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2016-12-14

「小倉昌男 祈りと経営」を小倉の意志の結実とみる


 「小倉昌男 祈りと経営」(森健著)を図書館に予約してずいぶんと経って,ようやく私の順番が来た。読んだ。久しぶりにブログを更新するくらいだから,思うものがあった。

 この本は書評でもずいぶんと話題だった。


[書評]『小倉昌男 祈りと経営』 - 中嶋 廣|WEBRONZA - 朝日新聞社

書評:小倉昌男 祈りと経営 ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの [著]森健 - 荻上チキ(「シノドス」編集長・評論家) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

東京新聞:小倉昌男 祈りと経営 森健 著:Chunichi/Tokyo Bookweb(TOKYO Web)

小倉昌男 祈りと経営 森健著 福祉活動にたどり着いた背景|エンタメ!|NIKKEI STYLE


中には,ネタバレ書評もあるが,まあご愛嬌だろう。少々のネタバレがあっても印象深さは変わらない。


ただ,私自身,小倉昌男フリークで,彼の著作は,「『なんでだろう』から仕事は始まる!」,「経営はロマンだ!私の履歴書小倉昌男」を持っており,これらを予備知識にあらかじめ人物画の輪郭線はすでにあったため,それを確かめながら本書を読み進めていた。

印象深かったの2点ある。一つは,小倉昌男自身が佐川急便について語っていた点。二つ目は,やはり病気についてである。

一つ目は,東京佐川急便事件をおこすにいたった経年的な違法な営業を繰り広げて来た佐川急便を社内報で糾弾し,あくまで正々堂々,それこそ国に対してだって行政訴訟を繰り広げてまで,「正しい心で経営すること」を追求していた,ということ。

二つ目は,小倉の妻と娘が罹患した病である。社会の進歩によって,症状に対して病名がつくようになり,そして薬が開発される。他界した小倉と妻,そして,互いに語りあうことが稀であった息子と娘。この4者にとって,病を含む小倉家の内幕が開かれることが世の中に役立つんだ,という思いが通底していたのだからこそ,この本が登場したのではないか,と思う。

小倉家の家族4人の年表でもつくってみようか,とも思った。時代と彼らのライフイベントを並べてみようか,と。確かにそれはそれで照らし合わせて,もっともらしい理屈をつけることはできるかもしれない。ただ,それでは,なぜ,こうした本が登場したことにつながらないだろう。会社経営者から福祉財団の運営に転身し,福祉や障害に目を向けさせるような社会への働きかけを生んだ小倉とその家族が,家族を襲う「病」にも社会の目を向けさせること,そのものを結果として望んでいたからだろう,と私は結論づけたい。


2015-10-17

「アナログ」礼賛もほどほどにせよ,という話し


京浜急行できのう14日(2015年10月)午前零時10分頃、北品川のホームに置き去りにされた電車車掌(21)が、線路沿いの道路を次の駅まで走って追いつくという珍事があった。


置き去りにされた車掌 指令に「行けます」と言い残し猛ダッシュ - ライブドアニュース


 まあ,ネット大喜利のネタになったこの件,


「アナログ運行指令」だからできた臨機応変

京浜急行首都圏鉄道のなかでも遅れが少ないことでは断然トップの会社だ。運行を司っているのはコンピュータによる中央制御ではなく運転指令の職員たちだ。指令区間をいくつかに区切って、主な駅では司令所から電車を目で見ながら人が指令を出している。

その理由を「何か起こったとき、臨機応変に対応できる。ITは順調な時はいいが、ことが起こると、影響が長引く」と説明している。NHK「クローズアップ現代」(10月1日放送)がこのところ続く鉄道事故をとりあげた際、「異色」例として伝えていた。車掌の置き去りはまさに臨機応変の実例だった。


置き去りにされた車掌 指令に「行けます」と言い残し猛ダッシュ - ライブドアニュース


「アナログ運行指令」だからできた…,現状はそうかもしれないね。制御システムのプログラマーはトラブル発生時,リアルタイムにコードを改修することはできない。だが,今回の「経験」も制御システムに反映される。より柔軟に,そして桁違いのパラメーターをさばき,利用者の利便性を向上させるようになる。

 今後のITの進歩をなめちゃいけない。

2015-10-16

新聞週間とネットで思ったこと


 あの池上彰さんと、朝日新聞の長典俊・ゼネラルエディター(GE)の新聞週間を記念しての対談を読んだ。

 朝日新聞誤報騒ぎの後,真面目に取り組みを続けている。


 長 一連の問題の反省から三つの基本方針を立てました。一つ目は事実と論評を分ける。二つ目はこれまで以上に読者や社会に耳を傾ける。三つ目は訂正欄を設け、過ちは素直に認めて読者に説明する。この1年の朝日新聞はどう映っていましたか。

 池上 よく言えば試行錯誤、悪く言えば悪戦苦闘しておられる。いろんな改革を打ち出し、おそるおそるやっているなと。目立つのは訂正欄。失礼ですけど、とっても面白い。なぜ、何をどう間違えたのか書いてある。とっても人間的で親近感があります。

 長 ただ、資料の読み間違えや思い込みとか、中身がプロとして非常に恥ずかしく、逆に信用を傷つけているのではという悩みもあります。

 池上 私はむしろ好意的に見ています。きちんと訂正する新聞が増えてきました。あと変化がわかるのは投書欄ですね。安保関連法の賛成意見が載るようになった。朝日新聞って、安倍政権批判的で、安保関連法に反対の人たちが読むイメージを世間の人は持っていますが、いろんな人が読んでいる新聞がいいと思うんですよ。オピニオン面の佐伯啓思京大名誉教授のコラムのように、耳を傾けるべき保守の見解もあって勉強になります。

 長 ウィングを広げて、きちんと見解、意見を紹介していくべきだと考えています。

 池上 安保関連法では賛成意見しか載せない新聞もあります。言論が極端な形になっている時に、いろんな意見を聴けるのは貴重なことだと思うんですね。

 長 朝日新聞の紙面モニターの方との対話集会で心に響いた言葉がありました。「朝日らしさを失ってほしくない。ただ、私たちは一つの新聞しか取っていないので、もっと多様な見方を紹介してほしい」と。論調や全体のトーンは朝日らしく、事実に基づく見方を示しながら、異論、反論も載せることを心がけています。バランスは難しいですけど。ただ、「萎縮しているのか」「政権にこびているのか」という声が寄せられることもあります。

 池上 こびているとは思わないですけど、現場の記者の戸惑いはあるような気がします。これまで通り、「切り込む」という記者の原則に立ち返ればいいだけですよ。


お探しのコンテンツは見つかりませんでした:朝日新聞デジタル



「私たちは一つの新聞しか取っていないので、もっと多様な見方を紹介してほしい」。そうなのだよね。複数紙とらないよね。専門紙と一般紙の組み合わせはあるんだけど,一般紙どうしを比較して,その上で自分の意見や考えを持とうとする人なんてね。社会の大勢にただ,流されないように,自分自身の足場を保とうと複数紙を購読するなんてね…。

 ただね,新聞社内にだって,いや,社内の方が一般より,よほど多様だと思うよ。



 長 メディアは多様化しています。

 池上 ネット上のメディアが専門店として特化していく時に、日本と世界がどうなっているのか、一覧性で知ることができるのはやはり新聞だと思います。テレビはニュースの時間まで待たないといけない。新聞の特性は忘れちゃいけない。ニューヨーク・タイムズは「印刷に値するニュースはすべて掲載する」と毎号、1面の左上に書いています。「書くべきことは全部書いている」という自負と歴史に対する責任を持ってほしい。その矜恃(きょうじ)が大事だと思いますね。


お探しのコンテンツは見つかりませんでした:朝日新聞デジタル


印刷と宅配が支払い対象なのか,違うだろう。情報の価値じゃないのか。一覧性というけど,レイアウトを含めたエディトリアル・デザインだろう。

むしろ,Googleキャッシュに頼るだけの有料会員限定の検索をどうにか,することじゃないか。わずか1,2年で過去記事が検索されなくなる現状は,ネット社会が見えてない,と言われても仕方がない。ネットの本質とは検索だからだ。

情報の収集,編集機構である報道機関が,ネット社会においてどう振る舞うか,まだまだ議論が足りない。


まあ,こんなことを思った次第。