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2008-09-07

ライトノベルが衰退するかはわからないが変化はしている、エロい方向に

2004年あたりのラノベ解説本ブームから、越境作家の増加、新規参入レーベルの増加、ハルヒのヒット、アニメ化作品の増加を経て、ついに「ラノベブームだ、これからはラノベの時代だ」とか「いや既にラノベは危ない、衰退しつつある」とかなんとか語られるようになったライトノベルですが、それを取り巻く状況はよく語られるのに、その具体的な変化についてはあまり取り上げられていないような気がするので、軽く書いてみたいと思います。


これまでのあらすじ

スレイヤーズ』『オーフェン』で世界を支配した富士見ファンタジア文庫が衰退した後、代わって覇を唱えたのは『ブギーポップ』を擁する電撃文庫でした。それに伴ってライトノベル界の主流もファンタジーから学園物へと変わり、セカイ系ライトノベルの『イリヤの空、UFOの夏』、学園異能テンプレートを作った『灼眼のシャナ』や、電撃文庫の出身ではありませんが、学園+ロボの『フルメタル・パニック!』、学園物作品のパロディである『涼宮ハルヒシリーズなどの学園物ライトノベルが次々と登場したのです。しかし、電撃文庫も絶対的な支配力までは持てず、その周辺では多くのラノベレーベルが興り、またかつての王者富士見ファンタジア文庫も密かに力を蓄えていました。ここにライトノベル界は大戦国時代を迎えたのです…!

ブギーポップは笑わない (電撃文庫 (0231))

ブギーポップは笑わない (電撃文庫 (0231))

灼眼のシャナ (電撃文庫)

灼眼のシャナ (電撃文庫)



萌エロ路線をとって台頭したMF文庫J

電撃文庫に対抗する非角川系ラノベレーベル*1の代表格といえばMF文庫Jでしょう。『ゼロの使い魔』を筆頭に、『かのこん』『えむえむっ!』『ぷいぷい!』『ねくろま。』『けんぷファー』『きゅーきゅーキュート!』といったラインナップを取り揃え、新人の作品は一冊出るごとにラブコメ分増し増しになっていくという恐ろしさ。この徹底したラブコメエロコメ戦略により、電撃文庫富士見ファンタジア文庫の二強に迫るほどの躍進を遂げました。

また、他の中堅レーベルも多かれ少なかれ萌エロ路線を取っています。たとえば、創刊当初は硬派だったHJ文庫ですが、いまやパンツ付きライトノベルを売り出すようなレーベルに変貌を遂げていますね。→「AIKa R-16」 女子高生パンツ付ライトノベル 発売 - アキバBlog

ゼロの使い魔 (MF文庫J)

ゼロの使い魔 (MF文庫J)

かのこん (MF文庫J)

かのこん (MF文庫J)


萌エロ路線をとって対抗する電撃文庫

対する電撃文庫も、MF文庫Jの好調を気にしたのか、萌エロ路線に傾きはじめているように思います。特に多いのは、わりとシリアスな作品を書いていた中堅作家が、萌エロ路線に転向するパターン。『カレとカノジョと召喚魔法』→『れでぃ×ばと!』、『ぼくと魔女アポカリプス』→『C3 -シーキューブ-』、『座敷童にできるコト』→『タロット御主人様。』、『神無き世界の英雄伝』→『Kaguya』などなど。いまのところどの作品も打ち切られていない、どころかけっこう売れているみたいなので、この戦略はとりあえず成功しているのでしょう。*2

C3―シーキューブ (電撃文庫)

C3―シーキューブ (電撃文庫)

*3


しかし萌エロ路線はマニア受けしない

keyword:2008年上半期ラノサイ杯結果ページ(新規作品部門軽量版)

keyword:2008年上半期ラノサイ杯結果ページ(既存作品部門軽量版)

ラノサイ杯ライトノベルサイト杯)」というのはラノベサイト管理人による人気投票イベントなのですが。その結果を眺めてみても、上位の中でラブコメといえるのは『SH@PPLE』と『とらドラ!』くらいしか見当たりません。ちなみに、『SH@PPLE』はともかく、『とらドラ!』にエロは皆無です。また、MF文庫Jの作品もほとんど票を得ておらず、ようやく『死神ナッツと絶交デイズ』が8票を獲得した程度。ちなみに『死神ナッツと絶交デイズ』はラブコメではありません。

こうしてみると、ライトノベルサイトを運営するようなマニアたちがラブコメエロコメ路線をほとんど支持していないことがわかります。萌え萌えエロエロした、いかにもオタク好きしそうな作品が、ラノベオタクに受け入れられないというのも、ちょっと面白い話ですが。


結局

ライトノベルの読者層は、「1人で何冊も買う少数のマニア」と「1人あたりの購入冊数は少ない多数の中高校生」に分かれているといわれますが、MF文庫J系のエロコメ後者の方に好まれているのでしょう。レーベル側にとっては、当たり外れの大きいマニア狙いのシリアス作品よりも、エロパワーによって常に一定以上の売り上げを見込める萌エロ路線のほうが好ましいということもあるでしょうし。今後は、マニア層を狙ったレーベルと、ライト層を狙ったレーベルが、いま以上にはっきりと分かれていくのかもしれません。

*1:角川系=電撃・富士見スニーカーファミ通

*2:で、魔女式の新刊マダー?

*3:この不自然なまでのパンチラ

とおりすがりとおりすがり 2008/09/08 00:29 私はMF文庫J系のエロコメは「1人で何冊も買う少数のマニア」の「さらに一部(エロゲ原作のパッとしない面白さのアニメのDVDすら買うタイプ)」が好んでると思いますね。根拠はありませんけど(笑)、私の感覚や世間の反応を見てると。

mizunotorimizunotori 2008/09/08 06:58 それにしては、売り上げはかなり好調っぽいですし、ラノベサイト界隈でも話題になりにくいんですよね。あと、ラノベオタクとエロゲオタクはともかく、ラノベオタクとアニメオタクってあんまり重なっていないような気がします。私の感覚や世間の反応を見てると。

とおりすがりVer.2とおりすがりVer.2 2008/09/08 07:19 自分としては、別に直接的にエロくなくてもいいけど、カップルとかが、裏ではちゃんとヤることはヤってる、って。
そういうとこで、変に避けるのだけやめて欲しいな。そういう、そこはかとない色気の方が、けっこうグっとくるんだけど。

前に、どっかで、学生結婚まで行ったラノベが無いって言ってた人いたけど、そんな感じで、直接表現無くても、
きっちり流れとして、自然に行って欲しい。それなりの歳のキャラなんだから。

yoshirinyoshirin 2008/09/08 07:31 >創刊当初は硬派だったHJ文庫ですが、
小説版「Aika R-16」の企画が突飛だっただけで、
小説レーベルとしては今だって比較的硬派だよ(苦笑

mizunotorimizunotori 2008/09/08 07:43 >>とおりすがりVer.2
リアルを求めるとラノベは挫折しますよね。どこまでいってもファンタジーってことで。まあ「裏ではちゃんとヤることはヤってる」ってラノベが全くないわけでもないですけど。

>>yoshirinさん
「ノベルジャパン」から「キャラの!」への誌名変更は、ナンパ男への転向宣言めいていると思いましたけど。高校デビューみたいなものだったんでしょうか。上っ面を変えただけみたいな。

kino22kino22 2008/09/08 10:47 あんまりエロい方に逝くと売れなくなると思う。
なるべくユーザーは限定しないほうがいいはず。
このまま行くと極少数のユーザーに支えられる弱小ジャンルと化す。
ラノベ終わったな。

とおりすがりA’sとおりすがりA’s 2008/09/08 11:17 ラノベオタクとエロゲオタク・アニメオタクって結構重なっているような気がします。私の感覚や世間の反応を見てると。

アニメ・ギャルゲが好きで、それが高じてラノベを読むファンってのは、その消費の仕方がアニメやゲームと同じだから、毛色が違う感じ。
お互いが、お互いのフィールドから「世間の反応」を見てれば、見えるものが違うのも自明かと。
どっちが多数で、どっちが少数かは解らないけれど、かれらも単体で相当量のラノベを消費するはず。
「野木坂春香」なんかは、無意味に感動や重い話に走らず「だだ甘なだけの日常」が書かれていて、とても好感がもて(ry

まぁ、それはともかくとして。
本屋でグループの会話を聞いてる限りじゃ、シャナですら「アッチ系」といって避けられていたから、中高生が積極的に買うってのは無いかなぁ。
そしてここで「彼らはこっそり買っているんだ」との論がでるなら、それこそ「月に何冊も買うマニア」は、話題にはせずとも買ってるでしょうね、絶対。

とーりすがりsakuranとーりすがりsakuran 2008/09/08 11:23 個人的には一昔前のスニーカー系に戻ってる気がしますけどね。
富野氏とか秋津氏とかあかほり氏とか結構凄かったですし。
何も変わらないと思いますよ?一時の盛り上がりが元に戻って落ち着くだけと見てます。
むしろこれまでが異常な位に騒ぎ過ぎだった気がします。

とおりすがり365とおりすがり365 2008/09/08 19:50 萌えエロラノベがラノベオタから評価が低いのは、D.C.やオーガストの作品がエロゲオタからは評価が低いのと
同じなのではないかと。

mizunotorimizunotori 2008/09/08 21:14 >kino22
「ラノベ終わったな」という人が増えると本当に終わるんだと思います。
「俺は萌エロだって構わず読んじゃう人間なんだぜ」という気概を持ちたいものです。

mizunotorimizunotori 2008/09/08 21:14 >>A’sさん
最近はアニメもエロゲもラノベも全部同じペースで買ってる、なんてオタクは、ほとんどいないと思いますよ。そんなことやってたら時間が足りません。「基本はアニメDVD買うけどラノベも嗜む」とか「エロゲがいちばん好きだけどラノベも時々」とかって程度で。
シャナ云々に関しては、それは本当にオタクの気がない人でしょう。言うまでもなくオタクっぽくない中高校生の数>(超えられない壁)>オタクっぽい中高校生の数でしょうから、シャナをオタっぽいと思う中高校生がいても不思議ではありません。その一例を取り上げて「中高校生はラノベを買わない」とは言えないと思います。

mizunotorimizunotori 2008/09/08 21:18 >sakuranさん
そのあたりはリアルタイムで体験していないので、正直、当時の感覚がよく分かりません。あかほり作品が「お色気」や「萌えらしきもの」を装備しているのは分かるんですけど、それは現在でいう「萌エロ」系と、完璧にイコールで結べるんでしょうか。

mizunotorimizunotori 2008/09/08 21:21 >>365さん
エロゲ界隈のことはあまり知らないんけど、評価低いんですか? オーガスト作品は発売のたびにそれなりに話題になってるように見えますし、あとD.C.の人気がないのは曲芸商法のせいかと思っていましたが。

真砂真砂 2008/09/09 01:48 売れてる作品ほど話題にしない、というのはありがちな話だと思います。

「現時点で売れている作品」より「売れてはいないけど、どこか光るものがある作品」のどちらを記事を書く人間がプッシュするかといえば、後者でしょう。
なぜなら前者は放っておいても売れますが、後者はプッシュしないと埋もれ消えていく可能性すらある。
さらにラノベサイトを運営するような人間なんてのは大概がオタクであるからして、オタク独自のメンタリティである「メジャーよりマイナーを」的な思考も合わさり、よりメジャー所がプッシュされる確率はさらに低くなる。
意外に、そういう単純な話なのかもしれません。

まぁ、もちろん、管理人さんの仰るとおり出版社的な都合もあるのかも知れませんが。
個人的にはその辺の要素が色々複合して今の状況になってるんじゃないのかなぁ、と愚考してみたり。

どうでもいいけど、シーキューブは萌エロというには中身が黒すぎて微妙だと思います(笑)

シーキューブの実情は萌エロなどではない
もっとおぞましい何かだ

何か何か 2008/09/09 02:34 シーキューブは萌えもあるといえばありますけど、結構黒いですね〜。
という私は一応1巻から買い続けてるふりをして2巻買い忘れて34買って2巻探し中なダメっ子です;;

なまえなまえ 2008/09/09 05:21 いや、いまさらそんな話をされてもナー。
すでに5年ほど前にエロ化は始まっていて、今は定着した時期だと思うのだが。
というか、あんた昔のラノベをしらん読者か?
昔のほうが露骨なことはもっと多いぞ?
具体例は……めんどうなんで自分で調べてみ。

mizunotorimizunotori 2008/09/09 05:28 >>真砂さん
そうですね、メジャー作品がプッシュされてないというのもあると思います。ただ、それにしても話題にされなさすぎだと思うんですよ。最近では『アストロノト!』くらいじゃないでしょうか、それなりに話題になった作品は。
まあ、とりあえず「MFJ頑張ってるよな」というのは書いておきたかったのです。

あと、『ぼくと魔女式アポカリプス』の頃と比べれば、ずいぶんと白くなりましたよ、水瀬葉月は…! 少なくとも萌エロの皮は被っていると思います。中身のことには触れないほうがきっと売れるはずです。C3が売れれば魔女式の続きが出る可能性だって…!

mizunotorimizunotori 2008/09/09 05:43 >>なまえさん
単に「エロい」というだけの話じゃないですよ。ましてや「昔はエロくなかった」だなんて一言も書いていないはずですが。
このエントリの趣旨は「最近はMFJ系の萌エロ・エロコメ路線の作品が好調だ」ということであり、そして「好調だ」というためにはそれが「定着」していることが前提になりますよね? まあたしかに5年前に「これからはMF文庫Jが来る! 萌エロの時代だ!」とか言ってたんだったら超かっこいいですけどね。
あ、それと「昔の作品をしらん読者」というのはそのとおりです、念のため。

(´・ω・`)(´・ω・`) 2008/09/09 12:04 今は萌え系の絵師が台頭してるからソレ系の作品が売れてる、って事じゃないのかな
元々ラノベって、ヤングアダルトノベルとか呼ばれてた頃からいわゆるジャケ買いする人が主流だったと思うし…
ブギポの頃くらいからかな。エロゲ・ギャルゲの原画なんかをしてた絵師さんがラノベに挿絵描き始めたのは。
そこら辺からゆるやかに今の流れにシフトしていったというのはあるのかも

yy 2008/09/09 18:30 普段エロい作品を読んでる人も
投票の時はカッコつけて
玄人向けナ作品を挙げたがる という補正もアリソウ
・・・トイウ分析をしてしまうワタクシ穿った目線スギ?

とーりすがりsakuranとーりすがりsakuran 2008/09/09 19:37 今の路線と結べるかどうかと言う事ですが、イラスト抜きで語るならやってる事が一緒ってだけの話ですね。
その当時に萌えと言う単語が無かっただけの話。

mizunotorimizunotori 2008/09/09 20:34 >>(´・ω・`)さん
なるほど、絵師から遡及して作品に影響が出るというのは、逆転の発想ですね。個人的には、イラストレーターがボーダレスに活躍しはじめただけだと思いますけど。でも、その考えは面白いと思います。

>>yさん
いやぁ、どうなんでしょうね。むしろ、その作品がいかにエロいかを熱く語るような人の方が、オタク的にはかっこいいような気もしますけど。

>>sakuranさん
いまの萌えって、萌えの「型」をつくってそこに嵌め込むようなところがありますから、「萌え」という単語があるかないかはかなり重要だと思いますけど。でもまあ、それでも方向性は同じということで、結局は繰り返しなんでしょうね。

yoshirinyoshirin 2008/09/10 00:45 80年代から90年代のライトノベルの方がエロかったという認識は、概ね間違っていないと思うけど、現在と決定的に違うのは、いわゆる「萌エロ」というのを売り文句として打ち出している作品が今と比べて少ないこと。もちろん、その当時に「萌エロ」という概念すらなかったですが、それに類するような作品は、自分の記憶している限り少なかったです。反対に普通のファンタジーやSFを装って、セックスやレイプ(をされたと思われる描写)が普通に描写してあったりしました。富野御大の小説や小説版『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』などなどのように。
あの当時の男の子向けレーベルでラブコメっぽいものは確かにあったけど、その手の作品はコバルトやホワイトハートなど少女小説の独壇場でした。ラブコメが男の子向けレーベルに頻繁に出るようになったのは2000年代です(多分)。
あかほり作品=エロ(お下劣または外道)というイメージがあるけど、それはラジオパーソナリティとしての話。コミック原作やアニメ脚本はともかく、小説では割とまともに書いています。“お色気”は書くけど“エロ”は書かない的なさじ加減かな?

白珊白珊 2008/09/10 02:00 絵師による人気というのも非常に重要ですよねー、わかります。
僕はラノベあまり読んでない、ハルヒ、シャナ、ゼロ、内完読はゼロのみ、ですが
もしもゼロの絵師がのいぢさんだったら・・・とか思います。
売れた比率、1.3倍くらいにはなったんじゃないでしょうか?

mizunotorimizunotori 2008/09/10 05:44 >>yoshirinさん
なるほど、詳しい情報ありがとうございます。あかほりさとるってどうなんでしょう。元々脚本家だったので純粋なラノベ作家とは言いにくいし、その作品もアニメが先か小説が先かわからないような感じですし。ラノベ史(?)の中でどういう位置づけになっているのかがよく分からないんですよね。

>>白珊さん
個人的な感覚ですが、面白い作品に人気のある絵師を付ければ売れる、という単純な足し算ではないように思います。それぞれに得意分野や相性がありますし。それに、いとうのいぢのファンタジーっぽい絵って見たことないので、なかなか未知数ですね。

ni+ni+ 2008/09/17 02:30 お話というものはいろんなものを省いた上で成り立ってるので、
そこで省いていないものは重要なもののはずなんですよね。
そこにエロを無理やり押し込んだのが”萌エロ”ではないでしょうか。

本来のストーリーとは別に、同人でやるようなエロが広がってるんだから、
全体として小説としての評価が低くなるのも当然かと思います。
ただし小説としてはともかく、娯楽としては自己完結してるわけで、
必ずしも読者層が異なるというわけではないのではないでしょうか。

mizunotorimizunotori 2008/09/17 06:41 シリアスなお話の隙間にエロを詰めたのが昔の(エロい)ライトノベルだとしたら、萌えるお話の隙間にエロを詰めたのが萌エロだと思います。そもそも萌エロというのは、漫画では既にありふれたものなので、小説寄りというよりは確かに漫画寄りな作品と言えるのでしょうね

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