ナンダロウアヤシゲな日々

◎この日記は、ライター・編集者の南陀楼綾繁が書いています。
◎新刊『町を歩いて本のなかへ』(原書房)発売中です。
◎著書『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)、『谷根千ちいさなお店散歩』(WAVE出版)、『小説検定』(新潮文庫)、『ほんほん本の旅あるき』(産業編集センター)、『路上派遊書日記』(右文書院)、『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『老舗の流儀 戦後六十年あの本の新聞広告』(とうこう・あい監修、幻冬舎メディアコンサルティング)、編著『チェコのマッチラベル』(ピエ・ブックス)、共著『ミニコミ魂』(晶文社)。
◎ご感想・ご連絡は南陀楼綾繁 まで。
◎「不忍ブックストリートの一箱古本市」は毎年春に開催します。
詳細は不忍ブックストリート公式ホームページもしくは、しのばずくん便りをご覧ください。
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2007-06-30 鳩の街を歩き、玉の井で飲んだ

朝イチで塩山本の仮目次をつくる。右文書院青柳さんに送ったら、「堀切さんの『浅草』並みに詰め込むと180ページです」と返事が。もっとたくさん入れるか? それともあっさり風味にするか? 10時半に旬公と神保町へ。久々の古書会館で「書窓展」。木本至『雑誌で読む戦後史』(新潮選書)200円、三省堂編『書斎読書』(三省堂)500円、亀井勝一郎『現代読書論』(青春出版社)300円、高田浪吉編『松倉米吉全集』全1巻、300円、『東京の水売り』(都史紀要31)500円、梶山季之『血と油と運河』(集英社文庫)100円。いずれも安い。


書肆アクセス〉にサインに向かう旬公と別れ、〈三省堂書店〉へ。1階で四方田犬彦先生とわたし』(新潮社)と『en-taxi』。後者塩山さんがコラムを。4階で浅羽通明天皇反戦日本 浅羽通明同時代論集・治国平天下篇』(幻冬舎)、吉見俊哉北田暁大編『路上のエスノグラフィ ちんどん屋からグラフィティまで』(せりか書房)。前者は個人ペーパー『流行神』からまとめられたもの。〈高岡書店〉で宮沢章夫東京大学ノイズ論]講義』(白夜書房)を。なんか、久しぶりにたくさん本を買ったという気になる。


旬公と合流し、一昨日も行った〈カフェヒナタ屋〉へ。今日明大通りに面したカウンターに座る。古書会館が真下で、古本屋さんが数人で食事に出るのが見える。おお、コレはいい観察スポットだ(なんの?)。チキンカレーランチを食べるが、ほどほどに辛くてウマかった。ココで行なわれる『ぐるり』フェアに合わせてのトーク、8月4日(土)17:30〜に決定。お相手は田川律さん。詳細はいずれ。


暑いし湿気てるしで、グロッキーになり、いったんウチに帰る。1時間ほどヨコになり、再び出かける。北千住から東武線に乗り、鐘ヶ淵で降りる。玉の井の「いろは通り商店街」を抜けて、東向島駅へ。閉館寸前の東武博物館に入って、昔の写真の展示を見る。歩いて曳舟駅に着くと、ちょうど『モツ煮狂い』のクドウヒロミさんが改札から出てくるところ。まだ時間があったので、5分ほど離れたところにある〈ブックオフ〉を覗いてくる。5時に改札で、エンテツさん、『酒とつまみ』大竹さんと会い、4人で「鳩の街」へ。『酒とつまみ』のいつもの取材名目の飲み会である。〈こぐま〉という、戦前の薬局の建物でやっているカフェへ。奥に本棚があり、販売もしている。けっこうイイ本あったよ。コーヒー飲んでたら、テレビカメラが入ってきて撮影し始める。《ちい散歩》の収録だとか。


クドウさんの案内でさらに歩き、さっきぼくが来た道を戻って、いろは通りへ。〈三河屋〉で飲み、そのあと〈十一屋〉へ。どっちも気取らない、地元の客ばかりの店。なんだかやたらとハナシがはずみ、チューハイを何杯もお代わりする。初めて来たけど、イイねえ、東向島玉の井、鳩の街)。また来よう。11時すぎまで飲み、曳舟の駅へ。反対方向に帰る二人と別れ、エンテツさんと北千住へ。千代田線でウチに帰ってきたら12時すぎていた。飲みすぎでアタマが痛い。酔ってアクションが大きくなっていたようで、寝ていた旬公に「うるさい」としかられてしまった。

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2007-06-29 鶴川は今日も雨だった

午前中、塩山芳明さんの掲載誌のコピーを読む。ハッタリの効いた表現にときどき声を出して笑う。ファックスが送られているさいちゅうに、電話携帯が同時に鳴る。同時に対応できるワケがない。鳴らないときは一日中無音なのに、どうしてこうタイミングが悪いのか。しかも、ファクス乱丁(順番めちゃくちゃ)で入ってきて、その最中にインクが切れた。まったくもう。


12時に出かけて、東京駅へ。京橋さぬきうどんで腹ごしらえ、と思ったら、長蛇の列。近くの立ち食いそばも同様。この辺のお昼の人出を甘く見ていた。とんかつ屋を覗いてみたら、すんなり入れたので、そこでとんかつ定食。〈フィルムセンター〉で川島雄三特集。今日は《あした来る人》(1955)。二回目だが、山村聡が観察者の立場で見る四人の男女(月丘夢路三橋達也新珠三千代三國連太郎)の描き分けが見事。気の強い月丘が「お待ちください、私から切ります」と電話ガチャンとやるシーンにシビレる。やや長尺(116分)なので途中ちょっと眠ったが、川島雄三風俗映画路線の傑作といえよう。


京橋駅に急ぎ、銀座線表参道千代田線直通で鶴川へ。4時直前に到着して、4時5分の学バスに間に合った。この空梅雨なのに、ぼくが鶴川に来る日はいつも雨のような気がする。授業の資料が多いから、持ってくるのがユーウツである。授業の最中、3度も4度も携帯電話に着信が。終わって確認すると、3箇所からほぼ同時に(別件で)かかっている。ホント、タイミング悪いのだ。そのひとつに急遽対応せざるを得ず、授業の後に教え子のワシタケくんのダンス発表会を覗くと約束していたのをすっぽかして帰ってしまう。ゴメン。


帰りの社内で、塩山さんのコピーを読み終わる。追加で送ってもらうものに目を通せば、一冊分の目次は立てられるだろう。ウチに帰ると、〈ブリッジ〉から、鈴木博文ドッグ・デイズ 1987-2007](2CDメトロトロン)と安田南[サウス/ライブ・アット・ザ・ロブロイ]が届いていた。

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2007-06-28 〈カフェ・ヒナタ屋〉から下を眺める

朝から写真コピーを取ったり、台割をいじったり。350ページある本の再校戻しと追加原稿入稿と口絵写真入稿をいちどにやってしまうので、チェック事項の多さにアタマが煮えてくる。3時半に神保町に行き、G社で印刷のS社にもろもろ引き渡す。まだいくつか追加はあるが、入れるべきものは入れた。まだ気は抜けないが。


書肆アクセス〉に寄り、昨日の見た映画での名演技も記憶に新しい畠中店長から、〈カフェヒナタ屋〉(http://blog.goo.ne.jp/hinata4f/)の場所を聞く。5月オープンだが、行く機会がなかった。富士見通り(三省堂の〈自遊空間〉の横の道)をあがり、ロシア料理の〈サラファン〉が入っているビルの3階。この道は長年通っているが、このビルじたい初めて入る。階段は狭くて急で、エレベーターは扉を手で開けるタイプ


カフェヒナタ屋〉に入ると、意外と奥行きがある。窓際にカウンターやテーブルが置かれている。大阪の〈calo bookshop&cafe〉からギャラリーを取り払ったようなカンジだ(エレベーターが旧式なトコロも似ている)。小さな本棚がいくつかあり、ミニコミなどを置いてある。この辺りは畠中店長の助力だろうか。アイスカフェモカを飲みながら、外を眺めると、下の通りを人が歩くのが眺められる。上から見る神保町もなかなかイイものだ。ぼくがいる間、ほかに客はおらず、短い時間だったがゆったりできた。〈アンチヘブリンガン〉と並んで、神保町の休憩所として活用したい。


ところで、昨日『ぐるり』の五十嵐さんからメールがあり、〈リコシェ〉の企画で、7月下旬からこの〈カフェヒナタ屋〉で『ぐるり』フェアをやるそうだ。そこで、ぼくにトークをやってほしいという。お相手が『ぐるり』で連載しているあのヒトだったので、やらせてもらう。〈リコシェ〉がらみの企画に引っ張り出されるの、今年だけで3回目だよ。詳細はそのうち決まるでしょう。

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2007-06-27 〈上野オークラ〉前に集った人々

明日午後に戻すゲラをずっと。やっとメドがついてきた。明日が〈上野オークラ〉での最終日の山崎邦紀監督社長秘書 巨乳セクハラ狩り》を観にいこうと、映画館電話するが、出てきたおばちゃんに「作品名を云え」とセクハラを受ける。「巨乳セクハラ」とか云いたくなかったし、それ以前にタイトルなんて覚えちゃいないので、「山崎邦紀監督の……」と説明したのに。

 

6時半に旬公と家を出て、上野まで山手線不忍池近くの映画館までやってくると、前に塩山さんが立っていた。「アンタたちも観にきたのか。オレたちもこれからだよ」と。同行の男性が旬公に「ココの二階は女装した連中のハッテン場だから、大丈夫!」とタイコ判を押す。女装っぽいカッコだと云いたいのか? さらにS社のTさんとK書店のYさん(二人とも女性)もやってくる。なんで、しめしあわせもせずに、こんなメンツでピンク映画館の前にたむろしてるのだろう。


映画は前半快調、後半かったるし。サボテンに水気を与えるシーンに3分近く要するフェチ描写は、さすがに「会津なまりタルコフスキー」(塩山)の面目躍如といったところ。編集部のシーンでは、女秘書に男がセクハラするシーンでの、エキストラ・畠中さんの受けの演技が光る! 手を微妙にふるわせてみたりして、女優やのぉ〜。カメラの位置が畠中さん向きだったので、旬公の演技はよく分からず。。本棚に旬公の『世界屠畜紀行』がささっているのが、ぼんやり見えた。セクハラ妄想社長起死回生の案としてぶち上げるのは、『漫画ニーチェ』! 単行本が成功したら、ゆくゆくは『月刊漫画ニーチェ』を創刊する、キミが編集長だ、と云われた女編集者が困惑していた。ぼくも『月刊漫画ニーチェ』の編集だけはやりたくないなあ。


終わって、飲みに行く塩山さんたちと別れ、湯島の〈デリー〉へ。小沢信男さんからいただくレトルトカレーでおなじみだが、店に入るのは初めて。タンドリーチキンとのセット(生ビールつき)1700円はリーズナブルカレーもウマかった。ウチに帰り、一仕事


『yom yom』第3号が届く。グリーンの表紙がイイ。特集は「「新潮文庫の100冊」の作家たち」と「夏の読書」。後者では筒井康隆インタビューと、最相葉月の「星新一タイムカプセル」がおもしろそう。岡崎武志さんが古本系の新刊を紹介している。「小説検定」、今回のテーマは「旅」。打ち合わせのとき、「いくらでもタイトルが思いつきますから、楽勝ですよ!」などと見得を切ったのだが、本そのものはすぐ見つかっても問題が思いつかず、締め切りを大幅に超えて難渋する。結果としては、そこそこオモシロくて解きやすい問題になったと思うが……。まあ、チャレンジしてみてください。

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2007-06-24 マーガレットズロース! マーガレットズロース!

旬公が昨日、キューバから帰ってきた。夕方まで、インタビュー原稿のまとめ。6時に渋谷の〈O-nest〉へ。マーガレットズロースミニアルバム[ぼーっとして夕暮れ]の発売記念ライブホテル街の中心にあるし、オールスタンディングだしと、どうも出かけるのが億劫な場所。でも、行ってよかった! 三人+コーラス2人+キーボード渡辺勝)+オルガンサックストランペットクラリネットという大編成で、休憩を挟まず、たっぷり聴かせてくれた。マーガレットズロースが新しい段階に入ったという気がした。次回の『ぐるり』でその辺のコトを書こう。アンコールもよかったけど、恒例の「全力ダンス」はねえ……。これさえなきゃ、いいヒトたちだと思うんだけど。コーフンして外に出たら、松倉如子さんがライブのチラシを配っていた。

ぼーっとして夕暮れ

ぼーっとして夕暮れ


ウチに帰って、旬公と晩飯。11時からテレビで《情熱大陸》見る。次回予告に「イラストルポライター内澤旬子」が。いやー、笑っちゃうねえ。予告が出ているのに、明朝ウチでふたりでうどんを食べている様子を撮影するコトになっている。くしくもいま、旬公の出演作がもう一本公開中。山崎邦紀監督ピンク映画社長秘書 巨乳セクハラ狩り》。出版社舞台なのだが、塩山さんの「漫画屋」でロケし、旬公や畠中さんがエキストラで出ているのだ。畠中さんの演技力はナカナカだったらしい。〈上野オークラ〉で28日まで上映中というので、ナンとか時間をつくって観にいきたい。

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2007-06-22 『Petit Book Recipe』は一人一冊買おう

ご無沙汰です。いろいろやってます。来月頭にはいくつか報告するコトができると思います。


yojohan『Petit Book Recipe』(毎日コミュニケーションズ、1700円+税)が届く。yojohanは生野朋子さんと酒井理恵子さんのユニットで、オンライン古書店をやったり、フリーペーパー『ふるほにすと』やヘンなカタチをした冊子を制作している。昨年秋の「ブックオカ」でも企画デザインに関しての牽引力となっている。


「Petit Book(プチブック)」というのは造語で、ミニコミリトルマガジンと同じ意味。つまり、これは「ミニコミのつくりかた」なのである。いかにもモデルさんな女の子写真の表紙やデザインに、ちょっと引き気味のヒトもいるかもしれない。しかし、この本は、いま、ミニコミやリトルプレスをはじめるヒトが知っておくべき知識・情報を詰め込んだ、非常に有益な本である。


本書の特徴は、最後まで手作業でやる場合と、印刷所に発注する場合の両方に対応しているコトだ。しかも、それぞれがyojohanの本づくりの経験に基づいているから、けっこうディープ裏技が入っている。おすすめのプチブックや、関係者のインタビューも収録(南陀楼とちょうちょぼっこ福島さんとのミニコミ対談も)。


ここ数年、リトルマガジンやリトルプレスについての本が何冊か出ており、いちおうどれにも目を通しているのだが、いまいち食い足りなかった。女性がつくるセンスのいいリトルマガジンを、女性の著者がセンスいいデザインで紹介した本が多いのだが、はっきり云って読んだあとにナニも残らない。この「本について雰囲気で語る」現象は、書店やブックカフェについての本にも共通している。こないだ買った、『TOKYO図書館日和』(アスペクト)なんか、図書館の大ざっぱな説明と雰囲気写真だけで一冊つくっているんだもの。ヒドいよ。具体的な書名がほとんど出てこない図書館の本って、初めて見た。こういう本の著者たちは、「本が好き」なんじゃなくて、「本が好きな自分が好き」じゃないの?


しかし、本書はきちんと筋が通っている。自分たちがナニをつくりたいか、どうすればできるかをつねに考えているからだろう。発想(妄想)を手を動かしながらカタチにしていく過程が読み取れるから、イイのだ。


じつは(すでに退屈男くんが書いているが)、今年から和光大学で非常勤で「雑誌研究」という講義(というほどのモノではない)を持っている。前期だけなので、雑誌について一通り話をするだけで精一杯なのだが、学生には自分がつくりたい雑誌の見本を提出してもらうことになっている。本書はその参考書として最適だと思う。来年度も講義を受け持つとしたら、教科書にしたいと思うほどだ。というワケで、アクセスには今週辺り入ると思うので、一人一冊買うように(なんか先生口調で)。


Petit Book Recipe ~リトルプレスの作り方~

Petit Book Recipe ~リトルプレスの作り方~


そういえば、先日アマゾンから飯田鋭三『たばこ屋さん繁盛記 江戸から平成まで』(山愛書院)が届いていた。東京新聞書評で見て注文したのだが、2381円もするのに届いてみたら四六判の薄い本だった。「えらく高い本だなあ」と思い、中身をめくったら、全体の三分の一ぐらいにカラー写真が使われていた。ポスターパッケージ、販売店の写真など見ているだけで楽しい本だが、外見からはそんなにカラー図版が入っているように見えず、損していると思う。A5判にしてカラーを頭のほうに入れれば、もっと目立つと思うのだが。

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2007-06-16 〈登亭〉が閉店していた!

午後から〈杉並区郷土資料館〉に行き、仕事の話。新高円寺からバスで20分という、行きにくい場所にあった。終わってまたバスに乗って高円寺へ。移動してオープンした〈高円寺文庫センター〉を覗く。うーん、ずいぶん小ぢんまりしたんだなあ。店の半分がマンガになっていた。西荻に移動し、ココでも仕事の話。


終わったら5時すぎていたので、〈登亭〉でメシでも食うかと前まで行ったら、その場所が焼き鳥屋になっていて、死ぬほど驚く。いつの間に閉店してたんだ! 大学生のときから西荻にいるあいだ、週に1回は通っていた洋食屋。いちおうメニューもあるのだが、それを見て注文しても受け付けられず、黒板に書いてある数品だけが有効だった。その数品も、チキンカツとかチキンサラダとかハンバーグとか中身はほとんど同じで、盛り合わせのバランスが違うだけというものだった。江口寿史エッセイマンガで描いている。親父は出っ腹で洋食帽(?)をかぶっていて、ちょっと気難しかった。カップルの客が来ると、席が空いているにもかかわらず、「一杯だよ」と追い返していた。ビンボーな男子学生には云わなくても大盛りにしてくれるなど、ありがたい人だった。


卒業しても年に2、3度のペースで通っていた。去年の秋に行ったときには、親父がけっこう弱ってきている(受け答えがトンチンカンだった)ように思えたが、閉店するとは思いもかけなかった。帰って検索すると、昨年12月には閉店したという。半年も気づかずにいたのが、ショックだった。

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2007-06-13 丸尾末広の『パノラマ島綺譚』はスゲエ

午前中、打ち合わせのあとで、神保町書店を回る。『コミックビーム』7月号が出ていたので、買って帰る。今号から新連載で、丸尾末広江戸川乱歩の『パノラマ島綺譚』をマンガ化するのだった。丸尾作品のいい読者とはいえないのだが、今回は、表紙と扉のカラーから引き込まれて読んでしまった。墓場のシーンなんて最高。ところで、表紙などで作品名に「ぱのらまとうきだん」とルビが振られていて、あれ? と思う。「綺譚」は「きたん」と読むのがフツーだろう。手元の乱歩書誌には、作品名に振り仮名は振られていなかった。そこで検索してみると、担当者日記を見つけた。こうある。


乱歩の「パノラマ島」には、「綺譚」「綺談」「奇談」などの表記が、時期や版元の違いで混在しています(ちなみに、読みはすべて「きだん」)。

丸尾さんも当初は、「奇談」という、もっとも流通していて、理解しやすい表記をなさっていたのですが、自分が初出の「新青年」からの推移を追ってみると、なかなかに複雑。結局、丸尾さんと話し合って、現在最新版と思われる光文社文庫全集に準じることといたしました。

推移の詳細も、上記文庫の解題に詳しいですが、我々が決定した一番大きな理由は、乱歩自身が「貼雑年譜」に自筆で「綺譚」と表記している、という事実でした。


なるほど。光文社文庫全集は解題が充実していると聞いているが、まだ手にしていなかった。見てみるか。


小説すばる』7月号の特集「本屋さん大好き!!」という特集で、「本屋さんになりたい」という記事を書きました。いかにもベタな特集のベタテーマだけど、なるべく新しい切り口でいこうと頑張ったつもりです。森岡書店バサラブックス、海月書林高円寺書林、ブックギャラリーポポタムの5店と、書店コンサルタントの青田恵一さんに取材しています。特集カラー扉には、海月さんたちの写真が。


夕方、神田駅塩山芳明さん、右文書院青柳さんと待ち合わせ、〈三州屋〉へ。以前から三人で会うことになっていたのだが、今日たまたま時間が空いたので電話してみたのだ。急な呼び出しに「自分の都合のイイときだけ声かけやがって」とブツブツ云いつつ、けっこうイソイソとやってくる塩山さん。右文書院から塩山さんの本を出す相談。わずか10分で「塩山氏の映画思考花田清輝)がにじみでる非映画本」にするコトが決まる。それ以外はひたすらゴシップと悪口。旬公の写真が『週刊現代』に載っているのを見て、「高崎観音様かと思った」と。塩の字の旬公に対する恋慕はキモチ悪い。そのあと、ガード下の飲み屋に行く。


新幹線で帰る塩山さんらと別れて、〈ブックファースト〉へ。さきほどの「パノラマ島」問題が気にかかり、光文社文庫版の江戸川乱歩全集を見ると、たしかに「ぱのらまとうきだん」になっていた。後学のため、その巻を買っておく。

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2007-06-07 小説検定と本の雑誌

昨日の東京新聞夕刊「大波小波」で、岡崎武志さんの『ちくま』の連載が絶賛されていた。「岡崎の筆はこうした女性たちのどこかふわふわした、ビジネスなのか趣味なのかわからない仕事ぶりに密着しつつ、革命的な『女の眼』への感嘆を隠さない」云々。


朝から本郷図書館で、『yom yom』小説検定の資料探し。今回のテーマは問題がつくりにくく、数日前から難渋している。全集や参考文献を大量に見て、10冊ほど借りる。ウチで問題作成の続きをやり、12時すぎに自転車で出かける。〈オヨヨ書林〉近くの中華料理屋で、半チャンラーメン(700円)。この暑いなかを自転車を引いて、東大構内を上がる。久しぶりに中に入ったが、スターバックスが入っていたのにはビックリ。真砂中央図書館で、資料を探し、また10冊近く借りる。


3時前に千駄木の〈ブーザンゴ〉へ。『本の雑誌』のMさんに取材を受ける。「以前、うちのバイトされていたんですよね?」と訊かれたので、「大学一年のとき、ちょっとだけ〈助っ人〉してただけです」と答える。先日の入谷コピー文庫『ぼくが食らいついた本たち』は、まさにその時期の読書ノートで、その痕跡がうかがえる。たとえば、こうだ。


80 『本の雑誌風雲録』目黒考二 本の雑誌社 1985 237p 図・中 1000円 5月27日 B

文学青年でひよわだった学生時代、本が読めないからと勤めた会社を次々に辞めていくサラリーマン時代、その感じが痛いほどよくわかる。(略)そして、ごていねいに仕事が軌道に乗り出してからさえもやめてしまいたいと思っていたことにさえ共感してしまう。(略)現在目黒氏にはそういったひよわな様子はみじんもないが、この本を読むとなんとなく安心する。あと上原さんとか知っている限りの人物の行状もおもしろい。特に沢野氏についての描写は無条件に笑える。こういった「風雲録の時代」に本の雑誌社に居られなかったのは残念ではあるが、これからまた新しい「風雲録」が出来ていくのだろうと思う。


【注】中学高校と『本の雑誌』を愛読し、大学に入ってすぐ同社の「助っ人」に応募した。半年もいないうちにリタイアしてしまったが、沢野ひとしさんにタバコを買いに行かされたコトを覚えている。上原さんは、のちにデザイナーになる上原ゼンジ氏。


5時ごろにウチに戻り、小説検定の続き。あっちを広げ、こっちをひっくり返し、10時ごろに一通り出来上がる。編集部のTさんから少し直しが入り、12時ごろにバイク便が資料の受け取りに来る。晩飯、食い逃しちゃったよ。ポストを見たら、月の輪書林目録が届いていた。今回は三田平凡寺特集。欲しいのがたくさんあるが、どれもイイ値段なので何冊買えるかなあ。


堀内恭さんから入谷コピー文庫の最新刊(早っ!)が届く。桂浜吉『土佐のいごっそう 川谷拓三という生き様、死に様。』である。著者も堀内さんも土佐出身だ。一緒に『ぼくが食らいついた本たち』が5部同封されている。こないだ「増刷します」と云ってくれたもの。これで限定20部になりました。増刷を記念して、先着1名様に本書を差し上げます。メールでお申し込みを。今回は1966〜68年生れの方のみ受け付けます。同世代の感想が聞きたいからね。【すぐに申し込みあり。受付終了します】

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2007-06-03 「入谷コピー文庫」で南陀楼本が出た!

限定15部のみ発行される「入谷コピー文庫」の6月新刊は、南陀楼綾繁『ぼくが食らいついた本たち 1986年読書ノートから』です。大学1年生の読書ノートから抜粋した記録で、まさにココでしか出せなかった本です。まえがきを以下に載せます。


 中学生から大学生にかけて、ぼくは記録魔だった。日記読書ノート、購入本メモなどを、大学ノート日めくりカレンダーなどに書いていた。中断した時期もあるし、時期によって熱の入れ方が違うのだが、読みにくい汚い字で長々と書き込んでいるところは共通している。


 入谷コピー文庫に何か書いてほしいと堀内恭さんから云われたとき、大学1年生のときの読書ノートを復刻しようと思ったのは、こんな個人的な記録が10数部とはいえ出版される機会は今後絶無だと確信を抱いたからであり、少なくともぼくと、ぼくの同世代の本好きにとってはそれなりに意味のある記録だろうと感じたからだ。


 この読書ノートには、一冊に70ページぐらいびっしりと本の感想が書かれている。全文を掲載する意味もないし、紙数に限りがあるので、本のデータはぜんぶ入れ、感想についてはいま読み返してオモシロイものを抜粋して入れた。入力にあたっては、データの形式を多少統一したが、あとは原文のママである。ところどころに注釈を入れた。


 記述は4月1日に開始されており、通し番号が38から始まっているので、1〜3月は別のノートに付けていたと思うが、それは見当たらない。


 読み返して呆れたのは、それぞれの本やあらすじや要旨が延々と書いてあることだ。しかも、誰に読ませるワケでもないのに、書評的な書き方になっている。誰でも思いつく陳腐な感想をエラソウに書いているあたりは、18歳ならではのいきがりだとお笑いいただきたい。


 本のデータのうち、「自」とあるのは自分で購入した本で、「新」は新刊、「古」は古本。どこの古本屋で買ったかが書かれてないのが、ちょっと惜しい。「図」は図書館で、「中」は杉並区中央図書館荻窪)、「宮」は杉並区宮前図書館、「出」は出雲市図書館を指す。図書館への依存率がものすごく高かったコトが判る。あと、同じ本を何度も読み返しているのも特徴で、337冊のうち100冊ぐらいは再読ではあるまいか。もっと他にいろいろ読めばよかったのに、と思う反面、食らいつくようにして本を読んでいた時期だったんだなあという気もする。


 入力して気づいたのだが、この時期の文庫本はぺージ数が定価と近い。つまり、1ページ=約1円なのだ。近頃の文庫本を見てみると、1ページ=1・5円から2円ぐらいしている。つまらないことだが、ココにも20年間の変化を感じ取れる。


 以下をご覧になって、ノスタルジーだと笑うのも、自分の18歳のときと比較してあまりにも幼い読書経験だと思われるのも、ご自由にどうぞ。こんな超個人的な記録を公刊してくれた入谷コピー文庫に幸あれ。


5月4日               南陀楼綾繁

というワケで、こんなに徹底的に私的な本ができたのはウレシイです。ぼくの手元に7部届いたので、このブログの読者で先着2名に差し上げます。ただし、いちおう読んで感想を教えてくださいね。メールでお申し込みください。【1時間後に2名から申し込みあったので、締め切ります。】あ、同世代で読書傾向も似ているらしい「ふぉっくす舎」のNEGIさんには、私から差し上げますからね。「コピー文庫」なのでもらったヒトが複製するのは自由ですが、ぼく自身はしばらく増刷しないでおきます。


この本で、入谷コピー文庫は20冊目。2005年5月からの2年間で20冊というのは、非常に立派な出版活動である。発行人の堀内恭さんは、「書評のメルマガ」(毎月2番目に出る号)で「入谷コピー文庫 しみじみ通信」を連載している。ご一読あれ。

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