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2007-10-05 タクシー料金値上げ ―消費者利益原理主義に洗脳された都市住民―

タクシー料金値上げ ―消費者利益原理主義に洗脳された都市住民―

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  • 政治ニュース−東京のタクシー値上げ、国交相が理解求める・経財相「やむなし」 10/5日経
  • 都内タクシー7%値上げ認可へ 初乗り上限710円に 10/5産経

 このタクシー運賃値上げの問題に関してもネガティブな意見ばかり目立つ。だいたい、あなたはタクシーに月に何回乗るのかね?

 日本の大都市住民は90年代以降、財界やアメリカを背景にしたマスコミに洗脳され、消費者利益原理主義者に変質してしまった。「価格破壊」という言葉が流行し、格安なサービスを提供する企業経営者が無条件に賛美された。それにより様々な規制撤廃を是とする国民世論が形成され、価格破壊と同時に進行した「賃金破壊」に対しても無批判となっていった。

 いつの間にか日本には低賃金労働者を利用した格安サービスが蔓延し、求職者の多くが低賃金労働にしかあり付けない惨事になったのだが、低賃金動労者ほど低賃金サービスを歓迎するという宿命で、彼らは「消費者利益原理主義者」であり続け、この悪魔のスパイラルが自分を苦しめていることに永遠に気づかないのである。

 それにしても、なぜみな「消費者利益原理主義」の呪縛から開放されないのか?

利用者−高所得者 労働者−低所得者

 このような構造の産業において値上げが実施されれば、更に富んでゆく高所得者の富みを低所得者層に分配できるはずだ。それも、政府による所得再配分政策を経ないで、あくまでの民の世界の中で所得再配分ができるのである。私は格差が拡大してゆく社会に対して常にネガティブな評価をしているが、さりとて今さら政府の機能を強化して強力な所得再配分政策を遂行するのもどうかと思う。その中でタクシーの運賃値上げは実にうってつけではないか?

 もちろん、政府にタクシー料金を値上げするように誘導しろと言うつもりはない。ただ値上げを希望する事業者には原則値上げを認めさせればいい。

 もちろん私の意見に批判はあるであろう。よくあるのが、値上げした分はタクシー会社の利潤になり従業員に還元されないのではないか?元々サヨクをやっていて消費者利益原理主義者に転向した人にありがちな意見だ。「企業はつねに剰余利益を搾取することを考えている」という企業性悪論の残り香がする。もちろん悪魔のネオリベラリストは、インフラ局面においても常に企業先富論を説き、人件費抑制の魔の手を決して緩めようとしない。注意が必要なには確かだ。

 もう一つは、「値上げによって客離れが起き、結局増収にならない。」という理論である。ただタクシーの値下げが相次いだ90年代中盤から今日に至るまで、タクシーの需要は増えていない。値下げすれば需要が増え、値上げすれば需要が減るという単純な動きは見られない業界なのだ。特に格差の拡大により、タクシーを平気で使う層とまず使わない層が分離し、値段を気にしながらタクシーを使うという中間層のボリュームは余りない。

 あとは、病院に行くお年寄りがタクシーを使っている。その人たちが困るという話が出るであろう。それはそれでタクシーチケットの補助金増額等の施策を打てばいい。行政コストの負担を糾弾されると思うが、「タクシー運転士」という非常にボリュームの大きい労働者層の所得が増えることによる行政のメリットの方がはるかに大きい。多少行政コストが増えることがあっても吸収して余りある話だ。

hodasihodasi 2007/10/06 23:23 この件に関しては、kechackさんに同意できますね。この意見に、ネガティブな意見が多いとの事ですが、普通に車を運転する人なら、今のタクシーのあまりの多さ、特に20時以降の惨状は知っている筈で、そういう人たちが喜ばないのが不思議ですね。ただ、私は、タクシー運転手の労働条件を政府がもっと適正化すべきだと考えている方なので(最低賃金、休暇休日制度の見直し)、その辺ではkechackさんんと食い違いがあるかもしれませんが。

arkanalarkanal 2007/10/07 06:32 同意します。このベクトルの行き着き先には、富裕層の自宅での女中・下男、農場での作男といった、戦後の高度成長である程度克服した雇用が再び当たり前のものとして出現するでしょう。格差当然論者は、戦前日本は格差が当たり前の社会であったと強弁しますが、何故それが変貌したのか、そんな格差が問題視されたからではないのかという問題意識は失念しているようです。最低賃金、運賃料金値上げという二方策のみ(十分意味があると思いますが)では、消費者主権論者(もっとも益を蒙るのは富裕層なのですが)に不評ならば以下の尺度も公表を義務付けたら如何でしょうかと思います。会社ごとの在職率、退職率、タクシー車両の過剰によるアイドリング時間の推移等です。個人的にはカーナビがあるとはいえ、熟練の度合いによって、料金が上がっても構わないと思います。

kechackkechack 2007/10/07 20:22

hodasi さん>

>今のタクシーのあまりの多さ、特に20時以降の惨状は知っている筈で、そういう人たちが喜ばないのが不思議ですね。

それは総量規制と運賃認可が別問題だからでしょう。元々規制緩和以前のタクシー事業認可には事業者毎の台数の規制と運賃の規制がありました。台数規制のみ撤廃されて、運賃の上限のみ規制が残ったことが問題だと思います。台数のみ規制を残し、上限規制を撤廃する逆のパターンだたらよかったかも知れませんね。

>タクシー運転手の労働条件を政府がもっと適正化すべきだと考えている方なので(最低賃金、休暇休日制度の見直し)、その辺ではkechackさんんと食い違いがあるかもしれませんが。

私も適正化すべきだと思いますよ。

arkanal さん>

>このベクトルの行き着き先には、富裕層の自宅での女中・下男、農場での作男といった、戦後の高度成長である程度克服した雇用が再び当たり前のものとして出現するでしょう。

そうですね。日本は人件費が高く、富裕層でも簡単にお手伝いさんを雇えず、家事などは自前でやらなければいけないところが素晴らしい(フェミニズム的には反論があろうが)かったと思います。低賃金労働者が簡単に雇えるようになると、世の中おかしなくとになります。

>格差当然論者は、戦前日本は格差が当たり前の社会であったと強弁しますが、何故それが変貌したのか、そんな格差が問題視されたからではないのかという問題意識は失念しているようです。

 私は格差肯定論者は精神病院に入院していただきたいと思ってます。

>熟練の度合いによって、料金が上がっても構わないと思います。

外国ではよくありますね。ロンドンでは伝統的な黒タクと安いタクシーがありますし、韓国には模範タクシーと一般タクシーがありますね。日本でも首都圏にみハイヤーという制度がありますが。
 確かにより高い付加価値を求める金持ちのために付加価値の高いサービスを提供して、金持ちにより多くの消費をしてもらい、ドライバーの所得水準の改善に結びつけるというのはいい考えだと思います。

madhattermadhatter 2007/10/08 11:23 ただ値上げできるのも東京だからって面があると思うんです。需給バランスを無視した増車で繁華街丸ごとタクシーで埋まってるような地方都市ではもう値上げしてくてもできないんじゃないでしょうか

sunafukin99sunafukin99 2007/10/08 13:33 madhatter氏に一票。
日本で東京だけ突出して景気がいいのも事実です。大阪で同じことをやろうとしたら暴動が起きるんじゃないでしょうか?w
マクロの需給を無視して値上げなんて出来ません。タクシーの需要がここのところ増えてないのは値下げによる需要増でも追いつかないほど不況が激しかったということで説明がつくと思いますが。一台あたりの売り上げを増やすには台数規制しかないわけですが、こんどは運転手の失業問題につながると思います。その場合代替の職業をどうするかという問題もありますよね。

リベラリストリベラリスト 2007/10/08 22:19 kechackさんのご意見に反対というわけではありませんが、少し留保して考えたい部分がないではありません。それは、タクシー業界というミクロの話と所得再分配、価格破壊というマクロの話をストレートに結びつけすぎてはいないか、という点です。

ミクロとマクロの話が大枠の方向性で一致しているような場合、どうしても結びつけて考えたくなるのですが、実際には偶然の一致である場合も結構あると思われますので、むしろミクロとマクロの話は切り離して考えた方が無難といえます。

これは、ミクロの話がマクロの影響よりミクロ内部に事情に左右される場合が多い、ということと、社会科学の場合、ミクロの単純な集積がマクロにならない、或いはミクロで自明の法則がマクロでは成り立たないといった現象がしばしば見られるからです。

つまりタクシー業界から話を進めるのであれば、少なくともタクシー市場固有の事情というものをしっかりおさえて議論しなければならないのではないか、ということです。

例えば、kechackさんは、
>タクシーを平気で使う層とまず使わない層が分離し、値段を気にしながらタクシーを使うという中間層のボリュームは余りない

ことを理由に、タクシー業の価格弾性値が低いという推論をされておられるのですが、果たして全価格帯について同じことがいえるのでしょうか。

タクシーを平気で使う「富裕層」も、個人のポケットマネーを利用しているならともかく会社の経費になるような場合、或る一定水準を超えると会社が急に引き締めにかかる可能性は否定できないと思いますよ。90年代以降値下げが需要増をもたらさなかったからといって、値上げが需要減を招かないとは限りません。

要は、タクシー業界が本当にタクシーを利用している客の像をしっかり捉え、需要減を招かない値上げ範囲というものをそれなりに計算して行動しているのであれば、値上げに意味はあるけれどもそうでなければ、一時しのぎの策でしかなく、多分所得再配分に寄与するということもないのではないか、ということです。

蛇足ですが、個人的には、タクシー業界のbehaviorには疑問を持っています。例えば私は、到底個人的にタクシーを利用できる身分ではありませんが、それは高いこと以上に幾らになるか判らない、という不安の部分が大きいからです。従って、もしゾーン制のような料金体系が何らかの形で適用され、料金の上限が見えていれば、或る程度利用する可能性はあります。多分こういった潜在利用客は結構いるのではないでしょうか。他にもGPS携帯と連動して、稼働率を上げる工夫であるとか、素人目にはできそうなことって色々あるように思うのですが、全てトライしてみたのでしょうかね?そうでなければ、ただの安易な値上げという意見に反論するのは難しいように思いますが・・・・・

kechackkechack 2007/10/09 17:15
madhatter さん>

>ただ値上げできるのも東京だからって面があると思うんです。需給バランスを無視した増車で繁華街丸ごとタクシーで埋まってるような地方都市ではもう値上げしてくてもできないんじゃないでしょうか

そうですね。地方都市では逆に値下げするところも出てきていますね。盛岡や金沢など。
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20070921_14
http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/economy/news/CK2007090602046854.html

sunafukin99 さん>

日本で東京だけ突出して景気がいいのも事実です。大阪で同じことをやろうとしたら暴動が起きるんじゃないでしょうか?w
マクロの需給を無視して値上げなんて出来ません。

>タクシーの需要がここのところ増えてないのは値下げによる需要増でも追いつかないほど不況が激しかったということで説明がつくと思いますが。

 私はタクシーの場合、バス運賃の2倍程度の400円代まで思いっきり値下げすれば、バス利用者のタクシー転移が起きて需要も増えるでしょうが、中途半端な値下げでは需要は生まれないと思います。

>一台あたりの売り上げを増やすには台数規制しかないわけですが、

 タクシーの規制緩和は、台数規制撤廃の方が問題なのは事実です。今回のエントリーでは運賃のニュースに言及したので、台数規制の話題に触れませんでしたが、本質的にはこちらの問題の解決が必要なのは確かです。

>運転手の失業問題につながると思います。その場合代替の職業をどうするかという問題もありますよね。

元々が失業者の受皿的な職種なのですが。本来ならもっと付加価値の高い職業に従事できる人もいるはずです。ある程度能力がある人がタクシー運転士に甘んじていることによる国益の喪失は計り知れないと思います。その意味でも、タクシー運転士という労働需要を増やす方に誘導する政策は失敗だと思います。
 もちろん、日本国内で付加価値の高い産業が成長することが前提の話ではありますが…。

リベラリスト さん>

>タクシーを平気で使う「富裕層」も、個人のポケットマネーを利用しているならともかく会社の経費になるような場合、或る一定水準を超えると会社が急に引き締めにかかる可能性は否定できないと思いますよ。90年代以降値下げが需要増をもたらさなかったからといって、値上げが需要減を招かないとは限りません。

 ちょっとマクロすぎてベタな話になりますが、逆の現象は既に見られますね。タクシーが値下げになり、場合によっては他の交通機関より安いケースもあるのに、企業によっては「一般社員のタクシー使用禁止」や「タクシーを使いにくい雰囲気」を保持したままで、需要増加に結びつかないという感じで。
 値上げの場合、貴殿のおっしゃる通りになる可能性もありますね。価格変更はタイミングと訴求の仕方が悪いと値下げ時は需要増にならず、値下げ時のみ需要減となる危険性があります。

 もっとも私はタクシーの需要が減っても構わないという立場です。
いきなりマクロの話になりますが、もともとタクシー業界は利益が出ても利幅は薄いですし、従業員の給与水準も低いので、経済へのプラス効果は限定的です。本来なら、もっと事業収益性が高く、給与水準も高くできる産業が育つことが重要です。
 
>要は、タクシー業界が本当にタクシーを利用している客の像をしっかり捉え、需要減を招かない値上げ範囲というものをそれなりに計算して行動しているのであれば、値上げに意味はあるけれどもそうでなければ、一時しのぎの策でしかなく、多分所得再配分に寄与するということもないのではないか、ということです。

タクシー業界は90年代にB賃(歩合賃)化が進み、人件費が変動費化し、台当利益に関係なく台数を増やせば増やすほど利益がでる構造となり、増車や新規算入が相次ぎました。タクシー運転士の年収は上がってませんが、燃料費の高騰、求人難により採用費用・養成費用が高騰し、限界利益が大幅に減り、増車したものの勝ちの状況ではなくなってきています。
 現状は需要増でマスの売上を確保するより、台当の生産性を重視するかつてのやり方に回帰せざるを得ないと思います。

 あとは自然淘汰で供給が減るのを待つか、行政に仕切ってもらって受給調整をするのがいいかという問題だと思います。

>高いこと以上に幾らになるか判らない、という不安の部分が大きいからです。従って、もしゾーン制のような料金体系が何らかの形で適用され、料金の上限が見えていれば、或る程度利用する可能性はあります。多分こういった潜在利用客は結構いるのではないでしょうか。

確かにあるでしょうね。
 ただ私はタクシーの需要が減っても構わないという立場なので…。