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2007-04-04 良い格差・悪い格差

良い格差・悪い格差

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少し前だが、格差に関しての秋風碧氏のブログが大変興味深かったので紹介したい。日本においてネオリベラリスムが急速に支持を失った確信を突いている。

 近年、格差の拡大や格差社会化が語られる中で、「格差には良い格差と悪い格差がある」といった話がしばしば議論になることがある。つまり、格差が固定化している社会、既得権が強く、健全な競争が行われない、機会不平等な社会が悪い格差(社会)であり、挑戦の機会が誰にも開かれており、努力した人が報われる社会が良い格差(社会)である、という訳である。

しかし、こうした議論は、課題設定が間違っており、結論を誤った方向に導く可能性があるのではないだろうか。というのも、既得権が強く格差が固定化したピュアな「悪い格差」社会であればありえるが、逆にピュアな「良い格差」社会、というのは非常に考えにくいからである。2世議員が闊歩している政治家からしてもそうだが、都市部を中心に私立学校志向が強くなっており、学校教育にカネがかかるために、教育を通じた格差の再生産(=固定化)が進んでいるといった指摘があったり、人脈や教養など、家庭が保有する社会資本の差が社会における成功に有意な差を生み出しているという話もある。「良い格差」社会ですら、ある程度は「悪い格差」的な要素が含まれることを避けることは難しい。もちろん、リスクテイクして挑戦し、成功した人がリターンを得られるようにする中で、結果的に格差が生まれることは積極的に進めるにしても、「格差社会はいいことだ」というのは順番が逆である。

「良い格差」「悪い格差」議論は、結果的にしばしば、開かれた自由競争の社会→既得権の破壊→規制緩和、ということになるだろうが、マスメディアのような本当に見直されるべき一部の既得権・規制は残り、多くの一般市民の労働条件を悪化させる方向に繋がる可能性の方が高い。

 日本においてネオリベラリズムが最も支持されていた小泉時代のイメージは、「既得権の破壊→規制緩和」まずありきで、そこに格差肯定イデオロギーが付随していた。下流の人間であっても、なんとなく自分は上昇し格差拡大で得をする部類に入るような錯覚を抱き、下流であっても格差拡大を支持してしまう現象が起きたと思われる。

 しかし、小泉政権末期にどうもおかしいという意見が強まり、更に安倍内閣になって「既得権の破壊→規制緩和」という表紙が剥がれ落ち、格差拡大政策が剥き出しとなった。安倍ネオリベラリズムは「今現在上流の人間がそのまま上昇し、今現在下流の人間がそのまま没落する」という嫌らしさが露呈してしまった。

小泉時代の格差拡大安倍政権の格差拡大
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考えられる1つは「収入が低くても生きやすい」社会を目指す、ということだろう。最低限の生活のためのコストが高い社会では、社会保障に頼らざるを得ない人が増大し、セーフティネットも高いレベルで必要となるため、トータルの社会保障費が爆発的に大きくなり、社会保障の破綻に繋がる。最低限の生活のためのコストをいかに下げるような支援をしていくか、ということを考える必要がある。

 いわゆる二重経済のことだろうか。東南アジアや南米などでは、低所得者であってもある程度に生活ができる二重経済化が進んでいる。ただ私は日本がこのような方向に進むべきではないと考えている。

 日本でも現実には、90年代にいわゆる「価格破壊」が進み、100円ショップやユニクロ、ファーストフードや牛丼の低価格化など二重経済化が進んだ。しかし低所得者向けサービスの発達により、更なる低賃金労働者需要を生む。今の日本は「低賃金労働者が喉から手が出るほど欲しい」状況になっている。労働需要が増せば賃金も上昇するはずだが、賃金を抑制しなければビジネスモデルが崩壊するサービスも多く、低止まりせざるを得ない。

 本当に必要なことは、高賃金を得られる付加価値の高い産業を育成して、多くの国民が高所得化することではないか。二重経済化はその逆サイクルを招く。

hodasihodasi 2007/04/05 00:25 kechackさんの目的が、一定の層を挑発する事であるなら、この書き込みは無意味なんですが。
貴公は、いつも、一面からの意見が強い傾向にあると思います。小泉総理誕生が、何故、ああも支持されたかと言うと、確実に、世論に、「既得利権への不信感」があったからです。その事実を無視して、単に小泉が悪い、その信者が悪い、皆、騙されていたんだ、では、本質から外れてしまうでしょう。
まずは、かつて世論にあった、既得利益の不信感、これは、政治家の説明不足、または、マスコミの、政治家の発言のおかしな編集、そして、低俗な既得利益批判に問題があったと言えるでしょう。あと、それらに関与した文化人。
そして、本当にあったであろう、いくつかの既得利益。

これと、今の問題を考慮すると、どういった政策が必要か、少なくとも、いくつかの選択肢は見えてくるでしょう。
私は、それは、政府の最低賃金、労働条件の保証だと思いますし(それだけではありませんし、低賃金の労働も条件付で認めますが、本題から外れるので省略します。)、kechackさんは、生産性の高い産業の躍進であると考えるわけですよね。おそらく、kechackさんは、それは分かっているとか、過去にそれについて言及した記事を出して来るんだと思いますが、個々の記事についても、あとがきや、文注で、そういったことを説明すべきではないでしょうか。

kechackkechack 2007/04/05 01:22  今回のエントリーは小泉政権を評価していない私にしてはかなり肯定的に書いたつもりなんですが…。
 実態は別問題として、確かに小泉は格差肯定論者ではあったが、まず既得権打破というメッセージがあったために、「自分にもチャンスが」という感情が沸き、実質的に格差拡大を招く製作であったも反発が少なかったのだと思います。
 その点安部政権はベタ過ぎるということです。
 「生産性の高い産業の躍進」については各論に入ると主題がぼけるので、さらっと流させていただきました。

sunafukin99sunafukin99 2007/04/05 10:07 ひとつ疑問ですが、以前から「高付加価値の高い産業の育成」を唱えられてますが、それはいったい誰が提案主導していくのですか?政府部門でしょうか?それとも民間部門ですか。おそらくこの点がkechackさんと私の最大の違いだと思うのですが、もし政府部門が「これこれこういう産業が有望だ」という形で優遇したり保護したりする政策を採るならそれは産業政策色が濃くなりますよね。もっと極端な言い方すれば「社会主義的」です。そもそも政府に民間より「有望な産業」を見つけ、育成する能力があるのか大きな疑問があります。政府の仕事は民間が最大限の能力を発揮できるように経済環境条件を考慮することであって、政府のもうひとつの役目、国民生活の安定を考えるならあくまで成長によって増えた民間部門の果実の税務体系を通じた再分配政策を主軸に考えていくのが筋だと思うんですよ。もちろん、経済効率と再分配による非効率の発生とはある程度トレード・オフの関係にありますから、そこらへんの調整が民主的過程で行われるのが基本ではありますが。本質的に民間部門と政府部門の利害関係はある程度対立するものだと思えるのですが、それを官民一体などと言ってごっちゃにする発想が問題だと思えます。高生産性産業の具体論についてもぜひお聞きしたいとも思います。気の向いたときでいいですが。

kechackkechack 2007/04/05 18:15  
sunafukin99 さん>

このケースで二者択一的な議論をしてもあまり意味がないと思います。それに私は「政府は…」という主語は使用しておりません。一般的に、「日本はこうすべきだ」と言う話であって、それが政府か民間かとうのは今回は議論の対象にする気はありませんでした。
 私は構造改革や規制緩和路線そのものには反対ではありません。ただ小渕内閣から小泉内閣に至るまでのベクトルがおかしいと思っているだけです。
 その辺は id:kechack:20070222 で言及しております。