六本木から逃げたい気持ち

ちょっと寝坊して、朝9時起き。仕事場に行き、遅れに遅れた原稿にかかる。この雑誌で、最近の『本の雑誌』みたく連載陣の原稿到着順の近況欄が設けられたら、間違いなく毎回ラストでしょう。いつもの倍の分量なので、2時ごろにようやく完成。来週日曜日から〈レトロ印刷JAM〉で開催するフリーペーパー展の展示物を発送。あと、〈ユニクロ〉のネット通販で注文したジーパンなどが届く。とにかく試着というのがイヤで、店に行っても適当にしかしないので、だったらネットでも変わりないだろうと。多少、長くても短くても気にならないし。


5時すぎに出て、六本木。〈青山ブックセンター〉を覗いたあと、ライブハウス〈スーパーデラックス〉をめざす。六本木通りの北側にあると思い込んでいたが、ずっと歩いてもそれらしき店がなく、外苑通りまで着いてしまった。その辺から、めんどくさがりの血が騒ぎはじめ、こんなスカした街でウロウロするのが嫌になる。いちおう南側に出て、そのまま地下鉄で帰ろうかと思ったら、こんどはあっさり見つかり、しかも、入ろうかと迷っていると、外から戻ってくる渕上純子さんにバッタリ。これは運命だなと、中に入る。けっこう広くて、どこからもステージがみられるのがいい。後ろの方の席に座る。


6時半スタートで、まずcore of bells。初めて聴くバンドで、最初の数曲は(曲間の小芝居も含めて)ついていけなかったが、だんだん良くなってくる。とくにドラムは超絶技巧で、聴いていて気持ちよかった。つぎにふちがみとふなと芳垣安洋。前半の曲はほとんどがスキャットで、MCもない。曲調も内省的、という、いつもとはかなり違う感じ。渕上さんの声はいつもよりもハスキー。だと思ったら、最後の曲でノドを痛めていることが告白された。お気の毒ではあったが、その状況を逆手に取って、また新しい面を見せてくれたような気がする。そしてトリは、WATTS TOWERS。岸野雄一のライブは、新宿〈ロフト〉の20周年記念以来だが、いやー、楽しかった。見世物感覚と、馬鹿馬鹿しさと、社会批判と、ひとしずくの孤独がシェイクされたようなステージだった。バックの宮崎貴士(ギター、ピアニカ)、岡村みどり(キーボード)、近藤研二(ギター)、栗原正己(ベース)、イトケン(ドラムス)は、どんな状況にも対応できる熟達のミュージシャン。ウサギとJON(犬)の二大着ぐるみのゲストも豪華だった。このバンドは半年に一回ぐらいしかやらないみたいだが、また観に来たい。短気を起して六本木から逃げ帰らなくてヨカッタ……と思う、充実のライブでありました。


休憩時間に船戸博史[通り抜けご遠慮ください]を買う。船戸さんのベース、芳垣さんのドラム、大澤香織(ピアノ)、小森慶子(サックス)という編成でのフリージャズ。あとで聴いてかなり気に入った。どう考えてもCD-Rリリースではもったいない。


急いで西日暮里に戻り、昼間送った原稿のゲラを見てからウチに帰る。明日は某所の日帰り出張なので、それまで諸々の連絡を済ませておく。