4/7の陳述書ご紹介

今日は4月7日の控訴審第1回で私が陳述した文章をお目にかけます。長いので読みにくいかも知れませんけれど‥‥‥

          

                              2014年4月7日
東京高等裁判所第5民事部 御中

                陳 述 書

                                     控訴人 田 畑 和 子

 2010年(平成22年)3月8日に起こしたこの三次訴訟は、2013年12月2日、全く理解しがたい不当判決で敗訴しました。私は、今まで、まともに判断していただいたことはありません。“これが日本の裁判所なのか”と絶望しつつも、着せられた濡れ衣を取り除く方法は他に見当たらず、今度こそ真実を究明し、それに基づいた正しい判決が言い渡されるよう、切望しております。

Ⅰ、1995年度の都教委再雇用で、私は中神校長の捏造した理由で不合格になりました。この捏造というのは私が理由を知りたくて裁判を起こし、初めて分かったものです。以来、裁判で争っても不当判決を受け続けてきました。この第三次訴訟は、二次訴訟までに判明した事実に基づき提起したものです。

Ⅱ、思想差別事件
千川中学校中神校長が提出した「豊島区教委への南京大虐殺に関わる報告文書」は、“南京大虐殺を否定する見解もある”、と生徒の文化祭展示物に介入した校長へ、担当教師がおこなった当然の批判を、私を中心とする労働組合が、全職員を歴史認識論争に巻き込むために行った、と歪曲して豊島区教委へ報告しました。それが「南京大虐殺にかかわる報告文書です。
 しかし、判決は、原告の思想・良心について報告するものではない、として中神を免罪しました。
  この報告書は、生徒作成のの展示は当時の政府見解にも合致していたにも拘わらず、校長は「露骨に左翼的な発想」の現れた展示物であると断じました。判決はその点について目をつぶりました。

Ⅲ、「生徒の自殺隠蔽」について、職員朝会で真実を伝えるよう求めた私を、「事故」との前提で中神は陳述書で貶めました。その文言は「訴訟本来の項目から目をそらさせてでも自分の立場をよくしたいという思惑か焦り」「執拗に追求しようとする原告の姿勢の表れ」としたのです。

 中神校長は、少年の死が学校へ知らされた日、全校生徒を集め、「階段から足を滑らせた事故」と説明し、その後、自殺の事実を隠蔽し続けました。しかし、豊島区教委成田室長は、生徒の死の直後に都教委へ「警察は自殺と断定」と報告書を提出し、私は警察から「自殺」と直接聞いています。地域の信頼を失わぬよう、教師として、私が「本当のことを言ってください」と求めたのは当然です。

 ところが、判決は、上記の中神の私を貶める記載について、社会的評価を低下させないとの、およそ社会通念に反する判断をして中神を救済しました。
 
Ⅳ、中神は、「田畑を所属させる学年編成に苦慮した」「何人かの教員に打診したところ『田畑といっしょの学年の時胃が痛くなった。』」「自分の気に入らないことには協力せず自論を曲げずに記録しておいて執拗に発言し追求してくる」と涙ながらに訴えた。そのため他学年から指導力のある教員を集めたと陳述しています。
 
これらは、すべて被告中神の作り話です。その証拠は、中神が校長として発行し各方面に配布した「千川中学校学校要覧」の中にあります。それには、各学年は他校への異動の者以外は毎年持ち上がりとなっており、平成6年度の3学年の教員は、私を含めソックリ平成7年度の1学年の構成メンバーになっています。

また、都立高校元教諭の相田先生が克明に詳細に検討した意見書も提出してあります。しかし、裁判官は、それを一顧だにしませんでした。
この作り話について判決はどう言っているか。「学年編成の際に被告中神が原告の同僚から聞いた内容を記載」「事実を淡々と記載しており、過度な誇張的表現は見られず相当性を欠いた表現は見当たらない」


 私はよもやこんな判断をされるとは思っていませんでした。
裁判官は、私が作り話である事を示す証拠を沢山提出しているのに見ていない。学校要覧も同僚や学年主任の陳述書も読んでいない、
 「事実を淡々と記載」とは何事ですか。はじめから中神が本当の事を述べていると思い込んでいる。私は初め何故敗訴したのか分かりませんでしたが、結局裁判官が、まともにこの事件を扱わなかったことが原因だとわかりました。 人の人生を何だと思っているのでしょう。 

 虚偽陳述を「記憶に基づく」と言えば適法になるとは、一審裁判所は、ペテン師に誤魔化されても「よし」とするようです。いや、誤魔化されるのを歓迎しているようにも見えます。

Ⅴ、「証人採用」について一審の裁判長の訴訟指揮にも問題がありました。吉田裁判長は「被告が真実性、相当性を争わないと言っているから」と、私の尋問時間を「短くてできるでしょう」と短時間にし、更に重要な証人申請を却下しました。

このように、裁判長は、原告側に立証をさせなかったのに、中神の陳述書について、故意の虚偽記載があると認めなかったのです。こんな不公平なやり方でウソつき校長を勝たせるようでは「法治国家」が泣きます。

Ⅵ、一審裁判所は、こうして、戦争責任否定や自殺隠蔽に荷担しました。私の支援者たちは、真実に基づいた判断を求める要請書を提出しましたが、一審の裁判官は、真実などどうでもよかったのでしょう。「初めに結論ありき」だったことは確かです。

この三件とも、虚偽内容である点は共通しているのに、一審裁判所は、それに触れずに私を敗訴させました。「生徒の自殺隠蔽」と「学年編成の話」は中神の分厚い陳述書から完全に捏造であるとえらんだ二点であって、捏造を否定されてはこの裁判は成り立ちません。そういうことは裁判官は分かっていて筈です。それなのにその吟味をしない。これは職務怠慢です。どのように敗訴させるかにのみ腐心し、裁判所独自の理屈を並べた判決を認めるわけにはいきません。

最後に
 私が、60歳で再雇用拒否を受けて以来、20年近く法廷闘争を続けているのは、真相を知りたいこと、人間の尊厳を取り戻したいこと、私の勝訴で、東京の教育界に中神的な人間がはびこらないようにするためです。

 中神校長が、何故私を異例の再雇用拒否に陥れたのか。どなたも不思議に思うでしょう。

 中神は、生徒の自殺を隠蔽しないよう発言した私が、定年後も教育界にいては目障りだし発言されたら困るので、再雇用拒否を使って私を追放したのです。そのためには採用できないのが当然であるという理由が必要であり、中神はそれを山ほど捏造しました。その中には「健康でない」のように、これだけで不採用になるものも混じっていました。

 これに対し、私は、捏造である事を示す沢山の証拠を提出しましたが、被告側の校長と豊島区教委指導室長の陳述書と証言で、私は敗訴しました。今の三次訴訟は、これが発端です。

 そして、中神達は、どんなことがあっても、内部告発を行った田畑は徹底的に痛めつける。不採用理由の捏造を続け、裁判で本当の事は言わない。「見せしめ」「口封じ」は功を奏し、校長らは安泰である、というわけです。内部告発者は保護されねばならぬのに、私は捏造理由で失職させられ、逆にひどい目に遭わされています。このことを特に申しあげて、裁判所のご理解を得たいと思っています。

控訴審では、中神をはじめ、成田元豊島区教委室長、私の同僚であった大津さん、都立高校元教諭の相田さんなどの証人を採用し、取り調べてください。
 そして、原判決を取り消す公正な判断をして頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。