祖母の食器棚から


祖父のお見舞いに福岡へ。
病院に着くと、少し待ち時間があったので空を見ていた。
この下で祖父母はずっと生きてきたんだなあ。


源へ還る準備はやっぱり大変なことで、
祖父の体と感情、周囲の精神も大わらわだった。
私は私のできることをするだけで、
三日間病室でゆっくり話した。
ぽつんぽつんと、昔のこと。
今の私の日々のこと。


そのあいまに、家で宝物さがしをする。
台所の食器棚には器がずらり。
昔は結婚式も葬式も新築祝いも家でしたものだから、
定食屋さんができそうなくらいたくさんある。
一皿につき十枚とか。
りんごの形のお皿には果物やゼリー。
淡いブルーの器にはそうめんのおつゆ。
昭和だけど、昭和レトロではない。
ずっと使っているものだから。
そこがいいなあと思う。


祖父は生まれてからこれまでずっと、こどもみたいな人だった。
人生の後半しか知らないけれど、たぶんそうなんだ。