職場のぬるま湯度チェック(Tech総研)

感動したっ!(小泉首相風に・笑)

3年後ヤバイ!?技術力が腐る職場のゆるま湯度チェック
http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/tech/docs/ct_s03500.jsp?p=lwf006

これは技術者は必読の記事であろう.

ただし,そもそも成果の定義が難しい研究系の組織を前提とした場合に,かならずしも当てはまらないと思った点がいくつかある.

Check 3では,「(自分を含め)各メンバーが何年も同じ仕事をしている」とあるが,「上司が定期異動で代わるたびに,別の仕事をさせられる」というケースもあると思う.たとえば,2年はAという仕事をして,次の3年はBという仕事をして…というと,結局仕事の神髄を誰も把握できないうちに仕事内容ががらっと変わるので,人材が育たないのだ.また,そんな明確な方針を打ち出せない上司の下では,マネージメントも学びようもない.で,若手も管理職も悲惨な状態になってしまっていることがある.

また,Check 4では,「「失敗さえしなければいい」という雰囲気が蔓延している」とあるが,「「失敗してもいい」という雰囲気が蔓延している」という,より悪いケースもあるだろう.たとえば,最近の日本企業は成果主義を掲げているところが多いが,本来の成果主義ではなく,上司にどのように気に入られたのかが指標とされることが多い.だから,上司の言うことさえおとなしく聞いていれば,仕事の結果がどうだろうと,評価が高いとか昇進できるという現象も実際に生じているようだ.

なお,今年は新年早々に,ZDNetの飯田さんの記事「魚は潮の流れの良いところに棲む」に関する藤井彰人さんのコメントを見てなるほどと思った(元記事よりも,彼のコメントの方が私には印象深かった(笑)).

http://blogs.sun.com/roller/page/akihito/20060109

ここでは,今後は技術志向の組織では外部との交流を活発にし,各技術者は自己のスキルアップを計らねばならないし,それに反した企業は人材流出を招いてしまうことが指摘されている

実は,昔の日本では,外部との交流はあまり重要視されなかった.それは,終身雇用と年功序列という日本独特の制度が存在したと共に,ある種の技術的囲い込みが起こっていたからである.たとえば,日本の某通信系大企業では,独自の規格を策定し,グループ化した企業群に開発させていた.この時に,日本人技術者の勤勉さからか,実質的に海外と同じ機能のものを作ったとしても,性能や信頼性が高かったりするので,あながち悪いとも言えない点もあった.このような状況においては,社内でアピールするためには,逆に自己の存在を隠すことが必要であった…たとえば,能力で目立たない,上司に逆らわないというのは,事なかれ主義と言うより,自己アピールのために必要な対策であったのだ.

しかし,非関税障壁という名目の元にこのような体制が破壊され,さらに標準化された仕様に基づく安価なハードウェア・ソフトウェアが出現し,さらにソフトウェアのさかんなオープンソース化という時代まで来てしまった.このように,すべての人間が同じ土俵で戦わねばならない時代に一番有利なのは,情報や人間関係を制した技術者,そしてそういう人間を抱える企業であろう.実は流れの良いところに棲むのは必ずしも楽だとは限らないが,そういう人間が求められるようになってきている.

現在は,大企業ほど,日本的成果主義という悪しき局所解にはまっている気がするが,そのような人的リソースの制御に長けている外資系企業との競争力に差がつくにつれ,新たな解を見つけざるをえなくなるのかもしれない.