学問の小部屋

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カーオーディオ

自動車ユーザーにとっては実際にはカーオーディオの選択は新車購入時にオプションとして購入されることが多い上に、カーナビとカーオーディオはほぼ統合されているので、選択の主眼はカーナビである。安全な運転が確保される方が先決であるから、カーナビとカーオーディオ性能では、カーナビ性能の方が優先される。カーオーディオ機材はセンターユニットのキャビネットがDINサイズなどと規格化されており、電源電位も決まっていることで、仕様差による選別はホーム用よりもわかりやすい。
音響機器メーカーにとって、ホーム用、業務用と合わせて車載用は三大仕向け分野の一角であり、安定した製品需要が見込めることから、車載用オーディオ機器のB2Bビジネスは各社の収入の屋台骨となっている。カーナビ性能が高い機種ほどカーオーディオとしてのDSP規模も大きい傾向があり、優れたカーナビ性能を実現する上で、音声認識、EQなどの音響技術が導入されているという背景もある。
カーオーディオに話を戻すと、メーカー謹製のカーオーディオパッケージは単に材料価格のみではなく、各自動車に合わせた音響機器メーカーのルームチューニング込みで販売されているので、メーカー謹製パッケージを購入するのも一解である。
しかし、中古車を購入したときなど、メーカー謹製パッケージが手に入らないこともある。そこで本ページでは、ユーザー自身で手を入れられるカーオーディオについて記述する。

オーディオプレーヤとカーナビシステム

現在のセンターユニットの役割は第一にカーナビである。また、統合液晶ディスプレイを利用したDVD再生なども可能であるので、一時期廃れたディスクプレーヤも2DINセンターユニットに統合されていることも多い。カーナビ機能はまだまだ進化している他、DVD、ブルーレイなど対応映像ソフトのフォーマットなどによっても、今後もセンターユニットはAVアンプに近い進歩を遂げると予想される。

カーオーディオ用アンプ

車載用アンプには、電源電位が+12V固定という特徴がある。 車内騒音に負けない音量を出すために、カー用アンプは大出力の製品が多い。また、カーオーディオは自動車走行時の音質、音量が重要であるから、一般にホーム用より大きい出力が必要である。そもそもがSNRが悪い環境での使用を想定するので、アンプの残留ノイズやダンピングファクターの低さによる過渡特性の悪化を気にしても仕方がなく、十分な出力、チャンネル数といった要素で選択する。

DSPによるEQ、時間差チューニング

車内空間は視聴位置によって音響信号の伝達特性が大きく異なる。しかし現在のDSPは、すでに視聴位置を計算に入れた補正が可能である。例えば運転席ではLchよりもRchの方が距離が近いので、音波到達までの時間差と音量差を補正する。運転席を中心に補正すると助手席の特性が犠牲になるので、視聴位置各点で取得した特性を平均化した座席によらない設定にもできる。補正パターンを数種類記録し、運転者のみの場合や家族で出かける場合にモードを切り替えられるようにしておくとよい。
サブウーファを取り付ける場合は座席の下やトランクを利用するので、視聴者までの位置がフロントスピーカ等よりも遠く、DSP内のディレイバッファメモリを利用してサブウーファ以外の信号を数ms遅らせると、耳に届く段階での発音タイミングを揃えられる。

フロントスピーカ

車載用のフロントスピーカは視聴者の方を向いていないことが多い。特にダッシュボードに埋め込まれているスピーカは上向きに設置されているので、フロントガラスに反射した間接音を聞くことになる。
スピーカをダッシュボードの外に出して直接視聴者の方を向けることも可能であるから、ツィータは配線を引き出してダッシュボードの上にやピラーに配置すると、音像が正中面に配置されて定位がはっきりする。

リアスピーカ

リアスピーカは通常ドアの中などに配置するので、半屋外に設定され、雨天時の湿気や窓の昇降で侵入した雨水が付着しても破損しないように、振動板には樹脂材を使用するなどの独自の工夫が見られる。この理由から、ホーム用のスピーカユニットは基本的に使用できない。
車載用のリアスピーカは、家庭用サラウンドスピーカとは異なり、後部座席の乗員にも明瞭な音を届けるためにある。よってリアスピーカからもフロントと同じボーカル音を出すことも多い。
セダン程度のサイズであれば、ダッシュボード等にツィータを置くことで音像を車体正面の正中面に配置すると、後部座席に座っていても高音のこもりなどはあまりなく、リアスピーカはウーファとして使用し、不足しがちな低音の増強に専念させることもできる。リアスピーカをウーファとして使用するには、パッシブネットワークをリア用に用意するか、クロスオーバーを搭載しているセンターユニットやサブウーファ用アンプを別途用意することになる。

サブウーファ

車載用のサブウーファは、家庭用と比較して唯一恵まれた環境を得られる存在である。特に大型ウーファは家庭用では邪魔物とされることが多いが、トランクの中にウーファボックスを入れてしまえばよく、指向性の問題もないのでしっかりした低音を響かせることができる。運転席の下にアクチュエータを取り付ける方法もある。リアスピーカからボーカル帯域を出す必要がなければ、ドア内のリアスピーカをウーファとすれば、単独サブウーファは不要となる。

手動ルームチューニングと燃費

自動車内は一般にホームオーディオに比べて容積が狭いので、ハイQの音響共鳴を起こしやすい。適切なデッドニングによりQを下げるには、ドアパネルの裏側に吸音材を詰め、高剛性バッフルボードでスピーカユニットをしっかり固定し、鉛シートでドアを重くすることで付帯振動を抑制する。これらの工夫により音質改善には効果があることが多いが、同時に鉛シートや巨大ウーファは車体重量を増し、燃費を悪くする。燃費を犠牲にするほどの音質改善は推奨しない。

メーカーによるチューニング

自動車メーカーが提携しているオーディオブランドのデザインやチューニングを含めた製品がある。オーディオメーカー各社にチューニング基準があり、フラットに調整するメーカーもあれば、BOSEのように低音を増強したチューニングにするメーカーもある。冒頭に述べたように、試乗の際にメーカーによるチューニングが気に入れば、導入するのも一解である。

スピーカ強化、手動チューニングの実例

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