ナンダロウアヤシゲな日々

◎この日記は、ライター・編集者の南陀楼綾繁が書いています。
◎新刊『町を歩いて本のなかへ』(原書房)発売中です。
◎著書『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)、『谷根千ちいさなお店散歩』(WAVE出版)、『小説検定』(新潮文庫)、『ほんほん本の旅あるき』(産業編集センター)、『路上派遊書日記』(右文書院)、『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『老舗の流儀 戦後六十年あの本の新聞広告』(とうこう・あい監修、幻冬舎メディアコンサルティング)、編著『チェコのマッチラベル』(ピエ・ブックス)、共著『ミニコミ魂』(晶文社)。
◎ご感想・ご連絡は南陀楼綾繁 まで。
◎「不忍ブックストリートの一箱古本市」は毎年春に開催します。
詳細は不忍ブックストリート公式ホームページもしくは、しのばずくん便りをご覧ください。
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2006-10-31 ハロウィーンの日に仮装

先週の金曜日は、湯島〈羽黒洞〉での美濃瓢吾さんの展覧会に行ったあと、綾瀬セドローくんたちとトークの打ち合わせを兼ねて飲んだ。青柳さんから、『路上派遊書日記』の書評が載った『読書人』をもらう。評者は田村七痴庵さん。相変わらず、そこを持ってくるか、という絶妙な引用ぶりである。


翌朝は、逗子開成学園の文化祭古本市へ。今年で3年目。今回は取材もかねている。いつもの〈魚佐〉で昼飯を食べて、東京に戻り、神保町青空古本市とブックフェスティバルを覗く。〈三省堂書店〉の売り場リニューアルで、1階が古本売り場として使えなくなり、靖国通り沿いにワゴンが押し出されるカタチになった。このほうが活気があるし、すずらん通りと連動しているカンジなのでいい。ヒトが多くて歩きにくいけど。あと、〈岩波ブックセンター〉横の会場が、今年から集中レジではなく、個別会計になったのでとまどう。


そのあとの数日は、なんか鬱屈していて、日記が書けなかった。


今日は、チェコ大使館の中にできる「チェコ文化センター」のオープニング・パーティーがあり、こういうときはスーツのほうが無難だという旬公の命令で、じつに久々にスーツを着る。なんか仮装みたいだよなあと思って、千代田線に乗ると、前の席に、ウェディングドレスメイドが座っていて愕然とする。しかも、二人ともぼくよりも丸い体型だ。同人誌イベントだったのか、その手の単語が漏れ聞こえる。あの二人に比べたら、ぼくの仮装なんてカワイイものだと少し安心する。


六本木で〈青山ブックセンター〉(新開店してから初めて)へ。入り口すぐのところで、山崎浩一雑誌のカタチ』(工作舎)関連フェアをやっている。広尾に出て、ずっと歩いて、〈古書一路〉へ。開店した直後に行ってから、二度目だ。遠いのでなかなか来られない。堀江さんから組合に入ってからのあれこれを聞く。あとから旬公も来る。チェコ大使館に行く途中、外人子どもがヘンなかっこうして騒いでるなと思ったら、ハロウィーンだった。じゃあ、このスーツ姿もハロウィーンということで。


チェコ文化センターパーティーは、すごいヒトだった。会長のペトル・ホリーさんは、挨拶したり、通訳したりで大忙し。ラデク夫妻にも久しぶりに会う。チェコ料理も少し食べたし、人込みに疲れたしで、早めに退散。広尾駅近くのそば屋で、おろしそばを食べてウチに帰る。


2日より、法事のために実家に戻ったり、福岡でのイベント「ブックオカ」に出るため、またしばらく日記は中断します。福岡の皆さん、4日は「一箱古本市」で、5日は南陀楼綾繁トークでお目にかかりましょう! では。

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2006-10-26 地味な一日

告知するのが遅れたけど、〈東京堂書店〉でのトークのお知らせ。お相手はセドローくんです。


■■『路上派遊書日記』『早稲田古本屋街』刊行記念■■

路上古本宣言! 〜古本屋のある街で〜」

南陀楼綾繁ライター)×向井 透史(古書現世)トークショー


■開催日時

11 月18日(土曜日

15時から17時(開場14時45分)


■開催場所

東京堂書店 神田本店6階

http://www.tokyodoshoten.co.jp/


■参加方法

要予約。参加費500円

電話または、メール(tokyodosyoten@nifty.com)にて、件名「南陀楼綾繁 向井 透史 イベント希望」お名前・電話番号・参加人数、をお知らせ下さい。

11月17日以降は、お電話にてお問合せください。

電話 03−3291−5181


というコトで、どうぞよろしくお願いします。その東京堂だが、今日サイトを見ると、週間ベストセラーからもう脱落した。わずか2週間(しつこいようだが、ウィンドウに展示されたのは1週間だけ)の栄光でした。


朝8時半起き。溜まっている本を読んだり、作業をこなしたり。〈古書ほうろう〉やコピー屋や図書館に行ったり、晩飯に豚汁をつくったり。そうこうしているウチに、夜12時になってしまった。経堂の〈日ソ会館〉での沼辺信一さんの講演に行くつもりだったのに、出かけるタイミングを失って行けなかった。


九州ウォーカー』が届く。福岡の「ブックオカ」が紹介されているのだ。会場となるけやき通りの地図が載っている。ぼくが提供した不忍ブックストリート一箱古本市写真も。これは第1回の〈オヨヨ書林〉前。手前に写っているうしろ姿は旅猫書房さんだろう。この写真はいろんな雑誌新聞に使われている。


路上派遊書日記』については、ネット上でいろんな感想を見たが、「腰痛日記川崎追分町」さんのもの(http://d.hatena.ne.jp/kokada_jnet/20061026)は鋭いな、と思う。このブログでは、(あまり書かないようにしているとはいえ)ときどき屈託や愚痴めいたことも書いているが、本にまとめるときにはかなり意図的に暢気な部分を拾っている。流れをつくっているうちに、自然にそうなってしまったのだ。ぼくも日記本読者としては、「不幸な日記」を好むほうだが、ぼくのブログに書いてある程度の「不幸」なら、かえってナイほうがいいと思ったからだ。だから、「元気で社交的なお兄さん」や「社交的で屈託が全然ないキャラクター」として読まれるのは、読者の自由であるし、著者の意図通りであるとも云える。ただし、川崎追分町さんは「十数頁読んで、先に進まなくなってしまった」ということだが、その先のほうの記述には、他人から見るとささやかかもしれないが、ぼくなりの悩みや屈託を残してあるつもりだ(もしも、今年の日記が本になるとしたら、かなり屈託が強いものになるだろう)。


不忍ブックストリートサイトに、「秋も一箱古本市2006 フォトアルバム」(http://sbs.yanesen.org/hako1/2006aki/photo.html)がアップされました。当日の様子がよみがえります。ご覧あれ。

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2006-10-25 宮崎あおいと池脇千鶴は激似(ナンダロウ基準)

昨日は神保町で打ち合わせしたり、古書会館で「新宿展」を覗いたりしてから、6時に浦和へ。駅で旬公、津野海太郎さんと待ち合わせ。津野さんとは『「本」に恋して』のパーティー以来。雨の中、行きつけのうなぎ屋に連れて行ってもらい、うなぎ(白焼きがすげえウマかった)を食べながらいろいろと話す。津野さんは「キミはナンとかなるだろう、心配してないよ」と云いつつも、仕事の姿勢、というか、考え方について、決して説教くさくはならず、自分の思うところを話してくれる。やっぱり、心配なんだ(笑)編集に関しても、文章に関しても、ぼくがいちばん影響を受けた人だけに、的確に問題点をいい当ててくれる。「こんなのやったらイイんじゃない?」と冗談めかして云うテーマが、ぼくにとってのストライクだったりする。近くのバーに移り、11時ごろまで飲んだ。


おかげで今朝はちょっと寝坊最近部屋が埃っぽいので、枕元に積んでいた本を整理する。といっても、とりあえず移動させて掃除機をかけ、不要なものを外して、また元のように積んだだけ。それでも山の高さはずいぶん減った。作業のあいまに、《コヨーテ・アグリー》(2000・米)をチラチラ見る。途中見てなくてもストーリーが判らなくなったりしない、完璧な娯楽映画


5時前に自転車で出かける。〈ブーザンゴ〉の前で、店に入っていくナカムラ&イシイを発見。ぼくも中に入り、店長に挨拶。一箱古本市ではポストカードがけっこう売れ、お客さんも多かったそうだ。よかった。〈往来堂書店〉に寄ると、入り口で「あなたにも出会ってほしいこの一冊」というフェアをやっている。書店グループ「NET21」に属する各店の文庫担当者が選び、コメントを付けたもの。


言問通りを東大方面に上がり、〈ヴァリエテ本六〉へ。昨日からギャラリー内で古本市をやっている。うーん、もうちょっと冊数が多かったらなあ。気になる本はあったけど、買うには至らず。白山の〈南天堂書店〉を覗き、団子坂で千駄木へ。〈古書ほうろう〉に寄るも定休日だった。今月から水曜日休みになったんだな。晩飯は鮭チャーハン。整理して出てきた本を片っ端から流し読み(途中まで読んで止まっていた本が多い)、「ブックオカ」の一箱古本市で売るコトに。


その福岡の「一箱古本市」は、100箱の定員がまだ埋まってないそうだ。ギリギリまで募集するそうなので、迷っている方はぜひご参加を! 連休九州旅行するヒトは、福岡古本を売って旅費を稼いではいかが。


あと、銀座のバーで「夜と古本」というイベントがあります。


夜と古本

11月26日12月3日

銀座路地裏のギャラリー・バーで、貸本喫茶ちょうちょぼっこ」と古本ユニット「ricca」の夜の古本市開催


12月2日(土)18:00〜21:00

女子古書部のつどい

古書店で働く女子、古書の好きな女子が集まって楽しくお鍋パーティーをします。(会費3500円 ドリンクつき)


場所 ギャラリー・バーKajima

中央区銀座7−2−20 山城ビル2F

03-3574-8720

日曜日

12:00〜15:00 cafe timeお茶お菓子

15:00〜21:00 wine bar (ワインとお料理

weekday

15:00 〜 18:00 cafe timeお茶お菓子

18:00 〜 24:00 bar time (お酒とお料理お茶


古本女子の鍋パーティー! いいですねえ。しらばっくれて、ぼくも行ってみようかしら(入り口で撃退)。このDMは、一箱古本市助っ人さんから手渡されたもので、彼女古本ユニット「ricca」の一人だという。でも、顔もお名前も忘れてしまった。ヒトの顔がおぼえられない上に、若い女性の区別がまったく付かない。怒られるかもしれないが、一箱の二次会でも、前に座っている女性3人を、〈IMAGO〉のお手伝いの女性3人と勘違いして喋っていた。なにしろ、生命保険CMに出てくる宮崎あおいを、なぜか自信満々に池脇千鶴だと思い込んでるようなヤツなので、許してください。

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2006-10-23 翌日は雨だった

kawasusu2006-10-23

朝10時までぐっすり眠る。一日中動いていると、疲れが溜まる。11時すぎにのそのそ起き出す。インスタントラーメンに、残っていたひき肉のカレー炒めを乗せて食べる。エミネムの伝記映画8 Mile》(2002・米)をビデオで観る。ヒップポップにはまったく興味なかったが、かなりオモシロイ日本人には想像が付かない日常を生きているんだな。エミネム本人の演技もかなりなもの。今日は返却期限なので、もう一本、ロマン・ポランスキー監督チャイナタウン》(1974・米)を観るが、こっちは、思わせぶりなシーンが延々と続くだけの、退屈な映画だった。2時間以上あったし。プロデューサーは『くたばれ!ハリウッド』のロバートエヴァンス。5時頃、町屋へ。〈TSUTAYA〉でビデオを返す。ずーっと雨が降っている。


ウチに帰り、ちょっと眠る。「まぼろしチャンネル」の原稿を書く。退屈男さんが早くも「秋も一箱古本市」のリンク集http://taikutujin.exblog.jp/4558382/)をつくってくれたので、こっちもやらねばと、昨日の日記を書き始めると、案の定、たっぷり二時間かかってしまう。すでに多くのヒトの感想がアップされているが、写真展を手伝ってくれたhitomiさんの「kazemakase.net」(http://kiraku.kazemakase.net/?eid=564513)に、「綾繁さんとオヨヨさんの漫談に磨きがかかった」とあったので、ちょっとウレシイ。もともと漫談やってるつもりはなかったのだが、いつの間にか、そうなってしまった。


退屈男さんの労力を省くため、「秋も一箱古本市」についての記事を書かれた方は、彼にトラックバックを送るか、ぼくにメールなどでお知らせください。充実したリンク集になると思うので、どうぞご協力よろしく。


なお、本日より、福岡「ブックオカ」の関連企画として、「チェコマッチラベル展」が始まりました。大阪東京奈良金沢仙台に続いて6都市目です。福岡の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。


チェコマッチラベル

会期/10月23日(月)〜11月5日(日)11:00〜19:00

会場/アポロ計画(福岡市中央区警固2-12-19松尾ビル2階)

入場料無料

問合/092-738-9099

2006-10-22 秋の一日は「一箱古本市」に暮れて

kawasusu2006-10-22

8時起き。荷物を準備して、旬公と出かける。しのばずくん看板をぶらさげて自転車に乗る。千駄木交流館に着くと、ナカムラ&イシイ、写真展に出品してくれる高野ひろしさんといつものペンギンhitomiさん、カフクさんほかの皆さんが。展示のやり方を打ち合わせ、ぼくは持ち場の〈IMAGO〉に向かう。店の都合で10時ではなく10時半開店になったというので、前で待っている店主の皆さんを急遽、〈古書ほうろう〉に誘導し、そこでミーティング助っ人はナカムラさんの友人の女性3人。店が開くと同時に、セッティングに移る。ココには9箱が置かれる。「めもあある美術館」のみさきたまゑ(書皮友好協会)さんは、岡崎から参加。このヒトは仙台一箱古本市にも来ていたぞ。アンタも好きね。店の中と外(道に面したところと、ビルの入り口)に箱が別れてしまったので、配置に時間が掛かる。それでも、店主の皆さんが協力的だったので、なんとかうまくいく。


11時前になると、ちらほらヒトが集まりはじめる。店の前の歩道は狭くて、よく自転車が通るので、助っ人さんにはお客さんに注意を呼びかけるよう頼む。いよいよ開店。「afternoon cafe」さんは自作ファンタジー小説本を、「黒犬堂」さんは雑誌CDを「くま文庫」さん(なんと、ゆまに書房バイトしているとか)は谷川俊太郎和田誠の本を、と各自が工夫を凝らしている。入り口すぐの「古本すなめり」さんは、かなりレア古本を並べている。あっ、小林信彦の『東京ロビンソン・クルーソー』だ! と手を伸ばそうとすると、隣の男性が一瞬早く手に取った。箱に戻せ〜と念力を送ると、戻してくれたので、手に取る。う、5800円か。しばらく悩んだ末、静かに箱に戻す。あとで聞いたら、すぐ売れたそうだし、オヨちゃんからは「南陀楼さん、5800円なら買いですよ」と云われるが、一箱古本市だからいいんだよ!!(意味不明負け惜しみ、しかも逆ギレぎみ)。この箱からは、あとで田中小実昌乙女島のおとめ』(番町書房)を600円で買う。「かまだ屋」さんでも、終了間際に海野弘都市の庭、森の庭』(新潮選書)を。300円だったかな。


次に、谷中銀座の呉服店〈まるふじ〉前へ。ココは8箱。塩山芳明さんの「嫌記箱」は田村の均一やブックオフでかき集めた本にアコギに上乗せしている。買わないとあとでナニを書かれるかワカランので、島村利正『青い沼』(新潮社)900円を。「ふうらいまつ」さんは、切手絵葉書などの「紙モノ」オンリー(数少ない本は切手収集のパンフレット)で攻めている。紙モノなら「一箱」でもバラエティに富んだ世界が展開できる。じつにいい発想だ。チェコ日本マッチラベル100枚の入った袋を、800円で買う。ほかにも、「四谷書房」さん、「川越むかし工房」さん(ミニコミ小江戸ものがたり』発行)、「のろの本棚」さんらが出ていた。


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交流館に戻ると、旬公やカフクさん、高野さんが、写真展のチラシを手書き中。これを配って回る。〈ブーザンゴ〉では、ナカムラさんのお兄さんの人形を展示中。とてもリアルでかつユーモラスな人形だった。次に〈オヨヨ書林〉に回ると、見たようなお姉さんが。あ、〈火星の庭〉の前野久美子さんだ。これから食事だというので、ご一緒することに。どの店も満員っぽいので、ロシア料理海燕〉へ。ビーフストロガノフを食べる。仙台での一箱古本市の次回の可能性など、いろいろ話す。外に出て別れたあと、前野さんに打ち上げイベントプレゼンテーターになってもらい、「火星の庭賞」を出してもらったら、と思いつく。すぐに後を追いかけるが見つからず、残念。


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三浦坂を上がって、宗善寺へ。折りしも「のこぎり演奏」が終わるところ。入って右手に箱が並んでいる。お寺にテーブルを貸してもらったり、饅頭差し入れまであったりと、じつにいい環境で販売している。ココは14箱。「旅猫書房」、退屈男さんの「ちくわ文庫」、晩鮭亭さんの「サノシゲ食堂」、「岡崎武志堂」と知り合いが多い。順調に売れているようで、すでに箱に隙間ができている店主も多い。「BOOKRIUM」のHさんは、金沢での旬公のワークショップ参加者夜行バス金沢からやってきたそうだ。「南陀楼さんに買ってほしいと思って」と、向井啓雄『とつくにびと 風変りな旅行者』(文藝春秋新社)を差し出される。たしかに、街を歩く女性写真の表紙がいいし、内容も「酒場と落書」などオモシロそう。こんな本を選んでくれたHさんのセンスに敬意を表して、買う。旅猫さんから「石ころ書房」さんを紹介される。いまだに入店できてない阿佐ヶ谷の〈元我堂〉の金曜の店主さん。この箱もぼくの好み。『BUTTON BOOK』という英文の写真絵本が目にとまる。簡単な英文の文章が付いているが、所有者が「看護婦」「雨降りの日」などと日本語タイトルを書き込んでいる。「飢ゑた仔猫」「賣買」「學生時代」……正字で書いているから、そうとう昔のものなのかも。「お母さんが子どものために書いたんですよ、きっと」と石ころさん。800円だったかで買う。「古書無人島」にはミニコミモツ煮狂い』が出ている。おお、この店だったか。あとで発行者のクドウさんにも会った。


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そして、ライオンズガーデンへ。マンション1階の集会室とその前のスペースを使わせてもらっている。ココは17箱ともっとも多い。広いので荷物なども置けて、ラクそうだ。〈IMAGO〉や〈まるふじ〉の出店者には悪いなあ。偶然だろうが、子連れの店主が数組いて、その友達が子連れでやってきたりして、集会所が子どもの遊び場状態に。ところどころで、小さい子が絵本を読んでいるのがいいカンジ。「ぐるり」の五十嵐さん、「ムト屋」さん、昨日ウチのアパートに泊まった「古本おーでぃっと とれいる」さんと奥さんの「おでこ」さん(絵本が多い)など。盛厚三さんの「古書北方人」で、金子光晴詩人』(旺文社文庫)を400円で。文庫や『サンパン』バックナンバーが順調に売れているようで、スリップの束を見せられる。「東京セドリーヌ」には柳ヶ瀬さんとHさんが。あとで、枝川公一『街は不思議である。』(PHP研究所)を200円で買う。イラスト安西水丸、装幀・平野甲賀の素敵な本。阿部麗奈さんは食事中だというが、さっきの思い付きを逃したくないので、携帯電話して、急遽「リコシェ賞」を出してもらうよう頼む。臨機応変が一箱古本市の身上です。


一回りしたので、交流館に戻り、スタッフ部屋で一休み。畳敷きなので、ちょっとでも横になれるのがイイ。隣の部屋での写真展は、ダンボール板に写真を貼り付けたもので、けっこう点数が集まった。高野さん前の一箱古本市で撮った、いろんな人のペンギンとの2ショット写真は床に並べてある。自分が写っていたら持ってってもいいよ、という趣向だ。


そういえば、「不忍ブックストリートMAP」を置き忘れていた、ということになり、ほうろうへ。今日までココで行われているグループ展のメンバーが、店の前で即興ライブをやっている。石神井書林の内堀弘さんの姿も。地図を配って回っていると、弟から電話が入る。ライオンズガーデンで落ち合うことにして、そっちに向かう。ちょうど琵琶の演奏がはじまるところ。弟夫婦と甥のシンタロウ、姪のユウキが到着。畠中さんや五十嵐さんに紹介する(甥っ子を見せたかっただけのような気もするが)。弟一家を連れて、宗善寺へ。このあたりで、ちょっと雲行きが怪しくなる。ユウキが「秋を探す」という宿題があるというので、谷中墓地に連れて行き、松ぼっくりや葉っぱを拾う。そのあと、ライオンズガーデンに戻る。シンタロウが本好きだとは知っていたが、いつの間にか小2のユウキも本を読むようになっており、何冊も親に買ってもらっている。シンタロウは『のらくろ』の復刻版。布張り表紙のヤツで、弟が小学生のときに読んでたのと同じものだ。親子だなあ。ユウキは「猫が表紙になっている」という理由で、仁木悦子『一匹や二匹』(角川文庫)を買っていた。小2でジャケ買いとは末恐ろしいやつ。


ライオンズにいるときに、ついに雨が降り出す。弟たちを千駄木交流館に送り、ぼくは〈IMAGO〉に向かう。かなりの降りになってきた。それでも、すぐに5時になったから、春のような悪夢は味わわずに済んだ。撤収の様子を見てから、一足先に交流館に戻り、打ち上げイベントの準備。撤収を終えた店主たちが、続々と集まってくる。間違って、前回の打ち上げ会場だった「文京ふれあい館」が多くいた模様。告知不足でした。


6時半、打ち上げイベント開始。スタッフも入れると50人以上が集まっている。ぼくとオヨちゃんが司会。狭い部屋なのでマイクなしで充分。まず個人賞。


★ほうろう賞 「古本すなめり」(IMAGO前) 賞品:ほうろうに箱を置く権利

往来堂賞 「東京セドリーヌ」(ライオンズ前) 賞品:〈マミーズ〉のパイ

オヨヨ賞 「AZTECA books」(ライオンズ前) 賞品:オヨヨ選曲CDほか

リコシェ賞 「古本遊歩」(ライオンズ前) 賞品:ブックカバーほか

★南陀楼賞 「BOOKRIUM」(宗善寺前) 賞品:戦前マッチラベル貼込シート

      「石ころ書房」(宗善寺前) 賞品:『路上派遊書日記サイン本


南陀楼賞は1箱に絞れず、2つ出してしまった。そして岡崎さんや塩山さんのコメントを挟み、売り上げ金額、点数のベスト3を発表する。


★金額1位 「ふうらいまつ」(まるふじ前) 36,300円

   2位 「岡崎武志堂」(宗善寺) 32,800円

   3位 「石ころ書房」(宗善寺) 31,600円

★点数1位 「古書北方人」(ライオンズ前) 105冊

   2位 「ムト屋」(ライオンズ前) 88冊

   3位 「東京セドリーヌ」(ライオンズ前) 79冊


賞品は1位のみ、〈ブーザンゴ〉のドリンク券とポストカードだった。今回の企画者であり、中心であったナカムラ&イシイから手渡す。二人ともちゃんとした挨拶をしてくれた。全体の売り上げ金額は、755,630円。冊数の合計は1860冊。一箱ドタキャンが出たらしいので、49で割ると、一箱につき1万5420円、約40冊売れたコトになる。平均金額で春を上回ったが、平均冊数もスゴイ。


打ち上げイベントはちょうど1時間で終了。さくさく終わってヨカッタ。片づけをして、二次会に行く連中が残る。ぼくと旬公は荷物をウチに置きに一度帰る。自転車日暮里に向かうと、途中から大雨が降り出す。〈馬賊〉の裏にある〈ばんだい〉という居酒屋二次会。30人もいるので、テーブルが4つになる。ライオンズの場所提供に尽力してくださった〈乃池〉のオヤジさんも、来てくださる。奥のテーブルでは、塩山オヤジが舌好調。10時ごろにいったん締めるが、半分ぐらいはそのまま残って三次会。12時前に店を出る。退屈男さんに、「じゃあ、今回もリンク集よろしく!」とさわやかにお願いする(ちゃんとつくってくれました。http://taikutujin.exblog.jp/4558382/)。


自転車を担いで階段を登り、谷中銀座を抜けて、いつもの〈小奈や〉へ。谷根千工房のヤマサキさんとサトちゃんもいた。ココまできたら、すっかり安心して、だらだらとくだらないハナシで盛り上がる。オヨちゃんとカフクくんのシアワセなエピソードをしつこく聞き出す、39歳のやさぐれ夫婦。旬公が一足先に帰り、ぼくも2時には疲れてリタイヤ。元気なヒトたちはそのあとも残っていた。


ともあれ、「秋も一箱古本市」無事終わりました。場所を提供してくださった、IMAGOさん、まるふじさん、ライオンズガーデンさん、宗善寺さん、ありがとうございました。店主の皆様、お疲れ様。来てくださったお客さん、ありがとう助っ人の皆さん、立ちっぱなしで大変でしたね。そして、何から何まで二人で頑張った、ナカムラさんとイシイくんのコンビ感謝拍手を贈ります。若い二人の行動力には、我々も学ぶところが大きく、来年春の一箱古本市に向けて気合が入りました。さあ、そろそろオジサンたちも動き出そうか。

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2006-10-21 明日は一箱古本市です!

朝、朝日新聞の朝刊をコンビニに買いに行く。都内版に「秋も一箱古本市」の記事が出ているのだ。けっこう大きく載っている。〈オヨヨ書林〉のウィンドウポスターを貼るナカムラ&イシイのコンビ写真カラーで。よかったよかったと思う一方で、コレが39歳のやさぐれた10円コンビだったら、こんな写真は載せてくれまいとひがむ。


(以下はあとで書きます)


夜9時、日暮里駅で〈古本おーでぃっと とれいる〉の吉村さんと待ち合わせ。今日明日とウチの谷中アパートに泊まるのだ。いちおう、吉村さんの出店場所であるライオンズガーデンから往来堂、そしてアパートまで歩いてみる。そのあと、〈町人〉でビールを飲みながら、いろいろ話す。吉村さんが「ぼくが参加したのは今年の春? いや、去年の春?」と一瞬自信がなくなったようになったが、たしかに、今年4月の第二回からまだ半年しか経ってないのに、もうずいぶん昔のコトみたいだ。なにしろ、今年だけで、不忍春、仙台、不忍秋、福岡と四回も一箱古本市があるんだからなあ、混乱するのもアタリマエだろう。


ウチに帰り、明日の準備を少し。今回は店主でないのでかなり楽。南陀楼賞の賞品を用意する。もらってウレシイものにしたつもりです。乞うご期待。というワケで、もう一度明日の告知です。


秋も一箱古本市


10月22日(日)11時〜17時

谷中根津千駄木にて50人の一日店主が出店します。


会場 IMAGO まるふじ 宗善寺 ライオンズガーデン谷中三崎坂


また、のこぎり演奏、琵琶演奏、谷根千写真展(千駄木交流館)、一日限定プチギャラリーブーザンゴ)などの関連企画もあります。


詳細は以下にあります

http://sbs.yanesen.org/hako1/

http://d.hatena.ne.jp/seishubu/


明日は「谷中芸工展」の最終日前日であり、「根津千駄木 下町まつり」も行なわれます。このエリアでいろんなものが楽しめる一日なので、どうぞお出かけください。幸い、お天気は問題なさそうです。

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2006-10-19 書生姿の小沢さん

kawasusu2006-10-19

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朝8時半起き。『進学レーダー』の原稿を書く。ちょっと手間取り、1本上がったところで時間切れ。出かけるとき、ポスト工作舎から冊子小包が届いている。山崎浩一雑誌のカタチ 編集者デザイナーがつくった夢』だ(本体1800円)。『季刊・本とコンピュータ』での連載をまとめたもの。登場する雑誌は『POPEYE』『少年マガジン』『ぴあ』『週刊文春』『ワンダーランド』『婦人公論』、小学館学年誌、『クイック・ジャパン』の8誌。単行本化にあたり図版を差し替え、多くの注を加えている。連載時の担当者がぼくだったので、あとがきに名前を出してくれている。池袋に着いてから、山崎さんに電話して礼を云う。イイ本になってよかったですね、山崎さん。


なお同書刊行を記念して、17日より〈青山ブックセンター六本木店にて、「雑誌のカタチ」フェアが開催中。雑誌編集デザインメディア関連書籍を集めたフェアで、同書で取り上げた雑誌の現物も展示されるとのこと。同書は26日発売だが、ABCのフェアでは先行発売されるらしい。また、11月30日(木)19:00から、〈ジュンク堂書店池袋店で、「雑誌黄金時代は甦るのか」と題して、山崎浩一さんと永江朗さんのトークも行なわれます。詳細は以下へ(http://www.kousakusha.co.jp/DTL/zasshi.html#event)。


新文芸坐〉の増村保造特集へ。まず、三島由紀夫主演《からっ風野郎》(1960)。冒頭から裸をさらしますか……。三島セリフ回しはひどいけど、演技は意外と悪くない。気が弱くて見栄っ張りという主人公キャラクター三島本人とマッチしたのか。次に《闇を横切れ》(1959)。地方都市汚職を追及する新聞記者ストレート社会正義もの。テンポがよくてかなりオモシロイ山村聡の編集部長は、登場するときに決まった音楽がかかったりして、《市民ケーン》そのものだった。


丸の内線新御茶ノ水神保町に行って、〈東京堂書店〉のウィンドウに『路上派遊書日記』が6位に入っているのを確認する。〈書肆アクセス〉で、『彷書月刊』の皆川さんとバッタリ。畠中さん、「ブックオカ」に来るそうだ(ホントの目的CKBライブだが)。坪内祐三本日記』(本の雑誌社)と『gris-gris』のパリ特集を買う。後者有料化して四六判に。また御茶ノ水駅に戻り、右文書院青柳さんと待ち合わせ。


両国で降り、南側にある〈シアターX(カイ)〉へ。立派なホールなのでびっくり。入り口でC書房のNさんとバッタリ。お久しぶりです。今日の演目は、《花田清輝の泥棒論語と私たちの非暴力論語。》というもので、この劇場で何度かやっている《泥棒論語》の新しいバージョンとのこと。冒頭、ステージに演台が持ち出され、そこに小沢信男さんが登場。なんと、明治時代の書生のような格好だ。小沢さんがこの演劇の成立などについて話すのをプロローグとして、劇に入るという趣向だ。小沢さんはとても堂々とされていた。で、劇はというと、うーん、よく判らなかった。終わってから、青柳さんと駅前の餃子屋に入り、ちょっと飲む。


帰ると、〈今井書店出雲店のHさんよりメール現在開催中のフェアの写真を送ってくれる。


ナンダロウアヤシゲなフェア!


10/14(土)〜11/19(日)まで出雲市出身のライター編集者南陀楼綾繁さんのフェアを開催中です。最新刊「路上派遊書日記」を中心に南陀楼さんがこれまで関わってこられた書籍も集めました。11月中旬からは南陀楼さんのリストからテーマを絞ったフェアも開催予定です。


というコトで、出雲在住の方はぜひご覧になって、できれば一冊でもご購入いただけるとウレシイです。どうぞよろしく。

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2006-10-18 ミノ君の歌

早起きして原稿にかかるハズが起きられず。9時に焦りながら起きて、やっと取り掛かる。書き始めるも、このパソコンの動作がのろく、メール一通読み込むのに数分かかる状態なのにいらいら。もう5年ぐらい使っているので、メモリハードディスクも飽和状態なのだ。でも、いまは買うカネもないしなあ。


12時までに、書物ブログ主宰者の座談会を上げる。誰が出席したかは、読んでからのお楽しみ。昼飯をかきこみ、次の原稿にかかる。4時にアップ。30分休んで次に。7時にアップ。いずれも毎日新聞社神保町ムックに入る記事だ。こう書くとすごく勤勉なようだが、ナニ、月曜日から1日1本書いていれば、こんな状態にはならなかった。編集者や取材先にメール原稿を送ると、7時半だ。ヤバい。自転車に飛び乗って、入谷へ。


8時に〈なってるハウス〉に着くと、いつもガラガラのこの店が今日はほぼ満席。いちばん前に席を見つけて座る。あとから『ぐるり』の五十嵐さんが来る。今日は、オフノートから出た鈴木常吉のアルバム[ぜいご]の発売記念ライブ鈴木常吉(vo、g、アコーディオン)、中尾勘二(asクラリネット)、関島岳郎(tuba、リコーダー)のトリオ。「今日アルバムの曲順どおりにやります」という言葉どおり、最初と最後に高田渡カヴァーをやった以外は、アルバムの曲だった。鈴木さんは長い手足をもてあますようにして、椅子に座って歌う。アコーディオンを弾くときは、苦悶といいたくなるような表情をする。オリジナル曲もいいが、「サマータイム」のカヴァーがすごい迫力だった。


第二部で、「ミノ君、という歌をやります」と云うので、ミノといえばこないだ、堀切直人さんと画家美濃瓢吾さん(著書『浅草木馬館日記筑摩書房)の話をしたなあと思ったのだが、曲が始まると、まさにその美濃さんを歌ったうただったのに驚く。「ミノ君、ミノ君/木馬館の売店で/ピーナッツを売る/絵描きのミノ君」。しみじみとイイうた。鈴木さんは「この歌をうたうと美濃さんは照れるんだ」と云っていたが、まだ会ったコトのない美濃さんに会ったら、この歌のことを話してしまいそうだ。 演奏時間は短かったが、深く静かに心に入ってくるライブだった。オフノートの神谷さんに挨拶し、[ぜいご]を買う。


鶯谷駅まで五十嵐さんと歩き、そこから自転車で帰ってくる。三日間溜まっていた日記を書いたら、2時間以上かかってしまった。


そうだ。先日、〈東京堂書店〉で『路上派遊書日記』が週間ベストの5位に入ったとサイトで発表されたと書いたが、その結果がなぜかウィンドウに反映されなかった(連休があったからか?)。前を通るたびに出てないなあと思っていたのだが、今日になって、次の週のベストサイトで発表になった。どうせナイだろうと思ったら、6位に踏みとどまっていた。5位は森まゆみさんの『円朝ざんまい』(平凡社)で、7位が小山清『小さな町』(みすず書房)という並び方もシブイ。午後に青柳さんから電話があり、「ウィンドウに出てますよ」と。先週のはすっ飛ばして、今週のを反映させているとのコト。〈書肆アクセス〉以外の売り上げベストに入ったのは初めてだから、ちょっと浮かれて、ウィンドウ写真を撮りに行こうかな。

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2006-10-17 仕事が私を選ぶ、のか

昨夜、書評で取り上げようと思っていた、田口久美子『書店繁昌記』(ポプラ社)を読んで悩む。そこで書かれている内容(ジュンク堂という書店の現場で起こっていること)には興味がある。でも、文章が粗すぎて、読み進めるのがつらいのだ。たとえば85ページ3段落目の、すべてが「、」でつながっている一節。一読して、すっと文章の流れがアタマに入ってこない。後半、ジュンク堂の店員の話を聞くあたりも、地の文からインタビュー文への流れが不自然で、なんかテープ起こしをそのままはめ込んだ感じ。ウェブで連載されたからだろうか? でも、同じくウェブ連載だった『書店風雲録』(本の雑誌社)はここまで読みにくくはなかった。これがこの人の文体だと云われてしまえばそれまでだが、ぼくには「ざまく」(出雲弁で雑という意味)な文章にしか思えなかった。仕方ないので、急遽、別の本に差し替える。


朝8時起き。原稿を書かねばならないが、なかなか手が着かない。〈古書ほうろう〉や〈往来堂書店〉を覗いたり、〈花歩〉でコーヒーを飲んだり。『日本古書通信』10月号の座談会「古書店に望みたいこと 感謝していること」を読む。匿名座談会となっているが、Aさんは私も知っているMさんだろう。司会は樽見さんだ。冒頭から「一箱古本市」が話題に上っている。どうも、自分たちの頭の中にある「本来の古本屋」と、最近の若い世代の古本屋あるいは「一箱」に参加する素人とを区別したいようなのだ。しかし、「本来の古本屋」などという明確な像がもともとあったのか、とぼくは疑問に思う。確固とした「業界」があった(そのほかの世界がなかった)時代には販売方法などに共通項があったにしても、古本屋さんは一人が一業種といってもいいほど、それぞれ違うあり方だったのではないだろうか? 「古本が読む物ではなくて、完全にグッズ化して、ただ買うこと持つことの快感だけになっているような気がします」(Cさん)という指摘などは、その通りだと思うが、じゃあ、どうすればいいか、ということは誰も話してくれない。昔の古本屋はよかった、というばかりだ。彼らが云っていることと、先日の「古本屋になるための一日講座」に出席した多くの古本屋志望者から感じた熱気とが、あまりにも違いすぎて、思わず一言書きたくなった。


原稿書けないまま、出かける時間に。東京古書会館の前でカメラマンのTさんと待ち合わせ。アンダーグラウンド・ブック・カフェでの、尾仲浩二写真家)・大田通貴(書肆 蒼穹舎)・林哲夫のトークショー「写真漬け――撮る人 編む人 描く人」の取材。大田さんとは久しぶりに会う。冒頭、尾仲さんの写真スライドショーがある。2作あり。どちらもご本人がMacでつくったそうだが、どちらもすごくイイ。音楽にもよく合っている。続いてのトークも、林さんの話の引き出し方が絶妙だったこともあり、すごくオモシロかった。作品としての写真を撮るために、職業的なカメラマンにならずに、仕事のないときは図書館と酒で時間をつぶしていたという尾仲さん、工場で働いた給料で年一冊、好きな作家写真集を出版していた(のちにその工場が倒産し、借金を負わされて逃亡までする)大田さんは、自分の仕事について「これしかない」という確信を持っている。私が仕事を選ぶ、のではなく、仕事が私を選んだ、と云えるだろう(冨田均が『私の愛した東京』ではなく『私を愛した東京』と書くように)。ぼくもそのうち、いまの仕事が自分を選んでくれた、と思えるようになるだろうか。


会場で毎日ムックのHさんから脅されるも、ウチに帰っても原稿は書けず。こんなときに、貫井徳郎『空白の叫び』上・下(小学館)というくらーい、くらい長篇小説を読んでしまい、夢見の悪い眠りにつく。

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2006-10-16 他人の言葉で

なんかいろいろあって、自分のことを書くのがめんどくさいので、今日は他人の言葉で書きます。


うらたじゅんさんの日記より。「月刊PR誌『未来』に、先月から香里団地のことが連載されてます。(略)1966年秋、サルトルボーヴォワール多田道太郎の住む枚方市・香里団地へやってきた。何故、多田たちはサルトルボーヴォワールを香里団地に招いたか?」。これは内藤寿子「サルトルボーヴォワール団地へ行く 〈事件〉は誘惑する 1」のことだ。うらたさんが住んでいる枚方団地には以前泊めてもらったコトがあるが、まさかあれが香里団地? と思ってうらたさんにメールすると、次のような返事が。


「香里団地とは、私が5歳以降育った場所です。私が住んでたのは19歳までですが、親はずっと住んでた。私や岡崎さんが在籍した枚方四中も香里団地の中の学校」。おおそうか、と未來社の小柳さんに伝え、ついでに岡崎さんにもその号の『未来』を送ってもらった。ちなみに、著者の内藤さんは以前、ウチの近所にお住まいで、「内藤」と「内澤」で名前が似てるせいか、なんどか郵便物が誤配されたことがある。旬公はこないだ行ったクレイジーケンバンドコンサートで、その内藤さんとご一緒したとのこと。世間は狭い、というべきか、我々がヘンな世間に生きているというべきか。


書肆アクセス〉で、岡林隆敏編著『上海航路の時代 大正昭和初期の長崎上海』(長崎文献社)を買う。「大正12年(1923年2月11日長崎上海間に上海航路が開設され、長崎丸・上海丸が就航。上海長崎は26時間で結ばれた。たくさんの日本人が蘇州河左岸の虹口地区に住んだ。本書は、古い写真新聞記事、地図絵葉書など掲載し上海航路の時代を再現した」(アクセスブログより)。図版たっぷりデータたっぷりの素晴らしい本。海野弘さんと打ち合わせで会ったときにお見せしたら、感心されていた。


海野さんの右文書院からの三冊目、『歩いて、見て、書いて――私の100冊の本の旅』は、もうすぐ校了で、11月半ばには出る模様。あっと驚くゲストもいるぞ。海野さんと同じ世代である元岩波書店大塚信一氏(最後は社長)の『理想の出版を求めて 一編集者の回想1963-2003』(トランスビュー)ももうすぐ出るようで、「(平凡社で同僚だった)嵐山(光三郎)くんの『昭和出版残侠伝』(筑摩書房)といい、回想の時代なのかもねえ」とポツリ。


モツ煮マニア』にも載っている、町屋の〈小林〉へ。串煮込みがウマイ。一人で飲んでるオヤジがニュースを見ながら。店主を相手に居酒屋政談を一席。「ほれ、あの、安部政権が……、だから、アレだろう、不況でホームステイが……」。店主は冷静に「ああ、ホームレスね」と受け止める。勘定を払ってでるときに、店主から「この店、インターネットテレビで見ました?」と云われ、「いや、三度目ですよ」と答える。でも最初はたしかにサイトで見て来たんだから、その通りに答えればよかったのだ。インターネットで見てくると、自分の目で選んでないからと引け目に思うのも、なんかヘンな話だ。好きで通ってるんだから、堂々と振舞えばイイんだよな。


今度の新宿展の目録で、S書店のページにすさまじい誤植が。「柳田邦雄」「子母沢官全集」なんて誤植はカワイイほうで、「鎌倉はその日 亀崎一雄」「あの人と歩く本屋 小沢信幸」「吉岡章太郎随筆集」「尾崎一雄―人々」「清水町善生 小沼」。変換ミスとも読み間違いとも違う、独特の間違え方。なぜ『あの日その日』が『鎌倉はその日』、『あの人と歩く東京』が『あの人と歩く本屋』になるのだろうか……? これで正しく注文できたヒトはエライ


徳島〈創世ホール〉の小西昌幸さんのミクシィ日記より。じつに真っ当なイベント論だと思う。


最近北島天水ナイト】と、【アイルランド音楽の午後/シ・フォークコンサート】の反響で、次のようなものがあった。


■【北島天水ナイト】に関して。「自分は徳島出身者だが、よくもあんな田舎でそんなことが実現したものですね。近くだったら行ったのに」。特に目ぐじらを立てるようなことではないと思われるかもしれないが、苦労に苦労を重ねて実現にこぎつけて、ジェットコースターのような思いで当日を乗り越えた企画当事者としては、気楽な言い方、何気ない書き込みの行間から、各種イヴェントは都会で開くものであって、田舎者はそれを苦労して見に行って当たり前、というような思い上がりがどこかにじみ出ているように感じられてならないのである。無自覚な覇権主義とでもいおうか。


■同様に【アイルランド音楽の午後】に関しても、「ぜひ東京でもやってください」「もう一度見たい、近畿圏なら行くのに」といった種類の反響を見かけた。もちろん企画者としては、この種の反響を痛快に思う。


■だが、うんと厳しく言わせてもらうなら、そんなに東京で見たいなら、お前が企画しろよ、そしてきちんと情宣をやって実現してみろよ、実行委員会を10人ぐらいで作って、お金を出し合って、1年かけてじっくり取り組めば出来るよ、ちったあ自分の人生を削ってみたらどうなんですかい、あーん、という言葉が出そうになる。モチロン素朴なファン(観客、聴衆)の素朴な文章に過ぎないものであるし企画者の言説ではないのだからそこまでいうとかわいそうなのだが、どこか、田舎を見下しているように思えるのだ。


■私が「同志の皆さん、万難を排して結集してください」というとき、「そうしないと次は見れませんよ」という思いを行間に込めている。


他人の言葉の切り貼りならラクだろうと思ったら、普通日記を書くよりも時間がかかってしまった。

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2006-10-15 バートン・クレーンのマッチラベル

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8時半起き。福岡での「チェコマッチラベル展」の展示物・販売物をまとめる。宅急便屋が引き取りに来るのを待っていたら、別の宅急便屋が箱を持ってくる。開けると、「ブックオカ」のパンフレットである。CDサイズだが、開くとすごくデカイ。表面には地図、裏面にはイベント一覧を載せる。地図には、「けやき通り一箱古本市」の出店場所も載っている。なんと21スポットで販売するようだ。イベントはメインが15、関連が7あり、あわせて22もの企画がある。それらをコンパクトに収め、大量の広告を配置した上で、見やすくて使いやすいマップをつくり上げている。このデザイナーの手腕はスゴイ。「不忍ブックストリートMAP」も見習うべき点が多数あった。この「ブックオカ」で南陀楼が関わるイベントを抜書きしておく。


チェコマッチラベル


1950〜60年代社会主義体制下のチェコスロヴァキアで製造されたマッチのラベル。素朴でシンプルながら、とても魅力的なデザインです。今回の展示では、チェコマッチラベル蒐集家から南陀楼綾繁が引き継いだコレクションから、書籍チェコマッチラベル』(ピエ・ブックス)に収録されなかったものも含めて展示します。知られざるチェコマッチラベルの世界をお楽しみください。会場ではチェコマッチの復刻版を販売します。


10月23日(月)〜11月5日(日)11時〜19時

アポロ計画(092-712-0904)


★第1回けやき通り一箱古本市


会期/2006年11月4日(土)11時〜17時 *雨天の場合は11月5日(日)に順延

会場/けやき通りの21の商店の軒先

出品者数/100


★フェア「福岡読書人が選んだ絶対オススメの3冊」


会期/10月16日(月)〜11月5日(日)各店舗の営業時間内

会場/ジュンク堂書店福岡店/丸善福岡ビル店/紀伊國屋書店天神店/紀伊國屋書店福岡本店/福家書店福岡店/福家書店キャナルシティ博多店/黒木書店天神店/福岡金文堂本店/積文館書店新店町店/青山ブックセンター福岡店/リブロ西鉄平尾店/あおい書店福岡店/ブックスキューブリックヴィレッジヴァンガード大名店

*南陀楼のセレクト本は、福家書店福岡店、ブックスキューブリックに陳列


南陀楼綾繁トーク「街に出て本と遊ぼう」


古本ミニコミに詳しいライターにして、「不忍ブックストリート一箱古本市」発起人である南陀楼綾繁が、いま、本の世界で起こっている、楽しい動きをお伝えします。


11月5日(日)13時〜15時

自然食品の店ふぁーむ

1500円(要予約)


以上の4つです。イベントが多すぎて、5日のトークに人が集まるか、心配です。福岡や近県の方、ぜひおいでください。当日は、いろんな本を見せながらハナシをしたいと思います。『路上派遊書日記』のサイン本も販売します。


「ブックオカ」のパンフと一緒に、「チェコマッチラベル展」の会場となる〈アポロ計画〉(http://www.apollo-keikaku.com/)のDVDが入っていた。このデザイン事務所は『ふるほにすと』の生野さんの勤め先で、今回、場所を貸してくれるコトになった。サイトで社歌をダウンロード配信していて、おかしな会社だなあと思っていたが、コレにはその社歌の動画が入っているのだった。見て、手描きっぽいアニメとチープな音楽脱力。しかも、ほかにコンテンツがあるのかと思って待っていたら、この社歌がループする! 映画DVD用のちゃんとしたパッケージまでつくっておいて……。社長以下、社員一同、尊敬に値するフザケっぷりである。お友達になれそうだ。早速、旬公と南陀楼家を事務所にしたときにどんな社歌と映像をつくるか論議する(その前に早く屋号を決めろ)。


そのあと、ある仕事に使うため、戦前期のマッチラベルの貼込帖を引っ張り出す。10年前から古本屋や入札誌で集めてきたもの。ざっと数えただけでも30冊はある(このほか、明治期の貼込帖が10冊ぐらい)。ふだんは奥にしまってあるが、久しぶりに見返すといろいろとオモシロイ。びっくりしたのは、バートン・クレーンふちがみとふなとカヴァーしている昭和期の歌手)のレコードの宣伝マッチがあったことだ。「威張って歩け」と「夜中の銀ブラ」のもの【図版】。味のあるイラストだなあ。そのあと、別の貼込帖を見ていたら、同じレコードの別デザインのラベルと、「ニッポン娘さん」「おいおいのぶ子さん」のラベルが2種類見つかった。コロムビアレコードが当時バートン・クレーンを売り出そうとしていたコトがうかがえる。この貼込帖を買ったときには存在すら知らなかったバートン・クレーンに、ふちがみとふなとを通して出会い、ずっと手の中にあった貼込帖のマッチラベルを発見する。奇縁だなあ。


6時、千駄木交流館で「秋も一箱古本市」の助っ人会議。10人ほど集まるが、ほとんどが若い女性で少々ビビる。春に比べると、かなり若々しい。説明を終えて、各スポットで渡す景品をつくる。ナニがもらえるかはお楽しみ。8時には終わり、〈サミット〉で買い物して帰る。晩飯は、豚肉と厚揚げ、白菜炒め。残っていたキムチ汁を混ぜると、ウマイ。


なにひとつ面白くない《ポセイドン》を流しっぱなしにして、貼込帖の閲覧を続ける。デザイン的にも内容的にもおもしろいラベルが、いくつも見つかった。たとえば、岡崎武志さんが書いていた、鶴見の〈花月園〉のマッチラベルは5、6種類あった。これらを手がかりに調べてみたいコトがいろいろと思い浮かぶ。どこかの雑誌で、「マッチラベルで見る東京」というような連載をさせてくれないかなあ。ビジュアルで楽しいと思うんだけど。

2006-10-14 bikkeの声が空気を震わす

朝8時半起き。東京新聞の朝刊1面に「銀座の背丈56メートルまで 景観問題で条例改正」という記事が。銀座中央通り周辺の建物は、1998年の条例で56メートルまでの高さと定められたが、実際には「抜け道」があったという。今回の条例改正は、松坂屋が最高で190メートルになる再開発を計画したことへの防御で、例外をなくし厳密に56メートル以内にするとのこと。松坂屋を抑えるためだけに条例を改正したというのはスゴイ。銀座景観を守ることは賛成だが、有楽町駅前の西武阪急建築中の丸井のあたりは、56メートル規制がなく、なんとなく現状追認的なカンジがある。


今日から「谷中芸工展」なので、自転車で少し回ってみる。といっても、時間が早くまだギャラリーは開いていなかったので、〈タムタム〉で佐久間さんの写真展を見たぐらいで、帰ってくる。今年で14回目を迎えたという。「不忍ブックストリート」などまだまだヒヨッコである。街イベントの先輩として学ぶところは多い。ただ、芸工展って、いつもイツ、ドコでどんな催しをやっているかが見えにくいんだよねえ。統一的なポスター、チラシがなく、サイトにも情報があまり載っていない。200円のパンフレットを買って、はじめて全貌が判るという具合で。地元に住むぼくがそうなのだから、外から来たヒトはもっと判りづらいのではないか。もっとも、なんでもかんでも情報をのっければイイかといえば、そうともいえない。難しいところだ。


原稿の構成などをやるも、なかなか取り掛かれず。諦めて4時ごろに出かけて、吉祥寺へ。〈リブロ〉で資料本を数冊買う。なんだかすごく、フツーの本屋なっちゃったなあ。ミステリ専門書店TRICK+TRAP〉に行ってみようと思い、中道通りへ。前にもこの辺をうろついて見つからなかった。たしか、郵便局が目印だったと思い、それを通り過ぎてしばらく歩くもそれらしい店はない。商店街が終わってしまったので、引き返す。けっきょく、見つからなかった(あとでサイトで見ると、郵便局の前のマンションの2階だった。看板を見落としたのか?)。なお、この店のブログ(http://blog.livedoor.jp/jigokuan/)に、いしいひさいちと小林信彦が菊池寛賞を受賞したというニュースが載っていた。いしいひさいちと菊池寛。すごい取り合わせだ。


先日、本店が閉店した〈いせや〉の仮店舗ができたというので、行ってみる。近くまで行ってもよく判らず、『ぐるり』の五十嵐さんに電話して教えてもらう。どういえばいいのか、北口を出て、ガード下西荻方向に歩き、しばらく行って北側に歩くとある。二階建てで、1階が立ち飲み椅子席だが、両者は混合している。焼酎モツ煮。雰囲気はべつに悪くないが、南千住三ノ輪の安い飲み屋に慣れてしまうと、あえてこの〈いせや〉でなければという必然性は感じられない。地元のヒトにはなくてはならない店なのだろうが。なので、1杯だけ飲んで出る。


MANDA-LA2〉の前で、〈古書ほうろう〉の宮地健太郎さんと待ち合わせ。旬公と行くつもりだったが、クレイジーケンバンドコンサートに日和ったため、代わりに誘ったのだ。SAKANAライブはわりといつも開場が遅れるのだが、今日は6時半ジャストに客入れが始まった。早い番号の前売り券を買っておいたので、テーブル付きの椅子に座れてよかった。ライブは、SAKANAからはじまる。いつもほどはダラダラせず、10曲ぐらいやってくれた。休憩を挟んで、JBへ。ライブbikkeを見るのははじめてだが、声がすごくよく響く。名曲「ヘブン」などbikkeの声でビリビリと空気が震えるようで、が最高だった。JB版の「坂をのぼる」もナカナカ。そのあと、SAKANAが加わり、4人で互いの曲を一緒にやる。ポコペンが歌うと、「at home」もブルースになる。ポコペンと渕上純子の性質も歌い方も真反対といっていいと思うが、その声の絡み合いが、不思議といい感じだった。全員ヨカッタが、なんといっても今日は、bikkeボーカルが素晴らしかったな。今度、bikkeバンド・ラブジョイのライブにも行かねばなるまい。


終わって、渕上さんに挨拶。ヨコに加藤千晶さんもいらしたのだが、挨拶しそびれてしまった。名乗ればよかったのに、とあとで思う。ラブジョイのファーストアルバム[妙]を買い外に出るが、さっき買った本を忘れたコトに気づき、取りに戻る。中野で宮地さんと別れて、ウチヘ。


小林信彦『決壊』(講談社文芸文庫)を読んだ晩鮭亭さんが、以下のように書いている(http://d.hatena.ne.jp/vanjacketei/20061014)。


この「決壊」について南陀楼綾繁さんが「ナンダロウアヤシゲな日々」で《容子の父が出雲地方の出身であることも、修には自分たちの将来にとって暗示的なものに感じられた》の一文を意味不明としていたが、これは素直に“出雲出雲大社=縁結びの神様”と考えて、婚約者の容子と結婚し、容子の家のような家庭を構えることへの暗示を修が感じていると読めばいいのかなと思ったのだが、どうだろう。


うーん、そうだろうか。この部分は『路上派遊書日記』にも収録しているが、「意味不明」と書いたあとで「山陰だから暗いってコトか?」としたのは、その前の節にあった、「容子のなかにある暗い部分」という表現を受けている。それは短絡だったにしても、小説のなかで「出雲地方」がどんなところかがまったく示されていないのに、“出雲出雲大社=縁結びの神様”と読んであげるコトができるのは、よほど作者思いの読者だけなんじゃないのかなあ。少なくとも、出雲大社出雲地方の一部でしかないコトを知っている地元出身のぼくには、ずいぶん唐突な感じがする。年譜を見ると、小林信彦の奥さんは松江市出身であり、やっぱり出雲大社とは直接つながらないように思うんだが。……などと細かいところで反応してしまうのは、東京についてのいい加減な記述を読んで小林信彦が怒るのと同じ感覚なのかも。しつこいようだけど、小林信彦はこの小説の中で、容子の暗さと「出雲地方」を関連づけているように思えてならない。この小説を読んだ感想を、ほかの出雲出身者からも聞いてみたい。

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2006-10-13 『日々の死』を手にして

朝8時半起き。そうめんをゆでて食べる。パソコンに向かっていろいろやっていると、外が騒がしい。今年のアタマから工事していた、近くのマンションが完成し、1階にパン屋が今日オープンしたのだ。下を見おろすと、主婦の集団が長い列をつくっている。この通りにこんなにヒトがたくさんいたの、はじめて見たよ。


12時前に自転車で出かける。郵便局に寄り、〈往来堂書店〉で山岸凉子舞姫(テレプシコーラ)』第9巻(メディアファクトリー)と、二ノ宮知子のだめカンタービレ』第16巻(講談社)を買う。湯島に行き、本郷に向かう坂の途中にある大きなマンション湯島ハイタウン)へ。ココの1階にある〈羽黒洞〉というギャラリーで、「長谷川利行の愛した下町展」をやっているのだ。長谷川利行上野日暮里に住み、下町風景を描いた画家1940年三河島路上で倒れ、収容先の病院で亡くなっている。タウン誌『うえの』の表紙に使われていたことなどは知っているが、きちんと見るのははじめて。絵の具を厚く塗って重ねていくことで、風景を描いている。亡くなる2年前に描いた「田端風景」という作品が気に入った。〈羽黒洞〉の創業者木村東介(『不忍界隈』『上野界隈』などの著書がある)は早くから長谷川利行の絵をコレクションし、遺作展を開催している。


並びにある〈飛鳥〉という喫茶店ランチがなんとなくイケそうなので、入ってみる。ビーフカレーを頼むと、スープサラダが付いて、カレーソースが別盛りで出てきた。味もウマイ。これで750円はリーズナブル不忍池に出て、弁天島にある「利行碑」(1969年建立)を眺める。この境内には、「魚塚」「鳥塚」「包丁塚」「めがね塚」「三味線塚」「ふぐ塚」などの供養塔がたくさん立っていて、オモシロイ。いずれゆっくり来よう。


上野駅のヨコから下谷神社へ。適当に見当をつけて走っていたら、稲荷町に出る。この道沿いに〈ブックオフ浅草稲荷町店があるのを発見。知らなかった。一回りするも、ナニも買わず。かっぱ橋道具街を通り、台東区中央図書館へ。いま調べているテーマの本を十数冊借り出す。鶯谷経由で帰る。西日暮里から上野台地をぐるりと回りこんできたワケだ。

 

ウチに帰ると、〈さっぽろ萌黄書店〉さんから冊子小包。「日本古本屋」で検索して、山川方夫『日々の死』(平凡出版)を買ったのだ。函つき・まあまあの美本で2500円は明らかに安い。いつもだったら状態は気にしないが、この本は箱から表紙、見返しにいたるまで真鍋博幻想的なイラストが入っており、なるべくいい状態で入手したかった。本体は継表紙で「チリ」がなく、見返しと同じ紙が別丁扉として挟まれている。旬公に云わせると、商業出版物としてはきわめて珍しい造本らしい。以前から欲しかった本だけに、入手できてウレシイ。


さっぽろ萌黄書店〉からの荷物のナカに、もうひとつ本があった。和田義雄『喫茶半代』上下(ぷやら新書刊行会、1977)という豆本である。これはいわば未完成品で、豆本本体、カバー、帯、背表紙シール、そして外函として使うマッチ箱でセットになっているようだが、組み立てられておらずバラバラのままだ。マッチ箱の内箱は経木がたわんでしまっており、ココに豆本を収納するのはムリそうだ。ということは、コレはバラのままで保管するしかないというコトか? もっとも、買ったのではなく、萌黄書店の坂口さんからのプレゼント。今年1月に札幌に行った際、坂口さんに連れて行ってもらった〈弘南堂書店〉で、ぼくは和田義雄の豆本コーヒー物語』(ぷやら新書刊行会、1984)を買っている。そのことを覚えていてくれたのだろう。この2点に『札幌喫茶昭和史』(財界さっぽろ)そ加えて、和田義雄の「コーヒー3部作」が揃った。


集めた本を見ながら、リストをつくっていると、6時15分になる。慌てて着替えて、旬公と〈千尋〉へ。店の前で右文書院青柳さんと会う。nakabanさんと中林麻衣子さんの「きりん果コンビが後から来る。『路上派遊書日記』の打ち上げなり。刺身や煮魚を食べ、海外旅行のハナシなどで盛り上がる。気がついたら10時回っていた。〈古書ほうろう〉に寄り、また10冊、文庫を買い込んで帰る。

2006-10-12 本を送って母親に怒られる

朝8時半起き。いろいろやってるウチに出かける時間だ。千代田線から小田急線への直通で、成城学園前駅へ。北口は成城大学があるので何度も来ているが、南口ははじめて降りる。食べ物屋がほとんど見当たらず、ちょっと高級そうなおでん屋でざるそばを食べる。680円で、薬味がたっぷりに、生卵、おにぎりなどが付く。そばもかなりウマかった。近くの主婦3人が中学受験のハナシをするのがBGM子どもを持っている女性を見ると、自分より年上のように反射的に思ってしまいがちだが、きっとぼくよりも年下だ。


〈伽羅〉という喫茶店で、Hさんと打ち合わせ。終わって、隣の〈江崎書店〉を覗く。小さいけどナカナカ品揃えがイイ。北口の古本屋〈キヌタ文庫〉まで歩くが、今日休みだった。下北沢井の頭線に乗り換えて、渋谷へ。〈ブックファースト〉で、今度の仕事の資料を大量買い。そのほか、小林信彦『決壊』(講談社文芸文庫)、小山清『小さな町』(みすず書房大人の本棚)を。


ウチに帰り、図書館に調べものに出かける前に、実家電話をかけると、母親がなんか怒っている。『路上派遊書日記』を送ったのだが、それを読んで、好き勝手な生活をしていると腹を立て、さっき怒りの手紙郵便局で投函してきたところだと。縷々弁解する。電話を切ってから、本を出したので喜んでくれるだろうと思った自分の能天気さに呆れる。そりゃそうだよなあ、「3年越しで確定申告を」なんて見出しのある本を見たら、親もイヤになるよな。


なんだか気分を変えたくなって、図書館をヤメて、本駒込の〈ときわ食堂〉でチューハイを飲む。飲みながら、椎名誠新宿熱風どかどか団』(新潮文庫)を再読していたら、35歳で会社を辞めてフリーになった椎名のもとに、文藝春秋マガジンハウス朝日新聞小学館などの大手ばかりから次々に仕事が舞い込んでくるので、彼我の差に笑ってしまう。才能の違いといってしまえばそれまでのハナシだが。


夜、旬公が知人から借りてきた、山岸凉子舞姫(テレプシコーラ)』(メディアファクトリー)を読み始めると、あまりの面白さに止まらなくなり、8巻まで一気読み。クラシックバレエが題材だが、日常がすべてホラーに思えてくる、この作家特有の磁場が全体を覆っている。ダーク版『ガラスの仮面』だ、こりゃ。とはいえ、ぼくの場合、子どものときにこんな苦しい思いをした経験をナニ一つしなかったから、こんな能天気な人間になってしまったのかも。


弟からメールがあり、『路上派〜』の最後に甥のことを書いたのを、本人が喜んでいたとある。今度は姪のことも書くように、とリクエストがあった。ちなみに、出版社の営業の弟とぼくは仲が悪いというデマが一部で飛んでいるようで、「悔しいので日記に『●月●日 弟と食事』とか『●月●日 弟と飲む、最近よく会うなあ』とか書いておいて」とも。「よく会う」はウソだけど、そんなに仲は悪くないぜ、助教授。22日の「秋も一箱古本市」では、午後から一家で見に来るそうなので、そのとき南陀楼の子ども時代に激似の甥を目撃することができるかもしれません。

2006-10-11 10月の路上に寝転ぶ

朝8時半起き。「書評のメルマガ」を編集して発行。荷物を届けに来た宅急便屋さんが、「このマンションの前でヒトが倒れてますよ」と云う。なんでも若い男らしい。用事があったので、旬公と下に降りるが、たしかに入り口のところに横たわっている……。B-BOY風というか、まあ今どきの若者で、耳にはイヤホンをしている。ぐっすり眠っているようだ。入り口をふさぐようにして寝ているので、自転車が出せない。しょうがないので、何度か揺さぶって起こす。逆ギレでもされたらヤだなあ、とヒヤヒヤしてたが、目を覚ますと恥ずかしそうに「すいません」とつぶやいて去っていた。飲みすぎで動けなかったのだろうか。しかし、もう11時だぜ。


自転車根津へ。朝飯を食い損ねたので、朝昼兼用にしようと、根津神社近くのうどん屋〈根の津〉に行くがまだ開いてない。これで連続5回以上の空振りだ。開店まで待つのもおっくうなので、先日入った〈日増屋〉へ。ぼくは味玉ラーメン、旬公はタンタンメン。日暮里〈一力〉に並ぶ、ごくフツーの味のラーメンに、静かに感動する。上野に行き、〈MIYAMA〉という喫茶店(〈ルノアール〉系だった)で本を読む。旬公と別れて、アメ横を少し歩く。郵便局冊子小包を出し、〈新宿書店〉(エロ本専門)で、柳下毅一郎監修『女優 林由美香』(洋泉社)を買う。380ページで3990円。自転車千駄木に戻り、駅前のコピー屋で資料をコピー。ページ数の多い資料を複数部つくると、整理がタイヘンだ。西日暮里で会うはずだった『進学レーダー』のIさんが店まで来てくれ、書評の本代を受け取る。


Iさんから、森伸之『私学制服手帖 エレガント篇』(みくに出版)を受け取る。『進学レーダー』に連載された中高一貫校の制服イラストルポ。このヒトのイラストタッチは、デビュー以来ほとんど変わらない。本文は半分以上カラー。本書でスゴイのは、レーダー連載と一緒に、『ベッピンスクール』(見たことないけど見当はつく)の連載も収録されていること。けっこう大胆だなあ。装幀は原条令子。ときどきやりすぎの感があるデザイナーだが、今回のデザインシンプルで落ち着きがあってとてもイイ。グラシン紙の帯もグッド。『進学レーダー』は中高一貫校受験情報誌だが、Iさんがオモシロイと思ったヒトをどんどん登用しているため、誌面がなんだかスゴイことになっている。いまの連載陣は、森伸之のほか、紀田順一郎福満しげゆき藤本和也今日マチ子内澤旬子、QBB。ぼくも本名で2つ連載させてもらっている。子どもを持たないヒトには縁のない雑誌だが、一度パラパラめくってみるとオモシロイと思う。都内の大手書店普通に買えます。


林哲夫さんより、新刊『読む人 WHAT ARE YOU READING?』(みずのわ出版)が届く。スムース文庫版に新作を加えた、「読む人」スケッチ集。装幀を見て、なぜか韓国台湾の出版物に似ていると思った。ペーパーバックだからか ? 「「読む人」の模写および無断転用を許可します」というクレジットがいいね。いろんな「読む人」の絵が増殖していくとイイ。「読む人展日記」には知り合いがたくさん登場するのだが、ぼくは出てこない。どうしてかなあとおもって、『路上派遊書日記』を読み返すと、展覧会に行けなかったコトが書いてある。じつに役に立つ本だなあ(オレだけには)。


路上派遊書日記』といえば、〈東京堂書店サイトhttp://www.tokyodoshoten.co.jp/)の「今週のベストセラー」を何気なく(いや、かすかな期待を込めて)見ると、10日調べで5位に入っている! ホントかよと思い、ちょうど出かける時間だったので、神保町に寄ってみる。青柳さんと東京堂で待ち合わせするが、前まで行ってみると、まだ先週のベストセラーのままだった。うーん。メッタにないことなので、記念写真を撮っておこうと思ったのだが……。〈書肆アクセス〉で『本の雑誌』を買う。


都営新宿線で久しぶりに市ヶ谷へ。駅前の〈文教堂書店〉に寄ったら、『路上派〜』が平積みされていてビックリ。こういうのを置く店じゃないのだが、市ヶ谷が出てくるからだろうか? そのあと、〈アルカディア市ヶ谷〉でKさんと打ち合わせ。ウチに帰り、水餃子で晩飯。いま履いている靴が二足ともダメになってきたので、激安靴の〈ヒラキ〉のカタログを見てサイトで注文。一足350円とか980円とか、靴下じゃないのかソレは、と思うような安さだが、案外よく持つし、ぼくは靴を履きつぶすのが早いのでこのぐらいでちょうどイイのであった。

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2006-10-10 ミーハーと呼ばば呼べ

朝8時半起き。今日インタビューの準備。必要な本が書棚に見つからず、あわてて本郷図書館に借りに走る。置いててヨカッタ。直接注文いただいた『路上派遊書日記』をメール便で発送しようとしたら、「厚さがオーバーしてます」と云われる。梱包材が厚すぎたか。それでも「ちょっとぐらいイイでしょ」と食い下がってみるが、「2センチまでなんですが、これは5センチあります」と云われる。本自体が厚いからなあ。しょうがないから、郵便局で出すか。


12時半に出て荻窪へ。先日、岡崎さんたちと行った、荻窪北口の小路にある〈富士〉にまた行く。今日は半チャンラーメンチャーハンもちょうどいいウマさで、神保町の〈伊峡〉を髣髴とさせる。駅前でHさんと待ち合わせて、某所でインタビュー。終わって〈ささま書店〉まで行くが休みだった。


山手線に乗っているときに、先日の『モツ煮狂い』を見返していたら、滝野川の〈高木〉に行きたくなり、巣鴨で降りて三田線に乗り換えて西巣鴨で降りる。明治通り池袋方向に歩き、淑徳巣鴨の前まで行くと、あった、あった。客が多いかなと思ったら、わずかに2人。精悍なおじさんと若い衆が二人で働いている。奥のカウンターには、ご老人が置物のように座っている。これが店主なのか。今日ガイドブックにしたがうことにして、「アブラ」と「ミートボール」を食べる。アブラは噛んだところから、口の中でトロっと溶けていく。もちろん、モツ煮も頼む。ごくフツーの味付けだが、カウンターに置かれたタマネギのみじん切りを掛けて食べるとウマイ。テレビニュースで、北朝鮮核実験を行なったことを知る。事態の切迫感と、この店の「いまだ平成に入らず」という雰囲気があまりにもミスマッチで、なんだか夢のよう。この通りは、池袋浅草バス(草63)のルートなので、何度となく通り過ぎている。でも、こんな店があったとは知らなかった。久々にガイドブックに教えられた。しばらくはこの『モツ煮狂い』をカバンに入れておき、南千住や立石のもつ焼き屋に行ってみよう。ミーハーと呼ばば呼べ。


草63のバスに乗って、団子坂下で降りる。不忍通りの〈ジョナサン〉で、「秋も一箱古本市」の会議。もう来週末なのだ。早いなあ。ナカムラ&イシイのコンビが、細かいところまでちゃんと進めているので、ぼくのほうは「これはやったか」「あれはどうした」とチェックを入れるだけで済む。今回は「集中レジ」方式から、「個別精算」方式に切り替えたのが最大の変化だが、それもなんとかクリアできそう。あとから、及川さん、三五さん、旬公が参加するが、残るは景品のハナシなので「チーム内澤」にお任せして、先に帰る。


本郷ギャラリー〈ヴァリエテ本六〉からDM。「9.11→」展というのを10月24日〜28日にやるそうだが、同時に「本六晩秋の古本市」というのも開催するらしい。これだけしか書いてないので、どういう古本市なのかは不明だが、行ってみなければなるまい。しかし、どうせなら22日に開催してくれれば、「秋も一箱古本市」と連動できたのになあ。

2006-10-09 キミも古本屋になりたいか?

朝8時半起き。今日古書会館の講座での話のメモをつくる。オヨちゃんから届いたメモをもとに、構成を考えていく。BGMは、よしだよしこ[ア・シ・オ・ト]とネタンダーズ[THE NETANDERS]。前者は今年前半に出たよしださんのセカンドアルバムだが、なかなか入手できずにいたもの。後者は2枚組。


12時前に出て、小川町へ。〈ボヘミアンギルド〉を覗くと、海野弘『魅惑の世紀末』(美術公論社)850円が出ていたので、買う。東京古書会館の正面口が閉まっていたので、裏口から入る。ちょうど下に降りてきた広報部長石神井書林・内堀弘さんと会い、8階に案内される。「古本屋になるための一日講座」の講師である、うさぎ書林の芳賀健治さん、日本古書通信社樽見博さんがいらしていた。あとから、オヨヨ書林山崎有邦くんも。主催者側からは月の輪書林高橋徹さん(『路上派遊書日記』の注に誤植があり、平謝り)、お久しぶりの苔花堂書店・川守田花枝さんら。この講座の打診があったときに、内堀さんが「弁当はいいのが出ますから」と云ってたので、ちょっと期待していたら、〈なだ万〉のお弁当でした。さすがに美味しかった(もっとも、「ホカ弁出そうと思ってたけど、ブログに書かれるからなあ」という声もどこからか……。そんなセコイ「外圧」掛けませんよ!)。


2時前に地下ホールに降りると、すでにお客さんが入っている。120人予約があったそうだ。理事の挨拶があって、うさぎ書林さんがトップバッター。次にオヨちゃんとぼく。うさぎさんを「堅実派」とすれば、オヨちゃんは「天才肌」の古本屋だと定義し、「天才の話はよくワカランのでぼくが翻訳します」と云って話を始める。オヨヨくんは彼なりにちゃんと話してはいるのだが、いかんせん、ときどきハナシが長島的な展開になるので、思わずツッコんでしまう。今日は笑わせるつもりはなかったが、どうもウケていたようだ。しかし、このハナシを『古書月報』に載せるらしいが、まとめるヒトはタイヘンです。休憩を挟んで、樽見さん。古本屋はその本を遺した人の思いを受け継ぐ仕事であること、日々に出会った本についてどんなしかたでもいいので記録を残してほしいこと、という二点を話された。


壇上から客を見分けるほど場慣れしてないのだが、インターネットでの応募がほとんどだったという情報から、20〜30代が中心かと思っていたら、40代以上、あるいは50代以上の方がけっこう多かった。社会人としてすでに何十年もキャリアを積んでいる人たちが、まだ30代のうさぎさんやオヨちゃんの話を真剣に聞いている姿は、古本屋という商売ならではという気がする。年功序列よりも経験が優先する世界。


最後に質疑応答。ネット販売のリスク組合の支部の機能など、細かい質問が多く、うさぎさんか組合代表で石神井さんが答えてくれた。石神井さんは、最初に「古本屋は売れない話ばっかりするので、今日は明るい話をしてもらいます」と云ってたくせに、質問に対しては、やっぱり売れない話をしていた。それもすっごく嬉しそうに話すんだもんなァ。じつは、石神井さんの話がいちばん過激であり、同時に、楽天的でもあるのだった。終わって、盛厚三さん(http://d.hatena.ne.jp/kozokotani/)から話しかけられる。晩鮭亭さんも見かける。古本Tのコンビは見つけられなかったが、ブログレポートを書いてくれている(http://tmasasa.exblog.jp/)。このうち、盛さんと晩鮭亭さんは22日の「秋も一箱古本市」に店主として参加するのだった。


会場の椅子を片付けたあと、8階で打ち上げ古本屋さんと話すのは、どうしてこんなに楽しいんだろう。もちろん彼らは、個々にはいろんな問題や悩みを抱えているのだろうけど、こういう場では、いつも楽天的で夢想家で自分の仕事に自信を持っている、ように見える。こんな業界は、他にないのではないか。この場に身を浸す機会が得られただけでも、今日の講座を引き受けた価値はあった。


6時半ごろに千駄木着。〈古書ほうろう〉に着くと、友部正人さんのライブが始まっている。CDは1、2枚聴いているが、ライブは初めて。まっさらの状態で聴いた友部さんの歌は、じつによかった。中央線を歌った「一本道」もやってくれた。そして、間に挟まれた詩の朗読もとてもイイ。言葉が直接響いてくる。友部さんが朗読をするときは「いそいそ」というカンジで読み始めるのが、なんだか可笑しかった。すごく詩が好きなんだな、このヒトは。終わって打ち上げがあるようだったが、喋りすぎて疲れたので先に帰る。オヨちゃんはまったくの元気でそのまま残っていた。100人の前でもゼンゼン緊張してなかったし、ホントにこいつは天才である。そして、この天才としょっちゅう会うことができるようになったのも、「不忍ブックストリート」のおかげであり、やってよかったなあ、と思うのであった。

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2006-10-08 『モツ煮狂い』を買いに走れ!

朝8時半起き。自転車三ノ輪に行き、立ち食いそば屋で朝飯。あとから、朝帰りっぽい女が二人入ってきた。タバコを吸いながら化粧品のハナシをしている。けだるい午前10時。根岸図書館ポストに本を返し、南千住図書館に回る。同じ建物にある荒川ふるさと文化館、今月末から展示は「あらかわと野菜」だそうだ。相変わらずユニーク企画をやる(ただし、いい加減、展覧会情報ネット上にちゃんと出してほしいものだ)。


ウチに帰り、旬公がいないので、一人でトマトソースペンネをつくり、《噂の東京マガジン》を見ながら食べる。我ながらよくできた。3時に出て、阿佐ヶ谷へ。〈よるのひるね〉で漫画家が出品する「アックスフリマ」というのをやっているのだ。藤本和也さんも出してる。今日のために描いたイラスト(1点もの)のナカから1枚と、コピー冊子の図案集を買う。ほかの出品者も見たかったが、売る側も買う側も知り合いばかりのようで、どうも近寄りがたい雰囲気なので、10分ほどで出てしまう。


中央線の車内で、先日〈ダイバー〉で貰ってしまったミニコミモツ煮狂い』第一集(平成烏有堂)を読む。表紙が『酒とつまみ』の確信的なパクリなのに笑ってしまう。内容は東京居酒屋20店のモツ煮を紹介したもの。サブタイトルに「東京都市郊外』のフォークロア」とあるが、この「郊外」は戦後東京西部に拡大していくそれではなく、明治以降の近代化によって工場が広がっていった「浅草以東、曳舟から立石にかけてと、折り返しの町屋への京成トラインアングル」を指している。略歴からも判るように、著者(クドウヒロミ)はインテリもしくはインテリ崩れと推測され、「はじめに」あたりにそのインテリくささが顕著だが、文章のセンスは悪くない。店のセレクトや、そこで出しているモツ煮についての説明も判りやすく、食欲をそそる。東向島の〈丸好酒場〉や滝野川の〈高木〉にすぐにでも行きたくなった。巻末には、家庭でできるモツ煮のつくり方まで入っており、イヤすごいっすよ、これは。32ページを舐めるように読んでしまった。350円は安い。いまのところ〈ダイバー〉にしか置いてないらしいので、神保町に行ったら同店に買いに走るべし。もっと前に知ってたら、『小説すばる』のリトルマガジン特集で紹介したのになあ。常連退屈男はこんな面白いの紹介せずにナニやっとる! と憤慨したら、ちゃんと9月16日に紹介しているではないか(http://taikutujin.exblog.jp/4287716/)。彼はぼくほど興奮してないが。


武蔵小金井へ。早めに着いたので、駅前を少し歩く。改札で『モツ煮狂い』じゃない、『酒とつまみ』大竹さんと『ぐるり』の五十嵐さん、エンテツさんと待ち合わせ。いつもの「古本屋居酒屋行き」の取材という名の飲み会。この日の模様は11月中に出る(ホントかよ)『酒とつまみ』第9号でご覧あれ。いい気になってずいぶん飲んじゃったな。ウチに帰ってとっとと寝る。

2006-10-07 飯能で擬獣たちと

昨日は横殴りの雨の中、ずぶ濡れになりながら、神保町で3軒の取材をこなす。〈古本休み処 ダイバー〉では思わず話し込んでしまった。この店では南陀楼よりも退屈男のほうが有名でした。


今日は8時半起き。いつも通り遅れに遅れた『彷書月刊』の原稿を書く。今回は沼辺信一さんのブログ「私たちは20世紀に生まれた」(http://numabe.exblog.jp/)。数日前に亡くなった田中登監督についての記事があった。田中登といえば、下宿屋本郷館〉でロケした《江戸川乱歩猟奇屋根裏散歩者》(1976)もすごい(のちの実相寺昭雄版の100倍も)が、ナンといっても、《マル秘色情めす市場》(1974)である(秘をマルで囲う)。飛田遊郭舞台に繰り広げられるシュールサイケな作品だった。あと、ネットを見ていて、〈古書ほうろう〉のサイトでの日記が、ブログ古書ほうろうの日々録(仮)」(http://d.hatena.ne.jp/koshohoro/)に移行したことを知る。はてなには知り合いが多いなあ。


12時すぎに出て、池袋へ。西口中華料理屋でチャンポンを頼むと、具だけチャンポン風で麺がフツーのラーメンだった。ちょっと釈然とせず。ウマかったけど。この辺にあった〈ヴァージンメガストア〉が消えて、パチンコ屋になっていた。あの品揃えじゃあ、まあしょうがないか(あとで見ると、丸井の上に移転していた。以前、丸井の地下の広いスペースを占有していたときが、夢のようだ)。西口公園古本祭りを見てから、西武池袋線のホームで、堀切直人さん、作家の浦野興治さん、右文書院青柳さんと待ち合わせ。飯能に行き、鈴木地蔵さんと会う。このうち、堀切さん、青柳さんは旬公によって「擬獣化」済み。じつは地蔵さんもスケッチぐらいはある。もちろん、擬獣長は私です。飯能でのことは、「まぼろしチャンネル」で書くつもりなので、略す。


夜11時前になっても、ハナシが尽きないが、翌日も用事があるので、ぼく一人で先に帰る。ウチに着いたら12時過ぎていた。

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2006-10-06 『路上派遊書日記』の注釈一覧です

『路上派遊書日記』の注釈の一覧を以下に掲載します。合計でちょうど300項目。項目名だけだとなんだかよく判らないモノもあると思いますが、ま、こんなカンジで入ってますよ、ということで。気になる項目があれば、ぜひ現物を(できればご購入の上)参照してください。[遠]は遠藤哲夫さん、[浅]は浅生ハルミンさんの執筆です。


★『路上派遊書日記』注釈一覧


【1月】32項目

ダルマ堂書店

田端ヒロアキ〔遠〕

田山幸憲

エンテツさん(遠藤哲夫)〔浅〕

セドローくん(向井透史)〔浅〕

アキヒロくん(安藤章浩)〔浅〕

旬公(内澤旬子)〔浅〕

酒とつまみ〔遠〕

古書上々堂〔浅〕

デパート古書市の受難の年

イチローくん(岡島一郎)〔浅〕

ときわ食堂〔遠〕

けものみち〔浅〕

アンダーグラウンド・ブック・カフェ〔浅〕

佐藤助教授佐藤健太)〔遠〕

吉田勝栄

早稲田古本村通信〔浅〕

ジョナサン〔遠〕

渡辺勝〔遠〕

神谷酒場〔遠〕

京成線

立石仲見世

河野鷹思

ゆまに書房

噂の東京マガジン

又一順

BOOKMANの会〔遠〕

塩山芳明〔遠〕

寿和苑〔遠〕

濱田研吾〔遠〕

駄菓子屋横丁

小川美潮


【2月】25項目

高円寺古書展

坂口尚

遠太〔遠〕

中ざと〔遠〕

板祐生

荻原魚雷〔遠〕

烏本舗〔遠〕

書評のメルマガ

モクローくん通信〔浅〕

前田和彦〔遠〕

デカダン文庫

かねたく(金子拓

タイムスリップグリコ

傅月庵

謄写技法

横浜日劇

古本酒場コクテイル

荒川ふるさと文化館

大林

世田谷文学館

■(牛+古)嶺街

行田フライ

古書往来座

万歩書店〔浅〕

古書ほうろう


【3月】25項目

谷中コミュニティセンター

グランド

書肆啓祐堂

喜多川周之

高円寺文庫センター

おに吉

江ぐち

三岩

オフノート

薄花葉っぱ

屋台村

エディ・コスタ

堀切直人

バラエティ

高野ひろし

ミステリーファンのための古書店ガイド

わんだ〜らんど通信

漫画の手帖

書庫

一畑電鉄

sumus(スムース

貸本喫茶ちょうちょぼっこ

中山亜弓

小奈や


【4月】40項目

げんげ忌

猫車配送所

岡崎武志〔浅〕

中相作

四季書房

河原淳〔浅〕

編集出版組織体アセテート

不忍ブックストリートMAP

堀内さん

浅生ハルミン

古書日月堂

我楽他宗

金澤文圃閣

荒木幸葉

駅前シネマ

龜鳴屋

伊藤人譽

あうん堂

清水

よしだよしこ

万歩計〔浅〕

スムース文庫

早稲田文学

エルヴィスが死んだ

ロバロバ・カフェ

池袋西口公園古本まつり

八木福次郎

海月書林〔浅〕

藤本和也

影坂狩人

コピー

桂牧

枝川公一

山本善行

ブックピックオーケストラ

彷書月刊〔浅〕

藤田晋也〔遠〕

森茉莉かい堂

旅猫書房

高橋茅香子


【5月】21項目

サンパン

伊藤理佐

五月一日の記述について

退屈男

季刊・本とコンピュータ

アトレ〔遠〕

上野古書のまち

リコシェ

扉野良人

CABIN

全冷中

山名文夫

ぶらじる

佐野繁次郎〔浅〕

面白半分

今柊二

玄黄荘

本のメルマガ

トスキナア

柳瀬徹〔浅〕

堀内恭〔遠〕


【6月】20項目

谷中アパート

ささま書店

小沢信男

松本八郎

中町信

稲垣書店

仲町商店街

成城だより

大栄

チャーシュー丼〔遠〕

ぐるり

全著快読

なってるハウス

渋谷毅

千尋

池田文痴菴

神蔵美子

長新太〔浅〕

ならまち文庫

鈴木地蔵


【7月】29項目

田端新町

同潤会江戸川アパート

近代ナリコ〔浅〕

ドライカレー〔遠〕

山王書房

フレデリック・スタール

鴨居羊子

永島慎二

幻堂出版〔遠〕

NOMAD

北村知之

カロ・ブックショップカフェ

東京ローカル・ホンク

平野威馬雄

花歩

上野文庫

大伴昌司

東京

かいば屋

晩鮭亭

残りご飯に豆腐をかけて食う〔遠〕

工作舎

羽良多平吉

さえきあすか

大橋あかね〔遠〕

せどりツアー〔浅〕

ブックセンターいとう〔浅〕

藤木TDC

海野弘


【8月】19項目

文鳥書店

森洋介

往来堂書店

鶉屋書店

CSN

SOL

ラピュタ阿佐ヶ谷

石井輝男

布団タタキおばさん〔浅〕

五年前に住んでいた貸家

渡邉裕之

青春18きっぷ

加太こうじ

田中

貴島公

石井章〔遠〕

小西昌幸

FDC(First Day Cover)

ヨゼフ・ラダ


【9月】20項目

西村賢太

魁!!クロマティ高校

木佐木日記

小山清

米軍ハウス

アーリー・タイムス・ストリングスバンド

ラデク・ランツ

西日暮里の立食いそば〔遠〕

有明夏夫

風に吹かれて〔浅〕

CHATA(ハタ)

Ryu

レモンクラブ

やりすぎコージー

一力

植草甚一ハガキ

ハルピン

矢口博康

ディスクユニオン

櫻井書店


【10月】25項目

早稲田青空古本

藤田加奈子

三州屋

水声通信

泡坂妻夫

岡島昭浩

アトリエ箱庭

俺の故郷は大西部

内藤多仲

文化祭

でろでろ

沼田元氣

スイス

玉川美穂子

月の輪書林

高崎

誠心堂書店

田村書店

奏楽堂

イトウ

ビレッジ・バンガード

ifeel〔浅〕

サンカ

富田倫生

不忍ブックストリートの選ぶ50冊


【11月】26項目

そらあるき

知恩寺

林哲夫

スタンド〔遠〕

元祖ぼてぢゅう〔遠〕

ジャンゴ

太田順一

酒仙堂

タイガー立石

図書館の廃棄本〔浅〕

次田史季

小峰元

ふるほん結構人ミルクホール

中退アフロ田中

川崎彰彦

入谷コピー文庫

ちくま文庫復刊

いなほ

芦川いづみ

大井武蔵野

スシツェ

創作山手線

文句堂

佐藤慶

末井昭

外山明


【12月】18項目

阿佐谷南口駅前のふるほんや

天玉うどん〔遠〕

ブックカフェものがたり

オヨヨ書林

bookcafe 火星の庭

江口寿史

銀座ブックバザール

ふちがみとふなと

美濃

矢牧一宏

戸川昌士

よるひるプロ

松屋浅草古本まつり

二○○五年のベスト

テキサス州の田舎町

今井書店

医大前

小四の甥

2006-10-05 道灌山スサミ・ストリート

朝8時半起き。取材の段取りなどやってたら、出かける時間に。千駄木まで自転車で行き、〈ブーザンゴ〉前でS社のTさんと待ち合わせ。店が開いてなかったので、〈千駄木倶楽部〉へ。もう一人、Kさんも同席。おもしろそうな仕事なのだが、アレコレ調べたり考えたりするのに時間がかかりそう。帰りに〈古書ほうろう〉に寄り、さっそく関連の資料を買い込む。ウチに帰り、ジェフリー・ディーヴァー『12番目のカード』(文藝春秋)を読了。読むのに三日かかった。海外ミステリはそれほど読まないが、リンカーンライムものだけは新作が出るたびに買っている。『路上派遊書日記』を献本した海月書林さんから、ハガキをいただく。


午後も、ずっと雨が降り続く。天気のせいで(?)、仕事もあんまり進まず。5時に、今週できた近所の立ち飲み屋に行ってみる。入り口には、「立ち飲み屋」「自慢のつまみ」とすべて手書きの貼り紙が。まだ店主が来たばかりで、テーブルも拭いていない。発泡酒100円、ホッピー300円、つまみも100円。この安さはスゴイ。店主は前の立ち食いそば屋と同じヒト。「立ち食いそばだと儲かりませんからね」というが、立ち飲みでもこの値段なら同じなのでは……。昼間はどこかに勤めているそうで、どうりで客商売に慣れてないと思った。テレビを観ながら30分ほど。安直に飲むにはイイけど、ヒトに勧めたくなる店でもない。


この道灌山通りを歩くようになって10年近く経つが、どうもつねにイマイチというか、ピリッとしたところのない店ばかりである。新しい店ができてもさほど行く気をそそらず、そのウチに消えてしまうというコトの繰り返しで、我が家では「道灌山スサミ・ストリート」と呼んでいる(「スサミ・ストリート」は久米田康治かってに改蔵』からのイタダキ)。だけど、この通りのすさみかたは、郊外ロードサイドと違い、云いかたはヘンだけど、年季が入っているので、慣れると案外悪くない。「谷根千」というと、気の利いた店が多いと思うヒトもいるだろうが、ぼくなんかは、千駄木からこの通りに戻ってくるとちょっとホッとするのだ。それにこの通りは、西日暮里駅ガード下を抜けて、三ノ輪南千住方面に行くためのルートでもある。


晩飯は豚肉と大根炒め。テレビで、ブレッド・ラトナー監督レッド・ドラゴン》(2002・米)を観る。まあ、オモシロイトマス・ハリス原作ハンニバル・レクターもので、レクター博士はもちろんアンソニー・ホプキンス。主演のFBIエドワード・ノートンだが、いまいち印象が薄いかな。犯人役のレイフ・ファインズは、かなり上手い。あと、いかにも小ずるそうで、ブヨブヨの肉体までさらすフィリップ・シーモア・ホフマンがイイ。彼が主演の《カポーティ》を早く観たい。


福岡「ブックオカ」での南陀楼綾繁トーク「街に出て本と遊ぼう」の予約受付がはじまりました(http://www.bookuoka.com/form/nandaro.html)。お近くの方は、どうぞご参加ください。

会期/11月5日(日)13:00〜15:00

会場/自然食品の店 ファーム2階

参加費 1,500円 (要予約)  参加費は当日会場でお支払いください

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2006-10-04 〈アケタの店〉のつわものたち

朝8時半起き。9時すぎに自転車で出かけて、本郷図書館リクエストの本を受け取る。上野に行き、〈ABAB〉に開店と同時に入る。〈ユニクロ〉でなんにも考えるズボンを3本選び、試着室で履いて裾を折り返し、裾上げに出す。この間、15分。上にある〈HMV〉で時間をつぶす(真正面に〈TSUTAYA〉ができたのに、危機感のなさに呆れる)。直したズボンを受け取り、外に出る。はー、やっと1年に1度の行事が終わったよ。コレでしばらくは服を買いにこなくてすむ。〈TSUTAYA〉でビデオを借りて、根津まで戻る。


中華料理の〈日増屋〉へ。戦前看板建築が残る建物だったが、7、8年前に建て直している。初めて入るが麺類の種類が多い。タンメンを食べるが、野菜たっぷりで美味しかった。ウチに帰り、著者への連絡や取材の段取りをつける。『路上派遊書日記』の献本への返事、今日大村彦次郎さんと関口洋子さん(〈山王書房〉の関口良雄氏の未亡人)より。


5時前に出かけて、池袋へ。新刊書店を覗く。〈リブロ〉の文芸書売り場では3ヶ所に平積み(うち1ヶ所は2面出し)。一方、〈ジュンク堂〉では1階と3階の、ほかの新刊書の隙間に1、2冊差してあった。この差はナニ? ジュンクで、冨田均東京坂道散歩 坂道上れば昭和が見えた』(東京新聞出版局)を買う。懸念していた通り、連載の最終回(稲付城跡の坂)は収録されていない。150回を30回削ったって、たいしてページ数は変わらないだろうに。どうしてそんな中途半端なコトをするのか?


西荻窪へ。南口を少し歩いてから、〈音羽館〉へ。猪野健治『興行界の顔役』(ちくま文庫)400円を買う。〈アケタの店〉に行くと、まだほとんど客はいない。あとから『ぐるり』の五十嵐さんが来る。そのうち、すごく派手なメイクをした年輩の女性が入ってきて、前のほうに座る。なんだかとても存在感がある。あとで渋谷毅さんと話しているのを聞き、女優の沖山秀子さんだと判る。今村昌平の《神々の深き欲望》(1968)での強烈な演技が記憶に残る。ジャズ歌手でもあり、渋谷さんも参加した[サマータイム]というアルバムがある。


今日は、渋谷毅(p)、望月英明(b)、外山明(ds)のトリオに、古澤良治郎(ds)がゲストで加わったセッションドラムが二人でもともとバランスが悪いことに持ってきて、その二人がいずれも変則的な叩き手だから、一筋縄ではいかない。たんたんと演奏する渋谷=望月組と、意地でも普通に叩いてやるもんかとアバレまくる古澤=外山組。しかし、その間にはちゃんとグルーヴが生まれている。そして、悪ガキのように二人でのやり取りを続ける古澤=外山に、絶妙のタイミング渋谷が割って入る。こんなセッション自然に(リハーサルなしに)できるのだから、ジャズマンというのは本当にスゴイ。2セット目には、沖山さんが飛び入りで、「オール・オブ・ミー」を歌ってくれた。迫力ある声だった。


セットの合間に、渋谷さんに声をかけられる。3年以上ライブに通っているが、話すのはコレが初めて。『路上派遊書日記』をお送りしたので、ぼくが何者かが判ったそうだ。こちらは緊張していたが、渋谷さんは気さくにいろいろ話してくれた。いまつくっているCDジャケットは、『本とコンピュータ』時代の同僚だった四釜裕子さんがデザインしているとのこと。見るのも聴くのも楽しみ。たっぷり時間をかけたライブだったので、終わると11時前。ウチに帰ると12時近くだった。旬公がつくった晩飯(小あじの揚げたの)を食べる。


きりん果さんが、『路上派遊書日記』のPOPをつくってくれました。ご希望のお店は、右文書院青柳氏までご連絡ください(mailto: t.aoyagi@yubun-shoin.co.jp)。どうぞヨロシク。

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2006-10-03 阿佐ヶ谷から阿佐ヶ谷へ

朝8時半起き。地図コピーして、書き込みをする。11時半に阿佐ヶ谷に着く。〈書楽〉で、亀和田武『この雑誌を盗め!』(二見書房)を買う。駅改札口で、岡崎武志さん、写真家の田村紀男さん、某社のYさんと待ち合わせ。この辺の文学散歩を行なう。阿佐ヶ谷スタートで、南側から荻窪に出て、北側をぐるっと回って荻窪に戻り、電車に乗って阿佐ヶ谷へ。そして、北口を少し歩き、喫茶店〈プチ〉で解散。地図を見ながらなので、疲れたけどおもしろかった。今日日記タイトルは「阿佐ヶ谷から阿佐ヶ谷へ」にしようと思っていたら、岡崎さんが先にそうしていた。岡崎さん、忙しいところお疲れさまでした。ちなみに、岡崎さんの最新のあだ名は「グラビア大王」です(判らないヒトは今週の『週刊新潮』『サンデー毎日』を見るべし)。


途中、荻窪北口の小路にある〈富士〉で食べたラーメン(400円)が、じつにフツーでじつに美味しかった。静かに感動する。あと、〈川村書店〉では、外台に置かれていた本(さっき客から買い取ったばかり)から、根本圭助『異能の画家小松崎茂 零戦からサンダーバードまで』(光人社)を手にして、親父さんに訊くと600円だったので、買う。南千住に生まれ、谷中に住んだこの画家に、遅まきながら興味を抱いている。


解散したあと、東西線早稲田へ。穴八幡を覗く。境内下の文庫コーナーで、春山行夫『食卓の文化史』(中央公論社)300円を。〈古書往来座〉の瀬戸さんや、野口英司さんに会う。〈メープルブックス〉で、内田魯庵魯庵随筆 読書放浪』(書物展望社、昭和8)が2500円で出ていた。普及版。表紙に新聞紙が使われており、そこに箔押しでタイトルが入れられている。函は最初からついてなかったのか、どうか(八木福次郎書痴斎藤昌三と書物展望社』平凡社、には記載ナシ)。ま、内容的には東洋文庫版で読めるワケなんだけど、古本祭の会場でもらった1割引券があるのでつい買ってしまう。あと、〈文英堂書店〉で、海野弘『華術師の伝説 いけばなの文化史』(アーツ アンド クラフツ)1200円。コレも1割引。バスに乗って帰る。道灌山通りのツブレた立ち食いそば屋のあとで準備中だった立ち飲み屋が、本日ついにオープン。客は一人だけ。寂しい……。今日は見るだけにとどめる。


路上派遊書日記』を献本した、臼田捷治さん、鈴木地蔵さん、太田順一さん、石井章さん、中相作さんからハガキや手紙が。そういえば、注で中さん、小西昌幸さん、玉川薫さんを「日本三大公務員」としたところ、10月1日の「徳島新聞」朝刊社会面のミニコラム「こちらデスク」に以下のように載った(小西さんがmixiに載せたテキスト転載する)。


日本三大公務員」と呼びたい―。坂田明さんのジャズライブを開くなど、ユニークな催しで知られる北島町創世ホールのK館長が、古書ライター南陀楼綾繁さんの近著『路上派遊書日記』でこう紹介されています。並んで名が挙がったのは、小樽文学館のTさんと名張図書館のNさん。イベント業者に頼らず、手作りで独自企画を手がけるカリスマたちです。裏金作りや飲酒運転など公務員不祥事が目立つ昨今、Kさんのような仕事師がいることを頼もしく思います。(そ)


勝手にこんなネーミングしてまずかったかなと思っていたのだが、小西さんも中さんも喜んでくれているようでヨカッタ。


しかし、今日あたりから書店に並んでいるハズなのに、阿佐ヶ谷でも早稲田でも見かけなかった(阿佐ヶ谷阿南古堂〉に寄ったら、佐藤助教授吉祥寺で買ったと見せてくれたが)。ブログでも、どこにも買ったというヒトがいないなあ。知り合いにはだいたい献本してしまったので、しょうがないのだが。買ってくれたヒト、遠慮せずにじゃんじゃん書いてくれてイイんですよ、というか、ぜひよろしく。あと、「ナンダロウ」とカタカナで書くと検索で見つけにくいので、できたら一度は「南陀楼綾繁」とフルネームで書いてくださいね。入力しにくい名前ですいません。

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2006-10-02 「秋も一箱」の店主発表!

昨夜帰ってきて、ネットを見たら、マンガ評論家米沢嘉博さんが亡くなったと知り、驚く。まだ53歳だった。9月にコミックマーケット準備会代表を退任されていたことも、はじめて知った。米沢さんには『本とコンピュータ』で、「ミニコミなくしてマスコミなし」という座談会に出ていただいている(ほかの出席者は森まゆみさん、串間努さん、松沢呉一さん)。


朝8時半起き。資料を読む。某社のゲラに添えられたコトバにキレる。友達だからって、ナニを書いても許されるわけではないだろう。12時に出かける。大船であるヒトの取材。夕方までかかる。〈島森書店〉で、ジェフリー・ディーヴァー『12番目のカード』(文藝春秋)を買う。帰りの電車では爆睡


路上派遊書日記』を献本した角田光代さん、曾根博義さん、矢部登さん、中尾務さん、久保川清人さんからハガキをいただく。嬉しい。昨日、塩山さんが「あんたの本、アマゾンの順位で千何位だったよ」とご親切に教えてくれたので、夕方見てみたら2,963位だった。しかし、2時間後に見たら3000位台、さらに4000位台と時間を追って落ち込んでいく。まあこんなもんかと思いつつ、明日になったら、ちょっとは上がっているかもとまた見てしまうかもしれない。なんだか、いじましいが。


そういえば、須雅屋さんの日記http://d.hatena.ne.jp/nekomatagi/20060929)で、「夢。南陀楼綾繁氏と古本市の店番を一緒にやっているというもの。なんで奇麗な女性とじゃないんだ!?」とあったが、勝手に夢に出すなと云いたい。ちなみに、ぼくの夢にも一、二度、須雅屋さんが出てきたコトがあるが、当然、寝覚めはあまり良くなかった。


「秋も一箱古本市」(http://d.hatena.ne.jp/seishubu/)の店主一覧が発表!(http://sbs.yanesen.org/hako1/2006aki/shop.html)今回も、変わった屋号が並ぶなあ。〈まるふじ〉前の「嫌記箱」は塩山芳明さんです、念のため。店主マニュアルも発送されるようで、だんだん盛り上がってきた。

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2006-10-01 雨の中でもジェットストリーム

8時半起き。昨日用意しておいたトーク用の荷物を持って、道灌山下からバスに乗る。早稲田で降りて、穴八幡へと向かう。交差点信号待ちしていると、向こうから来た人たちが次々に境内への階段を登っていくので、ちょっと焦る。まだ20分前なのに。周囲にヒモが張り巡らしてあり、それを囲んで十数人が立っている。去年に比べるとちょっとヒトが少ないか。「久しぶり」と肩を叩かれると、〈デカダン文庫〉のおじさんだった。立ち話しているうちに10時になり、店員が動き出すよりも早く、みんなヒモをまたいで乱入し始める。


とにかくヒトが集中しない場所を選んで回る。『百店満点 「銀座百点」50年』(銀座百店会)500円、野間恒『豪華客船の文化史』(NTT出版)1500円、弓館小鰐『ニヤニヤ交友帖』(六興出版)800円、杉山平助『自由花』(改造社)400円、沢田一夫『人情寄席雀』(新典社)450円、外村繁『筏』(三笠書房)500円を抱える。〈古書現世〉のコーナーで、落合東朗(文)・薮野健(絵)『早稲田小事典』(論創社)1000円を見つける。早稲田大学の各学部の施設や周辺の史跡などについて解説したもので、「第一学生会館」「高田牧舎」「三朝庵」「図書館」などの項目がある。こんな便利な本が1984年に出ていたとは。現世ではもう一点、竹内善作学校公共図書館 設立・運営の実際』上・下(東京堂、1949)を500円で。タイトル通り、公共図書館学校図書館の設計から開館準備、蔵書選択、運営までを説いた本。手にしたとき一瞬、「コレは書物蔵さん(http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/)向きかな?」と思いつつも、やっぱり買う(あとでセドローくんに、「書物蔵さんを狙って差しといたのに南陀楼さんに買われちゃった……」と云われる。書物蔵さん、お持ちでなければいつでも貸しますからねえ)。


目録注文していた、キネマ旬報編集全日本映画館録 1951−1955年版』(キネマ旬報社)1500円、『団子坂の思ひ出』(大日本雄弁会講談社昭和10)3000円も無事落手。前者は、全国の映画館リストで、所在地、経営者、定員、映写機、配給の系列まで載っている(ただ番地まで載ってないのが惜しい)。製作者や俳優の住所録、主要映画館写真もあり、いろいろ使いでのありそうな本だ。映画会社広告も多い。後者は、講談社千駄木にあった頃の記念アルバムで、社員の写真が主だが、当時の社屋の写真なども入っている。社内向けの出版物なので、序文のあとに野間清治の大きな写真が入り、「社長様」というキャプションが。社員の中には『少年倶楽部』編集長加藤謙一もいる。


途中で本の山をセドローくんに預けていたのだが、帳場に行くと彼は電話応対などで忙しそう。それで別のヒトに「預けておいた本があるんですが」というと、「ありませんねえ」と。古書現世に預けたというと、電話中のセドローくんのところに行き、本を受け取ってきた。そこにはでっかい字で「獣ススム様」と。オモシロすぎるけど、古本祭り初日の朝にやってる場合かよ! 牛イチロー先生(いろいろお世話になっているので、敬称が奉られる)と立ち話。「今日は天気、何とか持つかねえ」「持つでしょう」。お互い、まったく根拠はナイ。


東西線高田馬場に出て、池袋へ。ピーダッシュ・パルコの〈タワーレコード〉で、ドゥーピーズ[フォーエバー・ヤン ミュージックミーム3]、ムーンライダーズ[ゆうがたフレンド(公園にて)]を買う。〈新文芸坐〉へ。沢井信一郎の特集で、今日助監督についた作品をやる。まず、野田幸男監督《0課の女 赤い手錠》(1974)。二回目だがやっぱりスゲエ。冒頭から意味なくヒトを殺しまくる郷治と、クールな潜入捜査官の杉本美樹(ただしセリフ回しは大根)が、危険な匂いを放つ。それを追うのが、政治家丹波哲郎(9月24日に死去)と刑事室田日出男ラストの死闘で、室田は撃たれて刺されて焼かれてというサンザンな目に会う。このシーンで大量のゴミクズが舞い散るのもいい。終わって、沢井信一郎と山根貞男のトークがあるが、退屈で寝てしまった。《0課の女 赤い手錠》でどういう段取りを組んだかなどの具体的なハナシをしてくれればヨカッタのだが。もう一本は、鈴木則文監督《華麗なる追跡》(1975)。主演は志穂美悦子。徹頭徹尾、荒唐無稽なハナシだが、けっこうオモシロかった。


外に出ると、雨が大降りになっている。ありゃまあ。コンビニで傘を買い、高円寺へ。〈古本酒場コクテイル〉に行き、準備していると、オヨちゃん、塩山さん、音響担当の『ぐるり』の五十嵐さんが来る。6時前からお客さんが入ってきて、始まる頃には満員になった。今回はチャージ800円をとったのに、こんなに来てくれてありがたい。前半はいつも通りにオヨちゃんとぬるいトークをし、休憩を挟んでは、塩山さんに出てもらい存分に「野良犬」ぶりを発揮してもらう。終わってから、本の販売。数冊にサインを書く。そのあと、駅前の〈村さ来〉に場所を移し、打ち上げ。15人もいたので、ハナシが聞こえにくい。終わってウチに帰ったら12時前。一度やんだ雨がまた降っている。雨男の面目躍如の一日だった。

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