文藝別冊『花森安治』が出ました

こんな本が出ました。

花森安治---美しい「暮し」の創始者 (文藝別冊/KAWADE夢ムック)

花森安治---美しい「暮し」の創始者 (文藝別冊/KAWADE夢ムック)

河出夢ムック 文藝別冊 
総特集 花森安治 美しい「暮し」の創始者   


花森安治ベスト・コレクション
若いひとに
言葉は暮しのなかに生きている
君もおまえも聞いてくれ
白い窓卓 編輯後記
手にも美しい表情を
衣装研究家の花森安治氏に歌舞伎の話を訊く[聞き手・構成 有吉佐和子]  
僕らにとって8月15日とは何であったか    
お人よしで親切で(大宅壮一追悼)
シェーファーのインク瓶
人間の手について


対談再録
×徳川夢声    問答有用第百十一回
×江戸川乱歩   本格もの不振の打開策について


対談 唐澤平吉×南陀楼綾繁 「花森安治の装釘」談義
 

インタビュー
土井藍生   父・花森安治と過ごした日々(聞き手 編集部)
杉山平一   花森安治を語る(聞き手 赤田祐一) 
矢崎泰久   スカートをはいた名編集者(聞き手 宇井洋)


鶴見俊輔花森安治讃 
サトウハチロー花森安治 
木内昇★まるまる一冊 
藤城清治★停電の夜に始めた影絵の話 
堀江敏幸★ダイヤルの位置は適当か 
津野海太郎★時代の空気 ロゲルギストと花森安治 
早川茉莉森茉莉と花森親分 
熊井明子★暮し方を変えてしまう雑誌 
市川慎子花森安治のこと 
山本夏彦★たったひとりの人 花森安治 
椹木野衣★たたかえ暮しの?手?帖
永江朗★暮らしをもっと、わがままに美しく 
茨木のり子★『暮しの手帖』の発想と方法  
荻昌弘★花森イズムと?暮しの手帖? 
南陀楼綾繁★「鬼瓦」は大橋を渡って 花森安治と松江
矢野進花森安治が描いた表紙画 
馬場マコト★宣伝技術家・花森安治 
濱田研吾花森安治の話術 
花森安治交友録 


資料
花森安治がつくった「暮しの手帖」152冊ダイジェスト
いま読める花森安治の本+花森安治についての本 
花森安治略年譜 
花森安治著述&主要関連文献リスト 

まだざっとしか読んでいませんが、単行本未収録の本人のエッセイや、花森についての評論・エッセイ・インタビュー(再録も含む)から、巻末の資料編(拡大コピーしないと読めないほど文字が詰まってます)まで、よくこれだけ入ったものです。花森安治の『暮しの手帖』以外の面にも着目した、花森安治ガイドブックになっていると思います。編集の大西香織さんは、かつて文藝別冊の武田百合子を担当した方です。写真やカットもふんだんに入っていますし、花森っぽいデザインから離れつつ、でもどこか花森っぽさが入っているデザイン(重実生哉)もいいです。


娘さんの土井藍生さんのインタビューは、家庭での花森の姿を伝えるもの。『花森安治戯文集』(LLPブックエンド)の土井さんのあとがきに出てこないエピソードもあります。「藍生(あおい)」という命名についての説明は、理屈と感情がセットになっている花森らしくて面白いです。鶴見さんのエッセイは、再録ではなく書き下ろしだそうです。調査魔の濱田研吾さんが「花森安治の話術」について書いているのは、どんな資料を引っ張り出してくるのか楽しみ。


ぼくは『花森安治の編集室』(晶文社)の著者・唐澤平吉さんとの対談と、エッセイを書いています。対談の方は、唐澤さんの話の引き出し役といったところですが、まあ、花森の装釘本を集めている仲間ということで。エッセイの方は、旧制松江高校時代の花森について書いたものです。


表3の広告にあるように、来年2月24日〜4月9日まで、松江市島根県立美術館で「くらしとデザイン展 『暮しの手帖花森安治の世界」が開催されます。本書やもうすぐ出る『花森安治のデザイン』(暮しの手帖社)を読んだ上で、展覧会を見に行こうと思っています。