NIO.2: 失われた惑星からの帰還

私達(JSR-203エキスパートグループ)は,ついにJSR-203の早期ドラフトレビュー(EDR: Early Draft Review)仕様を公開しました.別名NIO.2として知られているこのJSRは,"New I/O APIs for the Java SE platform"の第二段階です.特に,新しいファイルシステムインタフェース,非同期I/O API,そして最初のNIO JSR (JSR-51)から受け継いだソケットチャネルAPIを完成させることが課題です。JSR-203は,Java SE 7の構成要素候補JSRとして提出する予定です。

私達が提出したドラフト仕様は,すでにhttp://jcp.org/aboutJava/communityprocess/edr/jsr203/index.htmlからダウンロードできます.さらに,このJSRについて議論するためのメーリングリストも用意して,http://groups.google.com/group/jsr203-interest/subscribeから登録できるようにしました.コメントをjsr-203-comments@jcp.orgに送ることもできます.このドラフトをリリースした最も重要な目的は,私達が今まで問題に取り組んできたことに対するフィードバックを得ることです.少なくとも,ファイルシステムの分野で,このJSRはいくつかの基本的な問題を解決して,残念ながら今まで利用できなかったプラットフォームの機能をサポートすることを目指しています.二番目の目的は,APIをさらに改良することです.すべての開発者に同意して頂けると思いますが,みなさんのフィードバックはAPI設計に非常に役に立ちますし,改良したAPIの再公開を何回かおこなうことができるでしょう.

そこで,まずこのJSRのトピックに興味を持った人が読み始めるためのスライドを用意しました.今後数週間は,このJSRがカバーするトピックについてのブログをフォローするつもりです.

(Alan Bateman "NIO.2: The Return From The Lost Planet"を翻訳.)

JSR-203に関する日本語の情報提供の開始について

私は,今までJava Community Processを通じてJSR-51 (NIO),JSR-204とJavaの仕様策定作業に関わってきて,現在もJSR-203 (NIO.2)のエキスパートグループで活動しています.

JSR-51では,ヒープの外側のメモリ領域を抽象化したオブジェクトとして扱うネイティブオブジェクトという技術を核にしたNIO APIの設計に関わりました.これはかなり大規模な作業だったためにすべての作業が間に合わず,多くの課題を後に残すことになりました.また,残念だったのは,私達が作った仕様が必ずしもすべての開発者に歓迎されたわけではなかったことです.これらは私の心残りでした.

そこで後継のNIO.2のエキスパートグループでは,できる限り多くの開発者に仕様をレビューしてもらい,そのフィードバックを生かしてよりよいAPIを設計しようと思っています.そのため上記の仕様リードのAlan Batemanの記事で紹介されているようにエキスパートグループと開発者が一緒に議論するためのメーリングリストを用意しました.

さらにAlanと私が直接話し合って,AlanがJSR-203関連の情報を彼のブログ(http://blogs.sun.com/alanb/)で公開し,さらに多くの日本人Java開発者からより多くのフィードバックを得るために,私が日本語のJSR-203関連情報と彼の記事の翻訳を提供することにしました.

JSR-203の仕様をよりよいものにするためには,ぜひとも皆さんの協力が必要です.私達JSR-203エキスパートグループは,より多くの日本人開発者のみなさんに私達が設計したAPIをレビューして頂くことで,よりよいAPIにするためのより多くのフィードバックを得ることを期待しています.ぜひ,ここで今後提供するJSR-203関連情報を読んで頂き,気が付いた点があればメーリングリスト,コメント用のアドレス,ブログへのコメント・トラックバックなどの方法でフィードバックしてください.どうかよろしくお願いします.