があり、二次会で〈浅野屋〉に流れる。すごくオモシロイ話がいろいろあるが、ココでは書けず。ウチに帰ったら、12時前だった。本ができた安心から、ぐっすり眠れた。

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2006-09-24 なにごともなき日曜日

朝8時半起き。東京新聞書評欄で、『李箱作品集成』(作品社)を鈴木貞美書評している(http://www.tokyo-np.co.jp/book/shohyo/shohyo2006092401.html)。イ・サンは、日本統治下の朝鮮詩人で、詩にタイポグラフィーの実験を取り入れた(1937年東京で死去)。デザイナーのアン・サンス(安尚秀)さんにインタビューしたとき、アンさんの修士論文がイ・サンの研究だということで、初めてこの詩人のコトを知ったのだった。なお、同紙書評欄は来月からリニューアルし、新刊紹介コーナーのフィクション部門を仲俣暁生さんが担当することになった。


10時に出て、開成学園の文化祭へ。もちろん見るのは古本市のみ。二日目なので本が減っていた。大藪春彦絶望挑戦者』(新潮文庫)、仁木悦子殺人配線図』(角川文庫)、『ユリイカ1989年6月号(特集・久生十蘭)を買う。『ユリイカ』は1冊20円という安さ。国書刊行会全集準備中などの動きがあるので、十蘭のことはちょっと気になっていた。電車の中で、都筑道夫の「『無惨やな』について」を読む。「なにを書くか、ということしか考えない作家が、いまの日本には多いから、十蘭のように、もう一段階、どう書くかを考える作家の作品は、読みとるのに手間がかかるだろう。だからといって、わすれていいというものではない」という結び方で、都筑自身が「どう書くかを考える作家」だっただけに説得力がある。


東京駅で降りて、京橋讃岐うどん屋で朝飯。フィルムセンターで「日活アクション映画の世界」。この特集も今日が最終日だ。特集が終わってみるといつも、「もっと見ておけばヨカッタなあ」と思う。観たのは、長谷部安春監督《縄張(シマ)はもらった》(1968)。冒頭15分で急激に眠気が襲ってきて、しばらく眠ってしまった。そのせいか、いまいちノレなかった。小林旭いまいち動きが鈍いカンジだった。京橋の〈明治屋〉で、パスタトマトソースを買って帰り、《噂の東京マガジン》を見ながら食べる。いつもの日曜日。夕方までに一冊分のゲラを読む。〈古書ほうろう〉に寄ると、10月から毎週水曜日が定休となり、その代わり日祝の開店時間が11時からに早まると知らされる。そのあと、〈ときわ食堂〉でチューハイ生協で買い物して帰る。これまた、いつものコースだ。晩飯はサバのみそ煮。


森岩雄『私の藝界遍歴』(青蛙房読了。《ゴジラ》や《七人の侍》を製作した東宝プロデューサーの自伝。明治32年生まれで、少年期には落語歌舞伎新劇オペラなどに耽溺、映画評論を書いたのがきっかけで映画界に入る。外遊で見た戦前の海外映画界、円谷英二山本嘉次郎、黒澤明徳川夢声などの人物評など、興味深く読んだ。児井英生の評伝といい、映画プロデューサーに関する本は、生々しくてオモシロイ。「作詞翻訳」という章では、コロンビアレコードに頼まれてレコード作詞と訳詩をやったハナシが出てくる。自分は音楽勉強をしたことがないので、その分「風変わりな歌手仕事」が回ってきた。


最初に私が組んだのはバートン・クレーンである。クレーンは当時“ジャパン・アドバタイザー”の記者で、(略)専門は経済方面で、歌は道楽であった。クレーンはもとより日本語は堪能ではなかったが、古い、歌い馴れた故国の曲に、自分でたどたどしい日本訳をつけて得意になって歌っていたのを、コロンビアが採り上げてレコードにしてみた。それが大当たりをとった。「酒飲みは」というのがそれであった。(略)まことにもって奇想天外日本語としては支離滅裂なものである。しかし、それをクレーンさんが歌うと一層不思議な面白さが出る。これは私の訳詩ということになっているが、これはこれでこのままがいいので、私はただ名前を貸しただけで、もしこれが面白いとするなら、その名誉のいっさいはクレーンさんのものである。しかし、その後続々とクレーンさんはこしらえてくるが、なんとも奇妙すぎるものが多いので、それには多少の手を加えて、クレーン調をこわさぬ程度のものにまとめる仕事をした。そのなかには一、二枚だったが、ほんものの日本語の歌を私が書いたものもあり、大真面目にクレーンさんも歌い、なかなか出来栄えもよかったが、これは全然売れなかったようである。


今年出たCDバートン・クレーン作品集](Neach Records)には、25曲中、森岩雄作詞となっているものが16曲入っているが、この大半は「ただ名前を貸しただけ」なのだろう。解説(山田晴通)では、「ほんものの日本語の歌を私が書いたもの」は「人生ははかない」という曲かと推定されているが、たしかにこの曲の詩には、奇妙な言葉遣いやトンデモない発想は見られない。引用文中にある「酒飲みは」は、CDでは「酒がのみたい」というタイトル。この曲もふちがみとふなとカバーしてほしい(ライブではやっているかも)。


昨日、「秋も一箱古本市」のチラシの仕分け作業が行なわれ、15人ほどが参加されたそうだが、ぼくは用事があって行けず。その模様が「秋も一箱古本市2006 フォトアルバム」(http://sbs.yanesen.org/hako1/2006aki/photo.html)にアップされている。みなさん、ご苦労様です。チラシ・ポスターの配布にご協力いただける方・お店は、akimo-hitohako@adagio.ocn.ne.jp までご連絡ください。どうぞよろしく。

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2006-09-23 朝イチで文化祭にご精勤

朝8時半起き。いつもは起きてしばらくボーっとしているのだが、今日はテキパキと布団を片付ける。旬公をせきたてて、外に出る。今日、明日は隣の開成学園の文化祭なのだ。学校の塀のあたりまでヒトが並んでいる。9時にファンファーレが鳴って開場。いろんなイベントをやるようだが、一切無視して、勝手知ったる二階の渡り廊下へ。ココで古本市が行なわれているのだ。今年で30回目とのこと。単行本80円、新書50円、雑誌20円、文庫50円。昨年は文庫30円だったので、ちょっと値上げしたが、その代わり、大幅に本が入れ替わっている。一回りして、以下を買う。


文庫楳図かずお『恐怖への招待』(河出文庫)、角田喜久雄『神変白雲城』(中公文庫)、グレアムグリーン『事件の核心』(新潮文庫)、日下圭介『悪夢は三度見る』(講談社文庫)、恩田陸黒と茶の幻想』上・下(講談社文庫)など9冊。

新書日垣隆情報の「目利き」になる!』(ちくま新書)、仁木悦子『日の翳る街』(講談社ノベルス

【単行本】鹿島茂文学は別解で行こう』(白水社)、末井昭『174,140円の教訓 平成元年パチンコ77日間デスマッチ』(太田出版)、本岡類『水辺の通り魔』(角川書店)、日本放送協会編『光を掲げた人々 第四巻欧州編1』(光の友社)

雑誌】『現代詩手帖2003年4月号(特集「友部正人の世界」)

DVD】《コーザ・ノストラ》、《リオ・ブラボー


『光を掲げた人々』は子ども向けの偉人伝もの。装幀は初山滋で、発行者が岡本経一となっている。青蛙房の社主が光の友社も経営していたのか? CDDVDは1枚80円なので、つい買ってしまった。旬公も数冊買っていた。荷物を抱えて、開始30分にして学校の外へ。


パンクした自転車をよみせ通りの自転車屋まで引っ張っていき、修理の間に、ある喫茶店に入る。朝飯代わりにミックスサンドを頼むが、出来たのを見て愕然。ハムサンドと野菜サンドがいくつかずつ並んでいるのがミックスサンドだと思っていたが、ココのは厚切りのトーストサンドイッチのパンではなく)にハムと野菜がミックスされて挟んである。しかも皿の縁が割り箸が二つあって、コレは何に使うのかと思ったら、挟んだ具がこぼれたら(やたらデカイから当然そうなる)箸でつまんで食え、という思し召しなのであった。たいがいの喫茶店の食い物は大丈夫なほうだが、コレはちょっと……。もっとも、イカモノ食いの今柊ニさんは喜ぶかもしれぬ。


ブックオフ〉を覗いてから、自転車を受け取り、〈往来堂〉と〈オヨヨ書林〉に「古本ジェットストリーム」のチラシを渡しに行く。不忍通りにやたらとヒトがいると思ったら、今日はお彼岸なのだった。そのあと旬公と田端まで歩くが、入るつもりだったレストランは予約で満席。お墓参りのあとに寄るらしい。ココも満員の〈長寿庵〉(だったかな)に入り、鳥なんばんそばを食べる。


高円寺へ。今日は「中央展」。飯島正映画 テレビ 文学』(清和書院)500円、川崎長太郎『忍び草』(中央公論社)400円。後者はダブリだった。目録注文の本は外れた。〈古本酒場コクテイル〉の入り口にチラシを置く。次に三鷹へ。〈上々堂〉で「古書モクロー」の売り上げを受け取る。今回はあまり売れてないなあ。


西荻窪で降り、久しぶりに〈花鳥風月〉を覗く。びっくりするぐらい客がたくさん入っている。帳場にやってきた男が、「映画製作会社なのですが、撮影でお店を貸してもらえませんか」と頼んでいる。古本屋舞台にした青春コメディなのだとか(主演の予定なども云っていた)。喫茶店〈物豆奇〉でアイスミルクティーを飲みながら、永井健児『活動屋児井英生』(フィルムアート社)を読了。先に読んだ児井の自伝『伝・日本映画黄金時代』(文藝春秋)よりも、こっちの方が格段にオモシロイ最近映画プロデューサーに関する本に興味を持ちはじめている。


音羽館〉に行き、広瀬さんにチラシを渡す。メールで問い合わせて取り置いてもらっていた、沼辺信一編著『12インチギャラリー』(美術出版社)を受け取る。オマケして2500円にしてくれた。ほかに、安藤貞之『デザイナーの世界 その虚像と実像』(ダイヤモンド社)、竹村民郎『大正文化』(講談社現代新書)400円、『わんだ〜らんど通信』第6号(ひさうちみちお特集)300円を買う。先日、沼辺さんもおっしゃっていたが、音羽館はいつ来てもなんらかの引っ掛かりがある、本当に懐の広い店である。まだちょっと時間があるので、南側に出て〈戎〉に入る。いくつか支店があるうち、いちばん小さな店に入ったら、客が少なくて落ち着けた。焼酎を何杯か飲む。


総武線秋葉原へ。昭和通りの裏にある〈グッドマン〉というライブハウスに、ちょっと迷って到着。『ぐるり』の五十嵐さんと入り口で落ち合う。地下にある店で広い。椅子は壁際のベンチだけだが、早めに来たので座れた。マーガレットズロース主宰の「藪こぎ」というイベント。オープニングアクト(ギター弾き語り)のあと、マーガレットの三人が登場。ウクレレとカホーン、ベースの「ウクレレズロース」として数曲やる。そのあと、元「たま」石川浩司が登場。シュールというか演劇的なステージを。このヒトの笑顔には、ナニか見てはいけないような怖さがあるな。そして、最後にマーガレットズロース五十嵐さんから新作の[DODODO]を借りて聴いていて、とても気に入るとともに何曲かにモロに見られる「フィッシュマンズっぽさ」が引っかかっていた。しかし今日ライブは、新作発表以降にできた曲が中心で、どれもストレートにかっこよかった。盛り上がったとところで終わりとなったのが惜しい。次はワンマンライブを見たいもの。


ウチに帰ると、未來社から向井透史早稲田古本屋街』が届いていた。多田進の装幀で、多田順の人物版画(本を担いだセドローくんも登場)が上部にあしらわれている。戦前から戦後への早稲田古本屋街の歴史、店主への「開店まで」の聞き書き早稲田古本市青空BIG BOX)の変遷などで構成。年表やイラスト地図浅生ハルミン)、店舗一覧も入っており、とても資料性が高い本になった。しかも、どうせ文章がウマイに決まっているんだから、ヤになっちゃう。ぼくの『路上派遊書日記』も来週見本ができるので、書店に並ぶのはほぼ同時だ。『路上派〜』には向井くんも多く登場する(索引を見よ)し早稲田ネタも多いので、『早稲田古本屋街』の読者にも損はさせません。ぜひ一緒に買ってくださいませ。

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2006-09-22 遠目に見たつげ義春

朝8時半起き。自転車荒川区役所へ。健康保険料の滞納分を収める。これで脛の傷は消えたけど、収入が激減してるこの時期に◎十万円はキツイよなあ。キャッシュで払うこともあってか、窓口のヒトの腰が異様に低いのが逆に気持ち悪い。そのあと、根岸図書館に行って本とビデオを返すが、最近図書館員は貸し出しや返却の処理のたびに、かならず「ありがとうございました」って云うんだよなあ。窓口が民間委託されていて、そこでそういう風に云えと指導されているのだろうが、貸す側が借りる側に礼を云うのはなんだかヘン。だから、こっちから先に礼を云おうと心がけているが、いつも先を越されてしまう。


ウチに帰り、内澤旬子画伯が「古本ジェットストリーム3」のフライヤーをつくってくれるのを大人しく待つ。12時すぎに出来上がる。オヨちゃんと塩山さんの擬獣イラストが最高。いつものコピー屋まで走り、大急ぎで200枚コピーする。帰ってシャワーを浴びて、急いで出かける。新宿京王線に乗り換え、芦花公園へ。途中ドコかで立ち食いそばでもと思ったが見当たらず、スーパーおにぎりを買って急いで食べる。〈世田谷文学館〉の二階で、世田谷文学館友の会の講座に出席。萩原茂氏による「上林暁と『兄の左手』 井伏鱒二太宰治らとの交流」。NHK番組の上映を含めて2時間。終わって、上林の妹さんである徳廣睦子さんに挨拶する。


芦花公園から新宿、そして神保町へ。古書会館で「趣味展」。時間がないので大急ぎで一巡り。月の輪さんに用事があるという客がいて、別の古本屋が「月の輪さん、いま会議に出ているんです」と。月の輪さんと会議は、もっとも似合わないコトバである。会場で、書物展望社編『書祭 地』(書物展望社、昭和15)の函ナシを4000円で見つける。『書物展望』の100号を記念した文献資料集で、石井研堂本山桂川岡本かの子添田さつき(知道)、宮武外骨上司小剣らが寄稿。買うなら天の巻と一緒に、と以前から思っていたので迷うが、平井昌夫「図書館と便所」という文章を見つけて買う気になる。帝国図書館の「便所文藝」すなわちトイレ落書きについて考察した文。いいねえ、こういうの。国会図書館トイレには、日本最高の知性の集まる場所にして品性の低い落書きが多いと思っていたら、すでに戦前からそうだったのか。あと、『本棚の本』(アスキームック)200円。よくある書斎写真集だが、ムーンライダーズ鈴木博文の本棚が出ているのが気になって。目録注文の、『東京25時』第2巻第2号(義理人情下町フィーリング号)1800円、花森安治の「紳士栽培法」という戯文的エッセイが載っている『話』1952年11月号、1500円も当たっていた。このあと、会館の応接室で、石神井書林・内堀弘さんの取材。こんど、組合広報部長になったのだ。その初仕事として企画した、10月9日の「古本屋になるための1日講座」だが、組合メールマガジンを発行する前にいくつかのブログメルマガで掲載しただけで100人以上の申し込みが来たという。それはイイのだが、出席者名簿を見せてもらうと、岡崎武志さんや一箱古本市常連さんなど、「いまさら1日講座でもないだろう」的な方々が多く、そういう聴衆を前にオヨヨ&モクローコンビが何を話せばいいのやら。だんだん不安になってきたな。


取材でハナシが白熱したので、7時すぎてしまった。急いで〈アミ〉の地下へ。『嵐電 RANDEN』(北冬書房)を出したうらたじゅんさんの記念会。『貸本マンガ史研究』の方々を中心に、20人ほどが集まる。その中には、な、な、ナンと、つげ義春さんと息子さん(正助さん)もいらっしゃる。事前にそのコトをうらたさんから教えてもらい、もしか、コトバを交わす機会があれば、つげさんのマンガおばけ煙突」のモデルとなった南千住の千住火力発電所のコトでも聞こうかなと思い、「タワー 内藤多仲と三塔物語」展の図録まで持って行ったのだが、じっさいには話しかけられそうにもなく、遠目に見るだけに終わった。もっぱら、桂牧さんとアクセスの畠中さんと話しているうちにお開きに。二次会は遠慮して先に出る。うらたさん、おめでとうございます。


帰ると、〈古書日月堂〉(http://www.nichigetu-do.com/)さんから「印刷解体 Vol.3 LAST!」のDMが届いている。活版刷り。「コレデオシマイ」という副題が付いている。


印刷解体 Vol.3 LAST!

会 場 LOGOS GALLERY 渋谷パルコ パート1 / B1

期 間 2006.09.29 (fri) - 2006.10.16 (mon) ※会期中無休

10:00am - 9:00pm ※最終日は3:00pmにて閉店

入場料 無料

お問合せ 03-3496-1287(ロゴスギャラリー

企画 : 株式会社パルコ日月堂

昨年、一昨年とロゴスギャラリーで開催し、好評を博した「印刷解体」を今年も開催いたします。三度目となる本年は、これまで最もお客様のご要望の高かった活字のバラ売りに徹し、とくに稀少性が高く、入手を希望される方の多い「欧文活字」について各種書体・サイズを揃え、これまでにない規模で放出いたします。また、「和文活字」も文字の種類が揃っている初!放出品を多数ご用意いたしました。さらに、昨年、予約段階で定員に達した活版印刷による名刺ルオーダー受注会も引き続き開催いたします。


失われつつある活版印刷について、活版印刷にまつわるモノを通してその魅力を伝えられないかという目的も、一定の成果を収めたものと考え、「印刷解体」も今年で一区切りすることとなりました。活字を見て触れて自由に選び、一本からでも買える貴重な機会も、これが最後となります。

■ 販売物(予定)

日本の文字印刷を支えてきた「活版活字」を中心に、活版印刷に関わるモノを販売いたします。本年度は特に、今では貴重になった各種欧文書体や正楷書体の活字など、初放出品を多数用意いたしました。

そのほか印刷とグラフィックデザインタイポグラフィーに関わる書籍雑誌や、印刷技術の変遷を伝えるような紙モノも販売いたします。

また、昨年ご要望の多かった名刺のフルオーダー受注会は回数を増やし、今年も開催いたします。



ほかに、『週刊読書人』9月29日号も到着。南陀楼が、青木茂『書痴、戦時下の美術書を読む』(平凡社)の書評を書いている。また、橋爪節也さんより、先日紹介した『新菜箸本撰』の創刊号と第2号が送られてくる。「創刊号に同封しました箸袋は『新菜箸』にちなんだしおり(記念品)です。自分たちでハンコをそのたびおして、袋詰めしますので大量にできませんが、宮武外骨か、大阪趣味人三好米吉ほか)にならってみたいという趣向です」とのこと。また、橋爪さんは学生時代に、東日暮里の羽二重団子の上に四年間お住まいだったそうだ。


そういえば、今日の夕方、今柊二さんから「神保町古本屋が摘発されたらしいけどナニか知ってる?」という電話がかかってきていた。こういうハナシをするときの今さんの声は、じつに嬉しそう。古書展の帳場でも、その件についてらしい会話が交わされていた。ウチに帰って「東京新聞」夕刊を見ると、たしかに出ていた。「神田古書店を一斉摘発 わいせつ本970冊押収」(http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006092201000248.html)。「摘発されたのは、神田神保町の『トキ書店』や『荒魂書店』の経営者ら」だという。両店とも、すずらん通りにある店だ。しまった、さっき畠中さんに聞いておけばよかった! と悔やむ。けっきょくオレも物見高いのか。


堀内恭さんより「入谷コピー文庫」の新刊が届く。桂浜吉『そ・し・て……未亡人読本 曼珠沙華篇』だ。今回は、力道山ジャイアント馬場、蔵間、出門英、牧野茂藤田敏八川口浩未亡人が書いた本が登場。

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2006-09-21 〈ライオン〉で1時間の静寂を

朝8時起き。仕事メールを書いてから、神保町へ。〈さぼうる〉でTさんと、神保町ムックの打ち合わせ。そのあと、〈岩波ブックセンター〉の柴田信さんの取材。〈ランチョン〉で食事しながら、話を聞く。「神田神保町再生プロジェクト」(http://blog.so-net.ne.jp/s_shin/)のコトを聞こうと思ったのだが、柴田さんのほうからもっと大きな、神保町活性化の動きを伝えられる。意外なニュースだった。〈岩波ブックセンター〉では、山野博史『人恋しくて本好きに』(五月書房)を買う。表紙イラストいしいひさいち関西大学図書館長の著書にいしいひさいちとは、ちょっと面白い組み合わせだが、その理由は中を読むと判る。


半蔵門線渋谷へ。百軒店の名曲喫茶ライオン〉に入る。このところ、この店の前をよく通っていたのだが、入るヒマがなかった。せめて1時間の余裕を持って入りたい店だ。相変わらず、男性の一人客ばかりで、音楽のほかには物音一つ聞こえない。今日ピアノ曲ばかり流していたので、よけい静かに感じられる。携帯マナーモードにしておいてさえ、着信がはばかられるほどだ。めったに得られない静寂の中で、図書館で借りた、神林広恵『噂の女』(幻冬舎)を読む。『噂の眞相』の編集デスクの手記。岡留編集長がやたらに量産している薄味の本に比べて、こっちのほうが文章もウマイし、オモシロイ


シネマヴェーラ渋谷〉へ。「妄執、異形の人々 Mondo Cinemaverique」特集もいよいよ大詰め。ぼくが観るのは今日で最後だ。まず、伊藤俊也監督犬神の悪霊(たたり)》(1977)。九州山村の祠を壊したために、犬神のたたりが人々を襲う。コレだけだったら、ふつうのホラーとして楽しめるのだが、問題は、たたりを「犬神筋」の一家によるものとしていることだ。狐憑きや犬神憑きは特定の家系に受け継がれるという迷信があり、長年差別の対象になってきた。いや、いまでも差別感情が残っている地域は多い。ぼくの生まれた出雲地方もそうだ。この映画は、「犬神筋」とされている一家を被害者としながら、結局は「犬神筋」とたたりをストレートに結び付けている。これはやっぱりマズイだろう。だからといってこの映画を封印せよ、などと叫ぶつもりはナイのだが、上映のしかたには留意すべきだと思う。もう一本の、谷啓主演・坪島孝監督《奇々怪々 俺は誰だ?》(1969)は、奇抜なプロットが空回りしており、つまらなかった。


ウチに帰り、久しぶりにまともな晩飯(鶏肉、高野豆腐まいたけの炒め)をつくって食べる。広島の〈アカデミイ書店〉から川和孝『撮影所 映画のできるまで』(現代教養文庫)800円が届く。先日、名古屋の某校の図書館の取材のとき、書庫でこの本を見つけて欲しくなった。タイトル通り、企画から撮影、上映までの映画製作の流れを解説したものだが、大量に入っている写真がじつに味がある。序文は椎名麟三。ビデオで、ティム・バートン監督《シザー・ハンズ》(1990・米)を再見。ティム・バートンの独自の世界のつくり方はやはりスゴイ。不忍通りの〈ジョナサン〉で「秋も一箱古本市」のナカムラ・イシイのコンビと会合。店主の募集、最終日の今夜、50箱が揃ったそうだ。よかったよかった。今週末にはチラシができますので、「ウチで置いてあげる」あるいは「私が配ってあげる」というステキな方は、ナカムラちゃんまでメールされたし(kayokov.n@adagio.ocn.ne.jp)。


そのまま自転車で、上野の〈TSUTAYA〉へ。ビデオを返却し、新刊コーナーを覗いたら、小峰元アルキメデスは手を汚さない』(講談社文庫)が、新しいカバーで、新しい解説をつけて復刊されていた。この一年ほど、中学のときに愛読した小峰元の「青春推理」を読み直しており、『路上派遊書日記』の注にも小峰元の項目がある。もうちょっと文庫を早く出してくれたら、注で復刊のコトに触れられたのだが。それにしても、和田誠のあのカバーが変更とは、さすがに耐用年数が過ぎてしまったのだろうか。感慨深い。

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2006-09-20 『汚れた土地』を手にして

朝8時半起き。「早稲田古本村通信」の原稿を書く。〈一誠堂〉から先日の「映画演劇目録」で注文した本が届く。田中小実昌『小実昌のかぶりつき放浪記』(日本文芸社)2000円、永井健児『活動屋児井英生』(フィルムアート社)2000円、そして、中原弓彦『汚れた土地』(講談社)4500円。『汚れた土地』は、オヨちゃん曰く「小林信彦中原弓彦)でもっとも古書価が高い」というもので、函・帯つきを◎万円で売ったコトがあるという。「日本古本屋」で検索しても、某店が献呈・署名入りの同書をナンと7万8000円で出している。だから、半信半疑で注文したが、在庫があったのだった。届いた本を見ると、帯はなかったが函付きであった。函の裏には山本健吉と北杜夫の推薦文が印刷されている。古本の値段は需要と供給で決まるので、4500円で高いと思う人もいれば、7万円出してもほしいという人もいるだろう。中原弓彦名義の長篇は『虚栄の市』(これは読んでいる)とこの作品だけで、一度も文庫化されていない(次作『冬の神話』は中原時代に執筆されたが、刊行時には小林信彦名義だったはず)コトを思えば、ぼくにとっては少なくとも4500円分の価値はある。ほかに、名古屋古本屋から、『海野弘の街あるき館さがし』(毎日ムック)1200円が到着。


そのあと、『COMIC Mate』の書評を書く。今回は嵐山光三郎昭和出版残侠伝』(筑摩書房)だが、参考に読んだ奇著、大原緑峯平凡社における失敗の研究』『平凡社における人間研究』(いずれも、ぱる出版)にずいぶん寄り道してしまった。一段落したので、旬公と不忍通りのつけ麺屋に行く。外に券売機があり、食券を買って並ぶという、あまり好きではないタイプの店だが、つけ麺はウマかった。郵便局で振込みして、ウチに帰る。


4時半、神保町へ。〈書肆アクセス〉で右文書院青柳さんと待ち合わせ、〈ぶらじる〉へ(最近このパターンが多いな)。いくつか相談する。〈高岡書店〉で、『映画秘宝』、久米田康治さよなら絶望先生』第5巻(講談社)、『リュウ』を買う。『リュウ』は1980年代マンガ雑誌の復刊。吾妻ひでおの「不条理日記」が連載で。都営新宿線新宿三丁目へ。久しぶりに〈ジュンク堂書店〉に行くが、ナニも買わず。


紀伊國屋書店〉で『ぐるり』の五十嵐さんと会う。新宿三丁目ビルの地下にある〈鼎〉で、一時間ほど飲み、〈ピットイン〉へ。すでに開場していたが、客席はガラガラステージ真正面に座れた。今日渋谷毅オーケストラ。いつものメンバー青木タイセイtb)が加わり、フロントは5管体制に。広いライブハウスなだけに、前回の〈アケタの店〉でのド迫力は、最初のうちは感じなかった。でも1セット目の最後の曲から2セット目にかけて盛り上がり、最後は満足。古澤良治郎のドラムが、このバンドの要だよなあ。飛び入り参加イズミなんとかという若いギタリストメンバーの誰かの弟子か?)も、臆せずに頑張っていた。ラストに、渋谷さんのピアノソロ峰厚介テナーが参加し、おしまい五十嵐さんと別れて、ウチに着いたのは12時前。

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2006-09-19 アキラと和也

朝8時半起き。『現代用語の基礎知識』の原稿を書く。テーマは「ガンダム」ではなく、「古本」。メインのほうではなく、おまけ的なテーマを集めた部分に入るので、短いコラムのつもりで書く。「タテキン」「ミスコショ」などが出てくる用語辞典というのは、ちょっと変わっているだろう。


2時頃に書き終えて、神保町へ。4時から〈FOLIO〉で、沼辺信一さんに『彷書月刊』の取材。ブログ「私たちは20世紀に生まれた」(http://numabe.exblog.jp/)についてお話を伺う。沼辺さんは細野晴臣のファンで、昨年の「ハイドパーク・ミュージックフェスティバル」で、ぼくが大雨のために最後まで観ずに帰ったコトに対して、「根性が足りん」とお叱りを受ける。その他いろいろ盛り上がり、閉店の6時になった。


半蔵門線三越前へ。銀座線に乗り換えて京橋フィルムセンターで、江崎実生監督《女の警察》(1969)を観る。小林旭主演。アキラが全編スーツを着ているなど、全体にオトナの雰囲気で、「日活アクション」のイメージとはちょっと違った。女の股に手を突っ込む加藤嘉ゲスト出演でセリフ棒読み梶山季之山口瞳ステキ銀座線三越前に出て、〈TSUTAYA〉でビデオを借りて帰ってくる。


以前、堀切直人さんに勧められた、中川八洋福田和也と《魔の思想》 日本呪詛ポストモダン)のテロル文藝』(清流出版)を読了タイトルもスゴイが中身はもっとスゴイ。第二章の冒頭で、「福田和也(以下「和也」)」とあり、その後、呼び方をずっと「和也」で通している。なにゆえ、下の名前で……? 和也以外にも、保田與重郎磯崎新浅田彰らが槍玉に。「なお、宮崎哲弥のような、国家という首を喪失した胴体だけの動物に似た、共同体主義者(コミュニタリアン)系のアナーキズムは、米国社会の最下層の人々にときたま散見される」など、決め付け方が芸になっている。主張には賛同しないが、一気に読ませる本ではあった。

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2006-09-18 尾久図書館から〈浅草新劇場〉へ

朝8時半起き。まだ空はうす曇り。雨が降るかもと思いながら、自転車で出かける。尾久橋通り、今度できる舎人線の下を走る。明治通りを越えて、熊野前商店街を抜けて、都電通りへ。都電宮ノ前駅の近くの尾久図書館へ。ココに所蔵されている本をリクエストしたので、受け取りに来たのだ。初めて来るが、建物といい天井の低い館内といい、ああ、昔の図書館ってこんなカンジだったよなあと懐かしく思う。1階は文芸書と閲覧席、2階が専門書。荒川区の分担収集の方針なのだろうが、この図書館には1960〜70年代の古い本がやたら目につく。最近の公共図書館にはこの時期の本はあまり置かれてないので、かえって新鮮。館内にいるのはほとんどが老人で、この図書館の蔵書とマッチしている。閲覧席で雑誌新聞を読み、リクエストの本を受け取って出る。気に入ったのでまた来よう。これで荒川区図書館南千住荒川日暮里町屋尾久)は制覇した。次は台東区文京区を制覇したい。


都電通りに出ると、すぐ近くが小台駅。そこから田端新町に向かって走る。すいすい進んで11時過ぎにはウチに帰る。仕事の連絡をして、12時半ごろ、また自転車で出かける。今度は入谷台東区中央図書館に寄る。


1時半、浅草六区の〈浅草新劇場〉へ。浅草映画館はいまは亡き〈浅草東宝〉のオールナイトしか来ていないが、田沢竜次東京名画座グラフィティ』(平凡社新書)で、「浅草映画館の特徴は、戦前からの建物が多いせいか、三番館とはいえ天井は高く、二階席もあり、スクリーンとの距離もゆったりしている」とあり、行きたくなったのだ。


場内に入ると、前の回が上映中で二階に上がる。ロビー椅子が多く、テレビ競馬中継をやっている。休憩時間になり、二階席へ。通路の前の席に座る。たしかにゆったりしている。平日の昼間なのに、けっこう人が多い。牛原陽一監督《男なら夢をみろ》(1959)が始まったが、端のほうに立っていたり、やたらと通路をうろうろする男が何人かいる。スリかなあ、気をつけなきゃなとカバンを抱えるが、ふと一列前を見ると、ほかの列に比べてこの列だけやたらと人口密度が多い。目の前には男が二人並んで座っている。そのうち、片方の男のアタマが隣の男のほうに下がって行って……。それで、やっとココがいわゆる「ハッテン場」なのだと気づいた。映画石原裕次郎ものとしては、なかなかオモシロかったが、前で親密な交際が「発展中」なので、どうも気が散る。そのうち片方が立ち上がり、スクリーンに尻を向けてズボンのチャックを直している。その背後では、芦川いづみ裕次郎の切ないシーンが。いやあ、参った。


そのあとも、通路を女装のオカマが通ったり、目的は不明だがぼくの隣に男が座ったりと、なかなかスリリング。あとで、ハッテン場に詳しいサイトを見てみると、この映画館は「中年・年配者が多く集まるので有名な発展映画館」で、「週末の午後から夜に女装者もいる」そうだ。さらに「お盛んな場所=後部の立ち見スペースやロビー」とあった。


で、次の回には1階に降りて、五社英雄監督《十手舞》(1986)を観る。時代劇なのに、石原真理子新体操リボン踊りや、夏木マリダンスするシーンがやたら挿入される珍作だった。悪徳侍の竹中直人がいちばんウケていた。2本観て疲れたので、もう一本は観ずに出る。


ひさご通りに行ってみると、琉球料理〈乙姫〉という看板が。大川渉ほか『下町酒場巡礼』(ちくま文庫)に「店構えは骨董品のように古く、そのまま戦後闇市一場面として映画ロケに使えるぐらいだ」とある店。ただ、外も中も新しく、同名の別に店に入ったのかと思う。40代ぐらいのマスターに聞くと、40年前からやっているが、代替わりして改装したそうだ。同書には、店のおばあちゃんが「息子が店を引き継ぎたいと言ったけれど、この値段でやれるかと問い詰めたらあきらめた」と云う記述があるが、このマスターが息子なのかは聞かなかった。オリオンビール泡盛を飲み、ミミガー沖縄そばを食べる。ウマイ。客がいなくてヒマなのか、マスターがやたらと話しかけてくるのには困ったが。


そのまま自転車で走っていると、吉原に出た。適当なところで曲がり、三ノ輪からいつもの道を通って帰ってくる。 いつも以上にタイムスリップ感の強いお出かけだった。

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2006-09-17 図書館めぐりのあと、神輿に追いつけず

8時半起き。自転車で出かける。荒川区役所近くの〈珈琲館〉で、トーストコーヒー南千住図書館でちょっと調べもの。いろいろオモシロイことが判ってきた。リクエストの本を受け取り、一階の郷土資料室に寄ると、新着資料の棚に、『南千住コツ通りの一口話』というB5判の冊子が目についた。東京新聞南千住専売所が発行していた新聞折込誌に連載されていたコラムをまとめたもので、著者は〈仙成食堂〉という定食屋の主人・杉山六郎氏。コツ通りの名前の由来から、南千住にあった映画館遊郭学校銭湯交番などの歴史を書いている。「ふれ太鼓と縁日の夜店」の項では、エンテツさんが追っている「文化フライ」も登場する。以下、その部分を引用する。


フライ屋」30〜40代の人に聞きましたら、天王さま【南陀楼注・素盞雄神社のこと】の縁日やおとり様の縁日では「文化フライ」と云っていたそうです。戦前のものは私の記憶では、つみれのようなもの(角ばっている)に串をさし、どろっと練ったウドン粉にパン粉をつけて油で揚げたアツアツのものをウスターソースにつけこんで食べる。うまいのなんの、コツ通りのちょうちん屋(大島屋)の先代にお聞きしたらレバーだとおっしゃいましたが、やはりそのうまさは忘れられないと云っていました。昨年の天王さまのお祭の夜店でテキヤのお兄さんにお聞きしたら、今は千住の勝専寺(赤門寺)のおえんまさまのご開帳の時、1月15・16日に出る縁日でその「文化フライ」が売られていると云うことでした。来年には行って試食してみたいと思います。


このコラムを読んだ読者から、文化フライは「汐入銀座」でも売っていた、という証言が寄せられている。その他、いろいろな発見がありそうなので、発行元に同書の頒布を頼んでみることにした。そのあと、根岸図書館日暮里図書館に寄って帰宅。調べているコトの手がかりがつかめると、帰りの自転車楽しい


昼飯に焼きそばを食べつつ、《噂の東京マガジン》を見て、さて、根津神社のお神輿でも見るかなと、旬公と外へ。昨日の混雑を思い出して徒歩で出かけるが、道灌山下まで来たら、すでに神輿は通り過ぎたあとだった。そのまま不忍通り根津神社まで行くが、追いつけず。境内に入り、参拝だけしようかと思ったら、賽銭箱の前に人が並んでいるので諦める。裏通りで町会が出店を出していたから、そこでビール飲もうと思ったが、なぜか見つからず。旬公と別れてウチに帰る。今日はこのあと、もう一度図書館に行くつもりだったが、自転車に乗ろうとしたら雨が降ってきたのでヤメて、ウチで児井英生『伝・日本映画黄金時代』(文藝春秋)を読む。日活小林旭などのヒット映画を製作した、独立プロデューサーの自伝。昨日観た《有難や節 あヽ有難や有難や》(1961)もこの人の製作。多少自慢話も混じるが、《西鶴一代女》で溝口健二ワガママに振り回されたハナシなど、面白い絵エピソード多し。


晩飯は昨日のおでんに具を足して、あと、サンマを焼いて食べる。「まぼろしチャンネル」の「帝都逍遙蕩尽日録」を書く。その途中、あるサイト経由で、「彦龍の憲彦さん」(http://blog.livedoor.jp/japaneasy/)というブログを発見し、驚愕する。〈彦龍〉は千駄木にある「まずいラーメン屋」として知られる店で、そこのオヤジはテレビに何度も出ている。一度見たら忘れられない「イイ顔」だ。地元であそこでラーメンを食べたというヒトはめったにおらず、なんとなくアンタッチャブルな雰囲気があった。このブログは、その〈彦龍〉の主人にいろんな質問をし、その答えを掲載するもの。常連客がやっているようだ。どうしてこんな企画を思いついたのかはワカラナイが、投げやりな回答が人柄にハマりすぎ。素晴らしい。今度、一箱古本市に関する質問でもしてみるか。地元だし。

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2006-09-16 映画も根津神社もお祭だ

昨夜は暑いような寒いようなカンジで寝にくかった。そこで、尾崎一雄『ぼうふら横丁』(池田書店、1953)を引っ張り出してきて、読む。先日、9月の「趣味古書展」の目録を見ていたら、A書店がこの作品の草稿(ペン書四百字詰四十六枚完)を50万円で出していた。一方、昨日届いた『日本古書通信』の目録には、M書店が「第二部(一)〜(四)まで完」(ペン書四百字詰六十二枚完)を68万で出している。この作品は、尾崎昭和12年から下曽我実家に戻る19年まで丸7年住んでいた、下谷区上野桜木町20番地の「ぼうふら横丁」での生活を描いたもの。だいぶ前に買っていたが、読むのは初めて。だいたいの地理の見当がつくこともあって、面白く読んだ。この作品は第五部まであるのだが、草稿は各部ごとに分けられて市場に出たのだろうか? 第三部から五部までの草稿のゆくえが気になるトコロだ。ちなみに、神奈川近代文学館の『尾崎一雄文庫目録』を見ると、同文庫に所蔵されている原稿昭和30年代以降が中心で、戦前のモノはほとんど入っていない。コレにはちょっとビックリした。


そういうワケで、やや寝不足気味ながら8時半起き。雑炊で朝飯。ちょっと雑用してから出かける。神保町に出て、東京古書会館で紙魚展。通常の古書展に来るのは、ホントに久しぶりだ。嚢中1850円しかなく、この額に達したら打ち止めといい聞かせて、回り始める。スグに大西信行正岡容 このふしぎな人』(文藝春秋)1500円を見つけ、あと350円の本しか買えなくなる。そうなると心安らかに、「ああ、この本は500円だからダメだ」などとアキラメがつく。そうやって何冊かスルーしたあとで、八木義徳『間違えた誕生日』(花曜社)函ナシ500円、上林暁『草餅』(筑摩書房)1000円を見つける。どちらも欲しかったエッセイ集で、値段も安い。たちまち、心がざわめき、金を下ろしに行くことに決めて、さっき棚に戻した本を集めて回る。岩野喜久代『大正・三輪浄閑寺』(青蛙房)500円、石田郁夫『はみだした殺人者 当世犯罪巷談』(三一書房)500円、中河与一『文藝不断帖』(人文書院、昭和11)800円。帳場に本を預けて、会館の隣の郵便局で金を下ろし、すぐに戻って精算。本を入れたビニール袋がずっしり重い。なんだか久しぶりに「古書展で買った」という実感がある。


書肆アクセス〉で右文書院青柳さんからチラシの追加を受け取る。先日触れた『新菜箸本撰』創刊号、第2号が入荷していたのでそれと、「神楽坂と本」を特集する『神楽坂まちの手帖』第14号、能馬義弘『福岡博多映画百年』(今村書店サンクリエイト)を購入。『福岡博多映画百年』は11月に福岡に行くので、その予習なり。


半蔵門線三越前に出て、銀座線に乗り換え、京橋へ。銀座方向に戻り、〈三州屋〉に入る。といっても、いつもの並木通りの店ではなく、銀座一丁目に近いほうの店だ。並木通り店に比べてこぢんまりとしており、カウンターもない。あと、ココは鳥豆腐が付く定食がなくすべて味噌汁だ。フライ定食を頼み、定食の御新香をつまみビールを飲む。ああ、イイ心持ちだ。鮭、ホタテ、エビフライも、赤だしの味噌汁もウマかった。京橋に戻り、〈INAXギャラリー〉で「タワー 内藤多仲と三塔物語」を見る。東京タワー名古屋タワー、通天閣(二代目)の構造設計を行なった人物にスポットを当てた展覧会通天閣の関係者からのメッセージに、「ちょっと前にできた名古屋タワーに負けたくないので、内藤先生に頼んで一階増やしてもらった」とあるのが、大阪っぽくて笑えた。あと、図録では読み飛ばしていたが、内藤は千住火力発電所大正14)の構造設計も行なっていたのだ。四本の煙突が見る角度によって、本数が変わって見えることから「おばけ煙突」と呼ばれたもの。コレをモデルつげ義春が「おばけ煙突」という漫画を描いている。


フィルムセンターで、「日活アクション映画の世界」。今日西河克己監督《有難や節 あヽ有難や有難や》(1961)。67分しかないので、ハナシの進みが速い速い。それで充分、本筋と脇筋とくすぐりを入れているのだから、西河克己の手腕はたいしたものだ。浜口庫之助音楽脚本担当)が昭和天皇を思わせる姿で、なぜかトラクターに乗って登場する唐突さがスゴイ。やくざの下っ端が高品格かまやつひろしで、高品がキャバレーで踊っているシーンに失笑。ラスト豊川稲荷祭りで、守屋浩「有難や節」に合わせて数百人が踊り狂う一大モブシーン。この時期の日本映画って、ハデだったんだよなあ。〈八重洲ブックセンター〉で、田口久美子『書店繁盛記』(ポプラ社)を買ってウチに帰る。


夕方、旬公と喫茶店に行こうと出かけるも、千駄木から根津方面は、根津神社のお祭で人出がすごく、〈ブーザンゴ〉も〈結構人ミルクホール〉も満員。やむなく帰ってくる。不忍通りを一本入ると、あちこちの家のガレージや集会所で、飲み会が始まっていた。さっきの「有難や節」を思い出す。この騒ぎは明日も続くだろう。


筑摩書房から、塩山芳明『出版業界最底辺日記』(ちくま文庫)の第二刷が届く。訂正は最小限にとどめてある。ちょっとタイミングがずれた感じですが、品切れで文句を云っていた書店さん、ご注文をお願いします。


「ブックオカ」のけやき通り一箱古本市が、店主の募集を開始(http://www.bookuoka.com/form/hitohako.html)。募集数は100箱。申し込みフォームがあったので、早速申し込む。今回は「古書モクロー」だ。このフォームは必要事項を順に書き込んでいけばイイのだが、「出品予定書籍」を10冊書き込むことになっていて、それが必須項目(書かないと送信できない)なのは、ちょいと面倒。出品したいと思った時点で、具体的な書名まで、しかも10冊分も考えているヒトがどれぐらいいるだろうか? いまからでもココは任意記入にするほうが、応募しやすいと思うんだけどなあ。

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2006-09-15 ネタンダーズを聴きながら

9時起き。午前中はアレコレと。1時ごろ出かけて、下北沢へ。〈シネマ・アート下北沢〉に、鈴木英夫特集を観にいったのだ。《魔子恐るべし》(1954)というので、梅田晴夫脚本なので観たのだが……熟睡しました。この前後に、レコード屋や古本屋に行ったのだが、「帝都逍遙蕩尽日録」で書くつもりなので、ココでは略。【9月28日に「下北沢音楽喫茶ニ出会ヒ、三十年前ノ街ト人ヲ想フ事」としてアップされました。http://www.maboroshi-ch.com/cha/nandarou.htm


初めて入る〈音楽喫茶いーはとーぼ〉で、田沢竜次東京名画座グラフィティ』(平凡社新書)を読了渋谷池袋新宿銀座日比谷とその他のエリア名画座について、館内の雰囲気や番組編成の特徴などを詳しく書いてくれている。いまは判りにくくなった、「一番館」「二番館」「三番館」「名画座」の違いも解説されているし、名画座での飲食の楽しみにもちゃんと触れている。塩山芳明さんの日記(しかし、相変わらず読むのが早いですなあ)の「崇元友子の愚書、『銀座並木座』(鳥影社)に比べればはるかに上等」という評に同意する。だけど、著者が名画座フリークだったのが1960年代後半から1970年代にかけてのコトだから、その後の名画座についてはあまり触れられていない。「あとがき」に出てくる〈亀有名画座〉や〈川崎追分〉(「腰痛日記川崎追分町」さんの住んでるトコですな)〈川崎国際〉〈上板東映〉など、1980年代ガンバった名画座について、知りたいコトがいっぱいあったのだが。新書という形態上、そこまで望むのは酷かもしてないが、平凡社新書にはそのぐらいの濃さを期待してしまう。ところで、同書では、〈高田馬場パール座〉が「八〇年代のある時期にひっそりと閉館してしまった」とある(p140)が、1992年までは確実にありましたよ(一度休館したのち再開したかもしれないが)。たまたま付けていた映画鑑賞ノートによれば、この年にぼくはココで、増村保造監督《大悪党》(1968)や加藤泰監督《真田風雲録》(1963)を観ている。


ウチに帰ると、塩山さんの日記http://www.linkclub.or.jp/~mangaya/nikkann.html)に『路上派遊書日記』の愛情あふれる紹介が。


面白さでは比較にならんだろうが(俺が上)、南陀楼綾繁の『路上派遊書日記』(右文書院・定価2200円)が10月2日発売と。456Pあるらしいが、奴の腰のすわらない生ぬるい世界に、そんだけ銭出して浸りたいボケが?


一方、エンテツさんのブログhttp://enmeshi.way-nifty.com/meshi/)にも言及が。


だが、しかし、この南陀楼綾繁さんは、のほほ〜んホノボノお人よしうらぶれだらしないかんじでフラフラしながら、そして鋭くはないが、二枚腰十枚腰の眼力と根性を持った、かなりしたたかな油断ならない男だと、この本で読むことは可能だろうし、そう読めたあなたは、有能な、儲けられるかどうかはわからない、編集者になれるかも知れない。とにかく、二枚腰十枚腰の眼力と根性が、どう街を人を本をモノを見ているか、なかなか油断ならない。と、注に書きたかったが、書くところがなかったので、ここに書いておく。この本と南陀楼綾繁さんについて、このように書く人はいないだろうという自信を持って、本文は読まなくてよいから、おれの注だけ立ち読みすべきであると、オススメする。


最近敵対してる(?)両者から、「腰のすわらない生ぬるい世界」、「うらぶれだらしないかんじ」で「鋭くはない」などと云われるのはぼくは一体なんなんだと思わぬでもないが、いまさら、腰をすえて鋭い言論を発するのはムリですから、このまま行きますよ。


下北沢の〈ハイラインレコード〉で買ってきたCDを聴く。ネタンダーズの[ネタンダーズ]と[サマーセッツ]がとても良くて、そのあとも、「書評のメルマガ」の編集をしながら聴く。ちょうど扉野良人さんの「全著快読 梅崎春生を読む」をまとめたのだが、ネタンダーズの塚本功vo,g)は扉野さんと近代ナリコさんの大学時代からの友人で、ぼくが初めて聴いたのも、こないだ扉野家に泊めてもらったときだった。そのとき、一緒に泊まった荻原魚雷さんもネタンダーズの友人なのだから、いつか聴く運命だったのであろう。今度はライブに行きたい。


その荻原魚雷さんから。コクテイル文庫版の『借家と古本』が届いていた。スムース文庫版に2本を加えている。そのうちの「山口瞳ファン二代目の手記」は、『山口瞳通信』からぼくが依頼された原稿がどうにも書けそうもなく、「魚雷さんだったら絶対イイから」と発行人の中野朗さんに云って実現したもの(もちろん中野さんも魚雷さんの文章のファンだった)。ぼくが落としたおかげでこの名文が生まれたのだから、魚雷ファンには感謝してほしい(ちなみに、ぼくは翌年の号に書きました)。


『借家と古本』の復刊は嬉しい。石丸澄子さんの表紙もイイ。だけど、だな。この組版と印刷はナイんじゃないの? めちゃくちゃ小さな大きさの文字を、1行に63字も詰め込んでいる。エッセイを読ませる文字組みじゃないでしょう、これは。ページ数を抑えたいのかもしれないけど、そのわりには、各記事の末尾にけっこう空白があったりする。もっと大きな文字で1行の字数を少なめにすることはできたハズだろう。それと、文字がまともに印刷されていない。カギカッコ漢数字の「一」が半分消えかかっている。いくら安い印刷所に出したとしても、これはちょっとヒドイ。つくった人たちは、出せればいい、読めればいい、と思っているのだろうか。このコクテイル文庫版は、初めて荻原魚雷の文章を読むヒトのことを考えた造りになっているのだろうか。なんだか、寂しいよ。


「秋も一箱古本市」の店主、まだまだ募集中。目下、30数人といったトコロらしい。この連休でけっこう申し込みが来るかもしれないので、参加を検討中の方はお早めにどうぞ。春に比べると、古本は10冊以上あればOKと、売るものの自由度が高くなっています。腕試しに参加してみてもイイのでは?

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2006-09-14 知らない間に40万アクセス

まず、お知らせ。東京古書会館で以下の講座が開かれます。


古本屋になるための1日講座


出演

 芳賀健治(うさぎ書林)

 樽見博日本古書通信編集部

 山崎有邦オヨヨ書林)+南陀楼綾繁ライター

 主催東京古書組合


入場無料(要事前申し込み)

開催日   2006年10月9日(月・祝)

時 間   午後2時〜午後4時

場 所   101-0052 東京都千代田区神田小川町3-22 

       東京古書会館 地下多目的ホール


詳細、お申込は下記URLから。

古本屋になるための1日講座」特設ホームページ

http://www.kosho.ne.jp/event/huruhonya2006


ってコトで、この講座に出ることになりました。古本屋でもないのになんでこんな場所に、と思うし、うさぎ書林さんも樽見さんも一人で喋るのに、なぜ我々だけ、こんなトコロで古本ジェットストリームかい、というハナシなのだが、なにせオヨちゃんが「ぼく一人だともたないので」と泣きつくのでしょうがない。オヨちゃんの話を引き出す装置として出席します。この講座、もう3回めなのですね。


8時半起き。昨夜から羽毛布団を出しているので、もうちょっと寝たいのだが、我慢。『ぐるり』の原稿(今回はロンサム・ストリングス)を書きながら、各方面への連絡を取る。昨日、うらたじゅんさんから新刊『嵐電 RANDEN』(北冬書房)が届いていた。三冊目の作品集だ。初出に「未発表」となっている「新宿泥棒神田日記」は、じつはスムース文庫古本漫画』のための描きおろしだった(その証拠に、あるコマにあるキャラクターが登場する)。ぼくが編集に手間取っているあいだに、作品集のほうが先に出てしまったのだ。うらたさんほか執筆者の皆様には陳謝。なんとか近々カタをつけたいと思っている。


段落して、昼飯はうどんテレ東の昼の映画今日はアンドリュー・V・マクラグレン《北海ハイジャック》(1980・米)。コレが意外におもしろく、出かける予定を取りやめて、仕事しながら最後まで観てしまう。北海の海底油田の基地をテロリストが占拠するハナシだが、それを奪還する側のロジャー・ムーアいい味だしている。が頑固者の女嫌い。妻の姉妹が5人も自分の家に転がり込んできたと云い、「ネコのほうがまだマシですよ」とのたまう。いざ、基地に乗り込む際に遺言状を書き、「全財産ネコに残します」と。思わず、テーブルを叩いて笑う。こりゃ、B級映画のなかの名セリフだ。


雨が上がったので、4時半に自転車で出かける。〈往来堂書店〉で、アゴタ・クリストフ『どちらでもいい』(早川書房)と原口隆行文学の中の駅 名作が語る“もうひとつの鉄道史”』(国書刊行会)を買う。本駒込図書館で、リクエストの本を受け取り、〈ときわ食堂〉でチューハイ。その後、ウチに帰っていろいろやってる間に世が更けた。


気が付くと、このブログアクセスカウンターが40万を超えていた。35万を超えたのが7月だったから、一日のアクセス数が以前より増えているような気がする。あ、そうだ。「書肆アクセス半畳日記」(http://plaza.rakuten.co.jp/accesshanjoe/diary/200609140000/)の紹介をしてくれました。すごく丁寧に内容を紹介してくれて、ありがとうございます。

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2006-09-13 渋谷でジャケ買い、『ギャングの世界』

8時半起き。いきなり寒くなった。昨夜、11月3、4、5日に行なわれる福岡の本イベント「ブックオカ」のサイトhttp://www.bookuoka.com/)がオープンした。「福岡を本の街に」がスローガン11月4日(土)の「第1回けやき通り一箱古本市」をはじめとし、講演、展覧会書店でのフェア、ワークショップなど盛りだくさんの内容。よくまあココまでいろいろ同時進行で進められるなあと感心する。これも、「新刊書店出版社古本屋など本を媒体とした様々な業種が幅広く集まり主催した」からこそ、可能になったのだろう。第一回にして、他県から足を運ぶ価値のあるイベントになりそうだ。なお、南陀楼は11月5日(日)13時〜15時に、「街に出て本と遊ぼう」というトークを行ないます。場所は〈キッチンファーム〉というお店で、1500円(要予約)です。詳細はまたいずれ。


一方、早稲田からは「早稲田青空古本祭」の目録と、別冊の地図帖が到着。後者には、堀江敏幸エッセイ浅生ハルミンさんによるイラスト地図が(相変わらず線と文字がいい)。前のイラスト地図内澤旬子制作で、モクローくんも登場していた。あれが消えてしまうと早稲田との縁が薄くなるようでちょっと寂しい。


昼過ぎまで、『進学レーダー』の原稿書きと編集仕事の連絡に追われる。同時にいろんなコトをやってるので、いま何をやっているのか一つ一つ確認しておかないと混乱してしまう。3時半に出て、神保町へ。〈書肆アクセス〉で右文書院青柳さんとnakabanさんと待ち合わせ。〈ぶらじる〉で『路上派遊書日記』のカバーの色校を見せてもらう。おお、いいカンジだ。それと、この本の販促チラシも受け取る。目次や栞、対談の人名まで入っていて、わかりやすい。配布してくださる店にはお送りしますので、南陀楼までメールください。nakabanさん、来週からスイス旅行とのこと。その前に、こっそりひとつお願いをしてしまった。レジのところにPR誌『アスペクト』創刊号があったので、もらう。電車の中でパラパラ見るが、なかなかイイ。末永昭二さんの「『垣の外』の文学」という連載に期待。


渋谷に出て、〈渋谷古書センター〉に寄る。2階の〈フライング・ブックス〉で、中野五郎『ギャングの世界』(日本弘報社、1950)を見つける。どこかで見た表紙だと思ったら、『ふるほにすと』第4号で、「思わず手にしたジャケ買い本」として紹介されているものだった。表紙・裏表紙にうまいんだかヘタなんだか判らない妙な絵が入っている。インパクト大。1200円なら「ジャケ買い」してもいいかと購入する。


そのあと、〈シネマヴェーラ渋谷〉へ。今日も「妄執、異形の人々」特集。なんか、かつでの〈大井武蔵野館〉の「全日本とんでもない映画まつり」的なこの特集が、気に入っている。あと二本立て・入れ替えなしというシステムの、観客にとっての自由度の高さを実感している。まず、曲谷守平監督《九十九本目の生娘》(1959)。岩手を「日本チベット」と決め付けた上で展開する、山岳伝奇映画。山の民(じつは刀鍛冶の末裔)が、徹底的に劣ったもの・遅れたものとして描かれる。半裸で縛られて殺されてしまう二人の女の子の片割れは三原葉子。主演は菅原文太だが、ほぼでくのぼうだった。いちばんインパクトのあったのは、冒頭から暴れまくる老婆(五月藤江)であった。もう一本の、中島貞夫監督《くノ一忍法》(1964)は見るところナシの凡作で、途中から熟睡してしまった。山田風太郎小説映画化って、どうしていつも失敗するんだろう?


表参道千代田線に乗り換えて、千駄木へ。〈古書ほうろう〉に『路上派遊書日記』のチラシを置く。早速さっきの『ギャングの世界』を見せる。宮地健太郎さんからは、今週末に行われる根津神社のご遷座300年祭の神輿の衣装を見せられる。ちゃんと袋に入ったセットになっていて、「あらかじめ(着付けを)練習して下さい」とあったのが可笑しかった。日曜の午後は、健太郎さんの雄姿を見に行くか。取りおいてもらった、浅見淵『史伝 早稲田大学』(新潮社)1800円を受け取り、〈サミット〉で買い物して帰宅。遅い晩飯は、豚肉のしょうが焼き。そのあと、取材依頼のメールリストをつくっていたら3時半になってしまった。

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2006-09-12 雨の夕方、浅草の図書館で

朝9時起き。雨が降っている。「秋も一箱古本市」の大家さんが4カ所に増えたと、ブログで報告あり(http://d.hatena.ne.jp/seishubu/)。新しく加わったのは、谷中ぎんざの〈まるふじ〉という呉服屋さんだという。コレで無理なく50箱を配分することができるようになった。それにしても、Nさん&Iさんコンビの行動力には感心する。春の一箱古本市メンバーが分担してやっていたことを、たった二人でやってるんだから。店主の募集も継続中。すでに半分ぐらいは埋まった模様です。お早目の申し込みを!


『進学レーダー』の図書館原稿を書いたあと、雨の中、歩いて千駄木まで。駅前のコピー屋で昨日、八木福次郎さんからお借りした、雑誌愛好会編『全国主要都市古本店分布図集成 昭和十四年版』をコピーする。これは、東京横浜仙台新潟金沢静岡浜松名古屋京都大阪神戸岡山高知広島福岡長崎熊本鹿児島札幌函館小樽台北京城大連奉天古本屋地図と解説を載せた、B4判ヨコ・50ページのガリ版刷り冊子。発行者は京都在住の辻井甲三郎。スムース文庫八木福次郎聞き書きのときに、一度お借りしたが、なにせ古い資料で褪色もあって怖いので、ほとんど触らずに返していた。今回、林哲夫さんが進めている神戸古本屋の本に、この冊子の神戸古本地図転載してはどうかと思い、改めて拝借した次第。慎重にコピーしたので、1時間近くかかった。とても興味深い資料なので、今後、折に触れて紹介したいと思う。


不忍通りを歩いていたら、千駄木駅の〈チムニ―〉の隣にあったラーメン屋(たしか〈冨士子軒〉とか云ったか)が閉店しているのに気づく。あと、数ヶ月前に開店した、うちの近所の立ち食いそば屋〈ワン・ツー〉もどうもツブレたようだ。商売は厳しいねえ。よみせ通りの〈尾張屋〉で700円のカツ丼を食べる。ココは見事なぐらい、変わらない。資料をまとめたりしながら、テレ東の昼の映画を観る。今日は《ゲッタウェイ》(1994・米)。1972年スティーヴ・マックィーン主演の《ゲッタウェイ》のリメイク。細部までほとんど同じで、これならわざわざ新しい映画をつくらなくてもオリジナルを観るほうがイイ。


4時、バスに乗って台東区中央図書館へ。途中、竜泉のバス停近くにあった〈不二食堂〉が、更地になっていた。ぼくは2005年1月に入っているが、そのとき、すでに通常営業ではない感じだった。もうちょっと前に知っていたら、『路上派遊書日記』の該当部分に注を付けたのだけど。図書館で、遅まきながら『サンデー毎日9月3日号の中野翠満月雑記帳」を読む。狐こと山村修さんの追悼文だ。一緒に、8月13日号の「話題の匿名書評家『狐』がついにそのベールを脱いだ」という記事も読む。筆者は岡崎武志さん。昨日、八木福次郎さんから正岡容のハナシを聞いたので、閲覧席で『正岡容集覧』(仮面社、1976)を読む。A5判・3段組で670ページもあるので、とてもウチに持って帰れない。拾い読みしいろいろメモを取った。巻末の座談会「師正岡容を語る」(小沢昭一大西信行桂米朝)には、どうしようもない性格だけど憎めない正岡容のエピソードが多数出てくる。終わりに、小沢が正岡のことを「うしろ姿がとっても寂しい人だった」として、便所に入って一人で笑っているのが好きだったと云っている(ウチに帰ってちくま学芸文庫版『東京恋慕帖』を見てみたら、この座談会が再録されていた)。この本、また読みに来よう(誤植がヒドイのが欠点だけどね。「川徳夢声」とか)。


かっぱ橋商店街から浅草へ歩く。〈ROX〉の〈リブロ〉で書評の本を物色。田沢竜次東京名画座グラフィティ』(平凡社新書)、川本三郎日本映画を歩く』(中公文庫)、大槻ケンヂリンダリンダラバーソウル』(新潮文庫)、都築響一バブルの肖像』(アスペクト)、加藤廣『信長の棺』(日本経済新聞社)、小村雪岱日本橋檜物町』(平凡社ライブラリー)ほかを買う。『東京名画座グラフィティ』は1960〜70年代名画座と、名画座のある街を紹介していて、「こんな本、読みたかった」と思えるもの。著者が「B級グルメライター」の田沢竜次というのもイイ。バスに乗って、ウチに帰る。旬公が出かけているので、一人でついテレビを観てしまう。晩飯はタラコパスタ


本郷の〈ヴァリエテ本六〉(文京区本郷6−25−14、03-3811-7466、日月休)よりハガキ。9月13日(水)〜30日(金)、「世にも美しい小画片 西洋のエクスリブリス」という展覧会が開催される。「書物の周辺1」とあるので、今後、本関係の企画展が続くのだろうか。楽しみ。

2006-09-11 〈さぼうる〉の上と下で

昨日は暑さのため、日記はお休み。一日中、暑くて暑くてダレていた。今朝は8時半起き。少しは涼しくなったが、まだ日差しが厳しい。不忍通りコピー屋で書類をコピーしたり、手紙を書いたりしていると、出かける時間。神戸海文堂書店〉の海野弘サイン会のときにお会いした南敬二さんが『別冊幻影城No.12 樹下太郎集』(1977年)に掲載された、「散歩する霊柩車」のコピーが送ってくださったので、電車のなかで読む。12ページほどの短篇で、とてもよく出来たハナシである。映画はこの短篇の骨組だけを使って、あとは、大胆に脚色している(というか、オリジナルストーリーにしている)コトがよく判った。


神保町の〈ギャラリー福果〉で「“机上乃果” nakaban デッサン展」を見る。タイトル通り、机の上にある小物を鉛筆でデッサンしたものが十数点展示されている。ポルトガル(だったっけ?)で買った領収書入れの絵がよかった。nakabanさんの鉛筆画を見て、ちょっと唐突に、赤瀬川原平が鉛筆で描くイラストを思い浮かべた。赤瀬川というより、尾辻克彦小説に描かれている、一筆書きみたいな挿絵がすごく好きなのだが、nakabanさんの鉛筆デッサンにもあれに通じる、たくまざる美しさがあるように思った。机の上に、この展覧会のためにnakabanさんが書いた文章が置かれていたが、プロのイラストレーターがなぜ展覧会をやるのか、というコトが腑に落ちる文章だった。


ギャラリー福果は〈さぼうる〉の上にあって、もと〈弓立社〉のあったところ。看板をずっと見ていたが、二階に上がったのは今回が初めて。なんだかイイ雰囲気のギャラリーだった。会場には、nakabanさん、中林麻衣子さん、右文書院青柳さん、ぼくと、『路上派遊書日記』の制作チームが集まった。本文の試し刷り(スミではなく特色印刷なので)が出てきたので、それを見る。OK。あとはカバーの色校だ。一段落したので、みんなで顔を見合わせて、なんとなく笑う。


〈ふらいぱん〉でまぐろ中落ち定食を食べる。昨日のNHKスペシャルで、マグロの品薄問題をやっていたので、つい。日本古書通信社に行き、八木福次郎さんに資料をお借りする。樽見さんのところに青木正美さんがいらしている。年内に古書通信社から、鶉屋書店についての本を出すというコトで、カバーの案を見せていただく。なんだか、すごく厚い本になりそう。そのあと、八木さんと〈さぼうる〉へ。さっきこの二階にいたんだけど。福次郎さん、91歳にしてますます快調。とにかく固有名詞がスラスラ出てくるのがスゴイ。柴田宵曲正岡容などの思い出話。正岡容葬式を、福次郎さんと青蛙房岡本経一氏と仕切ったハナシがオモシロかった。


書肆アクセス〉で、『「室内」の52年 山本夏彦が残したもの』(INAX出版)と『本の雑誌』を。前者は、〈INAXギャラリー大阪〉で開催中の展覧会の図録。東京に来るのは来年4月らしい。毎日新聞社に行き、秋の神保町ムックの打ち合わせ。いくつか提案し、取材を進めるコトになった。東西線大手町まで行き、千代田線に乗り換えて綾瀬へ。久しぶりに〈味路〉へ。ココのもつ焼きはいつもながらウマイ。チューハイ飲んで、少し涼しくなった風に吹かれて、駅のほうに戻る。駅前の〈東急ストア〉で買い物して帰る。刺身用のイカが100円だったので、晩飯はイカ刺身とシラス丼なり。


あ、そうだ。ぼく、昨日から異名がひとつ増えました。新しい名前は「獣ススム」です。「じゅうすすむ」と呼んでください。どうぞヨロシク。旬公が提唱する「日本人擬獣化プロジェクト」(http://d.hatena.ne.jp/halohalo7676/20060910)のイメージキャラクターです。このプロジェクトは「人間の擬獣化を推進する」目的のもので、これまでに、セドローくん、畠中さん、エンテツさん、マユたん、ウッスー、ホリキリさん、魚雷さんほかの方々が「擬獣」として登録されています。不肖・獣ススムは、これらの擬獣を統括する「擬獣長」を務めます。って、擬獣化された本人が喜んでちゃ、「動物その他なんでも擬人化してかわいそうになってしまう日本人気質に一石を投じる」目的が台無しなので、マズイのだが。

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2006-09-09 『路上派遊書日記』刊行&古本ジェットストリーム

ちょっと寝坊して、10時起き。取材の申し込みなど、メールあれこれ。「私たちは20世紀に生まれた」(http://numabe.exblog.jp/)を見て、〈古書日月堂〉(http://www.nichigetu-do.com/)のウェブ版特集目録「机上のK.K氏」が、今日で注文締め切りだと気づき、慌てて見る。12ページで二百数十点。「K.K氏」はデザイン・印刷関係の仕事をしていたヒトのようで、1960年代80年代の印刷、美術建築音楽などの資料が中心。パンフレットや媒体資料などの非売品が多いのも特徴。欲しいのがあったけど、現在の必要度と手持ちの財布とを天秤に掛けて、今回は見送る。


6時、西日暮里の〈カフェ・ド・パルク〉で、右文書院青柳さんと会う。本文や注、索引の最終確認。来週アタマに下版するので、ぼくの手からは離れてくれた。9月末に取り次搬入、10月頭に書店に並ぶ模様。〈大栄〉に行き、旬公と三人でちょっとした打ち上げを。ってことで、この本の告知です。


南陀楼綾繁路上派遊書日記

右文書院発行

本体2200円+税

四六判・並製

約450ページ

装幀:きりん果


ある時は大量の古本を買い込み、ある時は安居酒屋にしけこみ常連客の話に聞き入る、またある時はイベント主催し大いに盛り上がる……仕事と私事の間をあっちへふらふら、こっちへふらふらのナンダロウ的生活。ブログナンダロウアヤシゲな日々」の2005年分から精選し、300項目の注釈を付す。

[巻末対談]南陀楼綾繁×畠中理恵子

[別冊栞]津野海太郎/坂口 仁/郷田貴子山本善行堀切直人


なお、本書の刊行を記念して、10月1日(日)に、〈古本酒場コクテイル〉でイベントを行ないます。同じ日の早稲田青空古本祭と、このイベントが本書の初売りになります。ふるってご参加ください。


路上派遊書日記』刊行記念

オヨちゃんとモクローくんの古本ジェットストリーム vol.3


出演:山崎有邦オヨヨ書林

   南陀楼綾繁編集者ライター

ゲスト塩山芳明エロ漫画編集者、著書『出版業界最底辺日記』)


場所 古本酒場コクテイル

10月1日(日)18:00〜

チャージ 800円

なるべく予約してください(cocktailbook@hotmail.co.jp


根津古書店オヨヨ書林」(http://www.oyoyoshorin.com/)の店主にして、「不忍ブックストリートのニセ平井堅」の異名を取る「オヨちゃん」こと山崎有邦と、本のコトならドコでも首を突っ込む編集者ライターの「モクローくん」こと南陀楼綾繁が、東京高円寺古本酒場コクテイルをキーステーションに、周囲3メートル四方の皆様に向けて、思いついたハナシを喋ります。二人の絶妙にかみ合わない会話をお楽しみください。最近の収穫本や、好きな音楽を掛けるコーナーもあり。今回のテーマは「日記本」。毒舌日記本著者の塩山芳明氏を迎え、好きな日記本・嫌いな日記本についてお話します。この日から始まる早稲田青空古本祭のあとで、気軽にお立ち寄りください。


本もイベントも、どちらもヨロシクお願いいたします。

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2006-09-08 二日続きで吉祥寺

kawasusu2006-09-08

9時起き。『進学レーダー』の書評原稿など、もろもろ仕事を。紀伊國屋書店から『scripta』創刊号が届く。『ifeel』休刊後の代わりとなる40ページのフリーマガジンレイアウトなどは素っ気ないが、この形で継続できるなら歓迎したい。石田千「並木印象」、内堀弘「予感の本棚 戦前紀伊國屋書店」は『ifeel』から引継ぎ。都築響一の「読みびと知らず」に出てくる、ロシアロックミニコミの話が面白い。カーボン紙で打った5部限定の雑誌を、フランクフルト・ブックフェアで売っていたのだという。


5時に出て、吉祥寺へ。北口の古本屋を覗いてから、改札口で旬公と待ち合わせ、〈MANDA-LA2〉へ。昨日も来たのに。岡崎武志さん、旅猫書房さん、古本ねこさんら、知った顔が同じテーブルへ。あとから、〈興居島屋〉の石丸澄子さんも。立ち見の客も増えてくる。〈古書ほうろう〉の宮地夫妻も。旬公は窮屈な空間が苦手なので、つらそう。


ふちがみとふなと加藤千晶」、まずは加藤千晶さんから。加藤さんのピアノ、関島岳郎のチューバ鳥羽修のギター高橋結子のパーカッション。このバンドはいいなあ。加藤さんの歌だけでなく、ピアノも充分堪能できた。休憩をはさんで、ふちがみとふなと今日も絶好調。新曲「これから」(だったっけ?)もやった。そして、加藤さんが出てきて三人で4曲ほど。この日のために、メールでやり取りして構成を決めていったという。お互いの名前を叫びあう曲が面白かった。アンコールでは全員出てきて演奏。じつに盛りだくさんで、楽しいライブだった。宮地夫妻と途中まで一緒に帰る。駅前の中華料理屋(いい具合にすさんでいる店)でチャーハンを食べて、ウチヘ。


筑摩書房から、『出版業界最底辺日記』のPOPが届く。増刷が決まり、今月半ばには出来上がってくるらしい。見てもらうと判るが、営業のヒトがつくったらしいこのPOP筑摩書房らしからぬセンス。それが販促につながればヨイのだが。

2006-09-07 〈岬〉で待つわ

9時起き。昨日書いた《散歩する霊柩車》の原作は、樹下太郎。「K美術館」(http://web.thn.jp/kbi/)さんが、「原作も面白いですよ」と教えてくださった。古い小説だろうから、公共図書館では見つからないかな、と思ったが、『日本ミステリーの一世紀』中巻(広済堂出版)に収録されていると判った。さっそくリクエストを出す。


もろもろやって、2時ごろに自転車で出かける。途中、激しい雨が降り、すぐやんだ。〈往来堂書店〉で、光文社のPR誌『本が好き!』第4号をもらう。「書店員さんのお勧め本」で、笈入店長が『出版業界最底辺日記』を推してくれている。ありがたし。〈オヨヨ書林〉に寄り、植田実『真夜中の家 絵本空間論』(住まいの図書館出版局)900円を買う。弥生坂を上がり、本郷三丁目の真砂中央図書館へ。資料調べをし、椅子に座って本を読む。ウチに帰り、4時半に西日暮里駅の〈岬〉でN社のMさんと会う。〈岬〉は駅を出てスグのところにある純喫茶で、近所の爺さんとか営業回りのセールスマンとかがたむろっている。〈ルノアール〉よりも一段濃い空間だ。女性との待ち合わせにはゼッタイ使わないが、まあ男なら(おじさんだし)イイかと。


そのあと、吉祥寺へ。車内で、大原緑峯『平凡社における失敗の研究』(ぱる出版)を読む。キワモノっぽい題名なのでこれまで読まずにいたが、いま読んでいる本に関係するので読み出したら、オモシロイ。この手の本にしては文章もしっかりしている。すぐに読み終わり、ウチに帰ってから続編の『平凡社における人間研究』(ぱる出版)も読んでしまった。


ラーメンを食べて、〈MANDA-LA2〉の前で『ぐるり』の五十嵐さんと待ち合わせ。今日はロンサム・ストリングスのライブ。初めて見るロンサムが素晴らしかったのはもちろん、ゲスト中村まりの歌とギターには度肝を抜かれた。このライブについては、『ぐるり』次号で書くので、ココでは略。会場には〈トムズ・ボックス〉の笹倉京さんが。一緒にイラストレーターの保光敏将さん(http://www7a.biglobe.ne.jp/~heko/)がいらした。山川直人さん、内田かずひろさんと『夜のもひとつ向こうに』という菅原克己の詩をモチーフにした本を製作したヒトだ。9月15日(金)〜20日(水)、表参道の〈オーパギャラリー〉で行なわれる「何気ない風景」というグループ展に参加されるとのこと(http://www.geocities.jp/opa_gs/html/event20060915.htm)。


展覧会といえば、nakabanさんのデッサン展「机上乃果」もあるんだった。9月11日(月)〜23日(土)、神保町の〈ギャラリー福果〉(http://www18.ocn.ne.jp/%7Efukka/index.html)にて。101-0051 東京都千代田区神田神保町1-11-2F Tel.Fax.03-3259-6555。〈さぼうる〉に2階です。ココはもと弓立社が入っていたところじゃないかな。


ウチに帰ると、11時半。ライブ会場で買った、中村まりSEED TO GROW]と松永孝義[THE MAIN MAN]を聴く。前者はイイんだけど、さっきのライブの迫力に比べるとやや物足りない。一方、松永孝義はすごくイイ! トマトスの松竹谷清(g)、エマーソン北村key)、矢口博康sax)にロンサム・ストリングスのメンバーが参加。なんだか、ワクワクして踊りたくなるアルバムだ。2004年リリースだが、このときにレコ発ライブやったのだろうか? 行きたかったなァ。

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2006-09-06 《散歩する霊柩車》はスゴイ!

朝8時半起き。今日もうだうだしてるウチに国会図書館には行けず、家で仕事する。『彷書月刊』の原稿、その他。出かけようかと思ったトコロに、『ぐるり』の五十嵐さんからメールが。「これからニッポン放送オヨヨが出るらしいですよ!」と。そりゃタイヘンと、ラジオをつける。たしかに秋のカルチャー特集ということで、読書に関する話題をやっている。いつ出るかとじっと待つが、なかなか出てこない。「本のソムリエ」というのが出るので、コレかと思ったら、新刊書店のヒトだった。天気予報道路状況を何度も聞かされた末、けっきょく、オヨヨは登場せず。どーなってんだ?【あとで聞いたら、3時10分頃から出演していたとのこと。メールを見る直前だったようだ。五十嵐さんによれば「最初、ものすごく硬かったです。秋の一箱の宣伝もしてました」とのこと。聴きたかったぜ、オヨちゃん。】


5時半に出て、神保町へ。〈書肆アクセス〉で『アメリカン・ブックジャム』第11号を買う。前号が出てから二年ぶり。特集は「On The Road Again:作家が歩いた街の変遷」で、「ジャック・ケルアックサンフランシスコ」という長い文章が載っている。最近、はじめて『路上』を読んだところなので、これは興味深い。青木さんから、「こういうのが出たみたいです」と小冊子を見せられる。『新菜箸本撰』の第1号と2号。大阪橋爪節也さんたちが出している大阪趣味ミニコミのようだ。アクセスで取り扱ってほしいと見本を送ってきたという。1号300円だしゼッタイ売れますよ、と太鼓判を押す。林哲夫さんの日記http://sumus.exblog.jp/)に目次が紹介されている。誌名は「しんさいばしほんゑらみ」と読むらしい。〈ぶらじる〉で右文書院青柳さんと打ち合わせ。索引の直しを受け取る。また項目数が増えてしまった。


半蔵門線渋谷へ。マークシティ裏の〈ν啼館〉で、ビール餃子、モツ炒めにライスを食べる。〈ブックファースト〉で、嵐山光三郎昭和出版残侠伝』(筑摩書房)を買う。レジのところで、集英社がつくった田中啓文の『笑酔亭梅寿謎解噺』シリーズ解説書という、簡易印刷のパンフレットをもらう。作家書店員の推薦文や2冊目の抜粋など。けっこう力が入っている。『ビジネスジャンプ』で「わらばな」というタイトル漫画化もされているようだ。


そのあと、今日も〈シネマヴェーラ渋谷〉で特集「妄執、異形の人々 Mondo Cinemaverique」。一本目の《丹波哲郎の大霊界2 死んだらおどろいた》(1990)は見られなかった(まあ、べつに惜しくはない)。お目当ては、佐藤監督散歩する霊柩車》(1964)。いやァー、すごい、怖い、おもしろい! 女房死体を積んだ霊柩車で、関係のあったオトコの元を回るという出だしからして秀逸。頬のこけた西村晃ダンナと、無表情な渥美清霊柩車の運転手が並んで座席に座っているだけで、おかしい。妻の春川ますみはちょっと大根だが、愛人金子信雄曾我廼家明蝶病院の守衛の小沢昭一ら、いずれもクセのある演技だ(もう一人の守衛の加藤嘉の出番が少なすぎてちょっと不満)。最後までホラーに持っていかず、サスペンスだけで引っ張っていったのもイイ。ラストの墓地はひょっとして谷中墓地? わざわざ観にきた甲斐があったと、たいへん満足。佐藤肇の作品ははじめて観たが、「日本映画データベース」によれば、松方弘樹主演《十七才の逆襲 俺は昨日の俺じゃない》(1960)が監督デビュー作。ほかに、《怪談せむし男》(1965、これも西村晃主演だ!)、タイトルだけは知っている《吸血鬼ゴケミドロ》(1968)などステキタイトル映画を撮っている。後者は今回の特集でかかるのだが、行けないかもしれない。またの機会には。

2006-09-05 果てしなき「目録文書館」への道

8時半起きで国会図書館へ、の予定だったが、どうにも起きられず、そのまま寝なおし。いろいろ詰まっているのにマズイっす。アマゾンから、中村よお『肴(あて)のある旅 神戸居酒屋巡回記』(創元社)とソウル・フラワー・ユニオン[ロロサム・モナムール]が届く。後者に入っている「松葉杖の男」は、『神戸 最後の名画館』(幻堂出版)などの著者だった故・浅田修一氏を歌ったものだと、「エエジャナイカ」の北村くんに教えてもらった。たしかに、公式サイトボーカル中川敬がそのように書いている(http://www.breast.co.jp/cgi-bin/soulflower/nakagawa/cinema/cineji.pl?phase=view&id=112_todoSobreMiMadre)。この曲自体は歌詞も曲もいいと思う。でも、アルバム全体として、どうも体が受け付けてくれないというカンジだった。この違和感はどこから来るのだろうか……。


わかば書店〉から、昭和9年の『東京古書籍商業組合月報』の合本が届く。毎号約30ページで、組合公報、役員や会員の異動、古書展の状況、古本市場相場のほか、エッセイや提言が載っている。古書店主の聞き書きも載っているが、これは訪書會編『紙魚の昔がたり』からの一部抜粋であるようだ。いろいろな情報が得られそうで、コレが3000円とは安かった。こういう月報類はすぐに取り出せるところに保管したいのだが、そのスペースがないのが悩みだ。いつになったら、「目録文書館」(「モクローくん通信」参照)が設立できるのだろう。


仕事、思うように進まず、書評の本を読む。3時頃、思い立って渋谷へ。〈シネマヴェーラ渋谷〉で「妄執、異形の人々 Mondo Cinemaverique」という特集を。二本立てで入れ替えなしというのが嬉しい。今日は、山口和彦監督怪猫トルコ風呂》(1975)と池広一夫監督おんな極悪帖》(1970)。どちらも面白くもくだらなくもあって、いかにもB級ではあったが、化け猫と化す谷ナオミほか、室田日出男殿山泰司が熱演の前者に軍配が。


帰って、書評の本を読み進む。「神保町系オタオタ日記」(http://d.hatena.ne.jp/jyunku/)を見たら、読売新聞に『大阪人』が廃刊の危機を逃れ、大阪市の直営にという記事が載っていたことが紹介されている。やはり、あの2号連続の「古本愛」特集は、ある種のヤケクソの産物だったのか。市直営とはいえ、編集スタッフは続投のようなので、なんとかいまの誌面を維持してほしいと願う。

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2006-09-04 田端の小さな歴史に出会う

8時半起き。『週刊読書人』の原稿を書く。青木茂『書痴、戦時下の美術書を読む』(平凡社)の書評。珍しく短い時間で書けた。風は通るが、気温はけっこう高い。昼前に銀行郵便局に行ったら、汗をかいてしまった。帰ると〈荻文庫〉から注文した本が届いていた。『千里相識 集古会記念華名冊』(非売品、昭和10)5000円。和装。集古会の会員に、出生地、住所、職業研究の事項、蒐集分野、雅号などをアンケートしたもの。さっきの青木氏の本に出てくる、木村捨三(仙秀)が編集発行している。


韓国から本が届く。Yu Jong Koog(柳鍾局)『東京ロマン散歩』(デザインハウス)。東京のレトロ&アートな場所をめぐったフォト・エッセイ集という感じの本。オールカラー谷中銀座朝倉彫塑館、いろはに木工所、青空洋品店、ショップnakamura、結構人ミルクホールなど谷根千エリアが前半に載っている。「不忍ブックストリートMAP」の図版も。昨年の夏、Yuさんとイラストレーター女性を案内したコトがあり(http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20050812)、それがこの本に反映された。ハングルなので読めないが、新潮社の「Yonda?」が4ページも取り上げられているなど、スポットの当て方がオモシロイ。大量の図版の著作権をクリアしたのかなど、多少の不安もあるが……。


未来』も到着。新連載の内藤寿子「〈事件〉は誘惑する」がオモシロイ。1回目は「サルトルボーヴォワール団地へ行く」。この二人が日本団地を訪れていたとは。あと、フィルムセンター板倉史明が日活アクションについて書いていて、興味深い指摘があった。だけど、掲載誌のせいなのか、それとも元からこうなのか、いかにも論文的文体なのに辟易。1974年生まれなのになあ。セドローくんの『早稲田古本屋街』(256ページ、予価1800円)の広告も載っていた。


午後は資料を読む。6時ごろ、根岸図書館最近台東区では休館日をズラして、月曜日開館の館がある)にちょっと寄り、西日暮里の〈はやしや〉でチューハイ。そのあと、JRの高架沿いを自転車で走り、田端新町のほうへ。暗くなった空の下、高台から山手線新幹線が走る田端操車場を見下ろし、諏訪優の詩「田端事情」を思い出す。「崖下の操車場」についてうたった部分があるのだ。〈ブックマート〉に行く。出たばかりの新刊がすばやく入っている。東野圭吾『赤い指』(講談社)を安く買う。


ウチに帰り、昨日のハヤシライスを食べる。10時、田端の〈デニーズ〉で、「秋も一箱古本市」のナカムラ・イシイ組に会う。ナカムラちゃんの家は、田端駅を出てすぐのマクドナルドなどが入っているビルを持っているとのこと。しかも、以前は駅裏の小山にあった〈アンリィ〉という喫茶店経営してたという。ええええっ? アンリィといえば、冨田均幼なじみたちと過ごした喫茶店ではないか。『東京私生活』(作品社)には、そのアンリィにつづく「蛇のようにくねった細長い石段」のことも記されている。ぼくもかろうじて、その石段は見ているが、もちろん、いまはアンリィともども消失している。ナカムラちゃんのお父さんは、2階のアンリィと1階の焼肉店を経営していたという。あとになってナカムラちゃんが『東京私生活』を読んだことから、お父さんと冨田氏が文通したこともあるそうだ。なんか、すごく小さい、私的な、ささやかなことだけど、確実に歴史を感じさせるエピソードだ。


「秋も一箱古本市」の相談に乗り、『彷書月刊』の伝言広告用の版下を旬公が描いたりしてるうちに夜が更けた。自転車に乗って、ウチに帰る。

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2006-09-03 味噌煮込みうどんとテルミンと電子音楽

kawasusu2006-09-03

8時半起き。朝が涼しくなって気持ちいい。『週刊読書人』で書評を書く本を読む。おもしろい。同じ著者の前著もワリとすぐに見つかったので、それも読む。昼はトマトソースとツナのパスタ。「秋も一箱古本市」のナカムラさんよりメールがあり、出店場所として打診していたところのOKが出たという。コレで3カ所での開催が決定。よかったよかった。近いウチに発表されるでしょう。


【追記】この日記をアップ直後に、開催場所が発表されてました(http://d.hatena.ne.jp/seishubu/)。(1)イマーゴ(千駄木)、(2)ライオンズマンション(三崎坂)、(3)宗善寺(三浦坂)です。イマーゴは古書ほうろう前のカフェライオンズマンションは1階の集会室の縁側とベンチをお借りします。宗善寺は〈大名時計博物館〉隣のお寺です。春とはちょっと変わったカンジになりそう。


4時ごろ、谷中コミュニティセンター図書館へ。閲覧席で資料を読んでいたら、5時10分前に音楽が鳴り始める。荒井由美の「卒業写真」をインストにしたもので、ものすごく大きいし耳障り。5時閉館なのは判っているから、パチンコ店の閉店並みのこんな音を流さないでほしい。〈往来堂書店〉のあと、〈古書ほうろう〉へ。先日の味噌煮込みうどんの件(http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20060828)で、名古屋出身の宮地健太郎さんより、「南陀楼さんが以前食べた〈山本屋〉は、今回食べた〈山本屋総本家〉(http://www.yamamotoya.co.jp/)とは別の店なのでは?」というご指摘が。別に〈山本屋本店〉(http://www.yamamotoyahonten.co.jp/yamamotoya.html)というのがあり、お互い本家争いしてるのだそうだ。両方のサイトを見ると、どちらにも「紛らわしい店名にご注意ください」と出ていた。道理で「総本家」なんてヘンな名前を付けるとなあと思った。以前書いたように(http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20050828)、大阪の〈自由軒〉でも同じようなコトがある。ちなみに、旬公は「ウチが離婚したら、〈モクローくん〉の権利はアタシが持っていく」と宣言している。本家モクローくんと元祖モクローくんに別れて争うか?


生協で買い物して帰る。玉ねぎが大量に余っているので、晩飯はハヤシライスをつくる。先日サンプル版が送られてきた、竹内正実[VOCALISE]を聴く。竹内氏のテルミンピアノ伴奏によるクラシック小品集。フォーレの二曲(「ラシーヌの雅歌」と「夢のあとに」)が気に入った。【図版はCDジャケット】一緒に送られてきた[Times slips away]は、[訪れざりし未来 Compositions for theremin]というタイトルで出ていたファーストCD(ぼくも買っている)をリミックスしたもの。こちらもイイです。どちらも、「bootrecord」(http://bootrecord.net/)で通販可能。竹内氏の『テルミン エーテル音楽20世紀ロシアを生きた男』(岳陽舎)は名著で、映画テルミン》(1993)の日本公開の前後に読んでいる。竹内さんのサイトhttp://www.mandarinelectron.com/theremin/)を見ると、ぼくと同じ1967年生まれとのこと。いずれコンサートも聴いてみたい。


テルミンを聴いたついでに、というわけでもないが、川崎弘二『日本電子音楽』(愛育社)を読み始める。先日書店で見かけたコトを書いたら、かたじけなくも、著者から寄贈を受けたのだ。ぜんぶで636ページ、本文のほか、資料として「日本電子音楽主要作品」「主要ディスク」「主要文献」、そして索引が付いている。佐々木暁の造本、表紙に使われた小杉武久ドローイングもいい。この大著をきちんと読みこなす自信はないが、読んでみて気づいたことをココで書いていくつもり。今日読んだのは、第一章「日本電子音楽」と、第二章のうち、水野修孝インタビュー水野氏が東京芸大在学中に結成した「グループ音楽」について、メンバーだった刀根康尚について、以下の記述がある。


刀根は千葉大では国文科にいて卒論のためにシュルレアリスム研究をしていたんです。(略)彼の家は芸大のすぐそばの浅草だったので、夕方になるとかならずやって来て、卒業するまでほとんど毎日のように来ていました。だから、刀根は芸大生だとほかの科の連中は思っていたみたいで、もぐりの学生だとは思われていなかった(笑)


刀根は音楽的な訓練はまったく受けていない人間なんだけれどサックスを持っていて、サックスを滅茶苦茶に吹きならしたりしていました。彼にはオピニオン・リーダー的なところがあって、彼の影響で集団的無意識なんていうことを意識しはじめるようになっていったんです。


そのあと、刀根康尚は読売アンデパンダン展、ネオダダ・オルガナイザーなどの前衛芸術に関わるようになっていく。その辺の活動ぶりは、赤瀬川原平『いまやアクションあるのみ! 読売アンデパンダンという現象』(筑摩書房)に詳しいが、残念、いまは出てこない。なお、刀根には『現代芸術位相』(田畑書店)という評論集があり、いつか入手したいと思っている。

日本の電子音楽

日本の電子音楽

2006-09-02 久しぶりに古書展をハシゴ

朝9時起き。旬公と一緒に、高円寺古書会館へ。今日は「高円寺展」。旬公はココに参加している〈名雲書店〉がお気に入りで、安い和本を買いあさっている。けっこうまとめて買うので、「名雲まつり」と自称しておられる。ぼくのほうは会場を一回りして、鴨居羊子『のら犬のボケ』(東京創元社)500円、正津勉編集東京詩集掘戞作品社)300円、『ハマ野毛』第5号、200円、大場定『浅草よいとこ』(私家版)300円など、安いものを見つける。


『のら犬のボケ』は函つきでこの値段ならまあまあ(あとで見たら、見返しにマジック落書きがしてあったが)。『東京詩集掘戮蓮東京に関する詩を集成したもので、この巻は1945〜86年を対象としている。それぞれの詩には著者略歴と関連する詩やエッセイを付し、巻末には冨田均エッセイと、同じく冨田編の「東京編年史+書誌」を収める。丁寧な編集ぶりだ。オビには、「都市詩集シリーズ全10巻として、佐々木幹郎編集大阪詩集』、松本健一編集上海詩集』、荒川洋治編集ソウル詩集』などが予告されているが、国会図書館データベースでは、『東京詩集』全3巻しかヒットしない。刊行されなかったのか。


会場で、金澤文圃閣の田川浩之さんを見つけ、声をかける。久しぶりだ。岡崎武志さんと会い、旬公と三人で〈ナジャ〉へ。岡崎さん、完全フリーランスの生活をはじめたばかりのぼくをいろいろと気遣ってくださる。ありがたし。高円寺の駅で旬公と別れ、三鷹へ。〈上々堂〉で先月の売り上げを受け取る。7月の「銀座ブックバザール」の残りをこっちにまわしたら、けっこう売れていた。海野弘『四都市物語 ヨーロッパ1920年代』(冬樹社)1000円を買う。コモリさんから、12月に上々堂の3周年イベントをやると聞く。北尾トロさんのイベントや、翻訳家池田香代子さんの本棚、加藤千晶さんのライブ、それに加藤さんと岡崎さんのトークがある模様。あの空間でどういう感じのイベントになるか、楽しみ。


三鷹から東西線高田馬場へ。BIG BOX古書市を覗いていると、セドローくん登場。上の喫茶コーナーへ。『路上派遊書日記』のカバー案や索引を見せる。オビのラフに、コピーダミーとして「あああああ/いいいいい/ううううう/えええええ/おおおおお/あああいいいいうう」などと書いてあったのを見て、「コレでいいじゃないですか、このまま出してくださいよ!」と。セドローくんの未来社からの本も順調に進んでいるようで、10月1日早稲田青空古本祭の会場では、2冊が並ぶコトになりそうだ。注をお願いしたにもかかわらず、刊行が遅れに遅れたため、エンテツ先生http://enmeshi.way-nifty.com/meshi/)には、「著者の日ごろが、こういうときにあらわれるのだろうなあ、やはり、『酒とつまみ』並に遅れている」と書かれてしまったが、ようやくどうにか。


じつに久しぶりに古書展ハシゴしたら、ちょっと疲れた。ウチに帰り、ちょっとヨコになる。塩山芳明さんより『AMENITY』第24号(拡声器騒音を考える会)が届く。冒頭の「都市環境と音」という座談会のみ読むが、中島義道をはじめとする出席者のヨーロッパ崇拝ぶりにへきえきする。そんなにフランスイタリアが好きなのか。座談会の末尾に「このあと宴会となりました」とあり、表3にそのときの写真が載っているが、中島義道へべれけな表情に大笑い。さすがに、感受性の強い方は写真映りもステキです。

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2006-09-01 NOMADでばったり月の輪さんと

昨夜遅くまで眠れなかったせいで、朝ちゃんと起きれず。11時ぐらいまで布団の中に。仕事にかからねばならないが、どうも夕方まで調子が出なかった。6時ごろ、〈古書ほうろう〉へ。三日間の棚卸しを終えて、店がリフレッシュした。これまで店にあったのに見つからなかった本が、違う場所に移されて見つけやすくなった。面出しされていた、『LITERARY Switch』第2号(1991)、1500円は、小林信彦特集。ロング・インタビューに、『世界でいちばん熱い島』執筆日記、自筆年譜と著作リスト小説「男たち」という70ページにおよぶもの。単行本に入っているものもあるが、コレは持っておきたい。ほかに、海野弘『世紀末パノラマ館』(丸善ライブラリー)400円、100円均一で川本三郎アカデミー賞』(中公新書)、ダグラス・アダムス銀河ヒッチハイク・ガイド』(河出文庫)を。


6時半、じつに久々に〈千尋〉へ。あとから旬公が来る。サワラのカルパッチョが美味しかった。客が多くて料理が出てくるのに時間がかかり、余裕を見て入店したのに、食べ終えると8時直前。あわてて自転車根津の〈NOMAD〉まで走る。入り口に自転車を置き、ガラス越しに中をうかがうと、あれ? 月の輪書林さんと石神井書林さんがいる。なんで? と思ったら、オヨちゃんと密談中であった。


こちらは、右文書院青柳さんと、きりん果(http://www.geocities.jp/nkbn1974/)のnakabanさんと中林さんとの打ち合わせ。雑誌いろは』をはじめ、数々のデザインイラストで活躍するコンビである。いままでナイショにしていたが、ぼくの日記本『路上派遊書日記』の装幀・本文イラストは、きりん果さんにお願いしたのだ。出来上がったデザインを見せてもらったら、すごくイイ。同時期に刊行されるセドローくんの本(多田進さんの装幀だという)に、内容はともかく、デザイン面では十分タメを張れる出来栄えになるだろう。あと、ページ数と注の数では勝ったな。


打ち合わせが終わってから、月の輪さん、オヨちゃん、青柳さん、旬公とぼくで、〈車屋〉へ。くだらないハナシ、まじめなハナシなどあれこれ。月の輪さんと話すのは気を使わなくてもいい。実現したら楽しいだろうなあ、と思われることも、いくつか。11時ごろに解散。月の輪さんと根津で会うなんて、こういう偶然はいつでも歓迎だ。


展覧会のお知らせ、ふたつ。


原画’(ダッシュ)展 少女漫画の世界 パート4


原画’(ダッシュ)」とは、きわめて原画に近いもの。世界に通用する日本文化マンガの魅力を可能な限り、ありのままの形で後世に伝えるために、竹宮恵子が中心となり研究・製作を続けてきました。今回は、新たに高橋真琴あすなひろしのダッシュ作品を紹介します。


8月26日(土)〜9月4日(月)

紀伊國屋画廊紀伊國屋書店新宿本店4F)

主催京都精華大学 表現研究機構


もうひとつは、春の一箱古本市で、スタンプラリーのスタンプを彫ってくださった片岡知子さんのゴムはん展です。


Rubber Works

片岡知子とヨシダユミコのラバーワークス展

版画家のヨシダユミコさんと、「八朔ゴムはん」という名前で活躍されているスタンプ作家の片岡知子さんによる展示です。ラバーゴム)を通じたそれぞれの世界をお楽しみください。

期間中には、片岡さんによる消しゴムで作るラバースタンプのワークショップがあります(要予約。詳しくは下記)。

また、ヨシダユミコさんお手製カレンダーも特別販売いたします。12枚で1つの物語となったゴムはんによる小さなカレンダーです。


2006/9/13(wed)〜24(sun)

場所:FALL SHOP&GALLERY

167-0042 杉並区西荻北3-18-10-#102

tel & fax 03-5856-0522

http://fall-gallery.com


「けしゴムでつくるラバースタンプワークショップ」のお知らせ

17日(日)  17:00〜19:00  18日(祝) 13:00〜15:00(要予約)

参加費 ¥3000(材料費込み) 場所 FALL


はさみ、筆記用具、カバーをかけたい文庫本をお持ちください。

彫りたい絵のある方は3・5cm×3.5cm以内で書いてきてください。

当日いらしてから簡単に楽しくデザインを作る方法をご紹介しますので

どちらかお好きなほうを選んで作っていただきます。

彫った作品を並べておして,オリジナルスタンプ柄のブックカバーをつくります。

ご予約はこちらまでhassak@mbn.nifty.com

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