ソーシャル・ファイナンスは日本でも流行るか?

個人間の金融オークション

個人間の金融取引を仲介するネットサービスが、英国や米国に存在するのをご存知だろうか?英「ZOPA」や、米「Prosper」などがそうである。最初に始めたのがイギリスの「ZOPA」と言われ、瞬く間に急成長。それを見た米国の「Prosper」も同様のサービスを開始し、ここも盛んに取引が行われているようだ。金融機関を通さず直接取引が行われるので、「草の根金融」ともよばれる。サービス事業者はあくまでマーケットの場を提供する仲介であり、取引額に応じた手数料を徴収することでビジネスが成り立っている。

取引の仕組み

ZOPAもProsperも基本的な仕組みはいっしょなので、おおまかな部分を説明していく。
■お金の借り方
1)与信審査に申し込む
  審査の専門家がクレジットカードの与信情報などを元にランクわけ。これによって借り入れ時のレートが変わる。
2)借り入れ理由や希望レート、金額借り入れ期間を提示する
  提示された情報は随時サイト上にアップされる。融資側とマッチングできれば借り入れが可能。
3)返済
  毎月こつこつお金を返す。
■お金を貸し方
1)専用の口座に入金する。
2)希望レートと貸付金額、期間を提示(平均7%ほど)
3) 貸付する人をカテゴリーや検索、トップページなどから探す。希望の借り手が見つけ、うまくマッチングすれば貸付完了
■債務の不履行について
1)リスク分散
貸し手が一人当たりに貸し付けられる額はあらかじめ最高約4万円までと制限されている。そのため貸し付ける人数は複数になる。
2)信用の担保
Prosperでは「グループ」という概念を導入しており、グループに所属することで有利なレートを得ることができる。グループに所属している人間の債務不履行が発生すると、連帯責任でそのグループ全体の信用度が下がり、所属するメンバー全員に迷惑がかかる。
3)不良債権の処理
デフォルトが発生した場合、Zopaは即座にその債権をサービサーに売却し、売り上げを債権者に分配。ちなみに債務不履行の発生率は3%程度だという。(つまり貸し手は4%以上の利息を盛り込ませれば損はしない計算)

ソーシャルファイナンスは日本で流行るのか?

日本でこれをやった場合法律が問題になりそうだし、実際お目にかかったことはないと思ったが、念のため類似サービスを調べてみることにした。すると・・・なんとびっくりありました。その名も「ウィキバンク」。

ウィキバンク、お金の貸し手借り手の仲介サイト開設
ジャスダック上場の事務機・計測装置メーカーのテクノ・セブン元社長の井上佑一氏が新会社「ウィキバンク」を設立、お金の貸し手と借り手を仲介するサイトを開設した。借りたい人が必要な資金額や用途、信用情報をサイトに開示する。貸し手はそれをみて資金提供の可否を判断する。ウィキバンクは成約時に借り手から調達金額の2%をシステム利用料として受け取る。(2007年4月3日、日経産業新聞

ウィキというと真っ先に連想するのは『ウィキペディアWikipedia)』だが、ここのウィキバンクとはまったく関連性はないようだ。一応サイトを覗いてみたのだが、長々と長文が連ねてあるだけで一見何のサイトなのかさっぱりわからない。しかも会員限定サービスのようで中の様子を伺い知る事もできない。お金を扱うサイトにしてはどこかいかがわしさを感じてしまうのはおそらく私だけではないだろう。いつもならとりあえず登録してみるところだが、ものがものだけにとりあえず今回は控えておく。(申し訳ない)
ただ、現時点ではさほど注目されていなくても、こういったサービスが日本において始まったということは、少なくとも参入可能な領域であるということは明らかになった。(昨日ワールドビジネスサテライトで覚えた言葉を借りるとすれば「ブルーオーシャン戦略」となりえる領域)あとはユーザーにとってソーシャルファイナンスを利用する事が、消費者金融から借り入れるよりもメリットと利便性を感じるサービスに発展させることができれば、日本においても今後「草の根金融」が流行る可能性は十分あると言えるのではないか。