ナンダロウアヤシゲな日々

◎この日記は、ライター・編集者の南陀楼綾繁が書いています。
◎新刊『町を歩いて本のなかへ』(原書房)発売中です。
◎著書『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)、『谷根千ちいさなお店散歩』(WAVE出版)、『小説検定』(新潮文庫)、『ほんほん本の旅あるき』(産業編集センター)、『路上派遊書日記』(右文書院)、『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『老舗の流儀 戦後六十年あの本の新聞広告』(とうこう・あい監修、幻冬舎メディアコンサルティング)、編著『チェコのマッチラベル』(ピエ・ブックス)、共著『ミニコミ魂』(晶文社)。
◎ご感想・ご連絡は南陀楼綾繁 まで。
◎「不忍ブックストリートの一箱古本市」は毎年春に開催します。
詳細は不忍ブックストリート公式ホームページもしくは、しのばずくん便りをご覧ください。
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2008-06-30 タイガー武藤の関西遊歩記

7時半に起きる。新しい実家の二階は、階下の音がマル聞こえなので、あまり遅くまでは眠っていられない。朝飯のあと、『大阪京都死闘篇 武藤良子関西旅行記』を読む。しばらく前にNEGIさん宅に遊びに行ったときに武藤さんにもらったのだが、そのまま紹介できずにいた。ブログでの関西旅行記が面白いので、「あれ、本にしてよ!」と云ったところ、ホントにまとめてきてくれた。プリンタで打ち出したものをホチキスで綴じたもの(ホチキスが通ってなくてすぐ外れた)だが、表紙をはじめ武藤さん独特の書き文字とイラストが入っており、冊子っぽい雰囲気になっているところはさすが。


個展のために大阪に行ったのだが、そのハナシは少なくて、メインは路地を歩き、銭湯に入り、食べたり飲んだりした記録だ。とくに銭湯は大好きらしく、一日に何回も入っている。関西銭湯には、女湯にオシメ替え台があるらしい。それに、よく飲みよく食らっている。知り合いに教えてもらったという赤ちょうちんに、値段が書いてなくて、常連ばかりで敷居が高いのに、平気でガツガツ食い飲んでいる。小心者のぼくにはマネできない大胆さだ。旅先でも物怖じしないヒトだから、他人からよく話しかけられている。圧巻は、古本喫茶〈伽羅〉に行ったが開いてなくて、公園ブラブラしていたら、鍵がないので家に入れない男の子にすがられるエピソードだ。やっと開いた古本屋の主人に、「あの、子ども拾っちゃったんですけど」と告げる。このシーンは、ぜひ映像化してほしい(山下敦弘監督でヨロシク)。


冊子にまとめるにあたり、注も加えられている。ひとつだけ誤字を指摘すれば、本文中の「兼」がすべて「件」になってます(ギャラリー件バーとか)。直しておくように。あと、印字の文字の濃さが部分的に違うように見えます。「ナンダロウさんに読ませるためにつくったんだよ」と武藤さんは云ってましたが、コレはおもしろいです。ぜったい売れるので、とりあえず50部はつくるように。定価は税込み500円でどうかな。売れ残ったら、ぼくが預かって8月のコミケ(ブースが取れた)で売ります。


10時に出雲市内で唯一の出版社〈ワン・ライン〉を訪問。実家から自転車で5分という距離。活発に本やムックを刊行している。地元にこんな版元があるのは心強い。動きの鈍いママチャリをギコギコこいで、〈ブックオフ〉へ。105円本を数冊買ったが、富岡多恵子『九つの小さな物語』(大和書房)はちょっと珍しいか。装幀・平野甲賀イラスト湯村輝彦という強力タッグ。駅前の台湾料理屋〈台南〉へ。汚い店だけど、料理はウマイ。昼の定食を頼んだら、主人がメニューを指でなぞる。「どういうこと?」と聞くと、一品料理がどれでも定食になるという。鳥のから揚げ台湾風)を食べる。スープもいい味。医大前まで行くが、ジャズ喫茶〈味巣亭〉は休み、その隣のケーキ屋兼カフェに入る。「ハニービー」という蜂蜜入りのケーキがおいしかった。堂場瞬一『擬装』(中公文庫)を読了


ウチに帰り、書庫に入る。近いうちにインタビューやトークに使う資料を探す。こないだコッチに送ったばかりなのに、すぐ必要になった本もある。でもまあ、仕方ない。昨日のトークでは、現物がなく記憶で喋った、谷口ジロー『遥かな町へ』上・下(小学館)を再読。街並みの描写がやはりイイ。未読だった、大槻ケンヂリンダリンダラバーソール』(新潮文庫)も読む。青春小説としてレベル高し。中山義秀『私の文壇歳月』(講談社)の表題作は、冨ノ沢麟太郎の思い出が出てきて、オッと思うが、後半は真杉静枝と離婚するに至った経緯を延々と書いていてやや退屈。売れてない時期の坂口安吾について触れ、「人間の思い出としては得意である時よりも、失意の境遇にある時の交わりのほうが、慕わしくもあり、心と心が触れあうことが多いようだ」と書いているのには共感する。その他、いろいろと拾い読み、再読しているうちに夜になった。昼間は暑かったが、夕方からはかなり涼しくなる。


晩飯のあと、昨日〈油屋書店〉で買った新日本文学会編『作家との午後』(毎日新聞社)から、田中小実昌テーマがないということ」を読む。この講演が読みたくて買ったのだ。分からないから書く、テーマがないから書くという持論を話しているその話し方じたいががテーマがないというか、流れ流れていくもので、いかにもコミさん的なのだ。ヘタにまとめずにそのまま起こしてくれたのが、かえってよかった。引用しづらいが、比較的まとまった部分を引く。


やっぱり映画で、本でもそうだけど、なにも終わりっと言うことないんだよね。そうでしょ、おしまいまでくればおしまいなっちゃったんだよ。それを「おわり」という、そこいらが、ぼくの言うことに関係あるんだよ。「おわり」って言ったらおわりになるのかよ、ほんとに。冗談じゃないよ、いちいちおわりって言うなって。こっちはおわってないんだから、そういうこともあるんだよ。だいいち、ものごとに始まりとか終わりとかありますか、ほんとに。(中略)ところがなんでもものごとには始めがあって終わりがある、そういう考え方の一つ一つがぼくには合わない。そう考える人とぼくは合わない。(笑)ぼくの方が正しいとは言わないよ、正しいとか正しくないじゃなくて、人と合わないんで、ほんとに不便してるよ。


この講演、田中小実昌の単行本のどれかに収録されているのだろうか?

minamiminami 2008/07/01 08:16 おはようございます。歴代編集長の証言をまとめた『プガジャの時代』(ブレーセンター刊)は、もう読まれましたか? このブログでプガジャのバックナンバーを買われたと記述があったと記憶していたものてすから。おそらくナンダロウさんなら守備範囲の新刊だと思いましたので。すでにご存知でしたらゴメンナサイ!

kawasusukawasusu 2008/07/01 10:47 minami さん、こんにちは。ブログでは書きませんでしたが、版元から直販で手に入れました。その直後に編集長だった山口由美子さんが亡くなったことを知りました。素晴らしい本なので、米子のトークでも紹介しました。

minamiminami 2008/07/01 10:57 ああ、やっぱりご存知でしたか、失礼しました。中村よおサンも待ちきれず版元から取り寄せられたそうです。山口由美子さんの訃報記事は関西の新聞には日刊紙、スポーツ紙問わず、ほとんど掲載されていたようです。

酒仙堂酒仙堂 2008/07/01 13:01  ごぶさたです。確かうちに並べていた小型時代のぷがじゃ2,3冊を買われたのは南陀楼さんじゃなかったかな。70年代に毎月買っていましたがほとんど捨ててしまいました。50年代後半の少年向き猛獣狩りや秘境探検の本、60年代前半の「マンハント」や「ヒッチコックマガジン」などとともに今となっては悔いの残る処分です。手元には小型が2冊、B5判が3冊しか見当たりません。やはりダンゼン小型時代が面白いです。山口さんはそのころの編集長でした。

kawasusukawasusu 2008/07/01 19:06 酒仙堂さん、お久しぶりです。たしかにぷがじゃ、買いました。あれからも探していて、いま全体の半分ぐらいは手に入れたかも。でも、コンプリートするのは難しそうですが。

mr1016mr1016 2008/07/02 10:04 ども、武藤です。あのですね、ナンダロウさん、また誤解していますよ。「常連ばかりで敷居が高いのに、平気でガツガツ食い飲んでいる」って旅先だから出来ることで、東京でそんな破廉恥な真似はめったにしません。旅の恥は掻き捨て、ってやつです。でもやってみるとこれがまた、いつもと違う緊張感を強いられて意外と楽しいのです。マゾなのでしょうか。

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2008-06-29 米子で出雲時間

昨夜は11時にベッドに入ったが、1時すぎに目が覚めてしまった。しかたなく、BS2映画を途中から眺める。斎藤耕一監督の《無宿(やどなし)》で、勝新太郎高倉健梶芽衣子山陰沖に沈む財宝(?)を探すという日本版《冒険者たち》。この海辺鳥取砂丘あたりだろうか? そのあと、本を読んだりして寝たのは4時前。


9時にロビーに集合。外は大雨。岡崎さん、JPICのOさん、光文社のKさん、Mさんと2台のタクシーで。南部町の〈祐生出会いの館〉へ。この一大コレクションをぜひ岡崎さんに見せたかったので。稲田さんの案内で、展示や収蔵庫を見せてもらう。1時間ほど過ごし、稲田さんの車で〈コンベンションセンター〉まで送っていただく。


6階の控え室(どこの要人用かと思うほどエラソウな造り)で、弁当を食べたりして待つうち、「読書の腕前講座」の時間となる。最初は岡崎さんの話なので、後ろで聞いているが、100人の予約があったというワリには集まりかたが少ない。すると、はじまってしばらくしてから次から次へとヒトが入ってきて、30分後に満員になった。子どものときに、出雲では会合とかがかならず遅れてはじまるというので、「出雲時間」だとよく云われていたが、米子にも出雲時間があったのか(「米子時間」とは云わないらしい)。


休憩を挟んで、岡崎さんとぼくのトーク。地元出身なので、今回はかなり気楽。さっきの板祐生のハナシから入り、今井書店のことなどを話す。後半はふたりが用意してきた10冊を交互に紹介する。けっこう白熱して、時間を20分オーバーして終了。そのあとサイン会があり、境港で古本屋をやろうとしている女性や、鳥取から来た「青空文庫」のJukiさん、岡山から来た「ドンベーブックス」の相棒などと話をする。


はー、終わった終わった。残ったメンバー6人で、商店街古本屋へ。絶版漫画文庫中心の〈ギャラリー〉と、昨日も行った〈油屋書店〉へぞろぞろと入る。そのあと〈青杏文庫〉を見て、商店街を駅のほうに戻り、適当居酒屋に入り乾杯。魚の美味しい店で、鳥取地酒を飲む。これから米子空港に向う人、米子ホテルに泊まる人、岡山行きのやくもに乗る人とそれぞれ別れる。米子駅から特急出雲市へ。タクシー実家に帰ったら、「またワケのわからんカッコして!」と早速母親に叱られる。もうね、きっと死ぬまで云われ続けるでしょう。

bakocutei_pontabakocutei_ponta 2008/06/29 22:57 好きな本の話を幸せそうに話すお二人の姿にこちらもなんだか幸せになりました。ありがとうございました。又お会い出来る時がきます様に!

kawasusukawasusu 2008/06/30 08:28 長時間お付き合いくださってありがとうございました。
米子での本イベントが実現したら、かならずまた来ますので。

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2008-06-28 米子の蔵で飲む

朝7時ごろに目覚めたので、早めに西日暮里に行き、仕事をひとつ片付ける。12時前に出て、浜松町回転寿司で昼飯。前はけっこうウマかった店だが、最近はいまひとつ。羽田空港から米子行きの飛行機に乗る。米子空港でJPICのOさんと落ち合い、バス米子駅前のホテルへ。チェックインしてからタクシーで、〈今井書店〉錦町店。今年オープンした店。入り口雑貨や文具、生活系書籍をセレクトしたコーナーがある。鳥取県内の1980〜2000年代に存続していた小さな店を撮影した、池本喜巳写真集近世店屋考』(合同印刷株式会社)を購入。本屋印刷屋の写真もあった。


歩いて商店街に入る。数年ぶりに来るが、長大なシャッター商店街なのに、ところどころ店が営業しているのがオモシロイ。〈今井書店〉本通店=〈青杏文庫〉へ。噂どおりよく揃っている。そこで光文社のMさんにバッタリ会い、彼がさっき寄ってきたという〈油屋書店〉へ。以前は新刊屋だったが、古本も扱うようになっている。いまでは半分以上が古本だ。「花森安治氏と私」という文章の入っている、扇谷正造『私の大学』(春陽堂書店)を買う。


商店街を戻り、尾高町の今井書店本社へ。以前はココが米子唯一の今井書店だった。永井会長をはじめ、JPICのNさん、光文社のKさんらと、すぐ近くにある〈夢蔵〉(http://yumekura.exblog.jp/)へ。2000年鳥取地震で損傷した蔵を有志で修復し、展示やイベントに利用していこうというもの。その蔵の二階に上がり、関係者の皆さんと飲む。岡崎武志さんもあとから合流。料理も酒もウマイ。トイレがないので、男性は目の前の川で放出内緒で)。岡本喜八精神を受け継ごうという「喜八プロジェクト」も進行中ということで、いずれ米子でも「一箱古本市」的イベントが実現する可能性は大いにありそうだ。

atsuatsu 2008/06/28 23:38 はじめまして。
懐かしい郷里の話なんでついつい。(今は米国在住で殆ど帰れませんが)
今井書店はほんとガキの頃からお世話になり、こんなすごい書店だと当時はわかっていませんでした。今井書店のお陰であんな田舎なら出合うはずの無い本に中高生時代に出会えました。ワタシは南陀楼さんとほぼ同年だと思うのでどこかですれ違ってるかもしれません。

それから油屋書店ですが、ワタシがガキの頃(30年以上前)から古本は扱ってましたよ。お店に向かって左手の棚を奥に進みお店の方の居住スペースに入るところの棚は記憶する限り古本しか置いたことは無いはずです。80年代初め頃に筒井康隆の初期単行本とか買いましたから。あと油屋といえば岩波文庫の品揃えは米子一でした。未だに悔やまれるのはドス・パソスのUSAを買っておかなかったことです。

kawasusukawasusu 2008/06/29 01:42 atsuさん、こんばんは
>お店に向かって左手の棚を奥に進みお店の方の居住スペースに入るところの棚
そうです、そうです。そこは以前から古本コーナーで、けっこうイイ本がありましたよね。
ただ、いまはそこも含めて、店の左側半分が古本になっています。
今日は買いませんでしたが、岩波の新刊も値引きして販売しているようです。

atsuatsu 2008/06/30 22:39 なるほど。古本部分がそんなに増えたんですね。おばあちゃんはまだご健在でしょうか?
今になって思い返せば、米子は町の大きさの割りに昔は本屋が多かったような気がします。ワタシの小学校、中学校の頃で商店街の駅側の入口から尾高の本店(一応あの辺りまで商店街と認識)までに憶えているだけで6軒、それ以外に駅周辺に3軒以上。
ワタシは商店街の校区に住んでいたので子供の頃から商店街の本屋が遊び場でした。
恵まれた環境だったんでしょうね。

kawasusukawasusu 2008/07/01 19:04 翌日も行って、ご主人に話を聞いたのですが、基本的に新刊書店としては廃業したそうです。岩波本は返品できないので、在庫を割引で売っているということです。米子には最盛期には十軒ほど古本屋があったとのこと。「おばあちゃん」は先代の奥さんでしょうか? 二日とも妙齢の奥様がみせにいらっしゃいましたが。

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2008-06-27 花森安治の巻の担当ですか

明後日岡崎さんとのトークの前に、山本善行さんとの共著『新・文學入門』(工作舎)を読んでおこうと思っていながら、この数日、大きな書店に寄れなかったが、今朝の宅急便献本が届く。うれしや。この本に関しては、関西でのトークの模様も含めて、この一週間ぐらい各ブログで報告があったが、あえて読まないようにしていた。だからまっさらな状態で向き合えた。ほうほう、こんな装幀(石丸澄子)か、こんなにページ厚かったのか。


で、最初に「気まぐれ日本文學全集」のラインナップを見てびっくり。「花森安治」の巻の編集南陀楼綾繁とある。おお! それはもちろん、喜んでやらせていただきます。本人の著作は意外に少ないが、『暮しの手帖』の短文からのセレクト、雑誌などへの寄稿、座談会も入れたら、相当オモシロイ巻になりそう。あ、カラー口絵は入りますか? 主要な装幀作品を並べたいので……。などと妄想が広がる。決定したラインナップ以外にも、その前の会議で出ているタイトル古本小説集とか)も魅力的。この本に出ている作家タイトルから、さまざまなアイデアが生まれるという気がする。


こんな魅力的な文学全集に誘ってくださって、ありがとうございます。岡崎さん、山本さん。ただ、ぼくが古本を高く買っている代表格みたいになってるのは、困るなあ。そりゃ、ゴッドハンドブッダハンドなどが鎮座する『sumus』のメンバーの中では、比較的高くても欲しければ買ってしまうほうかもしれないけど(以前、岡崎さんに「君は単価高いもんな」と云われたこともある)、古本好きとしては平均値じゃないですか。べつに金に糸目をつけずに買ってるワケじゃないんですから。


ところで、あとがき1958年生まれがすごいとして、吉田豪の名前が挙がっているけど、吉田豪って1970年生まれですよね。ぼくよりも年下のはずだから。


最近いただいた本は、岸川真佃島月島游記 都会の島の物語』(アニカ)、ミルキィ・イソベ『ブックデザイン ミルキィ流』(毎日コミュニケーションズ)、毛利嘉孝『はじめてのDiY』(ブルース・インターアクションズ)、佐山和夫『大リーグを超えた草野球』(彩流社)など。ありがとうございます。、


午後から新宿鶴川町田八王子新宿と移動して、8時過ぎに西日暮里へ。疲れた。電車の中で、今日買った、小谷野敦『猫を償うに猫をもってせよ』(白水社)を読む。短いエッセイばかりだし、どこから読んでもイイのが、電車読書には向いている。雑誌掲載とブログ掲載の文章が適度に混ざっている。いちおう「生活編」「政治社会編」などの章立てはあるが、いわゆる雑文集だ。一冊全体にテーマがあるわけではない、どこからでも読める雑文集は最近少ないので、このまま『猫を償うに猫をもってせよ2』『猫を償うに猫をもってせよ3』と続刊していってほしい。團伊玖磨の『パイプのけむり』や山口瞳の『男性自身』みたいに。10冊以上でたら、名シリーズになるでしょう。


同書の「映画の間違いあれこれ」で、新藤兼人監督《ボク【さんずいに墨】東綺譚》(1992)の間違いが指摘されていた。金沢と聞いて、荷風が「『金色夜叉』の尾崎紅葉先生故郷だ」というもの。たまたま、DVDをずっと借りていて観てなかったこの映画を昨夜観て、ぼくもアレッと思った。やっぱり、泉鏡花と混同したんだろうなあ。小谷野氏は「墨田ユキが美しくて、私の好きな映画だ」と書かれているが、ぼくはちょっと退屈だった。荷風の後半生をあんなにダラダラ描かずに、玉の井だけに絞って見せてほしかった。


夜、《タモリ倶楽部》を見ていたら、公共物マニアの一人として、四釜裕子さん(http://bookbar5.exblog.jp/)が出てきたのでビックリ詩人編集者奥成達資料室の室長でもある。最近渋谷毅さんのCDデザイン書評もやっている。多才なひとだ。そのクールな口調から、我が家では「ねえさん」と呼んでいる。今回は給水塔マニアとして出演したが、ほかの二人(電柱と通気孔)が明らかにおどおどしているのに比べると、堂々としていて貫禄があった。自分で撮った給水塔の写真を、タモリ泉麻人に「いいですよねえ〜」と勧めるのがねえさんらしかったなあ。

okatakeokatake 2008/06/27 11:05 そうか、吉田豪、若いんや。勘違いです。ご指摘ありがとう。なんとか増刷されて、訂正されるように。また、間違いあったら教えてね。

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2008-06-26 今回の小説検定のテーマは「映画」

『yom yom』第7号は明日あたり発売です。今号の表紙は黄色で、yondaくんが日焼けしています。今回の「小説検定」のテーマは「映画」。古い作品だけじゃなくて、最新の映画も取り上げるようにしました。そのために、マニアックな設問は棄てざるを得ず、ちょっと残念。まあ、文中で触れたものの3倍は観たので、いつかもう一回、映画でできるかも。追い込みの時期には、試写会で1本観て、映画館で1本、ウチに帰ってDVDで4本とか、すさまじい観かたをしてました。原作もずいぶん読んだし。

yom yom (ヨムヨム) 2008年 07月号 [雑誌]

yom yom (ヨムヨム) 2008年 07月号 [雑誌]


今日新潮社で、次回小説検定の打ち合わせ。次々回のテーマも決めてしまい、2つ並行して進めることに。終わってから、ツムツムの小部屋拝見。旬公が云ってたとおり、ほんとにコックピットだ。周りには本の山が林立しているが、机の上だけはファイル類がきちんと整理されていて、仕事のできるヒトであることを証明している。オレの部屋なんか、積んである本と机の上の汚さが一体化してるもんなあ。ツムツムとけものみちの違いか。神楽坂から東西線に乗り、大手町のホームに降りたら、荻原魚雷さんにばったり。魚雷さんとは遭遇率が高い。


明後日米子に出かけます。29日に岡崎武志さんとのトークがあるのですが、その前に久しぶりに〈祐生出会いの館〉に行くつもり。終わってからは、久しぶりに実家に帰ります。実家の近所にある某出版社への訪問などを予定しています。東京に戻ってすぐ、こんどは名古屋に一泊二日で取材。なんだか落ち着かないなあ。

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2008-06-19 近藤十四郎さんと『HEAVEN』について

まず告知。

『ぐるり』プレゼンツ

南陀楼綾繁のトーク十番勝負 その3

ぼくが『HEAVEN』の住人だった頃


出演

近藤十四郎ミュージシャン

南陀楼綾繁ライター編集者


1980代初頭に仇花のように咲いた、自販機雑誌HEAVEN』。高杉弾山崎春美羽良多平吉隅田川乱一らがやりたい放題に暴れたこの伝説雑誌に、創刊からスタッフとして関わった近藤十四郎さんにたっぷりお話をうかがいます。香山リカ『ポケットは80年代がいっぱい』の読者は必聴! 近藤さんの生演奏もあるかも!?


日時 2008年7月25日(金) 18:30開場/19:00開始

場所 対抗文化専門古書 気流舎

世田谷区代沢5-29-17 飯田ハイツ1F

電話 03-3410-0024

http://www.kiryuusha.com/


入場料 800円(予約優先、15人限定)

予約 ビレッジプレス「ぐるり」編集部

info@village-press.net 03-3928-7699


近藤十四郎(こんどう・としろう)

1954年岡山生れ。71年(高2)より東京。エルシー企画アリス出版〜群雄社にて『HEAVEN』、豪華パンフレット『陽炎座』(鈴木清順監督)などを制作。その後フリーソロバンドによる音楽活動も並行。「バカズ」〜「ゴールデンDAS」そして今夏、新生「水の底楽団」始動


近藤さんが『HEAVEN』に関わっていたことは聞いていたが、詳細をお聞きするのがこの機会が初めてになる。近藤さんの本拠である谷根千地域でやれば満員は間違いないが、あえて、今回は下北沢〈気流舎〉で行なうことにした。すでに予約も入っている様子。ご期待ください。


昨日は〈古書ほうろう〉で、藤木TDCさんとお招きしての「東京アンダーグラウンド食味談義」。客は約40人。藤木さんとは初対面で、会う前は緊張していたが、とても気さくな方で、訊きたいことを片っ端から訊くことができて、ぼくとしては大満足。前半は闇市をめぐるマジメな話が多かったが、休憩でのモツ煮販売(クドウヒロミさん作の「闇市風」)をはさんで、クドウさん、塩山さんに入ってもらってからは、塩山さんが藤木さんに丁寧にからんでくれたので盛り上がる(塩山さんが藤木さんの名文を朗読する場面もあり)。藤木さんの発言はいちいち面白かったが、なかでも「マイナスアルファの場所に惹かれる」(だったかな)というのが、この人の本質を表していると思った。それは藤木さんが書いてきたほかのテーマエロメディアやズベ公映画など)にも共通している気がした。トークのシメにそのことを云おうとしたが、うまく云えずに終わってしまった。


会場には、共著者のブラボー川上さん、写真の石渡史暁さん、単行本編集山崎三郎さんの「チーム闇市」の面々も来てくださった。ほかにも藤木さん担当編集者が多く、いつものほうろうでのトークとは一味違う濃い客層だったように思う。9時半に終了。終わってからの打ち上げも楽しかった。一段落してからほうろう、オオヨ、タムタム佐久間さんと飲むが、開始前からビール飲んでいて酔っ払ったので先に失礼する。


時間の都合上、触れられなかったが、トークの準備のために読んだ闇市関係の本がどれも面白かったので、紹介しておく。

松平誠ヤミ市 幻のガイドブックちくま新書1995年

闇市に関わった人たちの聞き取りを基にして、闇市の実像をできるだけ再現しようとしている。漠然と抱いていた闇市イメージを、かなり明確にしてくれる(闇市食べ物はものすごく高かったとか)。『東京路地〈懐〉食紀行』でも参考文献として挙げられている。同じ著者の『ヤミ市 東京池袋』(ドメス出版)も持っているハズだが、見当たらない。

猪野健治編『東京闇市興亡史』ふたばらいふ新書1999年

1978年に草風社から刊行されたものの再刊。日本ジャーナリスト専門学院の講師と学生による共同研究……なのだが、本文はあまり具体的でなく、記録としてはさほど役に立たない。阿佐田哲也が「闇市ギャンブル時代」を寄稿。巻末の50ページにわたる「東京闇市興亡史・年表」は資料として貴重。

七尾和晃『闇市帝王 王長徳と封印された「戦後」』草思社2007年

新橋東口に「国際マーケット」をつくった男のドキュメント漱石の次男・夏目伸六がこのマーケットで〈バー夏目〉という店を経営していたというエピソードが面白い。夏目の『父と母のいる風景』(芳賀書店、1967)からかなり長く引用されているが、とても生き生きとした描写で全文が読みたくなった。


ブログ更新してないと死んだかのように思われてしまう。メールとか会った人とかがやたらと心配してくれるのだけど、大丈夫です。普通に生きて、普通仕事(少ないけど)しています。いまは、ネットで人のブログを読んだり、自分から情報発信することからちょっとだけ距離をおきたいだけで。その代わり、本を読む時間が増えています。アウトプットよりインプットを重視したい今日この頃。それなのに、「トーク十番勝負」なんてものをやっている理由は、人前で目立ちたいなどというコトではなく、初めてきちんと話す相手との対話から、自分でも考えてなかった何かが生まれることを期待しているからです。実際、岸川さんからも藤木さんからも大きな刺激を受けました。ハナシそのものはぶっつけ本番ですが、その前に関連文献を読み込むのでそれも勉強になりますし。だから自分にとってはアウトプットよりはインプット重視の活動なのです(いつか本にまとまればイイなあという気持ちもあるのですが)。来週は下記のトーク(まだ受付中みたいなので、お近くの方はどうぞ)のために米子に行き、その足で実家に帰ります。米子では久しぶりに〈祐生出会いの館〉に行く予定。


読書の腕前 上達講座」in米子

人間の土台は読書がつくる」 ただし、「ツン読」もあり!


07年3月に上梓した『読書の腕前』(光文社新書)が好評の気鋭のライター岡崎武志さんが快適・魅惑的な読書生活のススメを語ります。古典から新作まで、縦横無尽に渡り歩く読書人・岡崎武志さんの講義で笑いながらあなたの読書の腕前を鍛えてみませんか? 特別ゲストには、島根県出雲市出身、ライター・本の街づくりしかけ人として活躍中の南陀楼綾繁氏をお迎えします!


日時 2008年6月29日(日) 13:00〜16:00

会場 米子コンベンションセンターJR米子駅より徒歩3分)

出演

岡崎武志さん(ライター書評家)

南陀楼綾繁さん(ライター編集者

募集人数 100名 ※事前申込が必要です。(定員を超えた場合は抽選)

参加無料

http://www.jpic.or.jp/

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