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あどけない話

2008-08-22

IPv6にもNATは必要

「IPv6にもNATは必要」――IETF会長が明言という記事ですが、タイトルは、わざと誤解を生むような表現にしているんでしょうか?

正しくは、

  • IPv6へのスムーズな移行にはNATが不可欠
    • 文中にある通り
  • IPv6IPv4 の共存にはNATが必要

でしょう?

タイトルを過激にして注目を集めるのは、物書きとしてスマートじゃないですね。正確さこそ、最優先するべきです。

なお、この記事で言う NAT は、NATPT (NAPT ではない)のことなんでしょうが、後半は Carrier Grade NAT の意味でも使われていませんか? 結局、記者はよく分っていないのでしょうか?

2008-08-08

kazu-yamamoto2008-08-08

すべったテクノロジー

IT史に輝く「すべったテクノロジー」ベスト25の12位にIPv6が選出されています。

IPv6 は、当初の推進者の見込みよりも普及が遅れていますが、「すべった」と決まった訳ではありません。

IPアドレスの枯渇は以前から大きな問題とされてきた。一部の専門家によると、未使用のIPv4アドレスがいずれ足りなくなることは確実で、問題は「それがいつなのか」に尽きるという。米国も、この問題については、京都議定書の場合とは違って積極的な姿勢を見せており、連邦政府はすでに、「政府機関は 2008年までにIPv6に移行しなければならない」という決定を下している。

この著者は、APNIC の Geoff Huston 氏 が、枯渇の予想日を毎日更新していることなんて、知らないのでしょうね。

ではなぜ、IPv6への移行がスムーズに進んでいないのだろうか。答えは簡単だ。IPv6は、まだだれも直面していない問題への解決策だからである。いざというときには、NAT(Network Address Translation)などの応急処置的な手段もある。NATは、ネットワークエンジニアの負担を増やすという問題はあるものの、効果的に機能することが実証されている。

おそらく、自分が書いているNATが、何を指しているのかも分ってないのでしょう。

NAT とは NAPT のことであり、しかも ISP に導入が検討されている Carrier Grade NAT のことであると好意的に解釈してみましょう。

ISP が Carrier Grade NAT を入れたときの考察は、とても長くなるので、ここには書きません。しかしながら、TCP コネクションの数が制限されるために、Web アプリが壊滅する可能性があることぐらいは知っておく方がいいでしょう。

上に貼付けたのは、Carrier Grade NAT が入った状態をエミュレートして、 Google Maps を見たときの画像です。(オリジナルのアイディアは、NTTC 宮川さんです。)

技術的なことは分らなくても、使い物にならないことは一目瞭然でしょう。

 またIPv6は、移行の苦労に見合うだけの魅力的な機能を提供してくれるわけでもない。あまりにも手間がかかりすぎるIPv6への移行を企業に促すには、見返りを得られるカーボン・オフセットのような仕組みが必要なのだろう。

IPv6 に魅力的な機能がないという認識は正しいです。大雑把に言って、IPv4 との違いは、アドレス空間の大きさだけだからです。

IPv4 と共存しながら、IPv6 へシフトしていく方法としては、2つ考えられてきました。

IPv6 へ斬新な機能を盛り込むという試みはすべて合意が得られず、IPv6IPv4 と代わり映えのないプロトコルに落ち着きました。これはすなわち、現在のインターネットIPv6 へと誘うキラーアプリは発明できないことを意味しています。キラーアプリを作れなかったという意味では、「すべった」と言ってもいいかもしれません。

しかし、近い将来締め切りがやってきて、IPv6 へ移行するのか否かを迫られることになります。(もちろん、IPv6 へ移行しないという選択肢もあります。)

2008-08-07

IPv6移行では日本の道を誤る

【後編】IPv6移行では日本の道を誤る,グーグル独占には危険な香りで、IPv6 に関して技術的に間違っているところを指摘しておきます。

IPv6 マルチキャスト

公文 IPv6でマルチキャストをやると,どのぐらい高くなるのですか。

平宮 はっきりは分からないのですが,サーバーも強力なものを用意しなければならないし,ルーターにも非常に処理性能の高いものが必要になります。サーバールーターも,今より何十倍も強力なものにしなければならないでしょう。

いいえ。IPv6 で非常に処理性能が高いルータサーバが必要になるのなら、IPv4 で実現しても同じです。もちろん、共に製品があればの話です。IPv4IPv6 とでは、アドレス空間の大きさ以外、ほとんど違いはありません。

8+8

公文 では,平宮さんはどうすれば安くなると言うのですか。

平宮 IPプロトコル自体を再設計し直すべきだと思っています。IPプロトコルの場合,プロセスの集合がホストで,ホストの集合がネットで,ネットとネットをつなぐものがインターネットだという考え方です。しかし,IPv4IPv6は,ホストを識別するデータと,ネットを識別するデータが混然一体となっており,ホストはネットの中でしかユニークさを保証されていない。これが,マルチキャストを非常に難しくしています。

また新しいプロトコルを提案しても、IPv4 と互換性を保つことは不可能なので、IPv6 と同様に普及に大変長い時間がかかります。

 どうすればいいかというと,レイヤー3プロトコルをネット・アドレスとホスト・アドレスを完全に分離して,両方をユニークなものにすることです。そうすれば,ネットという概念とは別の概念として,ホストをグルーピングすることができる。そうしない限り,機械コストが非常に高くなってしまうでしょう。

 かつて,IPv6でそうすべきだという意見がありました。前半の64ビットをネット・アドレス,後半の64ビットをホスト・アドレスにする案です。ところがいつの間にか,この方式が消えてしまった。IPv6はその後肥大化し,化け物プロトコルになってしまいました。これをもう捨ててしまって,新しいプロトコルを作った方がいいのではないでしょうか。

これは、8+8 と言われていた技術です。8+8 自体は、面白い技術でした。

しかし、8+8 を採用したからといって、マルチキャストが安価に実現できる訳ではありません。

その後、IPv6 は肥大化なんてしていませんし、化け物プロトコルにもなっていません。むしろ、IPv4 とまったく変わらなかったので、IPv6 独自のキラーアプリが生まれませんでした。

2008-05-16

IPv6 のウソ・ホント

会社から iij.news の原稿を依頼されたので、「IPv6 のウソ・ホント」という記事を書きました。iij.news vol187に載っています。