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ニューロサイエンスとマーケティングの間 - Being between Neuroscience and Marketing このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2017-03-19

今日、何人かの中学生たちに送った言葉

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Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDPIII


本日午後、とある奨学財団の率いる長野の中学生の皆さん、約15人と約3時間語り合った。


はじめに僕の年齢を聞いて、彼らの親とさして変わらないので、ほとんどの彼らが驚いていた。どうも10才は若く見られたようだ。人は好きなこと、自分が意味があると思うことを追求していれば歳をとらないんだと伝えることから始まった。笑


頂いた質問表を踏まえ「これからの未来をどう考えどう生きていくか?」をテーマに、簡単な自己紹介、なんでこんな人生になったのかから始まり、頂いたお題に応えるべく、1時間あまりやり取りをしつつお話しをした。その後さらに幅広くこってり質問に答えたり、ディスカッションした。


大人相手の講演は割としょっちゅうしているが、これらの未来を担う世代と話すのは、僕としてはなかなかめずらしい機会なので、伝えたこと*1をここに残しておこうと思う。(ちなみに、来た中学生のどの一人も僕のことを事前に知っている人はいなかったことを付け加えておく。笑)


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  1. みなさんが生きているのは本当に確変モードの面白い時代、、、技術革新の重なり合い、Exponentialな変化がいたるところで起きている
  2. 単なる大量生産の時代は終わり、ワクワクをカタチにすることが富を生み出す時代になった、、、あらゆる分野のアップデートを掲げ、形にすることで、モノをただ作っても決して生まれない規模の巨大な富が生まれる
  3. おそらく今ある大きな会社の1/3以上は20年後には消えているか全く違う形になる
  4. ここからは素直にただ話を聞いて走ればいい時代(既存のルールでのサバイバル)とはかなり異なるモード(ジャングルを切り開きサバイバルするようなスキル)が必要になる、、、お父さんやお母さんの世代にとっての成功像をそのまま目指すとダメな人になる可能性が高い。時代の空気を吸った自分たちの感性をある程度以上に信じる必要がある
  5. 誰もが目指す姿というより、なるべく普通にいない人間を目指さないと価値がなくなってしまう、、、とても詳しいか得意なもの(であまり多くの人が目指さないもの)をいくつか身につける
  6. 自分がなんでも出来るすごい人になるよりも、どんな話題でもそれぞれ自分が頼れるすごい人を知っている方がはるかに大切
  7. いままでのリベラルアーツ母国語、世界語、問題解決能力)に加え、データの持つ力を解き放つ力(データリテラシー)が必須になる、、、リベラルアーツの本来の(ギリシアローマ時代からの)意味は使われる側と使う側を切り分けるもの。自律的に生きる市民としての条件として考える
  8. データやAIの力を解き放ったあと、最終的には人間は感じる力、決める力、伝える力こそが必要になる
  9. 英語や中国語を学ぶことは必須、、、日本の人口が減ることは当面止まらず、世界を相手に生きていくしかない。リーダー層であればなおさら。人間の脳は言葉を理解できるように出来ているので心配する必要はない。どんな人もやれば出来る
  10. 現在の日本の教育だけをやっているとみなさんは持つべき武器を持たず戦場に出てしまう可能性が高い。自衛の必要がある、、、コミュニケーションエンジニアリング、データリテラシー。これらは専門を問わず世界の高等教育の標準になりつつある
  11. 言語やデータリテラシーは読み書き算盤のたぐいの問題であり、単なるサバイバルスキルとして考えるべき
  12. 技術革新が世の中をこれ程変えている時代局面において、科学や技術、ベースになっている数学に対する理解は重要、、、ベクトルなどの数学、分子レベルの物理現象などの理解がある程度ないといま起こっている技術進展の多くは理解できない。これらが産業を革新するのだから嫌悪感、恐怖感だけは持たないようにする
  13. 理数系が苦手とか嫌い、そういうクラスや、受験科目を取りたくないからという理由で文系を選ぶのは避ける、、、理文なる概念は日本特有のものであり、日本では文系(理数不要)と考えられているような分野であろうと世界では数学や情報科学は酷使され、分野間の壁は低い。それが理由だとその分野でも世界を目指せなくなる*2
  14. 理数系が苦手だと思っている人は、自分たちが全世界の人でかなり上の方だということをよくわかったほうがいい、、、日本の中学生の数学の平均値は世界的に見れば極めて高い。自信を持つべき
  15. とはいうもののリベラルアーツ(基礎リテラシー)を身に着けた上では、自分が面白くて熱狂できることを追求すべき、、、何であれ食べていくためには一人前、一流の人を目指すべきだが、圧倒的に頑張れないことでそうなることは難しい
  16. 読み書き算盤的なリベラルアーツ(基礎リテラシー)以外の専門性は、ICTそのもののど真ん中というより、境界領域にこそ重要性が激増する、、、マーケティング医療社会問題など普通の生活課題を新たな技術をつかって刷新するところに産業が生まれる
  17. 今の段階で「仕事」であり「世の中に出るとは何か」についてそれなりの考えを持つべき、、、この50年ぐらいを除く、15万年間の現生人類(ホモ・サピエンス)史のほぼ全ての期間において人は15歳になったら世の中に出てきた
  18. 努力することやお金をもらうことが「仕事」の本質ではなく、世の中(なるべく質量が大きいもの)の勢いを変え、変化させることが「仕事」の本質、、、ただ頑張ったとかということには何の価値もない
  19. スキルとは変化を引き起こすための能力、、、よく思われるような専門スキルというより、もっとベースの基礎スキルやリーダーシップのほうが大切
  20. 極限的な意思決定はそれほど起こらない、、、それよりもちゃんと現実を直視し、分析した上で判断すれば、ほとんどの意思決定はバクチを打つことなく終了する。感覚で判断することなく、とにかくまず現実をしっかり見つめてフラットに判断しよう
  21. 日本が豊かさを保とうとするならば、我々は(カメラや、時計、クルマ、電機、石油化学、鉄などで行ったように)再度世界をとる、世界規模で何かを良くする必要がある
  22. 日本はあと数十年、人口縮小、人口調整局面が続くが、日本から世界をとるもの、世界を刷新するものやサービスが生まれないという話は全く別、、、十分生み出しうる
  23. ある事業が成長するかどうかは選んだ市場で7割が決まる、、、どれほどリーダー、戦略、実行力が優れていても流れにだけは逆行してはいけない。どこで商売するのかを決めるのが最も大切な判断。人生もまた同じ
  24. 日本や他の先進国の人口はおそらくいまの2/3か半分ぐらいに減ることになる。また環境問題はおそらく続く、、、この結果色々しばらくいろんな事が起きるが、それらはすべてある種のチャンスとして捉えるべき。氷河期時代も含め、人類は何度となく絶滅の危機に瀕してきたが全て乗り越えてきた
  25. 技術的な方向性はザックリ分かっても、未来を予測することは不可能(初期値が同じでも多様な可能性がありすぎる)というのが科学的な結論、、、未来は目指すものであり創るもの
  26. 評論家とかシニアな人や(君らから見ると)なんでも知ってそうな人がどう思うかとかはどうでも良いし愚問である、、、自分がどう思うかのほうが遥かに大切
  27. このような変革の時代で革新を起こすのは常に若者、、、それは10代、20代、30代前半までの人が中心。皆さんのチャンスの窓はいつまでも開いているわけではない。学校はいつでも戻ってこれる。何かやるべきものが見つかったらすぐにやるべき
  28. じゃまなおじさん、周りのグダグダ言う人とか、みなさんを変だ呼ばわりする人のことを一切、気にすべきではない、、、ただし仲間は必要。一人だけでは大きなことは生み出せない
  29. むしろ変でワイルドで未来に向けて希望を持っている人と極力付き合うべき、、、悲観論もエネルギーも伝染する
  30. 世の中だとか周りの人を一斉に変えようなんてことは一切思うべきでない、、、維新はわずか数十人の人間によって起きた。勝っていれば、そしてそれが正しければ勝手に人はついてくる
  31. 未来は変えうるし、実際、社会は皆さんが思っているよりも遥かに激しく変わってきた、、、ある種のティッピングポイントを超えれば一気に変わる
  32. 昔から殆どの人は頭なんて使っておらず、スマホで子供が馬鹿になったというのは単なるデマである、、、そんなことより自分でモノを考えられる人になろう
  33. ダーウィンが言ったとおり、最も強い種ではなく最も変化に対応できる種が生き残る、、、一番いいのは新しい変化を自ら引き起こすこと。振り回されるより振り回す側のほうが面白いに決まっている
  34. 世の中にはどうでも良い質問と意味のある質問がある、、、自分が考えるべきことを人に聞く質問や、他の人はどう思っているんだろう系の質問、それが分かっても何にもならない質問ではなく、それを聞かないと前に進まない質問、本質的に変化のある質問をしよう
  35. なによりも君らこそが我々の未来である。ガンガン仕掛けよう!

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といった内容を力強く話しました。


最後に、生まれて初めてサインのリクエスト攻めにあい、集合写真をとって解散しました。


多少なりとも意味があったのであればいいなと思う。

*1:3時間のインタラクティブセッションなのでこれでもほんのダイジェストです。また、内容がこれだけ広範なのは、半分以上が彼らのコメントや質問、疑問に答える形で話した内容だからです。

*2:そうでなくちゃんと数学や科学を避けず、素養として学んだ上で選ぶならもちろんかまわない。ちなみに理工系大卒が2割強しかいないのは日本の国としての大きなハンデになっている。一歩日本を出れば、理文を分けずに大学に入り、大学に入ってから経済なり物理、哲学心理学などの専攻を選ぶのが世界の標準。アメリカでは医学法律など実学学部卒業後にさらに別途学校(professional schools)に行って学ぶもの

2016-12-04

棺(かん)を蓋(おお)いて事定まる

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Leica M7, 1.4/50 Summilux, RDPIII, Manchester Village, VT, U.S.A.


人の功績は死んだあとに初めて正しく判断される、人の本当の価値は死んだあとにはっきりする、との意。


先程、この数週間、たまった新聞をざっとみていたのだが、2016.11.29の日経春秋」欄で久しぶりにこの言葉を見て本当に心に染みた。キューバカストロ議長の死を受けたコラム記事だった。


この1〜2年、突然、国だとか、大学、学会などのパブリックな仕事が増えて、本当にこれが価値がある時間の使い方なのか、このまま生きつづけることが自分にとって正しい人生といえるのか、をこれまで以上に考えることが増えてきたからかもしれない。*1


「晋書」劉毅伝の言葉という。人生の後半に差し掛かり、この言葉を思う。


このところ大学で講座を持つようになって、人生の様々なことに立ち向かう実に真摯な学生の皆さんの思いに直接触れることが増えた。


僕の講座は他の先生達とは多分ちょっと違って、理解度と満足度、そして質問とコメントを毎回アンケート的に尋ねている。そしてそれをもとに次週の講義を組み立てる。ほぼ必ず冒頭に本日のpick up questions/commentsという形で、これはこのまとまった数の学生に伝えるに値すると思うものを拾って答えている。


質問やコメントの多くはもちろん、授業で触れた話であるとか、それについて感じたことが大半なのだが、1割程度は世の中や人生についての悩みというかコメントだ。


曰く

  • 未だにデータに理解を示さず、感覚やカンでビジネスをする人は愚かだと思いますか?
  • データに逆らうことは愚かですか?厖大なデータに基づく適性検査をしたところ、志望している職業が不向きであると診断されました
  • 経営人材とはどのような素養を持つ人物ですか?
  • 今、転職しなければならないとなった時、どんな基準を大切にしますか?
  • 力の差を感じるようなすごい人にあったときに、努力という名の自助論で克服できるものなのでしょうか?

などだ。


これはこれで、僕に人として向かい合ってくれているという意味でとてもうれしく、ありがたい。頂く質問は膨大で、必ずしも対応できないが、できるだけストレートに向かい合うようにしている。


大学に限らず教育というのはスキルを教える前に、人を育てるものだ。僕はたまたまデータドリブン社会で生き延びるためのスキル教育をしながら、「どのように生きるのか」の一つのすがたを伝えているのだと思う。


自分自身、何人かの恩師に本当に大切に育ててもらったが、思い出すのはもちろんサイエンスの教えもあるが、先生の生き方であり、先生と話したやり取りから自分が気づいたことばかりだ。


その中で最近、聞かれた質問の中にこういうものがあった。

  • 先生に宿る超強力なエンジンパワーの源泉を教えて下さい。何がモチベーションになって、弱気になったときのリカバリーが出来るのでしょうか?

という内容だ。


僕の答えは、

  • 投下しているリソース(時間、エネルギー)に見合った変化、バリューを生み出さないと気持ち悪い、、、毎日を勝ち抜く、いいものにする
  • 未来の自分から見た時にあとあと悔いのないように生きる
  • 本当にやりたいことをやる
  • 意義を感じることからやる
  • 疲れたら休む
  • メリハリを大切にする
  • 色んな人と合う
  • バディを増やす

というものだった。実際その通りに思って毎日生きているのだが、このことは今、晋書の言葉を見て、さらにもっとちゃんと生きたいとそう強く思った。


つい目先の名誉とかお金とかそういうものに流されそうになるのが人間だが、そうではなく(それもある程度は大切なものではあるが、、)、もっと大きな目で今何が意味のあることなのかという視点を持って常に考えなければ、そんなことを思った夜でした。




ps. LINEをここまでの存在にし、そして今はC-channelを率いられている森川さんと先日対談した内容が含まれた本が出ました。僕のはともかく、森川さんと予防医学者の石川善樹さんや、ペッパーの開発者である林要さんとの対談はもう必読。僕に印税が来るわけではありませんが(笑)、よかったら手にとって頂ければうれしいです。


ダントツにすごい人になる 日本が生き残るための人材論

ダントツにすごい人になる 日本が生き残るための人材論

*1:余談だが、かなり以前もこの言葉をはっと思ってメモをしたことがある。その時も変換で苦しんだが、今回もちょっとした大変さだった。笑

2015-10-31

第二回データサイエンティスト協会シンポジウムのお知らせ

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Leica M7, F1.4, 50mm Summilux, RDPIII @Oxford, UK


来月13日(金)にデータサイエンティスト協会、年に一度の第二回シンポジウムが行われます。


事務局に聞いてみたところ、こちら、なんとまだ枠があるようなので、驚きつつ、ご案内させていただいている次第です。

http://www.datascientist.or.jp/symp/2015/


基調講演では情報処理学会会長、NII(国立情報学研究所)所長の喜連川先生にお話いただくことに加え、今、話題の人工知能の第一人者、松尾豊先生にもお話いただきます。


加えて、データサイエンティストのスキル要件をデータサイエンス力、データエンジニアリング力、およびビジネス力 (business problem solving) の3つの広がりそれぞれについて、詳細な100以上の詳細かつ具体的なスキルチェック項目を初めてここで発表します。こちらは文科省の方からも待ちわびられている内容で、このまま国の高等教育などにも大きく反映されていく予定です。


その他にも自動運転、ロボットで注目を集めるZMPの谷口社長、ITで日本の交通を変える日本交通の川鍋会長など充実したスピーカーが出られます。(ほかまだまだいらっしゃいますが詳しくはウェブサイトをご確認ください。Track AとBがあります。


これだけの内容でありながら、非営利団体(一般社団法人)なのでコストで提供しており2万円とほかの類似イベントよりかなりお得なのですが、なんと次の特別紹介コードを入力いただけると4千円安く1万6千円で懇親会まで参加できます。(学生の方はわずか5千円。)*1


割引コード: SHOUKAI01


ご興味のある方は是非空きのあるうちに以下の公式ウェブサイトからお申し込み頂ければ幸いです。


http://www.datascientist.or.jp/symp/2015/

(誤入力をされた場合、返金対応が出来ないそうなのでそこはご留意ください。)


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本シンポジウムでは、上述の通り、データの力を解き放つために必要なスキルをサイエンス、エンジニアリング、ビジネスの3領域いずれもチェックリストとして相当丁寧に可視化したものを発表します。


データプロフェッショナルに求められる像が明確になることで、多くの人のキャリア形成や採用のお役に立つことを願っています。通常の情報処理技術者でも情報科学研究者でもコンサルでもない広がりが理解してもらえるかと。


感覚的には物理、科学、生物学の専門家が集まって分子生物学という学問が立ち上がっていった時の話に近い気がしています。必要な知恵を持ち寄るが、力を合わせ、技を開発しないとフロンティアを切り開けない。


スキル委員会で毎週水曜の夕方エンドレスで行った(終わると大体23時過ぎ、、orz)、長く大変な検討過程で見えてきたのは、いわゆるITエンジニアの通常技術だけでは足りない、情報科学も情報系、機械学習系、データ可視化系いずれかだけでは足りない、問題解決力もコンサル的なものを超え、データ視点で持つ必要があることでした。


Palantirなどの成功を見れば分かる通り、我が国は明らかにこの領域の人材開発、事業開発においてbehindです。教育も何をどうしたら良いか見えにくい。そこに何らかの楔を打ち込められればと心から願っています。


情報科学のエッジを求められる人には物足りない内容かもしれませんが、それはWSDMなりKDDなりの場で吸収して頂ければ良い話で、この道を目指す人がどういうスキルを身に着けていくべきか可視化できればと思っています。

*1:もし取引先や販促などのためにまとまった量を購入したいということがあれば、企画委員会(c-planning@datascientist.or.jp)まで、ご相談いただければ、何らかの対応をしてくれるかと思います。