木村剛氏のフィナンシャル ジャパン記事「それでも、やっぱり貿易立国」に反論

 日本経済にとって、輸出は成長の生命線。人口減少に直面する日本経済は、今後ますます外需への依存体質を強めざるを得ない。
 昔も今も、そして将来も、日本は貿易立国でしかあり得ない。

 日本から海外への直接投資が進んで現地生産が増え、また、米国の批判の矛先が中国に向かったこともあって、ひところのような対日批判は鳴りを潜めた。さぞや日本の貿易黒字は減ったのだろうと思いきや、実はその当時から一向に減少していない。それどころかGDP国内総生産)に占める輸出金額の比率は近年、着実に上昇している。
 人口減少にともなう内需縮小は日本の宿命で、外需頼みの傾向はこれから一層強まると予想される。輸出が日本の経済成長を大きく左右する現実は、当面変わりそうもない。

 第一生命経済研究所の永濱利廣主任エコノミストは、日本がこれらの変化に対応するためには、高付加価値品の競争力をより高めるのと同時に、EPA経済連携協定)の締結や、農業をはじめとする対外開放も必要だ」と言う。
 ますます海外依存度が高まる日本。最近、内向きの議論が目立つが、“開かれた国”でいなければ日本経済の将来はない。

http://kimuratakeshi.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post.html



 投資家には投資家の利益があるので、投資家が読むペーパーのコラムにいちゃもんを付けても仕方ないのだが…。
以下の点が引っかかった。

  • 人口減少にともなう内需縮小は日本の宿命 → 直近の問題は低所得者の増大による内需減退ではないか?生産人口が減少するのはまだ先の話。格差肯定論者が格差の負の部分をごまかすために都合よく「少子化」を持ち出している気がする。
  • アメリカの対日批判が鳴りを潜めたのは、日本マーケットに外資が多く算入し、日本企業に対して「高利益」を期待する圧力が増し、かつてのようにアメリカ企業の競争力を担保するために日本企業の競争力減退を望む圧力を圧倒するようになったからではないか。
  • 「高付加価値品の競争力をより高める」というのはその通り。ただその例に当てはまらないものも多く、競争力維持のために人件費圧縮圧力が永続している問題をスルーしている。
  • 私は外需依存体質強化は大いに疑問。やはり内需も重視し、国民所得の増大と内需の拡大をパラレルに進めてゆく政策が必要。
  • EPA締結や農業の開放については、私も避けられないという見解だが、輸出のために輸入を自由にというのはポリシーがない。
  • 「日本の将来はない」と大上段なことを言うが、日本の将来は経済の問題だけで決まるのか?



ついでに言えば、輸出によって増益を続けている企業から二代続けて経団連会長が出ている。彼らが政治・経済に影響力を行使し日本を歪めているのではないか。内需型企業が財界トップであれば、違った動きをしたはずだ。